(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085353
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】押圧加工用版の製造方法、及び、その製造方法により製造された押圧加工用版、並びに、その押圧加工用版を用いて被加工物を加工する加工方法
(51)【国際特許分類】
C23F 1/02 20060101AFI20240619BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20240619BHJP
C23F 1/00 20060101ALI20240619BHJP
B32B 37/14 20060101ALI20240619BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20240619BHJP
B21D 31/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
C23F1/02
B41M3/06 E
C23F1/00 102
B32B37/14 Z
B32B3/30
B21D31/00 A
B21D31/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022212919
(22)【出願日】2022-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】593098554
【氏名又は名称】ツジカワ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼川 豊
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 邦生
【テーマコード(参考)】
2H113
4F100
4K057
【Fターム(参考)】
2H113AA04
2H113BA27
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB10
2H113BB18
2H113BB19
2H113BB32
4F100AR00B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA41B
4F100DC11
4F100DC11B
4F100DD01
4F100DD01A
4F100DD01B
4F100EH61B
4F100EJ08
4F100EJ08B
4F100EJ15
4F100EJ15A
4F100HB00B
4F100HB31
4F100HB31B
4F100JB12
4F100JB12B
4K057WA20
4K057WB02
4K057WC05
4K057WC06
4K057WC08
4K057WE08
4K057WN06
4K057WN10
(57)【要約】
【課題】従来の汎用の化学的腐蝕エッチング加工よりも簡単な工程を有する化学的腐蝕エッチング加工であって、所望の凸部、凹部、凹凸部、微細凹凸部、等の所望の形状精度や寸法精度を有し、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望形状を備えた押圧加工用版の製造方法を提供。
【解決手段】既成凹凸部45を形成してなる版型用基板1の所望領域に、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成し、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板の領域をエッチングすることにより、版型用基板の表面に凹形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する押圧加工用版の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を押圧により所定形状に加工するための押圧加工用版の製造方法であって、
(A)版型用基板第一領域表面(11)と版型用基板第二領域表面(12)を備えた版型用基板(1)を供給する版型用基板供給工程、
(B)前記版型用基板(1)の前記版型用基板第一領域表面(11)の所望領域にインクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、
前記インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、
(C)前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が付着されていない版型用基板(1)の表面をエッチングする版型用基板エッチング工程、
これにより、前記版型用基板(1)の表面に凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕凹形成部を形成し、
及び、
(D)前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程、
を備えてなることを特徴とする押圧加工用版の製造方法。
【請求項2】
前記(A)工程において、
前記版型用基板第二領域表面(12)は一つ又は複数の凹凸のない無凹凸部を有し、
前記版型用基板第一領域表面(11)は一つ又は複数の既成凹凸部(4)を有し、
(i)前記版型用基板第二領域表面(12)が一つの凹凸のない無凹凸部を有するとともに、
前記版型用基板第一領域表面(11)が一つの既成凹凸部(4)を有する場合、
前記無凹凸部は前記既成凹凸部(4)の周囲領域に位置し、
前記既成凹凸部(4)は、
(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部(451)と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有してなる既成複数凹凸部(45)、
又は、
(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有してなる既成複数微細凹凸部(46)、を有し、
(ii)前記版型用基板第二領域表面(12)が複数の凹凸のない無凹凸部を有するとともに、
前記版型用基板第一領域表面(11)が複数の既成凹凸部(4)を有する場合、
前記複数の無凹凸部のうちのそれぞれの前記無凹凸部は前記複数の既成凹凸部(4)のうちのそれぞれの既成凹凸部(4)の周囲領域に位置し、
前記複数の既成凹凸部(4)のうちのそれぞれの前記既成凹凸部(4)は、
(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部(451)と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有してなる既成複数凹凸部(45)、
及び/又は、
(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有してなる既成複数微細凹凸部(46)、を有し、
前記(B)工程において、
前記版型用基板(1)の前記版型用基板第一領域表面(11)の前記既成凹凸部(4)を覆ってインクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、
及び、
前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、これにより、前記既成凹凸部(4)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成し、ここで、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121は前記インクジェットレジスト膜腐蝕凹形成部に相当し、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成凹凸部(4)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)を形成するとともに、前記既成凹凸部(4)を、前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出した突出形状に形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項3】
前記(A)工程において、
前記版型用基板第二領域表面(12)は凹凸のない無凹凸部を有し、
前記版型用基板第一領域表面(11)は既成凹凸部(4)を有し、
前記版型用基板第二領域表面(12)は前記版型用基板第一領域表面(11)の周囲領域に位置し、
前記既成凹凸部(4)は既成複数凹凸部(45)を有し、
(イ)前記既成複数凹凸部(45)は複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部(451)と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有し、
前記複数の既成複数凹凸部凸部(451)は複数の既成複数凹凸部凸部上面(451a)と複数の既成複数凹凸部凸部側面(451b)とを有し、
前記複数の既成複数凹凸部凹部(452)は複数の既成複数凹凸部凹部底面(452c)と複数の既成複数凹凸部凹部側面(452b)とを有し、
ここで、前記複数の既成複数凹凸部凸部側面(451b)と前記複数の既成複数凹凸部凹部側面(452b)は、互いに同じ側面領域に相当し、
前記(B)工程において、
前記複数の既成複数凹凸部凸部上面(451a)と前記複数の既成複数凹凸部凸部側面(451b)と前記複数の既成複数凹凸部凹部底面(452c)とを覆って、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜とを形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程、ここで、前記既成複数凹凸部(45)の周囲領域に位置する前記版型用基板第二領域表面(12)にはインクジェットレジスト材(2)が付着されない、及び、
前記インクジェットレジスト凸部上面付着膜と前記インクジェットレジスト凸部側面付着膜と前記インクジェット凹部底面付着膜とを硬化して、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜(3a)と所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜(3b)と所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜(3c)とを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜(3a)と前記所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜(3b)と前記所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜(3c)とを形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、
これにより、前記既成複数凹凸部(45)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)を形成するとともに、
前記既成複数凹凸部(45)を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部(455)に形成し、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜(3a)と前記所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜(3b)と前記所望領域インクジェットレジスト底面硬化膜(3c)とを除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成複数凹凸部(45)がエッチングされることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)がエッチングされてなる前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)が形成されるとともに、
前記複数の既成複数凹凸部凸部(451)と前記複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有する前記既成複数凹凸部(45)を備えた前記版型用基板第一領域表面(11)が、前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部(455)の形態に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項4】
前記(A)工程において、
前記既成複数凹凸部凸部(451)と前記既成複数凹凸部凹部(452)を有する前記既成複数凹凸部(45)は、
(イ)文字、
(ロ)記号、
(ハ)図形、
(ニ)絵柄、及び、
(ホ)模様、
からなる群から選ばれる少なくとも一つの凹凸形状で形成されてなる図文字絵柄模様を形成してなる、
ことを特徴とする請求項3に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項5】
前記(A)工程において、
前記複数の既成複数凹凸部凸部(451)のそれぞれの既成複数凹凸部凸部の高さ寸法は、0.1mm以上であり、
前記複数の既成複数凹凸部凹部(452)のそれぞれの既成複数凹凸部凹部の深さ寸法は、0.1mm以上であり、
前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)の深さ寸法は、既成複数凹凸部凹部の深さ寸法と同じ深さ寸法、又は、既成複数凹凸部凹部の深さ寸法よりも大きい深さ寸法である、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項6】
前記(A)工程において、
前記版型用基板(1)は、前記版型用基板第一領域表面(11)と前記版型用基板第二領域表面(12)を有し、
前記版型用基板第二領域表面(12)は凹凸のない無凹凸部を有し、
前記版型用基板第一領域表面(11)は既成凹凸部(4)を有し、
前記版型用基板第二領域表面(12)は前記版型用基板第一領域表面(11)の周囲領域に位置し、
(ロ)前記既成凹凸部(4)は既成複数微細凹凸部(46)を有し、
前記既成複数微細凹凸部(46)は複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有し、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面(461a)と複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(461b)とを有し、
前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面(462c)と複数の既成複数微細凹凸部凹部側面(462b)とを有し、
ここで、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(461b)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部側面(462b)とは、互いに同じ側面領域に相当し、
前記(B)工程において、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部上面(461a)と前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(461b)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部底面(462c)とを覆って、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部側面付着膜とを形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程、ここで、前記既成微細複数凹凸部(46)の周囲領域に位置する前記版型用基板第二領域表面(12)にはインクジェットレジスト材(2)が付着されない、及び、
前記インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜と前記インクジェットレジスト微細凸部側面付着膜と前記インクジェット微細凹部側面付着膜とを硬化して、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜(3e)と所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜(3f)と所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜(3g)とを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するインクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜(3e)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜(3f)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜(3g)とを形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、
これにより、前記既成複数微細凹凸部(46)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)を形成するとともに、
前記既成複数微細凹凸部(46)を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部(466)の形態に形成し、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜(3e)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜(3f)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜(3g)とを除去するレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成複数微細凹凸部(46)がエッチングされることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)がエッチングされてなる前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)が形成されるとともに、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)を有する前記既成複数微細凹凸部(46)とを備えた前記版型用基板第一領域表面(11)が、前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部(466)の形態に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項7】
前記(A)工程において、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)を有する前記既成複数微細凹凸部(46)は、
(ヘ)微細点模様、微細図柄模様、微細絵柄模様、及び/又は、微細格子模様、
(ト)微細万線模様、
(チ)微細縞模様、及び、
(リ)異なる方向から見て互いに異なる図柄絵文字模様を表す潜像模様、
からなる群から選ばれる少なくとも一つの複数微細凹凸形状で形成されてなる微細図文字絵柄模様を形成してなる、
ことを特徴とする請求項6に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項8】
前記(A)工程において、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有する前記既成複数微細凹凸部(46)は、微細凹凸形状で刻設されて所定の形状に区切られて規則性を持って配列された複数種類の凹凸パターンセルの組み合わせによって形成され、
前記複数種類の凹凸パターンセルのそれぞれの凹凸パターンセルは、微細点模様、微細図柄模様、微細絵柄模様、微細万線模様、及び、微細縞模様、からなる群から選ばれる少なくとも二種類以上の微細凹凸形状で形成されてなる微細図文字絵柄模様を形成してなり、
二種類以上の微細図文字絵柄模様のうちの一種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって第一画像を形成し、
前記二種類以上の微細図文字絵柄模様のうちの前記一種類と異なる他の第二種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって他の画像を形成してなる、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項9】
前記(A)工程において、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)のそれぞれの既成複数微細凹凸部凸部の高さ寸法は、0.05mm以上であり、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)のそれぞれの既成複数微細凹凸部凸部の幅寸法は、0.0005mm~1mmであり、
前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)のそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法は、0.05mm以上であり、
前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)のそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部の幅寸法は、0.0005mm~1mmであり、
前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)の深さ寸法は、前記既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法よりも大きい深さ寸法である、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれから記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項10】
前記(A)工程において、
前記版型用基板第二領域表面(12)は複数の凹凸のない無凹凸部を有し、
前記版型用基板第一領域表面(11)は複数の既成凹凸部(4)を有し、
前記複数の版型用基板第二領域表面(12)のうちのそれぞれの版型用基板第二領域表面(12)は、前記複数の版型用基板第一領域表面(11)のうちのそれぞれの前記版型用基板第一領域表面(11)の周囲領域に位置し、
前記複数の既成凹凸部(4)のうちの一つの既成凹凸部(4)は、
(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部(451)と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有してなる既成複数凹凸部(45)を有し、
前記複数の既成凹凸部(4)のうちの他の一つの既成凹凸部(4)は、
(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と、複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有してなる既成複数微細凹凸部(46)を有し、
前記複数の既成複数凹凸部凸部(451)は複数の既成複数凹凸部凸部上面(451a)と複数の既成複数凹凸部凸部側面(451b)とを有し、
前記複数の既成複数凹凸部凹部(452)は複数の既成複数凹凸部凹部底面(452c)と複数の既成複数凹凸部凹部側面(452b)とを有し、
ここで、前記複数の既成複数凹凸部凸部側面(451b)と前記複数の既成複数凹凸部凹部側面(452b)は、互いに同じ側面領域に相当し、
前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面(461a)と複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(461b)とを有し、
前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面(462c)と複数の既成複数微細凹凸部凹部側面(462b)とを有し、
ここで、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(461b)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部側面(456b)は、互いに同じ側面領域に相当し、
前記(B)工程において、
前記複数の既成複数凹凸部凸部上面(451a)と前記複数の既成複数凹凸部凸部側面(451b)と前記複数の既成複数凹凸部凹部底面(452c)及び、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部上面(461a)と前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(461b)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部底面(462c)を覆って、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜、及び、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜を形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程、ここで、前記既成複数凹凸部(45)の周囲領域に位置する前記版型用基板第二領域表面(12)にはインクジェットレジスト材(2)が付着されなく、及び、
前記インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜、及び、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜を硬化して、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜(3a)と所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜(3b)と所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜(3c)、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜(3e)と所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜(3f)と所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜(3g)とを有する所望領域インクジェットレジスト硬化3を形成するインクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜(3a)と前記所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜(3b)と前記所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜(3c)、及び、前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜(3e)と、前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜(3f)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜(3g)とを形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、
これにより、前記既成複数凹凸部(45)及び前記既成複数微細凹凸部(46)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)を形成するとともに、
前記既成複数凹凸部(45)を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部(455)の形態に形成し、
前記既成複数微細凹凸部(46)を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)から突出されてなる形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部(466)に形成し、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を除去するレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成凹凸部(4)を、エッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)を形成するとともに、前記既成凹凸部を、前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出した突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成凹凸部突起部の形態に形成し、
前記所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜(3a)と前記所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜(3b)と前記所望領域インクジェットレジスト底面硬化膜(3c)、及び、前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜(3e)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜(3f)と前記所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜(3g)とを除去するレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成複数凹凸部(45)がエッチングされることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)がエッチングされてなる前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)が形成されるとともに、
前記複数の既成複数凹凸部凸部(451)と前記複数の既成複数凹凸部凹部(452)を有する前記既成複数凹凸部(45)、及び、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と前記複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)を有する前記既成複数微細凹凸部(46)を備えた前記版型用基板第一領域表面(11)が、前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部(455)、及び、インクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部(466)の形態に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項11】
前記(A)工程において、
前記版型用基板第一領域表面(11)は既成凸部(47)を有し、
前記版型用基板第二領域表面(12)は既成凹部(48)を有し、
前記版型用基板第二領域表面(12)は前記版型用基板第一領域表面(11)の周囲領域に位置し、
前記既成凸部(47)は、既成凸部上面(47a)と既成凸部側面(47b)を有し、
前記既成凹部(48)は、既成凹部底面(48c)と既成凹部側面(48b)を有し、
ここで、前記既成凸部側面(47b)と既成凹部側面(48b)とは互いに同じ側面に相当し、
前記(B)工程において、
前記既成凸部側面(47b)と前記既成凹部側面(48b)と前記既成凹部底面(48c)を覆うとともに、前記既成凸部上面(47a)に、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して、(イ)所望の図文字絵柄模様、又は、(ロ)所望の微細図文字絵柄模様、を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、
及び、
前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記既成凸部上面(47a)における前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、
これにより、前記既成凸部側面(47b)と前記既成凹部側面(48b)と前記既成凹部底面(48c)をエッチングすることなく、前記既成凸部上面(47a)における前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングして複数の凹部と複数の凸部とを有する既成凸部上面凹凸部(477)を形成し、
ここで、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が(イ)所望の図文字絵柄模様を有する場合には、前記既成凸部上面凹凸部(477)は(イ)所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凹部(472a)と複数の凸形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凸部(471a)とを有してなる既成凸部上面複数凹凸部(477a)であり、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が(ロ)所望の微細図文字絵柄模様を有する場合には、前記既成凸部上面凹凸部(477)は(ロ)所望の微細図文字絵柄模様に相当する複数の微細凹形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凹部(472b)と複数の微細凸形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凸部(471b)とを有してなる既成凸部上面複数微細凹凸部(477b)、であり、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成凸部上面(47a)に、前記既成凸部上面凹凸部(477)を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項12】
前記(A)工程において、
前記版型用基板第一領域表面(11)は既成凸部(47)を有し、
前記版型用基板第二領域表面(12)は既成凹部(48)を有し、
前記版型用基板第一領域表面(11)は前記版型用基板第二領域表面(12)の周囲領域に位置し、
前記既成凸部(47)は、既成凸部上面(47a)と既成凸部側面(47b)を有し、
前記既成凹部(48)は、既成凹部底面(48c)と既成凹部側面(48b)を有し、
ここで、前記既成凸部側面(47b)と既成凹部側面(48b)とは互いに同じ側面に相当し、
前記(B)工程において、
前記既成凸部側面(47b)と前記既成凹部側面(48b)と前記既成凸部上面(47a)を覆うとともに、前記既成凹部底面(48c)に、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して、(イ)所望の図文字絵柄模様、又は、(ロ)所望の微細図文字絵柄模様、を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、
及び、
前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記既成凹部底面(48c)における前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、
これにより、前記既成凸部側面(47b)と前記既成凹部側面(48b)と前記既成凸部上面(47a)をエッチングすることなく、前記既成凹部底面(48c)における前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングして複数の凹部と複数の凸部とを有する既成凹部底面凹凸部(488)を形成し、
ここで、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が(イ)所望の図文字絵柄模様を有する場合には、前記既成凹部底面凹凸部(488)は(イ)所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凹部(482a)と複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凸部(481a)とを有してなる既成凹部底面複数凹凸部(488a)であり、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が(ロ)所望の微細図文字絵柄模様を有する場合には、前記既成凹部底面凹凸部(488)は(ロ)前記所望の微細図文字絵柄模様に相当する複数の微細凹形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凹部(482b)と複数の微細凸形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凸部(481b)とを有してなる既成凹部底面複数微細凹凸部(488b)、であり、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成凹部底面(48c)に、前記既成凹部底面凹凸部(488)を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項13】
前記(A)工程において、
前記版型用基板第一領域表面(11)は、
(a)インクジェットレジスト材を使用して形成したインクジェットレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、
及び/又は、
(b)従来慣用の液状レジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、
及び/又は、
(c)従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、
及び/又は、
(d)従来慣用の機械加工装置を使用した機械的加工、
の加工により、前記既成凹凸部(4)を形成してなる、
ことを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項14】
前記版型用基板(1)は、鉄、ステンレス鋼、真鍮、銅、マグネシウム鋼、ジュラルミン、超硬合金、粉末ハイス鋼、ハイス鋼、ダイス鋼、合金工具鋼、炭素工具鋼、又は、鋼鉄により形成されてなる、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項15】
前記押圧加工用版は、
(イ)互いに対向する平板形状を有する平圧式加工装置に構成される平板型版、
(ロ)互いに対向するロール形状を有するロール式加工装置に構成されるロール版、
(ハ)円筒形又は円柱形のロールの周囲に巻き付け設置固定して構成されるフレキシブル版、又は、平板形状を有する版型用基板の表面に設置固定して構成されるフレキシブル版。
(ニ)被加工物を所定凹凸形状に加工するための型押用版、
(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版、
(ヘ)被加工物を所定形状に切抜及び/又は切断するための切抜・切断版、
及び、
(ト)被加工物を所定凹凸形状に型押又は箔押するとともに切抜及び/又は切断するための型箔押・切抜切断版、
からなる群から選ばれる少なくとも一つの形態を有する押圧加工用版である、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版。
【請求項17】
請求項1乃至15のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版を使用して、被加工物を加工して、所定形状に加工されてなる加工物を製造することを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項18】
(S-a)請求項1乃至15のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版(10)を供給する工程、
(S-b)互いに対向する第一基盤(92)と第二基盤(93)を備えた押圧加工装置を準備する工程、
(S-d)所定の受版(94)を、前記押圧加工装置の第二基盤(93)に設置する工程、
(S-e)前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)との間に、被加工物(108)を位置する状態で、前記第一基盤(92)と前記第二基盤(93)のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とが前記被加工物を押圧する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成し、
及び、
(S-f)前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)とを互いに離反して、前記被加工物への押圧を解除する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態で転写形成された前記被加工物転写形成部が形成されてなる加工物を調製する、
を備えてなることを特徴とする、被加工物の加工方法。
【請求項19】
(S-a)請求項1乃至15のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版(10)を供給する工程、
(S-b)互いに対向する第一基盤(92)と第二基盤(93)を備えた押圧加工装置を準備する工程、
(S-d)所定の受版(94)を、前記押圧加工装置の第二基盤(93)に設置する工程、
(S-e)前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)との間に被加工物基材(108a)とシート状箔材料(108b)とを位置する状態で、前記第一基盤(92)と前記第二基盤(93)のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とが前記被加工物を押圧する工程、
これにより、前記シート状箔材料(108b)を、前記被加工物基材(108a)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物箔押転写形成部を形成し、
及び、
(S-f)前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とを互いに離反して、前記被加工物への押圧を解除する工程、
これにより、前記被加工物基材(108a)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する形状を有する形態で前記シート状箔材料(108b)により転写形成された前記被加工物箔押転写形成部が形成されてなる加工物を調製する、
を備えてなることを特徴とする被加工物の加工方法。
【請求項20】
(S-a)請求項1乃至15のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版(10)を供給する工程、
(S-b)互いに対向する主ロール(96)と対ロール(97)を備えた押圧加工装置を準備する工程、
(S-c)前記押圧加工用版(10)を、前記主ロール(96)に設置する工程、
(S-d)所定の受版(94)を、前記押圧加工装置の前記対ロール(97)に設置する工程、
(S-e)前記主ロール(96)と前記対ロール(97)とを駆動するとともに、前記主ロール(96)と前記対ロール(97)との間に被加工物を供給して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とが前記被加工物を押圧する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形状部を形成し、
及び、
(S-f)前記被加工物が前記主ロール(96)と対ロール(97)との間から離反して、前記被加工物への押圧を解除する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態で形成された被加工物凹凸形成部が形成されてなる加工物を調製する、
を備えてなることを特徴とする、被加工物の加工方法。
【請求項21】
(S-a)請求項1乃至15のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版(10)を供給する工程、
(S-b)互いに対向する主ロール(96)と対ロール(97)を備えた押圧加工装置を準備する工程、
(S-c)前記押圧加工用版(10)を、前記主ロール(96)に設置する工程、
(S-d)所定の受版(94)を、前記押圧加工装置の前記対ロール(97)に設置する工程、
(S-e)前記主ロール(96)と前記対ロール(97)とを駆動するとともに、前記主ロール(96)と前記対ロール(97)との間に被加工物基材(108a)とシート状箔材料(108b)とを供給して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とが前記被加工物を押圧する工程、
これにより、前記シート状箔材料(108b)を、前記被加工物基材(108a)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物箔押転写形成部を転写形成し、
及び、
(S-f)前記被加工物が前記主ロール(96)と対ロール(97)との間から離反して、前記被加工物への押圧を解除する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態で前記シート状箔材料(108b)により転写形成された被加工物転写形成部が形成されてなる加工物を調製する、
を備えてなることを特徴とする、被加工物の加工方法。
【請求項22】
前記被加工物は、紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、皮革、木材、布、軟質金属、及び、これらの積層物からなる群から選ばれる少なくとも一つの被加工物である、
ことを特徴とする、請求項17乃至21のいずれかに記載の被加工物の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧加工により、紙、ダンボール紙、プラスチック製品、シート状転写箔材、金属製品、これらの複合製品、などの被加工物を所定形状に加工するために使用される押圧加工用板の製造方法、及び、その製造方法により製造された押圧加工用版、並びに、その押圧加工用版を用いて被加工物を加工する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押圧加工用版としては、その用途に応じて、金属製、プラスチック製、樹脂製、又は、ゴム製であって、箔押用版、型押用版、切抜用刃型、これらを組み合わせた加工用版型などが使用されている。箔押用版は、押圧加工用版に凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に一致して転写箔材を被加工物に転写形成するために使用される押圧加工用版である。型押用版は、型押用版に凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に一致して被加工物に凹凸形状で形成された図文字絵柄模様を転写形成するために使用される押圧加工用版である。切抜用刃型は、切断切抜用刃型に形成された図文字絵柄模様に一致して被加工物を所定形状に切断又は抜き切断切抜加工を行うために使用される押圧加工用版である。
【0003】
押圧加工用版を構成した公知の押圧加工装置の概略模式図を
図16に示す。
図16において、(A)は平板型押圧加工装置であり、上下動自在の第一基盤92の表面に押圧加工用版100が装着され、第一基盤92に対向する位置の上下動自在の第二基盤93に受版94が装着され、これらの押圧加工用版100と受版94との間に被加工物108が配置され、この状態で、第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つが稼働することにより、押圧加工用版100が被加工物108を押圧して、押圧加工用版100に凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に一致する図文字絵柄模様が、被加工物に凹凸形状で形成される。
この平板型押圧加工装置において、被加工物108が帯状形状の場合には、第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの稼働に連動して、押圧加工用版100と受版94との間に、被加工物108が断続的に供給されて所定の凹凸形状に加工形成される。
また、図示されていないが、被加工物が受版94の上に載置できる成形品、等の場合には、第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの稼働に連動して、押圧加工用版100と受版94との間に、被加工物108を載置供給して、被加工物を押圧加工して、所定形状に加工形成された加工物が得られる。
このようにして、所定の凹凸形状に加工された加工物、及び/又は切断切抜された加工物が得られる。
【0004】
図16の(B)は、ロール状押圧装置であり、円筒状又は円柱状を有する回転自在の主ロール96の表面に押圧加工用版100が構成され、回転自在の対ロール97が主ロール96に対向する位置に構成され、これらの主ロール96と対ロール97との間に被加工物108が配置され、この状態で、主ロール96と対ロール97が稼働することにより、押圧加工用版100が被加工物108を押圧して、所定の凹凸形状に加工された加工物が得られる。この場合、押圧加工用版100としては、主ロール96の周囲に装着可能な程度のフレキシブル性を有する押圧加工用版100が可能であり、又は、主ロール96の所定位置に固定治具により固定して設置されたフレキシブル性のない押圧加工用版100も可能である。
又は、主ロール96としては、主ロール96の表面に直接に所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様を有する構成も実施されている。
対ロール97としては、凹凸を形成しない滑らかな面を有するアンビルロール、又は、主ロールに形成された凹凸形状に係合可能な凹凸形状で形成された凹凸面を有する対ロールも実施されている。
このようなロール状押圧装置においては、主ロール96と対ロール97との間に帯状の被加工物108が連続して供給され、この状態で、主ロール96と対ロール97が稼働することにより、主ロール96と対ロール97とが被加工物108を押圧して、所定の凹凸形状に加工された加工物、及び/又は切断切抜された加工物が得られる。
【0005】
被加工物としては、紙類、各種プラスチック材料、ゴム、軟質材料、柔軟材料、皮革、布、金属などの種々の材料、及び、段ボール紙、プラスチック製品、皮革製品、布製品、金属製品、エンブレムなどの各種製品、並びに、ラベル、接着テープ、粘着剤、貼付剤などの複数の材料から構成された複合構成製品などの種々の被加工物が使用されている。
【0006】
押圧加工用版が箔押用版である場合、箔押用版の表面には、所定の文字・数字・模様・紋様・図柄・絵柄・画像、等の図文字絵柄模様が凹凸形状で形成されている。その箔押用版を、転写箔材料を介して被加工物に押圧することにより、凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に合致する転写箔材料により形成された図文字絵柄模様が、被加工物の表面に転写形成される。被加工物としては、紙、紙類、各種プラスチック材料、皮革、木材、布、金属などの殆どののあらゆる材料が使用可能であり、包装容器、包装紙、装飾用品、本、ラベル、プラスチッ製品、皮革製品、布製品、金属製品、エンブレム等の各種製品に応用されている。このような凹凸部を形成した箔押用版は、支持板や受部、等の対向基板を備えた押圧加工装置に設置構成され、箔押用版と対向基板のうちの少なくとも一方が駆動することにより、箔押用版と対向基板とが互いに押圧されて、凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に一致する箔押転写された図文字絵柄模様が、被加工物の表面に転写形成される。
【0007】
一般に、箔押用版は鋼鉄、真鍮、銅、マグネシウム、ステンレス、その他の金属、プラスチック、又は、樹脂、等の材料により作製され、対向基板は金属、プラスチック、樹脂、ゴム、その他の材料により作製されている。箔押用版の表面に、所定図文字絵柄模様が凹凸形状で刻設されている。
箔押用版と被加工物との間に転写箔材料が位置する状態で、箔押用版と対向基板とが互いに押圧されることにより、箔押用版表面と対向基板表面のそれぞれの全領域が、同時に、押圧接触されて、転写箔材料により形成された所定の図文字絵柄模様、が凹凸形状で被加工物の表面に転写形成される。この際、熱盤を使用して加熱された箔押用版により押圧加工する押圧加工システムも使用され、いわゆるホットスタンピング押圧加工システムも使用されている。また、このような押圧加工システムおいて、一個の箔押用版が使用される場合と、複数個の箔押用版が同時に使用される場合とがある。
【0008】
押圧加工用版が型押用版である場合、型押用版は、転写箔材料を使用することなく、紙類、プラスチック、皮革、木材、布、ラミネート材料等の加工製品に直接に型押用版を押圧して、型押用版に刻設された所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様を、被加工物の表面に転写して型押加工するための押圧加工システムに使用される。このような押圧加工システムは、上記の箔押押圧加工システムと同様に型押用版と対向基板とより構成され、その型押用版の表面に図文字絵柄模様が凹凸形状で形成されている。例えば、型押用版と対向基板のうちの少なくとも一方が駆動することにより型押用版と対向基板とが互いに押圧される。被加工物が対向基板と型押用版との間に位置する状態で、型押用版と対向基板とが互いに押圧されることにより、型押用版表面と対向基板表面のそれぞれの全領域が、同時に、被加工物を介して、互いに押圧されて、所定の図文字絵柄模様が凹凸形状で被加工物に転写形成される。このような押圧加工システムおいて、使用される被加工物としては、紙、紙類、軟質プラスチック材料、皮革、木材、布、等の、押圧により圧縮変形する材料が使用可能である。また、一個の型押用版が使用される場合と、複数個の型押用版が同時に使用される場合とがある。
【0009】
押圧加工用版が切断切抜用刃型である場合、切断切抜用刃型は、紙類、プラスチック、皮革、木材、布、ラミネート材料、貼付剤シート、転写箔材料、等の薄片状の被加工物に切抜用刃型を押圧することにより、薄片状被加工物を所定形状に切断加工又は抜き加工するための押圧加工システムに使用される。切断切抜用刃型には、凹凸の刃形状で所定の刃が形成され、この刃の形状に一致して加工製品が切断又は抜き加工される。このような押圧加工システムは、上記の型押用版または箔押用版を使用した押圧加工システムと類似して、切抜用刃型と対向基板とより構成され、その切断切抜用刃型の表面に凹凸形状の刃型パターンが形成されている。例えば、切断切抜用刃型と対向基板のうちの少なくとも一方が駆動することにより切断切抜用刃型と対向基板とが互いに押圧される機構である。被加工物が対向基板と切断切抜用刃型との間に位置する状態で、切断切抜用刃型と対向基板とが互いに押圧されることにより、切断切抜用刃型表面と対向基板表面のそれぞれの全領域が、同時に、被加工物を介して、互いに押圧されて、被加工物の所定の領域が所定の形状で切断または抜き加工される。なお、このような押圧加工システムにおいて、一個の切抜用刃型が使用される場合と、複数個の切断切抜用刃型が同時に使用される場合とがある。また、このような切断・抜き加工と同時に、上記の箔押し加工または型押し加工とを併用して同時加工することも可能である。
【0010】
このような押圧加工用版として、例えば下記の技術が知られている。
特開2002-99196号公報には、押圧加工用版としての箔押用版であるホットスタンプ版と、対向基板としての受け部との間に、転写箔材料としてのホログラム転写箔と、被加工物を構成した押圧転写加工方法が開示されている。
また、実公平7-55065号公報には、箔押用版としてのホットスタンピング加工用版型と、対向基板としての支持台との間に、転写箔材料としての転写箔と、被加工物としての被転写物を構成したホットスタンピング転写機が開示され、特に、加工用版型の凹凸で形成されている凹部にゴム素材を付着して、凸部と同一平面となるように加工用版型の表面を形成した加工用版型が開示されている。
また、実用新案登録第3130674号公報には、図文字絵柄模様が凹凸形状で刻設された加工用版型の表面の少なくとも一方向の表面が、曲面形状またはアール形状の頂部と、その頂部から離れるにしたがって連続的に滑らかに低くなるような傾斜面とからなる表面形状を有する加工用版型と、対向基板としての平面形状表面を有する支持板と、その加工用版型と支持板との間に位置する転写箔材料としての転写箔フィルムと、加工製品としての被転写物を構成した平圧式転写装置が開示されている。
【0011】
特開平8-85099号公報には、化学的腐食エッチング加工により、高刃部と低刃部とを有する抜き型の製造方法が開示され、また、エッチングの後、低刃部先端をヤスリ等で丸く機械加工する方法が記載され、さらに、従来技術として、エッチング後に、グラインダ等で削り低刃を形成する方法も開示されている。
再表2002-53332号公報には、エッチングによりフレキシブルベースとこのベースから突出する突部を形成した後、その突部の側面を切削して垂直突部を形成し、次いで垂直突部の先端に両刃または片刃の刃先を加工して押切刃を形成するフレキシブルダイ及びフレキシブルダイの製造方法が開示され、これにより、押切刃の根元側面の幅を、従来のフレキシブルダイの根元側面の幅よりも小さくすることができ、厚みの厚い材料を打抜く場合であっても、材料の加工部分の上下の寸法の差を小さくすることができ、加工精度を高めることができ、しかも、垂直突部の先端のみに刃先加工しているので、材料を打抜く際に押切刃に掛かる圧力が小さくて済み、押切刃の耐久性が向上し、生産性の向上とともに製品コストを抑えることができる効果が開示されている。
【0012】
凹部と、該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、複数の凹部と複数の凸部とを有する複数の凹凸部が形成されてなる押圧加工用版を製造する場合、従来、一般に、押圧加工用版の製造方法としては、機械的加工による製造方法と、化学的腐蝕エッチング加工による製造方法と、化学的腐蝕エッチング加工と機械的加工との組み合わせによる製造方法とが知られている。
なお、一般に、凹部の深さ寸法(「凸部の高さ寸法」と同じ意味)は、被加工物の種類により異なるが、約0.5mm以上である。また、凹部または凸部の幅寸法は、特に制限はなく、所望の寸法である。
【0013】
従来の、機械的加工による押圧加工用版の製造方法を説明する概略断面模式図を
図18に示す。
図18において、(A)表面が凹凸のない無凹凸部を有する厚さ寸法が約3mmの版型用基板1を準備し、(B)版型用基板1の表面の所望の領域を機械的に切削加工して、複数の凹形状の既成複数凹凸部凹部452を形成するとともに、既成複数凹凸部凹部452から突出する複数の既成複数凹凸部凸部451を形成して、既成複数凹凸部45を形成する。この場合、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」(既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法「D1」)は、例えば、約0.9mmである。
(C)次に、上記のようにして形成した複数の既成複数凹凸部凹部452と複数の既成複数凹凸部凸部451とよりなる既成複数凹凸部45の周囲を機械加工により切削加工して、従来慣用第二凹形成部121aを形成し、これにより、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する従来慣用の機械加工により形成された従来慣用機械加工凹凸部突出部450と、従来慣用第二凹形成部121aとを形成した押圧加工用版が製造される。この場合、従来慣用第二凹形成部121aの深さ寸法「D12a」は、例えば、約2mmである。
【0014】
従来の、慣用の化学的腐蝕エッチング加工により既成複数凹凸部45を形成した後、更に、該既成複数凹凸部45の周囲を、機械加工により加工して、従来慣用の機械加工により形成された従来慣用機械加工凹凸部突出部450を形成する製造方法を説明する概略断面模式図を
図19に示す。
図19において、(A)厚さ寸法が約3mmの版型用基板1の表面の所望の領域に従来の慣用の慣用レジスト材20を付着し、(液状レジスト材を使用した場合には、更に乾燥し)、(B)その慣用レジスト材を覆って所定の図文字絵柄模様を開口形成してなる露光用マスク部材23を設置して、露光用マスク部材を介して版型用基板に付着した慣用レジスト材に紫外線等を照射して露光して慣用レジスト材を化学的に変質し、(C)不要部分のレジスト材を溶解除去して現像して、露光用マスク部材の図文字絵柄模様に一致するレジスト硬化膜30を形成し、必要に応じてアフターベーキングし、(D)その慣用レジスト硬化膜30を形成した版型用基板100の表面にエッチング液を接触して、慣用レジスト材30が付着されていない版型用基板面が露出している領域の版型用基板表面を腐蝕溶解(エッチング)して凹形状の従来慣用凹凸部凹部452を形成し、(E)慣用レジスト硬化膜を除去し、これにより、凹形状の既成複数凹凸部凹部452を形成するとともに、凸形状の既成複数凹凸部凸部451を形成して、既成凹凸部45を形成する。この場合、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法D1(既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法D1)は、例えば、約0.9mmである。
(F)さらに、上記のようにして形成した複数の凹形状の既成複数凹凸部凹部452と凸形状の既成複数凹凸部凸部451とよりなる既成凹凸部45の周囲を機械加工により切削加工して、従来慣用第二凹形成部121aを形成し、これにより、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する従来慣用の機械加工により形成された従来慣用機械加工凹凸部突出部450と、従来慣用第二凹形成部121aとを形成した押圧加工用版が製造されている。この場合、従来慣用第二凹形成部121aの深さ寸法「D12a」は、例えば、約2mmである。
【0015】
図19の(A)において、一般に、従来の慣用の慣用レジスト材20としては、慣用液状レジスト材、又は、シート状フィルム形状の慣用ドライフィルムレジスト材が使用されている。
従来、一般に、慣用液状レジスト材は、従来の慣用のスクリーン印刷方式、スプレーコート方式、カーテンコート方式、等により、版型用基板の所望の領域に付着形成される。
スクリーン印刷方式は、所定の貫通孔を形成したスクリーン印刷版を介して版型用基板の所望の領域に液状レジスト材を付着する方式である。スプレーコート方式は、所定の多数の微細穴を有するノズルからスプレー状で液状レジスト材を吹き付けて版型用基板の所望の領域に付着する方式である。
慣用ドライフィルムレジスト材は、接着方式により、版型用基板の所望の領域に付着されている。
図19の(B)、(C)において、露光用マスク部材を使用することなく、直接に、レーザー、電子線等を照射して慣用レジスト材を化学的に変質する方法も実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】実公平7-55065号公報
【特許文献2】特開2002-99196号公報
【特許文献3】実用新案登録第3130674号公報
【特許文献4】特開平8-85099号公報
【特許文献5】再表2002-53332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来、凹部と該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、複数の凹部と複数の凸部とを有する複数の凹凸部が形成されてなる押圧加工用版を製造する場合、一般に、押圧加工用版の製造方法としては、機械的加工による製造方法と、化学的腐蝕エッチング加工による製造方法と、化学的腐蝕エッチング加工と機械的加工との組み合わせによる製造方法とが知られている。
前述の
図18に示されるような機械的加工による製造方法、及び、
図19に示されるような化学的腐蝕エッチング加工と機械的加工との組み合わせによる製造方法において、機械的加工は、高価な精密な機械加工装置が必要、所望の精密精度で加工できる熟練した機械加工技術者が必要、等の理由により、従来の化学的腐蝕エッチング加工と比べて、製造コスト及び技術保有人材的に劣る傾向がある、という課題がある。
【0018】
また、従来の化学的腐蝕エッチング加工において、従来の汎用の慣用液状のレジスト材を使用して従来慣用のスプレーコート方式、スクリーン印刷方式、カーテンコート方式、スピンコート方式、等の従来のレジスト塗布方式によりレジスト付着膜を形成し、そのレジスト付着膜を、露光用マスク部材を介して露光して、所望形状を有する慣用レジスト硬化膜を形成して、その慣用レジスト硬化膜をエッチング用マスクとして基板を腐蝕エッチングする腐蝕エッチング加工は、凹部及び凸部の高さ寸法や凹部の深さ寸法、等の高い高さや深い深さを形成する目的の場合、形状精度や寸法精度、等の加工精度に劣るという課題がある。
【0019】
また、一般に、慣用レジスト付着膜の厚さは約50μm(約0.05mm)未満である。
塗布、付着された慣用レジスト付着膜材の厚さが約50μm以上の場合には、厚さが厚くなるに従って慣用レジスト付着膜材の平面領域の厚さのバラツキが大きくなり、均一な慣用レジスト付着膜を形成できなくなる傾向があり、そのために、露光用マスク部材を使用する紫外線等の露光時において露光にバラツキが生じて、所望の形状精度や寸法精度を有する現像された慣用レジスト硬化膜を形成できなくなり、その結果、その慣用レジスト硬化膜をエッチング用マスクとして版型容器場を腐蝕エッチングしたときに、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸部を形成できなく、エッチング加工精度が劣るという課題がある。
【0020】
特に、所望の凹部や凸部の側面に汎用の慣用液状レジスト材を付着しようとする場合に、側面に塗布された慣用液状レジスト材が凹部底面側に流れ落ちて、凸部や凹部の側面の所望の領域に慣用液状レジスト材を付着させるすることが困難であり、その付着形成した慣用レジスト硬化膜をエッチング用マスクとして版型用基板を腐蝕エッチングした場合に、所望の凹部や凸部等の凹凸部を形成することが不可能であり、所望の、形状精度や寸法精度、等の加工精度に劣るという課題がある。
従来慣用のスプレーコート方式、スクリーン印刷方式、カーテンコート方式、スピンコート方式、等の従来のレジスト塗布方式により、版型用基板に形成された凹凸部の凹部の窪み全体を埋めて、凹部の側面及び凸部の側面に慣用レジスト硬化膜を形成しようとした場合においても、上記と同様に、慣用レジスト硬化膜の厚さのバラツキが大きくなり均一な慣用レジスト硬化膜を形成できなくなり、そのために、そのために、露光用マスク部材を使用する紫外線等の露光時において露光にバラツキが生じ、そのために、寸法精度が低下して、所望の形状精度や寸法精度を有する現像された慣用レジスト硬化膜を形成できなく、その結果、その慣用レジスト硬化膜をエッチング用マスクとして腐蝕エッチングしたときに、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸部を形成できなく、エッチング加工精度が劣るという課題がある。
【0021】
従来の汎用のシート状の慣用ドライフィルムレジスト材を使用してレジスト硬化膜を形成する腐蝕エッチング加工は、凹部及び凸部の高さ寸法や凹部の深さ寸法、等の高い高さや深い深さを形成する目的において、形状精度や寸法精度、等の加工精度に劣るという課題がある。特に、凹凸部の表面を有する版型用基板を使用して、その凹凸部を有する版型用基板に、更に、所望の凹部や凸部等の凹凸部を形成する場合に、凹凸部の表面を有する版型用基板と慣用ドライフィルムレジスト材との密着性が不十分になって、版型用基板と慣用ドライフィルムレジスト材との間に隙間が発生し、凹部側面や凹部底面がレジスト材により覆われることなく、レジスト材と基板との隙間を通じてもエッチングが生じ、その結果、所望の、形状精度や寸法精度、等の加工精度に劣るという課題がある。
【0022】
また、従来技術において、凹部と該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、複数の凹部と複数の凸部とを有する複数の凹凸部が形成されてなる押圧加工用版を製造する場合、複数の凹部と複数の凸部のそれぞれの凹部と凸部の側面がエッチングされてしまって、その結果、所望の凹凸を有する突出部を形成できないという、課題がある。
【0023】
このような、凹部と該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、複数の凹部と複数の凸部とを有する複数の凹凸部が形成されてなる押圧加工用版を製造する場合、従来の、化学的腐蝕エッチング加工による製造方法の一例を、
図20を用いて説明する。
図20は、従来の慣用レジスト材を使用した化学的腐蝕エッチング工程により押圧加工用版を製造する模式的工程説明図である。
図20において、(A)機械加工、又は、従来の慣用レジスト材を使用した化学的腐蝕エッチング加工により、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有る既成複数凹凸部45を形成した版型用基板を準備する。既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法D1(既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法と同じ)は、約0.9mmである。
(B)その既成複数凹凸部45の表面に従来の慣用液状レジスト材20を付着する。この場合、既成複数凹凸部凹部452の凹部側面に慣用液状レジスト材が付着することなく、既成複数凹凸部凹部452の底面に落ちてしまう傾向がある。既成複数凹凸部凸部451の上面と既成複数凹凸部凹部452の底面に付着された慣用液状レジスト材20の厚さは、約10μm(約0.01mm)以上であって、約50μm(約0.05mm)未満である。
(C)既成複数凹凸部45の表面に付着した慣用液状レジスト材を覆って、予め準備した露光用マスク部材23を設置して、その後、(D)紫外線照射等の露光、現像、硬化、等を行って、所望形状を有する慣用レジスト硬化膜30を形成する。
(E)慣用レジスト硬化膜30を付着した基板にエッチング液を接触させて、慣用レジスト硬化膜30が付着していない領域の版型用基板の表面の腐蝕エッチングを行い、既成複数凹凸部45の周囲領域を、エッチング途中のエッチング深さ寸法「D3」が約1mmの深さ迄、腐蝕エッチングして、エッチング途中の腐蝕第二凹形成部121bを形成する。
(F)更に続けて、既成複数凹凸部45の周囲領域の深さが所定深さになる迄、腐蝕エッチングを続行して、深さ寸法「D12a」が約2mmの従来慣用第二凹形成部121aを形成する。
(G)慣用レジスト硬化膜30を除去する。
【0024】
このような製造方法において、(E)において、慣用レジスト硬化膜30が付着していない既成複数凹凸部凹部452の凹部側面も腐蝕エッチングされて、サイドエッチング現象により既成複数凹凸部凸部451の側面が腐蝕エッチングされたサイドエッチング部が生じて、サイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451s(サイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452s)が形成され、その結果、正常な、所望の凹凸模様の形状維持した既成凹凸部突出部が形成されないという課題がある。なお、既成複数凹凸部凸部451の側面は既成複数凹凸部凹部452の側面と同じ部位を意味するため、サイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451sはサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452sと同じ部位を意味する。また、「サイドエッチング」は「側面エッチング」と同じ意味であり、凹凸部の凸部の側面、又は、凹凸部の凹部の側面がエッチングされる現象を意味する。
(F)において、深さ寸法「D12a」が約2mmの凹部(従来慣用第二凹形成部121a)と、該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、サイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451sとサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452sとを有する複数のサイドエッチングされた既成凹凸部突起部455sが形成されてなる押圧加工用版が製造される。また、従来慣用の第二凹形成部121aはサイドエッチングされた腐蝕第二凹形成部121sの形態を有する。
【0025】
以上のように、従来の慣用の慣用液状レジスト材20を使用した押圧加工用版の製造方法においては、複数の既成複数凹凸部凸部451の側面(又は、複数の既成複数凹凸部凹部452の側面)もエッチングされ、初期の複数の既成複数凹凸部凸部451及び複数の既成複数凹凸部凹部452の形状を維持できなく、所望の正常な押圧加工用版を製造できないという課題がある。
【0026】
また、従来技術において、凹部と該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部466が形成されてなる押圧加工用版を製造する場合、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462の側面がエッチングされてしまって、その結果、所望の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する部突起部を形成できないという、課題がある。
このような、凹部と該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する複数の既成複数微細凹凸部が形成されてなる押圧加工用版を製造する場合、従来の、化学的腐蝕エッチング加工による製造方法の一例を、
図21を用いて説明する。
【0027】
図21は、従来の慣用レジスト材を使用した化学的腐蝕エッチング工程により押圧加工用版を製造する模式的工程説明図である。
図21において、(A)機械加工、又は、従来慣用レジスト材を使用した化学的腐蝕エッチング加工により、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有る既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板を準備する。複数の既成複数微細凹凸部凹部462の深さ寸法(既成複数微細凹凸部凸部461の高さ寸法)「d1」は、約0.05mm(約50μm)~約1mm(約1000μm)であり、複数の既成複数微細凹凸部凹部462の幅寸法、及び、既成複数微細凹凸部凸部461の幅寸法は、約0.01mm(約10μm)~約1mm(約1000μm)である。
(B)その既成複数微細凹凸部46の表面に従来のシート状の慣用ドライフィルムレジスト材20を付着する。この場合、既成複数微細凹凸部凸部461の上面にシート状の汎用の慣用ドライフィルムレジスト材20が完全に密着することなく、また、既成複数微細凹凸部凹部452の側面や底面にもシート状の慣用ドライフィルムレジスト材20が完全に密着することなく、シート状の慣用ドライフィルムレジスト材30と既成複数微細凹凸部45との間に隙間が生じる傾向がある。シート状の慣用ドライフィルムレジスト材30の厚さ寸法は、約0.02mm~0.04mm(約20μm~約40μm)である。
(C)既成複数微細凹凸部46の表面に付着した慣用ドライフィルムレジスト材を覆って、予め準備した露光用マスク部材23を設置して、その後、(D)紫外線照射等の露光、現像、硬化、等を行って、所望形状を有する慣用レジスト硬化膜30を形成する。
(D)慣用レジスト硬化膜30を付着した基板にエッチング液を接触させて、慣用レジスト硬化膜30が付着していない領域の版型用基板の表面の腐蝕エッチングを行い、既成複数微細凹凸部46の周囲領域を、エッチング途中のエッチング深さ寸法「d3」が約1mmの深さ迄、腐蝕エッチングして、エッチング途中の腐蝕第二凹形成部121bを形成する。
(E)更に続けて、既成複数微細凹凸部46の周囲領域の深さが所定深さになる迄、腐蝕エッチングを続行して、深さ寸法「d12a」が約2mmの従来慣用の腐蝕第二凹形成部121aを形成する。
(F)慣用レジスト硬化膜30を除去する。
【0028】
このような製造方法において、(E)において、慣用レジスト硬化膜30が付着していない既成複数微細凹凸部凹部462の凹部側面も腐蝕エッチングされて、サイドエッチング現象により既成複数微細凹凸部凸部461の側面が腐蝕エッチングされたサイドエッチング部が生じて、サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が形成され、その結果、正常な、所望の複数微細凹凸模様の形状維持した既成複数微細凹凸部突出部が形成されないという課題がある。なお、既成複数微細凹凸部凸部461の側面は既成複数微細凹凸部凹部462の側面と同じ部位を意味するため、サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461sはサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462sと同じ部位を意味する。
(F)深さ寸法「D12a」が約2mmの凹部(従来慣用第二凹形成部121a)と、該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461sとサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462sとを有するサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部突起部466sが形成されてなる押圧加工用版が製造される。また、従来慣用第二凹形成部121aはサイドエッチングされた腐蝕第二凹形成部121sの形態を有する。
【0029】
以上のように、従来の慣用ドライフィルムレジスト材20を使用した押圧加工用版の製造方法においては、既成複数微細凹凸部凸部461の側面(又は、既成複数微細凹凸部凹部462の側面)もエッチングされ、初期の既成複数微細凹凸部凸部461及び既成複数微細凹凸部凹部462の形状を維持できなく、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版を製造できないという課題がある。
【0030】
なお、上記の
図21を用いて説明した押圧加工用版の製造方法において、図示されていないが、(B)「慣用ドライフィルムレジスト材30を付着する」工程に替えて、前述の
図20の従来慣用液状レジスト材20を使用した場合と類似の「その既成複数微細凹凸部46の表面に従来の慣用液状レジスト材20を付着し」、(C)現像・レジスト硬化膜形成(露光用マスク部材の設置・露光、現像)、を経て、(D)腐蝕エッチング、(E)腐蝕エッチング続行、(F)レジスト硬化膜除去、等の工程を経て、押圧加工用版を製造する場合においても、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版を製造できないという課題がある。
すなわち、この場合においても、腐蝕第二凹形成部121aの深さ寸法「d12a」が約2mmの凹部(従来慣用第二凹形成部121a)と、該凹部から突出した突起部とを備え、その突起部の表面に、サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461sとサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462sとを有するサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部突起部466sが形成されてなる押圧加工用版が製造され、既成複数微細凹凸部凸部461の側面(又は、既成複数微細凹凸部凹部462の側面)もエッチングされ、初期の既成複数微細凹凸部凸部461及び既成複数微細凹凸部凹部462の形状を維持できなく、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版を製造できないという課題がある。
【0031】
所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版を使用して被加工物を加工した場合に、所望の形状精度や寸法精度を有する加工物が形成できないという課題がある。
【0032】
本発明の押圧加工用版の製造方法は、上記の従来の課題を解決するものであり、被加工物を押圧により所定形状に加工するための押圧加工用版の製造方法であって、従来汎用の化学的腐蝕エッチング加工よりも簡単な工程を有する化学的腐食エッチングを備えた工程により、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版の製造方法を提供する。
【0033】
本発明の押圧加工用版は、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版を提供する。
【0034】
本発明の被加工物の加工方法は、紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、これらの積層物、等の被加工物を、、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、所望の形状精度や寸法精度を有して加工形成されてなる加工物を調製できる被加工物の加工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の押圧加工用版の製造方法は、
被加工物を押圧により所定形状に加工するための押圧加工用版の製造方法であって、
(A)版型用基板第一領域表面(11)と版型用基板第二領域表面(12)を備えた版型用基板(1)を供給する版型用基板供給工程、
(B)前記版型用基板(1)の前記版型用基板第一領域表面(11)の所望領域にインクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、
前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、
(C)前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が付着されていない版型用基板の表面をエッチングする版型用基板エッチング工程、
これにより、前記版型用基板(1)の表面に凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕凹形成部を形成し、
及び、
(D)前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程、
を備えてなることを特徴とする。
【0036】
好ましくは、
前記(A)工程において、
前記版型用基板第二領域表面(12)は一つ又は複数の凹凸のない無凹凸部を有し、
前記版型用基板第一領域表面(11)は一つ又は複数の既成凹凸部(4)を有し、
(i)前記版型用基板第二領域表面(12)が一つの凹凸のない無凹凸部を有するとともに、
前記版型用基板第一領域表面(11)が一つの既成凹凸部(4)を有する場合、
前記無凹凸部は前記既成凹凸部(4)の周囲領域に位置し、
前記既成凹凸部(4)は、
(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部(451)と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有してなる既成複数凹凸部(45)、
又は、
(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有してなる既成複数微細凹凸部(46)、を有し、
(ii)前記版型用基板第二領域表面(12)が複数の凹凸のない無凹凸部を有するとともに、
前記版型用基板第一領域表面(11)が複数の既成凹凸部(4)を有する場合、
前記複数の無凹凸部のうちのそれぞれの前記無凹凸部は前記複数の既成凹凸部(4)のうちのそれぞれの既成凹凸部(4)の周囲領域に位置し、
前記複数の既成凹凸部(4)のうちのそれぞれの前記既成凹凸部(4)は、
(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部(451)と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部(452)とを有してなる既成複数凹凸部(45)、
及び/又は、
(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部(462)とを有してなる既成複数微細凹凸部(46)、を有し、
前記(B)工程において、
前記版型用基板(1)の前記版型用基板第一領域表面(11)の前記既成凹凸部(4)を覆ってインクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、
及び、
前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備え、
前記(C)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を形成した前記版型用基板(1)の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、これにより、前記既成凹凸部(4)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成し、ここで、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121は前記インクジェットレジスト膜腐蝕凹形成部に相当し、
前記(D)工程において、
前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備え、
これにより、前記既成凹凸部(4)をエッチングすることなく、前記版型用基板第二領域表面(12)をエッチングして、凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部(121)を形成するとともに、前記既成凹凸部(4)を、前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出した突出形状に形成する、
ことを特徴とする。
【0037】
本発明の押圧加工用版は、本発明の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版である。
【0038】
本発明の被加工物の加工方法は、
(S-a)本発明の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版(10)を供給する工程、
(S-b)互いに対向する第一基盤(92)と第二基盤(93)を備えた押圧加工装置を準備する工程、
(S-d)所定の受版(94)を、前記押圧加工装置の第二基盤(93)に設置する工程、
(S-e)前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)との間に、被加工物(108)を位置する状態で、前記第一基盤(92)と前記第二基盤(93)とのうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とが前記被加工物を押圧する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成し、
及び、
(S-f)前記押圧加工用版(10)と前記受版(94)のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、前記押圧加工用版(10)と受版(94)とを互いに離反して、前記被加工物への押圧を解除する工程、
これにより、前記被加工物(108)の表面に、前記既成凹凸部(4)の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態で転写形成された前記被加工物凹凸形成部が形成されてなる加工物を調製する、
を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0039】
本発明の押圧加工用版の製造方法により、[(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)従来汎用の化学的腐蝕エッチング加工よりも簡単な工程を有する化学的腐食エッチングを備えた工程により、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果]が得られる。
【0040】
特に、本発明の押圧加工用版の製造方法により、[(製造方法効果イ-a:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成凹凸部を形成可能効果)化学的腐蝕エッチング加工であって、凹部と該凹部から突出した突起部と、その突起部の表面に複数の既成複数凹凸部凹部と複数の既成複数凹凸部凸部とを有する既成複数凹凸部、及び/又は、複数の既成複数微細凹凸部凸部と複数の既成複数微細凹凸部凹部とを有する既成複数微細凹凸部が形成されてなるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果]が得られる。
【0041】
本発明の押圧加工用版により、[押圧加工用版構成効果イ:、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版が得られる効果]が得られる。
【0042】
本発明の被加工物の加工方法により、[被加工物加工方法効果イ:紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、これらの積層物、等の被加工物を、、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、所望の形状精度や寸法精度を有して加工形成されてなる加工物を調製できる効果]が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図2】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図3】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図4】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図5】本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に形成された既成複数微細凹凸部を説明するための模式的概略図。
【
図6】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図7】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図8】本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図。
【
図9】本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図。
【
図10】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図11】本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図12】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図13】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図14】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図15】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図16】押圧加工用版を構成した公知の押圧加工装置であって、本発明の押圧加工用版にも使用可能な押圧加工装置の概略模式図であり、(A)は平板型押圧加工用版を構成した加工装置であり、(B)はロール状押圧加工装置。
【
図17】押圧加工用版を構成した公知の押圧加工装置であって、本発明の押圧加工用版にも使用可能な押圧加工装置の概略模式図。
【
図18】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図19】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図20】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図21】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図22】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【
図23】従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<本発明の押圧加工用版の製造方法について>
[基本構成1]
本発明の押圧加工用版の製造方法は、下記の構成を備える。
被加工物を押圧により所定形状に加工するための押圧加工用版の製造方法であって、(A)版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を供給する版型用基板供給工程、(B)前記版型用基板1の前記版型用基板第一領域表面11の所望領域にインクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、(C)前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した前記版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の表面をエッチングする版型用基板エッチング工程、これにより、前記版型用基板1の表面に凹部形状で形成された腐蝕凹形成部を形成し、及び、(D)前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程、を備えてなる。
このようにして、所望の凹凸表面形状で形成されてなる押圧加工用版が製造される。
【0045】
なお、上記の(A)工程において、「版型用基板1を供給する版型用基板供給工程」は、「版型用基板1を準備する版型用基板供給工程」であっても実施可能であり、「供給」と「準備」は類似する意味である。
また、版型用基板第一領域表面11は仮想の版型用基板第一領域表面であり、版型用基板第二領域表面12は仮想の版型用基板第二領域表面である。すなわち、版型用基板第一領域表面11は仮想版型用基板第一領域表面であり、版型用基板第二領域表面12は仮想版型用基板第二領域表面である。
また、版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12とは互いに隣り合う領域表面に位置する構成、及び/又は、版型用基板第二領域表面12が版型用基板第一領域表面11の周囲領域表面に位置する構成、及び/又は、版型用基板第一領域表面11が版型用基板第二領域表面12の周囲領域表面に位置する構成、が好ましく実施可能である。
また、後述の「従属構成4」及び「従属構成7」で説明するが、既成複数凹凸部凸部451と既成複数凹凸部凹部452を有する既成複数凹凸部45としては、(イ)文字、(ロ)記号、(ハ)図形、(ニ)絵柄、及び、(ホ)模様、からなる群から選ばれる少なくとも一つの凹凸形状で形成されてなる所望の図文字絵柄模様、又は、これらの図文字絵柄模様が微細な凹凸形状で形成された所望の微細図文字絵柄模様が好ましく実施可能である。
【0046】
本発明の押圧加工用版の製造方法により、[(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)従来汎用の化学的腐蝕エッチング加工よりも簡単な工程を有する化学的腐食エッチングを備えた工程により、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果]が得られる。
【0047】
版型用基板1としては、特に限定されない。例えば、押圧加工用版として一般に慣用されているところの、金属製、プラスチック製、又は、樹脂製等の版型用基板1が使用できる。
特に好ましくは、ステンレス鋼、真鍮、銅、マグネシウム、ジュラルミン、等の金属製、及び、鉄、超硬合金(GM MF)、粉末ハイス鋼(YXM)、ハイス鋼(高速度鋼、SKH、HSS)、ダイス鋼(SKD)、合金工具鋼(SKT、SKS)、炭素工具鋼(SK)等の鋼鉄製の版型用基板1が好ましく使用できる。
超硬合金は、硬い性質を有し、特に限定されないが、例えば、耐摩耗周期律表のIVa、Va、VIa族金属の炭化物(例えば、炭化タングステン、WC)をFe、Co、Niなどの鉄系金属で焼結した複合材料であり、機械的特性に優れ、破損や傷付き発生が最も少ない鋼材であり、WC-Co、WC-TiC-Co、WC-TaC-Co、WC-TiC-TaC-Co、WC-Ni、WC-Ni-Cr等の超硬合金が使用できる。超硬合金としては、例えば、GM30(硬度HRA90)、MF20(硬度HRA91)等の、硬度HRA90以上、又は、硬度HRC70以上を有する超硬合金が好ましく使用できる。
ハイス鋼は、粘りがあり、優れた靭性、高抗力、高耐熱性等を有し、モリブデン系成分を3~10%を含有し、例えば、SKH51(硬度HRC62~64)、DC53(硬度HRC59~61)、SKD(硬度HRC59~61)の鋼材が好ましく使用できる。
粉末ハイス鋼は、強い靭性、耐摩耗性、ハイス鋼よりも硬い硬度を有し、モリブデン系成分を4.7~5.3%を含有し、例えば、YXM1、等であって、硬度がHRC64~67の鋼材が好ましく使用できる。
ダイス鋼は、熱や物理的インパクトに耐性を有し、SKD11、KD21、KD11、DC53、D2、等であって、硬度が、HRC59~61の鋼材が好ましく使用できる。
【0048】
このように、超硬合金は、ハイス鋼、ダイス鋼、合金工具鋼、炭素工具鋼よりも硬い硬度を有する。これらの鋼材の種類及びその性質については、日本工業規格JISに記載されている鋼材を、所望に選択して実施可能である。硬度記号のHRA、HRC等は、日本工業規格JISのロックウェル硬さを示す。
なお、本発明において、少なくとも鉄成分を含有してなる金属類を鋼鉄として定義する。
また、鉄、銅、マグネシウム、ジュラルミン、等の金属は、これらの金属を主成分とする金属を意味するものであり、これらの金属を主成分として、更に、他の金属が添加含有されてなる金属を意味する。
押圧加工用版においては、これらの金属製、プラスチック製、樹脂製、又は、ゴム製の版型用基板が所望に選択されるとともに、所望の大きさ形状を有する版型用基板が使用される。
【0049】
版型用基板1の版型用基板第一領域表面11の所望領域にインクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程としては、例えば、電子部品の配線基板や印刷分野において汎用されているインクジェット印刷システム装置に類似する装置を使用して、インクジェット方式によりインクジェットレジスト材2を版型用基板の所望領域に付着する工程が実施できる。例えば、オンデマンド方式のインクジェット印刷システム装置を使用して、所定の微細な複数個の穴を備えた吐出ノズルからインクジェットレジスト材2を吐出して、CADデータにより制御されて、版型用基板に対して相対的に移動して、インクジェットレジスト材2を、所望の微細液滴状態で、版型用基板表面の所望領域に高精度で着弾して塗り分け付着し、これにより、版型用基板1の所望の領域に、高精度に付着された所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する。
吐出ノズルとしては、例えば、多数個(約1000個~約10000個)の微少口径を有する吐出ノズルを有するノズルヘッドを備えたインクジェット印刷システム装置が使用できる。
インクジェット印刷システム装置としては、特に限定されないが、例えば、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置、富士フィルム社製、石井表紀社製、キーエンス社製、SSIジャパン社製、又は、これらのインクジェット印刷システム装置に類似するその他の企業製の装置であって、所望の吐出周波数、解像度、液滴量、ノズル数、等の仕様を、所望仕様に改良したインクジェット印刷システム装置が使用できる。
後で説明する実施例においては、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用して、インクジェットレジスト材をインクジェット方式により版型用基板に付着した。
【0050】
好ましくは、下記の仕様を有するインクジェット印刷システム装置が好ましい。
吐出ノズルから吐出されるインクジェットレジスト材液滴量は3pl~15plであり、横方向解像度は360dpi、720dpi、1080dpi、1440dpi、又は、600dpi、900dpi、1200dpi、1500dpi、2400dpiであり、縦方向解像度は720dpi、1440dpi、2160dpi、又は、1200dpi、2400dpiであり、標準解像度は720dpi~1200dpiであり、所望領域インクジェットレジスト付着膜が線形状の場合における最小線幅は40μm~90μmである。
なお、所望領域インクジェットレジスト付着膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、硬化後の、所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さが、約5μm~約100μmの範囲にある所望領域インクジェットレジスト付着膜が好ましく実施できる。また、更に好ましくは、所望領域インクジェットレジスト付着膜の厚さが、約5μm~約50μmの範囲にある所望領域インクジェットレジスト付着膜が好ましく実施できる。
【0051】
従来の慣用液状レジスト材を使用した場合、約50μm以上の厚さであって、厚さが厚くなるに従って慣用レジスト付着膜材の平面領域の厚さのバラツキが大きくなり、均一な慣用レジスト付着膜を形成できなくなる傾向があり、そのために、露光用マスク部材を使用する紫外線等の露光時において露光にバラツキが生じて、所望の形状精度や寸法精度を有する現像された慣用レジスト硬化膜を形成できなくなり、その結果、その慣用レジスト硬化膜をエッチング用マスクとして版型用基板を腐蝕エッチングしたときに、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸部を形成できなくなる傾向がある。
【0052】
これに対して、所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成した場合には、従来の慣用液状レジスト材を使用した場合と比べて、より厚い厚さの約100μmまで付着可能であり、露光用マスク部材を使用して現像することなく、その所望領域インクジェットレジスト付着膜を直接に露光して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜を形成するために、約50μm以上の所望領域インクジェットレジスト付着膜であっても、所望形状を有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜を形成することが可能であり、その結果、その所望領域インクジェットレジスト硬化膜をエッチング用マスクとして版型用基板を腐蝕エッチングしたときに、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸部を形成できる。
但し、インクジェットレジスト材を使用した場合において、約5μm~約50μmの範囲にある所望領域インクジェットレジスト付着膜が好ましく実施できる。
【0053】
インクジェットレジスト材2としては、特に限定されないが、例えば、電子部品の配線板の製造分野、フォトリソグラフィ技術分野、等において使用されている従来の汎用の慣用液状インクジェットレジスト材であって、所望の粘度、感光反応性、温度反応性、等を有するインクジェットレジスト材が使用可能である。インクジェットレジスト材は、化学的腐蝕エッチング時の部分的保護、すなわち、化学的腐蝕エッチング時におけるエッチングに対する腐蝕エッチング用マスクとして用いられるレジスト材であり、版型用基板の腐蝕エッチング時のエッチング処理薬品に応じて、耐アルカリ性、耐酸性、等の、エッチング液に対して耐溶解性を有するエッチングレジスト材2を所望に選択して使用する。
例えば、二次元化学構造の有機高分子材を主成分とする流動性材であって、紫外線照射、電子線照射、レーザー照射又は加熱昇温により、化学構造的に架橋して三次元化学構造の架橋有機高分子の状態に変化して硬化する性質を有するネガ型フォトレジストの一種である汎用の慣用のインクジェットレジスト材2が使用できる。特に好ましくは、汎用の紫外線照射、紫外線露光により化学的に反応して架橋するインクジェットレジスト材が好ましく実施可能である。なお、三次元化学構造の架橋有機高分子の状態に硬化した後に、更に、80℃~150℃の温度で加熱して、更に熟成された硬化膜を形成することも、好ましく実施可能である。
このように硬化されて形成されたインクジェットレジスト硬化膜3は化学的腐蝕エッチング時の部分的保護、すなわち、腐蝕エッチング時における腐蝕エッチング用マスクとしての機能を発揮する。
【0054】
また、インクジェットレジスト材2の粘度、粘性としては、特に限定されない。例えば、好ましくは5mPa・s~100mPa・s(25℃)、更に好ましくは10mPa・s~50mPa・s(25℃)の粘度、粘性を有するインクジェットレジスト材2が好ましい。
インクジェットレジスト材2の粘度が小さくなるに従ってインクジェットレジスト付着膜の厚さが薄くなり、インクジェットレジスト材2の粘度が大きくなるに従ってインクジェットレジスト付着膜の厚さが厚くなる傾向がある。腐蝕エッチング用マスクとしての機能に必要な所望の厚さにインクジェットレジスト付着膜を形成できる粘度を有するインクジェットレジスト材を選択して使用する。最適な粘性を有するインクジェットレジスト材2を使用して、版型用基板表面の所望の領域に高精度で所望の図文字絵柄模様形態を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する。
【0055】
上記のインクジェットレジスト材2をしようして、凹凸部を形成した版型用基板を使用した場合において、その凹凸部の凹部の側面又は凸部の側面に、インクジェットレジスト材が垂れ落ちることなく、所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成することができる。
そして、その所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して形成された所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)を腐食エッチング用マスクとして、版型用基板の凹凸部のエッチング時における凹凸部の側面の部分的保護膜としての作用を有し、凹凸部の側面の腐蝕エッチングが抑制された所望の領域のみをエッチング可能である作用効果が著しく発揮される。
【0056】
インクジェットレジスト材の具体的材料としては、特に限定されなく、例えば、電子部品分野としての印刷配線基板の金属を腐蝕エッチングするために使用される汎用のインクジェットレジスト材が使用可能であり、例えば、太陽インキ製造社製、三井化学社製、互応化学工業社製、JNC社製、ニッコーマテリアル社製、旭化成社製、日本アグファレバルト社製、東京応化工業社製、等から多種類の物性を有するインクジェットレジスト材が市販されて、供給されているしている企業製インクジェットレジスト材であって、例えば、紫外線照射において化学的反応して不溶化してレジスト硬化膜を形成する所望の粘度を有するインクジェットレジスト材、を所望に選択して使用する。
【0057】
版型用基板1の所望領域を腐蝕エッチングするためのエッチング液としては、特に限定されなく、一般に、押圧加工用半の製造に使用されている汎用のエッチング液を、所望に選択して使用する。エッチング液としては、時に限定されないが、例えば、汎用の「塩化第二鉄水溶液」が好ましく実施可能である。
例えば、版型用基板1が銅製、真鍮製、マグネシウム合金製、鉄製、鋼鉄製の版型用基板1である場合には、第2塩化鉄水溶液を使用して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の表面をエッチングする。
例えば、版型用基板が樹脂製、プラスチック製、又は、ゴム製の版型用基板である場合には、その樹脂、プラスチック、又は、ゴムを溶解可能な液剤を使用して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の表面をエッチングする。
【0058】
版型用基板1の表面にエッチング液を接触する方法としては、特に限定されなく、例えば、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液をシャワー方式で接触させる方法、エッチング液が入っているエッチング液容器の中に所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1を浸漬する方法、又は、パドル吹上方法、等の接触方法が好ましく使用できる。
なお、この所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触している時間が長くなるにしたがって、版型用基板のエッチングの深さが深くなっていく。従って、所望のエッチング深さになるようにエッチング時間を制御してエッチングが行われる。
【0059】
所望領域インクジェットレジスト硬化膜を除去するためのレジスト除去方法としては、特に限定されなく、そのインクジェットレジスト硬化膜を化学的に分解可能な液剤、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を使用して、その水酸化ナトリウム水溶液をインクジェットレジスト硬化膜に接触させて、インクジェットレジスト硬化膜を化学的に分解、分解溶解、膨潤及び/又は剥離して、所望領域がエッチングされた版型用基板からインクジェットレジスト硬化膜を除去する。
【0060】
その後、水洗、乾燥等の工程を経て、版型用基板1の表面に凹形状で形成された腐蝕凹形成部を形成する。
なお、前述のように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3により覆われている領域が、エッチングされることなく残って、腐蝕凹形成部の凹形状の底面から突出した形状を有する腐蝕凸形成部が凸形状として形成される。
このようにして、凹凸表面形状で形成されてなる押圧加工用版が製造される。
【0061】
[従属構成2]
上記の[基本構成1]の本発明の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
[基本構成1]の前記(A)工程において、版型用基板第二領域表面12は一つ又は複数の凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は一つ又は複数の既成凹凸部4を有する。
(i)版型用基板第二領域表面12が一つの凹凸のない無凹凸部を有するとともに、版型用基板第一領域表面11が一つの既成凹凸部4を有する場合、無凹凸部は前記既成凹凸部(4)の周囲領域に位置し、既成凹凸部4は、(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部45と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452とを有してなる既成複数凹凸部45、又は、(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有してなる既成複数微細凹凸部46を有する。
(ii)版型用基板第二領域表面12が複数の凹凸のない無凹凸部を有するとともに、版型用基板第一領域表面11が複数の既成凹凸部4を有する場合、複数の無凹凸部のうちのそれぞれの無凹凸部は複数の既成凹凸部4のうちのそれぞれの既成凹凸部4の周囲領域に位置し、複数の既成凹凸部4のうちのそれぞれの既成凹凸部4は、(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452とを有してなる既成複数凹凸部45、及び/又は、(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有してなる既成複数微細凹凸部46を有する。
【0062】
[基本構成1]の前記(B)工程において、版型用基板1の版型用基板第一領域表面11の既成凹凸部4を覆ってインクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、その所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
【0063】
[基本構成1]の前記(C)工程において、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、これにより、既成凹凸部4をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する。
ここで、凹部形状で形成された「インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121」は、前記「基本構成1」の凹部形状で形成された「腐蝕凹形成部」に相当する。
[基本構成1]の前記(D)工程において、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備える。
【0064】
これにより、既成凹凸部4を、エッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、凹部形状で形成されたインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成凹凸部4を、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出した突出形状に形成する。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
なお、本従属構成2における「インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121」は、前述の基本構成1における「腐蝕凹形成部」に相当する。
【0065】
本構成において、特に、前述のように、インクジェットレジスト材2の粘度、粘性としては特に限定されない。例えば、好ましくは5mPa・s~100mPa・s(25℃)、更に好ましくは10mPa・s~50mPa・s(25℃)の粘度、粘性を有するインクジェットレジスト材2が好ましい。
インクジェットレジスト材2の粘度が小さくなるに従ってインクジェットレジスト付着膜の厚さが薄くなり、インクジェットレジスト材2の粘度が大きくなるに従ってインクジェットレジスト付着膜の厚さが厚くなる傾向がある。腐蝕エッチング用マスクとしての機能に必要な所望の厚さにインクジェットレジスト付着膜を形成できる粘度を有するインクジェットレジスト材を選択して使用する。
最適な粘性を有するインクジェットレジスト材2を使用することにより、所望の厚さを有すると共に、版型用基板表面の所望の領域に高精度で所望の所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成可能になる。更に、例えば、複数の既成凹凸部4を形成した版型用基板を使用した場合において、複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452、及び/又は、複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの側面に付着されたインクジェットレジスト材が垂れ落ちることなく、それぞれの側面に所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する。
そして、所望領域インクジェットレジスト付着膜が、版型用基板の腐蝕エッチング時における凹凸部の複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452、及び/又は、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの側面の部分的保護膜としての作用を有し、これにより、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452、及び/又は、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの側面の腐蝕エッチングが抑制され、既成凹凸部4の周囲のみの所望の領域のみをエッチング可能である作用効果が著しく発揮される。
【0066】
本発明の構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」が得られるとともに、特に、「(製造方法効果イ-a:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成凹凸部を形成可能効果)化学的腐蝕エッチング加工であって、凹部と該凹部から突出した突起部と、その突起部の表面に複数の既成複数凹凸部凹部と複数の既成複数凹凸部凸部とを有する既成複数凹凸部、及び/又は、複数の既成複数微細凹凸部凸部と複数の既成複数微細凹凸部凹部とを有する既成複数微細凹凸部が形成されてなるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
【0067】
以下に本発明の押圧加工用版の製造方法について、図面を示しながら説明する。図面において、押圧加工用版及び構成要素等の形状・大きさ・寸法等は正確に示すものではなく、形状、構成、システム、作用効果等の特徴を説明するための模式的概略を示すものである。
【0068】
[従属構成3]
上記の[基本構成1]の本発明の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の「従属構成3」を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図1、及び、
図2は本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図であり、
図1、
図2のそれぞれの(A-b)、(B-b)、(C-b)、(D-b)は平面模式的概略図であり、(A)、(B)、(C)、(D)は、平面模式的概略図のA-A線における断面模式的概略図である。
図3は、本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図であり、
図3の(A)、(B)、(C)、(D)は、断面模式的概略図である。
【0069】
前述の従属構成2の(A)工程において、
図1、
図2の(A)、(A-b)、
図3の(A)に示されるように、前記版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、版型用基板第二領域表面12は版型用基板第一領域表面11の周囲領域に位置する。既成凹凸部4は既成複数凹凸部45を有する。
(イ)前記既成複数凹凸部45は複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452とを有し、複数の既成複数凹凸部凸部451は複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bとを有し、複数の既成複数凹凸部凹部452は複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとを有する。
ここで、複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとは、互いに同じ側面領域に相当する。
【0070】
前述の従属構成2の前記(B)工程において、
図1、
図2の(B)、(B-b)、
図3の(B)に示されるように、複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cとを覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜とを形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程を備える。ここで、既成複数凹凸部45の周囲領域に位置する前記版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2が付着されない。
前記(B)工程において、更に、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜とを硬化して、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
このようにして、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が形成される。
【0071】
ここで、複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとは互いに同じ側面領域に相当するため、インクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部側面付着膜とは互いに同じ付着膜に相当し、所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bは所望領域インクジェットレジスト凹部側面硬化膜と同じ硬化膜を意味する。
【0072】
前述の従属構成2の前記(C)工程において、
図1、
図2の(C)、(C-b)、
図3の(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程を備える。
これにより、前記既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455の形態に形成する。
【0073】
前述の従属構成2の前記(D)工程において、
図1、
図2の(D)、(D-b)、
図3の(D)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト底面硬化膜3cとを除去するレジスト硬化膜除去工程を備える。
【0074】
これにより、既成複数凹凸部45がエッチングされることなく、版型用基板第二領域表面12がエッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を備えた版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455の形態に形成される。
なお、
図1、
図2の(D)、(D-b)、
図3の(D)に示されるように、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法は「D12」であり、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452のそれぞれの深さ寸法は初期の深さ寸法「D1」を維持する。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
【0075】
この構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」が得られるとともに、特に、「(製造方法効果イ-a:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成凹凸部を形成可能効果)化学的腐蝕エッチング加工であって、凹部と該凹部から突出した突起部と、その突起部の表面に複数の既成複数凹凸部凹部と複数の既成複数凹凸部凸部とを有する既成複数凹凸部、が形成されてなるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
すなわち、腐蝕エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域としての『複数の既成複数凹凸部凸部側面451b(複数の既成複数凹凸部凹部側面452bと同じ側面)』の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
【0076】
図1、
図2、及び、
図3に示されるそれぞれの押圧加工用版の製造工程は、下記の点において、互いに異なる製造工程を示す。
【0077】
図1に示される押圧加工用版の製造工程において、(A)工程において、
図1(A)の既成複数凹凸部45の既成複数凹凸部凹部452は深さ「D1」を有し、版型用基板第二領域表面12は既成複数凹凸部45の既成複数凹凸部凸部上面451aと同じ高さを有する形状を有する。
(B)工程において、
図1(B)に示されるように、既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bの全ての領域を覆ってインクジェットレジスト硬化膜3を形成する。
(C)工程において、
図1(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が形成されていない領域を腐蝕エッチングして、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する。
(D)工程において、
図1(D)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去し、これにより、既成複数凹凸部45が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成される。
すなわち、
図1(D)に示されるように、既成複数凹凸部45の周囲領域が初期の既成複数凹凸部凹部底面452cの深さ「D1」を維持した状態を有するとともに、その周囲領域に深さ「D12」を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成して、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出してなる形態を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455が形成される。
【0078】
図2に示される押圧加工用版の製造工程において、(A)工程において、
図2(A)の既成複数凹凸部45の既成複数凹凸部凹部452は深さ「D1」を有し、版型用基板第二領域表面12は既成複数凹凸部45の既成複数凹凸部凹部452cの底面と同じ高さ形状を有する。この版型用基板第二領域表面12の高さ形状が
図1(A)の版型用基板第二領域表面12の高さ形状と比べて異なる。
(B)工程において、
図2(B)に示されるように、既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bの全ての領域を覆って所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する。
(C)工程において、
図2(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が形成されていない領域を腐蝕エッチングして、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する。
(D)工程において、
図2(D)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去し、これにより、既成複数凹凸部45が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成される。
すなわち、
図2(D)に示されるように、既成複数凹凸部45の周囲領域が深さ「D12」を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成される。
【0079】
図3に示される押圧加工用版の製造工程において、前記(A)工程において、
図3(A)に示されるように、版型用基板第二領域表面12は複数の凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は複数の既成凹凸部4を有する。
複数の既成凹凸部4のそれぞれの既成凹凸部4は、既成複数凹凸部45を有し、既成複数凹凸部45の既成複数凹凸部凹部452は深さ(既成複数凹凸部凸部451の高さと同じ)は「D1」を有する。
版型用基板第二領域表面12のそれぞれの凹凸のない無凹凸部の表面は既成複数凹凸部45の既成複数凹凸部凸部上面451aと同じ高さ形状を有する。
(B)工程において、
図3(B)に示されるように、それぞれの既成複数凹凸部凸部側面451bとそれぞれの複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bの全ての領域を覆って所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する。更に、既成複数凹凸部45の周囲領域のみの版型用基板第二領域表面12の領域にも所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する。この場合、互いに隣り合う既成複数凹凸部45の間に位置する版型用基板第二領域表面12の中央領域には所望領域インクジェットレジスト硬化膜3は形成されない。
(C)工程において、
図3(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が形成されていない領域を腐蝕エッチングして、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する。
(D)工程において、
図3(D)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去し、これにより、複数のインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455の形態に形成される。
すなわち、
図3(D)に示されるように、深さ「D12」を有する複数のインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数凹凸部45がその既成複数凹凸部45が初期の既成複数凹凸部凹部底面452cの深さ「D1」を維持した状態を有する複数のインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455が形成される。
【0080】
なお、
図1、
図2、
図3において、「D1」は既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法、及び、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法を示し、既成複数凹凸部凹部452の深さは既成複数凹凸部凸部451の高さと同じ領域を意味するため、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法は既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法と同じ「D1」を有する。
「W1」は既成複数凹凸部凸部451の幅寸法を示し、「W2」は既成複数凹凸部凹部452の幅寸法を示す。
【0081】
[従属構成4]
上記の[従属構成3]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
前記(A)工程において、既成複数凹凸部凸部451と既成複数凹凸部凹部452を有する既成複数凹凸部45は、(イ)文字、(ロ)記号、(ハ)図形、(ニ)絵柄、及び、(ホ)模様、からなる群から選ばれる少なくとも一つの凹凸形状で形成されてなる図文字絵柄模様を形成してなる。
【0082】
この構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」及び(製造方法効果イ-a:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成凹凸部を形成可能効果)が得られるとともに、特に、「(製造方法効果イ-ab:所望の図文字絵柄模様形態を有する凹部、凸部、及び/又は凹凸部で形成された表面を備えた押圧加工用版を製造可能効果)所望の寸法形状を有し、(イ)文字、(ロ)記号、(ハ)図形、(ニ)絵柄、及び、(ホ)模様、等の所望の図文字絵柄模様形態を有する凹部、凸部、及び/又は凹凸部で形成された表面を備えた押圧加工用版を製造可能であるとともに、エッチングされてはならない領域の腐蝕エッチングが抑制されて、所望の形状であるとともに、所望の凸部の高さ寸法、凹部の深さ寸法、所望の凹凸部の高さ寸法及び深さ寸法、等の所望の凹部、所望の凸部、及び/又は所望の凹凸部、等の所望の形状及び所望大きさ寸法を有する押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
特に、エッチングされてはならない領域としての「それぞれの既成複数凹凸部凸部側面451bとそれぞれの既成複数凹凸部凹部側面452bの側面」が腐蝕エッチングされる「サイドエッチング」が抑制される。
【0083】
[従属構成5]
上記の[従属構成3]及び/又は[従属構成4]の押圧加工用版の製造方法において、それぞれの形状寸法は、特に限定されないが、例えば、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が望ましく実施可能である。
上記の[従属構成3]及び/又は[従属構成4]の前記(A)工程において、複数の既成複数凹凸部凸部451のそれぞれの既成複数凹凸部凸部の高さ寸法「D1」は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上であり、更に好ましくは0.1mm~3.0mmであり、更に好ましくは0.3mm~2.0mmであり、更に好ましくは0.5mm~1.0mmである。
複数の既成複数凹凸部凸部451のそれぞれの既成複数凹凸部凸部の幅寸法「W1」は、特に限定されない。
前記複数の既成複数凹凸部凹部452のそれぞれの既成複数凹凸部凹部の深さ寸法「D1」は、特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上であり、更に好ましくは0.1mm~3.0mmであり、更に好ましくは0.3mm~2.0mmであり、更に好ましくは0.5mm~1.0mmである。
前記複数の既成複数凹凸部凹部452のそれぞれの既成複数凹凸部凹部の幅寸法「W2」は、特に限定されない。
ここで、既成複数凹凸部凹部452の深さは既成複数凹凸部凸部451の高さと同じ部位を意味し、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」は既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法「D1」である。
既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」(既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法「D1」)が0.1mm未満の場合は、既成複数凹凸部45を形成した押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工したときに、所望の深さの既成複数凹凸部凹部452、所望の高さの既成複数凹凸部凸部451を有する凹凸形状に加工された加工物が得られない傾向がある。
【0084】
一般に、平圧式の押圧加工用装置としては、定格化された平板式押圧加工装置の基盤の稼働可能なストロークに対応して、例えば、版型用基板の厚さとしては、7mm厚さの版型用基板が汎用されている。そして、加工する被加工物の厚さや凹凸部深さ、等を勘案して、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」を有する押圧加工用版を製造している。このような観点から、既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」は0.1mm~3mmの寸法が好ましい。
【0085】
インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法「D12」は、特に限定されないが、前記の既成複数凹凸部凹部の深さ寸法「D1」よりも大きい深さ寸法であって、好ましくは、1.0mm以上であり、更に好ましくは1.5mm~5mmであり、更に好ましくは1.8mm~3mmである。
インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法「D12」が既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」よりも小さい深さ寸法の場合には、既成複数凹凸部45を形成した押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工したときに、押圧加工用版の既成複数凹凸部45の領域が被加工物の表面を所望の深さ迄押圧することができなくなる傾向があり、所望の深さの既成複数凹凸部凹部452、所望の高さの既成複数凹凸部凸部451を有する凹凸形状に加工された加工物が得られない傾向がある。
【0086】
一般に、慣用技術として、既成複数凹凸部45のそれぞれの部位の寸法が上記の範囲に含まれない場合には、被加工物を所望の形状に加工できなくなる傾向がある。しかしながら、本発明においては、上記の範囲に含まれない場合にも実施可能であるが、上記の範囲に含まれない場合には上記範囲の場合と比べて、若干に所望の形状を有する加工物が得られない傾向がある。
【0087】
図8は、本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図である。
本発明において、複数個のインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455を備えた押圧加工用版も実施可能であり、例えば、
図8の(A)に図示されているような複数個のインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455を備えた押圧加工用版が実施可能である。
図8において、黒色で示される「ABCDE模様」、「ハート模様」、「星模様」が、インクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455として形成された押圧加工用版である。
【0088】
[従属構成6]
上記の[基本構成1]の本発明の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の「従属構成6」を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図4、
図6は本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
図4の(A-b)、(B-b)、(C-b)、(D-b)は平面模式的概略図であり、(A)、(B)、(C)、(D)は、平面模式的概略図のB-B線における断面模式的概略図である。
なお、
図4において、平面模式的概略図と断面模式的概略図とは互いに一致する凹凸形状を示すものではなく、例えば、平面模式的概略図における「ハート模様」は、断面模式的概略図に示すような複数の微細凹凸によって形成されてなるとともに全体としてハート模様を形成してなる構成を説明するものであり、また、断面模式的概略図における凹凸の数は平面模式的概略図における「ハート模様」を形成する凹凸の数とは一致して示すものではなく、実際には、断面模式的概略図における凹部と凸部の数は図示された数よりも著しく多い形状を有する。
【0089】
図4の(A)、(A-b)に示されるように、前述の従属構成2の前記(A)工程において、版型用基板1は、版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を有し、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有する。版型用基板第二領域表面12は前記版型用基板第一領域表面11の周囲領域に位置する。
図4においては、版型用基板第一領域表面11は一つの既成凹凸部4を有する。
(ロ)既成凹凸部4は既成複数微細凹凸部46を有し、既成複数微細凹凸部46は複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bとを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bとを有する。
ここで、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bは、互いに同じ側面領域に相当する。
なお、
図4(A)に示されるように、版型用基板1の厚さ寸法は「h」であり、複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ寸法「d1」であり、幅寸法は「w2」である。また複数の既成複数微細凹凸部凸部461のそれぞれの既成複数微細凹凸部凸部461の高さ寸法「d1」であり、幅寸法は「w1」である。ここで、既成複数微細凹凸部凹部462の深さは既成複数微細凹凸部凸部461の高さと同じ領域を示し、既成複数微細凹凸部凹部462の深さ寸法「d1」は既成複数微細凹凸部凸部461の高さ寸法「d1」と同じ寸法を有する。
【0090】
図4の(B)、(B-b)に示されるように、(B)工程において、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cとを覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜とを形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程を備える。ここで、既成微細複数凹凸部46の周囲領域に位置する前記版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2が付着されない。
更に、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜と前記インクジェット微細凹部側面付着膜とを硬化して、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するインクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
このようにして、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が形成される。
【0091】
ここで、複数の既成微細複数凹凸部凸部側面461bと複数の既成微細複数凹凸部凹部側面462bとは互いに同じ側面領域に相当するため、インクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部側面付着膜とは互いに同じ付着膜に相当し、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fは所望領域インクジェットレジスト微細凹部側面硬化膜と同じ硬化膜を意味する。
【0092】
図4の(C)、(C-b)に示されるように、(C)工程において、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程を備える。
これにより、既成複数微細凹凸部46をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12を深さ寸法が「d12」になるまで腐蝕エッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数微細凹凸部46を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に形成する。
【0093】
図4の(D)、(D-b)に示されるように、(D)工程において、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを除去するレジスト硬化膜除去工程を備える。
これにより、既成複数微細凹凸部46がエッチングされることなく、版型用基板第二領域表面12がエッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を備えた版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成される。
なお、
図4(D)に示されるように、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法は「d12」であり、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの深さ寸法は初期の深さ寸法「d1」を維持する。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
【0094】
この構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」が得られるとともに、特に、「(製造方法効果イ-b:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成複数微細凹凸部を形成可能効果)化学的腐蝕エッチング加工であって、凹部と該凹部から突出した突起部と、その突起部の表面に複数の既成複数微細凹凸部凹部と複数の既成複数微細凹凸部凸部とを有する既成複数微細凹凸部、が形成されてなるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
すなわち、腐蝕エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域としての『複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bと同じ側面)』の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
特に、エッチングされてはならない領域としての「それぞれの既成複数微細凹凸部凸部側面461bとそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部側面462bの側面」が腐蝕エッチングされる「サイドエッチング」が抑制される。
【0095】
上記の「従属構成6」において、版型用基板第一領域表面11が複数の既成凹凸部4を有する構成も実施可能である。
図6の(A-b)、(B-b)、(C-b)、(D-b)は平面模式的概略図であり、(A)、(B)、(C)、(D)は、平面模式的概略図のB-B線における断面模式的概略図である。
前述の「従属構成2」の前記(A)工程において、版型用基板1は、版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を有し、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は複数の既成凹凸部4を有する。
図6においては、前記版型用基板第一領域表面11は複数の既成凹凸部4を有する。
(ロ)複数の既成凹凸部4のそれぞれの既成凹凸部4は既成複数微細凹凸部46を有し、既成複数微細凹凸部46は複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面と複数の既成複数微細凹凸部凸部側面とを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面と複数の既成複数微細凹凸部凹部側面とを有する。
ここで、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面と複数の既成複数微細凹凸部凹部側面は、互いに同じ側面領域に相当する。
【0096】
図6の(B)、(B-b)に示されるように、(B)工程において、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面と複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(複数の既成複数微細凹凸部凹部側面)と複数の既成複数微細凹凸部凹部底面とを覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜とを形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程を備える。ここで、既成微細複数凹凸部46の周囲領域に位置する版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2が付着されない。
更に、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜とを硬化して、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
【0097】
図6の(C)、(C-b)に示されるように、(C)工程において、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程を備える。
これにより、複数の既成複数微細凹凸部46をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12を深さ寸法が「d12」になるまで腐蝕エッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数微細凹凸部46を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成する。
【0098】
図6の(D)、(D-b)に示されるように、(D)工程において、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを除去するレジスト硬化膜除去工程を備える。
これにより、複数の既成複数微細凹凸部46がエッチングされることなく、版型用基板第二領域表面12がエッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有するそれぞれの既成複数微細凹凸部46を備えた版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成されてなる。
なお、
図6(D)に示されるように、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法は「d13」であり、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの深さ寸法は初期の深さ寸法「d1」を維持する。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
【0099】
この構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」が得られるとともに、特に、前述の「(製造方法効果イ-b:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成複数微細凹凸部を形成可能効果)」が得られる。
【0100】
[従属構成9]
上記の[従属構成6]の本発明の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の「従属構成10」を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図5は、本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に形成された既成複数微細凹凸部を説明するための模式的概略図であり、
図5の(A-b)は平面模式的概略図であり、(A-a)は平面模式的概略図のB-B線における断面模式的概略図であり、
図5の(B)は、
図5(A-b)の丸に囲まれた領域の模式的拡大図である。
図5(A-a)は
図4(D)に相当し、
図5(A-b)は
図4(D-b)に相当する。
図4、
図5において、エッチングされて窪んだ凹形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出した形態で、インクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されてなる。インクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の表面には、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462が形成されてなる。
但し、
図4、
図5において、インクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462の形状は、正確な形状、寸法を示すものではなく、形状構成を説明するための模式的な概略形状を示すものである。
【0101】
複数の既成複数微細凹凸部凸部461のそれぞれの既成複数微細凹凸部凸部の高さ寸法「d1」は、特に制限されないが、好ましくは0.05mm以上であり、更に好ましくは0.05mm~1mmであり、更に好ましくは0.05mm~0.5mmであり、更に好ましくは0.08mm~0.3mmである。
複数の既成複数微細凹凸部凸部461のそれぞれの既成複数微細凹凸部凸部の幅寸法「w1」は、特に制限されないが、好ましくは0.0005mm~1mmであり、更に好ましくは0.05mm~0.5mmであり、更に好ましくは0.05mm~0.1mmである。
【0102】
複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法「d1」は、特に制限されないが、好ましくは0.05mm以上であり、更に好ましくは0.05mm~1mmであり、更に好ましくは0.05mm~0.5mmであり、更に好ましくは0.08mm~0.3mmである。
なお、既成複数微細凹凸部凹部の深さは既成複数微細凹凸部凸部の高さと同じ領域を意味し、既成複数微細凹凸部凸部の高さ寸法「d1」は既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法「d1」と同じ寸法である。
複数の既成複数微細凹凸部凹部462のそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部の幅寸法「w2」は、特に制限されないが、好ましくは0.0005mm~1mmであり、更に好ましくは0.05mm~0.5mmであり、更に好ましくは0.05mm~0.1mmである。
既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法「d1」(既成複数微細凹凸部凸部の高さ寸法「d1」)が0.05mm未満の場合は、既成複数微細凹凸部を形成した押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工したときに、所望の深さの既成複数微細凹凸部凹部、所望の高さの既成複数微細凹凸部凸部を有する凹凸形状に加工された加工物が得られない傾向がある。
既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法「d1」(既成複数微細凹凸部凸部の高さ寸法「d1」)が大きくなるに従って、複数の既成複数微細凹凸部を形成した押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工した場合に、所望の優れた微細凹凸形状の寸法精度を有する加工物を得ることが可能になり、「d1」が1mmを超えていくに従って、例えば、シート状箔材料を使用して箔押し加工した場合に、押圧加工時にシート状箔材料が破れるなどの不都合が生じる割合が多くなる傾向がある。
【0103】
これらの既成複数微細凹凸部凸部461と既成複数微細凹凸部凹部462との複数個が集まってインクジェト膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されてなる。複数の既成複数微細凹凸部凸部461と既成複数微細凹凸部凹部462の複数個の数は、特に限定されないが、例えば、10個~10000個である。
【0104】
インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法「d12」は、特に制限されないが、前記既成複数微細凹凸部凹部の深さ寸法「d1」よりも大きい深さ寸法であって、好ましくは、1.0mm以上であり、更に好ましくは1.5mm~5mmであり、更に好ましくは1.8mm~2mmである。
インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法「d12」が既成複数微細凹凸部凹部462の深さ寸法「d1」よりも小さい深さ寸法の場合には、既成複数微細凹凸部46を形成した押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工したときに、押圧加工用版の既成複数微細凹凸部46の領域が被加工物の表面を所望の深さ迄押圧することができなくなる傾向があり、所望の深さの既成複数微細凹凸部凹部462、所望の高さの既成複数微細凹凸部凸部461を有する凹凸形状に加工された加工物が得られない傾向がある。
【0105】
図8は、本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図である。
例えば、
図8の(B)、(D)に図示されているような複数個のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を備えた押圧加工用版が実施可能である。
図8の(B)、(D)において、「ABCDE模様」、「ハート模様」、「星模様」のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成され、それぞれの模様の表面は、複数の既成複数微細凹凸部凸部と複数の既成複数微細凹凸部凹部とを有して形成されてなる。
【0106】
[従属構成7]
上記の[従属構成6]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
前記(A)工程において、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46は、(ヘ)微細点模様、微細図柄模様、微細絵柄模様、及び/又は、微細格子模様、(ト)微細万線模様、(チ)微細縞模様、及び、(リ)異なる方向から見て互いに異なる図柄絵文字模様を表す潜像模様、からなる群から選ばれる少なくとも一つの複数微細凹凸形状で形成されてなる微細図文字絵柄模様を形成してなる、押圧加工用版の製造方法。
【0107】
この構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」及び(製造方法効果イ-b:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成複数微細凹凸部を形成可能効果)が得られるとともに、特に、「(製造方法効果イ-bb:所望の微細図文字絵柄模様形態を有する微細凹凸部で形成された表面を備えた押圧加工用版を製造可能効果)所望の寸法形状を有し、(ヘ)微細点模様、微細図柄模様、微細絵柄模様、及び/又は、微細格子模様、(ト)微細万線模様、チ)微細縞模様、(リ)異なる方向から見て互いに異なる図柄絵文字模様を表す潜像模様、等の微細図文字絵柄模様を形成してなる表面を備えた押圧加工用版を製造可能であるとともに、エッチングされてはならない領域の腐蝕エッチングが抑制されて、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46)のそれぞれの高さ寸法、深さ寸法、幅寸法、等の所望の形状及び所望大きさ寸法を有する押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
特に、エッチングされてはならない領域としての「それぞれの既成複数凹凸部凸部側面461bとそれぞれの既成複数凹凸部凹部側面462bの側面」が腐蝕エッチングされる「サイドエッチング現象」が抑制される。
【0108】
なお、「微細万線模様」は、直線、破線、点線、一点鎖線等により形成された微細万線模様を含む。「微細縞模様」は所望形状の曲線により形成された微細縞模様、所望形状の波形曲線により形成された微細縞模様を含む。
「(リ)異なる方向から見て互いに異なる図柄絵文字模様を表す潜像模様」は、換言すれば、異なる方向から見て互いに異なる図柄絵文字模様が認識される図柄絵文字模様を意味する。
【0109】
[従属構成8]
上記の[従属構成6]、又は、[従属構成7]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図9は本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図であり、模式的平面図である。
図9の(A-a)、(A-b)は所定の形状に区切られて規則性を持って配列された複数のパターンセルの形状を説明する平面図であり、(A-a)は略正方形に区切られた複数のパターンセルを示す。
図9の(B-a)、(B-b)、(B-c)、(B-d)、(B-e)、(B-f)は、上記の
図9の(A-a)、(A-b)に示される複数のパターンセルに形成されている凹凸形状により形成された凹凸パターンの形状の一実施例を示す模式的拡大図であって、(B-a)は微細左斜線万線、(B-b)は微細右斜線万線、(B-c)は微細水平万線模様、(B-d)は微細縦平行万線模様、(B-e)は微細縞模様、(B-f)は微細点模様を示す。
図9の(C)は、複数のパターンセルのそれぞれのパターンセルに凹凸形状で形成されている凹凸パターンの一実施例の形態を示す。
図9の(D-a)、(D-b)、(D-c)は、
図9(C)に形成されている複数種類の凹凸パターンセルを示す。
【0110】
図9の(A-a)、(A-b)に示されるように、前述の[従属構成6]又は[従属構成7]の前記(A)工程において、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46は、微細凹凸形状で刻設されて所定の形状に区切られて規則性を持って配列された複数種類の凹凸パターンセルの組み合わせによって形成されてなる。
図9の(B-a)~(B-f)に示されるように、複数種類の凹凸パターンセルのそれぞれの凹凸パターンセルは、微細点模様、微細図柄模様、微細絵柄模様、微細万線模様、及び、微細縞模様、からなる群から選ばれる少なくとも二種類以上の微細凹凸形状で形成されてなる微細図文字絵柄模様を形成してなる。
なお、微細万線模様は、直線、破線、点線、一点鎖線等により形成された微細万線模様を含む。微細縞模様は所望形状の曲線により形成された微細縞模様、所望形状の波形曲線により形成された微細縞模様を含む。
図9の(C)、
図9の(D-a)~(D-c)に示されるように、二種類以上の微細図文字絵柄模様のうちの一種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって第一画像を形成し、前記二種類以上の微細図文字絵柄模様のうちの前記一種類と異なる他の第二種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって他の画像を形成してなる。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
【0111】
好ましくは、上記の構成において、一つの方向から見た場合に第一画像が認識され、前記一つの方向とは異なる他の方向から見た場合に他の画像が認識されるように形成されてなる構成が好ましく実施可能である。
換言すれば、二種類以上の微細図文字絵柄模様のうちの一種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって一つの画像を形成し、他の種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって他の画像を形成し、互いに異なる方向から見た場合に、互いに異なる画像が現れて認識されるように形成されてなる構成が好ましく実施可能である。
【0112】
例えば、実施例を示す
図9においては、
図9(C)における微細左斜線万線模様が集まって、
図9(D-a)の「H」文字画像46aを形成し、
図9(C)における微細右斜線万線模様が集まって、
図9(D-b)の「T」文字画像46bを形成し、
図9(C)における微細水平線万線模様が集まって、
図9(D-c)の「Z」文字画像46cを形成してなり、これらの文字を、互いに異なる方向から見た場合に、互いに異なる画像文字が認識されるように形成されてなる。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
【0113】
図9は押圧加工用版の表面の模式的形態を示すが、この押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工して形成された加工物は、使用した押圧加工用版に形成された凹凸形状に一致した凹凸形状を有する形態に加工形成され、互いに異なる方向から見た場合に、互いに異なる画像文字が認識されるように形成されてなる。
【0114】
なお、
図9において、「所定の形状に区切られて規則性を持って配列された複数種類の凹凸パターンセル」としては、その所定の形状に区切られてなるそれぞれのパターンセル間の境界線が形成されているが、この構成に限定することなく、それぞれのパターンセル間の境界線が形成されることなく、それぞれのパターンセルが凹凸形状により形成された微細図文字絵柄模様を有する構成が実施可能である。
【0115】
この構成により、前述の「(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)」が得られるとともに、特に、「(製造方法効果イ-b:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成複数微細凹凸部を形成可能効果)化学的腐蝕エッチング加工であって、凹部と該凹部から突出した突起部と、その突起部の表面に複数の既成複数微細凹凸部凹部と複数の既成複数微細凹凸部凸部とを有する既成複数微細凹凸部、が形成されてなるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果、及び、この押圧加工用版を使用して被加工物を押圧加工した場合に、使用した押圧加工用版に形成された凹凸形状に一致した凹凸形状を有する形態に加工形成され、互いに異なる方向から見た場合に、互いに異なる画像文字が認識されるように形成されてなる押圧加工用版が得られる」効果が得られる。
すなわち、腐蝕エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域としての『複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bと同じ側面)』の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
特に、エッチングされてはならない領域としての「それぞれの既成複数微細凹凸部凸部側面461bとそれぞれの既成複数微細凹凸部凹部側面462bの側面」が腐蝕エッチングされる「サイドエッチング現象」が抑制される。
【0116】
[従属構成10]
上記の[従属構成1]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図7は本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
【0117】
図7(A)に示されるように、前述の[従属構成1]の前記(A)工程において、前記版型用基板第二領域表面12は複数の凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は複数の既成凹凸部4を有する。版型用基板第二領域表面12は版型用基板第一領域表面11の周囲領域に位置する。
複数の既成凹凸部4のうちの一つの既成凹凸部4は、(イ)複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と、複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452とを有してなる既成複数凹凸部45を有する。
複数の既成凹凸部4のうちの他の一つの既成凹凸部4は(ロ)複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有してなる既成複数微細凹凸部46、を有する。
複数の既成複数凹凸部凸部451は複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bとを有し、複数の既成複数凹凸部凹部452は複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとを有する。
ここで、複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bは、互いに同じ側面領域に相当する。
複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bとを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bとを有する。
ここで、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面456bは、互いに同じ側面領域に相当する。
【0118】
前述の[従属構成1]の前記(B)工程において、複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部底面452c、及び、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cとを覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜、及び、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜とを形成するインクジェットレジスト付着膜形成工程を備える。ここで、既成複数凹凸部45の周囲領域に位置する前記版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2が付着されない。
前記(B)工程において、更に、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜、及び、インクジェットレジスト微細凸部上面付着膜とインクジェットレジスト微細凸部側面付着膜とインクジェット微細凹部底面付着膜とを硬化して、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3c、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを有する所望領域インクジェットレジスト硬化3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
【0119】
前述の[従属構成1]の前記(C)工程において、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜c)、及び、前記所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない前記版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程を備える。
これにより、既成複数凹凸部45及び既成複数微細凹凸部46をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45を、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成するとともに、既成複数微細凹凸部46を、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成する。
【0120】
前述の[従属構成1]の前記(D)工程において、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去するレジスト硬化膜除去工程を備え、これにより、既成凹凸部4を、エッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成凹凸部を、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出した突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成凹凸部突起部に形成する。
すなわち、前記所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト底面硬化膜3c、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを除去するレジスト硬化膜除去工程を備える。
これにより、既成複数凹凸部45及び既成複数微細凹凸部46がエッチングされることなく、版型用基板第二領域表面12がエッチングされてなる前記インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452を有する既成複数凹凸部45、及び、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する前記既成複数微細凹凸部46を備えた前記版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455、及び、インクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成される。
このようにして、押圧加工用版が製造される。
【0121】
この構成により、上記の(製造方法効果イ-a:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成凹凸部を形成可能効果)が得られるとともに、「(製造方法効果イ-b:インクジェットレジストによる突出した形状を有する所望寸法の既成複数微細凹凸部を形成可能効果)」が得られる。
すなわち、腐蝕エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121が形成されるとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域としての『複数の既成複数凹凸部凸部側面(複数の既成複数凹凸部凹部側面と同じ側面)』、『複数の既成複数微細凹凸部凸部側面(複数の既成複数微細凹凸部凹部側面と同じ側面)』の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果」が得られる。
【0122】
図8は、本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図である。
本製造方法により製造された一実施例の押圧加工用版としては、
図8の(C)、(E)、(F)に図示されているようなインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455とインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466との双方を備えた押圧加工用版が実施可能である。
【0123】
[従属構成11]
上記の[基本構成1]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図10は本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
図10の(A)、(B)、(C)、(D)は、押圧加工用版の製造方法を説明するための模式的概略断面図である。
図10の(A-a)、(B-a)(C-a)(D-a)は、(A)、(B)、(C)、(D)に相当する模式的概略平面図であって、凹凸により形成された所望の図文字絵柄模様を備えた押圧加工用版の製造方法であり、
図10の(A-b)、(B-b)(C-b)(D-b)は、(A)、(B)、(C)、(D)に相当する模式的概略平面図であって、凹凸により形成された所望の微細図文字絵柄模様を備えた、押圧加工用版の製造方法である。
【0124】
図10(A)に示されるように、前記版型用基板第一領域表面11は既成凸部47を有し、前記版型用基板第二領域表面12は既成凹部48を有する。版型用基板第一領域表面11は版型用基板第二領域表面12の周囲領域に位置する。既成凸部47は、既成凸部上面47aと既成凸部側面47bを有し、既成凹部48は、既成凹部底面48cと既成凹部側面48bを有する。ここで、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bとは互いに同じ側面に相当する。
【0125】
図10(B)に示されるように、前述の[基本構成1]の前記(B)工程において、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凹部底面48cを覆うとともに、既成凸部上面47aに、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して、(イ)所望の図文字絵柄模様、又は、(ロ)所望の微細図文字絵柄模様、を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、前記所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
例えば、
図10(B)、(B-a)、(B-b)に示されるように、既成凸部上面47aに、所望領域インクジェットレジスト硬化膜により形成された「ABCDE模様」、又は、「微細図文字絵柄模様で形成されたハート模様」が形成され、その「ABCDE模様」、又は、「微細図文字絵柄模様で形成されハート模様」を除く領域には、所望領域インクジェットレジスト付着膜が形成されていない。
【0126】
図10(C)に示されるように、前述の[基本構成1]の前記(C)工程において、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、既成凸部上面47aにおける所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングする版型用基板エッチング工程を備える。
これにより、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凹部底面48cをエッチングすることなく、既成凸部上面47aにおける所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングして複数の凹部と複数の凸部とを有する既成凸部上面凹凸部477を形成する。
ここで、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(イ)所望の図文字絵柄模様を有する場合には、
図10(C-a)に示されるように、既成凸部上面凹凸部477は(イ)所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凹部472aと複数の凸形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凸部471aとを有してなる既成凸部上面複数凹凸部477aである。
又は、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(ロ)所望の微細図文字絵柄模様を有する場合には、
図10(C-b)に示されるように、前記既成凸部上面凹凸部477は(ロ)所望の微細図文字絵柄模様に相当する複数の微細凹形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bと複数の微細凸形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凸部471bとを有してなる既成凸部上面複数微細凹凸部477bである。
【0127】
図10(D)に示されるように、前述の[基本構成1]の前記(D)工程において、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備える。
これにより、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(イ)所望の図文字絵柄模様を有する場合には、
図10(D-a)に示されるように、既成凸部上面47aに、既成凸部上面凹凸部477としての既成凸部上面複数凹凸部477aを形成する。
又は、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(ロ)所望の微細図文字絵柄模様を有する場合には、
図10(D-b)に示されるように、既成凸部上面47aに、既成凸部上面凹凸部477としての既成凸部上面複数微細凹凸部477bを形成する。
このようにして、既成凹部48と既成凸部47とを有し、該既成凸部47の上面に、既成凸部上面凹凸部477としての既成凸部上面複数凹凸部477a、又は、既成凸部上面凹凸部477としての既成凸部上面複数微細凹凸部477bを形成した押圧加工用版を製造する。
【0128】
なお、本構成において、複数の既成凸部上面複数凹凸部凸部のそれぞれの既成凸部上面複数凹凸部凸部471aの高さ寸法(複数の既成凸部上面複数凹凸部凹部のそれぞれの既成凸部上面複数凹凸部凹部472aの深さ寸法と同じ)は、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上であるとともに、既成凹部48の深さ寸法よりも小さい(短い、浅い)深さ寸法が好ましく実施可能である。
また、複数の微細凹凸形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部のそれぞれの既成凸部上面複数微細凹凸部凸部471bの高さ寸法(既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bの深さ寸法と同じ)は、特に限定されないが、例えば、0.05mm以上であるとともに、既成凹部48の深さ寸法よりも小さい(短い、浅い)深さ寸法が好ましく実施可能である。
また、複数の微細凹凸形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部のそれぞれの既成凸部上面複数微細凹凸部凸部471bの幅寸法、既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bの幅寸法は、特に限定されないが、例えば、0.0005mm~1mmが好ましく実施可能である。
【0129】
この押圧加工用版の製造方法により、[(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)従来汎用の化学的腐蝕エッチング加工よりも簡単な工程を有する化学的腐食エッチングを備えた工程により、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果]が得られる。
すなわち、エッチングされてはならない領域(既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凹部底面48c)をエッチングすることなく、既成凸部上面47aに、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の既成凸部上面凹凸部477を形成することができる。
【0130】
[従属構成12]
上記の[基本構成1]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
図11は本発明の他の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
図11の(A)、(B)、(C)、(D)は、押圧加工用版の製造方法を説明するための模式的概略断面図である。
図11の(A-a)、(B-a)(C-a)(D-a)は、(A)、(B)、(C)、(D)に相当する模式的概略平面図であって、凹凸により形成された所望の図文字絵柄模様を備えた、押圧加工用版の製造方法であり、
図11の(A-b)、(B-b)(C-b)(D-b)は(A)、(B)、(C)、(D)に相当する模式的概略平面図であって、凹凸により形成された所望の微細図文字絵柄模様を備えた、押圧加工用版の製造方法である。
【0131】
図11(A)に示されるように、版型用基板第一領域表面11は既成凸部47を有し、版型用基板第二領域表面12は既成凹部48を有する。版型用基板第一領域表面11は版型用基板第二領域表面12の周囲領域に位置する。
既成凸部47は、既成凸部上面47aと既成凸部側面47bを有し、既成凹部48は、既成凹部底面48cと既成凹部側面48bを有する。
ここで、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bとは互いに同じ側面に相当する。
【0132】
図11(B)に示されるように、前述の[基本構成1]の前記(B)工程において、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凸部上面47aを覆うとともに、既成凹部底面48cに、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して、(イ)所望の図文字絵柄模様、又は、(ロ)所望の微細図文字絵柄模様、を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、所望領域インクジェットレジスト付着膜を硬化して所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程、を備える。
例えば、
図11(B)、(B-a)、(B-b)に示されるように、既成凹部底面48cに、ABCDE模様」、又は、「微細図文字絵柄模様で形成されたハート模様」の領域には所望領域インクジェットレジスト付着膜が形成されていなく、そのABCDE模様」、又は、「微細図文字絵柄模様で形成されたハート模様」を除く領域に所望領域インクジェットレジスト硬化膜を形成する。
【0133】
図11(C)に示されるように、前述の[基本構成1]の前記(C)工程において、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、既成凹部底面48cにおける所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングする版型用基板エッチング工程を備え、これにより、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凸部上面47aをエッチングすることなく、既成凹部底面48cにおける所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない領域をエッチングして複数の凹部と複数の凸部とを有する既成凹部底面凹凸部488を形成する。
ここで、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜(3)が(イ)所望の図文字絵柄模様を有する場合には、
図11(C-a)に示されるように、既成凹部底面凹凸部488は(イ)所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凹部482aと複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凸部481aとを有してなる既成凹部底面複数凹凸部488aである。
又は、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(ロ)所望の微細図文字絵柄模様を有する場合には、
図11(C-b)に示されるように、前記既成凹部底面凹凸部488は(ロ)前記所望の微細図文字絵柄模様に相当する複数の微細凹形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凹部482bと複数の微細凸形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凸部481bとを有してなる既成凹部底面複数微細凹凸部488bである。
【0134】
図11(D)に示されるように、前述の[基本構成1]の前記(D)工程において、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去する所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程を備える。
これにより、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(イ)所望の図文字絵柄模様を有する場合には、
図11(D-a)に示されるように、既成凹部底面48cに、既成凹部底面凹凸部488としての既成凹部底面複数凹凸部488aを形成する。
又は、前記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が(ロ)所望の微細図文字絵柄模様を有する場合には、
図11(D-b)に示されるように、既成凹部底面48cに、既成凹部底面凹凸部488としての既成凹部底面複数微細凹凸部488bを形成する。
このようにして、既成凹部48と既成凸部47とを有し、該既成凹部48の底面に、既成凹部底面凹凸部488としての既成凹部底面複数凹凸部488a、又は、既成凹部底面凹凸部488としての既成凹部底面複数微細凹凸部488bを形成した押圧加工用版を製造する。
【0135】
なお、本構成において、複数の既成凹部底面凹凸部488のそれぞれの既成凹部底面複数凹凸部凸部481aの高さ寸法(既成凹部底面複数凹凸部凹部482aの深さ寸法と同じ)は、特に制限されないが、例えば、0.1mm以上であるとともに、既成凹部48の深さ寸法よりも小さい(短い、浅い)深さ寸法が好ましく実施可能である。
また、複数の微細凹凸形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部488bのそれぞれの既成凹部底面複数凹凸部凸部481aの高さ寸法(既成凹部底面複数凹凸部凹部482aの深さ寸法と同じ)は、特に限定されないが、例えば、0.05mm以上であるとともに、既成凹部48の深さ寸法よりも小さい(短い、浅い)深さ寸法が好ましく実施可能である。
また、複数の微細凹凸形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部488bのそれぞれの既成凹部底面複数凹凸部凸部481aの幅寸法(既成凹部底面複数凹凸部凹部482aの幅寸法と同じ)は、特に限定されないが、例えば、0.0005mm~1mmが好ましく実施可能である。
【0136】
この押圧加工用版の製造方法により、[(製造方法効果イ:インクジェットレジストによる所望寸法の凹凸表面形状を形成可能効果)従来汎用の化学的腐蝕エッチング加工よりも簡単な工程を有する化学的腐食エッチングを備えた工程により、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版を製造することが可能になる効果]が得られる。
すなわち、エッチングされてはならない領域(既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凹部底面48c)をエッチングすることなく、既成凹部底面48cに、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の既成凹部底面凹凸部488を形成することができる。
【0137】
[従属構成13]
上記の[従属構成2]~[従属構成12]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
[従属構成2]~[従属構成10]において、前記(A)工程において、前記版型用基板第一領域表面11は、(a)インクジェットレジスト材を使用して形成したインクジェットレジスト硬化膜を腐食エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、及び/又は、(b)従来慣用の液状レジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、及び/又は、(c)従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、及び/又は、(d)従来慣用の機械加工装置を使用した機械的加工、等の加工により、前記既成凹凸部4を形成してなる、押圧加工用版の製造方法。
例えば、
図1、
図2、
図3、
図6、
図7に示されるような既成複数凹凸部45及び/又は既成複数微細凹凸部46を備えた既成凹凸部4が、(a)インクジェットレジスト材、(b)従来慣用の液状レジスト材、(c)従来慣用のシート状ドライフィルムレジスト材、等を使用したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工、及び/又は、(d)従来慣用の機械加工、等の加工により形成された既成凹凸部4を有する版型用基板が実施可能である。
【0138】
(a)インクジェットレジスト材を使用して形成したインクジェットレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工は、本発明の押圧加工用版の製造方法に使用されるインクジェットレジスト材をインクジェット方式により版型用基板の表面に付着してインクジェットレジスト付着膜を形成し、そのインクジェットレジスト付着膜を硬化してインクジェットレジスト硬化膜を形成し、そのインクジェットレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして、エッチング液を使用して版型用基板を化学的に腐蝕エッチングして、凹凸形状の既成凹凸部4を形成する加工である。このインクジェットレジスト材を使用した化学的腐蝕エッチング加工において、その加工方法は、前述の「基本構成1」において説明した説明と類似の方法、又は、同じ方法で加工可能である。
【0139】
インクジェットレジスト材としては、特に限定されることなく、前述の「基本構成1」において説明したように、例えば、太陽インキ製造社製、三井化学社製、互応化学工業社、JNC社製、ニッコーマテリアル社製、旭化成社製、日本アグファレバルト社製、東京応化工業社製、等の汎用のレジスト材を供給している企業製であって、例えば、紫外線照射において化学的反応して不溶化してレジスト硬化を形成する所望の前述の、5mPa・s~100mPa・s(25℃)、好ましくは10mPa・s~50mPa・s(25℃)の粘性、粘性を有するインクジェットレジスト材2が使用できる。
【0140】
インクジェットレジスト材2の粘度が小さくなるに従ってインクジェットレジスト付着膜の厚さが薄くなり、インクジェットレジスト材2の粘度が大きくなるに従ってインクジェットレジスト付着膜の厚さが厚くなる傾向がある。腐蝕エッチング用マスクとしての機能に必要な所望の厚さにインクジェットレジスト付着膜を形成できる粘度を有するインクジェットレジスト材を選択して使用する。最適な粘性を有するインクジェットレジスト材2を使用することにより、版型用基板表面の所望の領域に高精度で所望の図文字絵柄模様形態を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成可能になる
【0141】
(b)従来慣用の液状レジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工は、従来慣用の液状レジスト材を、従来慣用のスクリーン印刷方式、スプレーコート方式、カーテンコート方式、スピンコート方式、その他の慣用の付着方法、等により、版型用基板の表面に付着し、その液状レジスト材を乾燥してレジスト付着膜を形成し、そして、所望の貫通孔を有する露光用マスク部材を介してレジスト付着膜を紫外線照射、等により露光し、現像、ベーキング、等の工程を経て、レジスト硬化膜を形成し、そのレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして、エッチング液を使用して版型用基板の表面を化学的に腐蝕エッチングして、凹凸形状の既成凹凸部4を形成する加工である。
【0142】
従来の従来慣用の液状レジスト材としては、特に限定されることなく、例えば、フォトリソグラフィ技術分野において使用されている従来の汎用の慣用液状レジスト材であって、所望の粘度、感光反応性、温度反応性、等を有するインクジェットレジスト材が使用可能である。例えば、二次元化学構造の有機高分子材を主成分とする流動性材であって、紫外線照射、電子線照射、レーザー照射又は加熱昇温により、化学構造的に架橋して三次元化学構造の架橋有機高分子の状態に硬化する性質を有するネガ型フォトレジストの一種である汎用の慣用の液状レジスト材2が使用できる。
また、従来慣用の液状レジスト材の粘度、粘性としては、特に限定されないが、例えば、1mPa・s(25℃)以上の粘度を有する慣用の液状レジスト材を使用して、約50μm(約0.05mm)未満の慣用レジストレジスト硬化膜を形成することが好ましい。
レジスト材2の粘度が小さくなるに従って、レジスト付着膜の厚さが薄くなる。最適な粘性を有する液状レジスト材2を使用することにより、所望の厚さでレジスト硬化膜を形成できる。
【0143】
液状レジスト材の具体的材料としては、特に限定されることがなく、例えば、版型用基板の金属を腐蝕エッチングするために使用される汎用の液状レジスト材が使用可能であり、例えば、東京応化工業社製、三井化学社製、太陽インキ製造社製、JNC社製、ニッコーマテリアル社製、旭化成社製、住友化学製、日本アグファレバルト社製、等の汎用のレジスト材を供給している企業製であって、例えば、紫外線照射において化学的反応して不溶化してレジスト硬化を形成する所望の粘度を有する液状レジスト材、が好ましく使用できる。
【0144】
なお、この慣用液状レジスト材を使用した加工方法において、露光用マスク部材を使用することなく、従来慣用のレジスト付着膜又はレジスト硬化膜をレーザー照射、電子線照射等によりレジスト材を化学的に変質し、現像して、所望形状を有する腐蝕エッチング用マスクを形成し、それを腐蝕エッチング用マスクとしてエッチング液を使用して版型用基板を化学的に腐蝕エッチングして、凹凸形状の既成凹凸部4を形成する方法も実施可能である。
【0145】
(c)従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工は、従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材を版型用基板の表面に貼り付けて、そして、所望の貫通孔を有する露光用マスク部材を介してシート状のドライフィルムレジスト材を紫外線照射、等により露光し、現像、ベーキング、等の工程を経て、レジスト硬化膜を形成し、そのレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして、エッチング液を使用して版型用基板の表面を化学的に腐蝕エッチングして、凹凸形状の既成凹凸部4を形成する加工である。
なお、この加工方法において、露光用マスク部材を使用することなく、従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材をレーザー照射、電子線照射等によりレジスト材を化学的に変質し、現像して、所望形状を有する腐蝕エッチング用マスクを形成し、それを腐蝕エッチング用マスクとしてエッチング液を使用して版型用基板を化学的に腐蝕エッチングして、凹凸形状の既成凹凸部4を形成する方法も実施可能である。レーザー露光装置としては特に限定されなく、例えば、大伸産業社製のレーザー露光装置が使用できる。
【0146】
また、この加工方法において、「従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材を版型用基板の表面に貼り付けて」に替えて、「一般に製品化されている版型用基板の表面にシート状のドライフィルムレジスト材を付着形成したレジスト付着版型用基板」を使用することも可能である。
シート状のドライフィルムレジスト材の具体的材料としては、特に限定されることがなく、例えば、東京応化工業社製、三井化学社製、太陽インキ製造社製、JNC社製、ニッコーマテリアル社製、旭化成社製、日本アグファレバルト社製、等が供給している汎用のシート状のドライフィルムレジスト材が使用可能である。
【0147】
(d)従来慣用の機械加工装置を使用した機械的加工は、従来慣用のNC加工、切削加工、研磨加工その他の汎用の機械加工により、、凹凸形状の既成凹凸部4を形成する加工である。
【0148】
本工程において、従来慣用の液状レジスト材の硬化膜、シート状のドライフィルムレジスト材、等の厚さは、特に限定されないが、例えば、約50μm(約0.05mm)未満のものが好ましく実施できる。
塗布、付着された慣用レジスト付着膜材の厚さが約50μm以上の場合には、厚さが厚くなるに従って慣用レジスト付着膜材の平面領域の厚さのバラツキが大きくなり、均一な慣用レジスト付着膜を形成できなくなる傾向があり、そのために、露光用マスク部材を使用する紫外線等の露光時において露光にバラツキが生じて、所望の形状精度や寸法精度を有する現像された慣用レジスト硬化膜を形成できなくなり、その結果、その慣用レジスト硬化膜をエッチング用マスクとして版型容器場を腐蝕エッチングしたときに、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸部を形成できなく、エッチング加工精度が劣るという課題がある。
【0149】
[従属構成14]
上記の[基本構成1]~[従属構成13]の押圧加工用版の製造方法において、特に限定されないが、押圧加工用版として一般に慣用されているところの、金属製、プラスチック製、又は、樹脂製等の版型用基板1が使用できる。
特に、好ましくは、下記の構成を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
版型用基板1は、鉄、ステンレス鋼、真鍮、銅、マグネシウム鋼、ジュラルミン、超硬合金、粉末ハイス鋼、ハイス鋼、ダイス鋼、合金工具鋼、炭素工具鋼、又は、鋼鉄により形成されてなる押圧加工用版の製造方法。
このような鉄、ステンレス鋼、真鍮、銅、マグネシウム鋼、ジュラルミン、超硬合金、粉末ハイス鋼、ハイス鋼、ダイス鋼、合金工具鋼、炭素工具鋼、又は、鋼鉄については、前述の[基本構成1]の説明において詳細に説明したものが好ましく実施可能である。
【0150】
[従属構成15]
上記の[基本構成1]~[従属構成14]の押圧加工用版の製造方法において、好ましくは、下記の(イ)~(ト)のうちの、少なくとも、いずれか一つの形態を備えた押圧加工用版の製造方法が実施可能である。
(イ)互いに対向する平板形状を有する平圧式加工装置に構成される平板型版。
(ロ)互いに対向するロール形状を有するロール式加工装置に構成されるロール版。
(ハ)円筒形又は円柱形のロールの周囲に巻き付け設置固定して構成されるフレキシブル版、又は、平板形状を有する版型用基板の表面に接固定して構成されるフレキシブル版。
(ニ)被加工物を所定凹凸形状に加工するための型押用版。
(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版。
(ヘ)被加工物を所定形状に切抜及び/又は切断するための切抜・切断版。
(ト)被加工物を所定凹凸形状に型押又は箔押するとともに切抜及び/又は切断するための型箔押・切抜切断版。
上記の(イ)、(ロ)、(ハ)は押圧加工用版の形状による分類であり、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)は、使用目的、用途による分類である。
【0151】
本発明の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版の構成を説明するための模式的概略図が
図17に示される。
図17は慣用の一般的な平板式又はロール式の押圧加工装置であって、この慣用の押圧加工装置に本発明の押圧加工用版を装着した状態を示す押圧加工装置の概略模式図である。
【0152】
図17(A)に示されるように、所定の凹凸形状で形成された微細図文字絵柄模様形態を形成した押圧加工用版10と受版94との間に、シート状被加工物基材108aとシート状箔材料108bが位置する状態で、押圧加工用版10と受版94とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物基材108aに、押圧加工用版10に合致する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態が形成されるとともに、シート状箔材料108bの転写により形成された箔転写凹凸図文字絵柄模様形態が転写形成されるように構成されてなる。
この押圧加工用版10は(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版に相当する。
【0153】
図17(B)に示されるように、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した押圧加工用版10と受版94との間に、シート状被加工物108が位置する状態で、押圧加工用版100と受版94とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物108に、押圧加工用版10に合致する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態が形成されるように構成されてなる。
この押圧加工用版10は(ニ)被加工物を所定凹凸形状に加工するための型押用版に相当する。
なお、型押用版はエンボス版とも言われる。
【0154】
図17(C)に示されるように、所定の凹凸形状で形成された複数個の微細図文字絵柄模様形態、及び、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した押圧加工用版10と、受版94との間に、シート状被加工物108が位置する状態で、押圧加工用版10と受版94とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物108に、押圧加工用版10と受版94とに合致する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態が形成されるように構成されてなる。
また、図示されていないが、微細図文字絵柄模様形態を形成していなく、一つ又は複数の所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した押圧加工用版10のみを形成した押圧加工用版100も実施可能である。この押圧加工用版10は(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版に相当する。
この押圧加工用版10は、例えば、前述の「従属構成3~従属構成5」、及び、「従属構成6~従属構成9」の押圧加工用版に適用される。
【0155】
図17(D)に示されるように、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態と、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した受版94との間に、シート状被加工物108が位置する状態で、押圧加工用版10と受版94とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物108に、押圧加工用版10と受版94とに合致する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態が形成されるように構成されてなる。
この押圧加工用版10は(ニ)被加工物を所定凹凸形状に加工するための型押用版に相当する。
【0156】
図17(E)に示されるように、所定の形状で形成された刃型模様形態と、受版94との間に、シート状被加工物108が位置する状態で、押圧加工用版10と受版94とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物108に、押圧加工用版10と受版94に合致する形状で切断又は切抜されるように構成されてなる。
この押圧加工用版10は(ヘ)被加工物を所定形状に切抜及び/又は切断するための切抜・切断版、に相当する。
【0157】
図示されていないが、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した押圧加工用版と受版との間に、シート状被加工物が位置する状態で、押圧加工用版と受版とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物に、押圧加工用版に合致する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態が形成されるとともに、所定の形状に切抜又は切断形成されるように構成されてなる。
【0158】
図示されていないが、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した押圧加工用版と、所定の凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態を形成した受版94との間に、シート状被加工物基材とシート状箔材料が位置する状態で、押圧加工用版と受版とのうちの少なくとも一方が互いに押圧することにより、シート状被加工物基材に、押圧加工用版と受版とに合致する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様形態が形成されるとともに、シート状箔材料の転写により形成された箔転写凹凸図文字絵柄模様形態が転写形成されるように構成されてなる。
この押圧加工用版は(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版に相当する。
【0159】
本発明の押圧加工用版において、前述の(イ)互いに対向する平板形状を有する平圧式加工装置に構成される平板型版としては、
図16(A)に示されるように、(イ)第一基盤92、第二基盤93を備えた平圧式加工装置であって、それぞれの基盤に互いに対向して設置された押圧加工用版10と受版94とを備えた平圧式加工装置に構成される平板型版として使用される。
【0160】
本発明の押圧加工用版において、前述の(ロ)互いに対向するロール形状を有するロール式加工装置に構成されるロール版としては、
図16(B)に示されるように、互いに対向する円柱形状又は円筒形状等のロール形状を有する主ロール96、対ロール97を備えたロール装置であって、それぞれのロールの表面に構成されたロール版として使用される。
ロール版としては、下記のロール版が適用できる。
(ロ-a)ロールの表面の所望の位置に、直接に凹凸形状で刻設、形成されてなるロール版。
(ロ-b)ロールの表面の所望の位置に、平板状の表面に凹凸形状の凹凸部を備えた平板形状の版型用基板を設置固定されて構成されるなるロール版。
(ロ-c)ロールの表面の所望の位置に、曲面形状の表面に凹凸形状の凹凸部を備えた曲面形状の版型用基板を設置固定されて構成されるなるロール版。
【0161】
前述の(ハ)円筒形又は円柱形のロールの周囲に巻き付け設置固定して構成されるフレキシブル版としては、湾曲できる程度のフレキシブル性を有し、ロールの表面に巻き付けて設置されて適用使用される。
例えば、ロールの周面が磁性を有する構成であって、フレキシブル版が鉄又は鉄含有鋼鉄製などの磁性を奏する金属製の屈曲可能な程度の厚さ寸法で形成された略シート状形状のものが、ロール周面に磁力で吸引密着された状態で設置固定されて適用使用される。
平板形状を有する版型用基板の表面に設置固定して構成されるフレキシブル版としては、平圧式加工装置の平板形状を有する所望の厚さを有する基板の表面に設置固定されて適用使用される。
【0162】
押圧加工用版を使用した押圧加工装置において、第一基盤92、第二基板93、押圧加工用版100及び受版94のうちの少なくとも一つに、加熱するためのヒーター等の加熱機構が具備された構成も実施可能である。このような加熱機構を備えた装置において、(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版を構成した押圧加工装置において、シート状被加工物基材108aとシート状箔材料108bとのシート状被加工物108が使用される場合に、加熱された状態でシート状箔材料108bに箔押し形成される。
【0163】
<本発明の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版について>
[従属構成16]
本発明の押圧加工用版は、上記の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のうちの少なくとも一つの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版である。
例えば、本発明の押圧加工用版は、「従属構成1」の製造方法により製造された押圧加工用版である。すなわち、本発明の押圧加工用版は、被加工物を押圧により所定形状に加工するための押圧加工用版の製造方法であって、下記の構成を備える。
(A)版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を供給する版型用基板供給工程。
(B)版型用基板1の版型用基板第一領域表面11の所望領域にインクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成する所望領域インクジェットレジスト付着膜形成工程、及び、インクジェットレジスト付着膜を硬化してインクジェットレジスト硬化膜3を形成する所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程。
(C)所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板の表面をエッチングする版型用基板エッチング工程、これにより、前記版型用基板の表面に凹形状で形成された腐蝕凹形成部を形成する。
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜を除去するレジスト硬化膜除去工程。
【0164】
なお、本発明の押圧加工用版は、上記に限定されることなく、前述の「従属構成2」~「従属構成13」のうちの少なくとも一つの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版も実施可能である。
【0165】
本発明の押圧加工用版により、[押圧加工用版イ:所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、「版型用基板のエッチングされてはならない領域」の腐蝕エッチングが抑制されてなる所望の形状精度や寸法精度を備えた押圧加工用版が得られる効果」が得られる。
【0166】
<本発明の被加工物の加工方法について>
[従属構成17]
本発明の被加工物の加工方法は、上記の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のうちの少なくとも一つの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版を使用して、被加工物を加工して、所定形状に加工されてなる加工物を製造することを特徴とする被加工物の加工方法である。
【0167】
上記の被加工物の加工方法に使用可能な被加工物としては、特に限定されないが、紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、皮革、木材、布、軟質金属、これらの積層物、等の被加工物が、好ましく実施できる。
また、型押加工、箔押加工、切断加工、及び、切抜加工からなる群から選ばれる少なくとも一つの加工により、被加工物を所定形状に加工する被加工物の加工方法が、好ましく実施できる。
【0168】
[従属構成18]
本発明の被加工物の加工方法は、上記の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版が平板形状を有する平板型版であって、その平板形状を有する押圧加工用版を使用して、被加工物を加工して、所定形状に加工されてなる加工物を製造することを特徴とする被加工物の加工方法であって、下記の構成を備える。
(S-a)前述の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のいずれかの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版10を供給する工程。
(S-b)互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備する工程。
(S-d)所定の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置する工程。
(S-e)押圧加工用版10と受版94との間に、被加工物108を位置する状態で、第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物を押圧する工程。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成する。
(S-f)押圧加工用版10と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除する工程。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態で転写形成された被加工物凹凸形成部が形成されてなる加工物を調製する。
【0169】
上記の(S-d)所定の受版94を押圧加工装置の第二基盤93に設置する工程において、受版94としては、
図17(A)に示されるような、表面が滑らかな表面を有し、凹凸形状を有しない受版94を使用して構成した被加工物の加工方法が実施可能である。
また、受版94としては、上記に限定されることなく、
図17(D)に示されるような、本発明のインクジェットレジスト材又は従来の慣用のレジスト材を使用して製造した表面に凹凸形状を有する受版94を使用して構成した被加工物の加工方法も実施可能である。
【0170】
この被加工物の加工方法においては、前述の(イ)互いに対向する平板形状を有する平圧式加工装置に構成される押圧加工用版としての平板型版であって、(ニ)被加工物を所定凹凸形状に加工するための型押用版が適用される。
【0171】
本発明の被加工物の加工方法により、[被加工物加工方法効果イ:本発明の被加工物の加工方法は、紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、これらの積層物、等の被加工物を、、所望の凸部、所望の凹部、所望の凹凸部、所望の微細凹凸部、等の所望形状を有するとともに、所望の形状精度や寸法精度を有して加工形成されてなる加工物を調製できる効果]が得られる。
【0172】
[従属構成19]
本発明の他の被加工物の加工方法は、上記の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版が平板形状を有する平板型版であって、その平板形状を有する押圧加工用版を使用して、被加工物を箔押し加工して、所定形状に箔押し加工されてなる加工物を製造することを特徴とする被加工物の加工方法であって、下記の構成を備える。
(S-a)「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成13」のいずれかの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版10を供給する工程。
(S-b)互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備する工程。
(S-d)所定の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置する工程。
(S-e)押圧加工用版10と受版94との間に被加工物基材108aとシート状箔材料108bとを位置する状態で、第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物を押圧する工程。
これにより、シート状箔材料108bを、被加工物基材108aの表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物箔押転写形成部を転写形成する。
(S-f)押圧加工用版10と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除する工程。
これにより、被加工物基材108aの表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する形状を有する形態でシート状箔材料108bにより転写形成された被加工物箔押転写形成部が形成されてなる加工物を調製する。
【0173】
この被加工物の加工方法においては、前述の(イ)互いに対向する平板形状を有する平圧式加工装置に構成される平板型版であって、(ホ)被加工物に箔押し加工するための箔押用版としての平板型版が適用される。
なお、この箔押し加工方法において、第一基盤92、第二基盤93、押圧加工用版10及び受版94のうちの少なくとも一つが加熱されて状態で箔押し加工される構成も好ましく実施可能である。加熱により、シート状箔材料108bの所望の領域が被加工物の表面に転写するとともに接合して、被加工物箔押転写形成部が形成される。
【0174】
本発明の被加工物の加工方法により、「被加工物加工方法効果ロ:紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、これらの積層物、等の被加工物を、所望の文字、所望の記号、所望の図形所望の絵柄、所望の格子模様、及び、所望の微細複数凹凸模様、等の所望の図文字絵柄模様形態を有する凹部、凸部、及び/又は凹凸部で形成された形状に、優れた形状寸法精度で、箔押し加工形成されてなる加工物を調製できる効果」が得られる。
特に、「優れた形状寸法精度で、箔押し加工形成されてなる加工物を調製できる効果」が得られる。また、特に、「従属構成8」によって製造されてなる「複数種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって、互いに異なる他の画像を形成してなる押圧加工用版」を使用した場合には、「互いに異なる方向から見た場合に、互いに異なる画像が見えるように形成されてなる加工物」が、箔押し加工されてなることに起因して、著しく優れた箔押し加工物を調製することが可能になる。
【0175】
[従属構成20]
本発明の他の被加工物の加工方法は、上記の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版を、ロール装置に設置して、被加工物を加工して、所定形状に加工されてなる加工物を製造することを特徴とする被加工物の加工方法であって、下記の構成を備える。
(S-a)「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成13」のいずれかの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版10を供給する工程。
(S-b)互いに対向する主ロール96と対ロール97を備えた押圧加工装置を準備する工程。
(S-c)押圧加工用版10を、主ロール96に設置する工程。
(S-d)所定の受版94を、押圧加工装置の前記対ロール97に設置する工程。
(S-e)主ロール96と対ロール97とを駆動するとともに、主ロール96と対ロール97との間に被加工物を供給して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物を押圧する工程。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形状部を形成する。
(S-f)被加工物が前記主ロール96と対ロール97との間から離反して、前記被加工物への押圧を解除する工程。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態で転写形成された被加工物転写形成部が形成されてなる加工物を調製する。
【0176】
この被加工物の加工方法においては、前述の(ロ)互いに対向するロール形状を有するロール式加工装置に構成されるロール版であって、ロールの所定の位置に設置固定して構成されるロール版、又は、(ハ)ロール装置の円筒形又は円柱形のロールの周囲に巻き付け設置固定して構成されるフレキシブル版、が適用される。
【0177】
本発明の被加工物の加工方法により、前述の「被加工物加工方法効果イ」の効果が得られる。
特に、「優れた形状寸法精度で、加工形成されてなる加工物を調製できる効果」が得られる。
【0178】
[従属構成21]
本発明の他の被加工物の加工方法は、上記の「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成15」のいずれかに記載の押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版を、ロール装置に設置して、被加工物を加工して、所定形状に箔押し形成されて加工されてなる加工物を製造することを特徴とする被加工物の加工方法であって、下記の構成を備える。
(S-a)「基本構成1」、「従属構成2」~「従属構成13」のいずれかの押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版10を供給する工程。
(S-b)互いに対向する主ロール96と対ロール97を備えた押圧加工装置を準備する工程。
(S-c)押圧加工用版10を、主ロール96に設置する工程。
(S-d)所定の受版94を、押圧加工装置のロール97に設置する工程。
(S-e)主ロール96と対ロール97とを駆動するとともに、主ロール96と対ロール97との間に被加工物基材108aとシート状箔材料108bとを供給して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物を押圧する工程。
これにより、シート状箔材料108bを、被加工物基材108aの表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物箔押転写形成部を転写形成する。
(S-f)被加工物が前記主ロール96と対ロール97との間から離反して、被加工物への押圧を解除する工程。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する形態でシート状箔材料108bにより転写形成された被加工物転写形成部が形成されてなる加工物を調製する。
【0179】
この被加工物の加工方法においては、前述の(ロ)互いに対向するロール形状を有するロール式加工装置に構成されるロール版であって、(ハ)円ロール装置の筒形又は円柱形のロールの周囲に巻き付け設置固定して構成されるフレキシブル版、が適用される。
なお、この箔押し加工方法において、主ロール96、対ロール97、及び、押圧加工用版10のうちの少なくとも一つが加熱されて状態で箔押し加工される構成も好ましく実施可能である。加熱により、シート状箔材料108bの所望の領域が被加工物の表面に転写するとともに接合して、被加工物箔押転写形成部が形成される。
【0180】
本発明の被加工物の加工方法により、前述の「被加工物加工方法効果ロ」の効果が得られる。
特に、「優れた形状寸法精度で、箔押し加工形成されてなる加工物を調製できる効果」が得られる。また、特に、「従属構成8」によって製造されてなる「複数種類の複数個の微細図文字絵柄模様が集まって、互いに異なる他の画像を形成してなる押圧加工用版」を使用した場合には、「互いに異なる方向から見た場合に、互いに異なる画像が見えるように形成されてなる加工物」が、箔押しされてなることに起因して、著しく優れた箔押し加工物を調製することが可能になる。
【0181】
[従属構成22]
上記の「従属構成17」~「従属構成21」のいずれかに記載の被加工物の加工方法において、下記の構成を備えた被加工物の加工方法が好ましく実施可能である。
前記被加工物は、紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、皮革、木材、布、軟質金属、及び、これらの積層物からなる群から選ばれる少なくとも一つの被加工物である、被加工物の加工方法」。
この構成により、前述の「被加工物加工方法効果イ」、「被加工物加工方法効果ロ」の効果が得られ、特に「優れた形状寸法精度で、加工形成されてなる加工物を調製できる効果」が得られる。
【実施例0182】
以下に本発明の押押圧加工用版の製造方法、押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版、及び、押圧加工用版の製造方法により製造されてなる押圧加工用版を使用して被加工物を所定形状に加工する被加工物の加工方法、等について、典型的実施例を説明する。図面において、構成要素の形状・大きさ・寸法等は正確に示すものではなく形状、構成、作用効果等の特徴を説明するための概略を模式的に示すものである。
【0183】
<実施例1A(押圧加工用版としての平板型版・型押用版の製造A)>
本実施例は、前述の「従属構成3」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図1に示される押圧加工用版であって、凹部から突出した凸部の表面に「ABCDE」の図文字絵柄模様が凸形状で形成された押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は平板型版、型押用版として使用される。
本実施例において、従来慣用のレジスト材を使用して既成複数凹凸部45を形成し、その既成複数凹凸部45を形成した版型用基板の表面に、インクジェットレジスト材を使用して、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、「既成複数凹凸部45がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成されてなる形態に調製したものである。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0184】
(A)既成複数凹凸部45を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、ステンレス製であって、厚さ「h」7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
次に、版型用基板1の版型用基板第一領域表面11の所望の領域に(i)慣用レジスト材としての紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有する汎用の慣用液状レジスト材(製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材)選択して使用して、従来慣用のスプレーコート方式により、約0.02mm~約0.04mmの厚さで付着し、所定の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
そして、光透過用の貫通孔を有して所望の図文字絵柄模様(ABCDE模様)を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、市販されている汎用の慣用の現像剤(炭酸ナトリウム水溶液)を使用して、紫外線が照射されていない領域の不要なレジスト付着膜を除去した。その後、所定の慣用の方法で加熱ベーキングを行って熟成した。このようにして所望の図文字絵柄模様(ABCDE模様)を有するレジスト硬化膜を形成した。
【0185】
次に、レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている汎用の慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「D1」が0.9mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451を形成した。
次に、市販されている汎用の慣用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と、凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452を形成した。
なお、上記の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と、凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成する工程を説明する図は、
図1には図示されていない。
【0186】
すなわち、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は既成複数凹凸部45を有する。
既成複数凹凸部45は複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と、複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452とを有し、複数の既成複数凹凸部凸部451は複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bとを有し、複数の既成複数凹凸部凹部452は複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとを有する。
このようにして、既成凹凸部4としての既成複数凹凸部45を有する版型用基板を準備した。
なお、前記複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと前記複数の既成複数凹凸部凹部側面452bは、互いに同じ側面領域に相当する。
また、エッチングされた既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法「D1」は既成複数凹凸部凹部の深さ寸法「D1」に相当し、0.9mmである。既成複数凹凸部凸部451の幅寸法「W1」、既成複数凹凸部凹部452の幅寸法「W2」は、概略、
図1の(A-b)で示されるような所望の寸法を有していた。
このようにして、
図1の(A-b)の黒色で示される既成複数凹凸部凸部451で形成された図文字絵柄模様(ABCDE模様)と、白色で示される複数の既成複数凹凸部凹部452を有する版型用基板1を調製し、供給した。
【0187】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
上記(A)工程により調製された版型用基板1を使用して、
図1の(B)に示されるように、複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとを覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凹部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜を形成した。ここで、既成複数凹凸部45の周囲領域に位置する版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2は付着されない。
その後、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凹部側面付着膜とインクジェット凹部底面付着膜を硬化して、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを形成し、このようにして所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
なお、所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜と所望領域インクジェットレジスト凹部側面硬化膜とは互いに同じ側面硬化膜に相当する。
【0188】
なお、所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販のインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、「10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で版型用基板に付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射して、インクジェットレジスト材を化学反応させ、その後、120℃で10分間の加熱バーニングを行って、硬化された所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを形成した。このようにして、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。
【0189】
本工程において、インクジェットレジスト材は、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)から流れ落ちることなく、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)に良好に付着するとともに、既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cにも良好に付着形成され、更に、所望の領域に硬化された所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとが形成されていることを確認した。
【0190】
(C)腐蝕エッチング工程.
図1の(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと、所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法(D12)が約1.9mmになるまでエッチングした。
これにより、既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455の形態に形成した。
【0191】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図1の(D-b)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを市販されている汎用の慣用レジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0192】
このようにして、凹凸形状で形成された既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングしてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452を有する既成複数凹凸部45を備えた版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455の形態に形成されてなる形態に調製した。
【0193】
なお、
図1(D)に示されるように、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法「D12」は1.9mmであり、複数の既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法「D1」と複数の既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法「D1」は互いに同じ領域を示すものであって、それぞれの初期の寸法を維持して、0.9mmであった。このようにして、押圧加工用版を製造した。
【0194】
以上のように、本実施例において、従来慣用のレジスト材を使用して、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に高さ寸法「D1」の既成複数凹凸部凸部451と深さ寸法「D1」の既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成した版型用基板1を調製し、その既成複数凹凸部45を形成した版型用基板1を使用するとともにインクジェットレジスト材を使用して、腐蝕エッチングを行って、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成し、これにより、凹凸形状で形成された「ABCDE模様」を有する既成複数凹凸部45が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成されてなる形態に調製した。
【0195】
なお、本実施例において、所望の形状精度や寸法精度を有する既成複数凹凸部45を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)には、窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有することを確認した。
【0196】
<実施例1B(押圧加工用版としての平板型版・型押用版の製造B)>
本実施例は、前述の「従属構成3」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図2に示される押圧加工用版であって、凹部から突出した凸部の表面に「ABCDE模様」の図文字絵柄模様が凸形状で形成された押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は平板型版、型押用版として使用される。
なお、本実施例において、インクジェットレジスト材を使用して、既成複数凹凸部45を形成し、その既成複数凹凸部45を形成した版型用基板の表面に、インクジェットレジスト材を使用して、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、「既成複数凹凸部45がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成されてなる形態に調製した。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0197】
(A)既成複数凹凸部45を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、真鍮製であって、厚さ「h」7mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
【0198】
次に、版型用基板1の表面に、インクジェッレジスト材を使用して、インクジェット方式で付着して「ABCD模様の図文字絵柄模様」を有するインクジェットレジスト付着膜を形成した。
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、前述の実施例1Aの(B)工程で使用したインクジェットレジスト材と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、「10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、所望のABCDE模様であって模様図柄を有する硬化されたインクジェットレジスト硬化膜を形成した。
このようにして、ABCD模様の図文字絵柄模様を有するインクジェットレジスト硬化膜を形成した。インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03~約0.05mmの範囲であった。
【0199】
インクジェットレジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「D1」が約0.9mmになるまでエッチングして、版型用基板に複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成した。
【0200】
次に、市販されている慣用のレジスト除去剤を使用して、インクジェットレジスト硬化膜を除去した。
なお、以上に記載の既成複数凹凸部45を形成する工程を説明する図は、
図2には図示されていない。
【0201】
このようにして、
図2(A)に示されるような版型用基板に版型用基板1の版型用基板第一領域表面11に複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成した。
それぞれの既成複数凹凸部凹部452の深さ「D1」は約0.9mmであり、既成複数凹凸部凸部451の高さは既成複数凹凸部凹部452の深さに相当する約0.9mmであった。
このようにして、
図2の(A-b)の黒色で示される図文字絵柄模様(ABCDE模様)と、白色で示される複数の既成複数凹凸部凹部452を有する版型用基板1を調製し、供給した。
【0202】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
図2の(B)に示されるように、複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bを覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面着膜を形成した。ここで、既成複数凹凸部45の周囲領域に位置する版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2は付着されない。
その後、インクジェットレジスト凸部上面付着膜とインクジェットレジスト凸部側面付着膜とインクジェット凹部底面着膜を硬化して、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを有する所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
なお、所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部側面硬化膜とは互いに同じ側面硬化膜に相当する。
【0203】
なお、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、市販されているインクジェットレジスト材のうち、前述の実施例1Aの(B)工程で使用したインクジェットレジスト材と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、「10mPa~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程、本実施例2Bの(A)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、硬化された所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを形成した。
所望領域インクジェットレジスト硬化膜3の厚さは約0.03~約0.05mmの範囲であった。
【0204】
本工程において、インクジェットレジスト材は、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)から流れ落ちることなく、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)に良好に付着するとともに、既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cにも良好に付着形成され、更に、所望の領域に硬化された所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとが形成されていることを確認した。
【0205】
(C)腐蝕エッチング工程.
図2の(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと、所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cとを形成した版型用基板1の表面に市販されている慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「D12」が約1.9mmになるまでエッチングした。
これにより、既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455の形態に形成した。
【0206】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図2の(D-b)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを市販されている慣用のレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0207】
このようにして、凹凸形状で形成された「ABCDE模様」を有する既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングしてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452を有する既成複数凹凸部45を備えた版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成されてなる形態に調製した。
【0208】
なお、
図2(D)に示されるように、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ寸法「D12」は1.9mmであり、複数の既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法「D1」と複数の既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法は互いに同じ領域を示すものであって、それぞれの初期の寸法を維持して、0.9mmであった。
このようにして、押圧加工用版を製造した。
【0209】
以上のように、本実施例においては、インクジェットレジスト材を使用して、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に高さ寸法D1の既成複数凹凸部凸部451と深さ寸法D既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成した版型用基板1を調製し、その既成複数凹凸部45を形成した版型用基板1を使用するとともにインクジェットレジスト材を使用して、腐蝕エッチングを行って、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成し、これにより、「既成複数凹凸部45がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成されてなる形態に調製した。
【0210】
なお、本実施例において、所望の形状精度や寸法精度を有する所望の既成複数凹凸部45を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452bには窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有することを確認した。
【0211】
<実施例1B-a(実施例1Bの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本実施例は、上記の実施例1Bにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての紙製シート108を型押し加工するものである。
下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)実施例1Bにおいて製造した既成凹凸部4を形成した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな凹凸を有しない平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1.5mmの紙製シート108を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108としての紙製シート108に、既成凹凸部4に凹凸形状で形成されている図文字絵柄模様に一致した図文字絵柄模様を有する約0.9mm深さの凹凸形状のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0212】
本被加工物の加工方法の実施例において、被加工物108としての紙製シート108に、何らの異常が発生することなく、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸形状で形成された「ABCDE模様」の図文字絵柄模様を形成した加工物が得られた。加工物に形成された「ABCDE模様」の図文字絵柄模様は、異常なく、所望の約0.9mmの段差を有する凹凸で形成されてなることを確認した。
【0213】
<比較例1A(従来の慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
本比較例は、上記の実施例1Aの「(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程」において、インクジェットレジスト材に替えて、従来の慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造方法である。
本比較例の製造工程を説明するための模式的概略図が
図12、
図13に示される。
図12、
図13は、従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
【0214】
(A)既成複数凹凸部45を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
図12の(A)に示されるような、版型用基板の材質及び形状は実施例1Aと同じであって、ステンレス製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する版型用基板を準備した。
図12の(B)に示されるような、前述の実施例1Aの(A)工程と同じ方法により、従来の汎用の慣用液状レジスト材(前述の実施例1Aの(A)工程で使用した液状レジスト材と同じであって、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材)を使用して、スプレーコート方式により約0.02mm~約0.04mmの厚さで付着し、乾燥し、レジスト付着膜を形成し、光透過用の貫通孔を有する所望の露光用マスク部材を介してレジスト付着膜に紫外線を照射し、アフターベーキング、現像、等の工程により、所望の図文字絵柄模様(ABCDE模様)を有するレジスト硬化膜を形成した。
その後、レジスト硬化膜を形成した版型用基板をエッチング液により腐蝕エッチングして、既成複数凹凸部凸部451と既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成した。
このようにして、
図12(B)に示されるような版型用基板第一領域表面11に既成複数凹凸部45を形成した版型用基板を調製した。
調製した版型用基板の材質及び形状は実施例1Aと同じであって、の高さ寸法D1(既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法D1)は実施例1と同じ0.9mmであった。
版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は既成複数凹凸部45を有し、既成複数凹凸部45は複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と、複数の凹形状で形成された複数の有し、複数の既成複数凹凸部凸部451は複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bを有し、複数の既成複数凹凸部凹部452は複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bを有する。
なお、複数の既成複数凹凸部凸部側面451bと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bとは互いに同じ側面を意味する。
【0215】
(B)従来の慣用液状レジスト硬化膜形成工程.
複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451b(複数の既成複数凹凸部凹部側面452b)と複数の既成複数凹凸部凹部底面452cとを形成した版型用基板1の表面を覆って、従来の慣用液状レジスト材20(本比較例1Aの(A)工程で使用した液状レジスト材と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有し、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材)を使用して、従来慣用のスプレーコート方式によって塗布して液状レジスト付着膜を形成した。
その後、所望の形状の露光用マスク部材(露光用マスク部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された「ABCDE模様」領域に相当する部分に貫通孔を有するとともに周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材)を介して、紫外線照射露光し、その後、現像剤(炭酸ナトリウム水溶液)を使用して紫外線が照射されていない領域のレジスト付着膜を除去して現像し、その後、アフターベーキング、等の慣用の方法により、付着した慣用レジスト付着膜を硬化して、
図12の(C)に示されるような、慣用レジスト凸部上面硬化膜30aと慣用レジスト凹部底面硬化膜30cを有する慣用レジスト硬化膜30を形成した。但し、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)に付着した慣用レジスト材は既成複数凹凸部凹部の底面に流れ落ちて、慣用レジスト凹部側面硬化膜は形成されなかった。
慣用レジスト硬化膜30の厚さは約0.02mm~約0.04mmの範囲であった。
【0216】
この場合、版型用基板の周囲領域にレジスト硬化膜が形成されていなく、その内部領域に慣用レジスト硬化膜を有する形態のレジスト硬化膜を形成した。
また、慣用液状レジスト材は、既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凹部底面452cに良好に付着形成されて、所望の領域に硬化された慣用レジスト凸部上面硬化膜30aと慣用レジスト凹部底面硬化膜30cとを良好に形成していたが、しかしながら、慣用液状レジスト材は、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)から流れ落ちて、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)には硬化膜は形成されなかった。
【0217】
(C)腐蝕エッチング工程.
図13の(D)に示されるように、慣用レジスト凸部上面硬化膜30aと、慣用レジスト凹部底面硬化膜30cとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法(D3)が約1.0mmになるまでエッチングした。この場合、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)には僅かなサイドエッチングが生じていた。
【0218】
図13の(E)に示されるように、更にエッチングを続行して版型用基板第二領域表面12を深さ寸法(D12a)が約1.9mmになるまでエッチングした。
これにより、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有する従来慣用第二凹形成部121aを形成するとともに、既成複数凹凸部45を、該従来慣用第二凹形成部121aから突出されてなる形態を形成した。
【0219】
(D)従来慣用レジスト硬化膜除去工程.
図13の(F)に示されるように、慣用レジスト凸部上面硬化膜30aと、慣用レジスト凹部底面硬化膜30cを、汎用のレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0220】
前述の「(C)腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)も腐蝕エッチングされて、
図13(D)に示されるようなサイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451s(複数のサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452s)が生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版を得られなかった。
このようなサイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451s(複数のサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452s)は所望の形状ではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を加工した場合に、所望の凹凸形状に加工された加工物が得られないという課題があり、好ましくない。
なお、サイドエッチングとは、既成複数凹凸部凸部側面451b又は既成複数凹凸部凹部側面452bが、その側面の内面側に向けて窪んだ状態でエッチングされた形状を意味し、押圧加工用版としては、好ましくない形状である。
【0221】
<比較例1Ab(従来の慣用ドライフィルムレジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
上記実施例1Aの他の比較例について、下記に説明する。
本比較例1Abは、上記実施例1Aの(B)工程において、インクジェットレジスト材に替えて、従来の慣用ドライフィルムレジスト材を使用した押圧加工用版の製造方法である。
なお、本比較例の一連の工程を説明する図面は図示されていないが、一部の構成要素は上記の比較例1Aと類似し、一部の構成要素にはその構成要素の符号を付して説明する。
(A)既成複数凹凸部45を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
前述の実施例1Aの(A)工程と同じ方法により、従来の慣用液状レジスト材を使用して、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は既成複数凹凸部45を有し、(イ)既成複数凹凸部45は複数の凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451と、複数の凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452を有し、複数の既成複数凹凸部凸部451は複数の既成複数凹凸部凸部上面451aと複数の既成複数凹凸部凸部側面451bを有し、複数の既成複数凹凸部凹部452は複数の既成複数凹凸部凹部底面452cと複数の既成複数凹凸部凹部側面452bを有する版型用基板を調製して、準備した。
版型用基板の材質及び形状は実施例1Aと同じであって、ステンレス製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。また、既成複数凹凸部凸部451の高さ寸法D1(既成複数凹凸部凹部452の深さ寸法D1)は実施例1Aと同じ0.9mmである。
【0222】
(B)従来慣用レジスト硬化膜形成工程.
その既成複数凹凸部45を形成した版型用基板の表面に、従来の慣用ドライフィルムレジスト材(厚さが約0.02mm~約0.04mm)を貼り付けた。この場合、版型用基板に形成された既成複数凹凸部45の複数の既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)と既成複数凹凸部凹部底面452cには、ドライフィルムレジスト材が接触することなく、隙間が発生していた。ドライフィルムレジスト材としては、市販されている慣用のシート状のドライフィルムレジスト材のうちから所望の「厚さが約0.02mm~約0.04mm」を有するシート状のドライフィルムレジスト材を選択して使用した。
その従来の慣用ドライフィルムレジスト材を貼り付けた版型用基板に、露光用マスク部材(露光用マスク部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された「ABCDE模様」領域に相当する部分に貫通孔を有するとともに周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材)を介して、従来汎用の慣用の紫外線を照射、現像、等の慣用の工程を経て、レジスト硬化膜を形成した。
この場合、版型用基板の周囲領域にレジスト硬化膜が形成されていなく、版型用基板の内部領域の凹凸形状で形成された「ABCDE模様」領域を覆って慣用レジスト硬化膜を有する形態のレジスト硬化膜を形成した。また、内部領域に形成されたレジスト硬化膜において、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)と既成複数凹凸部凹部底面452cには、慣用レジスト硬化膜が接触しなく、慣用レジスト硬化膜が付着形成されていなかった。
【0223】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、慣用レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「D3」が約1.0mmまでエッチングし、更に続けて、深さ寸法「D12a」が約1.9mmになるまでエッチングした。
これにより、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有する従来慣用第二凹形成部121aを形成するとともに、「ABCDE模様」を形成した既成複数凹凸部45を、該従来慣用第二凹形成部121aから突出されてなる形態を形成した。
【0224】
(C)慣用レジスト硬化膜除去工程.
次に、慣用レジスト硬化膜をレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0225】
このような「腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)も腐蝕エッチングされて、サイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451s(複数のサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452s)が生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
このようなサイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451s(複数のサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452s)は所望の形状ではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を過去した場合に、所望の凹凸形状に加工された加工物が得られないという課題があり、好ましくない。
このサイドエッチング現象は、既成複数凹凸部45を形成した版型用基板の表面に従来の慣用レジスト材(厚さが約0.02mm~約0.04mm)を貼り付けた場合、複数の既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)と既成複数凹凸部凹部底面452cには、ドライフィルムレジスト材が接触することなく隙間が発生し、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)と既成複数凹凸部凹部底面452cには、慣用レジスト硬化膜が形成されていなかったことに起因して、この側面と底面がエッチングされたものであった。
【0226】
<比較例1A-a(比較例1Aの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本比較例は、上記の「比較例1A」において製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての紙製シート108を型押し加工するものである。
本比較例は、前述の「実施例1A-a」において構成した押圧加工用版10に替えて、上記の「比較例1A」において構成した押圧加工用版10を使用したものであり、その他の構成は、前述の「実施例1B-a」と同じ工程を備える。
すなわち、下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)比較例1Aにおいて製造した既成凹凸部4を形成した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1.5mmの紙製シート108を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
このようにして、被加工物108としての紙製シート108に、既成凹凸部4に凹凸形状で形成されている図文字絵柄模様に一致した図文字絵柄模様を有する凹凸形状のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0227】
この場合、凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に乱れ箇所が確認されるなど、所望の形状精度、寸法精度の加工物が得られなかった。また、繰り返し押圧加工しているときに、被加工物108が、押圧加工用版から離れることなく、押圧加工用版に引っ付き又は引っ掛かり状態で、離反駆動される現象が一部認められた。
すなわち、押圧加工用版のサイドエッチングされた既成複数凹凸部凸部側面451s(複数のサイドエッチングされた既成複数凹凸部凹部側面452s)が形成された形状に起因して、そのサイドエッチングの形状により、所望の形状精度、寸法精度の図文字絵柄模様を有する加工物が得られなかった。
【0228】
<実施例2A(押圧加工用版としてのフレキシブル版・箔押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成6」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図4に示される押圧加工用版であって、凹部から突出した凸部の表面に「微細凹凸形状で形成されたハート模様」を形成した押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は、ロールの表面に巻き付けて設置されて使用されるフレキシブル版、箔押用版として使用される。
本実施例において、従来慣用のレジスト材を使用して既成複数微細凹凸部46を形成し、その既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板の表面に、インクジェットレジスト材を付着、硬化、腐蝕エッチング、等の工程により、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、「既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に形成されてなる形態に調製したものである。
以下に、本実施例を詳細に説明する。
【0229】
(A)既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、鋼鉄製であって、厚さ「h」0.5mm、横幅125mm、縦幅90mmのフレキシブル性を有する略平板形状を有する。
次に、版型用基板1の版型用基板第一領域表面11の所望の領域に(i)慣用レジスト材としての紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有する汎用の慣用液状レジスト材(製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材、前述の実施例1Aの(A)工程で使用したものと同じ慣用液状レジスト材)を選択して使用して、スプレーコート方式の慣用の方法により、約0.02mm~約0.04mmの厚さで付着し、所定の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
そして、貫通孔を有して光透過用の所望の微細図文字絵柄模様(ハート模様)を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、実施例1Aと類似の方法で現像液を使用して不要な領域のレジスト付着膜を除去し、アフターベーキングして、所望の微細図文字絵柄模様(ハート模様)を有するレジスト硬化膜を形成した。
【0230】
レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている汎用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が0.1mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461を形成した。
次に、市販されている汎用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成し、このようにして、既成複数微細凹凸部46を形成した。
なお、以上の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成する説明図は、
図4には図示されていない。
【0231】
すなわち、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は既成複数微細凹凸部46を有し、既成複数微細凹凸部46は複数の凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、複数の凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを有する、版型用基板を準備した。
なお、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと前記複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bは、互いに同じ側面領域に相当する。
【0232】
このようにして、
図4(A)に示されるような版型用基板に版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部(461)と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mmであり、既成複数微細凹凸部凸部(461)の高さは既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mmであった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(50μm)であった。
このようにして、
図4の(A-b)の凹凸形状で形成された「ハート模様」の微細模様で示される複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を調製し、供給した。
【0233】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
次に、
図4(B)に示されるように、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462との既成複数微細凹凸部46を覆って既成複数微細凹凸部インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b)、及び、複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462b、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
なお、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bは互いに同じ側面を意味する。
【0234】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、硬化された所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0235】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図4(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の版型用基板第二領域表面12を深さが約0.3mmになる迄エッチングし、これにより、エッチングされて凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成した。
【0236】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図4(D)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
これにより、エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46(ハート模様)を備えたインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した。
【0237】
既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」に相当する約0.1mm(100μm)であった。既成複数微細凹凸部凹部462の幅「w2」は約0.05mm(約50μm)であり既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であった。
また、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ「d12」は、約0.3mmであった。
【0238】
なお、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面には、サイドエッチング現象が生じていなく、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面は、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面からインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に向かって滑らかな所望の傾斜した側面を有することを確認した。
また、
図4(D)における複数の既成複数微細凹凸部凹部462の側面(複数の既成複数微細凹凸部凸部461の側面に相当)は、エッチングされることなく、
図4(A)に示される正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、微細凹凸形状で形成された「ハート模様」のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した「ロールの表面の球面に一致するように変形可能な程度のフレキシブル性を有するフレキシブル型押用版」を製造した。
【0239】
なお、本実施例において、正常な所望の既成複数微細凹凸部46を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有していることを確認した。
【0240】
<実施例2B(押圧加工用版としてのフレキシブル版・箔押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成6」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図4に示される押圧加工用版であって、凹部から突出した凸部の表面に「微細凹凸形状で形成されたハート模様」を形成した押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は、ロールの表面に巻き付けて設置されて使用されるフレキシブル版、箔押用版として使用される。
前述の実施例2Aにおいては、既成複数微細凹凸部46が従来の慣用液状レジスト材を使用してスプレーコート方式により付着する工程を含む工程により形成されているが、これに替えて、本実施例は、既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト材を使用してインクジェット方式により付着形成した工程を含む工程により既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板を調製する実施例である。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0241】
(A)既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、鋼鉄製であって、厚さ「h」0.5mm、横幅125mm、縦幅90mmのフレキシブル性を有するとともに略平板形状を有する。
【0242】
次に、版型用基板1の表面に、「ハート模様」の微細図文字絵柄模様を、インクジェッレジスト材を使用して、インクジェット方式でインクジェットレジスト材を付着し、硬化して、インクジェットレジスト硬化膜を形成した。
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、所望のハート模様であって微細模様図柄を有する硬化されたインクジェットレジスト硬化膜3を形成した。インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。
【0243】
次に、インクジェットレジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が約0.1mm(100μm)になるまでエッチングして、版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した。
【0244】
次に、レジスト除去剤を使用して、インクジェットレジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図4(A)に示されるような版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する「ハート模様」の既成複数微細凹凸部46を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mmであり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さは既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mmであった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05(約50μm)であった。
【0245】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
次に、
図4(B)に示されるように、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462との既成複数微細凹凸部46を覆って既成複数微細凹凸部インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b、及び、複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462b、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
なお、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bは、互いに同じ領域を意味する。
【0246】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程、本実施例の(A)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、前述の実施例1Aの(B)工程と類似の方法により、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、硬化された所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0247】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図4(C)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の版型用基板第二領域表面12を深さが約0.3mmになる迄エッチングし、これにより、エッチングされて凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466の形態に形成した。
【0248】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図4(D)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
これにより、エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46を備えたインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した。
【0249】
既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」に相当する約0.1mm(約100μm)であった。既成複数微細凹凸部凹部462の幅「w2」は約0.05mm(約50μm)であり既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w1」は約50μmであった。
また、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ「d12」は、約0.3mmであった。
【0250】
なお、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面には、サイドエッチング現象が生じていなく、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面は、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面からインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に向かって滑らかな所望の傾斜した側面を有することを確認した。
また、
図4(D)における複数の既成複数微細凹凸部凹部462の側面(複数の既成複数微細凹凸部凸部461の側面に相当)は、エッチングされることなく、
図4(A)に示される正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、微細凹凸形状で形成された「ハート模様」のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した「ロールの表面の球面に一致するように変形可能な程度のフレキシブル性を有するフレキシブル型押用版」を製造した。
【0251】
なお、本実施例において、正常な所望の既成複数微細凹凸部46を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有することを確認した。
【0252】
<実施例2B-a(実施例2Bの押圧加工用版をロール装置に設置して使用した被加工物の加工)>
本実施例は、上記の実施例2Bにおいて製造した押圧加工用版10を、ロール式加工装置に設置して箔押用版10として使用して、箔押加工するものである。
下記の工程によって被加工物を箔押加工した。
(S-a)実施例2Bにおいて製造した既成凹凸部4としての既成複数微細凹凸部46を形成した押圧加工用版10としての箔押用版10を準備して、供給した。
(S-b)互いに対向する主ロール96と対ロール97を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-c)押圧加工用版10としての箔押用版を、主ロール96の周囲に巻き付けて設置した。この場合、主ロール96の内部には磁力を発生する磁力部材が構成され、フレキシビル性を有する圧加工用版10としての箔押用版10が磁力により主ロール96の周囲に巻き付けて設置される。
(S-d)所定の受版94を、前記押圧加工装置の対ロール97に設置した。
本実施例においては、対ロール97としては、別途調製した滑らかな球面を有するステンレス製のアンビルロール97を準備して設置した。
(S-e)主ロール96と対ロール97とを駆動するとともに、主ロール96と対ロール97との間に、被加工物基材108aとしての厚さ1mmの紙製シートと、厚さ約30μmの薄い金色のシート状箔材料108bとの被加工物を互いに平行なる状態で連続的に供給して、押圧加工用版10と受版94とが回転しながら被加工物を連続的に押圧した。
これにより、被加工物基材108aの表面に、既成凹凸部4としての既成複数微細凹凸部46の凹凸形状に一致する微細凹凸形状を有するシート状箔材料を転写して、被加工物箔押転写形成部を転写形成した。
(S-f)ロールの回転に伴って、被加工物を、前記主ロール96と対ロール97との間から離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4しての既成複数微細凹凸部46の凹凸形状に一致する微細な凹凸形状を有する形態で転写形成された被加工物転写形成部を形成してなる加工物を調製した。
このようにして、被加工物108としての紙製シート108aの表面に、ハート模様であって複数微細凹凸模様図柄有する金属箔が転写形成されてなる加工物を調製した。
【0253】
この場合、被加工物108としての紙製シート108a及び金属箔シート108bに何らの異常が発生することなく、正常な状態で、被加工物108としての紙製シート108aに、所望の形状精度や寸法精度を有する微細凹凸形状であって金属箔が転写形成された複数微細凹凸模様を形成した加工物が得られた。
【0254】
<比較例2A(慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
本比較例は、上記の実施例2Aの(B)工程において、インクジェットレジスト材に替えて従来の慣用液状レジスト材を使用してインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する押圧加工用版の製造方法である。
本比較例の製造工程を説明するための模式的概略図が
図14、
図15示される。
図14、
図15は、従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
【0255】
(A)既成複数凹凸部46有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
図14(A)、(B)に示されるように、平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、鋼鉄製であって、厚さ「h」0.5mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
次に、実施例2Aの(A)工程と同じように、版型用基板1の版型用基板第一領域表面11を含む版型用基板1の表面に(i)慣用レジスト材としての慣用液状レジスト材(紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有し、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材、前述の実施例1Aの(A)工程で使用したものと同じ慣用の液状レジスト材)を使用して、慣用のスプレーコート方式により、約0.02mm~約0.04mmの範囲の厚さで付着し、所定の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
そして、光遮断用の所望の微細図文字絵柄模様(ハート模様)を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、現像、アフターベーキング、現像、等により、所望の微細図文字絵柄模様(ハート図柄模様)を有するレジスト硬化膜を形成した。
【0256】
レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が約0.1mm(100μm)になるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461を形成した。
次に、レジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図14(B)に示されるように、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成した。
【0257】
このようにして、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は既成複数微細凹凸部46を有し、既成複数微細凹凸部46は複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを有する、版型用基板を準備した。
なお、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部462は互いに同じ側面領域であり、同じ側面を意味する。
版型用基板の材質及び形状は実施例2Aと同じであって、鋼鉄製あって、厚さ「h」0.5mm、横幅125mm、縦幅90mmのフレキシブル性を有し、略平板形状を有する。
また、それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(約100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mm(約100μm)であった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(約50μm)であった。
【0258】
(B)従来の慣用の慣用レジスト硬化膜形成工程.
図14の(C)に示されるように、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを覆って版型用基板1の表面に慣用液状レジスト材(紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有し、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材、本実施例2Aの上記(A)工程で使用したものと同じの慣用液状レジスト材)を使用して、従来の慣用のスプレーコート方式によって付着して液状レジスト付着膜を形成した。
【0259】
その後、所望の形状の露光用マスク部材(露光用マスク部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された「ハート模様」領域に相当する部分に貫通孔を有するとともに周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材)を介して、紫外線照射露光、現像、アフターベーキング、等の慣用の方法により、付着した液状レジスト付着膜を硬化して、
図14の(C)に示されるような、慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gを形成する慣用レジスト硬化膜30を形成した。但し、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)に付着した慣用レジスト材は既成複数微細凹凸部凹部の底面に流れ落ちて、慣用レジスト微細凹部側面硬化膜(慣用レジスト微細凸部側面硬化膜)は形成されなかった。
慣用レジスト硬化膜30の厚さは約0.02mm~約0.04mmの範囲であった。
【0260】
本工程において、版型用基板の周囲領域にレジスト硬化膜が形成されていなく、その内部領域に慣用レジスト硬化膜を有する形態のレジスト硬化膜を形成した。
また、その内部領域において、慣用の液状トレジスト材は、既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cに良好に付着形成されて、所望の領域に硬化された慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gとを良好に形成していたが、しかしながら、慣用液状レジスト材は、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462bから流れ落ちて、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462bには慣用レジスト硬化膜は形成されなかった。
【0261】
(C)腐蝕エッチング工程.
図15の(D)に示されるように、慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと、慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「d3」が約0.1mmになるまでエッチングして、エッチング途中の腐蝕第二凹形成部121bを形成した。この場合、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には僅かなサイドエッチングが生じていた。
【0262】
図15の(E)に示されるように、更にエッチングを続行して版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「d12a」が約0.3mmになるまでエッチングした。
これにより、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有する従来慣用の腐蝕第二凹形成部121sを形成するとともに、既成複数微細凹凸部46を、該従来慣用の腐蝕第二凹形成部121sから突出されてなる形態を形成した。
【0263】
(D)慣用レジスト硬化膜除去工程.
図15の(F)に示されるように、慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと、慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gをレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0264】
このような前述の「(C)腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)も腐蝕エッチングされて、
図15(D)に示されるようなサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
このようなサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)は所望の形状精度や寸法精度を有するものではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた微細凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を加工した場合に、所望の凹凸形状に加工された加工物が得られないという課題があり、好ましくない。
なお、サイドエッチングとは、既成複数微細凹凸部凸部側面461b又は既成複数微細凹凸部凹部側面462bが、その側面の内面側に向けて窪んだ状態でエッチングされた形状を意味し、押圧加工用版としては、好ましくない形状である。
【0265】
<比較例2Ab(従来の慣用ドライフィルムレジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
上記実施例2Aの他の比較例について、下記に説明する。
本比較例は、上記実施例2Aの(A)工程と同じ工程の、従来の慣用液状レジスト材を使用して、凹凸のない無凹凸部を有する版型用基板第二領域表面12と、既成凹凸部4としての既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11を備えた版型用基板1を使用し、その後、(B)工程において、インクジェットレジスト材に替えて、従来の慣用ドライフィルムレジスト材を使用した押圧加工用版の製造方法である。
本比較例を説明する図が
図21の(B)~(F)に示されている。
【0266】
(A)既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
前述の実施例2Aの(A)工程と同じ方法により、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は既成複数微細凹凸部46を有し、(ロ)既成複数微細凹凸部46は複数の微細凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、複数の微細凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを有する、版型用基板を準備した。
版型用基板の材質及び形状は実施例2Aと同じであって、鋼鉄製であって、厚さ0.5mm、横幅125mm、縦幅90mmのフレキシブル性を有する略平板形状を有する。
また、既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(約100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mm(約100μm)であった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(約50μm)である。このようにして、
図21(A)に示されるような版型用基板を調製して、準備した。
なお、
図21(A)において、符号461a、461b、462c、462bは図示されていないが、
図14(B)に示される符号と類似であって、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bとを有する。
【0267】
(B)慣用レジスト硬化膜形成工程.
次に、
図21(B)に示されるように、その既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板の表面に、従来の慣用の方法により慣用ドライフィルムレジスト材20(厚さが約0.02mm~約0.04mm)を貼り付けた。慣用ドライフィルムレジスト材20としては、市販されている慣用のシート状のドライフィルムレジスト材のうち、(厚さが約0.02mm~約0.04mm)のシート状のドライフィルムレジスト材を選択して使用した。
この場合、版型用基板に形成された既成複数微細凹凸部46の複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)と既成複数微細凹凸部凹部底面462cには、慣用ドライフィルムレジスト材が接触することなく、隙間が発生していた。
次に、
図21(C)に示されるように、その従来の慣用ドライフィルムレジスト材を貼り付けた版型用基板に、露光用マスク部材(露光用マスク部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された「ハート模様」領域に相当する部分に貫通孔を有するとともに周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材)を介して紫外線を照射、現像、等の慣用の工程を経て、レジスト硬化膜を形成した。
この場合、版型用基板の周囲領域にレジスト硬化膜が形成されていなく、その内部領域に慣用レジスト硬化膜を有する形態のレジスト硬化膜を形成した。また、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)と既成複数微細凹凸部凹部底面462cには、慣用レジスト硬化膜が形成されていなかった。
【0268】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図21(D)に示されるように、慣用レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「d3」が約0.1mmになるまでエッチングして、エッチング途中の腐蝕第二凹形成部121bを形成した。
この場合、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には僅かなサイドエッチング現象が生じるとともに、更に、既成複数微細凹凸部凹部底面462cも腐蝕エッチングされていた。
【0269】
更に、
図21(E)に示されるように、更にエッチングを続行して、版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「d12a」が約0.3mmになるまでエッチングした。
これにより、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有する従来慣用の腐蝕第二凹形成部121sを形成するとともに、既成複数微細凹凸部46を、従来慣用の腐蝕第二凹形成部121sから突出されてなる形態を形成した。
【0270】
(D)慣用レジスト硬化膜除去工程.
次に、
図21(F)に示されるように、慣用レジスト硬化膜をレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0271】
このような前述の「腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)も腐蝕エッチングされて、サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
このようなサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)は所望の形状ではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた微細凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を加工した場合に、所望の凹凸形状に加工された加工物が得られないという課題があり、好ましくない。
このサイドエッチング現象は、既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板の表面に従来の慣用の慣用ドライフィルムレジスト材を貼り付けた場合に、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)と既成複数微細凹凸部凹部底面462cには、慣用ドライフィルムレジスト材が接触することなく隙間が発生し、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)と既成複数微細凹凸部凹部底面462cには、慣用レジスト硬化膜が形成されていなかったことに起因して、この側面と底面がエッチングされたものであった。
【0272】
<比較例2A-a(比較例2Aの押圧加工用版をロール装置に設置して使用した被加工物の加工)>
本比較例は、上記の比較例2Aにおいて製造した押圧加工用版10を、ロール式加工装置に設置して箔押用版10として使用して、箔押加工するものである。
下記の工程によって被加工物を箔押加工した。
(S-a)比較例2Aにおいて製造した既成凹凸部4としての既成複数微細凹凸部46を形成した押圧加工用版10としての箔押用版10を準備して、供給した。
(S-b)互いに対向する主ロール96と対ロール97を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-c)押圧加工用版10としての箔押用版を、表面に磁力を有する主ロール96の周囲に巻き付けて設置した。
(S-d)所定の受版94を、前記押圧加工装置の対ロール97に設置した。
本実施例においては、対ロール97としては、別途調製した滑らかな球面を有するステンレス製のアンビルロール97を準備して設置した。
(S-e)主ロール96と対ロール97とを駆動するとともに、主ロール96と対ロール97との間に、被加工物基材108aとしての厚さ1mmの紙製シートと、厚さ約30μmの金色の薄いシート状箔材料108bとの被加工物108を互いに平行なる状態で連続的に供給して、押圧加工用版10と受版94とが回転しながら被加工物を連続的に押圧した。
これにより、被加工物基材108aの表面に、既成凹凸部4としての既成複数微細凹凸部46の凹凸形状に一致する微細凹凸形状を有するシート状箔材料を転写して、被加工物箔押転写形成部を転写形成した。
(S-f)ロールの回転に伴って、被加工物を、前記主ロール96と対ロール97との間から離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4としての既成複数微細凹凸部46の凹凸形状に一致する微細な凹凸形状を有する形態で転写形成された被加工物転写形成部を形成してなる加工物を調製した。
このようにして、被加工物108としての紙製シート108aの表面に、ハート模様であって複数微細凹凸模様図柄有する金属箔が転写形成されてなる加工物を調製した。
【0273】
すなわち、比較例2Aにより製造した押圧加工用版としての箔押用版を使用して、上記の実施例2Aと類似の加工方法により、箔押加工した。
【0274】
この場合、微細凹凸形状で形成された微細図文字絵柄模様に乱れ箇所が確認されるなど、所望の形状精度、寸法精度の加工物が得られなかった。また、繰り返し押圧加工しているときに、紙製シートとシート状箔材料108bとの被加工物108が、押圧加工用版から離れることなく、押圧加工用版に引っ付き又は引っ掛かり状態で、離反駆動される現象が一部認められた。
すなわち、押圧加工用版のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が形成された形状に起因して、そのサイドエッチングの形状により、所望の形状精度、寸法精度の微細図文字絵柄模様を有する加工物が得られなかった。
【0275】
<実施例3A(押圧加工用版としての箔押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成8」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図9の(A-a)、
図9の(B-a)、(B-b)、(B-c)、
図9の(C)に示される押圧加工用版であって、凹部から突出した凸部の表面に「微細凹凸形状で刻設されて所定の形状に区切られて規則性を持って配列された複数種類の凹凸パターンセルの組み合わせによって形成され微細図文字絵柄模様」を形成した押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は箔押用型版、又は、型押用版として使用される。
なお、本実施例において、インクジェッレジスト材を使用した工程を含む工程により既成複数微細凹凸部46を形成し、その後、インクジェットレジスト材を使用した工程を含む工程により、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、「既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に形成されてなる形態に調製した。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0276】
(A)既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備して供給した。版型用基板1は、銅製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
次に、版型用基板1の表面に、インクジェッレジスト材を使用して、インクジェット方式でインクジェットレジスト材を付着してインクジェットレジスト付着膜を形成し、硬化して、インクジェットレジスト硬化膜を形成した。このようにして、
図9(C)に示されるような微細凹凸形状で形成されたインクジェットレジスト硬化膜を形成した。
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、前述の実施例1Aの(B)工程で使用したインクジェットレジスト材と同じであって、電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、「10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、微細模様図柄を有する硬化されたインクジェットレジスト硬化膜3を形成した。インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。
インクジェットレジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が0.1mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461を形成した。
【0277】
次に、市販されている慣用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成した。
【0278】
すなわち、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は
図9(C)に示されるような微細凹凸形状で形成された既成複数微細凹凸部46を有する。既成複数微細凹凸部46は複数の凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、複数の凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを有する。
このような、
図9(C)に示されるような微細凹凸形状で形成された既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板を準備した。
なお、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと前記複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bは、互いに同じ側面領域に相当する。
なお、
図9において、複数の既成複数微細凹凸部凸部461、複数の既成複数微細凹凸部凹部462、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462c、複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bのそれぞれの符号は図示されていないが、それぞれの符号は
図4に示されている符号と類似する。
【0279】
このようにして、
図9(C)に示されるような、版型用基板に版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mmであり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さは既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mmであった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(約50μm)であった。
このようにして、複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を調製し、供給した。
【0280】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するインクジェットレジスト硬化膜形成工程.
上記のようにして調製した複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を使用して、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462との既成複数微細凹凸部46を覆って既成複数微細凹凸部インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b)、及び、複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462b、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
【0281】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販されているインクジェットレジスト材のうち、市販されているインクジェットレジスト材のうち、前述の実施例1Aの(B)工程で使用したインクジェットレジスト材(本実施例3の(A)で使用したものと同じインクジェットレジスト材)と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、硬化された所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは0.03mm~0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0282】
(C)所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない前記版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程.
次に、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の版型用基板第二領域表面12を深さが約1.9mmになる迄エッチングし、これにより、エッチングされて凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出してなるインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した。
【0283】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
これにより、エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46を備えたインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した。
【0284】
既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」に相当する約0.1mm(100μm)であった。既成複数微細凹凸部凹部462の幅「w2」は約0.05mm(50μm)であり既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であった。
また、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ「d12」は、約1.9mmであった。
【0285】
なお、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面には、サイドエッチング現象が生じていなく、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面は、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面からインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に向かって滑らかな所望の傾斜した側面を有することを確認した。
また、複数の既成複数微細凹凸部凹部462の側面(複数の既成複数微細凹凸部凸部461の側面に相当)は、エッチングされることなく、正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、
図9(C)に示されるような既成複数微細凹凸部46a、46b、46cを有し、それぞれの既成複数微細凹凸部46a、46b、46cが
図9の(D-a)、(D-b)、(D-c)に示されるような既成複数微細凹凸部を形成してなる箔押用版を製造した。
【0286】
なお、本実施例において、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成複数微細凹凸部46を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有していることを確認した。
【0287】
<実施例3B(押圧加工用版としての箔押用版の製造)>
本実施例は、前述の実施例3Aの「押圧加工用版としての箔押用版の製造」における「既成複数微細凹凸部46」を、インクジェットレジスト材を使用した工程により「既成複数微細凹凸部46」を形成する工程に替えて、従来の慣用シート状ドライフィルムレジスト材を使用した工程により「既成複数微細凹凸部46」を形成する工程を備えるものであり、その他の工程は、前述の実施例3Aと類似する。
すなわち、本実施例は、前述の「従属構成8」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図9の(A-a)、
図9の(B-a)、(B-b)、(B-c)、
図9の(C)に示される押圧加工用版であって、凹部から突出した凸部の表面に「微細凹凸形状で刻設されて所定の形状に区切られて規則性を持って配列された複数種類の凹凸パターンセルの組み合わせによって形成され微細図文字絵柄模様」を形成した押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は箔押用型版、又は、型押用版として使用される。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0288】
(A)既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備して供給した。版型用基板1は、銅製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
次に、版型用基板1の表面に、従来の慣用のシート状ドライフィルムレジスト材を貼り付けた。従来の慣用のシート状ドライフィルムレジスト材は市販されているシート状ドライフィルムレジスト材のうち、厚さ寸法は約0.02mm~約0.04mmのシート状ドライフィルムレジスト材を選択して使用した。
このシート状ドライフィルムレジスト材を貼り付けた版型用基板に、貫通孔を有して光透過用の所望の微細図文字絵柄模様を形成した露光用マスク部材を介して、ドライフィルムレジスト材に紫外線を照射し、市販されている慣用の現像液を使用して不要な領域のレジスト付着膜を除去し、アフターヘ―キングして、
図9(C)に示されるような微細図文字絵柄模様を有するレジスト硬化膜を形成した。
レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が0.1mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461を形成した。
次に、レジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、従来慣用のシート状のドライフィルムレジスト材を使用して形成したレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして用いた化学的腐蝕エッチング加工により、凹凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成した。
【0289】
すなわち、版型用基板第二領域表面12は凹凸のない無凹凸部を有し、版型用基板第一領域表面11は既成凹凸部4を有し、既成凹凸部4は
図9(C)に示されるような微細凹凸形状で形成された既成複数微細凹凸部46を有する。既成複数微細凹凸部46は複数の凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、複数の凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有し、複数の既成複数微細凹凸部凸部461は複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有し、複数の既成複数微細凹凸部凹部462は複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを有する。
このような、
図9(C)に示されるような微細凹凸形状で形成された既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板を準備した。
なお、前記複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと前記複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bは、互いに同じ側面領域に相当する。
なお、
図9において、複数の既成複数微細凹凸部凸部461、複数の既成複数微細凹凸部凹部462、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462c、複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bのそれぞれの符号は図示されていなく、それぞれの符号は
図4に示されている符号と類似する。
【0290】
このようにして、
図9(C)に示されるような、版型用基板に版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mmであり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さは既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mmであった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(約50μm)であった。
このようにして、複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を調製し、供給した。
【0291】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するインクジェットレジスト硬化膜形成工程.
上記のようにして調製した複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を使用して、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462との既成複数微細凹凸部46を覆って既成複数微細凹凸部インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461b)、及び、複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462b、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
【0292】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、硬化された所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gを形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは0.03mm~0.05mmの範囲であった。
このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0293】
(C)所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない前記版型用基板第二領域表面12をエッチングする版型用基板エッチング工程.
次に、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、及び、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の版型用基板第二領域表面12を深さが約1.9mmになる迄エッチングし、これにより、エッチングされて凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出してなるインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した。
【0294】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
これにより、エッチングされてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46を備えたインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466を形成した。
【0295】
既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」に相当する約0.1mm(100μm)であった。既成複数微細凹凸部凹部462の幅「w2」は約0.05mm(50μm)であり既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w1」は約0.05mm(約50μm)であった。
また、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の深さ「d12」は、約1.9mmであった。
【0296】
なお、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面には、サイドエッチング現象が生じていなく、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の側面は、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面からインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に向かって滑らかな所望の傾斜した側面を有することを確認した。
また、複数の既成複数微細凹凸部凹部462の側面(複数の既成複数微細凹凸部凸部461の側面に相当)は、エッチングされることなく、正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、
図9(C)に示されるような既成複数微細凹凸部46a、46b、46cを有し、それぞれの既成複数微細凹凸部46a、46b、46cが
図9の(D-a)、(D-b)、(D-c)に示されるような既成複数微細凹凸部を形成してなる箔押用版を製造した。
【0297】
なお、本実施例において、所望の形状精度や寸法精度を有する正常な所望の既成複数微細凹凸部46を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有していることを確認した。
【0298】
<実施例3A-a(実施例3Aの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本実施例は、上記の実施例3Aにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物基材108aとしての厚さ1mmの紙製シートと、厚さ約30μmの薄い金色のシート状箔材料108bとの被加工物108とを使用して箔押加工するものである。
下記の工程によって被加工物を箔押加工した。
(S-a)実施例3Aにおいて製造した既成凹凸部4を形成した押圧加工用版10としての箔押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1mmの紙製シート108aと厚さ約30μmの黄金色のシート状箔材料とを位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、紙製シート108aの表面に、金色のシート状箔材料108bが既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状で転写形成された被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(箔押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(箔押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、紙製シート108aに、約0.1mmの深さの凹凸形状で形成された図文字絵柄模様がシート状箔材料108bにより箔押転写形成された加工物を調製した。
【0299】
この場合、紙製シート108a及びシート状箔材料108b等の被加工物108に、何らの異常が発生することなく、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸形状で形成された図文字絵柄模様を箔押転写形成した加工物が得られた。
【0300】
上記のようにして調製した加工物において、加工物を異なる方向から見た場合に、それぞれの異なる方向で、「H」、「T」、及び、「Z」の文字が他の文字と比較して明確に見えることを確認した。
【0301】
<比較例3B(慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
本比較例は、上記の実施例3Bの(B)工程において、インクジェットレジスト材に替えて従来の慣用液状レジスト材を使用してインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成する押圧加工用版の製造方法である。
【0302】
(A)既成複数凹凸部46有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
前述の実施例3Bの(A)工程と同じ工程により、平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備して供給した。版型用基板1は、銅製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
次に、版型用基板1の表面に、上記の実施例3Bの(A)工程で使用したものと同じの従来の慣用のシート状ドライフィルムレジスト材を貼り付けた。従来の慣用のシート状ドライフィルムレジスト材は市販されているシート状ドライフィルムレジスト材のうち、厚さ寸法は約0.02mm~約0.04mmのシート状ドライフィルムレジスト材を選択して使用した。
このシート状ドライフィルムレジスト材を貼り付けた版型用基板に、貫通孔を有して光透過用の所望の微細図文字絵柄模様を形成した露光用マスク部材を介して、従来の慣用の方法により、ドライフィルムレジスト材に紫外線を照射し、現像液を使用して不要な領域のレジスト付着膜を除去して、微細図文字絵柄模様を有するレジスト硬化膜を形成した。
そして、従来慣用の方法により、そのレジスト硬化膜を腐蝕エッチング用マスクとして版型用基板を腐蝕エッチングして、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mmであり、既成複数微細凹凸部凸部(461)の高さは既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mmであった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(50μm)であった。
このようにして複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を調製し、供給した。
【0303】
(B)従来の慣用の慣用レジスト硬化膜形成工程.
複数の既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板1を使用して、複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bと複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを覆って、慣用液状レジスト材2(製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材(前述の実施例1Aの(A)工程で使用したものと同じ慣用液状レジスト材)を慣用のスプレーコート方式によって塗布して液状レジスト付着膜を形成し、慣用の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
なお、既成複数微細凹凸部46の周囲領域に位置する版型用基板第二領域表面12には液状レジスト材2は付着されない。
その後、所望の形状の部材(部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された「複数の既成複数微細凹凸部46」領域に相当する部分に貫通孔を有するとともに周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材)を介して、紫外線照射露光、現像、アフターベーキング、等の慣用の方法により、付着したレジスト付着膜を硬化して、慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gを形成する慣用レジスト硬化膜30を形成した。但し、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)に付着した慣用レジスト材は既成複数微細凹凸部凹部の底面に流れ落ちて、慣用レジスト微細凹部側面硬化膜(慣用レジスト微細凸部側面硬化膜)は形成されなかった。
慣用レジスト硬化膜30の厚さは約0.02mm~約0.04mmの範囲であった。
【0304】
本工程において、慣用の液状トレジスト材は、既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cに良好に付着形成されて、所望の領域に硬化された慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gとを良好に形成していたが、しかしながら、慣用液状レジスト材は、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462bから流れ落ちて、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462bには硬化膜は形成されなかった。
【0305】
(C)腐蝕エッチング工程.
慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと、慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gとを形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法が約0.1mmになるまでエッチングして、エッチング途中の腐蝕第二凹形成部121bを形成した。この場合、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には僅かなサイドエッチングが生じていた。また、既成複数微細凹凸部凹部底面462cも腐蝕エッチングされていた。
【0306】
更にエッチングを続行して版型用基板第二領域表面12を深さ寸法が約1.9mmになるまでエッチングした。
これにより、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有する従来慣用の腐蝕第二凹形成部121sを形成するとともに、既成複数微細凹凸部46を、該従来慣用の腐蝕第二凹形成部121sから突出されてなる形態を形成した。
【0307】
(D)慣用レジスト硬化膜除去工程.
慣用レジスト微細凸部上面硬化膜30eと、慣用レジスト微細凹部底面硬化膜30gをレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0308】
このような前述の「(C)腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)も腐蝕エッチングされて、サイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
このようなサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)は所望の形状ではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた微細凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を加工した場合に、所望の凹凸形状に加工された加工物が得られないという課題があり、好ましくない。
【0309】
<比較例3B-a(比較例3Bの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本比較例は、上記の比較例3Bにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物基材108aとしての厚さ1mmの紙製シートと、厚さ約30μmの薄い金色のシート状箔材料108bとの被加工物108とを使用して箔押加工するものである。
下記の工程によって被加工物を箔押加工した。
(S-a)比較例3Aにおいて製造した既成凹凸部4を形成した押圧加工用版10としての箔押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1mmの紙製シート108aと厚さ約30μmの金色のシート状箔材料とを位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、紙製シート108aの表面に、金色のシート状箔材料108bが既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状で転写形成された被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(箔押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(箔押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、紙製シート108aに、約0.1mmの深さの凹凸形状で形成された図文字絵柄模様がシート状箔材料108bにより箔押転写形成された加工物を調製した。
【0310】
この場合、微細凹凸形状で形成された微細図文字絵柄模様に乱れ箇所が確認されるなど、所望の形状精度、寸法精度の加工物が得られなかった。また、繰り返し押圧加工しているときに、被加工物基材108aとシート状箔材料108bの被加工物108が、押圧加工用版から離れることなく、押圧加工用版に引っ付き又は引っ掛かり状態で、離反駆動される現象が一部認められた。
すなわち、押圧加工用版のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が形成された形状に起因して、そのサイドエッチングの形状により、所望の形状精度、寸法精度の微細図文字絵柄模様を有する加工物が得られなかった。
【0311】
<実施例4A(押圧加工用版としての箔押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成10」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図7、
図8(F)に示される押圧加工用版であって、複数個の凹部と、凹部から突出した複数個の凸部を備え、一つの凸部の表面に「微細凹凸形状で形成された微細図文字絵柄模様」を有し、他の二つのそれぞれの凸部に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様」を有する押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は箔押用型版、又は、型押用版として使用される。
なお、本実施例において、インクジェッレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成複数凹凸部45及び既成複数微細凹凸部46を形成し、既成複数凹凸部45及び既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板を、インクジェットレジスト材を使用する工程を含む工程により、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数凹凸部45と既成複数微細凹凸部46がインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455とインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に形成されてなる形態に調製した。
図7は本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図である。
図8は本発明の一実施例の押圧加工用版の製造方法における押圧加工用版に凹凸で形成された図文字絵柄模様形態を説明するための模式的概略図の模式的平面図であり、本実施例は
図8(F)に示される箔押用版である。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0312】
(A)既成複数凹凸部45と既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
(A-a)平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備して供給した。版型用基板1は、真鍮製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。(図示無し)
【0313】
次に、版型用基板1の表面に、
図8(F)に示されるような模様のうち、「ハート模様の微細図文字絵柄模様」のみを、インクジェッレジスト材を使用してレジスト硬化膜を形成した。
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販されているインクジェットレジスト材のうち、市販されているインクジェットレジスト材のうち、前述の実施例1Aの(B)工程で使用したインクジェットレジスト材と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、「10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、バーニングを行って、所望のハート模様であって微細模様図柄を有する硬化されたインクジェットレジスト付着硬化膜を形成した。インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲内であった。
【0314】
インクジェットレジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が約0.1mmになるまでエッチングして、版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した。
次に、レジスト除去剤を使用して、インクジェットレジスト硬化膜を除去した。
このようにして、ハート模様の既成複数微細凹凸部46を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mm(100μm)であった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(50μm)であった。
なお、
図7には、符号「d1」、「w1」、「w2」は記載されていないが、これらの符号は前述の
図4及び
図5(B)の説明において説明した符号と同じ深さ、高さ、又は、幅を意味する。
【0315】
(A-b)次に、上記の版型用基板に複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462とを有する既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板1の上記の既成複数微細凹凸部凸部461の上面と側面、及び、既成複数微細凹凸部凹部462の側面(既成複数微細凹凸部凸部461の側面と同じ領域)と底面を覆うとともに、
図8(F)に示されるような模様のうち、「乙模様」と「桟模様」とを、上記の(A-a)と類似のインクジェットレジスト材を使用して、レジスト硬化膜を形成した。
その後、インクジェットレジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「D1」が約0.9mmになるまでエッチングして、版型用基板に複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452とを有する既成複数凹凸部45を形成した。
次に、レジスト除去剤を使用して、インクジェットレジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図7(A)に示されるような、「微細凹凸形状で形成されたハート模様の微細図文字絵柄模様」と「凹凸形状で形成された乙模様」と「凹凸形状で形成された桟模様」を形成した版型用基板を調製した。
なお、
図7には符号「D1」は記載されていないが、符号「D1」は前述の
図1、
図2、
図3の説明において説明した符号と同じで深さ「D1」を意味する。
【0316】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
図7の(B)に示されるように、「ハート模様の微細図文字絵柄模様」の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと既成複数微細凹凸部凸部側面461bと既成複数微細凹凸部凹部底面462cと既成複数微細凹凸部凹部側面462b、及び、「凹凸形状で形成された乙模様」の既成複数凹凸部凸部上面451aと既成複数凹凸部凸部側面451bと既成複数凹凸部凹部底面452cと既成複数凹凸部凹部側面452b、及び、「凹凸形状で形成された桟模様」の既成複数凹凸部凸部上面451aと既成複数凹凸部凸部側面451bと既成複数凹凸部凹部底面452cと既成複数凹凸部凹部側面452b、を覆って、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、それぞれのインクジェットレジスト付着膜を形成した。ここで、既成複数微細凹凸部46の周囲領域、及び、それそれの既成複数凹凸部45の周囲領域に位置する版型用基板第二領域表面12にはインクジェットレジスト材2は付着されない。
その後、インクジェットレジスト付着膜を硬化して、所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3eと所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3fと所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3g、及び、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3aと所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3bと所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cを形成するインクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0317】
なお、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、「電子部品としての金属配線板の製造に汎用使用されている市販されているインクジェットレジスト材のうち、本実施例4Aの前記(A)工程で使用したものと同じ(本実施例4Aの(A)工程で使用したインクジェットレジスト材と同じ)であって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜を形成した。
所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。
【0318】
本工程において、インクジェットレジスト材は、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)から流れ落ちることなく、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)、既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)に良好に付着するとともに、既成複数微細凹凸部凸部上面461a、複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462c、既成複数凹凸部凸部上面451a、複数の既成複数凹凸部凹部底面452cにも良好に付着形成されていた。
また、所望の領域に、硬化された所望領域インクジェットレジスト微細凸部上面硬化膜3e、所望領域インクジェットレジスト微細凸部側面硬化膜3f、所望領域インクジェットレジスト微細凹部底面硬化膜3g、所望領域インクジェットレジスト凸部上面硬化膜3a、所望領域インクジェットレジスト凸部側面硬化膜3b、所望領域インクジェットレジスト凹部底面硬化膜3cが形成されていることを確認した。
【0319】
(C)腐蝕エッチング工程.
図7の(C)に示されるように、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面に市販されている汎用の慣用エッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜が付着されていない版型用基板第二領域表面12を深さ寸法「D12」が約1.9mmになるまでエッチングした。
これにより、既成複数微細凹凸部46、及び、既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングして、エッチングされてなる凹部形状を有するインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、既成複数微細凹凸部46、及び、既成複数凹凸部45を、該インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121から突出されてなる形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466、及び、インクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成した。
【0320】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図7の(D-b)に示されるように、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を市販されている慣用のレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0321】
このようにして、既成複数微細凹凸部46、及び、既成複数凹凸部45をエッチングすることなく、版型用基板第二領域表面12をエッチングしてなるインクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121を形成するとともに、複数の既成複数微細凹凸部凸部461と複数の既成複数微細凹凸部凹部462を有する既成複数微細凹凸部46を備えた版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466に形成されてなるとともに、複数の既成複数凹凸部凸部451と複数の既成複数凹凸部凹部452を有する既成複数凹凸部45を備えた他の版型用基板第一領域表面11が、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有するインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455に形成されてなる形態に調製した。
【0322】
なお、本実施例において、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成複数凹凸部45及び既成複数微細凹凸部46を有するとともに、インクジェットレジスト膜腐蝕第二凹形成部121の底面から突出してなる突出形状を有する所望のインクジェット膜腐蝕既成複数凹凸部突起部455及び所望のインクジェット膜腐蝕既成複数微細凹凸部突起部466が形成されていることを確認した。
また、所望の既成複数凹凸部凸部側面451b(既成複数凹凸部凹部側面452b)及び所望の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度や寸法精度を有することを確認した。
【0323】
<実施例4A-a(実施例4Aの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本実施例は、上記の実施例4Aにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての表面を金色に着色した金色着色光沢紙製シート108を型押し加工するものである。
下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)実施例4Aにおいて製造した既成凹凸部4を形成した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1.5mmの表面を金色に着色した「金色着色光沢紙製シート108」を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、既成凹凸部4の凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108としての紙製シート108に、「既成複数微細凹凸部46に一致するハート模様の微細図文字絵柄模様」と「既成複数凹凸部45に一致するZ模様と桟模様」を有する凹凸形状のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0324】
この場合、被加工物108としての「金色着色光沢紙製シート108」に、何らの異常が発生することなく、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸形状で形成された「微細図文字絵柄模様」と「図文字絵柄模様」を形成した加工物が得られた。
【0325】
<比較例4A(慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
本比較例は、上記の実施例4Aの「(A)工程の既成複数微細凹凸部46を形成する工程において、インクジェットレジスト材に替えて従来の慣用液状レジスト材を使用して既成複数微細凹凸部46を形成するとともに、更に、その既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板に既成複数凹凸部45を形成する工程において、インクジェットレジスト材に替えて従来の慣用液状レジスト材を使用して版型用基板に既成複数凹凸部45を形成する押圧加工用版の製造方法である。
【0326】
(A)既成複数凹凸部45と既成複数微細凹凸部46を有する版型用基板第一領域表面11と版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
(A-a)既成複数微細凹凸部46を形成する工程.
(A-a-a)平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた半面表面形状を有する版型用基板1を準備して供給した。版型用基板1は、真鍮製であって、厚さ7.0mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
(図示無し)
(A-a-b)次に、版型用基板1の版型用基板第一領域表面11の所望の領域に(i)慣用レジスト材としての慣用液状レジスト材(紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有し、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材、前述の実施例1Aの(A)工程で使用したものと同慣用液状レジスト材じ)を選択して使用して、慣用のスプレーコート方式により、約0.02mm~約0.04mmの範囲の厚さで付着し、所定の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
そして、光遮断用の所望の図文字絵柄模様(ハート模様)を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、現像、アフターベーキング、等の慣用の工程により所望の図文字絵柄模様(ハート図柄模様)を有するレジスト硬化膜を形成した。
(A-a-c)レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ「d1」が約0.1mm(100μm)になるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部462を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部461を形成した。
(A-a-d)次に、レジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
【0327】
このようにして、凸形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凸部上面461aと複数の既成複数微細凹凸部凸部側面461bを有する複数の既成複数微細凹凸部凸部461と、凹形状で形成された複数の既成複数微細凹凸部凹部底面462cと複数の既成複数微細凹凸部凹部側面462bを有する複数の既成複数微細凹凸部凹部462を備えた既成複数微細凹凸部46(ハート模様の微細図文字絵柄模様)を形成した。
それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462の深さ「d1」は約0.1mm(100μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の高さ「d1」は既成複数微細凹凸部凹部462の深さに相当する約0.1mm(100μm)であった。それぞれの既成複数微細凹凸部凹部462幅「w1」は約0.05mm(50μm)であり、既成複数微細凹凸部凸部461の幅「w2」は約0.05mm(50μm)であった。
【0328】
(A-b)既成複数凹凸部45を形成する工程.
(A-b-b)上記の既成複数微細凹凸部46を形成した版型用基板の表面に、慣用液状レジスト材(前記の「A-a-b」工程で使用した慣用液状レジスト材と同じ慣用液状レジスト材)を使用して、慣用のスプレーコート方式により約0.02mm~約0.04mmの範囲の厚さで付着し、所定の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
そして、光遮断用の所望の図文字絵柄模様(「Z模様」と「桟模様」)を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、現像、アフターベーキング、等の慣用の工程により所望の図文字絵柄模様(「Z模様」と「桟模様」)を有するレジスト硬化膜を形成した。
この場合、液状レジスト材を塗布したときに、既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462bと同じ)に付着した液状レジスト材が既成複数微細凹凸部凹部底面462cに流れ落ちて、既成複数微細凹凸部46の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462bと同じ)には、レジスト付着膜は形成されていなかった。
(A-b-c)レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さが約0.9mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された複数の既成複数凹凸部凹部452を形成するとともに、凸形状で形成された複数の既成複数凹凸部凸部451を形成した。
(A-b-d)次に、レジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
【0329】
このようにして、凸形状で形成された既成複数凹凸部凸部上面451aと既成複数凹凸部凸部側面451bを有する既成複数凹凸部凸部451と、凹形状で形成された既成複数凹凸部凹部底面452cと既成複数凹凸部凹部側面452bを有する既成複数凹凸部凹部452を備えた既成複数凹凸部45で形成された所望の図文字絵柄模様(「Z模様」と「桟模様」)を形成した。
しかしながら、既成複数微細凹凸部46(ハート模様の微細図文字絵柄模様)の既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)には僅かなサイドエッチングが生じていた。
レジスト硬化膜が付着形成されていない既成複数微細凹凸部凸部側面461b(既成複数微細凹凸部凹部側面462b)も腐蝕エッチングされて、
図15(D)に類似のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)が生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
このようなサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凸部側面461s(複数のサイドエッチングされた既成複数微細凹凸部凹部側面462s)は所望の形状ではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた微細凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を加工した場合に、所望の形状精度や寸法精度、等を有する加工物が得られないという課題がある。
【0330】
(B)上記のようにして調製した既成複数微細凹凸部46(ハート模様の微細図文字絵柄模様)と既成複数凹凸部45(図文字絵柄模様「Z模様」と「桟模様」)とを形成した版型用基板を使用して、レジスト塗布、レジスト硬化、腐蝕エッチング、エッチング液除去、等の工程により、凹部を形成するとともに、凹部から突出した形状を有する既成複数微細凹凸部突起部と既成複数凹凸部突起部を形成する予定であったが、上記の(A)工程において、所望の凹凸形状を有する既成複数微細凹凸部46が形成できなかった為に、その後の工程の実施を中止した。
【0331】
<実施例5A(押圧加工用版としての箔押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成11」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図10の(A)~(D)、(A―b)~(D―b)に示される押圧加工用版であって、既成凸部47と既成凹部48とを備えた版型用基板の既成凸部47の上面に「微細凹凸形状で形成された微細図文字絵柄模様」を形成する押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は箔押用型版、又は、型押用版として使用される。
なお、本実施例において、インクジェッレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凹凸部47と既成凹部48とを形成し、その既成凸部47と既成凹部48とを形成した版型用基板を、インクジェットレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凸部47の上面に「微細凹凸形状で形成された微細図文字絵柄模様に相当する複数の微細凹形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部477、477b」を形成して、押圧加工用版を調製した。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0332】
(A)既成凸部47を有する版型用基板第一領域表面11と既成凹部48を有する版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、鋼鉄製であって、厚さ「h」0.5mm、横幅125mm、縦幅90mmのフレキシブル性を有するとともに略平板形状を有する。
【0333】
次に、版型用基板1の表面の版型用基板第一領域表面11に、略長方形状図柄を、インクジェッレジスト材を使用して、インクジェット方式でインクジェットレジスト材を付着し、硬化して、インクジェットレジスト硬化膜を形成した。
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、所望のハート模様であって微細模様図柄を有する硬化されたインクジェットレジスト硬化膜3を形成した。インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。
【0334】
次に、インクジェットレジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さが約0.3mm(300μm)になるまでエッチングして、版型用基板に既成凸部47と既成凹部48とを形成した。既成凸部47は既成凸部上面47aと既成凸部側面47bとを有し、既成凹部48は既成凹部底面48cと既成凹部側面48bとを有する。なお、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bとは互いに同じ側面領域を意味する。
【0335】
次に、レジスト除去剤を使用して、インクジェットレジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図10(A)、(A-b)に示されるような版型用基板に既成凸部47と既成凹部48とを有する既成凹凸部を形成した。
既成凹部48の深さは約0.3mmであり、既成凸部47の高さは既成凹部48の深さに相当する約0.3mmであった。
【0336】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
次に、
図10(B)、(B-b)に示されるように、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凹部底面48cの全面を覆うとともに、既成凸部上面47aの上面に、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して、(ロ)
図10(B-b)に示されるような微細ハート模様の所望の微細図文字絵柄模様、を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
なお、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bは、互いに同じ領域を意味する。
【0337】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程、本実施例の(A)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着してインクジェットレジスト付着膜を形成した。そして、前述の実施例1Aの(B)工程と類似の方法により、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、既成凸部側面47bの全面と既成凹部側面48bの全面と既成凹部底面48cの全面に硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するとともに、既成凸部上面47aの上面に微細図文字絵柄模様(微細ハート模様)の硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0338】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図10(C)、(C―b)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の版型用基板第二領域表面12を深さが約0.1mm(100μm)になる迄エッチングし、これにより、所望の微細図文字絵柄模様に相当する複数の微細凹形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bと複数の微細凸形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凸部471bとを有してなる既成凸部上面複数微細凹凸部477bを形成した。なお、既成凸部上面複数微細凹凸部477bは既成凸部上面凹凸部477に相当する。
【0339】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図10(D)、(D-b))に示されるように、市販されている汎用の慣用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
このようにして、既成凸部上面47aの上面に、複数の微細凹形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凹部(472b)と複数の微細凸形状で形成された既成凸部上面複数微細凹凸部凸部471bとを有してなる既成凸部上面複数微細凹凸部477bを形成した。
【0340】
既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bの深さ寸法(既成凸部上面複数微細凹凸部凸部471bの高さ寸法)は約0.1mm(100μm)であった。既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bの幅寸法は約0.05mm(約50μm)であり、既成凸部上面複数微細凹凸部凹部472bの幅寸法は約50μmであった。
また、既成凹部48の深さ寸法(既成凸部47の高さ寸法)は0.3mmであった。
【0341】
また、
図10(D)、(D-b)における既成凸部47の側面(既成凹部48の側面に相当)は、エッチングされることなく、
図10(D)に示される正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凸部47の上面に微細凹凸形状で形成された「ハート模様」の既成凸部上面複数微細凹凸部477bを形成した「ロールの表面の球面に一致するように変形可能な程度のフレキシブル性を有するフレキシブル型押用版(押圧加工用版10)」を製造した。
【0342】
なお、本実施例において、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凸部47に、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成凸部上面複数微細凹凸部477bが形成されていることを確認した。
また、既成凸部47の側面(既成凹部48に相当)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度を有することを確認した。
【0343】
<実施例5A-a(実施例5Aの押圧加工用版をロール装置に設置して使用した被加工物の加工)>
本実施例は、前述の実施例5Aにおいて製造した押圧加工用版10を、ロール式加工装置に設置して箔押用版10として使用して、箔押加工するものである。
下記の工程によって被加工物を箔押加工した。
(S-a)実施例5Aにおいて製造した押圧加工用版10としての箔押用版10を準備して、供給した。
(S-b)互いに対向する主ロール96と対ロール97を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-c)押圧加工用版10としての箔押用版を、主ロール96の周囲に巻き付けて設置した。この場合、主ロール96の内部には磁力を発生する磁力部材が構成され、フレキシビル性を有する圧加工用版10としての箔押用版10が磁力により主ロール96の周囲に巻き付けて設置される。
(S-d)所定の受版94を、前記押圧加工装置の対ロール97に設置した。
本実施例においては、対ロール97としては、別途調製した滑らかな球面を有するステンレス製のアンビルロール97を準備して設置した。
(S-e)主ロール96と対ロール97とを駆動するとともに、主ロール96と対ロール97との間に、被加工物基材108aとしての厚さ1mmの紙製シートと、厚さ約30μmの薄い銀色のシート状箔材料108bとの被加工物を互いに平行なる状態で連続的に供給して、押圧加工用版10と受版94とが回転しながら被加工物を連続的に押圧した。
これにより、被加工物基材108aの表面に、既成凸部47に形成された既成凸部上面複数微細凹凸部477bの凹凸形状に一致する微細凹凸形状を有するシート状箔材料を転写して、被加工物箔押転写形成部を転写形成した。
(S-f)ロールの回転に伴って、被加工物を、前記主ロール96と対ロール97との間から離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108の表面に、既成凸部47に形成された既成凸部上面複数微
細凹凸部477bの凹凸形状に一致する微細な凹凸形状を有する形態で転写形成された被加工物転写形成部を形成してなる加工物を調製した。
このようにして、被加工物108としての紙製シート108aの表面に、「ハート模様」であって複数微細凹凸模様図柄有する箔材料が転写形成されてなる加工物を調製した。
【0344】
この場合、被加工物108としての紙製シート108a及び金属箔シート108bに何らの異常が発生することなく、順調な状態で、被加工物108としての紙製シート108aに、所望の形状精度や寸法精度を有する微細凹凸形状であって金属箔が転写形成された「ハート模様」の複数微細凹凸模様を形成した加工物が得られた。
【0345】
<実施例5B(押圧加工用版としての型押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成11」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図10の(A)~(D)、(A―a)~(D―a)に示される押圧加工用版であって、既成凸部47と既成凹部48とを備えた版型用基板の既成凸部47の上面に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様」を形成する押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は型押用版として使用される。
なお、本実施例において、従来汎用の慣用液状レジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凹凸部47と既成凹部48とを形成し、その既成凸部47と既成凹部48とを形成した版型用基板を、インクジェットレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凸部47の上面に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に相当する複数の凹凸形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部477、477a」を形成して、押圧加工用版を調製した。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0346】
(A)既成凸部47を有する版型用基板第一領域表面11と既成凹部48を有する版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、銅製であって、厚さ「h」7mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
【0347】
次に、版型用基板1の全表面に従来汎用の慣用液状レジスト材(製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材であって、市販されている汎用の慣用液状レジスト材のうちから所望の慣用液状レジスト材、前述の実施例1Aの(A)工程で使用した慣用液状レジスト材)を選択して使用して、慣用のスプレーコート方式により、約0.02mm~約0.04mmの厚さで付着し、所定の方法で乾燥してレジスト付着膜を形成した。
そして、版型用基板第一領域表面11に光透過用の貫通孔を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、市販されている汎用の慣用の現像剤(炭酸ナトリウム水溶液)を使用して、紫外線が照射されていない領域の不要なレジスト付着膜を除去した。その後、所定の慣用の方法で加熱ベーキングを行って熟成した。このようにして所望の略長方形を有するレジスト硬化膜を形成した。
【0348】
次に、レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている汎用の慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ寸法が1.9mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された既成凹部48を形成するとともに、凸形状で形成された既成凸部47を形成した。
次に、市販されている汎用の慣用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図10(A)、(A-a)に示されるような版型用基板に凸形状で形成された既成凸部47と、凹形状で形成され既成凹部48を形成した。
既成凹部48の深さは約1.9mmであり、既成凸部47の高さは既成凹部48の深さに相当する約1.9mmであった。
【0349】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
次に、
図10(B)、(B-a)に示されるように、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凹部底面48cの全面を覆うとともに、既成凸部上面47aの上面に、インクジェットレジスト材(2)をインクジェット方式により付着して、(イ)
図10(B-a)に示されるような「ABCDE模様」の所望の図文字絵柄模様、を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
なお、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bは、互いに同じ領域を意味する。
【0350】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程、本実施例5の(A)工程、本実施例5の(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着してインクジェットレジスト付着膜を形成した。そして、前述の実施例1Aの(B)工程と類似の方法により、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、既成凸部側面47bの全面と既成凹部側面48bの全面と既成凹部底面48cの全面に硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するとともに、既成凸部上面47aの上面に図文字絵柄模様(ABCDE模様)の硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0351】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図10(C)、(C―a)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の既成凸部上面47aの上面において深さが約0.9mmになる迄エッチングし、これにより、所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凹部472aと複数の凸形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凸部471aとを有してなる既成凸部上面複数凹凸部477aを形成した。なお、既成凸部上面複数凹凸部477aは既成凸部上面凹凸部477に相当する。
【0352】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図10(D)、(D-a)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
このようにして、既成凸部上面47aの上面に、複数の凹形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凹部472aと複数の凸形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凸部471aとを有してなる既成凸部上面複数凹凸部477aを形成した。
【0353】
既成凸部上面複数凹凸部凹部472aの深さ寸法(既成凸部上面複数凹凸部凸部471aの高さ寸法)は約0.9mmであった。
また、既成凹部48の深さ寸法(既成凸部47の高さ寸法)は1.9mmであった。
【0354】
また、
図10(D)、(D-a)における既成凸部47の側面(既成凹部48の側面に相当)は、エッチングされることなく、
図10(D)に示される正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凸部47の上面に凹凸形状で形成された「ABCDE模様」の既成凸部上面複数凹凸部477aを形成した押圧加工用版10を製造した。
【0355】
なお、本実施例において、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凸部47に、正常な所望の既成凸部上面複数凹凸部477aが形成されていることを確認した。
また、既成凸部47の側面(既成凹部48に相当)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度を有することを確認した。
【0356】
<実施例5B-a(実施例5Bの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本実施例は、前述の実施例5Bにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての紙製シート108を型押し加工するものである。
下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)実施例5Bにおいて製造した既成凸部と既成凹部を形成した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな凹凸を有しない平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1.5mmの紙製シート108を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、版型用基板の既成凸部47の上面に形成された既成凸部上面複数凹凸部477aの凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108としての紙製シート108に、版型用基板の既成凸部47の上面に形成された既成凸部上面複数凹凸部477aに凹凸形状で形成されている図文字絵柄模様に一致した図文字絵柄模様を有する約0.9mm深さの凹凸形状のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0357】
本被加工物の加工方法の実施例において、被加工物108としての紙製シート108に、何らの異常が発生することなく、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸形状で形成された「ABCDE模様」の図文字絵柄模様を形成した加工物が得られた。加工物に形成された「ABCDE模様」の図文字絵柄模様は、異常なく、所望の約0.9mmの段差を有する凹凸で形成されてなることを確認した。
【0358】
<比較例5B(慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
本比較例は、上記の実施例5Bの「(B)、(C)、(D)工程の、既成凸部47の上面に既成凸部上面複数凹凸部477aを形成する工程において、インクジェットレジスト材に替えて従来の慣用液状レジスト材を使用して、既成凸部上面複数凹凸部477aを形成しようとする押圧加工用版の製造方法である。
【0359】
以下に本比較例を詳細に説明する。
従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図を
図22に示す。
(A)既成凸部47を有する版型用基板第一領域表面11と既成凹部48を有する版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
上記の実施例5Bと同じ方法により、銅製の厚さ7mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する版型用基板を使用して、
図22(A)、(A-a)に示されるような版型用基板の版型用基板第一領域表面11に凸形状で形成された既成凸部47と、版型用基板第二領域表面12に凹形状で形成され既成凹部48を形成した。
既成凹部48の深さは約1.9mmであり、既成凸部47の高さは既成凹部48の深さに相当する約1.9mmであった。
【0360】
(B)従来の慣用液状レジスト硬化膜形成工程.
図22の(B)、(B-a)に示されるように、既成凸部47と既成凹部48とを形成した版型用基板の全表面を覆って、従来の慣用液状レジスト材20(本比較例5Bの(A)工程、実施例5Bの(A)工程、実施例1Aの(A)工程、で使用した液状レジスト材と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有し、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材)を使用して、従来慣用のスプレーコート方式によって塗布して液状レジスト付着膜を形成した。
この場合、慣用液状レジスト材は、既成凸部の上面と既成凹部の底面に液状レジスト付着膜が形成されたが、しかしながら、既成凸部側面(既成凹部側面)には、液状レジスト付着膜は形成されなかった。
その後、所望の形状の露光用マスク部材(露光用マスク部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された既成凸部47の領域に相当する部分に「ABCDE模様」の貫通孔を有するとともに、その周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材)を介して、紫外線照射露光し、その後、現像剤(炭酸ナトリウム水溶液)を使用して紫外線が照射されていない領域のレジスト付着膜を除去して現像し、その後、アフターベーキング、等の慣用の方法により、付着した慣用レジスト付着膜を硬化して、
図22の(C)、(C-a)に示されるような、既成凹部の底面に硬化膜を形成するとともに、既成凸部の上面に、所望の「ABCDE模様」を有する慣用レジスト硬化膜30を形成した。慣用レジスト硬化膜30の厚さは約0.02mm~約0.04mmの範囲であった。
【0361】
(C)腐蝕エッチング工程.
図22(D)に示されるように、慣用レジスト硬化膜30を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない領域を、深さ寸法が約0.9mmになるまでエッチングした。
これにより、既成凸部47の上面をエッチングして、複数の凹形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凹部472aと複数の凸形状で形成された既成凸部上面複数凹凸部凸部471aとを有してなる既成凸部上面複数凹凸部477aを形成した。
この場合、既成凸部の側面(既成凹部の側面)には、窪み状態のサイドエッチングが生じていた。
【0362】
(D)従来慣用レジスト硬化膜除去工程.
図22の(E)に示されるように、慣用レジスト硬化膜30を、汎用のレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0363】
上記の「(C)腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成凸部47の側面(既成凹部48の側面)も腐蝕エッチングされて、
図22(D)、(E)に示されるようなサイドエッチングが生じていた。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
このようなサイドエッチング形状は所望の形状ではなく、好ましくない形状であり、このようなサイドエッチングされた凹凸部を形成した押圧加工用版型を使用して被加工物を加工した場合に、所望の凹凸形状に加工された加工物が得られないという課題があり、好ましくない。
【0364】
<比較例5B-a(比較例5Bの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本比較例は、上記の「比較例5B」において製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての紙製シート108を型押し加工するものである。
下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)比較例5Bにおいて製造した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ1.5mmの紙製シート108を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、版型用基板の既成凸部47の上面に形成された既成凸部上面複数凹凸部477aの凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
このようにして、被加工物108としての紙製シート108に、版型用基板の既成凸部47の上面に形成された既成凸部上面複数凹凸部477aに凹凸形状で形成されている図文字絵柄模様に一致した図文字絵柄模様を有する凹凸形状のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0365】
この場合、繰り返し押圧加工を繰り返しているときに、被加工物108が押圧加工用版から離れることなく、押圧加工用版に引っ付き又は引っ掛かり状態で、離反駆動される現象が、一部認められた。すなわち、押圧加工用版のサイドエッチングされた既成凸部の側面(複数のサイドエッチングされた既成凹部の側面)が形成された形状に起因して、そのサイドエッチングの形状により、被加工物108が押圧加工用版に引っ付き又は引っ掛かり状態になった現象が一部認められた。その結果、所望の凹凸形状を有する加工物が得られなかった。
【0366】
<実施例6A(押圧加工用版としての型押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成12」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図11の(A)~(D)、(A―b)~(D―b)に示される押圧加工用版であって、既成凸部47と既成凹部48とを備えた版型用基板の既成凹部48の底面に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様」を形成する押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は型押用版として使用される。
なお、本実施例において、従来汎用の慣用ドライフィルムレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凹凸部47と既成凹部48とを形成し、その既成凸部47と既成凹部48とを形成した版型用基板を、インクジェットレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凹部48の底面に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に相当する複数の凹凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部488、488b」を形成して、押圧加工用版を調製した。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0367】
(A)既成凸部47を有する版型用基板第一領域表面11と既成凹部48を有する版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、真鍮製であって、「h」7mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
【0368】
次に、版型用基板1の全表面に、従来汎用の慣用ドライフィルムレジスト材(市販されている汎用の慣用ドライフィルムレジスト材のうちから所望の慣用ドライフィルムレジスト材(実施例3Bの(A)工程で使用したものと同じ慣用ドライフィルムレジスト材、厚さが約0.02mm~約0.04mm)を選択して使用して、版型用基板の表面に接着してレジスト付着膜を形成した。
そして、版型用基板第一領域表面11に光透過用の貫通孔を形成した露光用マスク部材を介して、レジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、市販されている汎用の慣用の現像剤(炭酸ナトリウム水溶液)を使用して、紫外線が照射されていない領域の不要なレジスト付着膜を除去した。その後、所定の慣用の方法で加熱ベーキングを行って熟成した。このようにして所望の略長方形を有するレジスト硬化膜を形成した。
【0369】
次に、レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている汎用の慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ寸法が約1.0mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された既成凹部48を形成するとともに、凸形状で形成された既成凸部47を形成した。
次に、市販されている汎用の慣用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図11(A)、(A-b)に示されるような版型用基板に凸形状で形成された既成凸部47と、凹形状で形成され既成凹部48を形成した。
既成凹部48の深さは約1.0mmであり、既成凸部47の高さは既成凹部48の深さに相当する約1.0mmであった。
【0370】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
次に、
図11(B)、(B-b)に示されるように、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凸部上面47aを覆うとともに、既成凹部底面48cの底面に、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して、(イ)
図11(B-b)に示されるような「ハート模様」の所望の図文字絵柄模様を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
なお、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bは、互いに同じ領域を意味する。
【0371】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着してインクジェットレジスト付着膜を形成した。そして、前述の実施例1Aの(B)工程と類似の方法により、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凸部上面47aの上に硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するとともに、既成凹部底面48cの底面に図文字絵柄模様(ハート模様)の硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0372】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図11(C)、(C―b)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の既成凹部底面48cの底面において深さが約0.1mmになる迄エッチングし、これにより、所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凹部482bと複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凸部481bとを有してなる既成凹部底面複数微細凹凸部488bを形成した。なお、既成凹部底面複数微細凹凸部488bは既成凹部底面凹凸部488に相当する。
【0373】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図11(D)、(D-a)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
このようにして、既成凹部底面48cの底面に、複数の凹形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凹部482bと複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数微細凹凸部凸部481bとを有してなる既成凹部底面複数微細凹凸部488bを形成した。
【0374】
既成凹部底面複数微細凹凸部凹部482bの深さ寸法(既成凹部底面複数微細凹凸部凸部481bの高さ寸法)は約0.1mmであった。
また、既成凹部48の深さ寸法(既成凸部47の高さ寸法)は約1.9mmであった。
【0375】
また、
図11(D)、(D-b)における既成凹部48の側面(既成凸部47の側面に相当)は、エッチングされることなく、
図11(D)に示される正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凹部底面48の底面に凹凸形状で形成された「ハート模様」の既成凹部底面複数微細凹凸部488bを形成した押圧加工用版10を製造した。
【0376】
なお、本実施例において、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凹部47に、正常な所望の既成凹部底面複数微細凹凸部488bが形成されていることを確認した。
また、既成凹部48の側面(既成凸部47に相当)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度を有することを確認した。
【0377】
<実施例6A-a(実施例6Aの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本実施例は、前述の実施例6Aにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての表面銀色光沢を有する紙製シート108を型押し加工するものである。
下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)実施例6Aにおいて製造した既成凸部と既成凹部を形成した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな凹凸を有しない平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1.5mmの表面銀色光沢を有する紙製シート108を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、版型用基板の既成凹部47の底面に形成された既成凹部底面複数凹凸部488bの凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108としての紙製シート108に、版型用基板の既成凹部47の底面に形成されている既成凹部底面複数凹凸部488bの図文字絵柄模様に一致した「ハート模様」の図文字絵柄模様を有する約0.1mm深さの凹凸形状のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0378】
本被加工物の加工方法の実施例において、被加工物108としての紙製シート108に、何らの異常が発生することなく、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸形状で形成された「ハート模様」の図文字絵柄模様を形成した加工物が得られた。加工物に形成された「ハート模様」の図文字絵柄模様は、異常なく、所望の約0.1mmの段差を有する微細凹凸で形成されてなることを確認した。
【0379】
<比較例6A(慣用液状レジスト材を使用した押圧加工用版の製造)>
本比較例は、上記の実施例6Aの「(B)、(C)、(D)工程の、既成凹部48の底面に既成凹部底面複数凹凸部488aを形成する工程において、インクジェットレジスト材に替えて従来の慣用液状レジスト材を使用して、既成凹部底面複数凹凸部488aを形成しようとする押圧加工用版の製造方法である。
【0380】
以下に本比較例を詳細に説明する。
従来の押圧加工用版の製造方法の製造工程を説明するための模式的概略図を
図23に示す。
(A)既成凸部47を有する版型用基板第一領域表面11と既成凹部48を有する版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
上記の実施例6Aと同じ方法により、真鍮製の厚さ7mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する版型用基板と慣用ドライフィルムレジスト材を使用して、
図23(A)、(A-b)に示されるような版型用基板の版型用基板第一領域表面11に凸形状で形成された既成凸部47と、版型用基板第二領域表面12に凹形状で形成され既成凹部48を形成した。
既成凹部48の深さは約1.0mmであり、既成凸部47の高さは既成凹部48の深さに相当する約1.0mmであった。
【0381】
(B)従来の慣用液状レジスト硬化膜形成工程.
図23の(B)、(B-b)に示されるように、既成凸部47と既成凹部48とを形成した版型用基板の全表面を覆って、従来の慣用液状レジスト材20(前述の実施例1Aの(A)工程で使用した液状レジスト材と同じであって、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有し、製版、プリント基板の腐蝕エッチングのために汎用に使用されている慣用の液状レジスト材)を使用して、従来慣用のスプレーコート方式によって塗布して液状レジスト付着膜を形成した。
この場合、慣用液状レジスト材は、既成凸部の上面と既成凹部の底面に液状レジスト付着膜が形成されたが、しかしながら、既成凸部側面47b(既成凹部側面48b)には、液状レジスト付着膜は形成されなかった。
その後、所望の形状の露光用マスク部材(露光用マスク部材を版型用基板の表面に設置した場合に、版型用基板の版型用基板第一領域表面11に形成された既成凹部48の領域に相当する部分に「ハートE模様」の貫通孔を有するとともに、その周囲領域に光遮断用部分を有する露光用マスク部材を介して、紫外線照射露光し、その後、現像剤(炭酸ナトリウム水溶液)を使用して紫外線が照射されていない領域のレジスト付着膜を除去して現像し、その後、アフターベーキング、等の慣用の方法により、付着した慣用レジスト付着膜を硬化して、
図23の(C)、(C-b)に示されるような、既成凸部47の上面に硬化膜を形成するとともに、既成凹部の底面に、所望の「ハート模様」を有する慣用レジスト硬化膜30を形成した。慣用レジスト硬化膜30の厚さは約0.02mm~約0.04mmの範囲であった。
しかしながら、既成凹部側面(既成凸部側面)には硬化膜は形成されなかった。
【0382】
(C)腐蝕エッチング工程.
図23(D)に示されるように、慣用レジスト硬化膜30を形成した版型用基板1の表面にエッチング液(塩化第二鉄水溶液)をパドル吹上方式で接触して、慣用レジスト硬化膜が付着されていない領域を、深さ寸法が約0.1mmになるまでエッチングした。
これにより、既成凹部48の底面をエッチングして、複数の凹形状で形成された既成凹部上底面複数凹凸部凹部482bと複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凸部481bとを有してなる既成凹部底面複数凹凸部488bを形成した。
この場合、既成凹部の側面(既成凸部の側面)には、窪み状態のサイドエッチングが生じていた。
【0383】
(D)従来慣用レジスト硬化膜除去工程.
図23の(E)に示されるように、慣用レジスト硬化膜30を、汎用のレジスト除去剤(苛性ソータ水溶液、又は、水酸化ナトリウム水溶液)を使用して除去した。
【0384】
上記の「(C)腐蝕エッチング工程」において、硬化膜が付着形成されていない既成凹部48の側面(既成凸部47の側面)も腐蝕エッチングされて、
図23(D)、(E)に示されるようなサイドエッチングが生じていた。
また、既成凹部48の底面に凹凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部488bの図文字絵柄模様(ハート模様)が不明瞭であり、所望の形状寸法の図文字絵柄模様(ハート模様)が形成できなかった。この原因は、露光用マスク部材を介してレジスト付着膜を露光する工程において、露光用マスク部材がレジスト付着膜に密着していないことに起因して、所望の形状寸法を有する慣用レジスト硬化膜が形成できなかったことに起因するものと想到される。すなわち、所望の形状精度や寸法精度を有する押圧加工用版が得られなかった。
【0385】
<実施例6B(押圧加工用版としての型押用版の製造)>
本実施例は、前述の「従属構成12」に類似する押圧加工用版の製造方法であり、
図11の(A)~(D)、(A―a)~(D―a)に示される押圧加工用版であって、既成凸部47と既成凹部48とを備えた版型用基板の既成凹部48の底面に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様」を形成する押圧加工用版の製造方法である。本押圧加工用版は型押用版として使用される。
なお、本実施例において、インクジェットレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凹凸部47と既成凹部48とを形成し、その既成凸部47と既成凹部48とを形成した版型用基板を、インクジェットレジスト材を使用する工程を含む工程により、既成凹部48の底面に「凹凸形状で形成された図文字絵柄模様に相当する複数の凹凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部488、488a」を形成して、押圧加工用版を調製した。
以下に本実施例を詳細に説明する。
【0386】
(A)既成凸部47を有する版型用基板第一領域表面11と既成凹部48を有する版型用基板第二領域表面12を備えた版型用基板1を調製し、供給する工程.
平面表面形状を有する版型用基板第一領域表面11と平面表面形状を有する版型用基板第二領域表面12を備えた平面表面形状を有する版型用基板1を準備した。版型用基板1は、真鍮製であって、厚さ「h」7mm、横幅125mm、縦幅90mmの略平板形状を有する。
【0387】
次に、版型用基板の中央領域に長方形のインクジェットレジスト材が付着されていない領域を形成するために、版型用基板1の表面の周囲領域に、インクジェッレジスト材を使用して、インクジェット方式で付着して、版型用基板の周囲領域にインクジェットレジスト付着膜を形成した。
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、「10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト(前述の実施例1Aの(B)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)」を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着した。そして、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、所望の略長方形を有するレジスト硬化膜を形成した。
インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03~約0.05mmの範囲であった。
【0388】
次に、レジスト硬化膜を形成した版型用基板1の表面に市販されている汎用の慣用のエッチング液(塩化第二鉄水溶液)を接触して、レジスト硬化膜が付着されていない版型用基板の表面を深さ寸法が約0.4mmになるまでエッチングして、版型用基板に凹形状で形成された既成凹部48を形成するとともに、凸形状で形成された既成凸部47を形成した。
次に、市販されている汎用の慣用のレジスト除去剤(苛性ソーダ水溶液)を使用して、レジスト硬化膜を除去した。
このようにして、
図11(A)、(A-a)に示されるような版型用基板に凸形状で形成された既成凸部47と、凹形状で形成され既成凹部48を形成した。
既成凹部48の深さは約0.4mmであり、既成凸部47の高さは既成凹部48の深さに相当する約0.4mmであった。
【0389】
(B)所望領域インクジェットレジスト硬化膜形成工程.
次に、
図11(B)、(B-a)に示されるように、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式で付着して、版型用基板1の既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凸部上面47aを覆うとともに、既成凹部底面48cの底面に、インクジェットレジスト材2をインクジェット方式により付着して、(ロ)
図11(B-b)に示されるような「ABCDE模様」の所望の図文字絵柄模様を有する所望領域インクジェットレジスト付着膜を形成した。この場合、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bにインクジェットレジスト材が付着していることを確認した。
なお、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bは、互いに同じ領域を意味する。
【0390】
本工程において、マイクロクラフト社製のオンデマンド・インクジェット印刷システム装置を使用した。インクジェットレジスト材としては、市販されているインクジェットレジスト材のうち、紫外線照射により化学反応して3次元化学構造に架橋する性質を有するとともに、10mPa・s~20mPa・s(25℃)の粘度のインクジェットレジスト材(前述の実施例1Aの(B)工程、本実施例の(A)工程で使用したものと同じインクジェットレジスト材)を選択して使用し、吐出ノズルから吐出される液滴量が2pl~15plの条件で付着してインクジェットレジスト付着膜を形成した。そして、前述の実施例1Aの(B)工程と類似の方法により、版型用基板に付着形成された上記のインクジェットレジスト付着膜に紫外線を照射し、その後、120℃で10分間のバーニングを行って、既成凸部側面47bと既成凹部側面48bと既成凸部上面47aの全面に硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成するとともに、既成凹部底面48cの底面に図文字絵柄模様(ABCDE模様)の硬化された所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜の厚さは約0.03mm~約0.05mmの範囲であった。このようにして、それぞれの所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した。
【0391】
(C)腐蝕エッチング工程.
次に、
図11(C)、(C―a)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を形成した版型用基板1の表面にエッチング液を接触して記所望領域インクジェットレジスト硬化膜3が付着されていない版型用基板1の既成凹部底面48cの底面において深さが約0.6mmになる迄エッチングし、これにより、「ABCDE模様」の所望の図文字絵柄模様に相当する複数の凹形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凹部482aと複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凸部481aとを有してなる既成凹部底面複数凹凸部488aを形成した。なお、既成凹部底面複数凹凸部488aは既成凹部底面凹凸部488に相当する。
【0392】
(D)所望領域インクジェットレジスト硬化膜除去工程.
図11(D)、(D-b)に示されるように、所望領域インクジェットレジスト硬化膜3を除去した。
このようにして、既成凹部底面48cの底面に、複数の凹形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凹部482aと複数の凸形状で形成された既成凹部底面複数凹凸部凸部481aとを有してなる既成凹部底面複数凹凸部488aを形成した。
【0393】
既成凹部48の深さ寸法(既成凸部47の高さ寸法)は約0.4mmであり、その既成凹部48の底面に形成された「ABCDE模様」の既成凹部底面複数凹凸部凹部482aの深さ寸法(既成凹部底面複数凹凸部凸部481aの高さ寸法)は約0.6mmであった。すなわち、版型用基板の表面から既成凹部底面複数凹凸部凹部482aの底面までの距離は約1.0mmであった。
【0394】
図11(D)、(D-a)における既成凹部48の側面(既成凸部47の側面に相当)は、エッチングされることなく、
図11(D)に示される正常な所望の形状を維持していたことを確認した。
このようにして、既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凹部底面48の底面に凹凸形状で形成された「ABCDE模様」の既成凹部底面複数凹凸部488aを形成した押圧加工用版10を製造した。
【0395】
本実施例において、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成凸部47と既成凹部48を有するとともに、既成凹部47に、正常な所望の形状精度や寸法精度を有する既成凹府底面複数凹凸部488aが形成されていることを確認した。
また、既成凹部48の側面(既成凸部47に相当)には窪んだ状態でエッチングされたサイドエッチング現象が生じていなく、所望の形状精度を有することを確認した。
【0396】
<実施例6B-a(実施例6Bの押圧加工用版を使用した被加工物の加工)>
本実施例は、前述の実施例6Bにおいて製造した押圧加工用版10を、平圧加圧式加工装置の型押用版10として使用して、被加工物108としての紙製シート108を型押し加工するものである。
下記の工程によって被加工物を型押加工した。
(S-a)実施例6Bにおいて製造した既成凸部と既成凹部を形成した押圧加工用版10としての型押用版10を準備した。
(S-b)
図16(A)に示されるように、互いに対向する第一基盤92と第二基盤93を備えた押圧加工装置を準備した。
(S-d)別途調製した滑らかな凹凸を有しない平面を有するステンレス製の受版94を、押圧加工装置の第二基盤93に設置した。
(S-e)この状態で、押圧加工用版10(型押用版)と受版94との間に、被加工物108としての厚さ約1.5mmの紙製シート108を位置し、その状態で、慣用の駆動方法により第一基盤92と第二基盤93のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10と受版94とが被加工物108を押圧した。
これにより、被加工物108の表面に、版型用基板の既成凹部48の底面に形成された既成凹部底面複数凹凸部488aの凹凸形状に一致する凹凸形状を有する被加工物凹凸形成部を形成した。
(S-f)押圧加工用版10(型押用版)と受版94のうちの少なくとも一つの基盤を駆動して、押圧加工用版10(型押用版)と受版94とを互いに離反して、被加工物への押圧を解除した。
これにより、被加工物108としての紙製シート108に、版型用基板の既成凹部48の底面に形成された既成凹部底面複数凹凸部488a(凹凸形状で形成されている図文字絵柄模様)に一致した図文字絵柄模様を有する凹凸形状の「ABCDE模様」のエンボス形状で形成された加工物を調製した。
【0397】
本被加工物の加工方法の実施例において、被加工物108としての紙製シート108に、何らの異常が発生することなく、所望の形状精度や寸法精度を有する凹凸形状で形成された「ABCDE模様」の図文字絵柄模様を形成した加工物が得られた。加工物に形成された「ABCDE模様」の図文字絵柄模様は、異常なく、所望の凹凸段差を有する凹凸形状で形成されてなることを確認した。
本発明の被加工物の加工方法により、紙、段ボール紙、プラスチック製フィルム、プラスチック製ボード、プラスチック成型物、これらの積層物、等の被加工物を、所望の形状精度や寸法精度を有し、所望の図文字絵柄模様、所望の微細図文字絵柄模様を有する凹部、凸部、及び/又は凹凸部を備えた形状に加工形成されてなる加工物を調製できる。