(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085333
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】製袋充填機におけるシール切断装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20240619BHJP
B65B 51/16 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B65B51/10 W
B65B51/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199821
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝己
(72)【発明者】
【氏名】中川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】村井 義生
(72)【発明者】
【氏名】竹田 崇
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA11
3E094CA08
3E094CA12
3E094DA08
3E094EA04
3E094FA02
3E094FA14
3E094GA05
3E094GA13
3E094GA23
3E094HA03
(57)【要約】
【課題】包装速度を変更しても、筒状包装材の切断を良好に行い得る製袋充填機におけるシール切断装置を提供する。
【解決手段】筒状フィルムをホーン15とで挟持してエンドシールを施すアンビル14に、筒状フィルムを切断するナイフが配設される。ナイフは、アンビル14のシール面30bから刃先が突出しない待機位置および刃先が最も突出する最大突出位置の間を、進退移動手段で進退される。進退移動手段によりナイフが最大突出位置となるナイフタイミングを設定するデータ入力設定手段と、ナイフタイミングおよび包装速度に基づいて、1包装サイクルにおけるナイフの待機位置からの作動開始タイミングを算出する制御手段と、を備える。制御手段は、ナイフが、作動開始タイミングおよび最大突出位置についてのナイフタイミングに基づく動作を行うように進退移動手段を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状包装材の搬送路を挟んで対向する一対のシール体で筒状包装材を挟持して搬送方向と交差する方向にシールを施すと共に、一方のシール体からナイフの刃先を突出して筒状包装材を切断するようにした製袋充填機におけるシール切断装置であって、
前記シール体からナイフの刃先を出没して筒状包装材を切断するようナイフを所定の速度で移動する進退移動手段と、
前記シール体の動作位置を検出するシーラ検出手段と、を備え、
前記シール体が筒状包装材を挟持するタイミングで、前記刃先がシール体から最も突出したナイフタイミングを設定し、
設定したナイフタイミングとなるよう、包装速度に応じて、ナイフの突出作動開始タイミングを算出して前記進退移動手段を作動制御する制御手段を設けた
ことを特徴とする製袋充填機におけるシール切断装置。
【請求項2】
前記進退移動手段を駆動するナイフ駆動用サーボモータと、
前記ナイフの移動位置を検出するナイフ検出手段と、を備え、
前記シーラ検出手段により検出されるシール体の動作位置との関係において、前記刃先が最も突出した位置になるナイフタイミングを、データ入力手段で数値入力するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の製袋充填機におけるシール切断装置。
【請求項3】
前記一対のシール体を回転するシール用サーボモータを備え、
前記一方のシール体に刃先を出没可能に収容支持した前記ナイフに、前記進退移動手段を連繋するよう構成したことを特徴とする請求項2記載の製袋充填機におけるシール切断装置。
【請求項4】
前記一方のシール体は、前記ナイフを収容支持したアンビルであり、他方のシール体は、超音波振動するホーンである超音波シール機構により構成され、
前記進退移動手段は、
前記ナイフの刃先をアンビルから出没可能なリンク機構と、
前記アンビルの中空軸内に、軸方向に移動可能に挿通され、前記リンク機構に一端部が接続された作動ロッドと、
該作動ロッドを軸方向に移動する前記ナイフ駆動用サーボモータと、を備え、
該ナイフ駆動用サーボモータにより移動するナイフの刃先の位置を検出可能に前記ナイフ検出手段を配設すると共に、前記シール用サーボモータによる前記シール体の回転位置を検出可能に前記シーラ検出手段を配設したことを特徴とする請求項3記載の製袋充填機におけるシール切断装置。
【請求項5】
前記制御手段は、シール体からナイフの刃先を出没して筒状包装材を切断するよう、前記進退移動手段を作動制御すると共に、包装速度が変化した際には、前記ナイフの移動速度を変えることなくナイフの突出作動開始タイミングを変更するよう、前記進退移動手段を作動制御することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の製袋充填機におけるシール切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋充填機において筒状包装材をエンドシールする際に、シール体に内装されたナイフで筒状包装材を切断するシール切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製袋充填機において、一対のシール体で筒状フィルム(筒状包装材)を挟持してフィルム搬送方向と交差する方向にエンドシールを施すと共に、そのシール箇所においてフィルム搬送方向と交差する方向に筒状フィルムを切断するシール切断装置として、対をなすシール体で筒状フィルムを挟持するタイミングに合わせて、一方のシール体の内部に収容しているナイフをシール面から突出して筒状フィルムを切断する、所謂「突っ切り」タイプの切断手段を採用したシール切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記「突っ切り」タイプの切断手段を採用したシール切断装置において、筒状フィルムを安定して切断するには、シール体により筒状フィルムを挟持する時期となる所定のタイミングで、所定の速度によりナイフを移動させるのが好ましい。従来のシール切断装置では、包装条件に応じてナイフの突出動作を開始するタイミングを設定し、その設定した突出作動開始タイミングによりナイフを作動制御するようにしており、製袋充填機において、包装速度(所定時間当たりの包装可能数)が高速又は低速に変更されると、その都度、製袋充填機の包装速度に応じたナイフの突出作動開始タイミングに設定変更する必要があり、その際には、作業者が筒状フィルムの切断状況を確認しながら、ナイフの切れ具合が良好なタイミングを見つけてナイフの突出作動開始タイミングを設定し直す必要があった。また、ナイフの突出作動開始タイミングを同じタイミングにした状態で、包装速度に応じてナイフの移動速度を変化させてしまうと、包装速度が低速になる程、ナイフの刃先が筒状フィルムを突っ切る時の移動速度が遅くなってしまい、筒状フィルムが良好に切断できなくなってしまうといった問題が生ずる。
【0005】
本発明は、包装速度を変更しても、筒状包装材の切断を良好に行い得る製袋充填機におけるシール切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の製袋充填機におけるシール切断装置は、
筒状包装材(10)の搬送路を挟んで対向する一対のシール体(14,15)で筒状包装材(10)を挟持して搬送方向と交差する方向にシールを施すと共に、一方のシール体(14)からナイフ(16)の刃先(16a)を突出して筒状包装材(10)を切断するようにした製袋充填機におけるシール切断装置であって、
前記シール体(14)からナイフ(16)の刃先(16a)を出没して筒状包装材(10)を切断するようナイフ(16)を所定の速度で移動する進退移動手段(17)と、
前記シール体(14,15)の動作位置を検出するシーラ検出手段(18)と、を備え、
前記シール体(14,15)が筒状包装材(10)を挟持するタイミングで、前記刃先(16a)がシール体(14)から最も突出したナイフタイミングを設定し、
設定したナイフタイミングとなるよう、包装速度に応じて、ナイフ(16)の突出作動開始タイミングを算出して前記進退移動手段(17)を作動制御する制御手段(20)を設けたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ナイフの刃先がシール体から最も突出したナイフタイミングを設定するだけで、包装速度の変化に伴いナイフの突出作動開始タイミングが算出されてナイフが作動制御されるので、包装速度に合わせて、その都度、作業者が突出作動開始タイミングを設定し直す必要がなく、シール体が筒状包装材を挟持するタイミングに合致した適正タイミングで、筒状包装材を良好に切断することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記進退移動手段(17)を駆動するナイフ駆動用サーボモータ(35)と、
前記ナイフ(16)の移動位置を検出するナイフ検出手段(39)と、を備え、
前記シーラ検出手段(18)により検出されるシール体(14,15)の動作位置との関係において、前記刃先(16a)が最も突出した位置になるナイフタイミングを、データ入力手段(19)で数値入力するよう構成したことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、進退移動手段をサーボモータによって作動するよう構成したので、ナイフを精度よく作動制御することができる。また、刃先がシール体から最も突出した位置になるナイフタイミングを数値入力することができるので、設定操作を簡単に行うことができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記一対のシール体(14,15)を回転するシール用サーボモータ(25)を備え、
前記一方のシール体(14)に刃先(16a)を出没可能に収容支持した前記ナイフ(16)に、前記進退移動手段(17)を連繋するよう構成したことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、サーボモータによって回転するシール体の一方に刃先が出没可能に支持したナイフを、サーボモータにて移動させるようにしたので、高速包装においてもシール体の回転と相まってナイフ動作の遅れが生じることなく、筒状包装材の切断を精度よく良好に行うことができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記一方のシール体(14)は、前記ナイフ(16)を収容支持したアンビル(14)であり、他方のシール体(15)は、超音波振動するホーン(15)である超音波シール機構により構成され、
前記進退移動手段(17)は、
前記ナイフ(16)の刃先(16a)をアンビル(14)から出没可能なリンク機構(33)と、
前記アンビル(14)の中空軸(21)内に、軸方向に移動可能に挿通され、前記リンク機構(33)に一端部が接続された作動ロッド(36)と、
該作動ロッド(36)を軸方向に移動する前記ナイフ駆動用サーボモータ(35)と、を備え、
該ナイフ駆動用サーボモータ(35)により移動するナイフ(16)の刃先(16a)の位置を検出可能に前記ナイフ検出手段(39)を配設すると共に、前記シール用サーボモータ(25)による前記シール体(14,15)の回転位置を検出可能に前記シーラ検出手段(18)を配設したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、シール体およびナイフをサーボモータによって作動すると共に、その回転位置および移動位置を検出手段によって検出するようにしたので、シール体の回転位置とナイフの移動位置とを精度よく作動制御することができる。また、超音波振動するホーンに対する他方のシール体となるアンビル内に、接続されたナイフと作動ロッドとを配設したので、超音波振動の影響をナイフや進退移動手段が直接受けることはなく、安定的なナイフの突っ切り動作により筒状包装材を良好に切断することができる。加えて、超音波振動によりナイフの動作機構及び駆動部に損耗などが生じてしまうことを防止することができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記制御手段(20)は、シール体(14)からナイフ(16)の刃先(16a)を出没して筒状包装材(10)を切断するよう、前記進退移動手段(17)を作動制御すると共に、包装速度が変化した際には、前記ナイフ(16)の移動速度を変えることなくナイフ(16)の突出作動開始タイミングを変更するよう、前記進退移動手段(17)を作動制御することを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、包装速度の変更時においても、ナイフの突っ切り動作が変わることが無いので、良好に筒状包装材を切断することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、包装速度の変化に対応してナイフの刃先がシール体から最も突出したナイフタイミング(切断タイミング)が自動で設定されるので、煩雑な調節作業を行うことなく筒状包装材の突っ切り切断を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】アンビルに配設された切断手段を示す概略正面図である。
【
図5】包装速度を変更する場合のディスプレイの画面を示す説明図である。
【
図6】包装速度を変更した場合におけるナイフの動作タイミングを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る製袋充填機におけるシール切断装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、シール切断装置を、横形製袋充填機のエンドシール装置として採用した場合で説明するが、製袋充填機としては、縦形製袋充填機、その他の製袋充填機であってもよい。
【実施例0014】
横形製袋充填機(包装機)は、原反ロールから引き出した帯状フィルム(包装材)の長手方向両端縁部を重合して成形された筒状フィルム10にセンターシールを施し、筒状フィルム10に所定間隔毎に供給された物品11の前後位置で筒状フィルム10を挟持し、フィルム搬送方向と交差する方向(幅方向)にエンドシール・切断を施すエンドシール装置からなるシール切断装置を備えている。
図2に示す如く、エンドシール装置のフィルム搬送方向の前後に、物品11を筒状フィルム10を介して下側から支持して下流側に搬送する搬送コンベヤ12と搬出コンベヤ13とが設けられ、エンドシール・切断されて上流側の筒状フィルム10から切り離された製品(ピロー包装品)は、搬出コンベヤ13によって次工程に搬出される。
【0015】
図1~
図3に示す如く、前記エンドシール装置は、筒状フィルム10の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対のシール体14,15と、一方のシール体14に支持されて筒状フィルム10を切断するナイフ16と、該ナイフ16を、一方のシール体14のシール面30bから刃先16aが突出しない待機位置(刃先16aをシール体内に引っ込めた位置)およびシール面30bから刃先16aが最も突出する最大突出位置(突出位置)の間で進退する進退移動手段17と、筒状フィルム10が1包装分搬送される1包装サイクルにおける一対のシール体14,15の動作位置(回転位置)を検出するシーラ検出手段18と、該シーラ検出手段18で検出される一対のシール体14,15の動作位置に対応して、進退移動手段17によりナイフ16が最大突出位置となるナイフタイミングを設定するデータ入力手段19と、該データ入力手段19で設定されたナイフタイミングおよび包装機の包装速度に基づいて、1包装サイクルにおけるナイフ16の待機位置からの作動開始タイミング(突出作動開始タイミング)を算出する制御手段20と、を備える。実施例のエンドシール装置は、筒状フィルム10の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対の回転軸21,22の内の、一方の回転軸(第1回転軸)21に配設された一方のシール体14をアンビルとすると共に、他方の回転軸(第2回転軸)22に配設された他方のシール体15を振動発生手段23により超音波振動するホーンとした超音波シール機構として構成される。なお、実施例の各シール体14,15は、回転軸21,22の周方向に180度間隔で2つの後述するシール片30またはシール受片27が設けられており、実施例では回転軸21,22の1/2回転で1包装サイクルとなる。
【0016】
図1に示す如く、前記振動発生手段23は第2回転軸22に連繋されており、該振動発生手段23は、超音波を発生するコンバータや、超音波を増幅するブースタなどを備え、ホーン15を所定の振幅で超音波振動するよう構成され、前記フィルム搬送手段や搬送コンベヤ12で搬送される筒状フィルム10を、アンビル14とホーン15とにより所定圧力で挟持して、超音波振動にて幅方向にエンドシールを施すよう構成される。一対の回転軸21,22は、幅方向に離間する一対の支持部材24,24に回転自在に支持されて、一対の支持部材24,24の間において、実施例では搬送路を挟んで上側にホーン15が配置されると共に、下側にアンビル14が配置される。また、アンビル14が配設された第1回転軸21は、アンビル14の後述する本体28の幅方向の一端から延出する軸部21aが、駆動手段としてのシール用サーボモータ25に連繋されると共に、軸部21aと、ホーン15の第2回転軸22とが、歯車機構やチェン-スプロケット機構などの伝達機構26を介して連繋されており、シール用サーボモータ25の駆動によってアンビル14とホーン15とは相互に反対方向に回転駆動される。シール用サーボモータ25の回転系に、1包装サイクルにおけるアンビル14およびホーン15の動作位置を検出可能なシーラ検出手段18として、シール用サーボモータ25に付設されたエンコーダ49と、アンビル14の第1回転軸21と一体回転する回転板50と、該回転板50に形成された被検出部を検出するシーラ原点センサ51との組み合わせによるシーラ検出手段18が配設され、シーラ原点センサ51の原点検出信号(被検出部を検出した信号)とエンコーダ49のパルス数が制御手段20に入力されて、1包装サイクルにおけるアンビル14およびホーン15の原点位置および回転現在位置を得ることができる。
【0017】
図1、
図2に示す如く、前記ホーン15は、回転方向に離間して径方向に延出する複数(実施例では180°間隔で2つ)のシール受片27が設けられている。また、シール受片27に、外周面から径方向に凹む凹溝27aが幅方向に延在するよう形成されると共に、該凹溝27aを挟んで回転方向の前後両側に、シール面27b,27bが幅方向に直線状に延びるように形成されている。
【0018】
図1~
図3に示す如く、前記アンビル14は、前記第1回転軸21に配設されて一体で回転する本体28と、該本体28に内部画成した収容室28aに収容されて径方向に移動可能な前記ナイフ16を有する切断手段29と、該切断手段29の移動方向に対応する本体28の外周面(外面)に配設されて前記ホーン15の各シール受片27と対をなすシール片30と、を備える。本体28には、各シール片30の配設部位に対応して、切断手段29のナイフ16が通過可能な径方向に貫通する貫通孔28bが、幅方向に所定長さで形成されている。
【0019】
図2、
図3に示す如く、前記アンビル14のシール片30には、本体28の前記貫通孔28bと対応する位置に、前記ナイフ16が通過可能な径方向に貫通する長孔30aが形成されると共に、該長孔30aを挟んでアンビル14の回転方向の前後両側に、前記ホーン15のシール面27b,27bと対をなすシール面30b,30bが幅方向に延びるように形成されている。そして、搬送中の筒状フィルム10に対してアンビル14とホーン15とが回転して、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品11を挟む前後両側において、筒状フィルム10を両シール面27b,30bにより所定圧力で挟持し、ホーン15から発せられる超音波振動が挟持部へ伝達されて熱溶着フィルムが溶融し、筒状フィルム10の搬送方向と交差して、密封されたエンドシール部が形成される。
【0020】
図2、
図3に示す如く、前記切断手段29は、前記アンビル14の収容室28a内に支持されて径方向に往復移動自在な移動部材31と、該移動部材31における各シール片30に対応する部位に配設されたナイフ16とを備え、切断手段29は、移動部材31の往復移動によってナイフ16の刃先16aが対応する前記貫通孔28bおよび長孔30aを通ってシール面30bから突出して筒状フィルム10を切断するよう構成される。
【0021】
前記切断手段29は、該切断手段29を径方向に進退移動する前記進退移動手段17に連繋されている。進退移動手段17は、
図1、
図3に示す如く、前記収容室28a内に支持されて前記移動部材31に連繋されたリンク機構33と、該リンク機構33を作動する作動機構34と、該作動機構34を作動する駆動手段としてのナイフ駆動用サーボモータ35と、を備える。前記第1回転軸21における前記本体28の前記伝達機構26が連繋される軸部21aとは反対側の軸部21bは中空軸として構成されて、該軸部21b内に、作動機構34を構成する作動ロッド36が軸方向に移動可能に挿通支持されている。該作動ロッド36は、一端部がリンク機構33に接続されると共に、他端部が、軸方向に沿って移動自在な可動体37に連結されている。また、前記ナイフ駆動用サーボモータ35の出力軸35aが、作動ロッド36と交差する方向に延出し、該出力軸35aに偏心リングを介して回転自在に配設されたレバー38の端部が前記可動体37に回転自在に配設されている。そして、作動ロッド36に連結されたリンク機構33によって移動部材31の進退移動方向の中間位置において、両ナイフ16,16の刃先16aが何れもアンビル14のシール面30b,30bから突出しない位置に位置付けられる。そして、一方のナイフ16の刃先16aが対応するシール面30bから突出するときには、他方のナイフ16の刃先16aが対応するシール面30bから突出せずに、シール片30の長孔30aから貫通孔28b内に引っ込む関係となるよう構成されている。
【0022】
前記進退移動手段17は、アンビル14およびホーン15における回転軸21,22の回転に連動して、アンビル14のシール面30bとホーン15のシール面27bとが筒状フィルム10を挟持する位置に至るタイミングにおいて、アンビル14のシール面30bからナイフ16の刃先16aを突出するように前記移動部材31を移動するよう構成される。実施例では、
図2に示す如く、アンビル14およびホーン15の一方の組のシール片30およびシール受片27で相互に筒状フィルム10を挟んだ挟持位置に位置付いて、アンビル14およびホーン15の夫々の2つのシール片30およびシール受片27が鉛直方向に整列する状態となった時のシールタイミングは、1包装サイクルを360度で角度換算した場合における180度となり、アンビル14およびホーン15が前記挟持位置から回転方向に向けて90度回転して、水平な横向き姿勢になったタイミングが原点(0度,原点位置)に設定される。すなわち、アンビル14およびホーン15が半回転する毎に1包装サイクルとなるよう規定される。
【0023】
図1に示す如く、前記ナイフ駆動用サーボモータ35の回転系に、1包装サイクルにおける前記ナイフ16の動作位置(刃先16aの位置)を検出可能なナイフ検出手段39が配設される。ナイフ検出手段39は、ナイフ駆動用サーボモータ35に付設されたエンコーダ40とナイフ駆動用サーボモータ35の出力軸35aに一体回転するよう配設された回転板41と、該回転板41に形成された被検出部41aを検出するナイフ原点センサ42と、を備え、該ナイフ原点センサ42の原点検出信号と前記エンコーダ40のパルス数が前記制御手段20に入力される。実施例では、回転板41に、周方向に離間した2つの被検出部41aの検出時に2つのナイフ16の原点位置信号が出力される。このような原点位置において、両方のナイフ16は、アンビル14およびホーン15の両シール面30b,27bより刃先16aが突出していない位置に設定される。
【0024】
前記制御手段20には、
図4に示す如く、前記シール用サーボモータ25およびナイフ駆動用サーボモータ35が制御可能に接続されると共に、各サーボモータ25,35に付設されたエンコーダ49,40や、ナイフ検出手段39のナイフ原点センサ42とシーラ検出手段18のシーラ原点センサ51を含む各種の検出手段が接続される。また、制御手段20に、データ入力や項目選択によりデータ設定が可能で、設定されたデータ値や包装機の運転に係る様々な設定情報などを表示可能な前記データ入力手段としてのタッチパネル19が接続されており、該タッチパネル19により横形製袋充填機を駆動制御するための各種制御用データに加えて、包装速度、1包装長に対応するフィルム長さ(カットピッチ)および物品11のサイズデータなどの夫々に関する所定のデータ値を入力し得るようになっている。また、制御手段20は、タッチパネル19により入力設定された各種データに基づいて算出部44により所定の算出結果を得ることができる。
【0025】
前記制御手段20の算出部44では、タッチパネル19により入力設定されたナイフ16のナイフタイミングに関するデータ値および包装速度に基づいて、当該ナイフタイミングについて、1包装サイクルにおいて、アンビル14およびホーン15により筒状フィルム10が挟持される時期に合わせてナイフ16の刃先16aが最大突出位置に至るための、包装速度に対応したナイフ16の作動開始タイミングが算出される。包装速度が変更される時にも、アンビル14およびホーン15で筒状フィルム10が挟持される時期に合わせて、アンビル14およびホーン15の動作タイミングに対応したナイフ16の作動開始タイミングが算出される。そして、制御手段20は、算出部44で算出した結果において、アンビル14およびホーン15を駆動するシール用サーボモータ25と同期するよう、ナイフ駆動用サーボモータ35を制御して、ナイフ16の移動速度(動作速度)は、包装速度の変化に依存されない、予め設定された所定の共通の速度のまま、ナイフ16は最大突出位置まで移動すると共に、最大突出位置から後退するよう作動制御される。このようにして、ナイフ16の移動速度は、全ての包装速度において加速度および減速度を含む突き出しおよび戻り速度を変えることなく共通で、筒状フィルム10を良好に切断可能な、瞬間的動作となるように高速作動される共通速度として設定される。
【0026】
前記タッチパネル19において、前記ナイフ16のナイフタイミングを入力設定する設定画面45が用意される。
図5に示す如く、設定画面45には、画面左側の設定項目選択エリアに表示された設定項目名「ナイフ動作」46を選択指定することで、選択エリアの右側に配置された設定値入力エリアに、ナイフタイミングの設定値入力画面が表示される。該データ設定入力画面45において、ナイフタイミング設定部47として、データ入力項目名「ナイフ出到達のエンドタイミング」が表示され、該項目名の横並び位置にナイフ16の刃先16aが前記最大突出位置に至る時の、1包装サイクルに対するアンビル14およびホーン15の動作位置(動作タイミング)を入力するための「設定値入力表示部」が表示される。図示例では、ナイフタイミングを、前記したように180度に設定した場合を示している。また、ナイフタイミング設定部47の右側に、ナイフ16の作動開始タイミングを示す項目名「ナイフ出開始タイミング」と、作動開始タイミングの算出値を表示する数値表示部とが上下に並ぶ、作動開始タイミング表示部48が設けられる。ナイフタイミングの設定値が入力設定されることで、1包装サイクルに対するアンビル14およびホーン15の動作位置(動作タイミング)における「ナイフ出開始タイミング」が前記算出部44で自動算出されて、そのタイミング値が数値表示部に表示される。なお、ナイフタイミングのデータ入力設定は、前記ナイフタイミング設定部47の「設定値入力表示部」をタッチ操作することで、数値入力キーがポップアップウィンドウとして表示され、その数値入力キーによりナイフタイミングをデータ入力することができる。
【0027】
次に、実施例に係るエンドシール装置の作用について説明する。
包装機を運転するに際し、前記タッチパネル19に設定画面45を表示して、ナイフタイミング設定部47の数値表示部をタッチ操作して表示された数値入力キーによって、ナイフ16の刃先16aがアンビル14のシール面30bから最も突出したナイフタイミングを、アンビル14およびホーン15の動作タイミングによる数値によりデータ入力する。前記算出部44は、入力設定されたナイフタイミングの数値と、包装速度とに基づいて、ナイフ16の作動開始タイミングを算出し、その算出値が前記作動開始タイミング表示部48の数値表示部に表示される。例えば、
図6(1)に示す如く、運転時の第1の包装速度が200個/分として設定されている場合に、ナイフ16の刃先16aがアンビル14のシール面30bから最も突出したナイフタイミングとして1包装サイクルを360度で角度換算したタイミング値として、数値(180度)を入力設定すると、ナイフ16の作動開始タイミングの数値(160度)が算出部44で算出されて前記作動開始タイミング表示部48の数値表示部に表示される。そして、制御手段20は、当該包装速度で回転動作するアンビル14およびホーン15の前記エンコーダ49からの信号に基づく動作位置との関係で、ナイフ16(切断手段29)が、算出された作動開始タイミング(160度)で動作を開始して入力設定されたナイフタイミング(180度)で最大突出位置に至るように、前記ナイフ駆動用サーボモータ35が駆動制御され、ナイフ16が所定の突き出し速度によって筒状フィルム10を突っ切ると共にナイフ16の両側に位置するアンビル14およびホーン15のシール面30b,27bで筒状フィルム10が挟持されて、該筒状フィルム10がエンドシール・切断される。
【0028】
これに対して、例えば、運転時の包装速度が第1の包装速度より低速となる、第2の包装速度として100個/分の包装速度に変更された場合には、ナイフ16の突き出し、戻り速度は、第1の包装速度の場合と共通の速度で動作させるので、
図6(2)に示す如く、刃先16aがアンビル14のシール面30bから最も突出したナイフタイミング数値(180度)は変更されることなく、算出部44において、ナイフ16の動作を開始するナイフタイミングとして、前記第1の包装速度でナイフ16の動作を開始するナイフタイミングより遅れたタイミングとなる数値(170度)が算出される。また、
図6(3)に示す如く、例えば、包装機の寸動ボタンを押し続けることで、予め設定された低速度に制限された調整運転速度による第3の包装速度20個/分となって、包装機が運転される場合においても、ナイフ16の突き出し、戻り速度を包装速度の変化に依存しない所定の共通速度で動作させ、刃先16aがアンビル14のシール面30bから最も突出したナイフタイミング数値(180度)は変更されることなく、算出部44において、ナイフ16の動作を開始するナイフタイミングとして、先の包装速度100個/分の時のナイフ16の動作を開始するナイフタイミングより更に遅れた数値(175度)の作動開始タイミングが算出される。すなわち、包装速度を変更した際には、ナイフ16の移動速度を変えることなくナイフ16の作動開始タイミングが変更される。そして、制御手段20は、各包装速度で回転動作するアンビル14およびホーン15の前記エンコーダ49からの信号に基づく動作位置との関係で、算出された夫々のナイフタイミング(170度、175度)でナイフ16の移動を開始して入力設定されたナイフタイミング(180度)で最大突出位置に至るように、前記ナイフ駆動用サーボモータ35が駆動制御される。これにより、アンビル14およびホーン15が噛合位置(筒状フィルム10を挟持する位置)に至るタイミングに対応してナイフ16が最大突出位置に至り、アンビル14およびホーン15のシール面30b,27bで挟持された筒状フィルム10が切断される。
【0029】
実施例のエンドシール装置では、ナイフ16が最大突出位置となるナイフタイミングを入力設定するだけで、包装速度に応じたナイフ16の作動開始タイミングが算出部44で自動的に算出されるので、包装速度を変更した場合に、その都度人手で作動開始タイミングを変更調節することなく、アンビル14とホーン15とにより筒状フィルム10を挟持位置との関係で同じ箇所で筒状フィルム10を切断することができる。また、包装速度の変化でナイフ16の移動速度(加速度および減速度)が変わることなく、該ナイフ16の作動開始タイミングを変更するので、ナイフ16の突っ切り動作が変わることなく筒状フィルム10の切断を良好にでき、切断不良品の発生を防ぐことができる。例えば、寸動運転などのように包装速度が、包装機の標準包装速度(例えば、200個/分)より極端に低い場合であっても、ナイフ16による筒状フィルム10の切れが変わらずに筒状フィルム10の切断を良好に行うことができる。
【0030】
実施例のエンドシール装置では、切断手段29の進退移動手段17をナイフ駆動用サーボモータ35で作動するよう構成したので、ナイフ16を精度よく進退移動することができる。従って、ナイフ16の進退移動と、アンビル14およびホーン15の回転動作との間にタイミングのズレが生じて、ナイフ16がホーン15のシール面27bなどに接触して破損などするのを防ぐことができる。すなわち、高速包装においてもシール体14,15の回転と相まってナイフ動作の遅れが生じることなく、筒状フィルム10の切断を精度よく良好に行うことができる。また、タッチパネル19に表示した設定画面45において、ナイフタイミングを数値入力するよう構成したので、ナイフタイミングの設定が簡単である。
【0031】
実施例のエンドシール装置では、一対のシール体14,15を回転式としたので、高速化が求められる包装に好適に採用することができる。また、シール体14,15を、アンビル14とホーン15とで構成して超音波振動によって筒状フィルム10をエンドシールするよう構成し、切断手段29が配設されていないホーン15を振動発生手段23により超音波振動するよう構成したので、振動発生手段23による超音波振動の影響を切断手段29や進退移動手段17が直接受けることはなく、超音波振動により切断手段29や進退移動手段17が損耗して動作不良が生じて、ナイフタイミングが変化してしまうような事態になるのを未然に防ぐことができる。
【0032】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用することができる。
(1) アンビル14に設けるシール片30は、2つに限らず1つであってもよく、移動部材31に配設するナイフ16やホーン15に設けるシール受片27の数は、アンビル14に設けるシール片30の数に対応していればよい。
(2) リンク機構33、作動機構34、ナイフ駆動用サーボモータ35により、ナイフ16を進退移動する進退移動手段17を構成したが、該進退移動手段17は、その他各種の作動形態を採用することができる。例えば、サーボモータ35に代えてエアシリンダによってリンク機構33を作動する構成や、リンク機構を用いることなく他の作動機構によりサーボモータやエアシリンダなどの駆動手段でナイフ16を進退移動する構成などを採用することができる。
(3) 実施例では一対のシール体14,15を回転駆動する回転式のエンドシール装置に適用したが、回転式に限らず、開閉式、その他ボックスモーション式におけるシール切断装置の突っ切りナイフ形態に適用することができる。
(4) シール切断装置は、超音波式のエンドシール装置に適用した場合で例示したが、加熱したシール体によるヒートシール方式のシール切断装置にも適用することができる。
(5) タッチパネル19によりナイフ16の刃先16aが前記最大突出位置に至るナイフタイミングを直接数値入力するようにしたが、数値データを呼び出して設定するなどの設定形態を採用したり、シール体14,15を噛合位置まで移動して、そのタイミングデータが読み込まれて表示され、その設定データを前記最大突出位置に至るナイフタイミングとして設定したりするなどの設定形態を採用することもできる。
または、ナイフ16の刃先16aが前記最大突出位置に至るナイフタイミングは、入力設定によらず、シール体14,15の噛合位置に至る噛合タイミングとの関係で予めプログラム設定値として記憶しておき、そのプログラム設定値に対して最大突出位置となるナイフタイミングを補正することで設定する操作などを行うようにしたものであっても良い。