IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 陳 世 雄の特許一覧

<>
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図1
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図2
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図3
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図4
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図5
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図6
  • 特開-シーソー型水力発電装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085391
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】シーソー型水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
F03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206101
(22)【出願日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】111147962
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501468703
【氏名又は名称】陳 世 雄
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳世雄
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA12
3H074AA18
3H074BB10
3H074CC50
(57)【要約】
【課題】シーソー型水力発電装置を提供する。
【解決手段】シーソー型水力発電装置は、長尺箱体と、水車発電機ユニットと、支点構造と、リフト機構と、を含み、長尺箱体は、収容チャンバと、収容チャンバを第1チャンバと第2チャンバとに仕切る仕切板とを備え、仕切板の下方に第1チャンバと第2チャンバとを連通する水流路が設けられ、水車発電機ユニットは、水流路内に配置される羽根車と、羽根車に連結される発電機とを備え、支点構造は長尺箱体の下方かつ中間に配置され、リフト機構は支点構造の両側に配置され、長尺箱体に付勢力を加えると、長尺箱体は支点構造を中心として傾き、リフト機構によって長尺箱体を交互にリフトアップすることにより、作動流体は水流路を往復流動し、羽根車を回転駆動して発電機によって電力を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に作動流体(WF)が充填されるシーソー型水力発電装置であって、
前記作動流体(WF)を充填するための収容チャンバ(11)と、前記収容チャンバ(11)を第1チャンバ(13)と第2チャンバ(14)とに仕切る仕切板(12)とを備え、前記仕切板(12)の下方に前記第1チャンバ(13)と前記第2チャンバ(14)とを連通する水流路(15)が設けられる長尺箱体(10)と、
前記水流路(15)内に配置される羽根車(22)と、前記羽根車(22)に連結される発電機(21)とを備える水車発電機ユニット(20)と、
前記長尺箱体(10)の下方かつ中間に配置される支点構造(30)と、
前記支点構造(30)の両側に配置されるリフト機構(40)と、を含み、
前記長尺箱体(10)に付勢力を加えると、前記長尺箱体(10)は前記支点構造(30)を中心として傾き、前記リフト機構(40)によって前記長尺箱体(10)を交互にリフトアップすることにより、前記作動流体(WF)は前記水流路(15)を往復流動し、前記羽根車(22)を回転駆動して前記発電機(21)によって電力を生成する、シーソー型水力発電装置。
【請求項2】
前記長尺箱体(10)の上方に配置され、前記長尺箱体(10)に連結される吊上機構(50、50A)をさらに含む、請求項1に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項3】
前記吊上機構(50)は、第1滑車群(51)と第2滑車群(55)とを含み、前記第1滑車群(51)及び前記第2滑車群(55)は、それぞれ前記長尺箱体(10)の角部の上方に配置され、互いに対応している、請求項2に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項4】
前記第1滑車群(51)は、定滑車(511)と、複数の動滑車(512)と、第1モータ(513)と、ロープ(514)とを含み、前記長尺箱体(10)には第1チャンバ引張点(16)が設けられ、前記定滑車(511)は、上部プラットフォーム(UP)に固定され、前記第1モータ(513)は、前記ロープ(514)の巻き付けによって前記定滑車(511)と前記複数の動滑車(512)の各々とに連結され、前記複数の動滑車(512)のうち1つは、前記第1チャンバ引張点(16)に連結される、請求項3に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項5】
前記第2滑車群(55)は、定滑車(551)と、複数の動滑車(552)と、第2モータ(553)と、ロープ(554)とを含み、前記長尺箱体(10)には第2チャンバ引張点(17)が設けられ、前記第2滑車群(55)の前記定滑車(551)は、別の上部プラットフォーム(UP)に固定され、前記第2モータ(553)は、前記第2滑車群(55)の前記ロープ(554)の巻き付けによって前記第2滑車群(55)の前記定滑車(551)と前記複数の動滑車(552)の各々とに連結され、前記第2滑車群(55)の前記複数の動滑車(552)のうち1つは、前記第2チャンバ引張点(17)に連結される、請求項3又は請求項4に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項6】
前記吊上機構(50A)は、モータ(56)とワイヤロープ(57)とを含み、前記長尺箱体(10)には第1チャンバ引張点(16)と第2チャンバ引張点(17)とが設けられ、前記モータ(56)は、前記長尺箱体(10)の上方に固定配置され、前記ワイヤロープ(57)の中間部は前記モータ(56)に巻き付けられ、前記ワイヤロープ(57)の両端は、それぞれ前記第1チャンバ引張点(16)と前記第2チャンバ引張点(17)とに連結される、請求項2に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項7】
前記水車発電機ユニット(20)によって生成された電力にケーブルを介して電気的に接続される電力伝達システム(60)をさらに含む、請求項2に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項8】
前記電力伝達システム(60)は、主に整流器(61)と、インバータ(62)と、昇圧装置(63)と、電力網(64)と、コンデンサケース(66)と、速度制御器(67)とを含み、
電流は前記整流器(61)を経由して2つの経路に分かれ、前記2つの経路のうち一方の経路を流れる前記電流は、前記インバータ(62)を経由して、前記昇圧装置(63)によって昇圧されて電力が前記電力網(64)に送られ、前記2つの経路のうち他方の経路は、まず前記コンデンサケース(66)を経由し、次に前記速度制御器(67)を経由して、前記吊上機構(50、50A)に連結される、請求項7に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項9】
前記整流器(61)と前記インバータ(62)との間に接続されるコンデンサ(65)をさらに含む、請求項8に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項10】
前記リフト機構(40)が一対のばね(41、42)であり、各前記ばね(41、42)が前記支点構造(30)の両側にそれぞれ設けられる、請求項1に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項11】
前記リフト機構(40)が水の浮力である、請求項1に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項12】
前記仕切板(12)は、前記第1チャンバ(13)と前記第2チャンバ(14)の容積が等しくなるように、前記収容チャンバ(11)の中間位置に位置する、請求項1に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項13】
前記支点構造(30)は、前記仕切板(12)の直下に対応して形成されている、請求項12に記載のシーソー型水力発電装置。
【請求項14】
前記支点構造(30)は、支持台(31)と、アングルプレート(32)と、軸受(33)とを含み、前記支持台(31)は、下部プラットフォーム(DP)に固定され、前記アングルプレート(32)は、前記長尺箱体(10)の底面に固定され、前記軸受(33)を介して前記支持台(31)に連結される、請求項13に記載のシーソー型水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力発電装置に関し、特にシーソー型水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化や石油埋蔵量の制限により、環境への影響が比較的低い再生エネルギーは、太陽光、風力、水力、海流などの天然資源の無尽蔵な特性を利用した発電が盛んになり、研究課題となっている。
【0003】
しかしながら、太陽光や風力では発電は可能であるが、天候の影響を受け、安定して持続的に発電することはできない。また、太陽光発電の熱電変換効率や光電変換効率は、効果的に向上しておらず、出力できる電力は限られている。さらに、風力発電は風場の制約、配置の難しさ、運転中に発生する高い騒音など、克服すべき問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本発明者は、上記の従来技術の欠陥に対し、鋭意研究を重ねると共に学理の運用を組み合わせ、上記問題点を解決することに努めた結果、本発明者の改良の目標となった。
【0005】
本発明は、天候や地域の制約を受けることなく、継続的に発電を行うことができるシーソー型水力発電装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るシーソー型水力発電装置は、内部に作動流体が充填され、長尺箱体と、水車発電機ユニットと、支点構造と、リフト機構と、を含み、前記長尺箱体は、収容チャンバと、前記収容チャンバを第1チャンバと第2チャンバとに仕切る仕切板とを備え、前記仕切板の下方に前記第1チャンバと前記第2チャンバとを連通する水流路が設けられ、前記水車発電機ユニットは、前記水流路内に配置される羽根車と、前記羽根車に連結される発電機とを備え、前記支点構造は前記長尺箱体の下方かつ中間に配置され、前記リフト機構は前記支点構造の両側に配置され、前記長尺箱体に付勢力を加えると、前記長尺箱体は前記支点構造を中心として傾き、前記リフト機構によって前記長尺箱体を交互にリフトアップすることにより、前記作動流体は前記水流路を往復流動し、前記羽根車を回転駆動して前記発電機によって電力を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の利点は次の通りである。
(1)比較的小さな力で、長尺箱体を傾けて左右方向に揺動を発生させ、作動流体によって羽根車及び発電機を回転駆動して電力を生成させることができる。
(2)発電機によって生成された電力の一部を吊上機構に供給して長尺箱体を揺動駆動し、残りの電力を外部電源として供給することで、全体の正味出力は持続可能な発電となる。
(3)本発明の装置は、陸上のどこにでも配置でき、水槽に配置することもできる。
(4)本発明の装置は波と水力発電の概念を結合する再生エネルギー設備であり、天候の影響を受けず、一日中24時間絶えず発電することができる。
(5)速度制御器によって揺動の幅(又は角度)及び周波数を調節することで、実際の需要に応じて電力を生成することができる。
(6)発電機によって生成された電力は、蓄電装置で蓄えておくことができ、他の時間帯や特別な需要、特にオフグリッドの時間帯に使用することができる。
(7)構造が簡単で、小さな力で長尺箱体を傾けることができる。
(8)主な重量は支点構造によって全部又は大部分が支えられているので、長尺箱体が片側に傾いても、大きな力は必要ない。
(9)弾性力や水の浮力によって支えられているので、重い側を持ち上げるのに大きな力は必要ない。
(10)吊上機構の配置により、省力化効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るシーソー型水力発電装置の組合せ断面図である。
図2】本発明に係るシーソー型水力発電装置の応力状態を説明するための断面図である。
図3】本発明に係る電力伝達システムのブロック図である。
図4】本発明に係るシーソー型水力発電装置の使用状態を示す断面図(その1)である。
図5】本発明に係るシーソー型水力発電装置の使用状態を示す断面図(その2)である。
図6】本発明の他の実施形態を示す組合せ断面図である。
図7】本発明の別の実施形態を示す組合せ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な説明及び技術内容について、図面を参照しながら以下に説明するが、図面は、参照及び説明のみを提供するものであり、本発明を限定するものではない
【0010】
図1に示すように、本発明に係るシーソー型水力発電装置は、長尺箱体10と、水車発電機ユニット20と、支点構造30、リフト機構40とを含む。
【0011】
長尺箱体10は、断面が矩形、楕円形、円形又はその他の幾何形状であってもよく、収容チャンバ11を備える。収容チャンバ11内には、第1チャンバ13と第2チャンバ14とに仕切る仕切板12が設けられ、仕切板12の下方には、第1チャンバ13と第2チャンバ14とを連通する水流路15が設けられる。ここで、仕切板12は、収容チャンバ11の中間位置に位置することにより、第1チャンバ13と第2チャンバ14の容積を等しくさせる。また、長尺箱体10の上部の両角部には、第1チャンバ引張点16と第2チャンバ引張点17がそれぞれ設けられている。
【0012】
水車発電機ユニット20は、主に発電機21と、発電機21に連結される羽根車22とを備え、羽根車22は、水流路15内に配置され、複数のタービン翼(Turbine)を有し、羽根車22の回転によって発電機21を駆動して電力を生成させる。
【0013】
支点構造30は、長尺箱体10の下方に配置され、長尺箱体10の中間に位置し、上記仕切板12の直下に形成されている。支点構造30は、主に支持台31と、アングルプレート32と、軸受33とを含む。支持台31は、下部プラットフォームDPに固定され、アングルプレート32は、長尺箱体10の底面に固定され、軸受33を介して支持台31に連結される。
【0014】
本実施形態において、リフト機構40は、支点構造30の両側にそれぞれ設けられた一対のばね41、42である。なお、リフト機構40は、油圧装置、空気圧装置、又は他の付勢装置であってもよい。
【0015】
一実施形態において、本発明に係るシーソー型水力発電装置は、長尺箱体10の上方に配置され、長尺箱体10に連結される吊上機構50(Lifting Device)をさらに含む。吊上機構50は省力機構であり、動滑車の配置により、長尺箱体10を引き上げる吊上力を作動流体WFの重量よりもはるかに小さくすることができるので、小さなエネルギーで長尺箱体10を持ち上げて傾けて作動流体WFを流動させることができ、消費エネルギーは少ないが高いエネルギーを発生する機構である。
【0016】
吊上機構50は、主に第1滑車群51と第2滑車群55とを含み、第1滑車群51は、長尺箱体10の左上方に配置され、主に定滑車511と、2つの動滑車512と、第1モータ513と、ロープ514とを含む。定滑車511は上部プラットフォームUPに固定され、第1モータ513はロープ514の巻き付けによって定滑車511と各動滑車512とに連結され、一方の動滑車512は長尺箱体10の第1チャンバ引張点16に連結されることにより、省力効果を達成する。
【0017】
同様に、第2滑車群55は長尺箱体10の右上方に配置され、主に定滑車551と、2つの動滑車552と、第2モータ553と、ロープ554とを含む。定滑車551は上部プラットフォームUPに固定され、第2モータ553はロープ554の巻き付けによって定滑車551と各動滑車552とに連結され、一方の動滑車552は長尺箱体10の第2チャンバ引張点17に連結される。
【0018】
なお、動滑車512、552の数は、より優れた省力効果を達成するために、図示の2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0019】
図2に示す符号を説明すると、CG1は左側箱体(即ち、長尺箱体の左側部分)の重心位置、CGW1は左側作動流体の重心位置、L1は第1チャンバ引張点から支点(即ち、支点構造)までのフォースアーム、LB1左側箱体の重心から支点までのフォースアーム、LF1は第1滑車群の長尺箱体に対する引張力、LF11は第1モータの引張力、LS1は左側ばね(即ち、長尺箱体の左側部分をリフトアップするばね)から支点までのフォースアーム、LW1左の作動流体の重心から支点までのフォースアーム、SF1は左側ばねの付勢力、WB1は左側箱体の重力、WW1は左側作動流体(即ち、長尺箱体の左側部分における作動流体)の重力、CG2は右側箱体(即ち、長尺箱体の右側部分)の重心位置、CGW2は右側作動流体(即ち、長尺箱体の右側部分における作動流体)の重心位置、L2は第2チャンバ引張点から支点までのフォースアーム、LB2右側箱体の重心から支点までのフォースアーム、LF2は第2滑車群の長尺箱体に対する引張力、LF22は第2モータの引張力、LS2は右側ばね(即ち、長尺箱体の右側部分をリフトアップするばね)から支点までのフォースアーム、LW2は右側作動流体の重心から支点までのフォースアーム、SF2は右側ばねの付勢力、WB2右側箱体の重力、WW2は右側作動流体の重力、Wは支持重力である。
【0020】
左側箱体、右側箱体などの力、フォースアーム、トルク及び傾斜方向の関係は以下の通りである。
【表1】

【表2】
【0021】
全体のトルク(Torque、時計回りが正となり、反時計回りが負となる)は、T=(-WB1×LB1-WW1×LW1+SF1×LS1+LF1×L1)+(WB2×LB2+WW2×LW2-SF2×LS2-LF2×L2)である。
【0022】
T>0の場合は、時計回りに回転する傾向があり、T<0の場合は、反時計回りに回転する傾向がある。
【0023】
前述した各パラメータにおいて、WB1及びWB2は固定値であり、その他のパラメータWW1、WW2、SF1、SF2、LF1及びLF2は変動値である。図2に示すように、作動流体WFが右側に傾くとき、右側の作動流体WFが重くなり、WW2>WW1となるが、これに対し、ばねのリフトアップ力はSF2>SF1となり、反時計回りに回転する傾向があるため、ばねの仕様と寸法を適切に選択しさえすれば、長尺箱体10を反時計方向に回転させることは比較的容易である。したがって、LF2が必要とする付勢力を低下させることができるので、作動流体WF全体の重量が右側に偏っているものの、反時計方向の回転の要求を達成することは比較的容易であり、さらに作動流体WFを第1チャンバ13内に傾動させる。作動流体WFは、流れの過程で水流路15を通過し、羽根車22を回転駆動して発電機21によって電力を出力する。
【0024】
図3に示すように、一実施形態において、本発明に係るシーソー型水力装置は電力伝達システム60をさらに含む。上記水車発電機ユニット20の発電機21によって生成された電力は、ケーブルを介して電力伝達システム60に電気的に接続される。電力伝達システム60は、主に整流器61と、インバータ62と、昇圧装置63と、電力網64と、コンデンサケース66と、速度制御器67とを含む。電流は整流器61を経由して2つの経路に分かれ、一方の経路は、順次にインバータ62を経由した後、次に昇圧装置63を経由して昇圧した後、電力を電力網64に送る。ここで、エネルギー貯蔵と電圧安定化の機能を実現するために、整流器61とインバータ62との間にコンデンサ65を増設してもよい。他方の経路は、まずコンデンサケース66を経由し、次に速度制御器67を経由した後、上記吊上機構50に連結される。速度制御器67により、吊上機構50の上昇、降下の速度を調整し、即ち、長尺箱体10の傾斜角度及び周波数を制御でき、さらに水の流量及び発電量を制御することができる。
【0025】
図4及び図5に示すように、作動する際に、長尺箱体10の左側が最高位置にあるとき、長尺箱体10の右側が最低位置にあり、作動流体WFは第2チャンバ14内に蓄積され、第2滑車群55は、上向きの付勢力LF2(図2に示す)を加えるべきであるが、実際には、LF22=1/4LF2である力LF22を出力するだけでよい。これは、ばねの付勢力SF2>SF1であるので、LF2は相対的に小さくなり、実際の付勢力であるLF22はさらに小さくなる。
【0026】
長尺箱体10が水平状態にあるとき、第1チャンバ13と第2チャンバ14内の作動流体WFは等しく、ばねの付勢力SF2=SF1、比較的小さい力であるLF22で長尺箱体10を反時計方向に回転させ続けることができる。作動流体WFが第1チャンバ13に流入し続けるとき、第1チャンバ13内の作動流体WFの重量は小さいLF22力の作用で、長尺箱体10を他の傾斜方向(図5に示す)に回転させ続けることができる。長尺箱体10の左側が最低位置にあり、長尺箱体10の右側が最高位置にあるとき、付勢力は左側にあり、吊上力LF1(図2に示す)は長尺箱体10を時計回り方向に回転させて水平状態にすることができ、その後、初期状態に戻り、このように繰り返して傾けて揺動させ続ける。
【0027】
本発明に係るシーソー型水力装置は、上記実施形態に加えて、本実施形態において、図6に示すように、吊上機構50の第1滑車群51及び第2滑車群55を水槽8の上方に固定配置し、長尺箱体10、水車発電機ユニット20及び支点構造30を水槽8内に配置し、水槽8の内に水81を注入してもよい。長尺箱体10が図6に示すような場合、第2チャンバ14内の作動流体WFが最も多くなり、重量が最も大きくなり、水81の中に没水する容積が最も大きくなるので、第2チャンバ14側の箱体が発生する上向きの浮力SF2>第1チャンバ13側の箱体が発生する上向きの浮力SF1、即ち水の浮力(即ちリフトアップ機構)によって上記実施形態の各ばね41、42を置き換える。その作動方式と原理は上記実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。なお、上記水槽8を湖や海に置き換えても同様の効果が得られる。
【0028】
図7を参照すると、本実施形態の吊上機構50Aは、主にモータ56とワイヤロープ57とを含む。モータ56は、長尺箱体10及び水槽8の上方に固定配置され、ワイヤロープ57の中間部はモータ56に巻き付けられ、ワイヤロープ57の両端は、それぞれ第1チャンバ引張点16と第2チャンバ引張点17とに連結される。モータ56の正逆回転により長尺箱体10を駆動して傾斜揺動を繰り返し発生させる。
【0029】
以上をまとめると、本発明に係るシーソー型水力発電装置は、意図した用途を達成し、従来の欠陥を解決することができ、産業上の利用可能性、新規性及び進歩性を有し、特許出願要件に完全に適合するので、特許法に基づいて出願し、発明者の権利を保障するため、何卒ご審理の上、速やかに特許査定賜りますようお願いする次第である。
【符号の説明】
【0030】
10:長尺箱体
11:収容チャンバ
12:仕切板
13:第1チャンバ
14:第2チャンバ
15:水流路
16:第1チャンバ引張点
17:第2チャンバ引張点
20:水車発電機ユニット
21:発電機
22:羽根車
30:支点構造
31:支持台
32:アングルプレート
33:軸受
40:リフト機構
41、42:ばね
50、50A:吊上機構
51:第1滑車群
511:定滑車
512:動滑車
513:第1モータ
514:ロープ
55:第2滑車群
551:定滑車
552:動滑車
553:第2モータ
554:ロープ
56:モータ
57:ワイヤロープ
60:電力伝達システム
61:整流器
62:インバータ
63:昇圧装置
64:電力網
65:コンデンサ
66:コンデンサケース
67:速度制御器
8:水槽
81:水
DP:下部プラットフォーム
UP:上部プラットフォーム
WF:作動流体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7