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特開2024-85389破裂またはシワ不良を防止できる銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法
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  • 特開-破裂またはシワ不良を防止できる銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085389
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】破裂またはシワ不良を防止できる銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
H01M4/66 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205343
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0174874
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0132910
(32)【優先日】2023-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518133500
【氏名又は名称】エスケー ネクシリス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】ジン シャン ファ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ミン ソク
【テーマコード(参考)】
5H017
【Fターム(参考)】
5H017CC01
5H017DD05
5H017EE01
5H017HH00
5H017HH01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造過程でカール、シワまたは破裂が発生しない銅箔を提供する。
【解決手段】99.9重量%以上の銅を含む銅膜;を含み、前記銅膜は0.05以下の常温損失係数を有する、銅箔:前記常温損失係数は下記の式1で計算される。
[式1]常温損失係数=常温損失弾性係数/常温貯蔵弾性係数
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
99.9重量%以上の銅を含む銅膜;を含み、
前記銅膜は0.05以下の常温損失係数を有する、銅箔であって:
前記常温損失係数は下記の式1で計算される銅箔。
[式1]
常温損失係数=常温損失弾性係数/常温貯蔵弾性係数
【請求項2】
前記銅膜は0.2以下の高温損失係数を有する、請求項1に記載の銅箔であって:
前記高温損失係数は下記の式2で計算される銅箔。
[式2]
高温損失係数=高温損失弾性係数/高温貯蔵弾性係数
【請求項3】
前記常温貯蔵弾性係数は30~80GPa範囲である、請求項1に記載の銅箔。
【請求項4】
前記常温損失弾性係数は5GPa以下である、請求項1に記載の銅箔。
【請求項5】
前記高温貯蔵弾性係数は20~60GPa範囲である、請求項2に記載の銅箔。
【請求項6】
前記高温損失弾性係数は10GPa以下である、請求項2に記載の銅箔。
【請求項7】
前記銅膜上に保護層をさらに含む、請求項1に記載の銅箔。
【請求項8】
前記保護層はクロム化合物、シラン化合物、窒素化合物のうち少なくとも一つを含む、請求項7に記載の銅箔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破裂またはシワ不良を防止できる銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は電気エネルギーを化学エネルギーに変えて貯蔵してから、電気が必要な時に化学エネルギーを再び電気エネルギーに変換させることによって電気を発生させるエネルギー変換機器の一種であって、携帯電話、ノートパソコンなどのような携帯用家電はもちろん、電気自動車のエネルギー源として利用されている。二次電池は再充電が可能であるという点で充電式電池(rechargeable battery)とも指称される。
【0003】
使い捨ての一次電池に比べて、経済的にそして環境的に利点を有している二次電池としては鉛蓄電池、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池、リチウム二次電池などがある。
【0004】
特に、リチウム二次電池は他の二次電池に比べて大きさおよび重量対比相対的に多くのエネルギーを貯蔵することができる。したがって、携帯性および移動性が重要な情報通信機器分野の場合にはリチウム二次電池が好まれており、ハイブリッド自動車および電気自動車のエネルギー貯蔵装置にもその応用範囲が拡大している。
【0005】
リチウム二次電池は充電と放電を一つの周期として繰り返し使われる。完全に充電されたリチウム二次電池で何らかの機器を稼動させる時、前記機器の稼動時間を増やすためには前記リチウムイオン二次電池が高い充電/放電容量を有さなければならない。したがって、リチウム二次電池の充電/放電容量に対する需要者の日々高まっている期待値(needs)を満足させるための研究が持続的に要求されている。
【0006】
このような二次電池は銅箔からなる負極集電体を含むが、銅箔のうち、電解銅箔が二次電池の負極集電体として広く使われている。二次電池に対する需要の増加とともに、高容量、高効率および高品質の二次電池に対する需要が増加するにつれ、二次電池の特性を向上させることができる電解銅箔が要求されている。特に、二次電池の高容量化および安定した容量維持および性能を担保できる電解銅箔が要求されている。
【0007】
一方、銅箔の厚さが薄いほど同一空間に含まれ得る活物質の量が増加し、集電体の数が増加し得るため、二次電池の容量が増加し得る。しかし、銅箔が薄いほどカール(curl)が発生し、銅箔の巻き取り時にエッジ(Edge)部のカールによる銅箔の破裂またはシワ(wrinkle)のような不良が発生するため、極薄膜(very thin film)形態の銅箔の製造に困難がある。したがって、非常に薄い厚さを有する銅箔の製造のために、銅箔のカール(Curl)が防止されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は前記のような関連技術の制限および短所に起因した問題点を防止できる銅箔、それを含む電極、それを含む二次電池、およびその製造方法に関する。
【0009】
本発明の一実施例は、銅膜が0.05以下の常温損失係数を有することによって製造過程でカール、シワまたは破裂が発生しない銅箔を提供しようとする。
【0010】
本発明の他の一実施例は銅膜が0.2以下の高温損失係数を有することによって高温製造過程でカール、シワまたは破裂が発生しない銅箔を提供しようとする。
【0011】
本発明のさらに他の一実施例はこのような銅箔を含む二次電池用電極、およびこのような二次電池用電極を含む二次電池を提供しようとする。
【0012】
本発明のさらに他の一実施例は、カール、シワまたは破裂の発生が防止された銅箔の製造方法を提供しようとする。
【0013】
前記で言及された本発明の観点の他にも、本発明の他の特徴および利点が以下で説明されるか、そのような説明から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例は、99.9重量%以上の銅を含む銅膜;を含み、前記銅膜は0.05以下の常温損失係数を有する、銅箔:前記常温損失係数は下記の式1で計算される。[式1]常温損失係数=常温損失弾性係数/常温貯蔵弾性係数
【0015】
本発明の他の一実施例は、銅イオンを含む電解液を製造する段階、銅膜を形成する段階、および前記銅膜上に保護層を形成する段階を含むものの、前記銅膜を形成する段階は、電解槽内の電解液内に互いに離隔するように配置された正極板および回転陰極ドラムを通電させることによって前記回転陰極ドラム上に銅膜を形成する段階を含み、前記電解液は、70~100g/Lの銅イオン、70~150g/Lの硫酸、15~25ppmの塩素(Cl)、1~100ppmの鉛イオン(Pb2+)、1~10ml/Lの過酸化水素、0.3~5ppmのタングステン(W)および有機添加剤を含み、前記有機添加剤は光沢剤(A成分)、減速剤(B成分)、ラベリング剤(C成分)のうち少なくとも一つを含み、前記光沢剤(A成分)はスルホン酸またはその金属塩を含み、前記減速剤(B成分)は非イオン性水溶性高分子を含み、前記ラベリング剤(C成分)は窒素(N)および硫黄(S)のうち少なくとも一つを含む銅箔の製造方法を提供する。
【0016】
本発明のさらに他の一実施例によると、銅箔;および前記銅箔の少なくとも一面に配置された活物質層を含む二次電池用電極が提供される。
【0017】
本発明のさらに他の一実施例によると、充電時にリチウムイオンを提供する正極(cathode);放電時に電子およびリチウムイオンを提供する負極(anode);前記正極と前記負極の間に配置されてリチウムイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte);および前記正極と前記負極を電気的に絶縁させる分離膜(separator);を含む二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、銅箔の製造過程でシワまたは破裂の発生が防止され、このような銅箔を利用して軟性印刷回路基板(FPCB)、二次電池などの中間部品および最終品を製造することによって、前記中間部品は言うまでもなく、最終品の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る銅箔の断面図である。
図2】本発明の他の一実施例に係る銅箔の断面図である。
図3】本発明のさらに他の一実施例に係る二次電池用電極の断面図である。
図4】本発明のさらに他の一実施例に係る二次電池用電極の断面図である。
図5】本発明のさらに他の一実施例に係る二次電池の概略的な断面図である。
図6】本発明のさらに他の一実施例に係る銅箔の製造装置である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、以下で説明される実施例は本発明の明確な理解を助けるための例示的目的で提示されるものに過ぎず、本発明の範囲を制限しない。
【0021】
本発明の実施例を説明するための図面に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数等は例示的なものであるので、本発明は図面に図示された事項に限定されるものではない。明細書全体に亘って同一の構成要素は同一の参照符号で指称され得る。本発明を説明するにおいて、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略される。
【0022】
本明細書で言及された「含む」、「有する」、「からなる」等が使われる場合、「~のみ」という表現が使われない以上、他の部分が追加され得る。構成要素が単数で表現された場合、特に明示的な記載事項がない限り複数を含む。また、構成要素の解釈において、別途の明示的記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0023】
位置関係に対する説明の場合、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」等で両部分の位置関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使われない以上両部分の間に一つ以上の他の部分が位置することができる。
【0024】
空間的に相対的な用語である「下(below、beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図面に図示されているように一つの素子または構成要素と他の素子または構成要素との相関関係を容易に記述するために使われ得る。空間的に相対的な用語は図面に図示されている方向に加え、使用時または動作時に素子の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図面に図示されている素子をひっくり返す場合、他の素子の「下(below)」または「下(beneath)」と記述された素子は他の素子の「上(above)」に置かれ得る。したがって、例示的な用語である「下」は下と上の方向をすべて含むことができる。同様に、例示的な用語である「上」または「うえ」は上と下の方向をすべて含むことができる。
【0025】
時間関係に対する説明の場合、例えば、「~後に」、「~に引き続き」、「~次に」、「~前に」等で時間的前後関係が説明される場合、「すぐに」または「直接」という表現が使われない以上連続的でない場合も含むことができる。
【0026】
第1、第2等が多様な構成要素を叙述するために使われるが、これらの構成要素はこれらの用語によって制限されない。これらの用語は単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使うものである。したがって、以下で言及される第1構成要素は本発明の技術的思想内で第2構成要素であってもよい。
【0027】
「少なくとも一つ」の用語は一つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むものと理解されるべきである。例えば、「第1項目、第2項目および第3項目のうち少なくとも一つ」の意味は、第1項目、第2項目または第3項目それぞれだけでなく第1項目、第2項目および第3項目のうち2個以上から提示され得るすべての項目の組み合わせを意味し得る。
【0028】
本発明の多様な実施例のそれぞれの特徴が部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能で、技術的に多様な連動および駆動が可能であり、各実施例が互いに対して独立的に実施可能であってもよく、関連関係で共に実施されてもよい。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係る銅箔110の断面図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明の銅箔110は99.9重量%以上の銅を含む銅膜(copper film:111)および銅膜111上の保護層112を含む。図1に図示された銅箔110では保護層112が銅膜111の一面上に形成されているが、本発明の実施例はこれに限定されるものではない。図2を参照すると、銅膜111の両面上に保護層112が形成されていてもよい。
【0031】
銅膜111は電気メッキを通じて回転陰極ドラム上に形成され得、電気メッキ過程で回転陰極ドラムと直接接触するシャイニー面とその反対側のマット面を有する。
【0032】
保護層112は防錆物質(anticorrosion material)が銅膜111上に電着されることによって形成される。防錆物質はクロム化合物、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。保護層112は銅膜111の酸化および腐食を防止し耐熱性を向上させることによって銅箔110そのものの寿命はもちろん、これを含む最終製品の寿命を延長させる。
【0033】
本発明の一実施例によると、銅膜111は0.05以下の常温損失係数を有する。常温損失係数は下記の式1により計算して得ることができる。
【0034】
[式1]
【0035】
常温損失係数=常温損失弾性係数/常温貯蔵弾性係数
【0036】
前記式1の常温貯蔵弾性係数は常温(room temperature)で銅膜の内部に貯蔵される弾性エネルギーを意味し、前記式1の常温損失弾性係数は常温(room temperature)で銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーが粘性によって損失されるエネルギーを意味する。具体的には、常温(room temperature)は25℃を意味する。
【0037】
銅膜111の常温損失係数が0.05超過である場合、銅膜111の内部に貯蔵された弾性エネルギーの損失が大きくなって外部の衝撃から銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーを維持できない場合があり得る。したがって、銅箔110の製造過程でシワまたは破裂が発生し得、そのため、作業性が低下し二次電池の不良率が増加する。
【0038】
本発明の一実施例によると、銅膜111は0.2以下の高温損失係数を有する。高温損失係数は下記の式2により計算して得ることができる。
【0039】
[式2]
【0040】
高温損失係数=高温損失弾性係数/高温貯蔵弾性係数
【0041】
前記式2の高温貯蔵弾性係数は350℃で1時間熱処理後、銅膜の内部に貯蔵される弾性エネルギーを意味し、前記式2の高温損失弾性係数は350℃で1時間熱処理後、銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーが粘性によって損失されるエネルギーを意味する。
【0042】
銅膜111の高温損失係数が0.2超過である場合、高温で銅膜111の内部に貯蔵された弾性エネルギーの損失が大きくなって外部の衝撃から銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーを維持できない場合があり得る。また、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、ロールプレス工程および/または乾燥工程中に軟化が発生することになり、シワの発生によるハンドリング性の低下が発生し得る。
【0043】
本発明の一実施例によると、銅膜111は30~80GPa範囲の常温貯蔵弾性係数を有することができる。常温貯蔵弾性係数は常温(room temperature)で銅膜の内部に貯蔵される弾性エネルギーを意味する。
【0044】
銅膜111の常温貯蔵弾性係数が30GPa未満の場合、銅膜111の内部に貯蔵された弾性エネルギーが非常に小さいため外部の衝撃に耐え得る十分な弾性エネルギーが存在しない。したがって、銅箔110の製造過程でシワまたは破裂が発生し得、そのため、作業性が低下し、二次電池の不良率が増加し得る。
【0045】
銅膜111の常温貯蔵弾性係数が80GPA超過である場合、二次電池の負極集電体製造工程中に活物質の膨張収縮に対応できない場合もある。その結果、活物質と銅箔110が剥離されたり銅箔110が破断されたりして二次電池の充放電効率が低くなり得る。
【0046】
本発明の一実施例によると、銅膜111は5GPa以下の常温損失弾性係数を有する。常温損失弾性係数は常温(room temperature)で銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーが粘性によって損失されるエネルギーを意味する。
【0047】
銅膜111の常温損失弾性係数が5GPa超過である場合、銅膜111の内部に貯蔵された弾性エネルギーの損失が大きくなって外部の衝撃から銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーを維持できないのであろう。したがって、銅箔110の製造過程でシワまたは破裂が発生し得、そのため、作業性が低下し二次電池の不良率が増加する。
【0048】
本発明の一実施例によると、銅膜111は20~60GPa範囲の高温貯蔵弾性係数を有する。高温貯蔵弾性係数は350℃で1時間熱処理後、銅膜の内部に貯蔵される弾性エネルギーを意味する。
【0049】
銅膜111の高温貯蔵弾性係数が20GPa未満の場合、高温状態で銅膜111の内部に貯蔵された弾性エネルギーが非常に小さい。したがって、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、銅箔110には高温で外部の衝撃に耐え得る十分な弾性エネルギーが存在しない。したがって、銅箔110の製造過程でシワまたは破裂が発生し得、そのため、作業性が低下し二次電池の不良率が増加し得る。
【0050】
銅膜111の高温貯蔵弾性係数が60GPa超過である場合、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、高温状態で活物質が膨張する場合、活物質と銅箔110が剥離されたり、銅箔110が破断されたりして二次電池の充放電効率が低くなり得る。
【0051】
本発明の一実施例によると、銅膜111は10GPa以下の高温損失弾性係数を有する。高温損失弾性係数は350℃で1時間熱処理後、銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーが粘性によって損失されるエネルギーを意味する。
【0052】
銅膜111の高温損失弾性係数が10GPa超過である場合、高温で銅膜111の内部に貯蔵された弾性エネルギーの損失が大きい。したがって、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、銅箔110は高温状態で外部の衝撃から銅膜の内部に貯蔵された弾性エネルギーを維持できない場合もある。また、高温工程を遂行する銅箔110の製造工程の特性上、ロールプレス工程および/または乾燥工程中に軟化が発生することになり、シワの発生によるハンドリング性の低下が発生し得る。
【0053】
本発明の一実施例によると、銅箔110は5~30ppm/℃範囲の熱膨張係数を有することができる。具体的には、銅箔110は10~25ppm/℃範囲の熱膨張係数を有することができる。より具体的には、銅箔110は15~20ppm/℃範囲の熱膨張係数を有することができる。
【0054】
銅箔110の熱膨張係数が5ppm/℃未満である場合、ロールツーロール工程を通じて銅箔110が製造される過程で銅箔110にシワまたは破裂が発生し得る。
【0055】
反面、熱膨張係数が30ppm/℃超過である場合、ロールツーロール工程を通じて銅箔110が製造される過程で銅箔110が相当な程度に曲がることになる。
【0056】
本発明の一実施例に係る銅箔110は4~35μmの厚さを有する。銅箔110が二次電池で電極の集電体として使われる時、銅箔110の厚さが薄いほど同じ空間内により多くの集電体が収容され得るため二次電池の高容量化に有利である。しかし、4μm未満の厚さを有する銅箔110の製造は作業性の低下を引き起こす。
【0057】
反面、35μmを超過する銅箔110で二次電池を製造する場合、厚い銅箔110により高容量の具現が難しくなる。
【0058】
本発明の一実施例に係る銅箔110は45kg/mm以上の引張強度を有することができる。銅箔110のシワおよび破裂を抑制するために、本発明の銅箔110は45kg/mm以上の高い引張強度を有する。銅箔110の引張強度が45kg/mm未満であれば、ロールツーロール製造工程中に2個の互いに隣接したロールの間で銅箔110の折り畳みが引き起こされたりロールツーロール製造工程中に銅箔110の左右末端部にシワが引き起こされる。
【0059】
本発明の一実施例に係る銅箔110は3~30%の延伸率を有することができる。
【0060】
銅箔110の延伸率が3%未満である場合、銅箔110が二次電池の集電体として使われる時、高容量用活物質の大きな体積の膨張に対応して銅箔110が十分に伸びずに破裂する危険が大きい。
【0061】
反面、銅箔110の延伸率が30%超過である場合、二次電池用電極製造工程で銅箔110が容易に伸びて電極の変形が発生し得る。
【0062】
本発明の一実施例によると、銅箔110は0.2~0.3μmの算術平均粗さ(Ra)を有することができる。
【0063】
二次電池の充放電が繰り返されるにつれ活物質層の収縮および膨張が交互に発生し、これは活物質層と銅箔110の分離を誘発して二次電池の充放電効率を低下させる。したがって、二次電極が一定水準以上の容量維持率および寿命を確保するためには(すなわち、二次電池の充放電効率の低下を抑制するためには)、銅箔110が活物質に対して優秀なコーティング性を有することによって銅箔110と活物質層の接着強度が高くなければならない。
【0064】
具体的には、銅箔110の算術平均粗さ(Ra)が小さいほど、銅箔110を含む二次電池の充放電効率が概して少なく低下する傾向がある。したがって、本発明の一実施例によると、銅箔110は0.2~0.3μmの算術平均粗さ(Ra)を有する。
【0065】
銅箔110の算術平均粗さ(Ra)が0.2未満の場合、銅箔110の表面積が相対的に小さいため活物質が銅箔110から容易に脱離され、その結果、充放電の繰り返しによる二次電池の急激な寿命低下が引き起こされる。
【0066】
反面、銅箔110の算術平均粗さ(Ra)が0.3超過である場合、銅箔110と活物質層の間の接触均一性が一定水準に達しないため銅箔110と活物質層間に多数の空間が存在することになり(すなわち、コーティング自体が部分的になされず)、その結果、充放電の繰り返しによる二次電池の急激な寿命低下が引き起こされる。
【0067】
以下では、本発明の銅箔110を含む電極100およびこの電極100を含む二次電池について具体的に説明する。
【0068】
図3は、本発明の一実施例に係る二次電池用電極の断面図である。
【0069】
図3に例示された通り、本発明の一実施例に係る二次電池用電極100は前述した本発明の実施例のうちいずれか一つの銅箔110および活物質層120を含む。
【0070】
図3には、活物質層120が銅箔110の一面上に形成された構成を図示している。しかし、本発明の一実施例はこれに限定されず、図4を参照すると、活物質層120は銅箔110の両面上に形成されてもよい。
【0071】
リチウム二次電池において、正極活物質と結合される正極集電体としてはアルミホイル(foil)が使われ、負極活物質と結合される負極集電体としては銅箔110が使われるのが一般的である。
【0072】
本発明の一実施例によると、前記二次電池用電極100は負極であり、前記銅箔110は負極集電体として使われ、前記活物質層120は負極活物質を含む。
【0073】
二次電池の高容量を担保するために、本発明の前記活物質層120は炭素と金属の複合体で形成され得る。前記金属は、例えばSi、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、Ni、およびFeのうち少なくとも一つ、好ましくはSiおよび/またはSnを含むことができる。
【0074】
図5は、本発明の一実施例に係る二次電池の概略的な断面図である。
【0075】
図5を参照すると、二次電池は、正極(cathode)370、負極(anode)340、正極370と負極340の間に配置されてイオンが移動できる環境を提供する電解質(electrolyte)350、および正極370と負極340を電気的に絶縁させる分離膜(separator)360を含む。ここで、正極370と負極340の間で移動するイオンは、例えば、リチウムイオンである。分離膜360は一つの電極で発生した電荷が二次電池105の内部を通じて他の電極に移動することによって無駄に消耗することを防止するために正極370と負極340を分離する。図5を参照すると、分離膜360は電解質350内に配置される。
【0076】
正極370は正極集電体371および正極活物質層372を含み、正極集電体371としてアルミホイル(foil)が使われ得る。
【0077】
負極340は負極集電体341および負極活物質層342を含み、負極集電体341として銅箔110が使われ得る。
【0078】
本発明の一実施例によると、負極集電体341として図1または図2に開示された銅箔110が使われ得る。また、図3または図4に図示された二次電池用電極100が図5に図示された二次電池の負極340として使われ得る。
【0079】
以下では、図6を参照して本発明の銅箔110の製造方法を具体的に説明する。
【0080】
本発明の銅箔110製造方法は、銅膜111を形成する段階および前記銅膜111上に保護層112を形成する段階を含む。
【0081】
本発明の方法は、電解槽10内の電解液20内に互いに離隔するように配置された正極板30および回転陰極ドラム40を通電させることによって前記回転陰極ドラム40上に銅膜111を形成する段階を含む。
【0082】
図6に例示された通り、正極板30は互いに電気的に絶縁された第1および第2正極板31、32を含むことができる。
【0083】
銅膜111の形成段階は、第1正極板31と回転陰極ドラム40の間の通電によってシード層を形成し、引き続き第2正極板32と回転陰極ドラム40の間の通電によってシード層を成長させることによって遂行され得る。
【0084】
第1および第2正極板31、32によりそれぞれ提供される電流密度は30~130ASDであり得る。
【0085】
第1および第2正極板31、32によりそれぞれ提供される電流密度が30ASD未満の場合、銅箔110の表面粗さが低いため銅箔110と活物質層120の接着力が充分でない場合がある。
【0086】
反面、第1および第2正極板31、32によりそれぞれ提供される電流密度が130ASD超過である場合、銅箔110の表面が粗いため活物質のコーティングが円滑になされない場合がある。
【0087】
銅膜111の表面特性は回転陰極ドラム40の表面のバフ研磨または研磨の程度により変わり得る。例えば、#800~#3000の粒度(Grit)を有する研磨ブラシで回転陰極ドラム40の表面が研磨され得る。
【0088】
銅膜111の形成過程で、電解液20は48~60℃の温度に維持される。より具体的には、電解液20の温度は50℃以上に維持され得る。この時、電解液20の組成が調整されることによって銅膜111の物理的、化学的および電気的特性が制御され得る。
【0089】
本発明の一実施例によると、電解液20は70~100g/Lの銅イオン、70~150g/Lの硫酸、15~25ppmの塩素(Cl)、1~100ppmの鉛イオン(Pb2+)、1~10ml/Lの過酸化水素(H)、0.3~5ppmのタングステン(W)および有機添加剤を含む。
【0090】
銅の電着による銅膜111の形成が円滑になるようにするために、電解液20内の銅イオンの濃度と硫酸の濃度はそれぞれ70~100g/Lおよび70~150g/Lに調整される。
【0091】
本発明の一実施例において、塩素(Cl)は塩素イオン(Cl)および分子内に存在する塩素原子をすべて含む。塩素(Cl)は、例えば、銅膜111が形成される過程で電解液20に流入した銀(Ag)イオンの除去に使われ得る。具体的には、塩素(Cl)は銀(Ag)イオンを塩化銀(AgCl)形態で沈殿させることができる。このような塩化銀(AgCl)は濾過によって除去され得る。
【0092】
塩素(Cl)の濃度が15ppm未満の場合、銀(Ag)イオンの除去が円滑になされない。反面、塩素(Cl)の濃度が25ppmを超過する場合、過量の塩素(Cl)による不要な反応が生じ得る。したがって、電解液20内の塩素(Cl)濃度は15~25ppmの範囲で管理される。
【0093】
本発明の一実施例によると、有機添加剤を含む電解液20は鉛イオン(Pb2+)をさらに含むことができる。具体的には、電解液20は1~100ppmの鉛イオン(Pb2+)を含むことができる。鉛イオン(Pb2+)を1~100ppmに維持する場合、本願発明に係る銅膜111は常温損失係数が0.05以下に維持され、高温損失係数が0.2以下に維持され得る。
【0094】
反面、鉛イオン(Pb2+)の濃度が1ppm未満の場合、本発明の物性を維持する側面で効果が低下する問題が発生し得る。それによって銅膜111の損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得るため、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。
【0095】
また、鉛イオン(Pb2+)の濃度が100ppm超過である場合、銅が不均一に析出され、それによって銅膜111の損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得るため、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。
【0096】
本発明の一実施例によると、有機添加剤を含む電解液20は過酸化水素(H)をさらに含むことができる。連続メッキされる電解液20には有機添加剤によって有機不純物が存在するが、過酸化水素(H)を処理することによって有機不純物を分解して銅箔内部の炭素(C)の含量を適切に調節することができる。電解液20内のTOC濃度が高いほど銅膜111に流入する炭素(C)元素の量が増加し、それにより熱処理時に銅膜111から離脱する全体元素の量が増加して熱処理後の銅箔110の強度が低下する原因となる。
【0097】
添加する過酸化水素(H)の量は電解液L当たり1~10mlの過酸化水素(H)を添加する。具体的には、電解液L当たり2~8mlの過酸化水素(H)を添加することが好ましい。過酸化水素(H)の添加量が1ml/L未満である場合には、有機不純物分解効果が殆どないため意味がない。過酸化水素(H)の添加量が10ml/L超過である場合には、有機不純物が過度に分解されて光沢剤、減速剤およびラベリング剤などの有機添加剤の効果も抑制される。
【0098】
本発明の一実施例によると、有機添加剤を含む電解液20はタングステン(W)をさらに含むことができる。電解液20にタングステン(W)を処理する場合、銅膜111に含まれた結晶質粒子の平均大きさが小さくなり、銅箔110の強度が高くなり得る。電解液20内でタングステン(W)の濃度は0.3~5ppmであり得る。具体的には、1~4ppmのタングステン(W)を添加することが好ましい。
【0099】
反面、タングステン(W)の濃度が0.3ppm未満の場合、銅膜111の結晶質平均粒子の大きさが一定とならず、それによって銅膜111の損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得るため、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。
【0100】
また、タングステン(W)の濃度が5ppm超過である場合、不純物が多くなることになり、それによって銅膜111の損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得るため、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。
【0101】
電解液20に含まれた有機添加剤は、光沢剤(A成分)、減速剤(B成分)およびラベリング剤(C成分)のうち少なくとも一つを含む。電解液20内で有機添加剤は1~100ppmの濃度を有する。
【0102】
有機添加剤は光沢剤(A成分)、減速剤(B成分)およびラベリング剤(C成分)のうち二つ以上を含むことができ、三種類の成分すべてを含んでもよい。このような場合であっても、有機添加剤の濃度は100ppm以下である。有機添加剤が光沢剤(A成分)、減速剤(B成分)およびラベリング剤(C成分)をすべて含む場合、有機添加剤は10~100ppmの濃度を有することができる。
【0103】
光沢剤(A成分)はスルホン酸またはその金属塩を含む。光沢剤(A成分)は電解液20内で1~25ppmの濃度を有することができる。
【0104】
光沢剤(A成分)は電解液20の電荷量を増加させて銅の電着速度を増加させ、銅箔のカール(Curl)特性を改善し、銅箔110の光沢を増進させることができる。光沢剤(A成分)の濃度が1ppm未満であれば銅箔110の光沢が低下し、25ppmを超過すると銅箔110の粗さが上昇し強度が低下し得る。その結果、銅箔110の製造過程でカール、シワまたは破裂が発生し得る。また、損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。
【0105】
より具体的には、光沢剤(A成分)は電解液20内で5~20ppmの濃度を有することができる。
【0106】
光沢剤は、例えば、ビス-(3-スルホプロピル)-ジスルフィドジナトリウム塩、3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸、3-(N,N-ジメチルチオカルバモイル)-チオプロパンスルホネートナトリウム塩、3-[(アミノ-イミノメチル)チオ]-1-プロパンスルホネートナトリウム塩、o-エチルジチオカーボネート-S-(3-スルホプロピル)-エステルナトリウム塩、3-(ベンゾチアゾリール-2-メルカプト)-プロピル-スルホン酸ナトリウム塩およびエチレンジチオジプロピルスルホン酸ナトリウム塩(Ethylenedithiodipropylsulfonic acid sodium salt)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0107】
減速剤(B成分)は非イオン性水溶性高分子を含む。減速剤(B成分)は電解液20内で1~10ppmの濃度を有することができる。
【0108】
減速剤(B成分)は銅の電着速度を減少させて銅箔110の急激な粗さの上昇および強度の低下を防止する。このような減速剤(B成分)は抑制剤またはsuppressorとも呼ばれる。
【0109】
減速剤(B成分)の濃度が1ppm未満であれば銅箔110の粗さが急激に上昇し、銅箔110の強度が低下する問題が発生し得る。また、損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。その結果、銅箔110の製造過程でシワまたは破裂が発生し得る。反面、減速剤(B成分)の濃度が10ppmを超過しても、銅箔110の外観、光沢、粗さ、強度、延伸率などの物性変化が殆どない。したがって、減速剤(B成分)の濃度を不要に高くして製造費用を上昇させて原料を浪費する必要なく、減速剤(B成分)の濃度を1~10ppmの範囲に調整することができる。
【0110】
減速剤(B成分)は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレンコポリマー、ポリグリセリン、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ヒドロキシエチレンセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸ポリグリコールエーテルおよびステアリルアルコールポリグリコールエーテルの中から選択された少なくとも一つの非イオン性水溶性高分子を含むことができる。しかし、減速剤の種類はこれに限定されるものではなく、高強度銅箔110の製造に使われ得る他の非イオン性水溶性高分子が減速剤として使われ得る。
【0111】
ラベリング剤(C成分)は窒素(N)および硫黄(S)のうち少なくとも一つを含む。すなわち、ラベリング剤(C成分)は一つの分子内に一つ以上の窒素原子(N)、または一つ以上の硫黄原子(S)を含むことができ、一つ以上の窒素原子(N)と一つ以上の硫黄原子(S)を含んでもよい。例えば、ラベリング剤(C成分)は窒素(N)および硫黄(S)のうち少なくとも一つを含む有機化合物である。
【0112】
ラベリング剤(C成分)は銅膜111に過度に高いピークや過度に大きい突起が生成されることを防止して、銅膜111が巨視的に平坦となるようにする。ラベリング剤(C成分)は電解液11内で1~10ppmの濃度を有することができる。
【0113】
ラベリング剤(C成分)の濃度が1ppm未満の場合、銅箔110の強度が低下して銅箔110にシワまたは破裂が発生し得、また、損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。反面、ラベリング剤(C成分)の濃度が10ppmを超過する場合、銅箔110の表面粗さが過度に上昇して強度が低下し得、銅箔110の表面にピンホールやカール(Curl)が発生し、銅箔110の製造後にワインダー(WR)から分離するのに困難が発生し得る。また、損失弾性係数および貯蔵弾性係数の値に急激な変化が発生し得、常温損失係数の値が0.05を超過することになり、高温損失係数が0.2を超過することになる。
【0114】
ラベリング剤(C成分)は、例えば、ジエチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、アセチレンチオ尿素、ジプロピルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、N-トリフルオロアセチルチオ尿素(N-trifluoroacetylthiourea)、N-エチルチオ尿素(Nethylthiourea)、N-シアノアセチルチオ尿素(N-cyanoacetylthiourea)、N-アリルチオ尿素(N-allylthiourea)、o-トリルチオ尿素(o-tolylthiourea)、N,N’-ブチレンチオ尿素(N,N’-butylene thiourea)、チアゾリジンチオール(thiazolidinethiol)、4-チアゾリンチオール(4-thiazolinethiol)、4-メチル-2-ピリミジンチオール(4-methyl-2-pyrimidinethiol)、2-チオウラシル(2-thiouracil)、3-(ベンゾトリアゾール-2-メルカプト)-プロパンスルホン酸)、2-メルカプトピリジン、3(5-メルカプト1H-テトラゾール)ベンゼンスルホネート、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジメチルピリジン、2,2’-ビピリジン、4,4’-ビピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリノリン、オキサソール、チアゾール、1-メチルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1-メチル-2メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-エチル-4-メチルイミダゾール、1-エチル-2-エチル-4-メチロール、N-メチルピロール、N-エチルピロール、N-ブチルピロール、N-メチルピロリン、N-エチルピロリン、N-ブチルピロリン、ピリミジン、プリン、キノリン、イソキノリン、N-メチルカルバゾール、N-エチルカルバゾールおよびN-ブチルカルバゾールのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0115】
銅膜111が形成される時、電解槽10内に供給される電解液20の流速は41~45m/hourであり得る。
【0116】
銅膜111を形成する段階は、活性炭を利用して電解液20を濾過する段階、硅藻土を利用して電解液20を濾過する段階および電解液20をオゾン(O)で処理する段階のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0117】
具体的には、電解液20の濾過のために、電解液20は35~45m/hourの流量で循環され得る。すなわち、銅膜111の形成のための電気メッキが遂行される間、電解液20に存在する固形不純物を除去するために、35~45m/hourの流量で濾過が遂行され得る。この時、活性炭または硅藻土が使われ得る。
【0118】
電解液20の清浄度を維持するために、電解液20がオゾン(O)で処理されてもよい。
【0119】
また、電解液20の清浄度のために、電解液20の原料となる銅ワイヤ(Cu wire)が洗浄され得る。
【0120】
本発明の一実施例によると、電解液20を製造する段階は、銅ワイヤを熱処理する段階、熱処理された銅ワイヤを酸洗する段階、酸洗した銅ワイヤを水洗する段階および水洗した銅ワイヤを電解液用硫酸に投入する段階を含むことができる。
【0121】
より具体的には、電解液20の清浄度の維持のために、高純度(99.9%以上)の銅ワイヤ(Cu wire)を750℃~850℃の電気炉で熱処理して銅ワイヤに付着されている各種有機不純物を焼却した後、10%硫酸溶液を利用して10~20分間熱処理された銅ワイヤを酸洗し、蒸溜水を利用して酸洗した銅ワイヤを水洗する過程を順次経て、電解液20製造用銅が製造され得る。水洗した銅ワイヤを電解液用硫酸に投入して電解液20を製造することができる。
【0122】
本発明の一実施例によると、銅箔110の特性を満足させるために電解液20内の総有機炭素(Total Organic Carbon:TOC)の濃度は50ppm以下に管理される。すなわち、電解液20は50ppm以下の総有機炭素(TOC)濃度を有することができる。
【0123】
このように製造された銅膜111は洗浄槽で洗浄され得る。
【0124】
例えば、銅膜111の表面上の不純物、例えば、樹脂成分または自然酸化膜(natural oxide)等を除去するための酸洗(acid cleaning)および酸洗に使われた酸性溶液の除去のための水洗(water cleaning)が順次遂行され得る。洗浄工程は省略されてもよい。
【0125】
次に、銅膜111上に保護層112が形成される。
【0126】
図6を参照すると、前記銅膜111を防錆液(anticorrosion solution)60に浸漬させる段階をさらに含むことができる。前記銅膜111は前記防錆液60に浸漬される時に前記防錆液60内に配置されたガイドロール(guide roll)70により案内され得る。
【0127】
前述した通り、前記防錆液60はクロム化合物、シラン化合物および窒素化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。例えば、1~10g/Lの重クロム酸カリウム溶液に前記銅膜111を常温で1~30秒浸漬させることができる。
【0128】
一方、保護層112はシラン処理によるシラン化合物を含んでもよく、窒素処理による窒素化合物を含んでもよい。
【0129】
このような保護層112の形成によって銅箔110が作られる。
【0130】
前記のような方法を通じて製造された本発明の銅箔110の一面または両面上に、炭素;Si、Ge、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeの金属(Me);前記金属(Me)を含む合金;前記金属(Me)の酸化物(MeOx);および前記金属(Me)と炭素の複合体からなる群から選択される一つ以上の負極活物質をコーティングすることによって本発明の二次電池用電極(すなわち、負極)が製造され得る。
【0131】
例えば、炭素100重量部の負極活物質用炭素に1~3重量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)および1~3重量部のカルボキシルメチルセルロース(CMC)を混合した後、蒸溜水を溶剤として使ってスラリーを調製する。引き続き、ドクターブレードを利用して前記銅箔110上に20~60μm厚さで前記スラリーを塗布し、110~130℃で0.5~1.5ton/cmの圧力でプレスする。
【0132】
以上の方法で製造された本発明の二次電池用電極(負極)とともに、通常の正極、電解質、および分離膜を利用して二次電池を製造することができる。
【0133】
以下では、実施例および比較例を通じて本発明を具体的に説明する。ただし、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明の権利範囲はこれら実施例に制限されない。
【0134】
実施例1-6および比較例1-4
【0135】
電解槽10、電解槽10に配置された回転陰極ドラム40および回転陰極ドラム40と離隔して配置された正極板30を含む製箔機を利用して銅箔を製造した。電解液20は硫酸銅溶液である。電解液20内の銅イオンの濃度は87g/L、硫酸の濃度は110g/L、電解液の温度は55℃、電流密度は60ASDで設定された。
【0136】
また、電解液20に含まれた塩素(Cl)、鉛(Pb)、過酸化水素(H)、タングステン(W)の濃度および有機添加剤の濃度は下記の表1の通りである。
【0137】
有機添加剤のうち光沢剤(A成分)としてビス-(3-スルホプロピル)-ジスルフィドジナトリウム塩(SPS)が使われ、減速剤(B成分)としてポリエチレングリコール(PEG)が使われ、ラベリング剤(C成分)としてエチレンチオ尿素(ETU)が使われた。
【0138】
回転陰極ドラム40と正極板30の間に60ASDの電流密度で電流を印加して銅膜111を製造した。次に、銅膜111を防錆液に約2秒間浸漬させて銅膜111の表面にクロメート処理をして保護層112を形成することによって銅箔110を製造した。防錆液としてクロム酸を主成分とする防錆液が使われ、クロム酸の濃度は5g/Lであった。
【0139】
その結果、実施例1-6および比較例1-4の銅箔が製造された。
【0140】
【表1】
【0141】
【表2】
【0142】
このように製造された実施例1-6および比較例1-4の銅箔に対して、i)常温貯蔵弾性係数(E’)、ii)常温損失弾性係数(E”)、iii)常温損失係数、iv)高温貯蔵弾性係数(E’)、v)高温損失弾性係数(E”)、vi)高温損失係数およびvii)シワ/破裂発生の有無を確認した。
【0143】
i)常温貯蔵弾性係数(E’)、ii)常温損失弾性係数(E”)測定
【0144】
銅箔110をSeiko社Seiko Exstar 6000(DMA/SS6100)を利用して20℃まで冷却後、昇温速度5℃/minで500℃まで昇温させて、振動周波数1Hzで粘弾性を測定した。
【0145】
得られた粘弾性曲線から、25℃での常温貯蔵弾性係数(E’)および常温損失弾性係数(E”)を算出した。
【0146】
iii)常温損失係数(E”/E’)計算
【0147】
常温損失係数(E”/E’)は前記測定されたi)常温貯蔵弾性係数(E”)およびii)常温損失弾性係数(E’)値を下記の式1により計算して得ることができる。
【0148】
[式1]
【0149】
常温損失係数=常温損失弾性係数/常温貯蔵弾性係数
【0150】
iv)高温貯蔵弾性係数(E’)、v)高温損失弾性係数(E”)測定
【0151】
高温貯蔵弾性係数(E’)および高温損失弾性係数(E”)は350℃で1時間加熱して測定したことを除いてはi)常温貯蔵弾性係数(E’)およびii)常温損失弾性係数(E”)と同じ方法で測定した。
【0152】
vi)高温損失係数(E”/E’)計算
【0153】
高温損失係数(E”/E’)は前記測定されたiv)高温貯蔵弾性係数(E’)およびv)高温損失弾性係数(E”)値を下記の式2により計算して得ることができる。
【0154】
[式2]
【0155】
高温損失係数=高温損失弾性係数/高温貯蔵弾性係数
【0156】
vii)シワ/破裂発生の有無
【0157】
100回の充放電後、二次電池を分解して銅箔にシワまたは破裂が発生するかどうかを観察した。銅箔にシワまたは破裂が発生した場合を「発生」で表示し、発生しなかった場合を「なし」で表記した。
【0158】
表1および表2を参照すると次のような結果を確認することができる。
【0159】
光沢剤(A成分)を過量で含み、鉛およびタングステンを微量で含む電解液によって製造された比較例1の銅箔で破裂/シワが発生した。
【0160】
減速剤(B成分)および鉛を過量で含み、タングステンを微量で含む電解液によって製造された比較例2の銅箔で破裂/シワが発生した。
【0161】
ラベリング剤(C成分)、鉛およびタングステンを過量で含む電解液によって製造された比較例3の銅箔で破裂/シワが発生した。
【0162】
ラベリング剤(C成分)および過酸化水素を過量で含む電解液によって製造された比較例4の銅箔で破裂/シワが発生した。
【0163】
反面、本発明に他の実施例1~6の銅箔ではすべて数値が基準以内を満足したし、その結果銅箔で破裂/シワが発生しなかった。
【0164】
以上で説明された本発明は前述した実施例および添付された図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的事項を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形および変更が可能であることが本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明白であろう。したがって、本発明の範囲は後述する特許請求の範囲によって表現され、特許請求の範囲の意味、範囲そして、その等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0165】
100:二次電池用電極
110:銅箔
111:銅膜
120:活物質層
10:電解槽
20:電解液
図1
図2
図3
図4
図5
図6