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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085331
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/05 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01R13/05 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199817
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆之
(57)【要約】
【課題】接点部と接点受部とを有する端子を備えるコネクタにおいて、接点受部と相手接点部との適切な接触状態を確保しやすいコネクタを提供する。
【解決手段】第一コネクタ10が備える端子20は、接点部26と、接点受部24cと、を有する。接点部26及び接点受部24cは、相手端子60の相手接点受部64c及び相手接点部66に対し、接続方向と垂直な接触方向一方側から接触する。そして、接点部26は、接点受部24cよりも接触方向一方側に位置する。接点受部24cの板幅方向は、接続方向及び接触方向の両方に垂直な方向を向く。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子を備える相手コネクタに対し、接続方向一方側に接続可能なコネクタであって、
前記コネクタは、端子を備え、
前記端子は、
前記相手端子の相手接点受部に対し、前記接続方向と垂直な接触方向一方側から接触する接点部と、
前記接点部よりも接続方向他方側に位置する接点受部であって、前記相手端子の相手接点部に対し、前記接触方向一方側から接触する前記接点受部と、を有し、
前記接点部は、前記接点受部よりも前記接触方向一方側に位置し、
前記接点受部の板幅方向は、前記接続方向及び前記接触方向の両方に垂直な方向を向く、
コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタは、ハウジングを備え、
前記端子のうち、前記接点部と前記接点受部とを繋ぐ部分である接点連結部は、前記ハウジングに対して接触方向一方側に押し当てられる部分を有しない、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタは、ハウジングを備え、
前記端子は、前記ハウジングに対して圧入されることで当該ハウジングに保持される被保持部を有し、
前記被保持部が前記ハウジングに対して圧入される圧入方向は、前記接続方向一方側と同じ方向であり、
前記ハウジングは、
前記接点受部の前記接触方向一方側への移動を規制する移動規制部と、
前記移動規制部よりも前記接触方向一方側に位置する通過空間であって、当該ハウジングに対して前記被保持部を前記圧入方向で圧入する際に、前記接点部及び前記接点部と前記接点受部とを繋ぐ部分である接点連結部が前記圧入方向で通過する前記通過空間と、を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタは、ハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記接点受部を前記接触方向で挟み込むことによって、当該接点受部の当該ハウジングに対する前記接触方向での位置を定める位置決定部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子は、前記接点部の前記接続方向一方側に、前記接点部と連続的に形成された先端部を有し、
前記接点部及び前記先端部は、前記接触方向他方側に凸となるように曲がっており、
前記接点部は、前記先端部よりも曲げの曲率半径が小さい、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタは、ハウジングを備え、
前記端子のうち、前記接点部と前記接点受部とを繋ぐ部分である接点連結部は、前記ハウジングに対して前記接触方向一方側に押し当てられる部分を有さず、
前記端子は、前記ハウジングに対して圧入されることで当該ハウジングに保持される被保持部を有し、
前記被保持部が前記ハウジングに対して圧入される圧入方向は、前記接続方向一方側と同じ方向であり、
前記ハウジングは、
前記接点受部の前記接触方向一方側への移動を規制する移動規制部と、
前記移動規制部よりも前記接触方向一方側に位置する通過空間であって、当該ハウジングに対して前記被保持部を前記圧入方向で圧入する際に、前記接点部及び前記接点連結部が前記圧入方向で通過する前記通過空間と、を有し、
前記移動規制部は、前記接点受部を前記接触方向で挟み込むことによって、当該接点受部の当該ハウジングに対する前記接触方向での位置を定める位置決定部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接点部と接点受部とを有する端子を備えるコネクタが開示されている。
【0003】
特許文献2には、接点部と接点受部とを有する一方側端子及び他方側端子と可動ハウジングとを備えるコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-071517号公報
【特許文献2】特開2010-272320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の第1の目的は、接点部と接点受部とを有する端子を備えるコネクタにおいて、接点受部と相手接点部との適切な接触状態を確保しやすいコネクタを提供することである。
本開示の第2の目的は、接点部と接点受部とを有する一方側端子及び他方側端子と可動ハウジングとを備えるコネクタにおいて、可動ハウジングを変形しにくいものとすることが容易なコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1の態様)
第1-1の態様に係るコネクタは、相手端子を備える相手コネクタに対し、接続方向一方側に接続可能なコネクタであって、前記コネクタは、端子を備え、前記端子は、前記相手端子の相手接点受部に対し、前記接続方向と垂直な接触方向一方側から接触する接点部と、前記接点部よりも接続方向他方側に位置する接点受部であって、前記相手端子の相手接点部に対し、前記接触方向一方側から接触する前記接点受部と、を有し、前記接点部は、前記接点受部よりも前記接触方向一方側に位置し、前記接点受部の板幅方向は、前記接続方向及び前記接触方向の両方に垂直な方向を向く。
【0007】
本態様では、コネクタは、端子を備える。端子は、接点部と、接点部よりも接続方向他方側に位置する接点受部と、を有する。接点部は、相手端子の相手接点受部に対し接触し、接点受部は、相手端子の相手接点部に対し接触する。
このため、伝送線路に形成されるスタブを短くでき、その結果、高速伝送性能を高めることができる。
【0008】
また、本態様では、接点部及び接点受部は、相手端子の相手接点受部及び相手接点部に対し、接続方向と垂直な接触方向一方側から接触する。そして、接点部は、接点受部よりも接触方向一方側に位置する。
このため、接続作業時の接点部と相手接点部との干渉を防止でき、または干渉が起こるとしてもその干渉量を減少させることができる。その結果、各端子の接点部が接続方向と接触方向の両方に垂直な方向で位置ズレすることを抑制できるので、適切な接触状態を実現しやすい。
【0009】
また、本態様では、接点受部の板幅方向は、接続方向及び接触方向の両方に垂直な方向を向く。
このため、更に、適切な接触状態を実現しやすい。
すなわち、相手端子の相手接点部は、接点受部に対して接続方向及び接触方向の両方に垂直な方向で位置ズレする可能性があるところ、本態様では、接点受部の板幅方向が当該方向であるので、当該方向での接点受部の寸法を確保しやすい。よって、接点受部と相手接点部との適切な接触状態を実現しやすい。
【0010】
なお、後述する実施形態では、端子と相手端子との位置ズレがない状態での接続作業時に、端子の接点部と相手端子の相手接点部とが干渉しない例を説明するが、本態様はこれに限定されない。
また、後述する実施形態では、コネクタがハウジングを備え、ハウジングに対して端子が圧入されることで端子がハウジングに保持される例を説明するが、本態様はこれに限定されない。例えば、本態様のコネクタは、ハウジングを備えなくてもよい。また、本態様のコネクタは、ハウジングを備え、ハウジングが端子をインサート品として成形されるものであってもよい。
また、後述する実施形態では、ハウジングに対する端子の圧入方向が接続方向と同じ方向である例を説明するが、本態様はこれに限定されない。ハウジングに対する端子の圧入方向は、接続方向一方側とは反対の方向であってもよい。
【0011】
第1-2の態様に係るコネクタは、第1-1の態様において、前記コネクタは、ハウジングを備え、前記端子のうち、前記接点部と前記接点受部とを繋ぐ部分である接点連結部は、前記ハウジングに対して接触方向一方側に押し当てられる部分を有しない。
【0012】
本態様では、端子のうち、接点部と接点受部とを繋ぐ部分(接点連結部)は、ハウジングに対して接触方向一方側に押し当てられる部分を有しない。
このため、所望の接触圧を実現しやすい。なぜなら、仮に接点連結部がハウジングに対して接触方向一方側に押し当てられる部分を有すると、ハウジングの寸法誤差が接触圧に影響を与えてしまうからである。
【0013】
第1-3の態様に係るコネクタは、第1-1又は第1-2の態様において、前記コネクタは、ハウジングを備え、前記端子は、前記ハウジングに対して圧入されることで当該ハウジングに保持される被保持部を有し、前記被保持部が前記ハウジングに対して圧入される圧入方向は、前記接続方向一方側と同じ方向であり、前記ハウジングは、前記接点受部の前記接触方向一方側への移動を規制する移動規制部と、前記移動規制部よりも前記接触方向一方側に位置する通過空間であって、当該ハウジングに対して前記被保持部を前記圧入方向で圧入する際に、前記接点部及び前記接点部と前記接点受部とを繋ぐ部分である接点連結部が前記圧入方向で通過する前記通過空間と、を有する。
【0014】
本態様では、端子は、ハウジングに対して圧入されることで当該ハウジングに保持される被保持部を有する。被保持部がハウジングに対して圧入される方向は、接続方向一方側と同じ方向である。
【0015】
また、本態様では、ハウジングは、接点受部の接触方向一方側への移動を規制する移動規制部を有する。このため、接点受部の接触方向一方側への移動が規制され、その結果、接点受部における適切な接触圧を実現できる。
【0016】
更に、本態様では、ハウジングは、移動規制部よりも接触方向一方側に位置する通過空間を有する。通過空間は、ハウジングに対して被保持部を圧入方向で圧入する際に、接点部及び接点連結部(端子のうち、接点部と接点受部とを繋ぐ部分)が圧入方向で通過する空間である。このため、圧入作業時に端子の接点部及び接点連結部がハウジングと干渉してしまうことを防止することができる。その結果、端子の破損を防止することができる。
【0017】
第1-4の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-3の何れかの態様において、前記コネクタは、ハウジングを備え、前記ハウジングは、前記接点受部を前記接触方向で挟み込むことによって、当該接点受部の当該ハウジングに対する前記接触方向での位置を定める位置決定部を有する。
【0018】
本態様では、ハウジングは、接点受部を接触方向で挟み込むことによって、当該接点受部の当該ハウジングに対する接触方向での位置を定める位置決定部を有する。このため、接点受部を所望の位置に正確に配置することができる。その結果、接点受部と相手接点部との所望の接触圧を実現することができる。
【0019】
第1-5の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-4の何れかの態様において、前記端子は、前記接点部の前記接続方向一方側に、前記接点部と連続的に形成された先端部を有し、前記接点部及び前記先端部は、前記接触方向他方側に凸となるように曲がっており、前記接点部は、前記先端部よりも曲げの曲率半径が小さい。
【0020】
本態様では、端子は、接点部の接続方向一方側に、接点部と連続的に形成された先端部を有する。接点部及び先端部は、接触方向他方側に凸となるように曲がっている。
ここで、接点部は、先端部よりも曲げの曲率半径が小さい。
このため、比較的曲率半径の大きい先端部が相手コネクタの一部に当接するので、コネクタの接続作業性を向上することができると共に、比較的曲率半径が小さい接点部が相手接点受部に接触するので、接触面積が小さくなり安定した接触状態を実現できる。
【0021】
第1-6の態様に係るコネクタは、第1-1~第1-5の何れかの態様において、前記コネクタは、ハウジングを備え、前記端子のうち、前記接点部と前記接点受部とを繋ぐ部分である接点連結部は、前記ハウジングに対して前記接触方向一方側に押し当てられる部分を有さず、前記端子は、前記ハウジングに対して圧入されることで当該ハウジングに保持される被保持部を有し、前記被保持部が前記ハウジングに対して圧入される圧入方向は、前記接続方向一方側と同じ方向であり、前記ハウジングは、前記接点受部の前記接触方向一方側への移動を規制する移動規制部と、前記移動規制部よりも前記接触方向一方側に位置する通過空間であって、当該ハウジングに対して前記被保持部を前記圧入方向で圧入する際に、前記接点部及び前記接点連結部が前記圧入方向で通過する前記通過空間と、を有し、前記移動規制部は、前記接点受部を前記接触方向で挟み込むことによって、当該接点受部の当該ハウジングに対する前記接触方向での位置を定める位置決定部を有する。
【0022】
(第2の態様)
第2-1の態様に係るコネクタは、取付対象物に取り付けられると共に、一方側相手端子と他方側相手端子とを備える相手コネクタに対し、接続方向一方側に接続されるコネクタであって、前記コネクタは、前記取付対象物に接続する接続部と、前記取付対象物に対して移動可能な変位部と、前記接続部と前記変位部との間に形成されたバネ部と、を有する一方側端子と、前記取付対象物に接続する接続部と、前記取付対象物に対して移動可能な変位部と、前記接続部と前記変位部との間に形成されたバネ部と、を有する他方側端子と、前記取付対象物に対して移動可能な可動ハウジングを有するハウジングと、を備え、前記一方側端子の前記変位部は、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、前記一方側相手端子に接触する接触部と、を有し、前記他方側端子の前記変位部は、前記可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、前記他方側相手端子に接触する接触部と、を有し、前記一方側端子の前記接触部は、前記一方側相手端子の相手接点受部に接触する接点部と、当該接点部よりも前記接続方向他方側に位置し、前記一方側相手端子の相手接点部に接触する接点受部と、を有し、前記他方側端子の前記接触部は、前記他方側相手端子の相手接点受部に接触する接点部と、当該接点部よりも前記接続方向他方側に位置し、前記他方側相手端子の相手接点部に接触する接点受部と、を有し、前記一方側端子の前記可動側被保持部、前記接点部及び前記接点受部は、前記他方側端子の前記可動側被保持部、前記接点部及び前記接点受部よりも前記接続方向に垂直な方向である列間方向一方側に位置し、前記一方側端子の前記接点部及び前記接点受部は、前記一方側相手端子に対し、前記列間方向他方側から接触し、前記他方側端子の前記接点部及び前記接点受部は、前記他方側相手端子に対し、前記列間方向一方側から接触する。
【0023】
本態様では、コネクタは、一方側端子と、他方側端子と、ハウジングと、を備える。
一方側端子は、取付対象物に接続する接続部と、取付対象物に対して移動可能な変位部と、接続部と変位部との間に形成されたバネ部と、を有する。
他方側端子は、取付対象物に接続する接続部と、取付対象物に対して移動可能な変位部と、接続部と変位部との間に形成されたバネ部と、を有する。
ハウジングは、取付対象物に対して移動可能な可動ハウジングを有する。
一方側端子の変位部は、可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、一方側相手端子に接触する接触部と、を有する。
他方側端子の変位部は、可動ハウジングに保持される可動側被保持部と、他方側相手端子に接触する接触部と、を有する。
このため、取付対象物と相手コネクタとの位置ズレを吸収することができる。
【0024】
また、本態様では、一方側端子の接触部は、一方側相手端子の相手接点受部に接触する接点部と、当該接点部よりも接続方向他方側に位置し、一方側相手端子の相手接点部に接触する接点受部と、を有する。他方側端子の接触部は、他方側相手端子の相手接点受部に接触する接点部と、当該接点部よりも接続方向他方側に位置し、他方側相手端子の相手接点部に接触する接点受部と、を有する。
このため、伝送線路に形成されるスタブを短くでき、その結果、高速伝送性能を高めることができる。
【0025】
ところで、本態様では、一方側端子の可動側被保持部、接点部及び接点受部は、他方側端子の可動側被保持部、接点部及び接点受部よりも列間方向一方側に位置する。
ここで、仮に特許文献2のコネクタのように、一方側端子の接点部及び接点受部が、一方側相手端子に対し列間方向一方側から接触するものであり、他方側端子の接点部及び接点受部が、他方側相手端子に対し列間方向他方側から接触するものであるときは、一方側相手端子及び他方側相手端子が挿入される空隙部を可動ハウジングに設ける必要がある。可動ハウジングにこのような空隙部が設けられていると、可動ハウジングが変形しやすい形状になってしまう。特に、可動ハウジングの設計では、端子のバネ部との位置関係を考慮しなければならないので、可動ハウジングを変形しにくい形状とすることが容易ではない。
そこで、本態様では、一方側端子の接点部及び接点受部は、一方側相手端子に対し、列間方向他方側から接触するものであり、他方側端子の接点部及び接点受部は、他方側相手端子に対し、列間方向一方側から接触するものである。
このため、上記のような空隙部を設ける必要がなく、高温になった場合でも変形しにくい可動ハウジングとすることが容易である。
【0026】
なお、後述する実施形態では、一方側端子が複数設けられ、他方側端子が複数設けられるコネクタを説明するが、本態様のコネクタはこれに限定されない。
また、後述する実施形態では、コネクタが、固定ハウジングを備える例を説明するが、本態様のコネクタはこれに限定されない。
また、後述する実施形態では、接点受部の板幅方向が、接続方向及び列間方向の両方に垂直な方向を向く例を説明するが、本態様はこれに限定されない。本態様の接点受部の板幅方向は、列間方向を向いていてもよい。
また、後述する実施形態では、可動ハウジングが、一方側端子及び他方側端子に支持されて浮遊状態となる例を説明するが、本態様の可動ハウジングはこれに限定されない。本態様の可動ハウジングは、固定ハウジング又はその他の部材によって移動可能に支持されていてもよい。
また、後述する実施形態では、相手コネクタが、可動ハウジングを備えない例を説明するが、本開示の相手コネクタはこれに限定されない。相手コネクタが可動ハウジングを備えないものである場合には、一方側相手端子及び他方側相手端子がバネ部を有しないので、バネ部の配置を考慮する必要がなく、相手コネクタのハウジングを変形しにくい形状にしやすい。他方、相手コネクタが可動ハウジングを備えるものであっても、相手コネクタの可動ハウジングを変形しにくい材料(本態様の可動コネクタの材料よりも変形しにくい材料)で構成する等の本態様とは異なる対処をすればよい。
【0027】
第2-2の態様に係るコネクタは、第2-1の態様において、前記一方側端子の前記接点部は、当該一方側端子の前記接点受部よりも前記列間方向他方側に位置し、前記他方側端子の前記接点部は、当該他方側端子の前記接点受部よりも前記列間方向一方側に位置する。
【0028】
本態様では、一方側端子の接点部は、当該一方側端子の接点受部よりも列間方向他方側に位置し、他方側端子の接点部は、当該他方側端子の接点受部よりも列間方向一方側に位置する。
このため、接続作業時、接点部と相手接点部との干渉を防止し、または干渉が起こるとしてもその干渉量を減少させることができる。その結果、接続作業時の接点部と相手接点部と干渉による問題の発生を抑制できる。
【0029】
第2-3の態様に係るコネクタは、第2-1又は第2-2の態様において、前記ハウジングは、前記一方側端子の前記接点受部の前記列間方向他方側への移動を規制する一方側移動規制部と、前記他方側端子の前記接点受部の前記列間方向一方側への移動を規制する他方側移動規制部と、を有する。
【0030】
本態様では、ハウジングは、一方側移動規制部と、他方側移動規制部と、を有する。一方側移動規制部は、一方側端子の接点受部の列間方向他方側への移動を規制する。他方側移動規制部は、他方側端子の接点受部の列間方向一方側への移動を規制する。
このため、一方側端子及び他方側端子それぞれについて、接点受部の接触方向一方側への移動が規制され、その結果、接点受部における適切な接触圧を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】コネクタセットを示す斜視図である。
図2】コネクタセットを示す他の斜視図である。
図3】コネクタセットの断面図である。
図4】コネクタセットの断面図である。
図5】コネクタセットの断面図である。
図6】コネクタセットの断面図である。
図7】コネクタセットの断面図である。
図8】第一コネクタの分解斜視図である。
図9】第二コネクタの分解斜視図である。
図10】一対の第一端子の斜視図である。
図11】一対の第二端子の斜視図である。
図12】(A)第一端子及び第二端子の接触腕付近を示す図であって、各接点部がすれ違う直前を示す図であり、(B)接続完了状態を示す図である。
図13】第一コネクタの可動ハウジングの断面斜視図である。
図14】第一コネクタの可動ハウジングの一部を拡大した断面斜視図である。
図15】第二コネクタの固定ハウジングの断面斜視図である。
図16】第二コネクタの固定ハウジングの一部を拡大した断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本開示に係るコネクタの好適な実施形態について説明する。
【0033】
各図に示す矢印X方向は、コネクタ前後方向前側(一方側)を意味し、矢印Y方向は、コネクタ幅方向一方側を意味し、矢印Z方向は、第一コネクタ10についてコネクタ上方向であって第二コネクタ50についてコネクタ下方向を意味する。以下、単に前後方向、幅方向又は上下方向というときは、コネクタ前後方向、コネクタ幅方向又はコネクタ上下方向を意味する。
なお、本実施形態では、コネクタ前後方向は端子配列方向であり、コネクタ幅方向は列間方向である。
前後方向(端子配列方向)において、コネクタにおける前後方向(端子配列方向)中心位置に近づく方向を、前後方向内側(端子配列方向内側)といい、コネクタにおける前後方向(端子配列方向)中心位置から遠ざかる方向を、前後方向外側(端子配列方向外側)という。
幅方向(列間方向)において、コネクタにおける幅方向(列間方向)中心位置に近づく方向を、幅方向内側(列間方向内側)といい、コネクタにおける幅方向(列間方向)中心位置から遠ざかる方向を、幅方向外側(列間方向外側)という。
【0034】
<コネクタセット10,50>
図1図7に示すように、コネクタセット10,50は、第一コネクタ10と、第二コネクタ50と、を備える。
第一コネクタ10は、第一取付対象物91に取り付けられ、第二コネクタ50は、第二取付対象物92に取り付けられる。第一取付対象物91及び第二取付対象物92は、例えば、互いに平行に配置される一対の基板である。
第一取付対象物91に取り付けられた第一コネクタ10と、第二取付対象物92に取り付けられた第二コネクタ50とを互いに接続することで、第一取付対象物91と第二取付対象物92とが接続される。
【0035】
<第一コネクタ10>
次に、第一コネクタ10について説明する。
【0036】
図8に示すように、第一コネクタ10は、複数の第一端子20と、第一ハウジング30,40と、を備える。
【0037】
複数の第一端子20は、列間方向一方側で端子配列方向に配列される複数の一方側第一端子20Aと、列間方向他方側で端子配列方向に配列される複数の他方側第一端子20Bと、を備える。
換言すると、一方側第一端子20Aと他方側第一端子20Bとによって一対の第一端子20A,20B(図10参照)が構成されており、当該一対の第一端子20A,20Bが端子配列方向に複数配列されている。
【0038】
図10に示すように、一方側第一端子20Aは、その接触方向一方側を列間方向内側に向け、他方側第一端子20Bは、その接触方向一方側を列間方向内側に向ける。換言すると、一対の第一端子20A,20Bは、それぞれの接触方向一方側を列間方向内側に向ける。
なお、「接触方向一方側」とは、端子の接触部が相手端子の相手接触部に対し、ある方向から接触する場合における当該ある方向を意味する。すなわち、図3図7に示すように、第一端子20の接触部24c,26は、第二端子60の接触部64c,66に対し、第一端子20にとっての接触方向一方側である列間方向内側から接触する。
【0039】
第一ハウジング30,40は、第一取付対象物91に固定される固定ハウジング30と、固定ハウジング30に対して移動可能な可動ハウジング40と、を備える。固定ハウジング30及び可動ハウジング40は、共に、合成樹脂等の絶縁体で形成される。
【0040】
(第一端子20)
複数の一方側第一端子20Aは、互いに同一の形状を有し、複数の他方側第一端子20Bは、互いに同一の形状を有する。
更に、一対の第一端子20A,20Bは、互いに同一の形状を有する。以下、両者を区別しないときは、単に、第一端子20という。
【0041】
図10に示すように、第一端子20は、板材を抜き加工及び曲げ加工等を施すことで作られる。第一端子20は、その全ての部分において、その板厚方向を配列方向に直交する平面に沿う方向に向ける。
第一端子20は、接続部21と、固定側被保持部22と、バネ部23と、可動側被保持部24と、接触腕25,26,27と、を有する。
【0042】
接続部21は、第一取付対象物91と電気的に接続される部分である。接続部21は、第一取付対象物91の面に半田付け等により接合される。接続部21は、固定側被保持部22の下方側の部分から列間方向外側に延びる。
【0043】
固定側被保持部22は、固定ハウジング30に保持される部分である。
固定側被保持部22の板幅方向は、X方向である。固定側被保持部22の板幅方向外側には、複数の幅広部(圧入用突起)が形成される。固定側被保持部22は、固定ハウジング30に対し、上方向を圧入方向として圧入される。
【0044】
バネ部23は、固定側被保持部22と可動側被保持部24とを繋ぐ部分である。バネ部23は、弾性変形可能に構成される。
【0045】
バネ部23は、第一折返部23aと、下方延在部23bと、第二折返部23cと、上方延在部23dと、を有する。
また、バネ部23は、クランク部23eを有する。クランク部23eは、バネ部23の上方延在部23dと可動側被保持部24とを繋ぐ。可動側被保持部24は、列間方向において、バネ部23の上方延在部23dよりも列間方向内側に位置する。
【0046】
バネ部23は、板幅寸法が比較的大きい部分と、板幅寸法が比較的小さい部分と、を有する。第一折返部23a及びクランク部23eは、板幅寸法が比較的小さい部分である。下方延在部23b、第二折返部23c及び上方延在部23dのほぼ全体は、板幅寸法が比較的大きい部分である。
【0047】
可動側被保持部24は、可動ハウジング40に保持される部分である。
可動側被保持部24の延在方向は、Z方向であり、可動側被保持部24の板幅方向は、X方向である。可動側被保持部24は、可動ハウジング40に対し、上方向を圧入方向として圧入されることで、可動ハウジング40に保持される。
【0048】
可動側被保持部24は、第一幅広部24aと、第二幅広部24bと、第三幅広部24dと、を有する。
【0049】
第一幅広部24aは、可動側被保持部24の上端に形成される。第一幅広部24aの上端は、接触腕25,26,27の基端部25a(退避曲部25a)と繋がる。
【0050】
第一幅広部24aは、長方形状の本体部と、略台形状の上端部と、を有する。
第一幅広部24aの本体部のX方向寸法は、接触腕25,26,27の基端部25aのX方向寸法よりも大きい。第一幅広部24aの上端部は、第一幅広部24aの本体部と接触腕25,26,27の基端部25aとを繋ぐ。第一幅広部24aの上端部のX方向寸法は、接触腕25,26,27から本体部に向かうに従い次第に大きくなる。これにより、第一幅広部24aと接触腕25,26,27との境界部分に応力が集中することが抑制される。
第一幅広部24aの本体部のZ方向寸法は、そのX方向寸法よりも大きい。
【0051】
第二幅広部24bは、第一幅広部24aの下側かつ第三幅広部24dの上側に形成される。第二幅広部24bと第一幅広部24aとの間の距離は、第二幅広部24bと第三幅広部24dとの距離もよりも短い。
第二幅広部24bは、本体部と上部とを有する。本体部は長方形状であり、上部は台形状である。
第二幅広部24bのZ方向寸法は、第一幅広部24aのZ方向寸法よりも小さい。
第二幅広部24bのX方向寸法は、第一幅広部24aのX方向寸法よりも若干大きい。
【0052】
第三幅広部24dは、可動側被保持部24の下端に形成される。第三幅広部24dは、可動側被保持部24を可動ハウジング40に対し圧入する際に治具等を押し当てる部分である。第三幅広部24dは、台形状である。
【0053】
可動側被保持部24のうち第一幅広部24a、第二幅広部24b及び第三幅広部24d以外の部分(一般部)のX方向寸法及びY方向寸法は、共に、Z方向の位置によらず一定である。
【0054】
可動側被保持部24の上端付近におけるZ方向に延びる一定の部分は、第二端子60の接点部66に接触する接点受部24cとして機能する(図12(A)参照)。Z方向に延びる接点受部24cのうち、接点部66が実際に接触する部分のZ方向の位置は、第一コネクタ10と第二コネクタ50との接続の深さにより変化する。
【0055】
接触腕25,26,27は、第二端子60の接点受部64cに接触する接点部26を有する。接点部26は、接触方向他方側(列間方向外側)に凸となるように曲げられている。
【0056】
接触腕25,26,27は、可動側被保持部24と接点部26とを繋ぐ接点連結部25を有する。接点連結部25は、接点部26を弾性支持する。
図12(A)に示すように、接点連結部25は、退避曲部25aと、退避延在部25bと、第一逆曲部25cと、上方延在部25dと、第二逆曲部25eと、接近延在部25fと、を有する。
【0057】
退避曲部25aは、接触腕25,26,27の基端部25aであり、可動側被保持部24の上端と繋がる部分である。退避曲部25aは、接触方向一方側(列間方向内側)に曲げられている。
コネクタ接続作業時、退避曲部25aは、第二端子60の先端部67及び接点部66に接触し、第二端子60の接点部66を接触方向他方側(列間方向外側)に変位させる(図3図7参照)。
【0058】
退避延在部25bは、接触方向一方側かつ接続方向一方側の斜め方向に直線状に延在する。
第一逆曲部25cは、退避曲部25aとは反対側に曲げられている。上方延在部25dは、接続方向一方側に平行に直線状に延在する。第二逆曲部25eは、退避曲部25aとは反対側に曲げられている。接近延在部25fは、接触方向他方側かつ接続方向一方側の斜め方向に直線状に延在する。接近延在部25fは、接点部26に繋がる。
【0059】
接触腕25,26,27は、接点部26よりも先端側に形成された先端部27を有する。
先端部27は、接点部26と連続的に形成される。先端部27は、接点部26と同様、接触方向他方側(列間方向外側)に凸となるように曲げられている。先端部27の曲げの曲率半径は、接点部26の曲げの曲率半径よりも大きい。先端部27の長さは、接点部26の長さよりも長い。先端部27における先端側の一部では、先端部27の他の部分よりもX方向寸法が大きい先端幅広部27aとなっている(図10参照)。先端幅広部27aの少なくとも一部は、可動ハウジング40の配置溝43内に配置される(図3参照)。
【0060】
以上のように、第一端子20では、接点部26及び接点受部24cが、第二コネクタ50の第二端子60に接触する接触部24c,26を構成する。
【0061】
(固定ハウジング30)
次に、固定ハウジング30について説明する。
【0062】
図8に示すように、固定ハウジング30は、一対の端子保持壁31を有する。
一対の端子保持壁31は、列間方向一方側の端子保持壁31と、列間方向他方側の端子保持壁31と、から構成される。
列間方向一方側の端子保持壁31は、複数の一方側第一端子20Aの固定側被保持部22を保持する。
列間方向他方側の端子保持壁31は、複数の他方側第一端子20Bの固定側被保持部22を保持する。
各端子保持壁31は、X方向及びZ方向に延びる壁である。
各端子保持壁31の列間方向内側面には、列間方向外側に窪む凹部31aが形成される。凹部31aには、複数の端子保持溝31bが形成される。端子保持溝31bに対し、第一端子20の固定側被保持部22が上方向を圧入方向として圧入される。
【0063】
固定ハウジング30は、一対の連結壁32を有する。固定ハウジング30は、一対の端子保持壁31及び一対の連結壁32によって枠状に形成される。
各連結壁32には、可動ハウジング40の一部(被拘束部42c)を拘束する拘束凹部32aが形成される。拘束凹部32aは、連結壁32の下部に形成された凹部であり、下方向及び前後方向内側に開放された凹部である。
各連結壁32には、上方向に開口した肉抜き部32bが形成される。肉抜き部32bは、各連結壁32について、列間方向に並んで2つ形成される。
【0064】
(可動ハウジング40)
次に、可動ハウジング40について説明する。
【0065】
図8に示すように、可動ハウジング40は、複数の一方側第一端子20A及び複数の他方側第一端子20Bを保持する端子保持部41と、第二コネクタ50との接続をガイドする一対の接続ガイド部42と、を有する。
【0066】
図13に示すように、端子保持部41は、列間方向に対称の形状を有する。端子保持部41は、第一端子20が配置される複数の配置溝43を有する。各配置溝43は、X方向で対向する一対のガイド溝44を有する。
具体的には、各配置溝43は、一対の壁面43aを有し、当該一対の壁面43aの各々にガイド溝44が形成される。ガイド溝44は、上下方向に延びる。第一端子20の可動側被保持部24は、一対のガイド溝44に沿って、上方向を圧入方向として可動ハウジング40に圧入される。
【0067】
複数の配置溝43は、列間方向一方側の複数の一方側配置溝43と、列間方向他方側の複数の他方側配置溝43と、から構成される。一方側配置溝43と他方側配置溝43とは繋がっていない。一方側配置溝43と他方側配置溝43との間には、溝底壁45が形成される。溝底壁45は、可動ハウジング40の列間方向中央に位置し、上下方向に延在する。
【0068】
端子保持部41は、下部41cと、中部41bと、上部41aと、を有する。
【0069】
ガイド溝44は、端子保持部41の中部41bに形成される。各配置溝43が有する一対のガイド溝44の底面同士の距離は、当該ガイド溝44が延びる方向の位置によらず一定である。一対のガイド溝44の底面同士の距離は、第一端子20の可動側被保持部24の第一幅広部24aのX方向寸法よりも僅かに大きく、第二幅広部24bのX方向寸法よりも小さい。
このため、ガイド溝44は、可動側被保持部24の一部の可動ハウジング40に対する接触方向一方側(列間方向内側)への移動を規制する働きをする。以下、ガイド溝44を、移動規制部44ということがある。
【0070】
図14に示すように、一対のガイド溝44の下側には、一対の入口溝49が形成される。一対の入口溝49の底面同士の距離は、下方向に進むに従い次第に大きくなる。
【0071】
ガイド溝44は、下部の幅広部44aと、上部の幅狭部44bと、を有する。
ガイド溝44の幅狭部44bの溝幅(Y方向寸法)は、幅広部44aの溝幅よりも小さい。ガイド溝44の幅広部44aの溝幅は、第一端子20の可動側被保持部24の板厚(Y方向寸法)よりも大きい。
ガイド溝44の幅狭部44bの溝幅は、第一端子20の可動側被保持部24の板厚(Y方向寸法)と同じか、当該板厚よりも僅かに小さい。このため、ガイド溝44の幅狭部44bは、可動側被保持部24の一部の可動ハウジング40に対する列間方向の位置を定める働きをする。以下、ガイド溝44の幅狭部44bを、位置決定部44bということがある。
なお、第一端子20の可動側被保持部24の第一幅広部24aは、ガイド溝44のうち幅狭部44bに対応する位置に配置される。また、第一端子20の可動側被保持部24の第二幅広部24bは、ガイド溝44のうち幅広部44aに対応する位置に配置される。
【0072】
幅狭部44bの列間方向内側(接触方向一方側)の端の位置は、幅広部44aの列間方向内側の端の位置と、列間方向で一致する。幅狭部44bの列間方向外側(接触方向他方側)の端の位置は、幅広部44aの列間方向外側の端の位置よりも、列間方向内側に位置する。
【0073】
図13に示すように、端子保持部41の上部41aの幅寸法は、端子保持部41の中部41bの幅寸法よりも小さい。
端子保持部41の上部41aは、一対の列間方向外側面41a1と、上面41a2と、一対の傾斜面41a3と、を有する。
端子保持部41の中部41bは、一対の列間方向外側面41b1と、一対の上面41b2と、一対の傾斜面41b3を有する。
【0074】
各配置溝43は、端子保持部41の上部41aの列間方向外側面41a1で開放されており、上面41a2及び傾斜面41a3では開放されていない。
また、各配置溝43は、端子保持部41の中部41bの列間方向外側面41b1、傾斜面41b3及び上面41b2で開放されている。
また、各配置溝43は、端子保持部41の下部41cの列間方向外側面41c1及び下面41c4で開放されている。
【0075】
但し、端子保持部41の中部41bの下端付近では、各配置溝43は、開放されていない。また、当該開放されていない部分には、中部41bの一対の列間方向外側面41b1に対して列間方向外側に膨出した一対の膨出部46が形成される。各膨出部46の列間方向外側面は、接続ガイド部42の列間方向外側面と同一平面上に形成される。
【0076】
各配置溝43は、端子保持部41の中部41bの上面41b2付近において、当該上面41b2に向かうに従って溝幅(X方向寸法)が次第に大きくなる。これにより、図14に示すように、相手端子(第二端子60)の先端部67をX方向でガイドする傾斜ガイド面43bが形成される。
【0077】
図3に示すように、端子保持部41の下部41cの配置溝43には、第一端子20が配置されない。下部41cの配置溝43は、当該圧入時に第一端子20の接触腕25,26,27をガイドする機能を有する。すなわち、第一端子20の可動側被保持部24を可動ハウジング40に圧入する際に、第一端子20の接触腕25,26,27が、端子保持部41の下部41cの配置溝43を上下方向に通過する。端子保持部41の下部41cの列間方向外側面41c1は、ガイド溝44よりも列間方向内側に位置する。
なお、第一端子20の可動側被保持部24を可動ハウジング40に圧入する際、第一端子20の接触腕25,26,27は、端子保持部41の中部41bの配置溝43をも上下方向に通過する。
【0078】
図6図7に示すように、第二端子60の接点部66は、端子保持部41の中部41bにおける配置溝43のうちガイド溝44よりも列間方向外側(接触方向他方側)の部分に入り込む。配置溝43のうちガイド溝44よりも列間方向外側(接触方向他方側)の部分における壁面43a2同士の距離は、配置溝43のうちガイド溝44よりも列間方向内側の部分における壁面43a1同士の距離よりも僅かに大きい。壁面43a1同士の距離は、可動側被保持部24の一般部のX方向寸法よりも僅かに小さい。壁面43a2同士の距離は、可動側被保持部24の一般部のX方向寸法と同じである。
【0079】
(接続ガイド部42)
各接続ガイド部42は、ガイド突起42aを有する。図13に示すように、ガイド突起42aは、端子保持部41の上面41a2よりも上側に突出する。
【0080】
各接続ガイド部42は、凹部42bを有する。凹部42bは、前後方向内側に凹んだ凹部であり、接続ガイド部42の下部に設けられる。凹部42bは、固定ハウジング30に対する可動ハウジング40の前後方向の可動域を確保するために設けられる。
【0081】
各接続ガイド部42は、固定ハウジング30の一対の拘束凹部32aに拘束される一対の被拘束部42cを有する。被拘束部42cは、接続ガイド部42の凹部42bから前後方向外側に突出する。被拘束部42cの形状は、直方体形状である。被拘束部42cのY方向寸法は、接続ガイド部42のY方向寸法よりも小さい。
【0082】
<第二コネクタ50>
次に、第二コネクタ50について説明する。
なお、第二コネクタ50について上方向というとき、-Z方向を意味する。
【0083】
図9に示すように、第二コネクタ50は、複数の第二端子60と、第二ハウジング70と、を備える。
【0084】
(第二端子60)
複数の第二端子60は、複数の一方側第二端子60Aと、複数の他方側第二端子60Bと、から構成される。複数の一方側第二端子60Aは、列間方向一方側においてX方向(端子配列方向)に配列され、複数の他方側第二端子60Bは、列間方向他方側においてX方向(端子配列方向)に配列される。
換言すると、図11に示すように、一方側第二端子60Aと他方側第二端子60Bとによって一対の第二端子60A,60Bが構成され、当該一対の第二端子60A,60Bが端子配列方向に複数配列される。
【0085】
図3図7に示すように、一対の第二端子60A,60Bは、一対の第一端子20A,20Bに対して列間方向外側から接触する。つまり、一対の第二端子60A,60Bにとっての接触方向一方側は、列間方向外側である。換言すると、図11に示すように、一方側第二端子60Aは、その接触方向一方側を列間方向外側に向け、他方側第二端子60Bは、その接触方向一方側を列間方向外側に向ける。
【0086】
複数の一方側第二端子60Aは、互いに同一の形状を有し、複数の他方側第二端子60Bは、互いに同一の形状を有する。
更に、一方側第二端子60A及び他方側第二端子60Bは、互いに同一の形状を有する。以下、両者を区別しないときは、単に、第二端子60という。
【0087】
図11に示すように、第二端子60は、第二取付対象物92に接続される接続部61と、接続部61から繋がる中継部63と、固定ハウジング70に保持される被保持部64と、接点部66が形成された接触腕65,66,67と、を有する。
【0088】
接続部61は、第二取付対象物92の面に半田付け等で接合される。接続部61は、被保持部64側から列間方向外側に向けて延びる。
【0089】
中継部63は、第二取付対象物92の面と上下方向の間隔を開けて配置される。中継部63は、接続部61と被保持部64とを列間方向で繋ぐ。
【0090】
被保持部64の延在方向は、上下方向である。被保持部64の板幅方向は、端子配列方向である。被保持部64は、固定ハウジング70に対し所定の圧入方向で圧入されることで、固定ハウジング70に保持される。被保持部64の圧入方向は、上方向(-Z方向)である。
【0091】
被保持部64は、第一幅広部64aと、第二幅広部64bと、第三幅広部64dと、を有する。
【0092】
第一幅広部64aは、被保持部64の上端に形成される。第一幅広部64aの上端は、接触腕65,66,67の基端部65a(退避曲部65a)と繋がる。
第一幅広部64aは、長方形状の本体部と、略台形状の上端部と、を有する。第一幅広部64aの本体部のX方向寸法は、接触腕65,66,67の基端部65aのX方向寸法よりも大きい。第一幅広部64aの上端部は、第一幅広部64aの本体部と接触腕65,66,67の基端部65aとを繋ぐ。第一幅広部64aの上端部のX方向寸法は、接触腕65,66,67から本体部へ向けて次第に大きくなる。これにより、第一幅広部64aと接触腕65,66,67との境界部分に応力が集中することが抑制される。
第一幅広部64aの本体部のZ方向寸法は、そのX方向寸法よりも大きい。
【0093】
第二幅広部64bは、第一幅広部64aの下側かつ第三幅広部64dの上側に形成される。第二幅広部64bと第一幅広部64aとの間の距離は、第二幅広部64bと第三幅広部64dとの間の距離よりも短い。
第二幅広部64bは、本体部と上端部とを有する。本体部は長方形状であり、上端部は台形状である。
第二幅広部64bのZ方向寸法は、第一幅広部64aのZ方向寸法よりも小さい。
第二幅広部64bの本体部のX方向寸法(すなわち第二幅広部64bのX方向寸法)は、第一幅広部64aの本体部のX方向寸法(すなわち第一幅広部64aのX方向寸法)よりも大きい。
第二幅広部64bのX方向寸法は、固定ハウジング70の配置溝43に形成された一対のガイド溝44の底面同士のX方向の距離よりも大きい。このため、第二幅広部64bのX方向両側部分は、固定ハウジング70の配置溝43の一対の壁面43aに対し食い込む。これに対し、第一幅広部64aのX方向寸法は、一対のガイド溝44の底面同士のX方向の距離よりも僅かに小さい。
【0094】
第三幅広部64dは、被保持部64の下端に形成される。第三幅広部64dは、被保持部64を固定ハウジング70に対し圧入する際に治具等を押し当てる部分である。第三幅広部64dの下端部のX方向寸法は、第三幅広部64dの他の一般部のX方向寸法よりも大きい。第三幅広部64dのうち下端部以外の部分は、配置溝73内に圧入される。
【0095】
被保持部64のうち第一幅広部64a、第二幅広部64b及び第三幅広部64d以外の部分(一般部)のX方向寸法及びY方向寸法は、共に、延在方向の位置に関わらず一定である。
【0096】
図12(A)に示すように、被保持部64の上端付近におけるZ方向に延びる一定の部分は、第一端子20の接点部26に接触する接点受部64cとして機能する。Z方向に延びる接点受部64cのうち、接点部26が実際に接触する部分のZ方向の位置は、第一コネクタ10と第二コネクタ50との接続の深さにより変化する。
【0097】
第一幅広部64aのX方向寸法(板幅)は、第二幅広部64bのX方向寸法(板幅)よりも若干小さい。第三幅広部64dの一般部のX方向寸法(板幅)は、第二幅広部64bのX方向寸法(板幅)と同じである。
【0098】
接触腕65,66,67は、第一端子20の接点受部24cに接触する接点部66を有する。接点部66は、接触方向他方側(列間方向内側)に凸となるように曲げられている。
【0099】
接触腕65,66,67は、被保持部64と接点部66とを繋ぐ接点連結部65を有する。接点連結部65は、接点部66を弾性支持する。
図12(A)に示すように、接点連結部65は、退避曲部65aと、退避延在部65bと、第一逆曲部65cと、上方延在部65dと、第二逆曲部65eと、接近延在部65fと、を有する。
【0100】
退避曲部65aは、接触腕65,66,67の基端部65aであり、被保持部64の上端と繋がる部分である。退避曲部65aは、接触方向一方側(列間方向外側)に曲げられている。
コネクタ接続作業時、退避曲部65aは、第一端子20の先端部27及び接点部26に接触し、第一端子20の接点部26を接触方向他方側(列間方向内側)に変位させる(図3図7参照)。
【0101】
退避延在部65bは、接触方向一方側かつ接続方向一方側の斜め方向に直線状に延在する。
第一逆曲部65cは、退避曲部65aとは反対側に曲げられている。上方延在部65dは、接続方向一方側に平行に直線状に延在する。第二逆曲部65eは、退避曲部65aとは反対側に曲げられている。接近延在部65fは、接触方向他方側かつ接続方向一方側の斜め方向に直線状に延在する。接近延在部65fは、接点部66に繋がる。
【0102】
接触腕65,66,67は、接点部66よりも先端側に形成された先端部67を有する。
先端部67は、接点部66と連続的に形成される。先端部67は、接点部66と同様、接触方向他方側(列間方向内側)に凸となるように曲げられている。先端部67の曲げの曲率半径は、接点部66の曲げの曲率半径よりも大きい。先端部67の長さは、接点部66の長さよりも長い。先端部67における先端側の一部では、先端部67の他の部分よりもX方向寸法が大きい先端幅広部67aとなっている(図11参照)。先端幅広部67aの少なくとも一部は、固定ハウジング70の配置溝73内に配置される(図3参照)。
【0103】
以上のように、第二端子60では、接点部66及び接点受部64cが、第一コネクタ10の第一端子20に接触する接触部64c,66を構成する。
【0104】
(第二ハウジング70)
次に、第二ハウジング70について説明する。
【0105】
図9に示すように、第二ハウジング70は、固定ハウジング70のみから構成され、可動ハウジングを有しない。以下、固定ハウジング70を単にハウジング70ということがある。
【0106】
固定ハウジング70は、一対の端子保持壁71A,71Bと、一対の接続ガイド部72と、を有する。
【0107】
(端子保持壁71)
一対の端子保持壁71A,71Bは、一方側端子保持壁71Aと、他方側端子保持壁71Bと、から構成される。一方側端子保持壁71Aは、複数の一方側第二端子60Aを保持し、他方側端子保持壁71Bは、複数の他方側第二端子60Bを保持する。一方側端子保持壁71Aと他方側端子保持壁71Bとは、列間方向で対称な形状を有する。以下、両者を区別しないときは、単に、端子保持壁71という。
【0108】
図15に示すように、端子保持壁71は、上部71aと、中部71bと、下部71cと、に分けることができる。
【0109】
上部71a及び中部71bにおいては、一対の端子保持壁71A,71Bは列間方向で分離されており、両者の間には空隙部78(図3参照)が形成される。空隙部78には、第一コネクタ10の一部が挿入される。
下部71cにおいては、一対の端子保持壁71A,71Bは、列間方向で連結されており、連結壁76を共有する。
【0110】
端子保持壁71は、第二端子60が配置される複数の配置溝73を有する。
複数の配置溝73は、一方側端子保持壁71Aに形成された複数の一方側配置溝73と、他方側端子保持壁71Bに形成された複数の他方側配置溝73と、から構成される。
複数の一方側配置溝73は、互いに同一の形状を有し、複数の他方側配置溝73は、互いに同一の形状を有する。
【0111】
各配置溝73は、X方向で対向する一対のガイド溝74を有する。
具体的には、図16に示すように、各配置溝73は、X方向で対向する一対の壁面73aを有し、当該一対の壁面73aの各々にガイド溝74が形成される。ガイド溝74は、上下方向に延びる。第二端子60の被保持部64は、一対のガイド溝74に沿って、上方向を圧入方向として固定ハウジング70に圧入される。
【0112】
図15に示すように、ガイド溝74は、端子保持壁71の中部71b及び下部71cにのみ形成される。一対のガイド溝74の底面同士の距離は、当該ガイド溝74が延びる方向の位置によらず一定である。
一対のガイド溝74の底面同士の距離は、第二端子60の被保持部64の第一幅広部64aのX方向寸法よりも僅かに大きく、第二幅広部64bのX方向寸法と同じか若干小さい。このため、一対のガイド溝74は、被保持部64の第二幅広部64bをX方向で挟み込む状態となる。このため、ガイド溝74は、被保持部64の一部のハウジング70に対する接触方向一方側(列間方向外側)への移動を規制する働きをする。以下、ガイド溝74を、移動規制部74ということがある。
【0113】
図16に示すように、ガイド溝74は、下部の幅広部74aと、上部の幅狭部74bと、を有する。ガイド溝74の幅狭部74bの溝幅(Y方向寸法)は、幅広部74aの溝幅よりも小さい。
ガイド溝74の幅広部74aの溝幅(Y方向寸法)は、第二端子60の被保持部64の板厚(Y方向寸法)よりも大きい。
ガイド溝74の幅狭部74bの溝幅は、第二端子60の被保持部64の板厚と同じか、当該板厚よりも僅かに小さい。このため、ガイド溝74の幅狭部74bは、被保持部64の一部の固定ハウジング70に対する列間方向の位置を定める働きをする。以下、ガイド溝74の幅狭部74bを、位置決定部74bということがある。
なお、第二端子60の被保持部64の第一幅広部64aは、ガイド溝74のうち幅狭部74bに対応する位置に配置される。また、第二端子60の被保持部64の第二幅広部64bは、ガイド溝74のうち幅広部74aに対応する位置に配置される。
【0114】
幅狭部74bの列間方向外側(接触方向一方側)の端の位置は、幅広部74aの列間方向外側(接触方向一方側)の端の位置と、列間方向で一致する。
幅狭部74bの列間方向内側(接触方向他方側)の端の位置は、幅広部74aの列間方向内側(接触方向他方側)の端の位置よりも、列間方向外側(接触方向一方側)に位置する。
【0115】
図15に示すように、端子保持壁71の上部71aの列間方向内側面71a1は、端子保持壁71の中部71bの列間方向内側面71b1よりも列間方向外側に位置する。
端子保持壁71の中部71bの上面71b2と列間方向内側面71b1との間には、両者を繋ぐ傾斜面71b3が形成される(図16参照)。
【0116】
各配置溝73は、端子保持壁71の中部71bの列間方向内側面71b1、傾斜面71b3及び上面71b2で開放されている。
各配置溝73は、端子保持壁71の中部71bの上面71b2付近において、当該上面71b2に向かうに従って溝幅(端子配列方向寸法)が次第に拡大されている。これにより、相手端子(第一端子20)の先端部27をX方向でガイドする傾斜ガイド面73bが形成される(図16参照)。
【0117】
端子保持壁71の上部71aは、上面71a2と、傾斜面71a3と、を有する。
各配置溝73は、端子保持壁71の上部71aの列間方向内側面71a1で開放されており、上面71a2及び傾斜面71a3では開放されていない。
【0118】
なお、第二端子60の被保持部64を固定ハウジング70に圧入する際には、第二端子60の接触腕65,66,67は、端子保持壁71の下部71cの配置溝43を上下方向に通過すると共に、端子保持壁71の中部71bの配置溝43を上下方向に通過する。
【0119】
図3図7に示すように、第一端子20の接点部26は、端子保持壁71の中部71bにおける配置溝73のうちガイド溝74よりも列間方向内側(接触方向他方側)の部分に入り込む。配置溝73のうちガイド溝74よりも列間方向内側(接触方向他方側)の部分における壁面73a2同士の距離は、配置溝73のうちガイド溝44よりも列間方向外側(接触方向一方側)の部分における壁面73a1同士の距離よりも僅かに大きい。
壁面73a1同士の距離は、可動側被保持部24の一般部のX方向寸法よりも僅かに小さい。壁面43a2同士の距離は、可動側被保持部24の一般部のX方向寸法と同じである。
【0120】
(接続ガイド部72)
一対の接続ガイド部72は、第一コネクタ10との接続をガイドする。接続ガイド部72は、一対の端子保持壁71A,71Bに対し、端子配列方向外側に設けられる。
【0121】
各接続ガイド部72は、略直方体形状の外形を有する。接続ガイド部72のY方向寸法は、一対の端子保持壁71A,71BのY方向寸法よりも大きい。
【0122】
各接続ガイド部72は、上方向に開放されたガイド凹部72aを有する。
ガイド凹部72aは、前後方向内側にも開放されており、一対の端子保持壁71A,71Bの間に形成された空隙部78と端子配列方向で繋がっている。
【0123】
<作用効果>
次に、本実施形態に係る第一コネクタ10の作用効果について説明する。
【0124】
本実施形態では、図3図7に示すように、第一コネクタ10は、端子20を備える。端子20は、接点部26と、接点部26よりも接続方向他方側(第一コネクタ10にとっての接続方向他方側は-Z方向である。)に位置する接点受部24cと、を有する。接点部26は、相手端子60の相手接点受部64cに対し接触し、接点受部24cは、相手端子60の相手接点部66に対し接触する。
このため、伝送線路に形成されるスタブを短くでき、その結果、高速伝送性能を高めることができる。
【0125】
また、本実施形態では、図3図7に示すように、接点部26及び接点受部24cは、相手端子60の相手接点受部64c及び相手接点部66に対し、接続方向(Z方向)と垂直な接触方向一方側(第一コネクタ10にとっての接触方向一方側は列間方向内側である。)から接触する。そして、接点部26は、接点受部24cよりも接触方向一方側(列間方向内側)に位置する。
このため、接続作業時の接点部26と相手接点部66との干渉を防止でき(図4参照)、または干渉が起こるとしてもその干渉量を減少させることができる。その結果、各端子20の接点部26が接続方向(Z方向)と接触方向(列間方向)の両方に垂直な方向(X方向)で位置ズレすることを抑制できるので、適切な接触状態を実現しやすい。
【0126】
また、本実施形態では、図10に示すように、接点受部24cの板幅方向は、接続方向(Z方向)及び接触方向(列間方向)の両方に垂直な方向(X方向)を向く。
このため、更に、適切な接触状態を実現しやすい。
すなわち、相手端子60の相手接点部66は、接点受部24cに対して接続方向(Z方向)及び接触方向(列間方向)の両方に垂直な方向(X方向)で位置ズレする可能性があるところ、本実施形態では、接点受部24cの板幅方向が当該方向(X方向)であるので、当該方向(X方向)での接点受部24cの寸法を確保しやすい。よって、接点受部24cと相手接点部66との適切な接触状態を実現しやすい。
【0127】
また、本実施形態では、図3図7に示すように、端子20のうち、接点部26と接点受部24cとを繋ぐ部分(接点連結部25)は、ハウジング40に対して接触方向一方側(列間方向内側)に押し当てられる部分を有しない。
このため、所望の接触圧を実現しやすい。なぜなら、仮に接点連結部25がハウジング40に対して接触方向一方側に押し当てられる部分を有すると、ハウジング40の寸法誤差が接触圧に影響を与えてしまうからである。
【0128】
また、本実施形態では、図10図13に示すように、ハウジング40は、接点受部24cの接触方向一方側(列間方向内側)への移動を規制する移動規制部44を有する。
このため、接点受部24cの接触方向一方側(列間方向内側)への移動が規制され、その結果、接点受部24cにおける適切な接触圧を実現できる。
【0129】
また、本実施形態では、図13に示すように、ハウジング40は、移動規制部44よりも接触方向一方側(列間方向内側)に位置する通過空間(配置溝43のうちガイド溝44よりも列間方向内側の部分)を有する。通過空間は、ハウジング40に対して被保持部24を圧入方向(+Z方向)で圧入する際に、接点部26及び接点連結部25が圧入方向(+Z方向)で通過する空間である。
このため、圧入作業時に端子20の接点部26及び接点連結部25がハウジング40と干渉してしまうことを防止することができる。その結果、端子20の破損を防止することができる。
【0130】
また、本実施形態では、図14に示すように、ハウジング40は、接点受部24cを接触方向(列間方向)で挟み込むことによって、当該接点受部24cの当該ハウジング40に対する接触方向(列間方向)での位置を定める位置決定部44bを有する。
このため、接点受部24cを所望の位置に正確に配置することができる。その結果、接点受部24cと相手接点部66との所望の接触圧を実現することができる。
【0131】
また、本実施形態では、図11に示すように、端子20は、接点部26の接続方向一方側(+Z方向)に、接点部26と連続的に形成された先端部27を有する。接点部26及び先端部27は、接触方向他方側(列間方向外側)に凸となるように曲がっている。
ここで、図12(A)に示すように、接点部26は、先端部27よりも曲げの曲率半径が小さい。
このため、図5に示すように、比較的曲率半径の大きい先端部27が相手コネクタ10の一部(相手端子60の退避曲部65a)に当接するので、第一コネクタ10の接続作業性を向上することができると共に、図12(B)に示すように、比較的曲率半径が小さい接点部26が相手接点受部64cに接触するので、接触面積が小さくなり安定した接触状態を実現できる。
【0132】
なお、以上で述べた第一コネクタ10についての作用効果は、第二コネクタ50も同様に奏する。以下で念のため説明するが、両者が相違する主な点は、次のとおりである。
・第一コネクタ10にとっての「接続方向一方側」は+Z方向であるのに対し、第二コネクタ50にとっての「接続方向一方側」は-Z方向である点。
・第一コネクタ10にとっての「接触方向一方側」は列間方向内側であるのに対し、第二コネクタ50にとっての「接触方向一方側」は列間方向外側である点。
【0133】
本実施形態では、図3図7に示すように、第二コネクタ50は、端子60を備える。端子60は、接点部66と、接点部66よりも接続方向他方側(+Z方向)に位置する接点受部64cと、を有する。接点部66は、相手端子20の相手接点受部24cに対し接触し、接点受部64cは、相手端子20の相手接点部26に対し接触する。
このため、伝送線路に形成されるスタブを短くでき、その結果、高速伝送性能を高めることができる。
【0134】
また、本実施形態では、図3図7に示すように、接点部66及び接点受部64cは、相手端子20の相手接点受部24c及び相手接点部26に対し、接続方向(Z方向)と垂直な接触方向一方側(列間方向外側)から接触する。そして、接点部66は、接点受部64cよりも接触方向一方側(列間方向外側)に位置する。
このため、接続作業時の接点部66と相手接点部26との干渉を防止でき(図4参照)、または干渉が起こるとしてもその干渉量を減少させることができる。その結果、各端子60,20の接点部66,26が接続方向(Z方向)と接触方向(列間方向)の両方に垂直な方向(X方向)で位置ズレすることを抑制できるので、適切な接触状態を実現しやすい。
【0135】
また、本実施形態では、図11に示すように、接点受部64cの板幅方向は、接続方向(Z方向)及び接触方向(列間方向)の両方に垂直な方向(X方向)を向く。
このため、更に、適切な接触状態を実現しやすい。
すなわち、相手端子20の相手接点部26は、接点受部64cに対して接続方向(Z方向)及び接触方向(列間方向)の両方に垂直な方向(X方向)で位置ズレする可能性があるところ、本実施形態では、接点受部64cの板幅方向が当該方向(X方向)であるので、当該方向(X方向)での接点受部64cの寸法を確保しやすい。よって、接点受部64cと相手接点部26との適切な接触状態を実現しやすい。
【0136】
また、本実施形態では、端子60のうち、接点部66と接点受部64cとを繋ぐ部分(接点連結部65、図11参照)は、ハウジング70に対して接触方向一方側(列間方向外側)に押し当てられる部分を有しない(図3図7参照)。
このため、所望の接触圧を実現しやすい。なぜなら、仮に接点連結部25がハウジング40に対して接触方向一方側に押し当てられる部分を有すると、ハウジング40の寸法誤差が接触圧に影響を与えてしまうからである。
【0137】
また、本実施形態では、図15に示すように、ハウジング70は、接点受部64cの接触方向一方側(列間方向外側)への移動を規制する移動規制部74を有する。
このため、接点受部64cの接触方向一方側(列間方向外側)への移動が規制され、その結果、接点受部64cにおける適切な接触圧を実現できる。
【0138】
また、本実施形態では、図15に示すように、ハウジング70は、移動規制部74よりも接触方向一方側(列間方向外側)に位置する通過空間(配置溝73の一部)を有する。通過空間(配置溝73の一部)は、ハウジング70に対して被保持部64を圧入方向(+Z方向)で圧入する際に、接点部66及び接点連結部65が圧入方向(+Z方向)で通過する空間である。
このため、圧入作業時に端子60の接点部66及び接点連結部65がハウジング70と干渉してしまうことを防止することができる。その結果、端子60の破損を防止することができる。
【0139】
また、本実施形態では、図16に示すように、ハウジング70は、接点受部64cを接触方向(列間方向)で挟み込むことによって、当該接点受部64cの当該ハウジング70に対する接触方向(列間方向)での位置を定める位置決定部74bを有する。
このため、接点受部64cを所望の位置に正確に配置することができる。その結果、接点受部64cと相手接点部66との所望の接触圧を実現することができる。
【0140】
また、本実施形態では、図11に示すように、端子60は、接点部66の接続方向一方側(-Z方向)に、接点部66と連続的に形成された先端部67を有する。接点部66及び先端部67は、接触方向他方側(列間方向内側)に凸となるように曲がっている。
ここで、図12(A)に示すように、接点部66は、先端部67よりも曲げの曲率半径が小さい。
このため、図5に示すように、比較的曲率半径の大きい先端部67が相手コネクタ10の一部(相手端子20の退避曲部25a)に当接するので、第二コネクタ50の接続作業性を向上することができると共に、図12(B)に示すように、比較的曲率半径が小さい接点部66が相手接点受部24cに接触するので、接触面積が小さくなり安定した接触状態を実現できる。
【0141】
次に、本実施形態に係る第一コネクタ10の作用効果について、上記とは異なる観点から説明する。
【0142】
本実施形態では、図3に示すように、第一コネクタ10は、一方側端子20Aと、他方側端子20Bと、ハウジング30,40と、を備える。
図10に示すように、一方側端子20Aは、取付対象物91に接続する接続部21と、取付対象物91に対して移動可能な変位部24,25,26,27と、接続部21と変位部24,25,26,27との間に形成されたバネ部23と、を有する。他方側端子20Bは、取付対象物91に接続する接続部21と、取付対象物91に対して移動可能な変位部24,25,26,27と、接続部21と変位部24,25,26,27との間に形成されたバネ部23と、を有する。
図3に示すように、ハウジング30,40は、取付対象物91に対して移動可能な可動ハウジング40を有する。
図10に示すように、一方側端子20Aの変位部24,25,26,27は、可動ハウジング40に保持される可動側被保持部24と、一方側相手端子60Aに接触する接触部24c,26と、を有する。他方側端子20Bの変位部24,25,26,27は、可動ハウジング40に保持される可動側被保持部24と、他方側相手端子60Bに接触する接触部24c,26と、を有する。
このため、取付対象物91と相手コネクタ50との位置ズレを吸収することができる。
【0143】
また、本実施形態では、図3図7に示すように、一方側端子20Aの接触部24c,26は、一方側相手端子60Aの相手接点受部64cに接触する接点部26と、当該接点部26よりも接続方向他方側(-Z方向)に位置し一方側相手端子60Aの相手接点部66に接触する接点受部24cと、を有する。他方側端子20Bの接触部24c,26は、他方側相手端子60Bの相手接点受部64cに接触する接点部26と、当該接点部26よりも接続方向他方側(-Z方向)に位置し、他方側相手端子60Bの相手接点部66に接触する接点受部24cと、を有する。
このため、図6図7に示すように、伝送線路に形成されるスタブを短くでき、その結果、高速伝送性能を高めることができる。
【0144】
ところで、本実施形態では、図3に示すように、一方側端子20Aの可動側被保持部24、接点部26及び接点受部24cは、他方側端子20Bの可動側被保持部24、接点部26及び接点受部24cよりも列間方向一方側(+Y方向)に位置する。
ここで、仮に特許文献2のコネクタのように、一方側端子20Aの接点部26及び接点受部24cが、一方側相手端子60Aに対し列間方向一方側(+Y方向)から接触するものであり、他方側端子20Bの接点部26及び接点受部24cが、他方側相手端子60Bに対し列間方向他方側(-Y方向)から接触するものであるときは、一方側相手端子60A及び他方側相手端子60Bが挿入される空隙部を可動ハウジング40に設ける必要がある。可動ハウジング40にこのような空隙部が設けられていると、可動ハウジング40が変形しやすい形状になってしまう。特に、可動ハウジング40の設計では、端子20のバネ部23との位置関係を考慮しなければならないので、可動ハウジング40を変形しにくい形状とすることが容易ではない。
そこで、本実施形態では、一方側端子20Aの接点部26及び接点受部24cは、一方側相手端子60Aに対し、列間方向他方側(-Y方向)から接触するものであり、他方側端子20Bの接点部26及び接点受部24cは、他方側相手端子60Bに対し、列間方向一方側(+Y方向)から接触するものである。
このため、上記のような空隙部を設ける必要がなく、高温になった場合でも変形しにくい可動ハウジング40とすることが容易である。
【0145】
また、本実施形態では、図3に示すように、一方側端子20Aの接点部26は、当該一方側端子20Aの接点受部24cよりも列間方向他方側(-Y方向)に位置し、他方側端子20Bの接点部26は、当該他方側端子20Bの接点受部24cよりも列間方向一方側(+Y方向)に位置する。
このため、図4に示すように、接続作業時の接点部26と相手接点部66との干渉を防止でき、または干渉が起こるとしてもその干渉量を減少させることができる。その結果、接続作業時の接点部26と相手接点部66との干渉による問題の発生を抑制できる。
【0146】
また、本実施形態では、図13に示すように、ハウジング40は、一方側移動規制部44と、他方側移動規制部44と、を有する。一方側移動規制部44は、一方側端子20Aの接点受部24cの列間方向他方側(-Y方向)への移動を規制する。他方側移動規制部44は、他方側端子20Bの接点受部24cの列間方向一方側(+Y方向)への移動を規制する。
このため、一方側端子20A及び他方側端子20Bそれぞれについて、接点受部24cの接触方向一方側(列間方向内側)への移動が規制され、その結果、接点受部24cにおける適切な接触圧を実現できる。
【0147】
〔上記実施形態の補足説明〕
以上、本開示に係るコネクタの好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。以下、念のために補足する。
【0148】
上記実施形態では、接点受部24cの接触方向一方側(列間方向内側)への移動を規制する移動規制部44が、ガイド溝44である例を説明するが、本開示はこれに限定されない。上記実施形態のガイド溝44は、接点受部24cの接触方向一方側(列間方向内側)への移動だけでなく、接触方向他方側への移動も規制する。しかし、本開示の移動規制部は、接点受部の接触方向他方側への移動を規制しなくてもよい。
【0149】
上記実施形態では、接点受部の延在方向がコネクタ上下方向である例を説明するが、本開示の接触受部の延在方向は、これに限定されない。
【0150】
上記実施形態では、接点受部がハウジングに対して固定される例を説明するが、本開示の接触受部は、これに限定されず、ハウジングに対して変位可能であってもよい。
【0151】
上記実施形態では、接点受部の板幅方向が、接続方向及び接触方向の両方に垂直な方向を向く例を説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示の接点受部の板幅方向は、接触方向と同じ方向であってもよい。
【符号の説明】
【0152】
10 第一コネクタ(コネクタ)
20 第一端子(端子)
20A 一方側第一端子(一方側端子)
20B 他方側第一端子(他方側端子)
21 接続部
22 固定側被保持部
23 バネ部
24,25,26,27 変位部
24 可動側被保持部(被保持部)
24a 第一幅広部
24b 第二幅広部
24c,26 接触部
24c 接点受部
25 接点連結部
25,26,27 接触腕
26 接点部
27 先端部
30,40 第一ハウジング(ハウジング)
30 固定ハウジング
40 可動ハウジング(ハウジング)
41 端子保持部
43 配置溝
44 ガイド溝(移動規制部)
44a 幅広部
44b 幅狭部(位置決定部)
50 第二コネクタ(コネクタ)
60 第二端子(端子、相手端子)
60A 一方側第二端子(一方側相手端子)
60B 他方側第二端子(他方側相手端子)
61 接続部
64 被保持部
64c,66 接触部
64c 接点受部
65,66,67 接触腕
65 接点連結部
66 接点部
67 先端部
70 固定ハウジング(第二ハウジング、ハウジング)
73 配置溝
74 ガイド溝(移動規制部)
74a 幅広部
74b 幅狭部(位置決定部)
78 空隙部
91 第一取付対象物(取付対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16