(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085347
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/00 20060101AFI20240619BHJP
C08J 9/33 20060101ALI20240619BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240619BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C08J5/00 CES
C08J9/33 CFF
C08K3/013
C08L101/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199849
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】牧原 伸征
【テーマコード(参考)】
4F071
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA03
4F071AA14
4F071AA53
4F071AB06
4F071AB11
4F071AD02
4F071AE22
4F071AG02
4F071AG05
4F071AG28
4F071AH07
4F071AH17
4F071BA01
4F071BA03
4F071BB01
4F071BB12
4F071BC06
4F071BC07
4F074AA16
4F074AA78
4F074AC09
4F074AG20
4F074BB01
4F074CA51
4J002AA021
4J002DA086
4J002DA116
4J002DC006
4J002FD016
4J002GN00
(57)【要約】
【課題】本開示は、粉体を含んだ新規な構造の複合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の複合体の製造方法は、磁性粉体が付着した複数の断片と、熱硬化性のバインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粉体が付着した複数の断片と、熱硬化性のバインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法。
【請求項2】
前記断片は、樹脂製である請求項1に記載の複合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉体を含んだ様々な複合材料が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-072677(段落[0033]、[0037]、[0038]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、粉体を含んだ新規な構造の複合体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、磁性粉体が表面に付着している複数の断片がバインダで結合されている複合体の製造方法であって、磁性粉体が付着した複数の断片と、熱硬化性のバインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】(A)複合体の表面の拡大図、(B)複合体の拡大断面図
【
図3】車両のサスペンションにおける複合体が備えられた電磁誘導装置の概念図
【
図4】(A)圧縮変形前の複合体の断面図、(B)圧縮変形しているときの複合体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1には、本開示の一実施形態に係る複合体20が示されている。
図2(A)に示すように、複合体20は、磁性粉体24が付着している複数の断片23が結合されたものである。本実施形態の例では、複合体20は、多数の断片23が三次元的に集合した構造になっている。
【0008】
断片23は、例えば、樹脂製であり、本実施形態の例では、発泡樹脂製である。本実施形態では、断片23が発泡体等の弾性体であることで、それらの集合体である複合体20全体も弾性変形可能になっている。断片23が発泡樹脂製である場合、断片23を構成する樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂)等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、断片23が発泡樹脂製である場合、発泡倍率は、1.4~6倍であることが好ましく、1.7~5倍であることがより好ましく、2~4倍であることがさらに好ましい。ここで、断片23の発泡倍率が1.4以上であることで、クッション性が特に良好となり、発泡倍率が6倍以下であることで、耐久性が特に良好となる。なお、断片23は、例えば、ゴム製等の弾性樹脂製であってもよいし、金属製であってもよいし、非金属の無機材料製(例えばセラミック製)であってもよい。また、断片23は、通気性を有していてもよいし(例えば、連続気泡構造の発泡体その他の多孔質体等)、非通気性のものであってもよい(例えば、独立気泡構造の発泡体等)。
【0009】
断片23は、本実施形態の例では、粉砕機で粉砕された粉砕体である。このように、断片23を粉砕体とすれば、例えば、一度製品に使用されたものを、粉砕して結合させることで、別の用途や別の形のものに再利用することもできる。なお、複数の断片23は、粉砕体である場合のようにランダムな形状であってもよいし、互いに同じ形状の断片23を含んでいてもよい。
【0010】
本実施形態の例では、断片23同士は、バインダ25(
図2(B)参照)で結合されている。バインダ25は、断片23同士の間を部分的に埋めていてもよいし、断片23同士の間を全体的に埋めていてもよい。前者の場合、例えば、断片23を通気性を有する構成として、複合体20全体を通気性を有する構成としてもよい。後者の場合、断片23を非通気性の構成として、複合体20を非通気性の構成としてもよい。
【0011】
本実施形態の例では、バインダ25は、熱硬化性接着剤(例えば、ウレタン系接着剤等)である。なお、バインダ25は、二液混合型の接着剤であってもよいし、湿気硬化型の接着剤であってもよいし、嫌気硬化型の接着剤であってもよいし、紫外線硬化型の接着剤であってもよいし、熱可塑性接着剤であってもよい。
【0012】
本実施形態の例では、磁性粉体24は、断片23にバインダ25によって付着している。なお、磁性粉体24は、断片23に、断片23同士を結合するバインダ25とは別のバインダによって付着していてもよい。断片23を、気泡が断片23の表面に開口する発泡樹脂製のもの(例えば、発泡体のカット品や粉砕体等)とすれば、磁性粉体24が付着する表面積を大きくすることが可能となると共に、開口した気泡内に磁性粉体24を進入させることができ、磁性粉体24の分散性を向上させることが可能となる。また、磁性粉体24は、例えば、断片23が通気性を有する多孔質体(例えば、連続気泡構造を有する発泡体等)である場合、断片23の孔(気泡等)の内部に入り込んでいてもよい。
【0013】
磁性粉体24としては、ネオジム系磁性粉体、サマリウム系磁性粉体、アルニコ系磁性粉体、フェライト系磁性粉体等、公知の硬質磁性材料が挙げられ、強磁性材料が好ましい。磁性粉体24は、特に、永久磁石化した際に強い磁力を有するネオジム系磁性粉体からなることが好ましい。磁性粉体24の粒子の形状としては、例えば、鱗片状、球状、針状等が挙げられる。磁性粉体24の粒子径は、3~200μmが好ましく、5~100μmがさらに好ましい。磁性粉体24の粒子径を大きくすることで、複合体20の表面磁束密度を高くすることが可能となる。磁性粉体24が、磁石粒子に表面処理がされてなる場合には、磁性粉体24の粒子径を大きくすることで、磁性粉体24における磁性成分の割合を大きくすることができ、複合体20の表面磁束密度をより高めることが可能となる。また、磁性粉体24の粒子径は、200μm以下であることが、複合体20の変形容易性の観点から好ましい。なお、粒子径は、JIS Z 8815:1994に準拠したふるい分け試験により測定することができる。ここで、磁性粉体24の粒子径が3μm以上であることで複合体20の製造時の作業性が特に良好となる。また、磁性粉体24の粒子径が200μm以下であることで複合体20の成形性が特に良好となると共に、磁性粉体24が断片23から脱落することを特に抑制可能となる。
【0014】
なお、複合体20は、磁性粉体が硬質の強磁性材料からなり、複合体20の断片23全体に対する磁性粉体24の質量濃度(質量比率)が40~80%であり、複合体20に対する磁性粉体の体積濃度(体積比率)が1.0~3.5%であることが好ましい。これにより、複合体20を弾性変形させ易くしつつ、複合体20の磁束密度の変化を大きくすることが可能となる。複合体20は、JIS K 6262:2013 A法に準拠した圧縮永久ひずみが、30%以下であることが好ましい。また、複合体20は、23℃において1Hzで10万回50%圧縮を繰返した場合の繰返し圧縮ひずみが、20%以下であることが好ましい。これらの構成によれば、複合体20を弾性変形させた後の復元が良好となる。これにより、複合体20が繰返し圧縮されて使用される用途に用いられる場合であっても、複合体20のヘタリが低減され、このような用途に一層好適となる。
【0015】
複合体20は、例えば、永久磁石として使用されてもよいし、
図3に示すように車両60のサスペンション61のバウンドストッパに使用されてもよい。なお、
図3以降の図では、複合体20の断片23等の詳細構成については、図示が適宜省略されている。
【0016】
図3に示す例では、バウンドストッパに複合体20が備えられ、例えば、バウンドストッパ全体が複合体20で形成されている。例えば、複合体20は、中心軸Jを有する形状をなし、その軸方向に圧縮されるように配置される。なお、バウンドストッパは、その一部のみが複合体20で形成された構成とすることもできる。
【0017】
複合体20は、回転対象な形状になっていてもよく、さらに軸対称な形状になっていてもよい(これらの場合、複合体20の中心軸Jは対称軸となる)。本実施形態では、複合体20は、円筒状になっているが、例えば、複合体20は、円柱状、角柱状(例えば断面が正多角形状のもの)、円錐台形状、角錐台形状、角筒状、球状等になっていてもよい。なお、複合体20は、回転対象な形状になっていなくてもよく、例えば、断面台形状になっていて、その台形の中心(重心)に中心軸Jが位置する形状になっていてもよい。
【0018】
本実施形態の例では、複合体20は、中心軸J方向に磁化されている(即ち、複合体20の中心軸J方向の一端部がN極、他端部がS極となっている)。
【0019】
なお、詳細には、複合体20では、磁性粉体24の粒子の磁気モーメント(詳細には、粒子内の合成磁気モーメント)が、複合体20の中心軸J方向に沿っている。なお、実際には、磁性粉体24の粒子の中には、磁気モーメントの方向が中心軸J方向と交差するものが含まれ得るが、本実施形態では、磁性粉体24の粒子の磁気モーメントを合成した合成磁気モーメントの方向が、中心軸J方向となっている。なお、この合成磁気モーメントの方向が、中心軸J方向と交差するように複合体20を構成してもよい。
【0020】
なお、
図3に示す例では、複合体20は、車両60のサスペンション61に組付けられる。車両60のサスペンション61は、ショックアブソーバ62とサスペンションばね63を有する。サスペンションばね63は、ショックアブソーバ62のシリンダ65から外側に張り出した環状突部65Tと車体60Bとの間に挟まれている。複合体20は、ショックアブソーバ62のピストンロッド64に嵌合されてサスペンションばね63の内側に配置され、例えば、車体60Bやシリンダ65に固定される。そして、道路の凹凸等による振動でショックアブソーバ62が縮むことで、複合体20がシリンダ65と車体60Bとの間で弾性変形(圧縮)され、車両60のバウンドを抑えるバウンドストッパとして機能する(
図4(A)から
図4(B)への変化を参照)。
【0021】
図3に示す例では、バウンドストッパとしての複合体20を備える電磁誘導装置100Aが設けられている。電磁誘導装置100Aには、複合体20を取り巻くように(例えば複合体20と同軸に)電磁誘導コイル12が設けられている。電磁誘導装置100Aは、複合体20の変形(例えば電磁誘導コイル12の軸方向の変形)に伴う磁束密度の変化によって電磁誘導コイル12に誘導電流が流れるように構成される。例えば、電磁誘導コイル12は、サスペンションばね63の内側に配置され、例えば、電磁誘導コイル12の一端部(上端部)が車体60Bに固定される。また、例えば、電磁誘導コイル12の1対のリード線12Aは、車体60Bの内部に引き出されて整流部を介してバッテリーに接続される。そして、この例では、電磁誘導装置100Aは、複合体20の弾性変形によって電磁誘導コイル12に誘導電流が流れることで、バッテリーを充電する発電装置として機能する。
【0022】
また、例えば、バウンドストッパとしての複合体20に、その圧縮方向(例えば複合体20の軸方向)に互いに間隔を空けて磁石と磁性部材とが(例えば複合体20の外周面に備えられる、リング状等のものが)設けられていてもよい。この構成では、複合体20が弾性変形(例えば圧縮と復元)することで、磁石と磁性部材の間隔が変化する。また、上記磁石を電磁石としてもよく、この場合、その磁力が変更可能となることで、この電磁石と磁性部材との引力を調整することができる。また、上記磁性部材は、磁石であってもよく、この場合、上述のようにもう一方の磁石を電磁石とすることで、磁石同士の引力や反発力を調整することができる。なお、上記磁性部材は、磁石ではなくてもよく、磁石と引き合う金属製のものであってもよい。このように、上記電磁石と磁性部材との引力や反発力を調整することで、バウンドストッパとしての複合体20のクッション性を変更する機能を付与することもできる。
【0023】
なお、本実施形態では、車両60として自動車を例示するが、例えば、二輪車や電車等の車両サスペンションに適用してもよい。また、自動車としては、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車等の電動車両が挙げられる。
【0024】
複合体20は、例えば以下のようにして製造される。複合体20を製造するには、まず、複数の断片23と磁性粉体24を用意する。断片23は、発泡体を粉砕機で粉砕した粉砕体である。そして、断片23と磁性粉体24を、混合して撹拌し、磁性粉体24を分散させる。これにより、断片23に(断片23の表面と例えば気泡内に)磁性粉体24が付着する。次いで、磁性粉体24が付着した断片23に、熱硬化性のバインダ25(液状のもの)を添加して、それらを撹拌する。そして、その撹拌物を、予め温調しておいた成形型内で、例えば円柱状等に熱成形する。これにより、バインダ25が硬化し、磁性粉体24が表面に付着している複数の断片がバインダで結合されてなる複合体(以下、適宜、着磁前複合体という。)が形成される。なお、断片23と磁性粉体24を事前に撹拌しておかずに、断片23と磁性粉体24とバインダ25を一遍に撹拌することもできる。また、例えば、成形型を、蓋状の上型と容器状の下型とを備えるものとすれば、上記撹拌を下型内で行うこともできる。なお、上記撹拌を別の場所で行っておいて、その撹拌物を成形型に入れるようにしてもよい。
【0025】
上述のようにして得られた着磁前複合体では、磁性粉体24の各粒子の磁気モーメントがランダムな方向を向いている。そのため、次に、着磁前複合体を着磁する。この工程では、着磁前複合体内の磁性粉体24の粒子の磁気モーメントを、外部磁場を印加することにより揃える。本実施形態では、外部磁場を、複合体の中心軸J方向に印加する。以上により、発泡成形体から複合体20が得られる。
【0026】
なお、着磁は、着磁前複合体が変形していない自然長状態で行ってもよいし、自然長状態に対して中心軸J方向に圧縮した状態(例えば50%圧縮した50%圧縮状態)で行ってもよい。複合体20は、中心軸J方向に10%圧縮されたときに、磁束密度(表面磁束密度)が自然長状態よりも5%以上大きくなるものであることが特に好ましい。このような複合体20は、例えば、着磁前複合体を圧縮した状態(例えば50%圧縮した状態)で、その圧縮方向に磁性粉体24を着磁することで製造することが可能である。
【0027】
このように、本実施形態によれば、磁性粉体24が表面に付着している複数の断片がバインダで結合されているという、従来にない新規な構造の複合体を提供することができる。また、例えば、ポリウレタン発泡体の原料に磁性粉体24を混合して、その原料を発泡硬化させる場合、磁性粉体24が原料内で沈殿するため、発泡硬化品内での磁性粉体24の分散性が悪くなるということが生じ得る。これに対し、本実施形態の複合体20のように、磁性粉体24が表面に付着した多数の断片23を結合した構成とすれば、分散性の向上を図ることが可能となる。
【0028】
ここで、本実施形態では、複合体20が圧縮されると、上述のように断片23の気泡が潰れる。従って、複合体20は、圧縮されたときに、圧縮方向(例えば軸方向)に直交する方向(例えば径方向)に膨らみ難くなる(
図4(B)参照)。これにより、複合体20の前記直交する方向でのコンパクト化を図ることが可能となると共に、磁性粉体24の粒子の磁気モーメントの向きが、複合体20の前記直交する方向への変形に起因して変化することが抑制される。
【0029】
[第2実施形態]
本実施形態の複合体20は、
図5に示されており、建物や乗り物の床構造71に組み込まれている。具体的には、この床構造71は、土台72の上に床パネル73が敷かれた構造となっていて、土台72と床パネル73の間には、複数の緩衝材78が敷き詰められている。床パネル73に荷重がかかると、緩衝材78が弾性変形する。そして、複数の緩衝材78の1つ又は一部複数が、複合体20になっていて、その複合体20を囲むように電磁誘導コイル12が備えられている。本実施形態では、複合体20と電磁誘導コイル12を備える電磁誘導装置100Eが設けられ、電磁誘導装置100Eは、複合体20の変形(例えば電磁誘導コイル12の軸方向の変形)に伴う磁束密度の変化によって電磁誘導コイル12に誘導電流が流れるように構成される。そして、電磁誘導装置100Eは、この誘導電流を検出することで(例えば誘導電流が所定の基準値以上となったことを検出することで)、床パネル73の振動を検出する構成になっていてもよい。例えば、土台72上に設置した回路ケース33に、上記誘導電流を検出する検出部を収容してもよく、また、例えば、誘導電流や振動の検出結果を外部に無線送信する無線モジュールを収容してもよい。なお、本実施形態の電磁誘導装置100Eを、上記第1実施形態と同様に、上記誘導電流によりバッテリーを充電する発電装置とすることもできる。
【0030】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、複合体20が、バウンドストッパや床構造71の緩衝材78に用いられていたが、それ以外の用途に用いられてもよい。例えば、複合体20が、振動する部材に宛がわれる制振部材に備えられていてもよい。
【0031】
(2)上記実施形態において、磁性粉体24を、磁性体ではない粉体としてもよい。例えば、複合体20を、磁性粉体24の代わりに、磁性体でない粉体が断片23に付着した構成とすることもできる。また、磁性粉体24等の粉体が付着した断片23が結合された複合体の構成として、バインダ25を用いずに、加熱により断片23の表面部を融かして断片23同士を結合する構成であってもよい。
【0032】
[付記]
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0033】
例えば、以下の特徴群は、複合体に関し、「従来から、粉体を含んだ様々な複合材料が提供されている(例えば、特開2021-072677(段落[0033]、[0037]、[0038]等)参照)。」という背景技術について、「本開示は、粉体を含んだ新規な構造の複合体及びその製造方法を提供する。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。また、従来から、新規な構造の複合体及びその製造方法や、それを備える永久磁石、バウンドストッパが求められている。
【0034】
[特徴1]
磁性粉体が表面に付着している複数の断片がバインダで結合されている複合体。
【0035】
本特徴によれば、粉体を含んだ新規な構造の複合体を提供できる。
【0036】
[特徴2]
前記断片は、樹脂製である特徴1に記載の複合体。
【0037】
[特徴3]
前記断片は、発泡樹脂製である特徴1又は2に記載の複合体。
【0038】
[特徴4]
前記断片は、発泡セル(気泡)が表面に開口している特徴3に記載の複合体。
【0039】
本特徴のように、断片が、発泡樹脂製である場合には、気泡が断片の表面に開口するので、磁性粉体が付着する表面積を大きくすることが可能となると共に、開口した気泡内に磁性粉体を進入させることができ、磁性粉体の分散性を向上させることが可能となる。
【0040】
[特徴5]
前記断片は、粉砕体である特徴2又は3に記載の複合体。
【0041】
[特徴6]
前記バインダは、熱硬化性接着剤である特徴1又は2に記載の複合体。
【0042】
[特徴7]
特徴1から6の何れか1の特徴に記載の複合体を備える永久磁石。
【0043】
[特徴8]
特徴1から6の何れか1の特徴に記載の複合体を備えるバウンドストッパ。
【0044】
[特徴9]
特徴1から6の何れか1の特徴に記載の複合体の製造方法であって、
前記磁性粉体が付着した複数の前記断片と、熱硬化性の前記バインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法。
【0045】
[特徴10]
磁性粉体が付着した複数の断片と、熱硬化性のバインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法。
【0046】
[特徴11]
粉体が付着した複数の断片と、熱硬化性のバインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法。
【0047】
[特徴12]
粉体と断片と熱硬化性のバインダとを撹拌したものを、熱成形する複合体の製造方法。
【0048】
[特徴13]
前記粉体と前記断片を撹拌して前記粉体を前記断片に付着させておいてから、それらと前記バインダとを撹拌する複合体の製造方法。
【0049】
[特徴14]
前記粉体は、磁性粉体である特徴12又は13に記載の複合体の製造方法。
【0050】
[特徴15]
前記断片は、樹脂製である特徴10から14の何れか1の特徴に記載の複合体の製造方法。
【0051】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0052】
20 弾性体
23 断片
24 磁性粉体
25 バインダ