(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085371
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/80 20230101AFI20240619BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240619BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20240619BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240619BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240619BHJP
H10K 50/19 20230101ALI20240619BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20240619BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240619BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20240619BHJP
H10K 59/32 20230101ALI20240619BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240619BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H10K50/80
H10K59/122
H10K59/124
H10K50/844
H10K59/35
H10K50/19
H10K71/00
H10K71/16
H10K59/80
H10K59/32
G09F9/30 365
G09F9/30 348A
G09F9/30 348Z
G09F9/00 338
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129686
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0174808
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】キム ホジン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジヨン
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC29
3K107DD52
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD95
3K107EE48
3K107EE50
3K107FF15
3K107GG02
3K107GG28
5C094AA42
5C094BA27
5C094CA22
5C094DA13
5C094DA15
5C094JA08
5G435AA17
5G435BB05
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】側部漏洩電流を低減または防止可能な有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1および第2副画素を有する基板と;前記基板の上部に配置され、前記第1および第2副画素間のトレンチを有する層間絶縁層と;前記層間絶縁層の上部の前記第1および第2副画素それぞれに配置される第1電極と;前記第1電極の縁部を覆い、前記第1電極の中央部を露出するバンクと;前記バンクと前記バンクを通じて露出される第1電極の上部に順次配置され、前記トレンチの上部で前記第1および第2副画素別に分離される発光層および第2電極と;前記第2電極の上部に配置され、前記発光層および前記第2電極を囲むパッシベーション膜を含む有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2副画素を有する基板と、
前記基板の上部に配置され、前記第1および第2副画素間のトレンチを有する層間絶縁層と、
前記層間絶縁層の上部の前記第1および第2副画素それぞれに配置される第1電極と、
前記第1電極の縁部を覆い、前記第1電極の中央部を露出するバンクと、
前記バンクと前記バンクを通じて露出される前記第1電極の上部に順次配置され、前記トレンチの上部で前記第1および第2副画素別に分離される発光層および第2電極と、
前記第2電極の上部に配置され、前記発光層および前記第2電極を囲むパッシベーション膜とを含む、有機発光ダイオード表示装置。
【請求項2】
前記パッシベーション膜は前記発光層および前記第2電極の上面および側面を覆うように延在しながら前記トレンチの側壁に接する、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項3】
前記発光層は、前記第1電極の上部に配置される第1スタックと、前記第1スタックの上部に配置される電荷生成層と、前記電荷生成層の上部に配置される第2スタックとを含む、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項4】
前記電荷生成層と前記第2電極は、前記トレンチにおいて互いに絶縁される、請求項3に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項5】
前記トレンチの上部の前記電荷生成層および前記第2電極が隣接する部分には絶縁特性を有する酸化部が配置される、請求項3に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項6】
前記トレンチにおける前記第1スタック、前記電荷生成層、前記第2スタック、前記第2電極のそれぞれの厚さは、前記トレンチを除いた他の部分における前記第1スタック、前記電荷生成層、前記第2スタック、前記第2電極のそれぞれの厚さより小さい、請求項3に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項7】
前記トレンチの幅は前記発光層の厚さの0.6倍以上である、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項8】
前記トレンチの幅は、1.0μm以下である、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項9】
前記基板と前記層間絶縁層の間の前記第1および第2副画素それぞれに配置され、前記第1電極に連結される薄膜トランジスタと、
前記パッシベーション膜の上部の前記基板の前面に順次配置される第1、第2、第3封止層とをさらに含む、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項10】
基板の上部に層間絶縁層を形成するステップと、
第1および第2副画素間の前記層間絶縁層にトレンチを形成するステップと、
前記層間絶縁層の上部の前記第1および第2副画素それぞれに第1電極を形成するステップと、
前記第1電極の上部の縁を覆い、前記第1電極の中央部を露出するバンクを形成するステップと、
前記バンクと前記バンクを通じて露出される前記第1電極の上部に前記層間絶縁層のトレンチの上部で前記第1および第2副画素別に分離される発光層および第2電極を順次形成するステップと、
前記第2電極の上部に前記発光層および前記第2電極を囲むパッシベーション膜を形成するステップとを含む、有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記パッシベーション膜は原子層堆積法で形成される、請求項7に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記発光層を形成するステップは、
前記第1電極の上部に第1スタックを形成するステップと、
前記第1スタックの上部に電荷生成層を形成するステップと、
前記電荷生成層の上部に第2スタックを形成するステップとを含む、請求項7に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記電荷生成層と前記第2電極は、前記トレンチにおいて互いに絶縁される、請求項12に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記トレンチの上部における前記電荷生成層と前記第2電極が隣接する部分には、絶縁性を持つ酸化部が配置される、請求項12に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記トレンチにおける前記第1スタック、前記電荷生成層、前記第2スタック、前記第2電極のそれぞれの厚さは、前記トレンチを除いた他の部分における前記第1スタック、前記電荷生成層、前記第2スタック、前記第2電極のそれぞれの厚さより小さい、請求項12に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記トレンチの幅は、前記発光層の厚さの0.6倍以上である、請求項10に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記トレンチの幅は、1.0μm以下である、請求項10に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記基板と前記層間絶縁層の間の前記第1および第2副画素それぞれに前記第1電極に連結される薄膜トランジスタを形成するステップと、
前記パッシベーション膜の上部の前記基板の前面に第1、第2、第3封止層を順次形成するステップとをさらに含む、請求項10に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に第1および第2スタック、電荷生成層、第2電極の側面を囲むパッシベーション膜を含む有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近社会が本格的な情報化時代に差し掛かることにつれて大量の情報を処理および表示する情報ディスプレイに関する関心が高まっており、また、携帯が可能な情報媒体を利用しようとする要求が高くなったことにより、これに呼応する多様な軽量および薄型の平板表示装置が開発されて脚光を浴びている。
【0003】
このような平板表示装置の中で有機発光ダイオード表示装置(organic light emitting diode display device)は自発光型であって、液晶表示装置(liquid crystal display device)に比べて視野角、コントラスト比などが優秀であり、別途のバックライトが不要であるため軽量薄型が可能であり、消費電力が有利な長所がある。また、有機発光ダイオード表示装置は直流低電圧駆動が可能であり、応答速度が速く、製造費用が安い長所がある。
【0004】
最近では有機発光ダイオード表示装置を含んだヘッド装着型ディスプレイ(head mounted display)が開発されている。ヘッド装着型ディスプレイはメガネやヘルメット形態で着用して、使用者の目の前の近い距離に焦点が形成される仮想現実(virtual reality:VR)または拡張現実(augmented reality:AR)のメガネ型モニタ装置である。
【0005】
このようなヘッド装着型ディスプレイには高解像度の小型有機発光ダイオード表示装置が適用されるが、高解像度の小型有機発光ダイオード表示装置はウェハ基盤の半導体工程を利用して形成され得る。この場合、陽極(anode)はウェハ上に形成された薄膜トランジスタを覆う絶縁膜上に形成され、陽極上に形成された発光層を通じて電流が流れて側部漏洩電流が発生する問題がある。
【0006】
また、陽極と絶縁膜間の段差によって陽極の縁で発光層が不均一に形成され、その結果、陽極、電荷生成層、陰極(cathode)のうち二つ以上が互いに短絡する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するために提示されたもので、副画素間に相対的に広い幅のトレンチを形成して第1および第2スタック、電荷生成層、第2電極を副画素別に分離することによって、側部漏洩電流が防止される有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
そして、本発明は、副画素別に分離された第1および第2スタック、電荷生成層、第2電極の側面を囲むパッシベーション膜を形成することによって、封止層の段差対応線を通じての水分および酸素の浸透が防止され信頼性が向上する、有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような課題を解決するために、本発明は、第1および第2副画素を有する基板と、前記基板の上部に配置され、前記第1および第2副画素間のトレンチを有する層間絶縁層と、前記層間絶縁層の上部の前記第1および第2副画素それぞれに配置される第1電極と、前記第1電極の縁部を覆い、前記第1電極の中央部を露出するバンクと、前記バンクと前記バンクを通じて露出される第1電極の上部に順次配置され、前記トレンチの上部で前記第1および第2副画素別に分離される発光層および第2電極と;前記第2電極の上部に配置され、前記発光層および前記第2電極を囲むパッシベーション膜とを含む有機発光ダイオード表示装置を提供する。
【0010】
そして、前記パッシベーション膜は前記発光層および前記第2電極の上面および側面を覆うように延びて前記トレンチの側壁に接触され得る。
【0011】
また、前記発光層は、前記第1電極の上部に配置される第1スタックと、前記第1スタックの上部に配置される電荷生成層と、前記電荷生成層の上部に配置される第2スタックを含むことができる。
【0012】
そして、前記トレンチの上部の前記電荷生成層と前記第2電極が隣接する部分には絶縁特性を有する酸化部が配置され得る。
【0013】
また、前記トレンチの幅は前記発光層の厚さの0.6倍以上であり得る。
【0014】
そして、前記有機発光ダイオード表示装置は、前記基板と前記層間絶縁層の間の前記第1および第2副画素それぞれに配置され、前記第1電極に連結される薄膜トランジスタと;前記パッシベーション膜の上部の前記基板の前面に順次配置される第1、第2、第3封止層をさらに含むことができる。
【0015】
一方、本発明は、基板の上部に有する層間絶縁層を形成するステップと、第1および第2副画素間の前記層間絶縁層にトレンチを形成するステップと、前記層間絶縁層の上部の前記第1および第2副画素それぞれに第1電極を形成するステップと、前記第1電極の上部の縁を覆い、前記第1電極の中央部を露出するバンクを形成するステップと、前記バンクと前記バンクを通じて露出される前記第1電極の上部に前記層間絶縁層のトレンチの上部で前記第1および第2副画素別に分離される発光層および第2電極を順次形成するステップと、前記第2電極の上部に前記発光層および前記第2電極を囲むパッシベーション膜を形成するステップとを含む有機発光ダイオード表示装置の製造方法を提供する。
【0016】
そして、前記パッシベーション膜は原子層堆積法で形成され得る。
【0017】
また、前記発光層を形成するステップは、前記第1電極の上部に第1スタックを形成するステップと、前記第1スタックの上部に電荷生成層を形成するステップと、前記電荷生成層の上部に第2スタックを形成するステップとを含むことができる。
【0018】
そして、前記有機発光ダイオード表示装置の製造方法は、前記基板と前記層間絶縁層の間の前記第1および第2副画素それぞれに前記第1電極に連結される薄膜トランジスタを形成するステップと、前記パッシベーション膜の上部の前記基板の前面に第1、第2、第3封止層を順次形成するステップとをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、副画素間に相対的に広い幅のトレンチを形成して第1および第2スタック、電荷生成層、第2電極を副画素別に分離することによって、側部漏洩電流を低減または防止することが可能となる。
【0020】
そして、本発明は、副画素別に分離された第1および第2スタック、電荷生成層、第2電極の側面を囲むパッシベーション膜を形成することによって、封止層の段差対応線を通じての水分および酸素の浸透が防止され信頼性が向上する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置を図示した図面である。
【
図2】
図1の切断線II-IIによる断面図である。
【
図3a】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面である。
【
図3b】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面である。
【
図3c】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面である。
【
図3d】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面である。
【
図3e】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面である。
【
図3f】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面である。
【
図4a】比較例に係る有機発光ダイオード表示装置の発光スペクトルを図示した図面である。
【
図4b】本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の発光スペクトルを図示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して本発明に係る有機発光ダイオード表示装置およびその製造方法を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置を図示した図面である。
【0024】
図1に図示した通り、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110は、タイミング制御部120、データ駆動部125、ゲート駆動部130および表示パネル135を含む。
【0025】
タイミング制御部120は、グラフィックカードまたはTVシステムのような外部システム(図示されず)から伝達される映像信号、データイネーブル信号、水平同期信号、垂直同期信号、クロックなどの多数のタイミング信号を利用して映像データ、データ制御信号およびゲート制御信号を生成する。垂直期間(またはフレーム期間)および水平期間は、データイネーブル信号をカウントすることで分かるので、垂直同期信号および水平同期信号を省略することができる。データイネーブル信号は、1水平期間(1H)の周期を持つ。そして、タイミング制御部120は、生成された映像データおよびデータ制御信号はデータ駆動部125に伝達し、生成されたゲート制御信号はゲート駆動部130に伝達する。
【0026】
データ駆動部125は、タイミング制御部120から伝達されるデータ制御信号および映像データを利用してデータ信号(データ電圧)を生成し、生成されたデータ信号を表示パネル135のデータ配線DLに供給する。
【0027】
ゲート駆動部130は、タイミング制御部120から伝達されるゲート制御信号を利用してゲート信号(ゲート電圧)を生成し、生成されたゲート信号を表示パネル135のゲート配線GLに供給する。そして、ゲート駆動部130は、各副画素SPr、SPg、SPbの構造により発光信号を生成して表示パネル135に供給することができる。
【0028】
ここで、ゲート駆動部130は、表示パネル135の基板にゲート配線GL、データ配線DLおよび画素Pとともに形成されて非表示領域NDAに配置されるゲート-イン-パネル(gate in panel:GIP)タイプであり得る。他の実施例では、ゲート駆動部130が、タブ方式(Tape Automated Bongind:TAB)またはチップオンフィルム方式で表示パネル135に接続されてもよい。
【0029】
表示パネル135は、中央の表示領域DAと、表示領域DAに隣接する、または表示領域DAを囲む非表示領域NDAを含み、ゲート信号およびデータ信号を利用して映像を表示する。表示パネル135は、映像を表示するために、表示領域DAに配置される多数の画素P、多数のゲート配線GL、多数のデータ配線DLを含む。
【0030】
多数の画素Pそれぞれは赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbを含むことができる。他の実施例では、複数の画素Pのそれぞれが、赤、緑、青以外の副画素の発光素子を含んでもよい。ゲート配線GLおよびデータ配線DLは互いに交差して赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbを定義し、赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbはそれぞれゲート配線GLおよびデータ配線DLに連結される。
【0031】
図示してはいないが、赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbはそれぞれスイッチング薄膜トランジスタおよび駆動薄膜トランジスタのような多数の薄膜トランジスタと、ストレージキャパシタおよび発光ダイオードを含むことができる。
【0032】
他の実施例では、複数の画素Pのそれぞれが、赤、緑、青、白の副画素SPr、SPg、SPb、SPwを含むことができる。ゲート配線GLとデータ配線DLは互いに交差して赤、緑、青、白の副画素SPr、SPg、SPb、SPwを定義し、赤、緑、青、白の副画素SPr、SPg、SPb、SPwは、それぞれゲート配線GLおよびデータ配線DLに接続することができる。また、赤、緑、青、白の副画素SPr、SPg、SPb、SPwは、それぞれスイッチング薄膜トランジスタおよび駆動薄膜トランジスタのような複数の薄膜トランジスタ、そしてストレージキャパシタ、発光ダイオードを含むことができる。
【0033】
このような発光ダイオード表示装置110の副画素の断面構成を図面を参照して説明する。
【0034】
図2は
図1の切断線II-IIによる断面図であり、
図1を共に参照して説明する。
【0035】
図2に図示した通り、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110の赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbそれぞれは、薄膜トランジスタTFTおよび発光ダイオードLEDを含む。
【0036】
具体的には、基板140の上部の赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbそれぞれには薄膜トランジスタTFTが配置される。
【0037】
基板140はガラス、プラスチック、半導体物質、またはフレキシブルポリマーフィルムからなり得るが、例えば、基板140は単結晶シリコンからなるウェハであり得る。フレキシブルポリマーフィルムは、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)のうち、1つを含むことができる。
【0038】
有機発光ダイオード表示装置110が、光が上部から放出される上部発光方式(top emission type)である場合、基板140は透明または不透明な物質からなり得、有機発光ダイオード表示装置110が、画素アレイ層の光が基板140の背面に照射され、映像が表示される下部発光方式(bottom emission type)、または両面発光方式である場合、基板140は透明な物質からなり得る。例えば、透明な物質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)を含むことができる。
【0039】
薄膜トランジスタTFTは駆動薄膜トランジスタであり得るが、図示してはいないが、基板140の上部には駆動薄膜トランジスタに連結されるスイッチング薄膜トランジスタ、センシング薄膜トランジスタおよびストレージキャパシタと、スイッチング薄膜トランジスタに連結されるゲート配線(
図1のGL)およびデータ配線(
図1のDL)と、駆動薄膜トランジスタに連結される電源配線と、センシング薄膜トランジスタに連結されるセンシング配線および基準配線が配置され得る。
【0040】
駆動薄膜トランジスタは、酸化物半導体を用いて製造することができ、少なくとも1つのスイッチング薄膜トランジスタは、酸化物半導体を用いて製造することができる。
【0041】
酸化物半導体は、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)の金属酸化物、または亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、チタン(Ti)の金属とその金属酸化物の組み合わせからなり得る。特に、酸化物半導体は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、酸化インジウム亜鉛(ZIO)、酸化インジウム(InO)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化インジウム亜鉛スズ(IZTO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムガリウムスズ(IGTO)、酸化インジウムガリウム(IGO)を含むことができる。
【0042】
また、多様な薄膜トランジスタは、多結晶半導体物質を用いて製造することができる。
【0043】
スイッチング薄膜トランジスタは、ゲート配線GLのゲート信号によりスイッチングされてデータ配線DLのデータ信号を駆動薄膜トランジスタに伝達することができる。
【0044】
駆動薄膜トランジスタは、スイッチング薄膜トランジスタを通じて伝達されるデータ信号によりスイッチングされて電源配線の高電位電圧による電流を発光ダイオードLEDに伝達することができる。
【0045】
センシング薄膜トランジスタは、センシング配線のセンシング信号によりスイッチングされて基準電圧を駆動薄膜トランジスタに伝達したり駆動薄膜トランジスタの電圧を検出することができる。
【0046】
ストレージキャパシタは、スイッチング薄膜トランジスタを通じて伝達されるデータ信号を1フレームの間維持させる役割をすることができる。
【0047】
薄膜トランジスタTFTの上部には層間絶縁層142が配置され、層間絶縁層142の上部の赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbそれぞれには第1電極144が配置される。
【0048】
例えば、層間絶縁層142はシリコンオキサイド(SiOx)、シリコンナイトライド(SiNx)のような無機絶縁物質またはアクリル(acryl)樹脂、エポキシ(epoxy)樹脂、フェノール(phenol)樹脂、ポリアミド(polyamide)樹脂、ポリイミド(polyimide)樹脂のような有機絶縁物質からなり得、単一層または多重層で形成され得る。
【0049】
第1電極144は層間絶縁層142のコンタクトホールを通じて薄膜トランジスタTFTに連結される。
【0050】
例えば、第1電極144は透明導電性物質、半透過金属物質または反射率が高い金属物質からなり得る。
【0051】
有機発光ダイオード表示装置110が上部発光方式である場合、第1電極144はチタン、アルミニウム、チタンの3重層構造(Ti/Al/Ti)、インジウム-ティン-オキサイド、アルミニウム、インジウム-ティン-オキサイドの3重層構造(ITO/Al/ITO)、インジウム-ティン-オキサイド、銀合金、インジウム-ティン-オキサイドの3重層構造(ITO/Ag Alloy/ITO)のように相対的に高い反射率を有する構造で形成され得る。銀合金は銀-パラジウム-銅の合金(Ag-Pd-Cu:APC)であり得る。
【0052】
有機発光ダイオード表示装置110が下部発光方式である場合、第1電極144は光を透過させることができるインジウム-ティン-オキサイド(ITO)、インジウム-ジンク-オキサイド(IZO)のような透明導電性オキサイド(transparent conductive oxide:TCO)、またはマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、マグネシウム-銀の合金(MgAg)のような半透過金属物質(semi-transmissive conductive material)からなり得る。
【0053】
このような第1電極144は陽極(anode)であり得る。
【0054】
第1電極144の上部にはバンク146が配置され、赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間の境界部のバンク146および層間絶縁層142にはトレンチTが形成される。
【0055】
バンク146は、各副画素の発光領域を定義する画素定義フィルム、または画素定義層と呼ぶことができ、発光領域は、各副画素の第1電極144を露出することができる。バンク146は、隣接する副画素間における光学的な干渉を防ぐよう、不透明な物質(例えば、ブラック物質)から構成することができる。この場合、バンク146は、カラー顔料、有機ブラック、ブラックインク、カーボンのうち、少なくとも1つからなる遮光物質を含むことができる。
【0056】
バンク146は第1電極144の縁部を覆い、第1電極144の中央部を露出する開口部を有し、バンク146を通じて第1電極144が露出される部分は発光領域と定義され、発光領域を除いた部分は非発光領域と定義される。
【0057】
図2の実施例ではバンク146がトレンチTを露出するように形成されるものを例に挙げたが、他の実施例では隣接副画素間のバンク146が連結されてトレンチTを覆うように形成されてもよい。
【0058】
例えば、バンク146はシリコンオキサイド(SiOx)、シリコンナイトライド(SiNx)のような無機絶縁物質またはアクリル(acryl)樹脂、エポキシ(epoxy)樹脂、フェノール(phenol)樹脂、ポリアミド(polyamide)樹脂、ポリイミド(polyimide)樹脂のような有機絶縁物質からなり得、単一層または多重層で形成され得る。
【0059】
トレンチTは後続工程で隣接した副画素間の第1および第2スタック148、152、電荷生成層150、第2電極154を分離して側部漏洩電流(lateral leakage current)を最小化または低減する機能を有する。
【0060】
すなわち、トレンチTを形成しない場合、隣接副画素の第1および第2スタック148、152、電荷生成層150が互いに連結されて側部漏洩電流が発生し得、これに伴い望んでいない副画素が発光して色再現率が低下し得る。
【0061】
このような色再現率の低下は、同じ色の光を放出する副画素間で側部漏洩電流が発生した場合より異なる色の光を放出する副画素間で側部漏洩電流が発生した場合により大きく現れ得る。
【0062】
これに伴い、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、異なる色の光を放出する赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間の側部漏洩電流を減少、または最小化または低減するために、トレンチTが互いに異なる色の光を放出する赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間に配置され得る。
【0063】
一方、トレンチTは互いに同じ色の光を放出する副画素間には配置されなくてもよい。
【0064】
例えば、有機発光ダイオード表示装置110がストライプタイプ(stripe type)である場合、
図1の横方向に沿って赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbが順次繰り返し配置され、
図1の縦方向に沿って同じ色の赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbがそれぞれ配置されるが、トレンチTは
図1の縦方向に沿って異なる色の光を放出する隣接した赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間にライン形態に配置され、
図1の横方向に沿って同じ色の光を放出する副画素間には配置されなくてもよい。
【0065】
バンク146の開口部を通じて露出される第1電極144とバンク146の上部には第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154が順次配置されるが、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152は発光層を構成し、第1電極144、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154は発光ダイオードLEDを構成する。
【0066】
第1スタック148は正孔注入層(hole injecting layer:HIL)、正孔輸送層(holt transporting layer:HTL)、発光物質層(emitting material layer:EML)、電子輸送層(electron transporting layer:ETL)を含むことができ、第1スタック148の発光物質層は赤色光、緑色光、青色光、黄色光のうち一つを放出することができる。
【0067】
電荷生成層(charge generation layer:CGL)は第1スタック148に電子を供給するためのネガティブタイプ(N-type)電荷生成層、第2スタック152に正孔を供給するためのポジティブタイプ(P-type)電荷生成層を含むことができる。
【0068】
第2スタック152は正孔輸送層HTL、発光物質層EML、電子輸送層ETL、電子注入層EILを含むことができ、第2スタック152の発光物質層は赤色光、緑色光、青色光、黄色光のうち一つを放出することができる。
【0069】
第2スタック152の発光物質層は第1スタック148の発光物質層と異なる色の光を放出できるが、例えば、第1スタック148の発光物質層は青色光を放出し第2スタック152の発光物質層は黄色光を放出したり、第1スタック148の発光物質層は青色光を放出し第2スタック152の発光物質層は赤色光および緑色光を放出したりすることができる。
【0070】
第2電極154は透明導電性物質、半透過金属物質または反射率が高い金属物質からなり得る。
【0071】
有機発光ダイオード表示装置110が上部発光方式である場合、第2電極154は光を透過させることができるインジウム-ティン-オキサイド(ITO)、インジウム-ジンク-オキサイド(IZO)のような透明導電性オキサイド(transparent conductive oxide:TCO)、またはマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、マグネシウム-銀の合金(MgAg)のような半透過金属物質(semi-transmissive conductive material)からなり得る。
【0072】
有機発光ダイオード表示装置110が下部発光方式、または両面発光方式である場合、第2電極154はチタン、アルミニウム、チタンの3重層構造(Ti/Al/Ti)、インジウム-ティン-オキサイド、アルミニウム、インジウム-ティン-オキサイドの3重層構造(ITO/Al/ITO)、インジウム-ティン-オキサイド、銀合金、インジウム-ティン-オキサイドの3重層構造(ITO/Ag Alloy/ITO)のように相対的に高い反射率を有する構造で形成され得る。銀合金は銀-パラジウム-銅の合金(Ag-Pd-Cu:APC)であり得る。
【0073】
このような第2電極154は陰極(cathode)であり得る。
【0074】
第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154は、それぞれトレンチTの段差によってトレンチTの上部で分離されて接触せずに赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb別に離隔されるが、トレンチTの側壁でそれぞれ薄い厚さで形成される。
【0075】
例えば、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154は基板140に近づくほど次第に薄くなりながらトレンチTの側壁まで延在し得る。
【0076】
すなわち、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、トレンチTの上部で赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbのうち隣接した2個間の第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154が互いに分離されて離隔し、これに伴い異なる色の光を放出する赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間の側部漏洩電流を減少、または最小化または低減することができる。
【0077】
ここで、第1スタック148、電荷生成層150だけでなく第2スタック152、第2電極154を分離するためには、トレンチTを相対的に広い幅で形成しなければならないが、トレンチTの幅は発光層である第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152の厚さを考慮して決定することができる。
【0078】
例えば、トレンチTの第1幅w1は発光層である第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152の第1厚さt1の0.6倍以上に決定できる(w1≧0.6×t1)。また、トレンチTの第1幅w1は、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152を含む発光層の第1厚さt1の0.8倍以上に決めることができる(w1≧0.6×t1)。トレンチTの第1幅w1が発光層である第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152の第1厚さt1の0.6倍未満である場合、隣接した赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbの発光層である第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154がトレンチTの上部で分離されずに連結され得る。
【0079】
トレンチTの幅が相対的に大きい場合、発光領域が減少し、開口率が減少する。
【0080】
例えば、トレンチTの第1幅w1は約1.0μm以下であり得るが(w1≦1.0μm)。望ましくは、トレンチTの第1幅w1は、0.2μm以上、0.8μm以下であり得る(0.2μm≦w1≦0.8μm)。トレンチTの第1幅w1が約1.0μmを超過する場合、発光領域および開口率が過度に減少して輝度が低下し得る。
【0081】
電荷生成層150と第2電極154はトレンチTの側壁に形成されながら互いに接触する可能性があるが、この場合、電荷生成層150と第2電極154が短絡(shortage)して第2スタック152に電圧が印加されず第2スタック152が発光しない場合がある。
【0082】
これを防止するために、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、トレンチTの上部の電荷生成層150と第2電極154の近接部には絶縁特性を有する酸化部158が形成され、その結果、電荷生成層150と第2電極154の短絡が防止される。
【0083】
第2電極154の上部にはパッシベーション膜156が配置されるが、パッシベーション膜156は第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154の上面と側面の上部に形成され、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を完全に囲んで第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154の上面および側面が露出しないように配置され得る。
【0084】
例えば、パッシベーション膜156は第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154の上面と側面を覆うように延在してトレンチTの側壁に接触し得る。
【0085】
このために、パッシベーション膜156は段差被覆性(step coverage)が優秀な蒸着方法で形成され得る。
【0086】
例えば、パッシベーション膜156は原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)方法で形成され得、アルミニウムオキサイド(AlOx)、シリコンオキサイド(SiOx)、シリコンナイトライド(SiNx)、シリコンオキシナイトライド(SiOxNy)のような無機絶縁物質の単層、または多層からなり得る。
【0087】
すなわち、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、パッシベーション膜156が第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を完全に囲むようにすることによって、外部の水分および酸素が第1および第2スタック148、152に浸透することを最小化または低減することができる。
【0088】
パッシベーション膜156の上部には第1、第2、第3封止層160、162、164が順次配置される。
【0089】
第1および第3封止層160、164はシリコンオキサイド(SiOx)、シリコンナイトライド(SiNx)のような無機絶縁物質からなり、第2封止層162はアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ベンゾシクロブテンのような有機絶縁物質からなり得る。
【0090】
第1、第2、第3封止層160、162、164は外部の水分および酸素を遮断することができる。
【0091】
ここで、第1封止層160は下部のパッシベーション膜156の段差の形状に沿って形成され得るが、パッシベーション膜156が赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間のトレンチTの上部で分離されるので、第1封止層160はトレンチTに対応する段差対応線SMを有することができる。
【0092】
このような段差対応線SMでは第1封止層160の水分および酸素遮断特性が弱化され得、その結果、外部の水分および酸素が第1封止層160の段差対応線を通じて浸透し得る。
【0093】
本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、パッシベーション膜156が第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を完全に囲むようにすることによって、第1封止層160の段差対応線を通じて浸透した外部の水分および酸素を遮断して外部の水分および酸素が第1および第2スタック148、152に浸透することを減少、または最小化することができる。
【0094】
図示してはいないが、第3封止層164の上部には赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbにそれぞれ対応する赤、緑、青のカラーフィルタが配置され得る。
【0095】
以上のように、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間に相対的に広い幅のトレンチTを配置することによって、トレンチTの上部で第1スタック148、電荷生成層150を分離するだけでなく第2スタック152、第2電極154も分離することによって、側部漏洩電流を減少、または最小化または低減することができる。
【0096】
そして、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を囲むパッシベーション膜156を配置することによって、第1、第2、第3封止層160、162、164の段差対応線を通じて浸透した外部の水分および酸素が第1および第2スタック148、152に浸透することを減少、または最小化または低減し、信頼性を向上させることができる。
【0097】
また、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を囲むパッシベーション膜156が外部の水分および酸素を遮断するようにすることによって、第1、第2、第3封止層160、162、164の厚さを減少させ、製造費用を節減することができる。
【0098】
図2の実施例では、第1、第2、第3封止層160、162、164を含む封止部が示されているが、他の実施例では、封止部がn個の封止層(nは整数)を含んでもよい。また、封止部は、無機封止層と有機封止層との間において交互に積層されるn個の封止層を含むことができる。
【0099】
図2の実施例では発光層が第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152の2-スタック構造を有するものを例に挙げたが、他の実施例では発光層が3個以上のスタックと2個以上の電荷生成層の多重スタック構造を有してもよい。この場合にも、トレンチによって3個以上のスタック、2個以上の電荷生成層、第2電極が分離され、パッシベーション膜が3個以上のスタック、2個以上の電荷生成層、第2電極を囲むように配置され得る。
【0100】
このような有機発光ダイオード表示装置110の製造方法を図面を参照して説明する。
【0101】
図3a~
図3fは本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を説明するための図面であり、
図1、
図2を参照しながら説明する。
【0102】
図3aに示したように、基板140の上部の赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbそれぞれに薄膜トランジスタTFTを形成し、薄膜トランジスタTFTの上部の基板140の前面に層間絶縁層142を形成する。
【0103】
以後、層間絶縁層142に薄膜トランジスタTFTを露出するコンタクトホールを形成し、層間絶縁層142の上部の赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPbそれぞれに第1電極144を形成する。
【0104】
第1電極144は層間絶縁層142のコンタクトホールを通じて薄膜トランジスタTFTに連結される。
【0105】
以後、第1電極144の上部の基板140の前面にバンク物質層145を形成する。
【0106】
図3bに示したように、バンク物質層145、層間絶縁層142を食刻して第1電極144の縁部を覆い、第1電極144の中央部を露出する開口部を有するバンク146を形成し、赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間の層間絶縁層142にトレンチTを形成する。
【0107】
図3bの実施例では第1電極144を形成した後にトレンチTを形成するものを例に挙げたが、他の実施例では層間絶縁層142にトレンチTを形成した後に第1電極144を形成してもよい。
【0108】
例えば、層間絶縁層142を形成した後に薄膜トランジスタTFTを露出するコンタクトホールとともにトレンチTを形成してもよい。
【0109】
図3bの実施例ではバンク物質層145を形成した後にトレンチTを形成するものを例に挙げたが、他の実施例では層間絶縁層142にトレンチTを形成した後にバンク物質層145を形成してもよい。
【0110】
図3cに図示した通り、バンク146の開口部を通じて露出される第1電極144とバンク146の上部に第1スタック148、電荷生成層150を順次形成する。
【0111】
第1スタック148、電荷生成層150は熱蒸発(evaporation)のような蒸着工程やインクジェット、塗布のような溶液工程で形成され得る。
【0112】
第1スタック148、電荷生成層150はそれぞれトレンチTの段差によってトレンチTの上部で分離されて接触せずに赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb別に離隔されるが、トレンチTの側壁でそれぞれ薄い厚さで形成される。例えば、トレンチTにおける第1スタック148および電荷生成層150のそれぞれの厚さは、トレンチTを除いた残り部分における第1スタック148および電荷生成層150のそれぞれの厚さより小さくてもよい。
【0113】
例えば、第1スタック148、電荷生成層150は基板140に近づくほど次第に薄くなりながらトレンチTの側壁まで延在する。
【0114】
図3dに図示した通り、電荷生成層150の上部に第2スタック152、第2電極154を順次形成する。
【0115】
第2スタック152は熱蒸発のような蒸着工程やインクジェット、塗布のような溶液工程で形成され得、第2電極154は熱蒸発のような蒸着工程で形成され得る。
【0116】
第2スタック152、第2電極154はそれぞれトレンチTの段差によってトレンチTの上部で分離されて接触せずに赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb別に離隔されるが、トレンチTの側壁でそれぞれ薄い厚さで形成される。
【0117】
例えば、第2スタック152、第2電極154は基板140に近づくほど次第に薄くなりながらトレンチTの側壁まで延在する。
【0118】
第1電極144、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154は発光ダイオードLEDを構成する。
【0119】
電荷生成層150と第2電極154はトレンチTの側壁に形成されながら互いに隣接して近接部157を構成できるが、この場合、電荷生成層150と第2電極154が短絡(shortage)して第2スタック152に電圧が印加されず、第2スタック152が発光しない場合がある。
【0120】
これを防止するために、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、トレンチTの上部の電荷生成層150と第2電極154の近接部157は後続されるパッシベーション膜156形成工程を通じて酸化して絶縁特性を有する酸化部158に変化され、その結果、電荷生成層150と第2電極154の短絡が防止される。
【0121】
図3eに図示した通り、第2電極154の上部にパッシベーション膜156を形成する。
【0122】
パッシベーション膜156は、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154の上面と側面の上部に形成されるが、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を完全に囲んで第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154の上面および側面が露出しないように形成され得る。
【0123】
このために、パッシベーション膜156は段差被覆性(step coverage)が優秀な蒸着方法で形成され得る。
【0124】
例えば、パッシベーション膜156は原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)方法で形成され得、アルミニウムオキサイド(AlOx)、シリコンオキサイド(SiOx)、シリコンナイトライド(SiNx)のような無機絶縁物質からなり得る。
【0125】
ここで、パッシベーション膜156の蒸着に使われる酸素(O2)ガスの流量を調節して電荷生成層150と第2電極154の近接部157を酸化させることができ、その結果、電荷生成層150と第2電極154の近接部157は絶縁特性を有する酸化部158に変化されて電荷生成層150と第2電極154の短絡が防止される。
【0126】
図3fに図示した通り、パッシベーション膜156の上部に第1、第2、第3封止層160、162、164を順次形成する。
【0127】
第1および第3封止層160、164はシリコンオキサイド(SiOx)、シリコンナイトライド(SiNx)のような無機絶縁物質からなり、第2封止層162はアクリル樹脂、エポキシ樹脂のような有機絶縁物質からなり得る。
【0128】
第1および第3封止層160、164は化学気相蒸着(chemical vapor deposition:CVD)方法または原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)方法で形成され、第2封止層162は気相蒸着、プリンティング、スリットコート、インクジェット方法で形成され得る。
【0129】
本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、近接部157を酸化部158に変化させて電荷生成層150と第2電極154の短絡を防止できるが、これを図面を参照して説明する。
【0130】
図4aは比較例に係る有機発光ダイオード表示装置の発光スペクトルを図示した図面であり、
図4bは本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の発光スペクトルを図示した図面であり、
図2を共に参照して説明する。
【0131】
図4aに図示した通り、電荷生成層150と第2電極154が接触して近接部157を形成した後、近接部157を酸化部158に変化させる工程を遂行しない比較例に係る有機発光ダイオード表示装置では、電荷生成層150と第2電極154が短絡して第2スタック152に電圧が印加されないので、第2スタック152は発光せずに第1スタック148のみ発光して発光スペクトルは第1スタック148が放出する青色光に対応する第1ピークp1のみ有する。
【0132】
図4bに図示した通り、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、電荷生成層150と第2電極154が隣接して近接部157を形成した後、パッシベーション膜156形成段階で近接部157を絶縁特性を有する酸化部158に変化させるので、電荷生成層150と第2電極154が短絡せずに第2スタック152に電圧が印加される。
【0133】
これに伴い、第1スタック148だけでなく第2スタック152も発光して、発光スペクトルは第1スタック148が放出する青色光に対応する第1ピークp1と第2スタック152が放出する緑色光および赤色光に対応する第2および第3ピークp2、p3を有し、その結果、第1および第2スタック148、152の発光ダイオードLEDは白色光を放出することができる。
【0134】
以上のように、本発明の実施例に係る有機発光ダイオード表示装置110では、赤、緑、青の副画素SPr、SPg、SPb間に相対的に広い幅のトレンチTを配置することによって、トレンチTの上部で第1スタック148、電荷生成層150を分離するだけでなく第2スタック152、第2電極154も分離することによって、側部漏洩電流を減少、または最小化または低減することができる。
【0135】
そして、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を完全に囲むパッシベーション膜156を配置することによって、第1、第2、第3封止層160、162、164の段差対応線を通じての外部の水分および酸素が第1および第2スタック148、152に浸透することを減少、または最小化または低減し、信頼性を向上させることができる。
【0136】
また、第1スタック148、電荷生成層150、第2スタック152、第2電極154を囲むパッシベーション膜156が外部の水分および酸素を遮断するようにすることによって、第1、第2、第3封止層160、162、164の厚さを減少させ、製造費用を節減することができる。
【0137】
そして、パッシベーション膜156形成段階で電荷生成層150と第2電極154の近接部157を絶縁特性を有する酸化部158に変化させることによって、電荷生成層150と第2電極154の短絡を防止して第1および第2スタック148、152の発光ダイオードLEDが正常に動作するようにすることができる。
【0138】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は下記の特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0139】
110:有機発光ダイオード表示装置
TFT:薄膜トランジスタ
LED:発光ダイオード
144:第1電極
148:第1スタック
150:電荷生成層
152:第2スタック
154:第2電極