(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085323
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 79/08 20060101AFI20240619BHJP
C08G 59/00 20060101ALI20240619BHJP
C08G 59/40 20060101ALI20240619BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240619BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240619BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240619BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240619BHJP
C08G 73/12 20060101ALI20240619BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C08L79/08
C08G59/00
C08G59/40
C08G73/10
C08K3/013
C08L101/00
C08L63/00 A
C08L63/00 C
C08G73/12
H05K1/03 610N
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199797
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 嘉生
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
4J043
【Fターム(参考)】
4J002AA021
4J002CC031
4J002CC032
4J002CM043
4J002DE076
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE146
4J002DE166
4J002DE236
4J002DE286
4J002DF016
4J002DG046
4J002DJ017
4J002DK006
4J002DL006
4J036AA01
4J036DB06
4J036DB09
4J036JA08
4J043PB02
4J043PB03
4J043PB22
4J043PC035
4J043PC036
4J043RA05
4J043RA34
4J043SA06
4J043TA21
4J043TA22
4J043UA021
4J043UA041
4J043UA042
4J043UA082
4J043UA132
4J043UA151
4J043UA152
4J043UA632
4J043XA16
4J043ZB47
4J043ZB50
(57)【要約】
【課題】低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができる樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填剤を含む樹脂組成物であって、(A)成分が、式(1)で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む樹脂組成物(式(1)の各記号の定義は添付の明細書の通りである。)。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填剤を含む樹脂組成物であって、
(A)成分が、式(1):
【化1】
[式中、
(i)R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基、又は2価の炭化水素基を示し、且つR
1及びR
2の少なくとも一方が、1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基、又は2価の炭化水素基であるか、或いは
(ii)R
1及びR
2は、一緒になって結合し、1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有炭素環、又は1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;
*は、結合部位を示す。]
で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分が、式(2):
【化2】
[式中、
Xは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる2価の有機基を示し;
Yは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる4価の有機基を示し;
(i)R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基、又は2価の炭化水素基を示し、且つR
1及びR
2の少なくとも一方が、1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基、又は2価の炭化水素基であるか、或いは
(ii)R
1及びR
2は、一緒になって結合し、1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有炭素環、又は1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;
nは、1以上の平均繰り返し単位数を示す。]
で表されるポリイミド樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
Xが、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる2価の有機基であって、n+1個のXを100mol%とした場合、それらのうち1mol%~80mol%が、芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ20mol%~99mol%が、芳香環を有する2価の有機基である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
Yが、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなり且つ芳香環を有する4価の有機基である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、5質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(A)成分の重量平均分子量が、10,000以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(B)成分が、(B1)エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(B)成分が、(B2)エポキシ樹脂硬化剤を含む、請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(B2)成分が、活性エステル系硬化剤を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
(B2)成分が、フェノール系硬化剤を含む、請求項8に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
(B)成分が、(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
(A)成分に対する(B)成分の質量比((B)成分/(A)成分)が、5~100である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)が、5.8GHz、23℃で測定した場合、0.003以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
半導体チップパッケージの絶縁層形成用である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1~14の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
【請求項17】
支持体と、当該支持体上に設けられた請求項1~14の何れか1項に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
【請求項18】
請求項1~14の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を備えるプリント配線板。
【請求項19】
請求項18に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性の樹脂組成物に関する。さらには、当該樹脂組成物を用いて得られる樹脂シート、プリント配線板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は、エポキシ樹脂や無機充填材を含む樹脂組成物を硬化させて形成される。
【0003】
プリント配線板には伝送損失低減のため低誘電正接が求められている。一方でプリント配線板としての信頼性向上のため、強度、とりわけ折り曲げ耐性の強い材料も求められている。折り曲げ耐性を向上させる方法として、樹脂材料にポリイミド樹脂を配合する方法が知られているが(特許文献1及び2)、十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-172663号公報
【特許文献2】特許第6805338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができる樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む樹脂組成物において、(A)ポリイミド樹脂として、下記で説明する式(1)で表される基を有するポリイミド樹脂を使用することにより、意外にも、従来のポリイミド樹脂を使用した場合と比較して、低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填剤を含む樹脂組成物であって、
(A)成分が、式(1):
【0008】
【0009】
[式中、
(i)R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基、又は2価の炭化水素基を示し、且つR1及びR2の少なくとも一方が、1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基、又は2価の炭化水素基であるか、或いは
(ii)R1及びR2は、一緒になって結合し、1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有炭素環、又は1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;
*は、結合部位を示す。]
で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む樹脂組成物。
[2] (A)成分が、式(2):
【0010】
【0011】
[式中、
Xは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる2価の有機基を示し;
Yは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる4価の有機基を示し;
(i)R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基、又は2価の炭化水素基を示し、且つR1及びR2の少なくとも一方が、1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基、又は2価の炭化水素基であるか、或いは
(ii)R1及びR2は、一緒になって結合し、1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有炭素環、又は1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;
nは、1以上の平均繰り返し単位数を示す。]
で表されるポリイミド樹脂を含む、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3] Xが、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる2価の有機基であって、n+1個のXを100mol%とした場合、それらのうち1mol%~80mol%が、芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ20mol%~99mol%が、芳香環を有する2価の有機基である、上記[2]に記載の樹脂組成物。
[4] Yが、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなり且つ芳香環を有する4価の有機基である、上記[2]に記載の樹脂組成物。
[5] (A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、5質量%以下である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[6] (A)成分の重量平均分子量が、10,000以上である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[7] (B)成分が、(B1)エポキシ樹脂を含む、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[8] (B)成分が、(B2)エポキシ樹脂硬化剤を含む、上記[7]に記載の樹脂組成物。
[9] (B2)成分が、活性エステル系硬化剤を含む、上記[8]に記載の樹脂組成物。
[10] (B2)成分が、フェノール系硬化剤を含む、上記[8]に記載の樹脂組成物。
[11] (B)成分が、(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂を含む、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[12] (A)成分に対する(B)成分の質量比((B)成分/(A)成分)が、5~100である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[13] (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[14] 樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)が、5.8GHz、23℃で測定した場合、0.003以下である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[15] 半導体チップパッケージの絶縁層形成用である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[16] 上記[1]~[14]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[17] 支持体と、当該支持体上に設けられた上記[1]~[14]の何れかに記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
[18] 上記[1]~[14]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を備えるプリント配線板。
[19] 上記[18]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂組成物によれば、低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0014】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填剤を含む樹脂組成物であって、(A)ポリイミド樹脂が、下記で説明する式(1)で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む。このような樹脂組成物によれば、低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができる。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材の他に、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(D)硬化促進剤、(E)ラジカル重合開始剤、(F)その他の添加剤、及び(G)有機溶剤が挙げられる。
【0016】
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0017】
<(A)ポリイミド樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂を含む。(A)ポリイミド樹脂は、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂である。(A)ポリイミド樹脂には、シロキサン変性ポリイミド樹脂などの変性ポリイミド樹脂も含まれる。
【0018】
本発明の樹脂組成物において、(A)ポリイミド樹脂は、式(1):
【0019】
【0020】
[式中、
(i)R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基、又は2価の炭化水素基を示し、且つR1及びR2の少なくとも一方が、1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基、又は2価の炭化水素基であるか、或いは
(ii)R1及びR2は、一緒になって結合し、1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有炭素環、又は1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;
*は、結合部位を示す。]
で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む。
【0021】
1価の炭化水素基とは、1個以上(好ましくは1~50個、より好ましくは1~20個)の炭素原子のみを骨格原子とし、水素原子を非骨格原子とする1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基は、1価の飽和炭化水素基であってもよいし、1価の不飽和炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基は、芳香族構造を有していてもよいし、芳香族構造を有さなくてもよい。1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアラルキル基、アルケニルアリール基、アルケニルアラルキル基等が挙げられる。
【0022】
1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基とは、非芳香族性の炭素-炭素二重結合を1個以上有する1価の炭化水素基を意味する。1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基は、エチレン性不飽和結合とは別に芳香族構造を有していてもよいし、芳香族構造を有さなくてもよい。1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基としては、例えば、アルケニル基、アルケニルアリール基、アルケニルアラルキル基等が挙げられるが、アルケニル基が好ましい。
【0023】
アルキル基とは、直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。アルキル基は、特に指定がない限り、炭素数1~14のアルキル基が好ましく、炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキル基が特に好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、tert-オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0024】
アルケニル基とは、少なくとも1個の非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル基は、特に指定がない限り、炭素数2~14のアルケニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基がより好ましく、炭素数2~6のアルケニル基がさらに好ましく、炭素数2又は3のアルケニル基が特に好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)、シクロペンテニル基(2-シクロペンテニル基等)、シクロヘキセニル基(3-シクロヘキセニル基)等が挙げられる。
【0025】
アリール基とは、芳香族炭素環の1個の水素原子を除いてなる1価の芳香族炭化水素基を意味する。アリール基は、特に指定がない限り、炭素数6~14のアリール基が好ましく、炭素数6~10のアリール基がさらに好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
【0026】
アラルキル基とは、1個又は2個以上(好ましくは1個)のアリール基で置換されたアルキル基を意味する。アラルキル基は、特に指定がない限り、炭素数7~15のアラルキル基が好ましく、炭素数7~11のアラルキル基がさらに好ましい。アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロシンナミル基、α-メチルベンジル基、α-クミル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0027】
アルキルアリール基とは、1個又は2個以上(好ましくは1個)のアルキル基で置換されたアリール基を意味する。アルキルアリール基は、特に指定がない限り、炭素数7~15のアルキルアリール基が好ましく、炭素数7~11のアルキルアリール基がさらに好ましい。アルキルアリール基としては、例えば、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、2-エチルフェニル基、4-イソプロピルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
【0028】
アルキルアラルキル基とは、1個又は2個以上(好ましくは1個)のアルキル基で芳香族炭素原子が置換されたアラルキル基を意味する。アルキルアラルキル基は、特に指定がない限り、炭素数8~16のアルキルアラルキル基が好ましく、炭素数8~12のアルキルアラルキル基がさらに好ましい。アルキルアラルキル基としては、例えば、4-メチルベンジル基、3-メチルベンジル基、2-メチルベンジル基、4-エチルベンジル基、3-エチルベンジル基、2-エチルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基、3-イソプロピルベンジル基、2-イソプロピルベンジル基等が挙げられる。
【0029】
アルケニルアリール基とは、1個又は2個以上(好ましくは1個)のアルケニル基で置換されたアリール基を意味する。アルケニルアリール基は、特に指定がない限り、炭素数8~15のアルケニルアリール基が好ましく、炭素数8~11のアルケニルアリール基がさらに好ましい。アルケニルアリール基としては、例えば、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、2-ビニルフェニル基、4-イソプロペニルフェニル基、3-イソプロペニルフェニル基、2-イソプロペニルフェニル基等が挙げられる。
【0030】
アルケニルアラルキル基とは、1個又は2個以上(好ましくは1個)のアルケニル基で芳香族炭素原子が置換されたアラルキル基を意味する。アルケニルアラルキル基は、特に指定がない限り、炭素数9~16のアルケニルアラルキル基が好ましく、炭素数9~12のアルキルアラルキル基がさらに好ましい。アルケニルアラルキル基としては、例えば、4-ビニルベンジル基、3-ビニルベンジル基、2-ビニルベンジル基、4-イソプロペニルベンジル基、3-イソプロペニルベンジル基、2-イソプロペニルベンジル基等が挙げられる。
【0031】
2価の炭化水素基とは、1個以上(好ましくは1~50個、より好ましくは1~20個)の炭素原子のみを骨格原子とし、水素原子を非骨格原子とし、1個の原子に対して非芳香族性の二重結合を形成して結合する2価の不飽和炭化水素基である。2価の炭化水素基は、結合する原子と形成する二重結合とは別に芳香族構造を有していてもよいし、芳香族構造を有さなくてもよい。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキリデン基等が挙げられる。
【0032】
アルキリデン基とは、1個の結合する原子と形成する二重結合を除いて単結合のみからなる直鎖、分枝鎖及び/又は環状の2価の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキリデン基は、特に指定がない限り、炭素数1~14のアルキリデン基が好ましく、炭素数1~10のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1~6のアルキリデン基がさらに好ましく、炭素数1~3のアルキリデン基が特に好ましい。アルキリデン基としては、メチリデン基(=CH2)、エチリデン基(=CHCH3)、プロピリデン基(=CHCH2CH3)、イソプロピリデン基(=C(CH3)2)、ブチリデン基(=CHCH2CH2CH3)等が挙げられる。
【0033】
エチレン性不飽和結合含有炭素環とは、非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有する炭素原子のみを環構成原子とする非芳香環を意味する。エチレン性不飽和結合含有炭素環は、5~18員のエチレン性不飽和結合含有炭素環がより好ましく、5~14員のエチレン性不飽和結合含有炭素環がさらに好ましい。エチレン性不飽和結合含有炭素環としては、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環等の単環系エチレン性不飽和結合含有炭素環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン環(ノルボルネン環)、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン環、ビシクロ[4.4.0]デカ-2-エン環等の二環系エチレン性不飽和結合含有炭素環;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン環等の三環系エチレン性不飽和結合含有炭素環等が挙げられる。
【0034】
エチレン性不飽和結合含有複素環とは、非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有し、環構成原子として、炭素原子に加え、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する非芳香環を意味する。エチレン性不飽和結合含有複素環は、5~18員のエチレン性不飽和結合含有複素環がより好ましく、5~14員のエチレン性不飽和結合含有複素環がさらに好ましい。エチレン性不飽和結合含有複素環としては、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン環等の二環系エチレン性不飽和結合含有炭素環等が挙げられる。
【0035】
第一の実施形態において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、1価の炭化水素基、又は2価の炭化水素基を示し、且つR1及びR2の少なくとも一方が、1価のエチレン性不飽和結合含有炭化水素基、又は2価の炭化水素基であり;好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアラルキル基、アルケニルアリール基、又はアルケニルアラルキル基であり、且つR1及びR2の少なくとも一方が、アルケニル基、アルケニルアリール基、アルケニルアラルキル基、又はアルキリデン基であり;より好ましくは、水素原子、アルケニル基、又はアルキリデン基であり、且つR1及びR2の少なくとも一方が、アルケニル基、又はアルキリデン基であり;特に好ましくは、R1が、アルケニル基、又はアルキリデン基であり、且つR2が、水素原子である。
【0036】
第二の実施形態において、R1及びR2は、一緒になって結合し、1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有炭素環、又は1価の炭化水素基で置換されていてもよいエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアラルキル基、アルケニルアリール基、及びアルケニルアラルキル基から選ばれる基で置換されていてもよい5~18員のエチレン性不飽和結合含有炭素環、又はアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアラルキル基、アルケニルアリール基、及びアルケニルアラルキル基から選ばれる基で置換されていてもよい5~18員のエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;より好ましくは、アルキル基で置換されていてもよい5~14員のエチレン性不飽和結合含有炭素環、又はアルキル基で置換されていてもよい5~14員のエチレン性不飽和結合含有複素環を形成し;アルキル基で置換されていてもよいシクロヘキセン環、アルキル基で置換されていてもよいビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン環、アルキル基で置換されていてもよいビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン環、又はアルキル基で置換されていてもよい7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン環を形成する。
【0037】
(A)ポリイミド樹脂は、一実施形態において、好ましくは、式(1a)~(1h):
【0038】
【0039】
[式中、
Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4、Rb5、Rb6、Rc1、Rc2、Rc3、Rc4、Rc5、Rc6、Rd1、Rd2、Rd3、Rd4、Re1、Re2、Re3、Re4、Re5、Re6、Re7、Rf1、Rf2、Rf3、Rf4、Rf5、Rg1、Rg2、Rg3、Rh1及びRh2は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を示し;
Xaは、-O-、-CH2-、又は-CH2CH2-を示し;
*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含み;より好ましくは、式(1a)、(1b)、(1f)及び(1h)から選ばれる基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含み;特に好ましくは、式(1-1)~(1-12):
【0040】
【0041】
[式中、*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む。
【0042】
(A)ポリイミド樹脂は、一実施形態において、好ましくは、式(2):
【0043】
【0044】
[式中、
Xは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる2価の有機基を示し;
Yは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる4価の有機基を示し;
nは、1以上の平均繰り返し単位数を示し;
その他の記号は、式(1)と同様である。]
で表されるポリイミド樹脂を含む。
【0045】
Xは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上(好ましくは5~200個、より好ましくは5~100個、さらに好ましくは5~50個)の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる2価の有機基を示す。
【0046】
Xは、芳香環を有さない2価の有機基であってもよく、芳香環を有する2価の有機基であってもよいが、柔軟性をより向上させる観点から、n+1個のXのうち1個以上が芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ1個以上が芳香環を有さない2価の有機基であることが好ましく;n+1個のXを100mol%とした場合、それらのうち1mol%~99mol%が、芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ1mol%~99mol%が、芳香環を有する2価の有機基であることが好ましく;ガラス転移点をより最適化する観点から、それらのうち1mol%~90mol%が、芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ10mol%~99mol%が、芳香環を有する2価の有機基であることがより好ましく;それらのうち1mol%~80mol%が、芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ20mol%~99mol%が、芳香環を有する2価の有機基であることがさらに好ましく;それらのうち20mol%~80mol%が、芳香環を有さない2価の有機基であり、且つ20mol%~80mol%が、芳香環を有する2価の有機基であることが特に好ましい。
【0047】
Xにおける芳香環を有する2価の有機基は、一実施形態において、好ましくは、式(X1)~(X5):
【0048】
【0049】
[式中、
RAは、それぞれ独立して、置換基を示し;
aは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し;
X2a、X3a、X3b、X4a、X4b、X4c、X5a、X5b、X5c及びX5dは、それぞれ独立して、単結合、-C(Rs)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し;
Rsは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
環X31、環X41、環X42、環X51、環X52及び環X53は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環、又は置換基を有していてもよい非芳香環を示し;
*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基である。
【0050】
RAは、それぞれ独立して、置換基を示し、一実施形態において、好ましくは、アルキル基である。
【0051】
RAにおける「置換基」としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、-NO2、-CN、-COH、-OH、-SH、-NH2、-COOH、-R、-COR、-OR、-SR、-SOR、-SO2R、-NHR、-N(R)2、-COOR、-OCOR、-CONH2、-CONHR、-CON(R)2、-NHCOR等の1価の置換基が挙げられる(ただし、Rは、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を示す。)。
【0052】
aは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し;一実施形態において、好ましくは、0、1又は2であり;より好ましくは、0又は1であり;さらに好ましくは、0である。
【0053】
X2a、X3a、X3b、X4a、X4b、X4c、X5a、X5b、X5c及びX5dは、それぞれ独立して、単結合、-C(Rs)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し、一実施形態において、好ましくは、単結合、-C(Rs)2-、又は-O-である。Rsは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0054】
環X31、環X41、環X42、環X51、環X52及び環X53は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環、又は置換基を有していてもよい非芳香環を示し;一実施形態において、好ましくは、置換基を有していてもよい芳香環であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン環であり、さらに好ましくは、アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環である。
【0055】
環X31、環X41、環X42、環X51、環X52及び環X53の「置換基を有していてもよい芳香環」及び「置換基を有していてもよい非芳香環」における「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0056】
芳香環とは、環上のπ電子系に含まれる電子数が4p+2個(pは自然数)であるヒュッケル則に従う環を意味する。芳香環は、炭素原子のみを環構成原子とする芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり得る。芳香環は、一実施形態において、5~14員の芳香環が好ましく、6~14員の芳香環がより好ましく、6~10員の芳香環がさらに好ましい。芳香環の好適な具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられ、より好ましくは、ベンゼン環又はナフタレン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。芳香環は、一部に非芳香環が縮合した芳香環であってもよい。一部に非芳香環が縮合した芳香環としては、インダン環、インデン環、テトラリン環、1,2-ジヒドロナフタレン環、1,4-ジヒドロナフタレン環、フルオレン環、9,10-ジヒドロアントラセン環、9,10-ジヒドロフェナントレン環等が挙げられる。
【0057】
非芳香環とは、環全体に芳香族性を有する芳香環以外の環を意味する。非芳香環は、炭素原子のみを環構成原子とする非芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する非芳香族複素環であり得る。非芳香環は、飽和環であっても、不飽和環であってもよい。非芳香環は、3~21員の非芳香環が好ましく、4~17員の非芳香環がより好ましく、5~14員の非芳香環がさらに好ましい。非芳香環の好適な具体例としては、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等の単環系の非芳香族飽和炭素環;シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環等の単環系の非芳香族不飽和炭素環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環(ノルボルナン環)、ビシクロ[4.4.0]デカン環(デカリン環)、ビシクロ[5.3.0]デカン環、ビシクロ[4.3.0]ノナン環(ヒドリンダン環)、ビシクロ[3.2.1]オクタン環、ビシクロ[5.4.0]ウンデカン環、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環(テトラヒドロジシクロペンタジエン環)、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン環(アダマンタン環)、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環等の二環系以上の非芳香族飽和炭素環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン環(ノルボルネン環)、ビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン環、ビシクロ[4.4.0]デカ-2-エン環等の二環系以上の非芳香族不飽和炭素環等が挙げられる。
【0058】
Xにおける芳香環を有する2価の有機基の具体例としては、特に限定されるものではないが、式(X-1)~(X-6):
【0059】
【0060】
[式中、*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基が挙げられる。
【0061】
Xにおける芳香環を有さない2価の有機基は、一実施形態において、好ましくは、芳香環を有さないが非芳香環を有する2価の有機基であり、より好ましくは、式(X6):
【0062】
【0063】
[式中、
環X6は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非芳香環を示し;
a1及びa2は、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し;
*は、結合部位を示す。]
で表される基である。
【0064】
環X6は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非芳香環を示し;一実施形態において、好ましくは、置換基を有していてもよい単環系の非芳香族飽和炭素環、又は置換基を有していてもよい単環系の非芳香族不飽和炭素環であり;より好ましくは、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいシクロヘキサン環、又はアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいシクロヘキセン環であり;さらに好ましくは、炭素数1~14のアルキル基及び炭素数2~14のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいシクロヘキサン環、又は炭素数1~14のアルキル基及び炭素数2~14のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいシクロヘキセン環である。
【0065】
a1及びa2は、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し;一実施形態において、好ましくは、それぞれ独立して、0~20の整数であり;より好ましくは、それぞれ独立して、1~20の整数であり;さらに好ましくは、それぞれ独立して、5~10の整数である。
【0066】
Xにおける芳香環を有さない2価の有機基の具体例としては、特に限定されるものではないが、式(X-7)~(X-8):
【0067】
【0068】
[式中、*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基が挙げられる。
【0069】
Yは、それぞれ独立して、炭素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる5個以上(好ましくは5~200個、より好ましくは5~100個、さらに好ましくは5~50個)の骨格原子並びに水素原子及びハロゲン原子から選ばれる非骨格原子からなる4価の有機基を示す。
【0070】
Yは、芳香環を有さない4価の有機基であってもよく、芳香環を有する4価の有機基であってもよいが、芳香環を有する4価の有機基であることが好ましい。
【0071】
Yにおける芳香環を有する4価の有機基は、一実施形態において、好ましくは、式(Y1)~(Y5):
【0072】
【0073】
[式中、
RBは、それぞれ独立して、置換基を示し;
bは、それぞれ独立して、0、1又は2を示し;
Y2a、Y3a、Y3b、Y4a、Y4b、Y4c、Y5a、Y5b、Y5c及びY5dは、それぞれ独立して、単結合、-C(Rt)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し;
Rtは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
環Y31、環Y41、環Y42、環Y51、環Y52及び環Y53は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環、又は置換基を有していてもよい非芳香環を示し;
*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基である。
【0074】
RBは、それぞれ独立して、置換基を示し、一実施形態において、好ましくは、アルキル基である。
【0075】
RBにおける「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0076】
bは、それぞれ独立して、0、1又は2を示し;一実施形態において、好ましくは、0又は1であり;より好ましくは、0である。
【0077】
Y2a、Y3a、Y3b、Y4a、Y4b、Y4c、Y5a、Y5b、Y5c及びY5dは、それぞれ独立して、単結合、-C(Rt)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し、一実施形態において、好ましくは、単結合、-C(Rt)2-、又は-O-である。Rtは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0078】
環Y31、環Y41、環Y42、環Y51、環Y52及び環Y53は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環、又は置換基を有していてもよい非芳香環を示し;一実施形態において、好ましくは、置換基を有していてもよい芳香環であり、より好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン環であり、さらに好ましくは、アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環である。
【0079】
環Y31、環Y41、環Y42、環Y51、環Y52及び環Y53の「置換基を有していてもよい芳香環」及び「置換基を有していてもよい非芳香環」における「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0080】
Yにおける芳香環を有する2価の有機基の具体例としては、特に限定されるものではないが、式(Y-1)~(Y-6):
【0081】
【0082】
[式中、*は、結合部位を示す。]
から選ばれる基が挙げられる。
【0083】
nは、1以上の平均繰り返し単位数を示し;好ましくは1~500、より好ましくは1~100である。
【0084】
(A)ポリイミド樹脂は、一実施形態において、より好ましくは、式(2a)~(2h):
【0085】
【0086】
[式中、各記号は、式(1a)~(1h)及び式(2)と同様である。]
の何れか表されるポリイミド樹脂を含み、特に好ましくは、式(2-1)~(2-12):
【0087】
【0088】
[式中、各記号は、式(2)と同様である。]
の何れか表されるポリイミド樹脂を含む。
【0089】
(A)ポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは、1,000以上、より好ましくは、2,000以上、さらに好ましくは、4,000以上、特に好ましくは、6,000以上であり、その上限は、好ましくは、50,000以下、より好ましくは、20,000以下、さらに好ましくは、15,000以下、特に好ましくは、12,000以下である。(A)ポリイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2,000以上、より好ましくは、5,000以上、さらに好ましくは、10,000以上、特に好ましくは、15,000以上であり、その上限は、好ましくは、100,000以下、より好ましくは、50,000以下、さらに好ましくは、30,000以下、特に好ましくは、25,000以下である。(A)ポリイミド樹脂の多分散度(Mw/Mn)は、好ましくは、1.1~10.0、より好ましくは、1.5~5.0、さらに好ましくは、1.8~4.0、特に好ましくは、2.0~3.0である。数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0090】
(A)ポリイミド樹脂は、公知の方法又はそれに準ずる方法を用いて、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン及びジカルボン酸無水物を反応させることにより製造することができる。
【0091】
樹脂組成物中の(A)ポリイミド樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下であり、その下限は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは0.8質量%以上である。
【0092】
樹脂組成物中の式(1)で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下であり、その下限は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは0.8質量%以上である。
【0093】
<(B)熱硬化性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(B)熱硬化性樹脂を含有する。ここで説明する(B)熱硬化性樹脂は、上記で説明した(A)ポリイミド樹脂に該当するもの以外の成分である。(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ラジカル反応性基を有する樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、それらと反応して硬化させる機能を有し得る硬化剤(例えばエポキシ樹脂硬化剤)等も含み得る。
【0094】
<(B1)エポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、一実施形態において、(B)熱硬化樹脂として(B1)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。(B1)エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するエポキシ当量5,000g/eq.以下の硬化性樹脂である。
【0095】
(B1)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(B1)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0096】
本発明の樹脂組成物は、(B1)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(B1)エポキシ樹脂100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0097】
(B1)エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいることが特に好ましい。
【0098】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0099】
液状エポキシ樹脂としては、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0100】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製の「EX-992L」、三菱ケミカル社製の「YX7400」、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-991L」(アルキレンオキシ骨格及びブタジエン骨格含有エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「EG-280」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製「EX-201」(環状脂肪族グリシジルエーテル)等が挙げられる。
【0101】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0102】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0103】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
(B1)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは10:1~1:50、より好ましくは5:1~1:20、さらに好ましくは2:1~1:10、特に好ましくは1:1~1:3である。
【0105】
(B1)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~2,000g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~1,000g/eq.、さらにより好ましくは80g/eq.~500g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0106】
(B1)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0107】
樹脂組成物中の(B1)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下であり、その下限は、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
【0108】
<(B2)エポキシ樹脂硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、(B)熱硬化樹脂として(B1)エポキシ樹脂を含む場合、任意成分としてさらに(B2)エポキシ樹脂硬化剤を含有していてもよい。(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、(B)熱硬化樹脂として(B1)エポキシ樹脂が含まれる場合に、(B1)エポキシ樹脂と反応して硬化させる機能を有し得る。
【0109】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びチオール系硬化剤等が挙げられる。(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、一実施形態において、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂硬化剤を含むことが好ましく、活性エステル系硬化剤、及びフェノール系硬化剤から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂硬化剤を含むことがより好ましい。(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、一実施形態において、誘電正接をより低く抑える観点から、活性エステル系硬化剤を含むことが特に好ましい。また、(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、一実施形態において、硬化性をより向上させる観点から、フェノール系硬化剤を含むことが特に好ましい。
【0110】
活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0111】
活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、及びナフタレン型活性エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物が好ましい。
【0112】
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
【0113】
フェノール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。また、被着体に対する密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「KA-1160」等が挙げられる。
【0114】
カルボジイミド系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する硬化剤が挙げられ、例えば、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
【0115】
カルボジイミド系硬化剤の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0116】
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられ、1分子内中に2個以上の酸無水物基を有する硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」、三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」、日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」、クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
【0117】
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0118】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
【0119】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0120】
チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0121】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤の反応基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。反応基当量は、反応基1当量あたりの(B2)エポキシ樹脂硬化剤の質量である。
【0122】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤としてフェノール系硬化剤が含まれる場合、樹脂組成物中のフェノール系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、硬化性をより向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上であり、誘電正接をより低く抑える観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以上である。
【0123】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤として活性エステル系硬化剤が含まれる場合、樹脂組成物中の活性エステル系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、誘電正接をより低く抑える観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。また、樹脂組成物中の活性エステル系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の(B2)エポキシ樹脂硬化剤を100質量%とした場合、誘電正接をより低く抑える観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。
【0124】
樹脂組成物中の(B2)エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは17質量%以下であり、その下限は、特に限定されるものではないが、例えば、0質量%以上、0.01質量%以上であり得、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
【0125】
樹脂組成物中の(B1)エポキシ樹脂に対する(B2)エポキシ樹脂硬化剤の質量比((B2)成分/(B1)成分)は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.1以上であり、その上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。
【0126】
<(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(B)熱硬化樹脂として(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂を含有することが好ましい。(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、1分子中に、1個以上(好ましくは2個以上)のラジカル反応性基を有する。(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0127】
ラジカル反応性基とは、ラジカル反応性のエチレン性不飽和結合を有する基であり、例としては、特に限定されるものではないが、(1)アクリロイル基、(2)メタクリロイル基、(3)アリル基、(4)メタリル基、(5)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいフェニル基(例えば、ビニルフェニル基(すなわち4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、2-ビニルフェニル基)、イソプロペニルフェニル基(すなわち4-イソプロペニルフェニル基、3-イソプロペニルフェニル基、2-イソプロペニルフェニル基)など)、(6)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいベンジル基(例えば、ビニルベンジル基(すなわち4-ビニルベンジル基、3-ビニルベンジル基、2-ビニルベンジル基)、イソプロペニルベンジル基(すなわち4-イソプロペニルベンジル基、3-イソプロペニルベンジル基、2-イソプロペニルベンジル基)など)、(7)マレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)等が挙げられる。
【0128】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第一の実施形態において、好ましくは、ラジカル反応性基を2個以上有する樹脂(例えば数平均分子量800以上)を含む。樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、当該実施形態において、これらの樹脂のラジカル反応性基を2個以上有する変性樹脂を含む。
【0129】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第一の実施形態において、より好ましくは、ラジカル反応性基を2個以上有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂、並びにラジカル反応性基を2個以上有する変性ポリスチレン樹脂から選ばれる樹脂を含み、さらに好ましくは、ラジカル反応性基を2個以上有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂を含み、特に好ましくは、一実施形態において、式(3):
【0130】
【0131】
[式中、
R11及びR12は、それぞれ独立して、アルキル基を示し;
R13、R14、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
Ra及びRbは、それぞれ独立して、(1)アクリロイル基、(2)メタクリロイル基、(3)アリル基、(4)メタリル基、(5)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は(6)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいベンジル基を示し;
X1は、単結合、-C(Rc)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、又は-SO2-を示し;
Rcは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
sは、0又は1を示し;
t及びuは、それぞれ独立して、1以上の整数を示す。]
で表される樹脂を含む。t単位及びu単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0132】
R11及びR12は、それぞれ独立して、アルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、メチル基である。R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、水素原子である。R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、水素原子、又はメチル基であり、より好ましくは、メチル基である。R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0133】
Ra及びRbは、それぞれ独立して、(1)アクリロイル基、(2)メタクリロイル基、(3)アリル基、(4)メタリル基、(5)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は(6)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいベンジル基を示す。
【0134】
Ra及びRbは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、(1)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は(2)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいベンジル基であり;より好ましくは、4-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、2-ビニルフェニル基、4-イソプロペニルフェニル基、3-イソプロペニルフェニル基、2-イソプロペニルフェニル基、4-ビニルベンジル基、3-ビニルベンジル基、2-ビニルベンジル基、4-イソプロペニルベンジル基、3-イソプロペニルベンジル基、又は2-イソプロペニルベンジル基であり;特に好ましくは、4-ビニルベンジル基、3-ビニルベンジル基、又は2-ビニルベンジル基である。
【0135】
X1は、単結合、-C(Rc)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、又は-SO2-を示し、一実施形態において、好ましくは、単結合、-C(Rc)2-、又は-O-である。Rcは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0136】
sは、0又は1を示し、一実施形態において、好ましくは1である。t及びuは、それぞれ独立して、1以上の整数を示し、一実施形態において、好ましくは、1~200の整数であり、より好ましくは、1~100の整数である。
【0137】
第一の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂のラジカル反応性基当量は、好ましくは300g/eq.~2500g/eq.、より好ましくは400g/eq.~2000g/eq.である。ラジカル反応性基当量は、ラジカル反応性基1当量当たりの樹脂(化合物)の質量を表す。
【0138】
第一の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の数平均分子量は、好ましくは800~10000、より好ましくは900~5000である。樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0139】
第一の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の市販品としては、例えば、三菱ガス化学社製の「OPE-2St 1200」、「OPE-2St 2200」(ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル樹脂);SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA9000」、「SA9000-111」(メタクリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂)等が挙げられる。
【0140】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第二の実施形態において、ラジカル反応性基を2個以上有する低分子量の化合物(例えば分子量800未満)を含む。このような化合物としては、例えば、分子量800未満の多官能(メタ)アクリロイル基含有化合物、分子量800未満の多官能ビニルフェニル基含有化合物、分子量800未満の多官能(メタ)アリル基含有化合物等が挙げられる。
【0141】
分子量800未満の多官能(メタ)アクリロイル基含有化合物は、2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物である。分子量800未満の多官能(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,3-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル化合物;ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のエーテル含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリス(3-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレート含有(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられる。分子量800未満の多官能(メタ)アクリロイル基含有化合物の市販品としては、例えば、新中村化学工業社製の「A-DOG」(ジオキサングリコールジアクリレート)、共栄社化学社製の「DCP-A」(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、「DCP」(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)、日本化薬株式会社の「KAYARAD R-684」(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、「KAYARAD R-604」(ジオキサングリコールジアクリレート)等が挙げられる。
【0142】
分子量800未満の多官能ビニルフェニル基含有化合物は、2個以上のビニルフェニル基を有する化合物である。分子量800未満の多官能ビニルフェニル基含有化合物としては、例えば、4,4’-ジビニルビフェニル、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ビニルフェニル)プロパン、ビス(4-ビニルフェニル)エーテル等が挙げられる。
【0143】
分子量800未満の多官能(メタ)アリル基含有化合物は、2個以上のアリル基又はメタリル基を有する化合物である。分子量800未満の多官能(メタ)アリル基含有化合物としては、例えば、ジフェン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸アリルエステル化合物;1,3,5-トリアリルイソシアヌレート、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸アリルエステル化合物;2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン等のエポキシ含有芳香族アリル化合物;ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H‐1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン等のベンゾオキサジン含有芳香族アリル化合物;1,3,5-トリアリルエーテルベンゼン等のエーテル含有芳香族アリル化合物;ジアリルジフェニルシラン等のアリルシラン化合物等が挙げられる。分子量800未満の多官能(メタ)アリル基含有化合物の市販品としては、日本化成社製の「TAIC」(1,3,5-トリアリルイソシアヌレート)、日触テクノファインケミカル社製の「DAD」(ジフェン酸ジアリル)、和光純薬工業社製の「TRIAM-705」(トリメリット酸トリアリル)、日本蒸留工業社製の商品名「DAND」(2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル)、四国化成工業社製「ALP-d」(ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン)、日本化薬社製の「RE-810NM」(2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン)、四国化成社製の「DA-MGIC」(1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート)等が挙げられる。
【0144】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第二の実施形態の一実施形態において、特に好ましくは、式(4):
【0145】
【0146】
[式中、
Rd及びReは、それぞれ独立して、(1)アクリロイル基、(2)メタクリロイル基、(3)アリル基、(4)メタリル基、(5)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は(6)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいベンジル基を示し;
X2及びX3は、単結合、又はアルキレン基を示し;
環Aは、置換基を有していてもよい非芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい非芳香族複素環を示す。]
で表される低分子量の化合物(例えば分子量800未満)を含む。
【0147】
式(4)の記号の定義に含まれる「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0148】
Rd及びReは、それぞれ独立して、(1)アクリロイル基、(2)メタクリロイル基、(3)アリル基、(4)メタリル基、(5)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は(6)ビニル基及びイソプロペニル基から選ばれる基で置換され且つさらにアルキル基で置換されていてもよいベンジル基を示す。Rd及びReは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、アクリロイル基、又はメタクリロイル基である。
【0149】
X2及びX3は、単結合、又はアルキレン基を示す。アルキレン基とは、直鎖、及び/又は分枝鎖の2価の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。アルキレン基は、炭素数1~6のアルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、例えば、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-C(CH3)2-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH(CH3)-CH2-CH2-、-C(CH3)2-CH2-、-CH2-C(CH3)2-等が挙げられる。X2及びX3は、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、アルキレン基である。
【0150】
環Aは、置換基を有していてもよい非芳香族炭素環、又は置換基を有していてもよい非芳香族複素環を示す。
【0151】
非芳香族炭素環とは、環全体に芳香族性を有さない炭素原子のみを環構成原子とする環を意味する。非芳香族炭素環は、単環式の非芳香族炭素環であっても、多環式の非芳香族炭素環であってもよい。非芳香族炭素環は、単結合のみからなる飽和炭素環であっても、単結合に加えて二重結合を有する不飽和炭素環であってもよい。非芳香族炭素環は、3~21員の非芳香族炭素環が好ましく、4~18員の非芳香族炭素環がより好ましく、5~14員の非芳香族炭素環がさらに好ましい。非芳香族炭素環の好適な具体例としては、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環等の単環系の飽和炭素環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環(ノルボルナン環)、ビシクロ[4.4.0]デカン環(デカリン環)、ビシクロ[5.3.0]デカン環、ビシクロ[4.3.0]ノナン環(ヒドリンダン環)、ビシクロ[3.2.1]オクタン環、ビシクロ[5.4.0]ウンデカン環、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環等の二環系の飽和炭素環;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環(テトラヒドロジシクロペンタジエン環)、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン環(アダマンタン環)、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカン環等の三環系の飽和炭素環等が挙げられる。
【0152】
非芳香族複素環とは、環全体に芳香族性を有さず、環構成原子として、炭素原子に加え、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する環を意味する。非芳香族複素環は、単環式の非芳香族複素環であっても、多環式の非芳香族複素環であってもよい。非芳香族複素環は、単結合のみからなる飽和複素環であっても、単結合に加えて二重結合を有する不飽和複素環であってもよい。非芳香族複素環は、3~21員の非芳香族複素環が好ましく、4~18員の非芳香族複素環がより好ましく、5~14員の非芳香族複素環がさらに好ましい。非芳香族複素環の好適な具体例としては、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキソラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
【0153】
環Aは、一実施形態において、好ましくは、アルキル基で置換されていてもよい非芳香族炭素環、又はアルキル基で置換されていてもよい非芳香族複素環であり;より好ましくは、アルキル基で置換されていてもよいテトラヒドロジシクロペンタジエン環、又はアルキル基で置換されていてもよい1,3-ジオキサン環である。
【0154】
第二の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂のラジカル反応性基当量は、好ましくは30g/eq.~400g/eq.、より好ましくは50g/eq.~300g/eq.、さらに好ましくは75g/eq.~200g/eq.である。
【0155】
第二の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の分子量は、好ましくは100~700、より好ましくは200~400、さらに好ましくは250~500である。
【0156】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第三の実施形態において、好ましくは、式(5’):
【0157】
【0158】
[式中、
環Bは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示し;
i及びjは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し、且つiとjの合計が6以上であり;
*は、結合部位を示す。]
で表される部分構造を有するマレイミド化合物を含む。マレイミド化合物とは、1分子中に少なくとも1個のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を含有する化合物を意味する。第三の実施形態におけるマレイミド化合物1分子中におけるマレイミド基の数は、2以上であることが好ましく、2であることが特に好ましい。第三の実施形態におけるマレイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0159】
式(5’)の環Bにおける「置換基」は、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0160】
モノシクロアルカン環とは、単環式の脂肪族飽和炭化水素環を意味する。モノシクロアルカン環は、炭素数4~14のモノシクロアルカン環が好ましく、炭素数4~10のモノシクロアルカン環がより好ましく、炭素数5又は6のモノシクロアルカン環が特に好ましい。モノシクロアルカン環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等が挙げられる。モノシクロアルケン環とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する単環式の脂肪族不飽和炭化水素環を意味する。モノシクロアルケン環は、炭素数4~14のモノシクロアルケン環が好ましく、炭素数4~10のモノシクロアルケン環がより好ましく、炭素数5又は6のモノシクロアルケン環が特に好ましい。モノシクロアルケン環としては、例えば、シクロブテン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、シクロオクテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキサジエン環等が挙げられる。
【0161】
環Bは、置換基を有していてもよいモノシクロアルカン環、又は置換基を有していてもよいモノシクロアルケン環を示す。環Bは、好ましくは、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルカン環;又はアルキル基及びアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルケン環である。環Bは、より好ましくは、炭素数1~14のアルキル基及び炭素数2~14のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルカン環;又は炭素数1~14のアルキル基及び炭素数2~14のアルケニル基から選ばれる基で置換されていてもよいモノシクロアルケン環である。
【0162】
i及びjは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し、且つiとjの合計が6以上(好ましくは8以上、より好ましくは10以上)である。i及びjは、好ましくは、それぞれ独立して、0~20の整数であり、且つiとjの合計が6以上(好ましくは8以上、より好ましくは10以上)である。i及びjは、より好ましくは、それぞれ独立して、1~20の整数であり、且つiとjの合計が6以上(好ましくは8以上、より好ましくは10以上)である。i及びjは、さらに好ましくは、それぞれ独立して、5~10の整数である。i及びjは、特に好ましくは、8である。
【0163】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第三の実施形態において、特に好ましくは、式(5):
【0164】
【0165】
[式中、
R10は、それぞれ独立して、置換基を示し;
環Cは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し;
D1及びD2は、それぞれ独立して、単結合、-C(Rx)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-OCO-を示し;
Rxは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
cは、それぞれ独立して、0又は1を示し;
dは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し;
eは、それぞれ独立して、0、1又は2を示し;
nは、0又は1以上の整数を示し;
その他の記号は上記と同様である。]
で表されるマレイミド化合物を含む。d単位、e単位及びn単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0166】
式(5)のR10における「置換基」、及び環Cにおける「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0167】
環Cは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し、好ましくは、アルキル基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環である。D1及びD2は、それぞれ独立して、単結合、-C(Rx)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-OCO-を示し、好ましくは、単結合、-C(Rx)2-、又は-O-である。Rxは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。cは、それぞれ独立して、0又は1を示し、好ましくは0である。dは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数を示し、好ましくは0、1、2又は3であり、より好ましくは0、1又は2である。eは、それぞれ独立して、0、1又は2を示し、好ましくは0である。nは、0又は1以上の整数を示し、好ましくは、0である。
【0168】
式(5)中に含まれる式(D):
【0169】
【0170】
[式中、*は結合部位を示し;その他の記号は上記と同様である。]
で表される部分構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、式(D-1)~(D-3):
【0171】
【0172】
[式中、*は上記と同様である。]
で表される部分構造が挙げられる。
【0173】
第三の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂のラジカル反応性基当量は、好ましくは200g/eq.~2500g/eq.、より好ましくは250g/eq.~2000g/eq.、さらに好ましくは300g/eq.~1500g/eq.である。(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂のラジカル反応性基当量は、ラジカル反応性基1当量当たりの樹脂の質量を表す。
【0174】
第三の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の重量平均分子量は、好ましくは400~10000、より好ましくは500~7000、特に好ましくは600~5000である。
【0175】
第三の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の市販品としては、例えば、デザイナーモレキュールズ社製の「BMI-689」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-3000J」、信越化学工業社製「SLK-6895-T90」等が挙げられる。
【0176】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第四の実施形態において、好ましくは、式(6):
【0177】
【0178】
[式中、
R20は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
環E、環F及び環Gは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し;
Z1は、それぞれ独立して、単結合、-C(Rz)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し;
Rzは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
fは、1以上の整数を示し;
gは、それぞれ独立して、0又は1を示し;
hは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示す。]
で表されるマレイミド化合物を含む。f単位及びh単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。第四の実施形態におけるマレイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0179】
式(6)の環E、環F及び環Gにおける「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0180】
R20は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基であり、より好ましくは、水素原子である。
【0181】
環E、環F及び環Gは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し、好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン環であり、より好ましくは、アルキル基及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環であり、特に好ましくは、(無置換の)ベンゼン環である。
【0182】
Z1は、それぞれ独立して、単結合、-C(Rz)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し、好ましくは、単結合である。Rzは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0183】
fは、1以上の整数を示し、好ましくは、1~10の整数である。gは、それぞれ独立して、0又は1を示し、好ましくは、1である。hは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し、好ましくは、0、1又は2であり、より好ましくは、0又は1であり、特に好ましくは1である。
【0184】
第四の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂のラジカル反応性基当量は、好ましくは150g/eq.~1000g/eq.、より好ましくは200g/eq.~500g/eq.である。
【0185】
第四の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~10000、より好ましくは150~5000、特に好ましくは200~3000である。
【0186】
第四の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の市販品としては、例えば、日本化薬社製の「MIR-3000-70MT」、「MIR-5000-60T」等が挙げられる。
【0187】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第五の実施形態において、好ましくは、式(7):
【0188】
【0189】
[式中、
R30は、それぞれ独立して、アルキル基を示し;
環H及び環Iは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し;
mは、1以上の整数を示す。]
で表されるマレイミド化合物を含む。m単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。第五の実施形態におけるマレイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0190】
式(7)の環H及び環Iにおける「置換基」としては、RAにおける「置換基」と同様のものが挙げられる。
【0191】
R30は、それぞれ独立して、アルキル基を示し、一実施形態において、好ましくは、メチル基である。環Hは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し、一実施形態において、好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン環であり、より好ましくは、アルキル基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環であり、さらに好ましくは、アルキル基から選ばれる基で置換されたベンゼン環である。環Iは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し、一実施形態において、好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン環であり、より好ましくは、アルキル基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環であり、さらに好ましくは、(無置換の)ベンゼン環である。mは、1以上の整数を示し、好ましくは、1~20の整数である。
【0192】
第五の実施形態における(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、例えば、発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載の方法又はそれに準ずる方法を用いて製造することができる。
【0193】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂は、第一の実施形態における好適な樹脂、第二の実施形態における好適な化合物、第三の実施形態における好適な化合物、第四の実施形態における好適な化合物、又は第五の実施形態における好適な化合物を、いずれか単独で含んでいてもよいが、これらのうち2種以上を任意の比率で組み合わせて含んでいてもよい。
【0194】
(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂のラジカル反応性基当量は、好ましくは30g/eq.~2500g/eq.、特に好ましくは75g/eq.~2000g/eq.である。
【0195】
樹脂組成物中の(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。樹脂組成物中の(B3)ラジカル反応性基を有する樹脂の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。
【0196】
樹脂組成物中の(B)熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。樹脂組成物中の(B)熱硬化性樹脂の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上である。
【0197】
樹脂組成物中の(A)ポリイミド樹脂に対する(B)熱硬化性樹脂の質量比((B)成分/(A)成分)は、特に限定されるものではないが、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは8以上であり、その上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは300以下、より好ましくは100以下、特に好ましくは30以下である。
【0198】
<(C)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(C)無機充填材を含有する。(C)無機充填材は、粒子の状態で樹脂組成物に含まれる。
【0199】
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ又はアルミノシリケートが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(C)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0200】
(C)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルフィアーズ」、「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」、「BA-1」などが挙げられる。
【0201】
(C)無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.8μm以下である。(C)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上である。(C)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0202】
(C)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、さらに好ましくは1m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。(C)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは50m2/g以下、さらに好ましくは30m2/g以下、特に好ましくは10m2/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0203】
無機充填材の実際の密度は、例えば、真密度測定装置を用いて測定することができる。真密度測定装置としては、例えば、QUANTACHROME社製のULTRAPYCNOMETER1000等が挙げられる。測定ガスとしては、例えば、窒素を使用する。
【0204】
(C)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0205】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0206】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
【0207】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
【0208】
(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0209】
樹脂組成物中の(C)無機充填材の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65質量%以上、又は70質量%以上であり、その上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下であり得る。
【0210】
樹脂組成物中の(A)ポリイミド樹脂に対する(C)無機充填材の質量比((C)成分/(A)成分)は、特に限定されるものではないが、好ましくは2以上、より好ましくは10以上、特に好ましくは20以上であり、その上限は、好ましくは1000以下、より好ましくは300以下、特に好ましくは100以下である。
【0211】
<(D)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意成分として(D)硬化促進剤を含んでいてもよい。(D)硬化促進剤は、上記で説明した(A)ポリイミド樹脂、及び(B)熱硬化性樹脂に該当しない成分である。(D)硬化促進剤は、(B)熱硬化性樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
【0212】
(D)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(D)硬化促進剤は、イミダゾール系硬化促進剤を含むことが好ましい。(D)硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0213】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
【0214】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
【0215】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0216】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
【0217】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2MZA-PW」、「2PHZ-PW」、「C11Z-A」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0218】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0219】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。
【0220】
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
【0221】
樹脂組成物中の(D)硬化促進剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。樹脂組成物中の(D)硬化促進剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上等であり得る。
【0222】
<(E)ラジカル重合開始剤>
本発明の樹脂組成物は、任意成分として(E)ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。(E)ラジカル重合開始剤は、例えば、加熱時にフリーラジカルを発生させる熱重合開始剤であり得る。(E)ラジカル重合開始剤は、ラジカル反応性基の重合開始剤であり得る。(E)ラジカル重合開始剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0223】
(E)ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。中でも、過酸化物系ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0224】
過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物;tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-tert-ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,4-ビス(1-tert-ブチルパーオキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド化合物;ジラウロイルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のジアシルパーオキサイド化合物;tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシラウレート、(1,1-ジメチルプロピル)2-エチルパーヘキサノエート、tert-ブチル2-エチルパーヘキサノエート、tert-ブチル3,5,5-トリメチルパーヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシマレイン酸等のパーオキシエステル化合物;等が挙げられる。
【0225】
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチル-バレロニトリル等のアゾニトリル化合物;2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)ジハイドレート、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾアミド化合物;2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパン)等のアルキルアゾ化合物;等が挙げられる。
【0226】
(E)ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、日油社製の「パーブチルC」、「パーブチルA」、「パーブチルP」、「パーブチルL」、「パーブチルO」、「パーブチルND」、「パーブチルZ」、「パーブチルI」、「パークミルP」、「パークミルD」、「パーヘキシルD」、「パーヘキシルA」、「パーヘキシルI」、「パーヘキシルZ」、「パーヘキシルND」、「パーヘキシルO」、「パーヘキシルPV」等が挙げられる。
【0227】
樹脂組成物中の(E)ラジカル重合開始剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下であり、その下限は、例えば、0質量%以上であり、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.03質量%以上等であり得る。
【0228】
<(F)その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂;ゴム粒子等の有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。(F)その他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。(F)その他の添加剤の含有量は当業者であれば適宜設定できる。
【0229】
<(G)有機溶剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意の有機溶剤を含有する場合がある。(G)有機溶剤としては、公知のものを適宜用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。(G)有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(G)有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0230】
乾燥前のワニス状の樹脂組成物中の(G)有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、例えば、40質量%以下、30質量%以下、好ましく20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下、特に好ましくは6質量%以下である。樹脂シートにおける樹脂組成物層を形成する乾燥後の樹脂組成物中の(G)有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、好ましく5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0231】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、例えば、任意の調製容器に(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、(C)無機充填材、必要に応じて(D)硬化促進剤、必要に応じて(E)ラジカル重合開始剤、必要に応じて(F)その他の添加剤、及び必要に応じて(G)有機溶剤を、任意の順で及び/又は一部若しくは全部同時に加えて混合することによって、製造することができる。また、各成分を加えて混合する過程で、温度を適宜設定することができ、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、加えて混合する過程において又はその後に、樹脂組成物を、例えば、ミキサーなどの撹拌装置又は振盪装置を用いて撹拌又は振盪し、均一に分散させてもよい。また、撹拌又は振盪と同時に、真空下等の低圧条件下で脱泡を行ってもよい。
【0232】
<樹脂組成物の特性>
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含み、(A)ポリイミド樹脂が、上記で説明した式(1)で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む。このような樹脂組成物によれば、低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができる。
【0233】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、折り曲げ耐性に優れることから、例えば、下記試験例3のようにMIT耐折性試験を行った場合の耐折回数は、好ましくは100回以上、より好ましくは150回以上、さらに好ましくは200回以上、特に好ましくは250回以上であり得る。
【0234】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、誘電正接が低い特徴を有し得る。したがって、例えば、下記試験例2のように5.8GHz、23℃で測定した場合の樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.020以下、より好ましくは0.010以下、さらに好ましくは0.007以下、さらにより好ましくは0.005以下、とりわけ好ましくは0.004以下、特に好ましくは0.003以下となり得る。
【0235】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、一実施形態において、メッキ導体層のピール強度に優れているという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、例えば、下記試験例1のように硬化物に銅めっき導体層の形成し、垂直方向に銅めっき導体層を引き剥がした時の荷重から算出される銅めっきピール強度は、好ましくは0.2kgf/cm以上、より好ましくは0.25kgf/cm以上、さらに好ましくは0.30kgf/cm以上、0.35kgf/cm以上、特に好ましくは0.40kgf/cm以上、0.45kgf/cm以上であり得る。
【0236】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、一実施形態において、強度に優れているという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、例えば、下記試験例4のように23℃中にて、50mm/分速度で直径1mmのニードルを硬化物に突き刺した場合の破断時の強度は、好ましくは0.6N以上、より好ましくは0.8N以上、さらに好ましくは1.0N以上、特に好ましくは1.2N以上であり得る。
【0237】
<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物、特に、絶縁層を形成するための樹脂組成物として好適に使用することができる。具体的には、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。また、後述するプリント配線板において、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途で広範囲に使用できる。
【0238】
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本発明の樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用の樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適に使用することができる。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に更に再配線層を形成してもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
【0239】
また、本発明の樹脂組成物は、部品埋め込み性に良好な絶縁層をもたらすことから、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。
【0240】
<シート状積層材料>
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
【0241】
シート状積層材料としては、以下に示す樹脂シート、プリプレグが好ましい。
【0242】
一実施形態において、樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含んでなり、樹脂組成物層は本発明の樹脂組成物から形成される。
【0243】
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0244】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0245】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0246】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0247】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0248】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0249】
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0250】
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0251】
樹脂シートは、例えば、液状(ワニス状)の樹脂組成物をそのまま、或いは有機溶剤に樹脂組成物を溶解して液状(ワニス状)の樹脂組成物を調製し、これを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0252】
有機溶剤としては、樹脂組成物の成分として説明した有機溶剤と同様のものが挙げられる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0253】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0254】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0255】
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
【0256】
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されない。通常、10μm以上である。
【0257】
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
【0258】
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
【0259】
本発明のシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の層間絶縁層用)により好適に使用することができる。
【0260】
<プリント配線板>
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物を硬化して得られる硬化物からなる絶縁層を含む。
【0261】
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して絶縁層を形成する工程
【0262】
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
【0263】
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0264】
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
【0265】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0266】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0267】
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
【0268】
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0269】
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
【0270】
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
【0271】
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(II)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
【0272】
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様である。
【0273】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0274】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
【0275】
粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
【0276】
粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
【0277】
また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
【0278】
中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0279】
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、特に限定されるものではないが、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0280】
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0281】
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0282】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0283】
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0284】
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0285】
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)について説明した条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0286】
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属社製のHLP箔、JXUT-III箔、三井金属鉱山社製の3EC-III箔、TP-III箔等が挙げられる。
【0287】
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
【0288】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例0289】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度の指定が無い場合の温度条件は、室温(23℃)下であり、特に圧力の指定が無い場合の圧力条件は、大気圧(1atm)下である。
【0290】
[合成例1.ポリイミド樹脂1(末端オレフィン変性)の合成]
N,N-ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう)400g中に、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(以下「BPADA」ともいう)46.5gと、4,4’-[1,4-フェニレンビス[(1-メチルエチリデン)-4,1-フェニレンオキシ]]ビスベンゼンアミン(以下「BPPAN」ともいう)50.4gと、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物1.9gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。
【0291】
得られたポリアミド酸の溶液を昇温した後、約160℃に保持しながら、窒素気流下で縮合水をトルエンとともに共沸除去した。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、及び、水の流出が見られなくなっていることを確認した。確認後、反応溶液を更に昇温し、200℃で1時間攪拌した。その後、冷却した。これにより、ポリイミド樹脂1を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0292】
[合成例2.ポリイミド樹脂2(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、BPADA46.5gと、BPPAN37.8gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)12.8gと、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物1.9gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂2を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0293】
[合成例3.ポリイミド樹脂3(末端オレフィン変性)の合成]
溶媒としてのDMAc400g中に、BPADA46.5gと、BPPAN12.6gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)38.3gと、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物1.9gと、溶媒としてのトルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂3を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0294】
[合成例4.ポリイミド樹脂4(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下「BPDA」ともいう)26.3gと、BPPAN37.8gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)12.8gと、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物1.9gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂4を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0295】
[合成例5.ポリイミド樹脂5(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、4,4’-オキシジフタル酸無水物(以下「ODPA」ともいう)27.7gと、BPPAN37.8gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)12.8gと、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物1.9gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂5を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0296】
[合成例6.ポリイミド樹脂6(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、BPADA46.5gと、BPPAN37.8gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)12.8gと、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物1.8gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂6を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0297】
[合成例7.ポリイミド樹脂7(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、BPDA26.3gと、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下「BAPP」ともいう)29.4gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)12.8gと、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物1.8gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂7を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0298】
[合成例8.ポリイミド樹脂8(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、BPADA46.5gと、BPPAN12.6gと、イソホロンジアミン(以下「IPDA」ともいう)12.2gと、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物1.8gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂8を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0299】
[合成例9.ポリイミド樹脂9(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、BPDA26.3gと、BAPP29.4gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)12.8gと、アリルこはく酸無水物1.6gと、溶媒としてのトルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂9を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0300】
[合成例10.ポリイミド樹脂10(末端オレフィン変性)の合成]
DMAc400g中に、BPDA26.3gと、BAPP9.8gと、ダイマージアミン(PRIAMINE 1075)38.3gと、アリルこはく酸無水物1.6gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂10を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0301】
[合成例11.ポリイミド樹脂11(未変性)の合成]
DMAc400g中に、BPADA49.6gと、BPPAN50.4gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂11を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0302】
[合成例12.ポリイミド樹脂12(末端マレイミド変性)の合成]
DMAc400g中に、BPADA46.5gと、BPPAN50.4gと、無水マレイン酸1.1gと、トルエン40gとを混合することで得られるモノマー混合物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして、ポリイミド樹脂12を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
【0303】
各合成例のポリイミド樹脂を合成するための原料及びその使用量、並びにゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した数平均分子量及び重量平均分子量の測定結果(ポリスチレン換算値)を下記表1にまとめる。
【0304】
【0305】
[実施例1.樹脂組成物1の調製]
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量約144g/eq.)8部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、エポキシ当量約290g/eq.)15部をトルエン20部、MEK20部に撹拌しながら加熱溶解させた。得られた溶液を室温にまで冷却した後、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HP-B-8151-62T」、活性基当量238g/eq.、固形分62質量%のトルエン溶液)42部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)4部、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」の固形分10%のMEK溶液)3部、無機充填材(アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm))150部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して樹脂組成物1を得た。
【0306】
[実施例2.樹脂組成物2の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例2にて合成したポリイミド樹脂2(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物2を得た。
【0307】
[実施例3.樹脂組成物3の調製]
実施例2において、カルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216g/eq.、固形分50%のトルエン溶液)6部をさらに加えた以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物3を得た。
【0308】
[実施例4.樹脂組成物4の調製]
実施例2において、変性オリゴフェニレンエーテル樹脂(三菱瓦斯化学社製「OPE-2St 1200」、固形分65%のトルエン溶液)4.6部、熱ラジカル発生剤(日油社製「パーブチルD」)0.1部を添加した以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物4を得た。
【0309】
[実施例5.樹脂組成物5の調製]
実施例2において、ビスマレイミド樹脂(Designer Molecules社製「BMI1500」、マレイミド基当量約752g/eq.)3部を添加した以外は、実施例2と同様にして樹脂組成物5を得た。
【0310】
[実施例6.樹脂組成物6の調製]
実施例3において、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HP-B-8151-62T」、活性基当量238g/eq.、固形分62質量%のトルエン溶液)42部を、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)40部に変更し、合成例2にて合成したポリイミド樹脂2(固形分20質量%溶液)10部を30部に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物6を得た。
【0311】
[実施例7.樹脂組成物7の調製]
実施例3において、合成例2にて合成したポリイミド樹脂2(固形分20質量%溶液)10部を、合成例3にて合成したポリイミド樹脂3(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物7を得た。
【0312】
[実施例8.樹脂組成物8の調製]
実施例1において、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HP-B-8151-62T」、活性基当量238g/eq.、固形分62質量%のトルエン溶液)42部を、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)40部に変更し、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例4にて合成したポリイミド樹脂4(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物8を得た。
【0313】
[実施例9.樹脂組成物9の調製]
実施例1において、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HP-B-8151-62T」、活性基当量238g/eq.、固形分62質量%のトルエン溶液)42部を、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)40部に変更し、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例5にて合成したポリイミド樹脂5(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物9を得た。
【0314】
[実施例10.樹脂組成物10の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例6にて合成したポリイミド樹脂6(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物10を得た。
【0315】
[実施例11.樹脂組成物11の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例7にて合成したポリイミド樹脂7(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物11を得た。
【0316】
[実施例12.樹脂組成物12の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例8にて合成したポリイミド樹脂8(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物12を得た。
【0317】
[実施例13.樹脂組成物13の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例9にて合成したポリイミド樹脂9(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物13を得た。
【0318】
[実施例14.樹脂組成物14の調製]
ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR-3000-70MT」、マレイミド基当量約275g/eq.、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)70部、ビスマレイミド樹脂(Designer Molecules社製「BMI689」、、マレイミド基当量約345g/eq.)10部、2官能アクリレート(新中村化学工業社製「NKエステルA-DOG」、分子量326g/eq.)5部、合成例4にて合成したポリイミド樹脂4(固形分20質量%溶液)30部、熱ラジカル発生剤(日油社製「パーブチルD」)0.7部、無機充填材(アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm))150部、トルエン20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して樹脂組成物14を得た。
【0319】
[実施例15.樹脂組成物15の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例10にて合成したポリイミド樹脂10(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物15を得た。
【0320】
[比較例1.樹脂組成物1’の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例11にて合成したポリイミド樹脂11(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物1’を得た。
【0321】
[比較例2.樹脂組成物2’の調製]
実施例1において、合成例1にて合成したポリイミド樹脂1(固形分20質量%溶液)10部を、合成例12にて合成したポリイミド樹脂12(固形分20質量%溶液)10部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物2’を得た。
【0322】
[比較例3.樹脂組成物3’の調製]
実施例14において、合成例4にて合成したポリイミド樹脂4(固形分20質量%溶液)30部を、合成例11にて合成したポリイミド樹脂11(固形分20質量%溶液)30部に変更した以外は実施例14と同様にして樹脂組成物3’を得た。
【0323】
[試験例1.メッキ導体層のピール強度の測定]
(1)樹脂シートの作製
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃)を用意した。
【0324】
実施例及び比較例で得えられた樹脂組成物を、それぞれ支持体上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、70℃から95℃で4分間乾燥することにより、支持体上に樹脂組成物層を形成した。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」、厚み15μm)の粗面を貼り合わせた。これにより、支持体、樹脂組成物層、及び保護フィルムをこの順に有する樹脂シートAを得た。
【0325】
(2)内層基板の用意
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
【0326】
(3)樹脂シートのラミネート
樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
【0327】
(4)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートがラミネートされた内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで180℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層、内層基板及び絶縁層をこの順に有する硬化基板Aを得た。
【0328】
(5)粗化処理
硬化基板Aに、粗化処理としてのデスミア処理を行った。デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
(湿式デスミア処理)
硬化基板Aを、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で15分間浸漬し、次いで、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
【0329】
(6)導体層の形成
セミアディティブ法に従って、絶縁層の粗化面に導体層を形成した。すなわち、粗化処理後の基板を、PdCl2を含む無電解メッキ液に40℃で5分間浸漬した後、無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。次いで、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによりパターン形成した。その後、硫酸銅電解メッキを行い、厚さ30μmの導体層を形成し、アニール処理を200℃にて60分間行った。得られた基板を「評価基板B」と称する。
【0330】
(7)メッキ導体層のピール強度の測定
絶縁層と導体層のピール強度の測定は、日本工業規格(JIS C6481)に準拠して行った。具体的には、評価基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温(23℃)中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC-50C-SL」)を使用した。
【0331】
[試験例2.誘電正接の測定]
試験例1(1)で得たものと同様の樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、支持体を剥離した。得られた硬化物を「評価用硬化物C」と称する。評価用硬化物Cを、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
【0332】
[試験例3.MIT耐折性の測定]
試験例2で得たものと同様の評価用硬化物Cを、幅15mm、長さ110mmの試験片に切断し、MIT試験装置((株)東洋精機製作所製、MIT耐折疲労試験機「MIT-DA」)を使用して、荷重2.5N、折り曲げ角90度、折り曲げ半径1.0mm、折り曲げ速度175回/分の測定条件にて折り曲げ試験を行った。評価用硬化物が破断するまでの折り曲げ回数が250回以上のものを「◎」、150回以上250回未満のものを「○」、150回未満のものを「×」と評価した。
【0333】
[試験例4.突き刺し強度の測定]
試験例2で得たものと同様の評価用硬化物Cを、幅400mm、長さ400mmの試験片に切断し、穴直径20mmのフィルム突き刺し試験治具に固定した。テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製「RTC-1250A」)を用い、室温(23℃)中にて、50mm/分速度で直径1mmのニードルを突き刺し、破断時の強度を測定した。
【0334】
各実施例及び比較例の樹脂組成物の不揮発成分とその使用量、試験例の測定結果、及び評価結果を下記表2にまとめる。
【0335】
【0336】
上記表2に示される結果から、(A)ポリイミド樹脂、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含み、(A)ポリイミド樹脂が、上記で説明した式(1)で表される基を1分子中に1個以上有するポリイミド樹脂を含む樹脂組成物を用いることにより、低誘電正接かつ折り曲げ耐性の良好な硬化物を得ることができることがわかる。