(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085380
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
H01G4/30 201K
H01G4/30 515
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023180183
(22)【出願日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0174741
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、シム チュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャエ、ヒュン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ミ
(72)【発明者】
【氏名】シム、ダエ ジン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AD02
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
(57)【要約】
【課題】BDV特性、機械的特性、耐湿信頼性が向上した積層型電子部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含み、上記第1方向に互いに向かい合う第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5及び第6面を含む本体と、上記第3及び第4面に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部と、を含み、上記サイドマージン部に含まれたSnの平均含有量は0.1mol%以上4.0mol%以下であり、上記サイドマージン部のBa/Ti比率は1.040超過1.070未満であり、上記サイドマージン部に含まれた複数の誘電体結晶粒の平均大きさは、100nm以上290nm以下を満たすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含み、前記第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記第3面及び前記第4面に配置されて前記内部電極と連結される外部電極と、
前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部と、を含み、
前記サイドマージン部に含まれたSnの平均含有量は0.1mol%以上4.0mol%以下であり、
前記サイドマージン部のBa/Ti比率は1.040超過1.070未満であり、
前記サイドマージン部に含まれた複数の誘電体結晶粒の平均大きさは、100nm以上290nm以下を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記誘電体結晶粒の径に対する最大偏差は、±50nm以上±150nm以下を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記サイドマージン部は、前記本体に隣接した第1領域及び前記サイドマージン部の外側面に隣接した第2領域を含み、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、前記第1領域から前記第2領域に向かうにつれて徐々に変化する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、前記第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさ以上である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは190nm以上290nm以下であり、前記第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは190nm以上260nm以下である、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1領域に含まれた誘電体結晶粒径に対する最大偏差は±100nm以上±150nm以下を満たし、前記第2領域に含まれた誘電体結晶粒径に対する最大偏差は±100nm以上±120nm以下を満たす、請求項5に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、前記第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさ以上である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは100nm以上220nm以下であり、前記第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは170nm以上220nm以下である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1領域に含まれた誘電体結晶粒径に対する最大偏差は±50nm以上±110nm以下を満たし、前記第2領域に含まれた誘電体結晶粒径に対する最大偏差は±80nm以上±110nm以下を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1領域に含まれたSnの平均含有量は0.1mol%以上0.5mol%未満であり、前記第2領域に含まれたSnの平均含有量は0.5mol%以上1.0mol%以下である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1領域の前記第3方向の平均大きさは、前記第2領域の前記第3方向の平均大きさ以下である、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記サイドマージン部は、前記第5面に配置される第1サイドマージン部及び前記第6面に配置される第2サイドマージン部を含み、
前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部の前記第3方向の平均大きさは20μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記本体は、前記誘電体層、及び前記内部電極を含んで容量を形成する容量形成部及び前記容量形成部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記カバー部は、前記第2面に配置される上部カバー部及び前記第1面に配置される下部カバー部を含み、
前記上部カバー部及び下部カバー部の前記第1方向の平均大きさは20μm以下である、請求項13に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記誘電体層は複数の誘電体層を含み、前記複数の誘電体層の少なくとも1つの前記第1方向の平均大きさは0.4μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記内部電極は、複数の内部電極を含み、前記複数の内部電極の少なくとも1つの前記第1方向の平均大きさは0.4μm以下である、請求項1から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
このとき、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を同時に達成するためには、内部電極及び誘電体層の厚さが薄く、積層数が多くなる必要があるが、積層数が多いほど内部電極の幅方向に段差が発生することがある。このような段差は、積層セラミックキャパシタの高温信頼性及び耐電圧特性を低下させるおそれがあるが、これを克服するために内部電極の幅方向にマージンシートを付着してサイドマージン部を形成してこれを解決している。マージンシートを構成する材料、バインダー、分散剤を含むこれらの種類及び含有量、材料的な制御により積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができるため、サイドマージン部の最適設計が重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2021-0030755号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする様々な課題の一つは、BDV特性、機械的特性、耐湿信頼性が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0007】
但し、本発明が解決しようとする様々な課題は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される内部電極を含み、上記第1方向に互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、上記第3面及び第4面に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、上記第5面及び第6面に配置されるサイドマージン部と、を含み、上記サイドマージン部に含まれたSnの平均含有量は0.1mol%以上4.0mol%以下であり、上記サイドマージン部のBa/Ti比率は1.040超過1.070未満であり、上記サイドマージン部に含まれた複数の誘電体結晶粒の平均大きさは、100nm以上290nm以下を満たすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な効果の一つは、BDV特性、機械的特性、耐湿信頼性が向上することである。
【0010】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態である積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
【
図2】
図1のサイドマージン部及び本体の外観を概略的に示した図面である。
【
図3】
図2の本体の外観を概略的に示した図面である。
【
図4】
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面である。
【
図5】本発明の一実施形態における
図4のP領域の拡大図を概略的に示した図面である。
【
図6】本発明の一実施形態における
図4のP領域の拡大図を概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0013】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(T)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0015】
(積層型電子部品)
図1は、本発明の一実施形態である積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面であり、
図2は、
図1のサイドマージン部及び本体の外観を概略的に示した図面であり、
図3は、
図2の本体の外観を概略的に示した図面であり、
図4は、
図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示した図面であり、
図5は、本発明の一実施形態における
図4のP領域の拡大図を概略的に示した図面であり、
図6は、本発明の一実施形態における
図4のP領域の拡大図を概略的に示した図面である。
【0016】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用することができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層111と第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含み、上記第1方向に互いに向かい合う第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面3及び第4面4、上記第1面~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面5及び第6面6を含む本体と、上記第3面3及び第4面4に配置されて上記内部電極121、122と連結される外部電極131、132と、上記第5面5及び第6面6に配置されるサイドマージン部114、115と、を含み、上記サイドマージン部114、115に含まれたSnの平均含有量は0.1mol%以上4.0mol%以下であり、上記サイドマージン部114、115のBa/Ti比率は1.040超過1.070未満であり、上記サイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒の平均大きさは、100nm以上290nm以下を満たすことができる。
【0018】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0019】
より具体的には、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0020】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0021】
本体110は、第1方向に互いに向かい合う第1面1及び第2面2、第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに向かい合う第3面3及び第44、第1面~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに向かい合う第5面5及び第6面6を有することができる。
【0022】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0023】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り制限されない。一般的に、ペロブスカイト(ABO3)系材料を用いることができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0024】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0025】
誘電体層111の厚さtdは、特に限定する必要はない。
【0026】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために誘電体層111の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0027】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0028】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向の大きさを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0029】
誘電体層111の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて1つの誘電体層111を第2方向に等間隔の30つの地点で第1方向の大きさを測定した平均値であることができる。このように測定した平均値は、一つの誘電体層111の第1方向の平均大きさを意味することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均大きさをさらに一般化することができる。
【0030】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0031】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1内部電極121及び第2内部電極122は本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに向かい合うように交互に配置され、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ露出することができる。
【0032】
より具体的には、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0033】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0034】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成されることができる。
【0035】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0036】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0038】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であることができ、より好ましくは0.4μm以下であることができる。
【0039】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0040】
内部電極121、122の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて1つの内部電極121、122を第2方向に等間隔の30個の地点で第1方向の大きさを測定した平均値であることができる。このように測定した内部電極の平均値は、一つの内部電極の第1方向の平均大きさを意味することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の第1方向の平均大きさをさらに一般化することができる。
【0041】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されたカバー部112、113を含むことができる。
【0042】
より具体的には、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0043】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0044】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0045】
一方、カバー部112、113の厚さtcは、特に限定する必要はない。
【0046】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品ではより好ましく20μm以下であることができる。
【0047】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向の大きさを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均大きさを意味することができる。
【0048】
カバー部112、113の第1方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて1つのカバー部を第2方向に等間隔の30個の地点で第1方向の大きさを測定した平均値であることができる。上記等間隔の30個の地点は、上部カバー部112で指定されることができる。
【0049】
一方、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上にはサイドマージン部114、115が配置されることができる。
【0050】
より具体的には、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114及び第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。すなわち、サイドマージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)に配置されることができる。
【0051】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第2方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1内部電極121及び第2内部電極122の第3方向の両端部と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0052】
サイドマージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5面5及び第6面6に露出するように切断した後、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)に第3方向に積層して形成することもできる。
【0053】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、単一誘電体層111または2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面にそれぞれ第3方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0054】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0055】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を同時に達成するためには、内部電極及び誘電体層の厚さが薄く、積層数が多くなる必要があるが、積層数が多いほど内部電極の幅方向に段差が生じることがある。このような段差は、積層セラミックキャパシタの高温信頼性及び耐電圧特性を低下させることがあり、これを克服するために内部電極の幅方向にマージンシートを付着してサイドマージン部を形成してこれを解決している。マージンシートを構成する材料、バインダー、分散剤を含むこれらの種類及び含有量、材料の制御によって積層セラミックキャパシタの特性を向上させることができるため、これに対する最適な設計研究が進められている。
【0056】
本発明の一実施形態において、サイドマージン部114、115はスズ(Sn)を含むことができる。
【0057】
サイドマージン部114、115の平均Sn含有量は、0.1mol%以上4.0mol%以下であることができ、より好ましくは0.1mol%以上1.0mol%以下であることができる。
【0058】
サイドマージン部114、115に含まれたSn含有量を測定する方法は、例えば以下のとおりである。
【0059】
非破壊工法の場合、TEM-EDSを用いてサイドマージン部114、115の中央部で誘電体グレインの内部の成分を分析することができる。このとき、第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準としてサイドマージン部114、115の中央部の領域を観察してもよく、第1方向及び第2方向の断面(cross-section)を基準としてサイドマージン部114、115の中央部の領域を観察してもよい。焼結が完了されたサイドマージン部114、115の断面(cross-section)のうち誘電体を含む領域で集束イオンビーム(FIB)装備を用いて薄片化された分析試料を準備する。そして、薄片化された試料をArイオンミリングを用いて表面のダメージ層を除去し、この後、STEM-EDSを用いて得られたイメージで各成分のマッピングと定量分析を進める。このとき、複数個のポイントに含まれた元素の含有量を測定してこれを平均することができ、ラインプロファイル(line-profile)を進行してラインに含まれた元素の位置別の含有量を測定することもできる。この場合、各成分の定量分析グラフは、各元素の質量分率で得られることができ、これをモル分率に換算して表すことができる。
【0060】
また、破壊工法の場合、積層型キャパシタを粉砕してサイドマージン部114、115の領域を剥がした後に誘電体部分を選別し、このように選別された誘電体を誘導結合プラズマ分光分析器(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析器(ICP-MS)などの装置を用いて誘電体の成分を分析してSn含有量を測定することができる。
【0061】
サイドマージン部114、115の平均Sn含有量が0.1mol%以上4.0mol%以下を満たすことで、誘電体結晶粒の平均大きさが小さいながら大きさの散布が狭くなることができ、サイドマージン部114、115によって積層型電子部品100の耐湿信頼性が向上し、Sn含有量によって粒成長特性、靭性などが変わり、積層型電子部品100のBDV特性を含む電気的特性または耐衝撃性、耐クラック性を含む機械的特性などが向上することができる。
【0062】
サイドマージン部114、115の平均Sn含有量が0.1mol%未満の場合、誘電体結晶粒の平均大きさ及び大きさの散布が大きくなってBDV特性が低下することがあり、4.0mol%超過である場合、誘電体粉末の焼結が進行されないか、誘電体結晶粒径が小さくて耐湿信頼性及び機械的特性が低下する可能性がある。
【0063】
本発明の一実施形態において、サイドマージン部114、115はチタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができ、サイドマージン部114、115のBa/Ti比率は1.040超過1.070未満であることができる。
【0064】
サイドマージン部114、115のBa/Ti比率が増加するほど、サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の粒成長を抑制して誘電体結晶粒の平均大きさを小さくすることができ、Ba/Ti比率が1.040超過1.070未満を満たす場合、BDV特性及び機械的特性が向上することができる。
【0065】
サイドマージン部114、115のBa/Ti比率が1.040以下である場合、誘電体結晶粒径が大きくなってBDV特性が低下するという問題点が発生することがあり、Ba/Ti比率が1.070以上である場合、誘電体結晶粒が形成されないか、焼結緻密度が低下して気孔(pore)が形成されるため、耐湿信頼性及び機械的特性が低下するという問題点が生じる可能性がある。
【0066】
本発明の一実施形態において、サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、100nm以上290nm以下を満たすことができる。
【0067】
好ましくは、サイドマージン部114、115に含まれた複数の誘電体結晶粒のうち、平均大きさが100nm以上290nm以下を満たす誘電体結晶粒は、90%以上であることができる。
【0068】
例えば、積層型電子部品100の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を基準としてサイドマージン部114、115に含まれた誘電体の任意の領域2μm×2μmをSEMを用いて観察したとき、観察される複数の誘電体結晶粒の平均大きさは100nm以上290nm以下、より好ましくは複数の誘電体結晶粒のうち90%以上の平均大きさが100nm以上290nm以下を満たすことができる。ここで、90%とは、累積分布を意味するD90を意味することができる。
【0069】
本発明において、誘電体結晶粒径は直径を意味することができ、誘電体結晶粒の平均大きさは、誘電体結晶粒の中心点を通る最小直径大きさ及び最大直径大きさの平均値を意味することができる。また、誘電体結晶粒の平均大きさは、任意の領域で観察される全ての誘電体結晶粒の平均大きさを平均した値を意味することができる。
【0070】
サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさが100nm以上290nm以下を満たすことで、BDV特性を含む電気的特性及び耐クラック性などを含む機械的特性、耐湿信頼性などが向上することができる。
【0071】
サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさが100nm未満の場合、誘電体結晶粒径が小さくて耐湿信頼性及び機械的特性が低下するという問題点が発生することがあり、誘電体結晶粒の平均大きさが290nm超過である場合、誘電体結晶粒径が大きくてBDV特性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【0072】
一方、誘電体結晶粒径に対する最大偏差は±50nm~±150nmを満たすことができる。
【0073】
本発明における偏差とは、観測値から平均値を引いたものであり、最大偏差は観測値から平均値を引いた大きさが最も大きい値を意味することができる。すなわち、大きさの偏差は、任意の1つの誘電体結晶粒径から任意の領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさを引いた値を意味することができる。
【0074】
例えば、積層型電子部品100の第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準としてサイドマージン部114、115に含まれた誘電体層111内の任意の領域2μm×2μmをSEMを用いて観察したとき、観察される全ての誘電体結晶粒の平均大きさを平均した値が151nmであり、最大偏差が±84nmである場合、任意の領域で観察される誘電体結晶粒径は67nm以上235nm以下の範囲を満たすことを意味することができる。
【0075】
また、第1サイドマージン部114は、容量形成部Acに隣接した第1領域114a、114a'及びサイドマージン部の外側面に隣接した第2領域114b、114b'を含むことができ、第1サイドマージン部114に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、第1領域114a、114a'から第2領域114b、114b'に向かうにつれて徐々に変化することができる。
【0076】
例えば、サイドマージン部114、115の第3方向の大きさの1/2基準で容量形成部Acに近い領域を第1領域、外側部に近い領域を第2領域と定義するとき、第1領域のうち任意の2μm×2μm領域内に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、第2領域のうち任意の2μm×2μm領域内に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさと異なることができる。
【0077】
ここで、徐々に変化するという意味は、第3方向を基準として2μm領域毎に誘電体結晶粒の平均大きさを平均した値が増加または減少する傾向にあることを意味することができる。
【0078】
本発明において特に断りのない限り、第1サイドマージン部114に対する説明は、第2サイドマージン部115に対する説明と同様であることができ、また、サイドマージン部114、115に対する説明は、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115に対する説明を含むことができる。
【0079】
第2サイドマージン部115の第1領域及び第2領域に対する図面は、別途図示していないが、第1サイドマージン部114の第1領域114a、114a'及び第2領域115a、115a'の図面に対する説明と同一であることができ、説明の便宜のために、第2サイドマージン部115の第1領域115a、115a'及び第2領域115b、115b'の図面符号を併記して説明することができる。
【0080】
本発明の一実施形態を
図5を参照して説明すると、第1領域114a、115aに含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、第2領域114b、115bに含まれた誘電体結晶粒の平均大きさ以上であることができる。
【0081】
これは、誘電体結晶粒の平均大きさが第1領域114a、115aから第2領域114b、115bに向かうにつれて徐々に小さくなることを意味することができる。
【0082】
このとき、第1領域114a、115aに含まれた誘電体結晶粒の平均大きさdaの平均値は、190nm以上290nm以下であることができ、第2領域114b、115bに含まれた誘電体結晶粒の平均大きさdbの平均値は、190nm以上260nm以下であることができる。
【0083】
そして、第1領域114a、115aに含まれた誘電体結晶粒径daに対する最大偏差は、±100nm以上±150nm以下を満たすことができ、第2領域114b、115bに含まれた誘電体結晶粒径dbに対する最大偏差は、±100nm以上±120nm以下を満たすことができる。
【0084】
第1領域114a、115aに含まれた誘電体結晶粒の平均大きさdaの平均した値が第2領域114b、115bの誘電体結晶粒の平均大きさdbの平均した値より大きい場合、容量形成部Acの隣接した領域にクラック(crack)が発生することをより効果的に抑制することができ、容量形成部Acに水分が浸透することを妨害することができて、耐湿信頼性がより効果的である。
【0085】
本発明の他の一実施形態を
図6を参照して説明すると、第2領域114b'、115b'に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさdb'の平均した値は第1領域114a'、115a'に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさda'の平均した値以上であることができる。
【0086】
これは、誘電体結晶粒の平均大きさが第1領域114a'、115a'から第2領域114b'、115b'に向かうにつれて徐々に大きくなることを意味することができる。
【0087】
このとき、第1領域114a'、115a'に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさda'の平均した値は、100nm以上220nm以下であることができ、第2領域114b'、115b'に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさdb'の平均した値は、170nm以上220nm以下であることができる。
【0088】
そして、第1領域114a'、115a'に含まれた誘電体結晶粒径da'に対する最大偏差は±50nm以上±110nm以下であり、第2領域114b'、115b'に含まれた誘電体結晶粒径db'に対する最大偏差は、±80nm以上±110nm以下であることができる。
【0089】
第1領域114a'、115a'の誘電体結晶粒の平均大きさda'の平均した値が第2領域114b'、115b'の誘電体結晶粒の平均大きさdb'の平均した値よりも小さい場合、積層型電子部品100のBDV特性が向上することができる。
【0090】
本発明の一実施形態は、マージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒のBa/Ti比率が高いほど誘電体結晶粒径が小さいことができる。これは、Sn含有量が増加するにつれてBa/Ti比率が増加した結果であることができるが、特にこれに制限されるものではなく、Sn含有量が同一であってもBa/Ti比率を制御することで実現することができる。
【0091】
このとき、Ba/Tiモル比が1.04である場合には、第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさより大きいことができ、Ba/Tiモル比が1.5である場合には、第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさと第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさとは、実質的に差異がない場合があり、Ba/Tiモル比が1.06である場合には、第1領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさは、第2領域に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさより小さいことができる。
【0092】
このような場合にも、Ba/Tiモル比が1.06であるサイドマージン部114、115の第1領域及び第2領域に含まれた各領域の誘電体結晶粒の平均大きさは、Ba/Tiモル比が1.04であるサイドマージン部114、115の第1領域及び第2領域に含まれた各領域の誘電体結晶粒の平均大きさより小さいことができる。
【0093】
一方、本発明の一実施形態は、マージン部114、115の第1領域114a、115a、114a'、115a'に含まれたSnの平均含有量は、0.1mol%以上0.5mol%未満であることができ、マージン部114、115の第2領域114b、115b、114b'、115b'に含まれたSnの平均含有量は、0.5mol%以上1.0mol%以下であることができる。
【0094】
また、第1領域114a、115a、114a'、115a'の第3方向の平均大きさwma、wma'は、第2領域114b、115b、114b'、115b'の第3方向の平均大きさwmb、wmb'と実質的に同一または小さいことができる。
【0095】
第1領域114a、115a、114a'、115a'の第3方向の平均大きさを制御することで、必要に応じて目標とする特性を異ならせることができるという利点がある。
【0096】
一方、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは、特に限定する必要はない。
【0097】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115の幅wmは100μm以下であることができ、好ましくは30μm以下であることができ、超小型製品ではより好ましくは20μm以下であることができる。
【0098】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向の大きさを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができる。
【0099】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさは、本体110の第1方向及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージにおいて、1つのサイドマージン部を第1方向に等間隔の30個の地点で第3方向の大きさを測定した平均値であることができる。上記等間隔の30個の地点は、第1サイドマージン部114で指定されることができる。
【0100】
本発明の一実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0101】
外部電極131、132は本体110上に配置されて内部電極121、122と連結されることができる。
【0102】
より具体的には、外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ配置され、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は、本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0103】
外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0104】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層及び電極層上に配置されるめっき層を含むことができる。
【0105】
電極層に対するより具体的な例を挙げると、電極層は導電性金属及びガラスを含む焼成電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0106】
また、電極層は、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。
【0107】
また、電極層は、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0108】
電極層に用いられる導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極121、122と電気的に連結されることができる材質であれば、特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後に焼成することで形成されることができる。
【0109】
めっき層は、実装特性を向上させる役割を果たす。
【0110】
めっき層の種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む単一層のめっき層であることができ、複数層で形成されることができる。
【0111】
めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0112】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定する。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0113】
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0114】
(実験例)
以下で説明する各サンプルは、サイドマージン部に含まれる平均Sn含有量0.1mol%以上4.0mol%以下、サイドマージン部の厚さは15μmを満足し、0603(長さ×幅、0.6mm×0.3mm)サイズの積層型電子部品で製作した。
【0115】
各サンプル当たり製作したサンプルチップは40個であり、マージン部の第1領域の結晶粒径のうち平均大きさ、標準偏差、変動係数(CV)を測定し、BDV(Breakdown Voltage)評価及び耐湿信頼性の評価を行った。
【0116】
BDV特性において、破壊電圧(V)は過酷条件で絶縁破壊が発生した電圧(V)を意味し、形状パラメータは絶縁破壊が遅く発生したサンプルチップの分布を示す値であり、大きさが大きいほど絶縁破壊が遅く発生したサンプルチップが多いことを意味する。
【0117】
耐湿信頼性の評価は総3段階に区分して進められ、1段階は温度条件40℃、相対湿度85%、電圧条件1.2Vrの条件で1時間進行し、2段階は温度条件85℃、相対湿度85%、電圧条件1.2Vrの条件で1時間進行し、3段階は85℃、相対湿度60%、電圧条件0.7Vrの条件で2時間進行した。サンプルチップ40個のうち、3段階の過程を経る間、初期絶縁抵抗(IR)である109Ωに対して101Ω以上減少したサンプルチップの個数を不良とカウントし、不良が発生したサンプルチップの数が3個以下である場合、耐湿信頼性に優れていると評価した。
【0118】
【0119】
サンプル1~5を参照したとき、Ba/Ti比率が1.040超過1.070未満の場合に、第1領域の結晶粒の平均大きさが小さくて標準偏差が小さいことが確認でき、BDV特性及び耐湿信頼性に優れていると評価された。
【0120】
サンプル6を参照したとき、Ba/Ti比率が1.070の場合、焼結が進行せず、誘電体結晶粒が正常に形成されていないため、BDV特性及び耐湿信頼性が確認できなかった。
【0121】
【0122】
サンプル7~サンプル9を確認したとき、Ba/Ti比率が高くなるほど誘電体結晶粒の平均大きさ及び標準偏差が小さくなることが確認でき、BDV特性も向上することが確認できる。これは、誘電体結晶粒径が小さくなるにつれて電界の移動を妨害して絶縁破壊が発生することを抑制したものと予測される。
【0123】
また、Ba/Ti比率が1.040の場合、誘電体結晶粒径は第1領域が第2領域よりも大きいが、Ba/Ti比率が1.050の場合、誘電体結晶粒径は第1領域と第2領域で類似し、Ba/Ti比率が1.060の場合、誘電体結晶粒径は第1領域よりも第2領域で大きいことが確認できる。
【0124】
また、本明細書で用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0125】
本明細書で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0126】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
114a、114a' 第1領域
114b、114b' 第2領域
121、122 内部電極
131、132 外部電極