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特開2024-85337分離機、洗浄機、空気噴出器、および、循環式のブラストシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085337
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】分離機、洗浄機、空気噴出器、および、循環式のブラストシステム
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
B24C9/00 E
B24C9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199827
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】517429042
【氏名又は名称】北進株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522347896
【氏名又は名称】オプティマ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598109752
【氏名又は名称】好川産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】角藤 泰弘
(57)【要約】
【課題】従来よりも効率的に使用済み研削材から粉塵を分離可能な分離機、洗浄機、空気噴出器、および循環式のブラストシステムを提供する。
【解決手段】分離機は、上部体と、テーパー状に形成されている下部体と、を含む分離機本体と、上部体の側壁に設けられた穴部に一端部が接続され分離機本体の内部への研削材および粉塵の供給用の供給管と、分離機本体の内部において供給管の一端部と対向しかつ下端部位置が上部体と下部体との接続部分よりも下位に設定された状態で天板から下垂するように設けられ、上部体の側壁および下部体とともにノズルを形成する隔壁と、上部体において供給管と隔壁との間の内部空間と反対側の内部空間に連通しており、粉塵を分離機本体の外部に排出する通気口と、分離機本体に接続された気流の速度を調整可能な送風手段により生成される空気流を分離機本体の内部に取り込み可能な取込口と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスト装置によって被処理物に対して噴射されて使用済みとなった研削材と、前記研削材が前記被処理物に対して噴射されることによって発生した粉塵と、を含む混合物を、前記研削材と前記粉塵とに分離する分離機であって、
天板と、前記天板の縁部に一端部が接続された側壁と、に囲まれた上部体と、前記側壁の他端部に接続され、前記側壁の他端部から少なくとも下方の途中まで狭くなるテーパー状に形成されている下部体と、を有している分離機本体と、
前記上部体の側壁に設けられた穴部に一端部が接続され、前記分離機本体の内部への前記研削材および前記粉塵の供給用の供給管と、
前記分離機本体の内部において、前記供給管の一端部と対向した状態かつ下端部位置が前記上部体と前記下部体との接続部分よりも下位に設定された状態で前記天板から下垂するように設けられ、前記上部体の側壁および前記下部体とともにノズルを形成する隔壁と、
前記上部体において前記供給管と前記隔壁との間の内部空間と反対側の内部空間に連通しており、前記粉塵を前記分離機本体の外部に排出する通気口と、
前記分離機本体に接続され、気流の速度を調整可能な送風手段により生成される空気流を前記分離機本体の内部に取り込み可能な取込口と、
を備えていることを特徴とする分離機。
【請求項2】
前記空気流の速度は、前記送風手段によって、前記研削材を上昇不可能かつ前記粉塵を上昇可能な範囲の量に調整可能であることを特徴とする請求項1に記載の分離機。
【請求項3】
前記研削材および前記粉塵が衝突するように、前記上部体の側壁と前記隔壁との間において前記供給管の一端部と離して設けられている衝突板をさらに備え、
前記衝突板は、導電性の部材であって、アースされた状態で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分離機。
【請求項4】
前記分離機本体内において前記分離機本体内の前記研削材に対してパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分離機。
【請求項5】
前記下部体の下端部に、前記研削材の排出口が設けられており、
前記排出口には、前記排出口の内壁から前記排出口の中心部に向かってパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の分離機。
【請求項6】
ブラスト装置によって被処理物に対して噴射されて使用済みとなった研削材に付着している粉塵を分離洗浄する洗浄機であって、
前記研削材が投入される開口部が設けられた上部を有している上部筒状部と、前記上部筒状部の下端部に連設された下部筒状部と、を含む洗浄機本体と、
外部空気を前記洗浄機本体の内部空間に供給可能に前記洗浄機本体の内部空間と連通するように接続されている空気供給部と、
前記上部筒状部の内部空間に連通しており、前記粉塵を前記洗浄機本体の上部の外部に排出する通気口と、
前記洗浄機本体内において前記洗浄機本体内の前記研削材に対してパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられていることを特徴とする洗浄機。
【請求項7】
前記下部筒状部の下端部に、前記研削材の排出口が設けられており、
前記排出口には、前記排出口の壁面から前記排出口の中心部に向かってパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の洗浄機。
【請求項8】
外周側面と内周側面とを貫通するように形成された貫通孔を少なくとも1つ有した環状のフランジ部材と、
前記貫通孔の前記フランジ部材の外周側の開口部に接続され、前記貫通孔を介して、前記フランジ部材の内周側に向けて空気をパルス状に噴出する噴出部と、を備え、
ブラスト装置によって被処理物に対して噴射されて使用済みとなった研削材が前記フランジ部材の内周側を通過する際、前記空気を前記貫通孔から噴出する空気噴出器。
【請求項9】
前記貫通孔が、前記フランジ部材の周方向に複数配設されていることを特徴とする請求項8に記載の空気噴出器。
【請求項10】
圧縮空気により研削材を被処理物へ噴射する噴射器と、前記圧縮空気を前記噴射器に供給する空気供給手段と、を有するブラスト装置本体と、
前記噴射器によって前記被処理物に対して噴射された使用済み研削材と、ブラスト処理により発生する粉塵と、を吸引または圧送して回収する回収手段と、
前記回収手段によって吸引または圧送された前記使用済み研削材と前記粉塵とを分離する請求項1に記載の分離機と、
前記分離機から供給された前記使用済み研削材に付着している粉塵を分離洗浄する請求項6に記載の洗浄機と、
を備え、
前記洗浄機によって洗浄された前記使用済み研削材を前記噴射器によって再度噴射して前記ブラスト処理を行うことを特徴とする循環式のブラストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離機、洗浄機、空気噴出器、および、循環式のブラストシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁などの鋼構造物は、経年劣化によって錆、塗膜の劣化などが生じる。そのため、定期的に、古い塗装を除去して新しい塗装を施す保全作業が行われている。この保全作業において、古い塗膜、錆などを除去するために、ブラスト処理が行われている。このようなブラスト処理では、塗装面へ噴射した使用済み研削材と、除去した塗膜片などを含む粉塵とが飛散するため、これらを回収する必要がある。
【0003】
このような使用済み研削材および粉塵を回収し、使用済み研削材と粉塵とを分離して、使用済み研削材を再利用するブラスト装置が知られている。例えば、特許文献1には、研掃材と粉塵との浮遊速度の違いを利用した分離機を備えるブラスト装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-289666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のブラスト装置では、研掃材の種類などに応じて分離機内に設けられているバッフル板の位置調整が必要であり、分離機内の気流速度を適切に調整することが困難であった。そのため、研掃材の種類などによっては、研掃材と粉塵との分離が不十分となる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、本体内部の気流速度を容易に調整することができ、従来よりも効率的に使用済み研削材から粉塵を分離可能な分離機、使用済み研削材に付着している粉塵を分離洗浄可能な洗浄機、本分離機および本洗浄機に用いられる空気噴出器、および、本分離機および本洗浄機を含む循環式のブラストシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明の分離機は、ブラスト装置によって被処理物に対して噴射されて使用済みとなった研削材と、前記研削材が前記被処理物に対して噴射されることによって発生した粉塵と、を含む混合物を、前記研削材と前記粉塵とに分離する分離機であって、天板と、前記天板の縁部に一端部が接続された側壁と、に囲まれた上部体と、前記側壁の他端部に接続され、前記側壁の他端部から少なくとも下方の途中まで狭くなるテーパー状に形成されている下部体と、を有している分離機本体と、前記上部体の側壁に設けられた穴部に一端部が接続され、前記分離機本体の内部への前記研削材および前記粉塵の供給用の供給管と、前記分離機本体の内部において、前記供給管の一端部と対向した状態かつ下端部位置が前記上部体と前記下部体との接続部分よりも下位に設定された状態で前記天板から下垂するように設けられ、前記上部体の側壁および前記下部体とともにノズルを形成する隔壁と、前記上部体において前記供給管と前記隔壁との間の内部空間と反対側の内部空間に連通しており、前記粉塵を前記分離機本体の外部に排出する通気口と、前記分離機本体に接続され、送風量を調整可能な送風手段により生成される空気流を前記分離機本体の内部に取り込み可能な取込口と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
(2) 上記(1)の分離機においては、前記空気流の速度は、前記送風手段によって、前記研削材を上昇不可能かつ前記粉塵を上昇可能な範囲の量に調整可能であることが好ましい。
【0009】
(3) 別の観点として、上記(1)の分離機においては、前記研削材および前記粉塵が衝突するように、前記上部体の側壁と前記隔壁との間において前記供給管の一端部と離して設けられている衝突板をさらに備え、前記衝突板は、導電性の部材であって、アースされた状態で設けられていてもよい。
【0010】
(4) 他の観点として、上記(1)の分離機においては、前記分離機本体内において前記分離機本体内の前記研削材に対してパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられているものであってもよい。
【0011】
(5) 他の観点として、上記(1)の分離機においては、前記下部体の下端部に、前記研削材の排出口が設けられており、前記排出口には、前記排出口の内壁から前記排出口の中心部に向かってパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられているものであってもよい。
【0012】
(6) 本発明は、ブラスト装置によって被処理物に対して噴射されて使用済みとなった研削材に付着している粉塵を分離洗浄する洗浄機であって、前記研削材が投入される開口部が設けられた上部を有している上部筒状部と、前記上部筒状部の下端部に連設された下部筒状部と、を含む洗浄機本体と、外部空気を前記洗浄機本体の内部空間に供給可能に、前記洗浄機本体の内部空間と連通するように接続されている空気供給部と、前記上部筒状部の内部空間に連通しており、前記粉塵を前記洗浄機本体の上部の外部に排出する通気口と、前記洗浄機本体内において前記洗浄機本体内の前記研削材に対してパルス状に空気を噴出する空気噴出器が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
(7) 上記(6)の洗浄機においては、前記下部筒状部の下端部に、前記研削材の排出口が設けられており、前記排出口には、前記排出口の壁面から前記排出口の中心部に向かってパルス状に空気を噴出する噴出器が設けられていることが好ましい。
【0014】
(8) 本発明の空気噴出器は、外周側面と内周側面とを貫通するように形成された貫通孔を少なくとも1つ有した環状のフランジ部材と、前記貫通孔の前記フランジ部材の外周側の開口部に接続され、前記貫通孔を介して、前記フランジ部材の内周側に向けて空気をパルス状に噴出する噴出部と、を備え、ブラスト装置によって被処理物に対して噴射されて使用済みとなった研削材が前記フランジ部材の内周側を通過する際、前記空気を前記貫通孔から噴出することを特徴とするものである。
【0015】
(9) 上記(8)の空気噴出器においては、前記貫通孔が、前記フランジ部材の周方向に複数配設されていることが好ましい。
【0016】
(10) 本発明の循環式のブラストシステムは、圧縮空気により研削材を被処理物へ噴射する噴射器と、前記圧縮空気を前記噴射器に供給する空気供給手段と、を有するブラスト装置本体と、前記噴射器によって前記被処理物に対して噴射された使用済み研削材と、ブラスト処理により発生する粉塵と、を吸引または圧送して回収する回収手段と、前記回収手段によって吸引または圧送された前記使用済み研削材と前記粉塵とを分離する上記(1)に記載の分離機と、前記分離機から供給された前記使用済み研削材に付着している粉塵を分離洗浄する上記(6)に記載の洗浄機と、を備え、前記洗浄機によって洗浄された前記使用済み研削材を前記噴射器によって再度噴射して前記ブラスト処理を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本体内部の気流速度を容易に調整することができ、従来よりも効率的に使用済み研削材から粉塵を分離可能な分離機を提供できる。また、使用済み研削材に付着した粉塵を分離洗浄可能な洗浄機を提供できる。また、本分離機および本洗浄機に用いられる空気噴出器を提供できる。また、本分離機および本洗浄機を含む循環式のブラストシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る循環式のブラストシステムの概略構成図である。
図2図1の分離機および洗浄機を示す正面図である。
図3図2の分離機の概略縦断正面図である。
図4図2の分離機の動作説明図である。
図5図4に示した領域Vの拡大断面図である。
図6図2の洗浄機の概略縦断正面図である。
図7図2の洗浄機に用いられる第2空気噴出器の環状フランジ部材を示す斜視図である。
図8図7の環状フランジ部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る循環式のブラストシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るブラストシステム100は、圧縮空気により研削材1を被処理物4へ噴射するブラストノズル5を有する噴射器6と、エアコンプレッサ3(送風手段の一部であり、空気供給手段の一部でもある)と、ブラスト装置本体10aと、を有するブラスト装置10と、使用済みの研削材1および塗膜片などを含む粉塵2の混合物を吸引ホース8を介して吸引するバキュームポンプ12(回収手段の一部)と、使用済みの研削材1と粉塵2とを分離する分離機20と、使用済みの研削材1を洗浄する洗浄機40と、粉塵2を回収する集塵機11と、を備えている。なお、噴射器6には、エアコンプレッサ3の圧縮空気がブラストホース7を介して供給される。また、エアコンプレッサ3は、例えば、電動式、エンジン式等を用いることができる。また、ブラスト装置10は、図示を省略するが、エアコンプレッサ3の起動、停止を行うための操作スイッチ等を備えている。なお、使用済みの研削材1および粉塵2が外部に漏出しないように、図示しない防塵シートが作業現場には張設され、集塵装置等も適宜設置されている。
【0021】
図1に示すように、ブラスト装置本体10aは、研削材1を貯留するタンク10bを備えている。タンク10bの上部の通路70内には、開閉自在なバルブ(図示せず)が設けられており、このバルブは、後述する第2空気噴出器60と接続する第3フランジ部材61を介して洗浄機40の下部に連結されている。なお、このバルブの開度の開操作を行うことにより、洗浄機本体40a(図6参照)内部に貯留された研削材1をタンク10b内部に所定量流下させることが可能となっている。また、タンク10bの下部には、タンク10b内部の研削材1の送り出しを行う送り出し部16と、タンク10b内部から送り出された研削材1と、エアコンプレッサ3による圧縮空気と、を混合してブラストホース7へ送り込む混合部17とが設けられている。なお、送り出し部16は、タンク10b内部の研削材1を混合部17へ送り出す量を調整可能なものであり、例えば、ロータリーバルブ、スクリューフィーダーなどを用いて構成されている。
【0022】
また、図1に示すように、タンク10bの側壁には、圧縮空気供給管71が設けられており、この圧縮空気供給管71とエアコンプレッサ3とは、管路14aを介して接続されている。また、圧縮空気供給管71と混合部17とは、管路14bを介して接続されている。なお、管路14aには、開閉弁72が設けられており、この開閉弁72の開度の開操作を行うことにより、エアコンプレッサ3から圧縮空気供給管71を介してタンク10b内部に供給される圧縮空気の量を調整することが可能となっている。また、管路14bには、調整弁73が設けられており、この調整弁73の開度の開操作を行うことにより、エアコンプレッサ3から混合部17に供給される圧縮空気の量を調整することが可能となっている。また、図1に示すように、タンク10bの側壁には、一端部がタンク10bの内部に連通し、他端部が大気開放されている排気管路74が設けられている。排気管路74には、排気弁75が設けられており、この排気弁75の開操作を行うことで、エアコンプレッサ3から圧縮空気供給管71を介してタンク10b内部に供給される圧縮空気によって常圧よりも高い高圧状態となっているタンク10b内圧を減圧することが可能となっている。
【0023】
上記構成を有するブラスト装置10において、タンク10b内部に研削材1が所定量貯留されている場合、通路70内のバルブおよび排気管路74の排気弁75を閉じた状態でエアコンプレッサ3を作動させ、開閉弁72の開操作を行うことによりエアコンプレッサ3の圧縮空気が管路14aを経由して圧縮空気供給管71を介してタンク10b内部へ供給され、調整弁73の開操作を行うことによりエアコンプレッサ3の圧縮空気が管路14bを経由して混合部17へ供給される。このとき、開閉弁72の開度を調整することにより、タンク10b内部の研削材1は、圧縮空気による所定の空気圧を受けて、送り出し部16を介して混合部17へ定量的に送り出される。そして、混合部17において管路14bを経由して供給される圧縮空気と混合された研削材1は、ブラストホース7を経由して噴射器6へと搬送される。したがって、本実施形態のブラスト装置10においては、乾式のエアーブラスト処理を行うことが可能となっている。また、タンク10b内部に研削材1を補充する場合には、まず開閉弁72を閉じてタンク10b内部および混合部17への圧縮空気の供給を停止し、排気弁75の開操作を行うことにより、タンク10b内部の空気が排気管路74を介して外部に排出され、タンク10b内圧は常圧に戻される。その後、通路70内のバルブの開操作を行うことにより、洗浄機本体40a(図6参照)内部に貯留された使用済みの研削材1をタンク10b内部に所定量投入することができる。したがって、本実施形態のブラスト装置10においては、使用済みの研削材1を再度使用してブラスト作業を行うことが可能となっている。
【0024】
図1に示すように、分離機20は、後述する上部体21の側壁25aに設けられている供給管27を介して吸引ホース8が接続されている。また、分離機20は、集塵機11と連通するダストホース9が、後述するダクト30の排気管32を介して接続されている。また、図1に示すように、集塵機11とバキュームポンプ12とは、管路13を介して接続されている。したがって、バキュームポンプ12の空気吸引力によって、吸引ホース8の先端開口から使用済みの研削材1および粉塵2をまとめて吸引可能となっている。そして、吸引された使用済みの研削材1および粉塵2は、吸引ホース8を通じて分離機20の上部体21の内部へ搬送される。
【0025】
また、図1に示すように、分離機20は、枠体15に固定され、洗浄機40の上方に配置されており、分離機20と洗浄機40とは、第1フランジ部材18および第2フランジ部材19を介して連結されている。また、図1に示すように、洗浄機40は、枠体15に固定され、後述する上部筒状部41の側壁43aに空気供給管44を有しており、この空気供給管44は、外部空気(二次空気)を洗浄機本体40aの内部空間41a(図6参照)に供給する空気供給部である。
【0026】
なお、本実施形態に係る洗浄機40は、後述する第1空気噴出器50および第2空気噴出器60から噴出されるパルス状の空気流によって、使用済みの研削材1を撹拌させて洗浄するものである。また、本実施形態に係る洗浄機40は、上述のブラスト装置本体10aの通路70内のバルブが閉状態である場合、内部に研削材1を貯留しておく貯留部としての機能も有している。
【0027】
次に、分離機20について、図2図5を参照して詳細に説明する。
【0028】
図2に示すように、分離機20は、天板23および四方の側壁24で囲まれた箱形の上部体21と、側壁24の下端部に連設され、下方に向かうにしたがって径が小さくなるテーパー状に形成されている下部体22と、を有する分離機本体20aと、上部体21の側壁25aに一端部が接続されている供給管27と、天板23上に設けられているダクト30と、を備えている。また、下部体22の下端部には、第1フランジ部材18が設けられている。なお、この第1フランジ部材18と、洗浄機40の上部筒状部41の上端部に設けられている第2フランジ部材19とは、ボルトおよびナットにより締結されている。また、供給管27の他端部には、吸引ホース8の基端部が接続されている。なお、分離機本体20aは、導電性(たとえば金属製)部材からなるものである。
【0029】
図2および図3に示すように、ダクト30は、天板23の上部に設けられたダクト本体30aと、ダクト本体30aから供給管27と反対側の水平方向に延びる延出部31と、を備えている。また、延出部31の先端部には、鉛直方向下向きに延びる排気管32が設けられており、この排気管32にダストホース9が接続されている。また、図3に示すように、ダクト本体30aの底面には、吸気口33が形成されている。なお、吸気口33および後述する上部体21の通気口26を介して、ダクト30の内部と上部体21の内部空間21aとが連通されている。
【0030】
図3に示すように、分離機本体20aは、内部に隔壁34と衝突板35とを備えている。隔壁34は、供給管27側の天板23から下垂するように設けられ、上部体21の内部について内部空間21aと内部空間21bとに仕切っている。また、隔壁34の下端部(先端部)の位置は、上部体21の側壁24と下部体22の下部側壁36との境界21c(上部体21と下部体22との接続部分)よりも下位になるように設定されている。
【0031】
衝突板35は、天板23から下垂し、側壁25aと隔壁34との間に位置して供給管27と対向するように形成されている。また、衝突板35は、分離機本体20aを介してアース線37と電気的に接続されており、アースされた状態で上部体21の内部に設けられている。これにより、使用済みの研削材1が、吸引ホース8内を移動する際に静電気を帯電し、使用済みの研削材1に粉塵2が強固に接着している場合であっても、このような使用済みの研削材1が、上部体21の内部へ流入してアースされた衝突板35に衝突することで除電されることになる。その結果、衝突時の衝撃および除電によって、使用済みの研削材1から粉塵2が容易に分離される。なお、衝突板35は、例えば、導電性(たとえば金属製)の板部材を用いることができる。また、衝突板35は、天板23から取り外して交換可能なものである。ここで、一変形例として、分離機本体20aが導電性部材からなるものでない場合は、衝突板35とアース線37とを電気的に直接接続する。
【0032】
また、上部体21の天板23において、側壁25aに対向する側壁25bと隔壁34との間に、通気口26が形成されている。なお、通気口26は、ダクト30の吸気口33と接続されている。また、下部体22の底面には、研削材1の排出口となる連通口38が形成されている。この連通口38は、図1および図2に示した第1フランジ部材18および第2フランジ部材19を介して後述する洗浄機40の上部開口部46(図6参照)と接続されており、分離機本体20aの内部と洗浄機本体40aの内部とが連通されている。また、この連通口38を介して、洗浄機本体40a(図6参照)の内部において、空気供給管44(図6参照)から供給された二次空気と、後述する第1空気噴出器50(図6参照)および第2空気噴出器60(図6参照)から噴出されたパルス状の空気と、に基づいて生成された空気流C(図4参照)が、分離機本体20aの内部に流入(取り込み)可能となっている。すなわち、連通口38は、空気流Cの取込口でもある。
【0033】
次に、分離機20の動作について、図4および図5(a)、(b)を参照して説明する。なお、図4は分離機20の動作説明図であり、分離機本体20aの内部気流を示した図である。図5(a)、(b)は、図4に示した領域Vの拡大断面図であり、図5(a)では、研削材1および粉塵2の図示を省略する。
【0034】
まず、バキュームポンプ12の作動により、吸引ホース8を介して使用済みの研削材1および粉塵2が、空気とともに供給管27から上部体21の内部空間21bに供給される。そして、使用済みの研削材1および粉塵2は、慣性力により衝突板35に衝突する。この衝突時の衝撃および除電によって、使用済みの研削材1から粉塵2が容易に分離される。また、使用済みの研削材1および粉塵2を搬送する搬送気流は、上部体21の内部に流入したときに、流れの断面の拡大によって減速するとともに、図4の矢印Aに示すように、隔壁34によって流れの方向が下方向に変更される。これらの結果として、分離した使用済みの研削材1および粉塵2は、下方向に移動する。
【0035】
次に、使用済みの研削材1および粉塵2は、流れの断面が絞られているノズル部39に移動する。ここで、ノズル部39とは、図5(a)に示すI-I線からII-II線までの領域のことである。なお、以下では、I-I線をノズル部39の入口、II-II線をノズル部39の出口とする。
【0036】
ノズル部39においては、流れの断面が絞られているため、搬送気流が速くなり、使用済みの研削材1および粉塵2は、ノズル部39の出口に向い加速されることになる。なお、このノズル部39において、比較的重い使用済みの研削材1はゆっくりと加速され、比較的軽い粉塵2は早く加速されるため、速度差が生じる。例えば、上部体21の内部に導入された研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との質量比が5:3、上部体21の内部に導入された研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との体積比が1000:1、である場合、ノズル部39における搬送気流速度が5.0m/s~8.0m/sとなるように設定されていることが好ましい。
【0037】
次に、ノズル部39の出口を通過した搬送気流は、流れの断面が急激に拡大するため、減速して、図4の矢印Bに示すように、下部体22から内部空間21aを介して天板23の通気口26に向かうことになる。なお、この下部体22側から内部空間21aを介して天板23の通気口26に向かう搬送気流Dの速度は、研削材1の浮遊速度(たとえば500cm/s)より小さく、かつ粉塵2の浮揚速度(たとえば50cm/s)以上となるように設定されている。好ましくは、搬送気流Dの速度が、研削材1の浮遊速度未満かつ粉塵2の浮揚速度の2倍に設定される。
【0038】
ここで、図5(b)に示すように、ノズル部39の出口付近、すなわち隔壁34の下端部付近において、比較的重い使用済みの研削材1は、遠心力で外側、つまり隔壁34の下端部から離れた位置に振り出されて、自重により連通口38に向かって落下する。一方、比較的軽く小さい粉塵2は、遠心力が弱いため、搬送気流により隔壁34の下端部近くを通り通気口26に向かって上方向に移動する。なお、使用済みの研削材1の一部は、隔壁34の下端部近くを通ることがあるが、通気口26に向かう搬送気流Dの速度が研削材1の浮遊速度(たとえば500cm/s)未満であれば、内部空間21a内を上昇できずに連通口38に向かって落下する。また、搬送気流Dの速度は、粉塵2が浮揚する速度(たとえば50cm/s)以上であれば、内部空間21a内を上昇し、ダクト30に向かう。ここで、例えば、上部体21の内部に導入された研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との質量比が5:3、上部体21の内部に導入された研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との体積比が1000:1、である場合、ノズル部39における研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との遠心力比が1700:1となるように、ノズル部39が設計されていることが好ましい。
【0039】
また、図4に示すように、連通口38を介して、洗浄機本体40a(図6参照)の内部において、空気供給管44(図6参照)から供給された二次空気と、後述する第1空気噴出器50(図6参照)および第2空気噴出器60(図6参照)から噴出されたパルス状の空気と、に基づいて生成された空気流Cが、下部体22の内部に流入する。ここで、この空気流Cは、分離機20の内部空間21aにおける搬送気流Dが、研削材1を上昇不可能かつ粉塵2を上昇可能な空気流となるように調整されている。なお、空気流Cの流量は、バキュームポンプ12によって吸引ホース8を介して分離機20の上部体21の内部空間21bに使用済みの研削材1および粉塵2を導入するための空気吸引力をさほど低下させない程度の流量に調整されていることが好ましい。具体的には、たとえば、研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との質量比が5:3、研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との体積比が1000:1、研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との遠心力比が1700:1である場合、空気流Cの速度は、50cm/s~100cm/sである。また、この場合、内部空間21aにおける搬送気流Dの速度は、研削材1(粒径1000μm)の浮遊速度未満かつ粉塵2(粒径100μm)の浮揚速度の2倍に設定されることが好ましい。
【0040】
そして、通気口26に向かう搬送気流Dおよび連通口38から流入した空気流Cによって、粉塵2は、通気口26および吸気口33を介して、ダクト30の内部へ搬送され、さらに排気管32およびダストホース9を介して、集塵機11へ搬送される。一方、使用済みの研削材1は、連通口38を通過して洗浄機本体40a(図6参照)の内部へ移動する。
【0041】
次に、洗浄機40について、図1図2図4図6図8を参照して詳細に説明する。なお、図6は洗浄機40の概略縦断正面図であり、簡便のため、洗浄機本体40aのみ概略断面図で示している。図7は、第2空気噴出器60の環状フランジ部材64を示す斜視図である。図8は、図7の環状フランジ部材64の平面図であり、エアチューブ67が接続されている状態を示す図である。
【0042】
図2および図6に示すように、洗浄機40は、略円筒状の上部筒状部41と、上部筒状部41の下端部に連設され、下方に向かうにしたがって径が小さくなるテーパー状に形成されている下部筒状部42と、を有し、内部に研削材1を貯蔵可能な洗浄機本体40aと、上部筒状部41の側壁43aに接続されている空気供給管44と、下部筒状部42の側壁43bに設けられている第1空気噴出器50と、下部筒状部42の下端部に設けられている第2空気噴出器60と、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60を操作する操作部45と、を備えている。
【0043】
上部筒状部41の上端部には、第2フランジ部材19が設けられている。また、上部筒状部41の上部には、上部開口部46が形成されている。また、下部筒状部42の下部には、下部開口部47が形成されている。なお、この下部開口部47は、図1に示すように、第2空気噴出器60、第3フランジ部材61、通路70、および通路70内のバルブを介してブラスト装置本体10aのタンク10bと接続されている。
【0044】
空気供給管44は、図1および図6に示すように、洗浄機本体40aの内部空間41aと連通するように上部筒状部41の側壁43aに設けられており、バキュームポンプ12の作動により使用済みの研削材1および粉塵2を回収する際に、負圧状態となっている内部空間41aに外部空気(二次空気)を供給可能なものである。また、空気供給管44は、図6に示すように、上部筒状部41の内部において下向きに開口する空気供給口48を有している。また、空気供給管44は、図6に示した流量調整弁49を備えており、洗浄機本体40aの内部空間41aに供給される二次空気の量を調整することが可能となっている。すなわち、流量調整弁49の開度の開操作を行うことで、上部開口部46および分離機20の連通口38を通過する空気流C(図4参照)の流量が調整可能となっている。なお、空気供給管44を介して洗浄機本体40aの内部空間41aに供給される二次空気の量は、流量調整弁49によって、空気流Cが、研削材1を上昇不可能かつ粉塵2を上昇可能な範囲の流量、およびバキュームポンプ12によって吸引ホース8を介して分離機20の上部体21の内部空間21bに使用済みの研削材1および粉塵2を導入するための空気吸引力をさほど低下させない程度の流量となるように調整されていることが好ましい。
【0045】
第1空気噴出器50は、圧縮空気を溜める第1エアタンク51と、空気の噴出部であるエアノズル52と、第1電磁弁53と、を備えている。なお、第1エアタンク51は、エア用配管55を介して第1電磁弁53と接続されている。また、エアノズル52は、エア用配管56を介して第1電磁弁53と接続されている。また、エアノズル52は、下部筒状部42の内部において斜め上方へ空気を噴射できるように、噴射口が水平に対して斜め上方に傾斜するように設けられている。また、第1電磁弁53は、ケーブル54を介して操作部45と接続されている。
【0046】
このような第1空気噴出器50においては、操作部45での電源オン操作により、自動的に第1電磁弁53を開状態と閉状態との間で断続的に切り替えるようにすることで、エアノズル52から下部筒状部42の内部に圧縮空気を断続的に、すなわちパルス状に噴出させることができる。また、操作部45の操作により、エアノズル52からの圧縮空気の噴出量、パルス圧力、パルス時間、パルス回数などを調整することが可能となっている。なお、本実施形態において、第1空気噴出器50は、下部筒状部42の周方向に所定間隔をおいて側壁43bに複数設けられていてもよい。また、第1空気噴出器50は、側壁43bの傾斜方向に沿って所定間隔をおいて側壁43bに複数設けられていてもよい。
【0047】
第2空気噴出器60は、圧縮空気を溜める第2エアタンク62と、複数の噴出孔63(図7図8参照)を有する環状フランジ部材64と、第2電磁弁65と、を備えている。なお、第2エアタンク62は、エア用配管68を介して第2電磁弁65と接続されている。また、複数の噴出孔63それぞれは、エアチューブ67を介して第2電磁弁65と接続されている。また、第2電磁弁65は、ケーブル66を介して操作部45と接続されている。
【0048】
図7および図8に示すように、噴出孔63は、環状フランジ部材64において、外周側面と内周側面とを貫通するように形成された貫通孔である。また、噴出孔63は、環状フランジ部材64の中心を基準として、周方向に等間隔をおいて複数(本実施形態では8つ)配設されている。また、図8に示すように、複数の噴出孔63それぞれにおいて、環状フランジ部材64の外周側の開口部にエアチューブ67が接続されている。これにより、複数の噴出孔63それぞれは、環状フランジ部材64の径方向内側に、すなわち環状フランジ部材64の中心部に向けて空気を噴出可能な噴出部となっている。また、環状フランジ部材64は、上面と底面とを貫通するように孔部69が複数形成されており、上述した第3フランジ部材61(図1参照)とボルト(図示せず)およびナット(図示せず)により連結可能となっている。
【0049】
このような第2空気噴出器60においては、操作部45の電源オン操作により、自動的に第2電磁弁65を開状態と閉状態との間で断続的に切り替えるようにすることで、複数の噴出孔63それぞれから環状フランジ部材64の中心部に向けて圧縮空気を断続的に、すなわちパルス状に噴出させることができる。また、操作部45の操作により、各噴出孔63からの圧縮空気の噴出量、パルス圧力、パルス時間、パルス回数などを調整することが可能となっている。なお、本実施形態において、噴出孔63は、環状フランジ部材64の周方向に少なくとも1つ設けられていればよい。
【0050】
上記構成を有する洗浄機40において、予め洗浄機本体40aの内部空間41aに、分離機20の連通口38および洗浄機40の上部開口部46を介して使用済みの研削材1が供給された場合、貯留されている研削材1に対して第1空気噴出器50のエアノズル52および第2空気噴出器60の噴出孔63からパルス状に噴出される圧縮空気によって、使用済みの研削材1が撹拌される。このとき、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60によってパルス状空気流、すなわちパルスジェット流が使用済みの研削材1に吹き付けられ、また、使用済みの研削材1が撹拌されることになるので、使用済みの研削材1から粉塵2が分離される。
【0051】
また、洗浄機本体40aの内部において、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60により使用済みの研削材1に吹き付けられたパルス状の空気の急激な爆発膨張によって、一時的に粉塵2の浮遊速度を超える空気流が発生し、この空気流により粉塵2が洗浄機本体40a内の上部へ舞い上がり、上部開口部46付近へ押し上げられる。そして、この空気流と空気供給管44を介して洗浄機本体40a内に供給される二次空気とによって、上昇気流である空気流C(図4参照)が形成される。なお、この空気流Cは、操作者が予め設定しておいた操作部45によって、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60におけるパルス圧力、パルス時間、パルス回数が調整され、かつ、流量調整弁49の開度の開操作を行って洗浄機本体40a内に供給される二次空気の量が調整されることで、研削材1を上昇不可能かつ粉塵2を上昇可能な範囲の流量に設定されている。したがって、この空気流Cによって、研削材1が上部開口部46付近に到達することはなく、粉塵2のみが上部開口部46付近からさらに押し上げられ分離機20の連通口38を通過して分離機本体20aの内部へ移動することになる。そして、粉塵2は、分離機本体20aの内部の搬送気流D(図4参照)によって、ダクト30を経由して集塵機11へ搬送される(図1参照)。
【0052】
また、洗浄機本体40aの内部において、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60によりパルス状の空気を噴出することで、研削材1を効率よく乾燥させることができ、研削材1の排出時における固着を防止することができる。また、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60により噴出されるパルス状の空気は、下部開口部47におけるブリッジング(研削材1同士がアーチ構造を形成して下部開口部47を閉塞し、研削材1が、下部開口部47付近で堆積して排出されない状態)の解消にも有効である。
【0053】
以上より、本実施形態に係るブラストシステム100において、ブラスト作業に使用した研削材1およびブラスト処理により発生した粉塵2を回収する場合、分離機20および洗浄機40により、従来よりも効率的に使用済みの研削材1から粉塵2を分離させることができ、使用済みの研削材1を再度使用してブラスト作業を安定して行うことができる。また、研削材1の種類などに応じて、洗浄機40に設けられた空気供給管44から供給される二次空気量と、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60によるパルス状空気流量とを調整することで、分離機本体20a内部の気流速度(特に搬送気流Dの速度)を容易に調整することができる。また、分離機本体20a内部の気流速度を調整することで、使用済みの研削材1と粉塵2との分離率の調整を行うことが可能である。すなわち、たとえば、空気流Cの速度を0とした場合に比べて、空気流Cの速度を、研削材1の浮遊速度より小さく、かつ粉塵2の浮遊速度より大きくなるように調整した場合、使用済みの研削材1と粉塵2との分離率を向上することができる。
【0054】
また、たとえば、洗浄機40の流量調整弁49によって、空気流Cを、研削材1を上昇不可能かつ粉塵2を上昇可能な範囲の流量、およびバキュームポンプ12によって吸引ホース8を介して分離機20の上部体21の内部空間21bに使用済みの研削材1および粉塵2を導入するための空気吸引力をさほど低下させない程度の流量となるように調整した場合、第1空気噴出器50および第2空気噴出器60のパルス状空気流により洗浄機本体40a内の上部へ舞い上がった粉塵2は、空気流Cにより上部開口部46および連通口38を緩やかに通過して分離機本体20aの内部へ移動することになる。そして、粉塵2は、分離機本体20aの内部の搬送気流Dによって、ダクト30を経由して集塵機11へ搬送される。したがって、仮に従来のバキュームポンプ12を用いた場合でも、バキュームポンプ12によって吸引ホース8を介して分離機20の上部体21の内部空間21bに使用済みの研削材1および粉塵2を導入するための空気吸引力をさほど低下させることなく、洗浄機本体40a内の粉塵2を分離機本体20a内に取り込むことができ、使用済みの研削材1と粉塵2との分離率を向上することができる。なお、この場合、具体的には、たとえば、研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との質量比が5:3、研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との体積比が1000:1、研削材1(粒径1000μm)と粉塵2(粒径100μm)との遠心力比が1700:1である場合、空気流Cの速度は、50cm/s~100cm/sである。また、この場合、内部空間21aにおける搬送気流Dの速度は、研削材1(粒径1000μm)の浮遊速度未満かつ粉塵2(粒径100μm)の浮揚速度の2倍に設定されることが好ましい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0056】
上記実施形態において、必ずしも分離機本体の内部に衝突板を設けなくてもよい。例えば、分離機本体の内部の隔壁に、供給管から供給される研削材および粉塵が、直接衝突するように構成されていてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、必ずしも洗浄機の下部筒状部の側壁に第1空気噴出器を設けなくてもよい。
【0058】
また、上記実施形態において、分離機の下部体の下端部に、研削材の洗浄機内への落下を邪魔しないように、分離機本体の内部へ空気を送り込む空気流の送風量または速度を調整可能な送風手段(プロペラ式の送風機など)が設けられていてもよい。また、分離機において、下部体の下端部に設けられている第1フランジ部材に代えて、第2空気噴出器の環状フランジ部材を下部体の下端部に設けてもよい。この場合、分離機の連通口を通過する使用済みの研削材に、パルス状の空気を吹き付けて研削材に付着した粉塵を分離させることができる。
【0059】
また、上記実施形態では、バキュームポンプを用いて使用済み研削材および粉塵が吸引ホースを介して分離機の内部へ搬送される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、圧送方式のエジェクタを用いて使用済み研削材および粉塵をホースを介して分離機の内部へ搬送してもよい。
【0060】
また、上記実施形態の分離機の上部体は断面が四角形の箱型形状であったが、これに限られない。たとえば、当該上部体の断面は、上述のノズル部と同機能を有したノズル部を形成できるものであれば、円筒形状でも、四角形以外の多角形状であってもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、分離機の下部体の下部に設けた連通口を空気流Cの取込口としたが、空気流Cの取込口は、当該連通口とは別に分離機において研削材が飛んでこない位置(たとえば上部体の内部空間21a)に設けてもよい。このとき、洗浄機の上部開口部を用いずに、洗浄機の上部などから別のルートの取り込み通路(研削材から分離除去した粉塵の浮揚専用通路)を設け、この取り込み通路と空気流Cの取込口とを連通させるようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態の第2空気噴出器60において、複数の噴出孔から空気が噴出するフランジ型のものを採用したが、これに限られない。たとえば、筒状部材の壁面に設けられた少なくとも1つの噴出孔のいずれかから中心部に向けてパルス状に空気が噴出するような構成のものであってもよい。すなわち、研削材が通過する際、この研削材の表面にパルス状に空気を噴出し、研削材の表面に付着している粉塵を分離できるものであれば、どのような構成の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 研削材
2 粉塵
3 エアコンプレッサ
4 被処理物
5 ブラストノズル
6 噴射器
7 ブラストホース
8 吸引ホース
9 ダストホース
10 ブラスト装置
10a ブラスト装置本体
10b タンク
11 集塵機
12 バキュームポンプ
13、14a、14b 管路
15 枠体
16 送り出し部
17 混合部
18 第1フランジ部材
19 第2フランジ部材
20 分離機
20a 分離機本体
21 上部体
21a、21b、41a 内部空間
22 下部体
23 天板
24、25a、25b、43a、43b 側壁
26 通気口
27 供給管
30 ダクト
30a ダクト本体
31 延出部
32 排気管
33 吸気口
34 隔壁
35 衝突板
36 下部側壁
37 アース線
38 連通口
39 ノズル部
40 洗浄機
40a 洗浄機本体
41 上部筒状部
42 下部筒状部
44 空気供給管
45 操作部
46 上部開口部
47 下部開口部
48 空気供給口
49 流量調整弁
50 第1空気噴出器
51 第1エアタンク
52 エアノズル
53 第1電磁弁
54、66 ケーブル
55、56、68 エア用配管
60 第2空気噴出器
61 第3フランジ部材
62 第2エアタンク
63 噴出孔
64 環状フランジ部材
65 第2電磁弁
67 エアチューブ
69 孔部
70 通路
71 圧縮空気供給管
72 開閉弁
73 調整弁
74 排気管路
75 排気弁
100 ブラストシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8