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▶ プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085377
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】磁気軸受を評価する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
F04D19/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172814
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】22213500
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ヴィールシュ
(72)【発明者】
【氏名】アドリーアン・ヴィルト
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエール・ジーベン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・コーチ
【テーマコード(参考)】
3H131
【Fターム(参考)】
3H131AA02
3H131BA14
3H131BA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁気軸受を評価する為の装置と方法を企図する。
【解決手段】磁気軸受は、ロータをステータで回転可能に支承するために、複数の磁気要素を有する。装置は、測定装置と評価装置とを備え、前記測定装置は、複数の磁気要素の内のそれぞれの1つの複数の所定の位置における磁場強度の測定値を検出し、前記評価装置は、磁気要素の各々に対して、測定装置によって検出された磁場強度の測定値を受信するために、磁場強度の測定値に基づいて、磁気要素の各々に対する磁化特性を決定するために、前記測定装置と通信可能に接続されている。さらに、評価装置は、磁気軸受の幾何学的形状データを受信し、かつ、幾何学データに基づき且つ磁気要素の磁化特性に基づいて、磁気要素がロータに及ぼす少なくとも1つの合力を決定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にターボ分子ポンプ(111)の磁気軸受(183)を評価する装置(700)であって、
ロータ(149)をステータに回転可能に支承するために、複数の磁気要素(195、197)を備える、前記装置(700)において、
前記装置(700)は、測定装置(710)と評価装置(720)とを備え、
前記測定装置(710)は、複数の磁気要素(195、197)の内のそれぞれの1つの磁気要素の複数の所定の位置における磁場強度の測定値を検出するように構成されていて、
前記評価装置(720)は、前記測定装置(710)と通信可能に接続されていて、かつ
前記評価装置(720)は、
磁気要素(195、197)の各々に対して、測定装置(710)によって検出された磁場強度の測定値を受信するために、
磁場強度の測定値に基づいて、磁気要素(195、197)の各々に対する磁化特性を決定するために、
磁気軸受(183)の所定の幾何学的形状データを受信するために、
磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ磁気軸受(183)の所定の幾何学データに基づいて、磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす少なくとも1つの合力を決定するために、
合力に基づいて、磁気軸受(183)の評価を決定し、かつ出力するために、
構成されている、
ことを特徴とする装置(700)。
【請求項2】
前記評価装置(710)は、さらに、ステータに対するロータ(149)の軸方向の変位に依存して少なくとも1つの合力を決定するために、構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置(700)。
【請求項3】
前記評価装置(710)は、さらに、
それぞれの磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす個々の力の、個々の磁気要素(195、197)のそれぞれの磁化特性に対する依存性を記述する係数行列を形成するために、かつ
それぞれの磁気要素(195、197)の個々の力をベクトル加算することによって、合力を決定するために、
構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(700)。
【請求項4】
前記評価装置(710)は、さらに、
少なくとも1つの合力に基づいて磁気軸受誤差を、及び/又は前記磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ、磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、前記磁気軸受(183)の磁気漂遊磁場を決定し、かつ出力するように
構成されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(700)。
【請求項5】
前記装置(700)は、磁気軸受(183)の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素(195、197)のパラメータを、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受(183)の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変化するために構成されている最適化装置(730)を備える、ことを特徴とする請求項4に記載の装置(700)。
【請求項6】
磁気軸受は、磁気要素が所定数のリング磁石(195、197)を備える永久磁石軸受(183)として構成されていて、かつ
測定装置(710)は、磁気軸受(183)の前記リング磁石(195、197)の各々個々の円周に沿って磁場強度を決定するために構成されている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(700)。
【請求項7】
特にターボ分子ポンプ(111)の磁気軸受(183)を評価する方法であって、
前記磁気軸受は、ロータ(149)をステータに回転可能に支承するために複数の磁気要素(195、197)を備える前記方法において、
前記方法は、
a)磁場強度の測定値が、複数の磁気要素(195、197)の内のそれぞれの1つの磁気要素の複数の所定の位置で検出される、
b)磁気要素(195、197)の各々に対しての磁化特性が、磁場強度の測定値に基づいて決定される、
c)磁気軸受(183)の所定の幾何学的データが受信される、
d)磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づいて、かつ磁気軸受(183)の所定の幾何学データに基づいて、磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす少なくとも1つの合力が決定される、
e)合力に基づいて、磁気軸受(183)の評価が決定され、かつ出力される、
ことを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
少なくとも1つの合力は、ステータに対するロータ(149)の軸方向変位に依存して決定される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの磁気要素(195、197)がロータ(149)に対して及ぼす個々の力の、個々の磁気要素(195、197)のそれぞれの磁化特性に対する依存性を記述する係数行列が形成され、かつ
それぞれの磁気要素(195、197)の個々の力をベクトル加算することによって合力が決定される、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの合力基づいて磁気軸受誤差が、及び/又は
磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ、磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、前記磁気軸受(183)の磁気漂遊磁場が
さらに決定される、
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
磁気軸受(183)の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素のパラメータは、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受(183)の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変更される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
磁気軸受は永久磁石軸受(183)として構成されていて、かつ磁気要素が所定数N個のリング磁石(195、197)を備え、
磁気要素(195、197)のパラメータの変更は、
リング磁石(195、197)の所定の数N個よりも大きい所定の複数のM個のリング磁石(195、197)が提供され、
N個のリング磁石(195、197)からなる組み合わせは所定の数M個のリング磁石(195、197)から選択され、この組み合わせのために、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の浮遊磁場は所定の最適化条件を満たす、
ことを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
磁気軸受を形成するN個のリング磁石(195、197)のすべての可能な組み合わせが、所定の複数のM個のリング磁石(195、197)について決定され、かつ
N個のリング磁石(195、197)の決定されたこれらの組合せの各々について、方法のステップa)~e)は、
それぞれの組合せに対して、それぞれの少なくとも1つの合力に基づいてそれぞれの磁気軸受誤差を、及び/又はそれぞれの組合せのN個のリング磁石(195、197)の磁化特性に基づいてかつ磁気軸受(183)の所定の幾何学的形状データに基づいて、それぞれの浮遊磁場を、決定するために実行され、かつ
N個のリング磁石(195、197)の前記組み合わせのうち、それぞれの磁気軸受誤差及び/又はそれぞれの磁気漂遊磁場は、所定の最適化条件を最良に満たす組み合わせが選択される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が磁気軸受(183)の軸方向に沿って実質的に一定のままであることを含む、
及び/又は
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場のそれぞれの量が所定の閾値よりも小さいことを含む、
ことを特徴とする請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
N個のリング磁石(195、197)を有する永久磁石軸受(183)を備える真空ポンプ、特にターボ分子ポンプ(111)であって、
前記リング磁石(195、197)は、所定の数M個のリング磁石(195、197)から、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法に従って、永久磁石軸受(183)の磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場が所定の最適化条件を満たすように、選択されている
真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気軸受を評価する装置及び方法に関する。さらに本発明は、前記装置及び/又は前記方法を用いて真空ポンプの磁気軸受が最適化される真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ、特にターボ分子ポンプにおいて、一般的な磁気軸受は、ポンプの急速回転するロータをステータで支承するために使用される。多くの場合、ターボ分子ポンプは、ロータがポンプの低圧側の転がり軸受と、ポンプの高真空側に配置されている永久磁石を有する磁気軸受とからなる組み合わせによって支持されるハイブリッド軸受を備える。このような永久磁石軸受は、それぞれ数対のリング磁石を有するロータ部とステータ部とを含む。リング磁石は、軸方向に磁化されている、すなわちターボ分子ポンプのロータの回転軸線に対して平行に磁化されていて、互いに同心に配置され、かつ反発するように構成されている。これは、磁気軸受のステータ部分とロータ部分におけるリング磁石の磁化が、連続するリングにおいて互いに反対に配向することを意味する。
【0003】
他の回転体と同様、真空ポンプのロータは、常に、半径方向における力をもたらすある程度の残留アンバランスを有する。これらの力は、真空ポンプの転がり軸受と永久磁石軸受を介して真空ポンプのハウジングに伝達でき、振動と騒音をもたらす。しかしながら、例えば、電子顕微鏡又はイオン移動度分光計などの特定の用途では、使用されるターボ分子ポンプで非常に低い振動レベルが要求される。
【0004】
したがって、これらの用途及び他の用途では、ターボ分子ポンプの振動と騒音を最小限に抑えることが必要である。これは、一方では、最適化されたバランシングによってロータの残留アンバランスが最小化されることによって、他方では、ステータ又は真空ポンプのハウジングに対するロータの軸受が分析され、かつ改善されることによって行うことができる。本出願は、真空ポンプのロータのための磁気軸受のそのような分析及び改善に関する。
【0005】
一方では、理想的に磁化されたリング磁石は、リング磁石又は支承されるべきロータの対称軸線に正確に対応する磁化軸線を有し、他方では、そのような理想的なリング磁石の磁性材料は完全に均一である。しかしながら、実際には、リング磁石の磁化は、様々な要因又は磁化特性のために、理想的なリング磁石の磁化から逸脱する。例えば、リング磁石の磁気的な優先方向が、その対称軸線又はロータの対称軸線から逸脱する角度誤差が生じる可能性がある、且つリング磁石の磁性材料は不均一性を有する可能性がある。加えて、実際の磁化の回転対称の傾斜は、リング磁石の円周に沿って発生する可能性があり、これは、北/南非対称(独語:Nord/Sued-Asymmetrie)と称される。さらに、リング磁石は、例えば、所望の寸法に対して、及び、それぞれのリング磁石の中の又はそれぞれのリング磁石の上のマイクロクラック又は剥離部によって、理想的なリング磁石の形状の機械的な偏差を有してもよい。
【0006】
リング磁石の個々の磁化特性によって、永久軸受全体に付加的な力、特に半径方向の力が生じる。半径方向の力の場合、ターボ分子ポンプのロータの急速な回転は、磁気軸受誤差とも称される調和的に又は周期的に循環する半径方向の力をもたらす。したがって、磁気軸受誤差は、この半径方向の力と同じように、大きさと角度方向を伴うベクトルである。このような磁気軸受誤差は、特に低回転数の場合に、ターボ分子ポンプ内のロータの運転特性に影響を及ぼす。
【0007】
加えて、ターボ分子ポンプの動作中のロータの温度上昇は、ロータのリング磁石とステータのリング磁石との間の軸方向の変位を引き起こす可能性があり、ロータの軸方向の力のさらなる変化をもたらす。回転する半径方向の力及びそれに対応する磁気軸受誤差は、このような軸方向の変位に強く依存することが分かった。これは、ターボ分子ポンプのロータの始動に影響を及ぼす可能性があり、ポンプは、この動作中に振動及び音響的に目立ち、上述の用途の妨げになる可能性がある。加えて、増大した浮遊磁場は、そのようなターボ分子ポンプによって引き起こされる可能性があり、可能な限り低い浮遊磁場を必要とするこのような用途を妨害する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、磁気軸受を最適化するために、磁気軸受の磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の浮遊磁場を低減することができる磁気軸受の評価を可能にする装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、独立請求項の特徴を有する装置及び方法によって解決される。発明の有利な発展は、従属請求項、明細書及び図面に記載されている。
【0010】
装置は、磁気軸受、特にターボ分子ポンプの磁気軸受を評価するために企図されている。磁気軸受は、ロータをステータで回転可能に支承するために、複数の磁気要素を有する。装置は測定装置と評価装置とを備え、前記測定装置は、複数の磁気要素の内のそれぞれの1つの複数の所定の位置における磁場強度の測定値を検出するように構成されていて、かつ前記評価装置は、前記測定装置と通信可能に接続されている。
【0011】
評価装置は、磁気要素の各々に対して、測定装置によって検出された磁場強度の測定値を受信するために、かつ磁場強度の測定値に基づいて、磁気要素の各々に対する磁化特性を決定するために、構成されている。評価装置はさらに、磁気軸受の所定の幾何学的形状データを受信するために、所定の幾何学的形状データに基づいて、及び磁気要素の各々の磁化特性に基づいて、磁気要素がロータに及ぼす少なくとも1つの合力を決定するために、構成されている。さらに、評価装置は、合力に基づいて、磁気軸受の評価を決定し、かつ出力するように構成されている。
【0012】
それぞれの磁気要素の所定の複数の位置における磁場強度の検出は、例えば、磁気要素のそれぞれの円周に沿って、等間隔の測定点で磁場強度か検出されることを含んでもよい。さらに、例えば45°又は90°の角度にわたって延在し得るそれぞれの磁気要素のリングセグメントの磁場強度は、例えば、それぞれのリングセグメント内に位置するその磁場強度の測定点を平均することによって統合することができる。測定装置は、例えば、1つ又は複数のホールプローブを備えてもよい。
【0013】
それぞれの磁気要素の磁化特性は、それぞれの磁気要素のセグメント若しくはセクションに対して、又は磁気要素全体に対する、合成ベクトルとして、決定される、1つ又は複数の磁化ベクトルによって表すことができる。磁化特性はまた、それぞれの磁気要素の理想的な磁化からの偏差を含むか、又は表してもよい。理想的な磁化からのこれらの偏差は、磁気要素の対称軸線に対する、合成磁化ベクトルの角度誤差、磁化の不均一性、及び北/南非対称性を含んでもよい。北/南非対称性は、それぞれの局所磁化方向が、磁気要素の対称軸線に対してそれぞれの磁気要素の円周に沿って傾斜することによって引き起こされる。理想的な磁化からの偏差は、磁気軸受全体の磁化の平均値に基づく、大きさに関して局所的な偏差が生じるという事によっても引き起こされる可能性があり、その際、局所的な磁化は、それぞれ、位置に依存する磁化ベクトルによって記述される。理想的な磁化からの逸脱はさらに、それぞれの磁気要素の機械的欠陥によって引き起こされる可能性があり、これは、磁気要素の所定の寸法からの逸脱、マイクロクラック、及び剥離部を含んでもよい。
【0014】
磁気軸受の所定の幾何学的形状データは、磁気軸受のそれぞれの磁気要素の寸法、磁気軸受内の磁気要素の数、及びそれらの互いからのそれぞれの距離を含んでもよい。磁気要素がロータに及ぼす少なくとも1つの合力を決定するために、磁気軸受内に存在する磁気要素のそれぞれの磁化特性がそれぞれの磁気要素によって及ぼされるそれぞれの力に及ぼす影響を記述する係数行列を形成することができる。合力は、それぞれの磁気要素のこれら個々の力のベクトル加算によって決定することができる。
【0015】
したがって、本発明による方法は、所定の幾何学的形状データを使用して、磁気軸受が複数の磁気要素から組み立てられる前に、磁気要素がロータに及ぼす少なくとも1つの合力の予測を可能にする。合力の予測は、複数の磁気要素から組み立てられる磁気軸受の評価を可能にし、この合力は、例えば、ロータをステータで最適に支承することを実現するために、可能な限り低くする必要がある。したがって、装置は、合力を予測し、かつこれに基づいて磁気軸受を評価することによって、その最適化の基礎を提供するという事を特徴とする。
【0016】
一実施形態によれば、評価装置はさらに、ステータに対するロータの軸方向の変位に依存して少なくとも1つの合力を決定するために、構成することができる。例えばターボ分子ポンプにおける磁気軸受の最適な運転特性のために、予測された合力は、ステータに対するロータの軸方向の変位に可能な限り依存しないようにすべきであることが分かった。したがって、ステータに対するロータの軸方向の変位に応じて、合力を決定することは、磁気軸受を評価するためのさらなる基準を表す。これによって、磁気軸受を最適化するとき、合力が、ロータとステータとの間の軸方向の変位に可能な限り依存しないようにすべきであることを考慮でき、磁気軸受のための磁気要素が、対応して選択することができるか、又は設計することができる。さらに、ロータとステータとの間の軸方向の変位に対する合力の可能な限り依存性しないようにするために、磁気軸受の所定の幾何学的形状データを調整することができる。
【0017】
評価装置は、さらに、個々の磁気要素のそれぞれの磁化特性に対するそれぞれの磁気要素がロータに及ぼす個々の力の依存性を記述する係数行列を形成するために、かつそれぞれの磁気要素の個々の力をベクトル加算することによって、合力を決定するために、構成されている。したがって、係数行列は、測定装置を用いて磁場強度の各々の測定から生じる個々の磁気要素のそれぞれの磁化特性と、合力との間の関連性を確立するように使用してもよい。さらに、係数行列の使用は、磁気軸受が、装置の反復的な適用によって合力に関して最適化される場合、単一又は複数の磁気要素の交換を容易にできる。
【0018】
評価装置はさらに、磁気軸受誤差を少なくとも1つの合力に基づいて、及び/又は磁気軸受の浮遊磁場を磁気要素の各々の磁化特性に基づき、かつ、気軸受の所定の幾何学的形状データに基づいて、決定し、かつ出力するように構成することができる。最初にすでに説明したように、磁気軸受誤差は、個々の磁気要素の磁化特性から生じ、ロータの回転によって引き起こされる、調和的に循環する半径方向の力によって引き起こされる。したがって、磁気軸受誤差は、少なくとも1つの合力から導出することができ、これと同様に、磁気軸受誤差は、大きさ及び角度方向又は角度位置を有するベクトルである。磁気軸受誤差及び磁気軸受の浮遊磁場は、磁気軸受を評価及び最適化するための代替的な基準又は追加の基準を示すことができる。磁気軸受誤差、磁気軸受の浮遊磁場、又は両方の変数が磁気軸受を評価するために使用されるかどうかは、磁気軸受、又は例えばそのような軸受を含むターボ分子ポンプを使用すべきであるそれぞれの環境に依存してもよい。例えば、ターボ分子ポンプの磁気軸受が、例えば、磁気軸受誤差の最小化に関して、又は磁気軸受の浮遊磁場の最小化に関して最適化されるかどうかは、ターボ分子ポンプの使用用途に依存する可能性がある。
【0019】
さらに、装置は、磁気軸受の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素のパラメータを、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変化するために構成されている最適化装置を備えてもよい。評価装置は、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受全体の浮遊磁場の予測を出力することができるので、さらに、磁気軸受を改善又は最適化するために、即ち磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊磁場に関して改善又は最適化するために、磁気軸受の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素のパラメータ若しくは特性をどのように変更すべきかについて、装置が最適化装置によって決定し、情報を提供することが企図することができる。
【0020】
最適化条件は、例えば、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が、大きさに関して可能な限り小さくすることを含まれる可能性がある。磁気軸受の幾何学的データの変更は、例えば、磁気軸受内の磁気要素の数、磁気要素の寸法、及び/又は磁気要素間の距離を変更し、その後、再度、少なくとも1つの合力を、又は再度、磁気軸受誤差及び浮遊磁場を決定し、反復プロセスに従ってこれらを、力、磁気軸受誤差、及び/又は磁気浮遊磁場の以前に決定された値と比較することを含む可能性がある。
【0021】
同様の方法で、磁気要素のパラメータを、即ち、例えば、それらの磁化及び/又は寸法を変更することによって変更することができる。さらに、1つ又は複数の磁気要素が、測定装置が複数の所定の位置における磁場強度の測定値を以前に検出した他の磁気要素によって置き換えられることを企図することができる。このようにして、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場に関して、提供される磁気要素のグループ及びそれらのデータベースに対して最適化された磁気軸受は、全体的に構成することができる。
【0022】
さらなる実施形態によれば、磁気軸受は、磁気要素が所定数のリング磁石を備える永久磁石軸受として構成することができる。所定数のリング磁石は、例えばターボ分子ポンプ内で、それぞれがロータ又はステータに割り当てられている内側及び外側リング磁石を備えてもよい。リング磁石を有する永久磁石軸受の使用は、費用効果が高く、ロバストな磁気軸受の設計を可能にすることができる。
【0023】
そのような永久磁石軸受に対して、測定装置は、磁気軸受のリング磁石の各々個々の円周に沿って磁場強度を決定するために構成することもできる。このような決定のために、ホールプローブを使用することができる。磁場強度は、それぞれのリング磁石の円周に沿った所定数の測定点について決定することができ、磁場強度は、例えば、それぞれのセグメントに存在する測定点にわたって平均化することによって、リング磁石のセグメントについて統合することができる。セグメントは、例えば、45°又は90°の角度にわたって延在できる。磁場強度についての測定データのこの統合は、デバイスが結果を決定するために、すなわち、少なくとも1つの合力、磁気軸受誤差、及び/又は磁気浮遊場を決定するために必要とする計算時間を短縮することができる。
【0024】
さらなる態様によれば、ロータをステータに回転可能に支承するために、複数の磁気要素を有する(特に、ターボ分子ポンプの)磁気軸受を評価する方法がさらに企図されている。
前記方法は、
a)磁場強度の測定値が、複数の磁気要素の各々の複数の所定の位置で検出され、
b)磁気要素の各々についての磁化特性が、例えばリング磁石のセグメントについて平均化した形で、磁場強度の測定値に基づいて決定され、
c)磁気軸受の所定の幾何学的データが受信され、
d)磁気要素の各々の磁化特性に基づいて、かつ磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、磁気要素がロータに及ぼす少なくとも1つの合力が決定され、
e)合力に基づいて、磁気軸受の評価が決定され、かつ出力される
ことを含む。
【0025】
したがって、上述の装置は、測定装置及び評価装置を用いて、方法のステップa)~e)を実行することが企図されている。したがって、本発明による装置に関する上記の説明は、本発明による方法、特に、開示、利点、及び好ましい実施形態にも準用される。
【0026】
少なくとも1つの合力は、ステータに対するロータの軸方向の変位に依存して決定することができる。それぞれの磁気要素がロータに及ぼす個々の力の、個々の磁気要素のそれぞれの磁化特性の依存性を記述する係数行列を形成することができる。合力は、それぞれの磁気要素の個々の力のベクトル加算によって決定することができる。さらに、磁気軸受誤差を少なくとも1つの合力に基づいて、及び/又は、磁気軸受の浮遊磁場を磁気要素の各々の磁化特性に基づいて、かつ磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて決定することができる。
【0027】
さらに、磁気軸受の所定の幾何学的形状データ及び/又は磁気要素のパラメータは、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変更することができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、磁気軸受は、永久磁石軸受として構成することができ、かつ磁気要素は、所定の数N個のリング磁石を備えてもよい。磁気要素のパラメータを上述のように変更することは、磁気軸受を形成又は組み合わせるために必要とされるリング磁石の所定の数N個よりも大きい所定の複数のM個のリング磁石が、提供されることを含んでもよい。N個のリング磁石の組み合わせは、所定の数M個のリング磁石から選択することができ、その際、この組み合わせの場合には、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の浮遊磁場は、所定の最適化条件を満たす。
【0029】
例えば、数M個が50でもよく、その結果、磁気軸受のためのリング磁石は、50個のリング磁石のバッファ又はストックから選択される。磁気軸受を形成又は組み立てるための所定数N個のリング磁石は、ターボ分子ポンプの場合、例えば10個でもよく、その際、5個のリング磁石がロータのために設けられてもよく、さらなる5個のリング磁石がステータのために設けられてもよい。しかしながら、例えば、最初にステータ用に5個のリング磁石が固定的に選択され、バッファ内の残りのリング磁石のうち、磁気軸受全体、すなわち組み立てられた磁気軸受の、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように、本方法に従ってロータ用に5個のリング磁石の組み合わせが選択されることも可能であり、この最適化条件によれば、例えば、両方が最小化される。したがって、両方の場合において、本方法は、バッファのM個のリング磁石について、N個のリング磁石の最良の組み合わせを決定することを可能にする。
【0030】
さらなる実施形態によれば、磁気軸受を形成するN個のリング磁石のすべての可能な組み合わせを、所定の複数のM個のリング磁石について決定することができる。N個のリング磁石の決定されたこれらの組合せの各々について、方法のステップa)~e)は、それぞれの磁気軸受誤差をそれぞれの組合せのN個のリング磁石の磁化特性に基づいて、及び/又は磁気軸受のそれぞれの浮遊磁場をそれぞれの組合せのN個のリング磁石の磁化特性に基づいて、かつ磁気軸受の所定の幾何学的形状データに基づいて、それぞれの組合せに対して決定するために実行することができる。最後に、(N個のリング磁石の組み合わせのうち)それぞれの磁気軸受誤差及び/又はそれぞれの磁気漂遊磁場は、所定の最適化条件を最良に満たす、N個のリング磁石の組み合わせを選択することができる。
【0031】
磁気軸受を形成するN個のリング磁石の可能な組合せは、繰り返しなしの順列として決定することができる。さらに、磁気軸受におけるリング磁石の順序を考慮に入れることができる。したがって、ロータにおいて少なくとも1つの合力を予測する方法のステップa)~e)は、決定された組み合わせの各々について反復的に実行することができる。磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が所定の最適化条件に最も近づく「最良の」組合せを選択することによって、複数のM個のリング磁石について、所定の最適化条件に従ってN個のリング磁石のより良い組合せが実際に見つからないことを保証することができる。
【0032】
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が磁気軸受の軸方向に沿って実質的に一定のままであることを含む可能性がある。この文脈における「実質的に一定」とは、磁気軸受の軸方向に沿った磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場の量及び/又は角度方向若しくは角度位置の最大相対偏差を超えず、例えば、最大1~5%の量であることを意味する。したがって、最適化条件は、磁気軸受誤差の大きさ及び角度位置若しくは位相が、軸方向に沿ってわずかな変更しか許容されないと規定されている。したがって、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が可能な限り一定であるという所定の最適化条件は、軸方向での磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊磁場が可能な限り平坦な曲線を有するようにすることができる。例えば、ターボ分子ポンプの場合、磁気軸受誤差又は半径方向力のそのような平坦な曲線は、ターボ分子ポンプの磁気軸受又はロータの最適化されて滑らかな運転挙動をもたらすことが分かった。
【0033】
代替的に又は追加的に、所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場のそれぞれの量が所定の閾値よりも小さいことを含んでもよい。この代替的な最適化条件によれば、可能な限り小さい磁気軸受誤差及び/又は可能な限り低い漂遊磁場を達成すべきである。これは、例えば、(例えば、特定の環境で使用されるターボ分子ポンプのための)磁気軸受の使用のために設定できる。
【0034】
さらなる態様によれば、特にターボ分子ポンプである真空ポンプが企図されている。真空ポンプは、N個のリング磁石を有する永久磁石軸受を備え、前記リング磁石は、所定の数M個のリング磁石から、上述の方法に従って、永久磁石軸受の磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場が所定の最適化条件を満たすように、選択されている。
所定の最適化条件は、
磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が、磁気軸受の軸方向に沿って若しくは磁気軸受の軸方向に沿った変位中に、実質的に一定のままである、
及び/又は
磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場のそれぞれの量が所定の閾値よりも小さい、
ことを含んでもよい。
【0035】
本発明は、単なる典型例として有利な実施形態を用いて、添付の図面を参照しつつ、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ターボ分子ポンプの斜視図を示す。
図2図1のターボ分子ポンプの下側の図を示す。
図3図2に示す切断線A-Aに沿ったターボ分子ポンプの横断面図を示す。
図4図2に示す切断線B-Bに沿ったターボ分子ポンプの横断面図を示す。
図5図2に示す切断線C-Cに沿ったターボ分子ポンプの横断面図を示す。
図6】永久磁石軸受のリング磁石の異なる磁化特性の図を示す。
図7】磁気軸受を評価装置のブロック図を示す。
図8】磁気軸受を評価する装置によって実行されるアルゴリズムのブロック図を示す。
図9】最適化されていない永久磁石軸受及び最適化された永久磁石軸受についての、ロータとステータとの間の軸方向変位による磁気軸受誤差の経過に対する典型例の図を示す。
図10】永久磁石軸受を最適化する方法ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に示したターボ分子ポンプ111は、入口フランジ113によって包囲されたポンプ入口115を有し、このポンプ入口に、それ自体周知のように、図示してないレシピエントを接続することができる。レシピエントからのガスは、ポンプ入口115を介してレシピエントから吸い込まれ、ポンプを経てポンプ出口117へ移送することができ、このポンプ出口には、例えば回転ベーンポンプのような予備真空ポンプを接続することができる。
【0038】
入口フランジ113は、図1による真空ポンプの整向時に、真空ポンプ111のハウジング119の上端を構成する。ハウジング119は、電子機器ハウジング123を横に配置した下部121を有する。電子機器ハウジング123内に、例えば真空ポンプ内に配置された電気モータ125を作動させるために、真空ポンプ111の電気及び/又は電子部品が収納されている(図3も参照)。電子機器ハウジング123には、アクセサリ用の複数のポート127が設けられている。加えて、例えばRS485規格によるデータインタフェース129と電力供給ポート131が電子機器ハウジング123に配置されている。
【0039】
このように取り付けられた電子機器ハウジングを備えるのではなく、外部の駆動電子機器に接続されるターボ分子真空ポンプも存在する。
【0040】
ターボ分子ポンプ111のハウジング119には、特に通気弁の形態の通気入口133が設けられ、この通気入口を介して、真空ポンプ111は、通気をすることができる。更にまた、下部121の領域には、掃気ガスポートとも呼ばれるシールガスポート135が配置され、掃気ガスポートを介して、掃気ガスが、ポンプによって移送されるガスから電気モータ125(例えば図3参照)を保護するために、モータスペース137-このモータスペース内で、電気モータ125は真空ポンプ111内に収納されている-へ導入することができる。更にまた、下部121内には、2つの冷却剤ポート139が配置され、これら冷却剤ポートの一方は、冷却剤用の入口として設けられ、他方の冷却剤ポートは、冷却剤用の出口として設けられ、この冷却剤は、冷却のために真空ポンプ内に導入することができる。他の既存のターボ分子真空ポンプ(図示してない)は、空気冷却だけで作動させられる。
【0041】
真空ポンプの下側141は、スタンド面として使用することができるので、真空ポンプ111は、下側141の上に立った状態で作動させることができる。しかしながら、真空ポンプ111は、入口フランジ113を介してレシピエントに固定され、これにより、ある程度吊り下がった状態で作動されてもよい。加えて、真空ポンプ111は、図1に示したものとは違うように整向されている時でも作動させ得るように構成することができる。下側141が下を向くのではなく、横に向くか、上を向くように整向して配置することができる真空ポンプの実施形態を実現することもできる。この場合、基本的に、任意の角度が可能である。
【0042】
特にここに図示したポンプよりも大きい他の既存のターボ分子真空ポンプ(図示してない)は、直立状態で作動させることはできない。
【0043】
図2に図示した下側141には、更に、種々のボルト143が配置され、これらボルトによって、ここではそれ以上は特定されていない真空ポンプの部品が互いに固定されている。例えば、軸受カバー145は、下側141に固定されている。
【0044】
加えて、下側141には、固定孔147が配置され、これら固定孔を介して、ポンプ111は、例えば載置面に固定することができる。これは、特に個々に図示したポンプよりも大きい他の既存のターボ分子真空ポンプの場合は可能でない。
【0045】
図2~5には、冷却剤ライン148が図示され、この冷却ライン内を、冷却剤ポート139を介して導入及び導出される冷却剤が循環できる。
【0046】
図3~5の断面図が示すように、真空ポンプは、ポンプ入口115に存在するプロセスガスをポンプ出口117へ移送するために複数のプロセスガスポンプ段を有する。
【0047】
ハウジング119内に、ロータ149が配置され、このロータは、回転軸151を中心として回転可能なロータシャフト153を備える。
【0048】
ターボ分子ポンプ111は、ロータシャフト153に固定された複数の半径方向のロータディスク155と、ロータディスク155の間に配置されかつハウジング119に固定されたステータディスク157を有する、ポンプに有効に互いに直列に介装された複数のターボ分子ポンプ段を有する。この場合、ロータディスク155と隣接するステータディスク157が、それぞれ1つのターボ分子ポンプ段を構成する。ステータディスク157は、スペーサリング159によって互いに所望の軸方向の間隔を置いて保持されている。
【0049】
加えて、真空ポンプは、半径方向に互いに入れ子式に配置され、ポンプに有効に互いに直列に介装されたホルベックポンプ段を有する。ホルベックポンプ段を備えない他の既存のターボ分子真空ポンプが存在する。
【0050】
ホルベックポンプ段のロータは、ロータシャフト153に配置された1つのロータハブ161と、ロータハブ161に固定されかつこのロータハブによって支持された2つのシリンダシェル状のホルベックロータスリーブ163,165を有し、これらホルベックロータスリーブは、回転軸151に対して同軸に整向され、半径方向に互いに入れ子式に介装されている。更に、2つのシリンダシェル状のホルベックステータスリーブ167,169が設けられ、これらホルベックステータスリーブも同様に回転軸151に対して同軸に整向され、半径方向に見て互いに入れ子式に介装されている。
【0051】
ホルベックポンプ段のポンプ活性表面は、ホルベックロータスリーブ163,165及びホルベックステータスリーブ167,169のシェル面、即ち半径方向の内面及び/又は外面によって構成されている。外側のホルベックステータスリーブ167の半径方向の内面は、半径方向のホルベックギャップ171を形成しつつ外側のホルベックロータスリーブ163の半径方向の外面に対向し、この半径方向の外面と共に、ターボ分子ポンプ段の後に続く第1のホルベックポンプ段を構成する。外側のホルベックロータスリーブ163の半径方向の内面は、半径方向のホルベックギャップ173を形成しつつ内側のホルベックステータスリーブ169の半径方向の外面に対向し、この半径方向の外面と共に第2のホルベックポンプ段を構成する。内側のホルベックステータスリーブ169の半径方向の内面は、半径方向のホルベックギャップ175を形成しつつ内側のホルベックロータスリーブ165の半径方向の外面に対向し、この半径方向の外面と共に第3のホルベックポンプ段を構成する。
【0052】
ホルベックロータスリーブ163の下端に、その介在により半径方向外側に位置するホルベックギャップ171を中央のホルベックギャップ173と接続する、半径方向に延在する通路を設けることができる。加えて、内側のホルベックステータスリーブ169の上端に、その介在により中央のホルベックギャップ173を半径方向内側に位置するホルベックギャップ175と接続する、半径方向に延在する通路を設けることができる。これにより、互いに入れ子式に介装されたホルベックポンプ段は、互いに直列に接続される。更に、半径方向内側に位置するホルベックロータスリーブ165の下端に、出口117への接続通路179を設けることができる。
【0053】
ホルベックステータスリーブ167,169の前記ポンプ活性表面は、それぞれ、回転軸151を中心としてらせん状に軸方向に延在する複数のホルベック溝を備える、一方、対向するホルベックロータスリーブ163,165のシェル面は、平滑に形成され、真空ポンプ111を作動させるために、ホルベック溝内のガスを推進する。
【0054】
ロータシャフト153を回転可能に軸受けするために、転がり軸受181がポンプ出口117の領域に設けられ、永久磁石軸受183が、ポンプ入口115の領域に設けられている。
【0055】
転がり軸受181の領域で、ロータシャフト153に、転がり軸受181に向かって増加する外径を有する円錐形のスプレーナット185が設けられている。スプレーナット185は、作動媒体蓄積器の少なくとも1つのワイパと滑り接触している。他の既存のターボ分子真空ポンプ(図示してない)の場合、スプレーナットの代わりに、スプレーボルトを設けることができる。従って異なる構成が可能であるので、これに関連して「スプレー先端」との用語も使用される。
【0056】
作動媒体蓄積器は、上下に積み重ねられた複数の吸湿性のディスク187を有し、これらディスクは、転がり軸受181用の作動媒体、例えば潤滑剤を吸収している。
【0057】
真空ポンプ111の作動中、作動媒体は、毛管作用によって作動媒体蓄積器からワイパを介して回転するスプレーナット185へ伝達され、遠心力のために、スプレーナット185に沿ってスプレーナット185の外径が大きくなる方向に転がり軸受181に向かって移送され、そこで、作動媒体は、例えば潤滑機能を満足する。転がり軸受181と作動媒体蓄積器は、真空ポンプ内で桶状のインサート189と軸受カバー145によって包囲されている。
【0058】
永久磁石軸受183は、ロータ側の軸受半体191とステータ側の軸受半体193を有し、これら軸受半体は、軸方向に上下に積み重ねられた複数の永久磁石リング195,197から成るそれぞれ1つのリングスタックを有する。リング磁石195,197は、互いに半径方向の軸受ギャップ199を形成しつつ対向し、ロータ側のリング磁石195は、半径方向外側に配置され、ステータ側のリング磁石197は、半径方向内側に配置されている。軸受ギャップ199内に存在する磁場は、リング磁石195,197の間に、ロータシャフト153の半径方向の軸受けを生じさせる磁気的反発力を惹起する。ロータ側のリング磁石195は、ロータシャフト153のキャリヤ部分201によって支持され、このキャリヤ部分は、リング磁石195を半径方向外側から包囲する。ステータ側のリング磁石197は、ステータ側のキャリヤ部分203によって支持され、このキャリヤ部分は、リング磁石197を経て延在し、ハウジング119の半径方向のブレース205に懸架されている。回転軸151に対して平行に、ロータ側のリング磁石195は、キャリヤ部分201と連結されたカバー要素207によって固定されている。ステータ側のリング磁石197は、回転軸151に対して平行に、1つの方向に、キャリヤ部分203と結合された固定リング209並びにキャリヤ部分203と結合された固定リング211によって固定されている。加えて、固定リング211とリング磁石197の間に、皿バネ213を設けることができる。
【0059】
磁石軸受内に、緊急もしくは安全軸受215が設けられ、この緊急もしくは安全軸受は、真空ポンプ111の標準的な作動中に、接触することなく空転し、ステータに対して相対的にロータ149が過度に半径方向に変位した時に初めて、ロータ149用の半径方向ストッパを構成するために係合するが、これは、ステータ側の構造物とロータ側の構造物の衝突が防止されるために行なわれる。安全軸受215は、無潤滑の転がり軸受として形成され、ロータ149及び/又はステータと共に、安全軸受215が標準的なポンプ作動中に解放されていることを生じさせる半径方向のギャップを構成する。安全軸受215が係合する半径方向の変位は、安全軸受215が真空ポンプの標準的な作動中には係合しないように十分大きく、同時に、ステータ側の構造物とロータ側の構造物の衝突が全ての状況下で防止されるように十分小さく、設定されている。
【0060】
真空ポンプ111は、ロータ149を回転させるための駆動装置として電気モータ125を有する。電気モータ125のアンカーは、ロータ149によって構成され、このロータのロータシャフト153は、モータステータ217を経て延在する。モータステータ217を経て延在するロータシャフト153の部分には、半径方向外側に又は埋設されて、永久磁石装置を配置することができる。モータステータ217とモータステータ217を経て延在するロータ149の部分との間に、中間スペース219が配置され、この中間スペースは、半径方向のモータギャップを有し、このモータギャップを介して、モータステータ217と永久磁石装置は、駆動トルクを伝達するために磁気的影響を受け得る。
【0061】
モータステータ217は、ハウジング内で、電気モータ125のために設けられたモータスペース137内に固定されている。シールガスポート135を介して、掃気ガスとも呼ばれかつ例えば空気又は窒素であり得るシールガスがモータスペース137内へ達し得る。シールガスを介して、電気モータ125は、プロセスガス、例えばプロセスガスの腐食作用成分、から保護することができる。モータスペース137は、ポンプ出口117を介して真空引きすることもでき、即ちモータスペース137内は、少なくともほぼ、ポンプ出口117に接続された予備真空ポンプによって生じさせられた真空圧力が支配する。
【0062】
加えて、ロータハブ161とモータスペース137を画成する壁221との間には、特に、半径方向外側に位置するホルベックポンプ段に対するモータスペース217の良好なシールを達成するために、それ自体周知のいわゆるラビリンスシール223を設けることができる。
【0063】
図6には、永久磁石軸受183のリング磁石195、197の異なる磁化特性が概略的に示されている。上の4つの図は、リング磁石195、197のうちの1つの断面図を、局所磁化ベクトル600と、リング磁石195、197の対称軸線605とともに示す。この文脈における「局所磁化ベクトル600」という用語は、磁化がリング磁石195、197全体対して全体的に又は合計的にではなく、例えば円筒座標を使用して、そのリング磁石の円周に沿って局所的に考慮されることを意味する。下の2つの図はそれぞれ、リング磁石195、197のうちの1つの概略上面図を示す。
【0064】
上の図には、リング磁石195、197の理想的な磁化610が示されていて、ここでは、磁化又は局所磁化ベクトル600が、リング磁石195、197の円周にわたって実質的に一定の大きさを有し、かつリング磁石195、197の対称軸線605に対して常に平行に配向されている。それに対して、下の第2の図では角度誤差620が示されていて、ここでは、磁化ベクトル600の大きさが、リング磁石195、197の円周にわたって実質的に一定であるが、対称軸線605に対して傾斜している。個々のリング磁石セグメントの局所磁化ベクトル600の対称軸線605からのこの傾斜又は方向偏差は、リング磁石195、197の円周に沿って一定ではなく、むしろ可変である。
【0065】
下の第3の図は不均一性630を示していて、ここでは、磁化ベクトル600が、リング磁石195、197の円周にわたって対称軸線605に対して平行に配向されているが、磁化ベクトル600の大きさは、リング磁石195、197の円周にわたって変化する。
【0066】
下の図は、いわゆる北/南効果640を示していて、ここでは、個々のリング磁石セグメントの局所磁化ベクトル600が、リング磁石195、197の円周にわたって一定の大きさを有し、かつ円筒座標における局所観察でのリング磁石195、197の円周に沿った対称軸線605に対して、同じ方向に傾斜し、したがって一定である。これによって、リング磁石195、197の円周中の対称軸線605に対して、それぞれの磁化ベクトル600は、全体的に見て円錐形の配向を生じる。
【0067】
図6の下から二番目の図は、マイクロクラック650を有するリング磁石195、197の上面図を示していて、一方、図6の最も下の図は、いわゆる「剥離部」660の形態の機械的損傷を有するリング磁石195、197の上面図を示す。マイクロクラック650及び剥離部660は、リング磁石195、197の円周に沿った磁化又は磁化ベクトル600の不均一性、及び/又は対称軸線605に対するリング磁石195、197の円周にわたる磁化ベクトル600の不正確な配向をもたらす可能性がある。
【0068】
それぞれのリング磁石195、197の上述した個々の磁化特性、即ち理想的な磁化610のそれぞれの偏差は、永久磁石軸受183内に追加の力、特に半径方向の力を引き起こす。半径方向の力の場合、ロータ149が回転すると(図3-5参照)、磁気軸受誤差とも呼ばれる調和して回転する半径方向の力が生じる。したがって、磁気軸受誤差は、各半径方向力と同様に、大きさ及び角度方向又は角度位置を伴うベクトルである。そのような磁気軸受誤差は、ロータ149のアンバランスと同様に、特に低回転数の際、ターボ分子ポンプ111のロータ149の運転特性に影響を及ぼすか、又は妨げる。磁気軸受誤差によって、振動とノイズが、ちょうどアンバランスの場合のように、ターボ分子ポンプ111内で発生し得る。本発明による装置及び本発明による方法は、磁気軸受誤差及び/又は同様に図6に示されるリング磁石195、197の個々の磁化特性によって引き起こすことができる磁気漂遊磁場を永久磁石軸受183に対して決定するためのものである。永久磁石軸受183は、磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊磁場に基づいて評価され、その後最適化することができる。
【0069】
図7は、ロータ側の軸受半体191内にリング磁石195を備え、かつステータ側の軸受半体193内にリング磁石197を備える(図3参照)、ターボ分子ポンプ111の永久磁石軸受183を評価する装置700のブロック図を示す。装置700は、測定装置710と、評価装置720と、最適化装置730とを備える。
【0070】
測定装置710は、それぞれのリング磁石195、197の円周に沿った複数の位置における磁場強度の測定値を検出することが企図されている。評価装置720は、測定装置710と通信可能に接続され、かつ図8に関連してより詳細に説明されるアルゴリズム725を実行するために構成され、ロータ149に対してリング磁石195、197が及ぼす少なくとも1つの合力を決定又は予測するために企図されている。評価装置720はさらに、決定された合力に基づいて永久磁石軸受183の評価を決定し、これを最適化装置730に出力するように構成されている。評価装置720はさらに、永久磁石軸受183の少なくとも1つの合力に基づいて上述の磁気軸受誤差を及び/又は磁気浮遊磁場を決定し、最適化装置730に出力する。評価装置720が提供する情報に基づいて、最適化装置は、永久磁石軸受183を最適化するためのアルゴリズム735又は方法のステップを実施し、これらは、図10に関連してより詳細に説明されている。最適化は、複数のリング磁石195、197によってターボ分子ポンプ111内に永久磁石軸受183を取り付ける前に行われ、そのリング磁石195、197の最適な組合せは、リング磁石195、197の複数の組合せについて少なくとも1つの合力を予測することによって、それぞれの組合せを評価するために選択される。
【0071】
図8は、評価装置720(図7参照)によって実行される合力に対するアルゴリズム725のブロック図を示す。参照番号「810」では、個々の測定点に対して又は永久磁石軸受183のリング磁石195、197の円周に沿った複数の所定の位置において、磁場強度の測定値が受信され、その際、これらの測定値は、測定装置710(図7参照)によって、予あらかじめ、すなわち、永久磁石軸受183が取り付けられる前に、すでに検出される。リング磁石195、197は、この測定プロセス中に個々に測定される。次いで、参照番号「820」では、リング磁石195、197の磁化特性が、磁場強度の受信した値に基づいて決定される。磁化特性は、それぞれのリング磁石195、197のセグメント若しくはセクションに対して、又は全体のリング磁石195、197に対しての合成ベクトルとして決定される1つ又は複数の磁化ベクトル600(図6参照)によって表される。さらに、磁化特性は、図6の参照番号「620」~「660」に示されているように、それぞれのリング磁石195、197の理想的な磁化610からの偏差を含む。
【0072】
参照番号「830」では、永久磁石軸受183の幾何学的なデータが受信される。永久磁石軸受183の幾何学的形状データは予め決められていて、それぞれのリング磁石195、197の寸法、永久磁石軸受183内のリング磁石195、197の数、及び互いの距離を含む。
【0073】
リング磁石195、197の「820」で決定された磁化特性に基づいて、永久磁石軸受183の「830」で受信された幾何学的データに基づいて、磁気軸受誤差、すなわちロータ149に作用する調和して回転する半径方向の力、及び/又は永久磁石軸受183の浮遊磁場が、「840」で計算される。「840」での計算は、ブロック845によって表されるように、係数行列を使用して行われる。係数行列は、永久磁石軸受内に存在するリング磁石195、197のそれぞれの磁化特性が、それぞれのリング磁石195、197によって及ぼされるそれぞれの力に及ぼす影響を表す。次いで、永久磁石軸受183に対して合力又は対応する磁気軸受誤差は、それぞれのリング磁石195、197の個々の力のベクトル加算によって決定される。
【0074】
さらに、永久磁石軸受183に対する磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場の計算は、繰り返し行われ、その際、「850」でロータ149とステータとの間の軸方向の変位が、反復ステップごとに変更される。したがって、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場は、ロータ149とステータとの間のこの軸方向の変位に応じて計算される。これによって、図9に描画されているように、永久磁石軸受183の、軸方向の変位に応じた磁気軸受誤差の経過が得られる。
【0075】
永久磁石軸受183又はそれによって支承されるロータ149の最適な運転特性のためには、磁気軸受誤差は、ステータに対するロータ149の軸方向変位に対する依存性ができるだけ小さいか、又はそのような変位の場合には平坦な曲線であるべきであることが分かった。
【0076】
図9では、y軸における磁気軸受誤差910をx軸における軸方向変位920に対してそれぞれ記載された3つの異なる図が示されている。曲線930、932、及び934は、最適化されていない永久磁石軸受に対する磁気軸受誤差910のそれぞれの実施例を示す。図から分かるように、磁気軸受誤差910の量は軸方向変位に応じて非常に強く変化し、即ち、最小値と比較して、軸方向の変位が十分に増加又は減少するとすぐに磁気軸受誤差の大きさの倍数に達するようになる。さらに、磁気軸受誤差910の位相方向又は角度方向の変化は、軸方向の変位に応じて生じる可能性があるが、ここでは示されていない。
【0077】
比較のために、図9の下側の図では、図10に示したアルゴリズムまたは方法を使用して最適化された永久磁石軸受183の軸方向の変位に依存した、磁気軸受誤差910の大きさの曲線が示されていて、これについては以下で詳しく説明される。見て分かるように、永久磁石軸受183の最適化は、最適化されていない永久磁石軸受の曲線934と比較して、軸方向変位920に依存して著しく平坦な曲線940をもたらし、その際、磁気軸受誤差910の量は、最適化されていない永久磁石軸受の曲線934と比較して、軸方向変位920の小さい値と、比較的大きい値に対して約1桁低くなる。磁気軸受誤差910の大きさに対する平坦な曲線940により、永久磁石軸受183又はロータ149の走行特性が著しく改善される。
【0078】
図10では、永久磁石軸受183を最適化するためのアルゴリズム735又は対応する方法のステップが概略的に示されている。永久磁石軸受183を最適化するアルゴリズム735は、最適化装置730(図7参照)によって実行される。
【0079】
「1010」において、所定のM個のリング磁石195、197がバッファとして提供される。所定数M個のリング磁石195、197は、例えば50個であり、したがって、永久磁石軸受183を構成するのに必要である数N個のリング磁石195、197よりも多い。図3の実施例では、5つのリング磁石195及び5つのリング磁石197が、それぞれ、ロータ側の軸受半体191及びステータ側の軸受半体193に存在する。アルゴリズム735内では、「1010」において提供されるリング磁石195、197のバッファは、リング磁石自体を含まず、むしろ、測定デバイス710(図7参照)によってバッファのリング磁石195、197ごとに決定される、それらの磁場強度の測定値を含む。
【0080】
「1020」では、「1010」において提供されるバッファ内に存在するM個のリング磁石195、197の、永久磁石軸受183を形成又は組み立てることが可能である全ての組み合わせが決定される。リング磁石195、197のこれらの組合せの各々について、図8に関連して上述されているように、「1030」において少なくとも1つの合力が予測又は計算される。言い換えれば、図8に示されているアルゴリズム725は、「1020」で決定されたリング磁石195、197の可能な組み合わせの各々について、「1030」で反復的に実行される。これはまた、ロータ149とターボ分子ポンプ111のステータとの間の変位に対する、合力又は磁気軸受誤差及び/又は漂遊磁場の経過又は依存性を決定することを含む。
【0081】
「1030」で決定された結果に基づいて、「1040」でリング磁石195、197の最適化された組み合わせが選択され、この組み合わせは、所定の最適化条件に最も近い。最適化条件は、リング磁石195、197のそれぞれの組み合わせについて、ロータ149及びステータの変位に対する可能な限り一定である磁気軸受誤差、及び/又は、可能な限り低い磁気軸受誤差及び/又は可能な限り低い浮遊磁場が存在すること、を含む。さらに、「1040」において、選択されたリング磁石195、197の最適化された組合せのうち、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場の閾値を考慮して、最良の組合せが(この組合せを使用するために)決定される。
【0082】
M個のリング磁石を有するバッファの未使用のリング磁石195、197は、「1060」において、未使用のリング磁石195、197のバッファに新しいリング磁石195、197を充填するために、「1050」において選別される。これは、磁場強度の対応する測定値が、さらなるリング磁石195、197について、さらに提供されることを意味し、その際、磁場強度のこれらの測定値は、測定装置710(図7参照)によって検出される。
【0083】
最後に、「1040」において決定されたリング磁石195、197の組み合わせは、「1070」において出力され、このリング磁石195、197の組み合わせを用いて最適化された永久磁石軸受183が形成される。
【符号の説明】
【0084】
111 ターボ分子真空ポンプ
113 入口フランジ
115 ポンプ入口
117 ポンプ出口
119 ハウジング
121 下部
123 電子機器ハウジング
125 電気モータ
127 アクセサリポート
129 データインタフェース
131 電力供給ポート
133 通気入口
135 シールガスポート
137 モータスペース
139 冷却剤ポート
141 下側
143 ボルト
145 軸受カバー
147 固定孔
148 冷却剤ライン
149 ロータ
151 回転軸線
153 ロータシャフト
155 ロータディスク
157 ステータディスク
159 スペーサリング
161 ロータハブ
163 ホルベックロータスリーブ
165 ホルベックロータスリーブ
167 ホルベックステータスリーブ
169 ホルベックステータスリーブ
171 ホルベックギャップ
173 ホルベックギャップ
175 ホルベックギャップ
179 接続通路
181 転がり軸受
183 永久磁石軸受
185 スプレーナット
187 ディスク
189 インサート
191 ロータ側の軸受半体
193 ステータ側の軸受半体
195 リング磁石
197 リング磁石
199 軸受ギャップ
201 キャリヤ部分
203 キャリヤ部分
205 半径方向のブレース
207 カバー要素
209 支持リング
211 固定リング
213 皿バネ
215 緊急軸受もしくは安全軸受
217 モータステータ
219 中間スペース
221 壁
223 ラビリンスシール
600 磁化ベクトル
605 対称軸線
610 理想的な磁化
620 角度誤差
630 不均一性
640 NS効果
650 マイクロクラック
660 剥離部
700 磁気軸受を評価する装置
710 測定装置
720 評価装置
725 合力に対するアルゴリズム
730 最適化装置
735 磁気軸受の最適化アルゴリズム
810~850 合力に対するアルゴリズムのステップ
910 磁気軸受誤差
920 軸方向の変位
930、932、934 最適化されていない永久磁石軸受に対する磁気軸受誤差の経過
940 最適化された永久磁石軸受に対する磁気軸受誤差の経過
1010~1070 磁気軸受を最適化するためのアルゴリズムのステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
最後に、「1040」において決定されたリング磁石195、197の組み合わせは、「1070」において出力され、このリング磁石195、197の組み合わせを用いて最適化された永久磁石軸受183が形成される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
特にターボ分子ポンプ(111)の磁気軸受(183)を評価する装置(700)であって、
ロータ(149)をステータに回転可能に支承するために、複数の磁気要素(195、197)を備える、前記装置(700)において、
前記装置(700)は、測定装置(710)と評価装置(720)とを備え、
前記測定装置(710)は、複数の磁気要素(195、197)の内のそれぞれの1つの磁気要素の複数の所定の位置における磁場強度の測定値を検出するように構成されていて、
前記評価装置(720)は、前記測定装置(710)と通信可能に接続されていて、かつ
前記評価装置(720)は、
磁気要素(195、197)の各々に対して、測定装置(710)によって検出された磁場強度の測定値を受信するために、
磁場強度の測定値に基づいて、磁気要素(195、197)の各々に対する磁化特性を決定するために、
磁気軸受(183)の所定の幾何学的形状データを受信するために、
磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ磁気軸受(183)の所定の幾何学データに基づいて、磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす少なくとも1つの合力を決定するために、
合力に基づいて、磁気軸受(183)の評価を決定し、かつ出力するために、
構成されている、
ことを特徴とする装置(700)。
2.
前記評価装置(710)は、さらに、ステータに対するロータ(149)の軸方向の変位に依存して少なくとも1つの合力を決定するために、構成されている、
ことを特徴とする上記1に記載の装置(700)。
3.
前記評価装置(710)は、さらに、
それぞれの磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす個々の力の、個々の磁気要素(195、197)のそれぞれの磁化特性に対する依存性を記述する係数行列を形成するために、かつ
それぞれの磁気要素(195、197)の個々の力をベクトル加算することによって、合力を決定するために、
構成されている、
ことを特徴とする上記1又は2に記載の装置(700)。
4.
前記評価装置(710)は、さらに、
少なくとも1つの合力に基づいて磁気軸受誤差を、及び/又は前記磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ、磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、前記磁気軸受(183)の磁気漂遊磁場を決定し、かつ出力するように
構成されている、
ことを特徴とする上記1~3のいずれか一つに記載の装置(700)。
5.
前記装置(700)は、磁気軸受(183)の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素(195、197)のパラメータを、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受(183)の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変化するために構成されている最適化装置(730)を備える、ことを特徴とする上記4に記載の装置(700)。
6.
磁気軸受は、磁気要素が所定数のリング磁石(195、197)を備える永久磁石軸受(183)として構成されていて、かつ
測定装置(710)は、磁気軸受(183)の前記リング磁石(195、197)の各々個々の円周に沿って磁場強度を決定するために構成されている、
ことを特徴とする上記1~5のいずれか一つに記載の装置(700)。
7.
特にターボ分子ポンプ(111)の磁気軸受(183)を評価する方法であって、
前記磁気軸受は、ロータ(149)をステータに回転可能に支承するために複数の磁気要素(195、197)を備える前記方法において、
前記方法は、
a) 磁場強度の測定値が、複数の磁気要素(195、197)の内のそれぞれの1つの磁気要素の複数の所定の位置で検出される、
b)磁気要素(195、197)の各々に対しての磁化特性が、磁場強度の測定値に基づいて決定される、
c)磁気軸受(183)の所定の幾何学的データが受信される、
d)磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づいて、かつ磁気軸受(183)の所定の幾何学データに基づいて、磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす少なくとも1つの合力が決定される、
e)合力に基づいて、磁気軸受(183)の評価が決定され、かつ出力される、
ことを含む、
ことを特徴とする方法。
8.
少なくとも1つの合力は、ステータに対するロータ(149)の軸方向変位に依存して決定される、
ことを特徴とする上記7に記載の方法。
9.
それぞれの磁気要素(195、197)がロータ(149)に対して及ぼす個々の力の、個々の磁気要素(195、197)のそれぞれの磁化特性に対する依存性を記述する係数行列が形成され、かつ
それぞれの磁気要素(195、197)の個々の力をベクトル加算することによって合力が決定される、
ことを特徴とする上記7又は8に記載の方法。
10.
前記少なくとも1つの合力基づいて磁気軸受誤差が、及び/又は
磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ、磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、前記磁気軸受(183)の磁気漂遊磁場
がさらに決定される、
ことを特徴とする上記7~9のいずれか一つに記載の方法。
11.
磁気軸受(183)の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素のパラメータは、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受(183)の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変更される、ことを特徴とする上記10に記載の方法。
12.
磁気軸受は永久磁石軸受(183)として構成されていて、かつ磁気要素が所定数N個のリング磁石(195、197)を備え、
磁気要素(195、197)のパラメータの変更は、
リング磁石(195、197)の所定の数N個よりも大きい所定の複数のM個のリング磁石(195、197)が提供され、
N個のリング磁石(195、197)からなる組み合わせは所定の数M個のリング磁石(195、197)から選択され、この組み合わせのために、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の浮遊磁場は所定の最適化条件を満たす、
ことを含む、
ことを特徴とする上記11に記載の方法。
13.
磁気軸受を形成するN個のリング磁石(195、197)のすべての可能な組み合わせが、所定の複数のM個のリング磁石(195、197)について決定され、かつ
N個のリング磁石(195、197)の決定されたこれらの組合せの各々について、方法のステップa)~e)は、
それぞれの組合せに対して、それぞれの少なくとも1つの合力に基づいてそれぞれの磁気軸受誤差を、及び/又はそれぞれの組合せのN個のリング磁石(195、197)の磁化特性に基づいてかつ磁気軸受(183)の所定の幾何学的形状データに基づいて、それぞれの浮遊磁場を、決定するために実行され、かつ
N個のリング磁石(195、197)の前記組み合わせのうち、それぞれの磁気軸受誤差及び/又はそれぞれの磁気漂遊磁場は、所定の最適化条件を最良に満たす組み合わせが選択される、
ことを特徴とする上記12に記載の方法。
14.
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が磁気軸受(183)の軸方向に沿って実質的に一定のままであることを含む、
及び/又は
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場のそれぞれの量が所定の閾値よりも小さいことを含む、
ことを特徴とする上記11~13のいずれか一つに記載の方法。
15.
N個のリング磁石(195、197)を有する永久磁石軸受(183)を備える真空ポンプ、特にターボ分子ポンプ(111)であって、
前記リング磁石(195、197)は、所定の数M個のリング磁石(195、197)から、上記11~14のいずれか一つに記載の方法に従って、永久磁石軸受(183)の磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場が所定の最適化条件を満たすように、選択されている
真空ポンプ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にターボ分子ポンプ(111)の磁気軸受(183)を評価する装置(700)であって、
ロータ(149)をステータに回転可能に支承するために、複数の磁気要素(195、197)を備える、前記装置(700)において、
前記装置(700)は、測定装置(710)と評価装置(720)とを備え、
前記測定装置(710)は、複数の磁気要素(195、197)の内のそれぞれの1つの磁気要素の複数の所定の位置における磁場強度の測定値を検出するように構成されていて、
前記評価装置(720)は、前記測定装置(710)と通信可能に接続されていて、かつ
前記評価装置(720)は、
磁気要素(195、197)の各々に対して、測定装置(710)によって検出された磁場強度の測定値を受信するために、
磁場強度の測定値に基づいて、磁気要素(195、197)の各々に対する磁化特性を決定するために、
磁気軸受(183)の所定の幾何学的形状データを受信するために、
磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ磁気軸受(183)の所定の幾何学データに基づいて、磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす少なくとも1つの合力を決定するために、
合力に基づいて、磁気軸受(183)の評価を決定し、かつ出力するために、
構成されている、
ことを特徴とする装置(700)。
【請求項2】
前記評価装置(710)は、さらに、ステータに対するロータ(149)の軸方向の変位に依存して少なくとも1つの合力を決定するために、構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置(700)。
【請求項3】
前記評価装置(710)は、さらに、
それぞれの磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす個々の力の、個々の磁気要素(195、197)のそれぞれの磁化特性に対する依存性を記述する係数行列を形成するために、かつ
それぞれの磁気要素(195、197)の個々の力をベクトル加算することによって、合力を決定するために、
構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(700)。
【請求項4】
前記評価装置(710)は、さらに、
少なくとも1つの合力に基づいて磁気軸受誤差を、及び/又は前記磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ、磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、前記磁気軸受(183)の磁気漂遊磁場を決定し、かつ出力するように
構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(700)。
【請求項5】
前記装置(700)は、磁気軸受(183)の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素(195、197)のパラメータを、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受(183)の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変化するために構成されている最適化装置(730)を備える、ことを特徴とする請求項4に記載の装置(700)。
【請求項6】
磁気軸受は、磁気要素が所定数のリング磁石(195、197)を備える永久磁石軸受(183)として構成されていて、かつ
測定装置(710)は、磁気軸受(183)の前記リング磁石(195、197)の各々個々の円周に沿って磁場強度を決定するために構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(700)。
【請求項7】
特にターボ分子ポンプ(111)の磁気軸受(183)を評価する方法であって、
前記磁気軸受は、ロータ(149)をステータに回転可能に支承するために複数の磁気要素(195、197)を備える前記方法において、
前記方法は、
a)磁場強度の測定値が、複数の磁気要素(195、197)の内のそれぞれの1つの磁気要素の複数の所定の位置で検出される、
b)磁気要素(195、197)の各々に対しての磁化特性が、磁場強度の測定値に基づいて決定される、
c)磁気軸受(183)の所定の幾何学的データが受信される、
d)磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づいて、かつ磁気軸受(183)の所定の幾何学データに基づいて、磁気要素(195、197)がロータ(149)に及ぼす少なくとも1つの合力が決定される、
e)合力に基づいて、磁気軸受(183)の評価が決定され、かつ出力される、
ことを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
少なくとも1つの合力は、ステータに対するロータ(149)の軸方向変位に依存して決定される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの磁気要素(195、197)がロータ(149)に対して及ぼす個々の力の、個々の磁気要素(195、197)のそれぞれの磁化特性に対する依存性を記述する係数行列が形成され、かつ
それぞれの磁気要素(195、197)の個々の力をベクトル加算することによって合力が決定される、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの合力基づいて磁気軸受誤差が、及び/又は
磁気要素(195、197)の各々の磁化特性に基づき、かつ、磁気軸受の所定の幾何学的データに基づいて、前記磁気軸受(183)の磁気漂遊磁場
がさらに決定される、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
磁気軸受(183)の所定の幾何学的データ及び/又は磁気要素のパラメータは、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受(183)の磁気浮遊磁場が所定の最適化条件を満たすように変更される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
磁気軸受は永久磁石軸受(183)として構成されていて、かつ磁気要素が所定数N個のリング磁石(195、197)を備え、
磁気要素(195、197)のパラメータの変更は、
リング磁石(195、197)の所定の数N個よりも大きい所定の複数のM個のリング磁石(195、197)が提供され、
N個のリング磁石(195、197)からなる組み合わせは所定の数M個のリング磁石(195、197)から選択され、この組み合わせのために、磁気軸受誤差及び/又は磁気軸受の浮遊磁場は所定の最適化条件を満たす、
ことを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
磁気軸受を形成するN個のリング磁石(195、197)のすべての可能な組み合わせが、所定の複数のM個のリング磁石(195、197)について決定され、かつ
N個のリング磁石(195、197)の決定されたこれらの組合せの各々について、方法のステップa)~e)は、
それぞれの組合せに対して、それぞれの少なくとも1つの合力に基づいてそれぞれの磁気軸受誤差を、及び/又はそれぞれの組合せのN個のリング磁石(195、197)の磁化特性に基づいてかつ磁気軸受(183)の所定の幾何学的形状データに基づいて、それぞれの浮遊磁場を、決定するために実行され、かつ
N個のリング磁石(195、197)の前記組み合わせのうち、それぞれの磁気軸受誤差及び/又はそれぞれの磁気漂遊磁場は、所定の最適化条件を最良に満たす組み合わせが選択される、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は浮遊磁場が磁気軸受(183)の軸方向に沿って実質的に一定のままであることを含む、
及び/又は
所定の最適化条件は、磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場のそれぞれの量が所定の閾値よりも小さいことを含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
N個のリング磁石(195、197)を有する永久磁石軸受(183)を備える真空ポンプ、特にターボ分子ポンプ(111)であって、
前記リング磁石(195、197)は、所定の数M個のリング磁石(195、197)から、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法に従って、永久磁石軸受(183)の磁気軸受誤差及び/又は磁気浮遊場が所定の最適化条件を満たすように、選択されている
真空ポンプ。
【外国語明細書】