IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2024-85394分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム
<>
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図1A
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図1B
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図2
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図3
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図4
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図5A
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図5B
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図5C
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図6
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図7
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図8
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図9
  • 特開-分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085394
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240619BHJP
   G01H 9/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G01H9/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207740
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】18/066,237
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】プラサド ヘマント シバサガー
(72)【発明者】
【氏名】松下 崇
(72)【発明者】
【氏名】生藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
【テーマコード(参考)】
2G064
5H181
【Fターム(参考)】
2G064AA05
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BA08
2G064BC12
2G064BC22
2G064BC31
2G064CC02
2G064CC29
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181DD01
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムは、指示を記憶するように構成されている非一時的コンピュータ可読媒体と、非一時的コンピュータ可読媒体に接続されたプロセッサとを備える。プロセッサは、橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、周波数範囲に基づいてDFOSデータをフィルタリングし、フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、複数の広がり特徴の二値化を実施し、複数の広がり特徴の二値化の結果に基づいて車道に沿った橋の位置を識別するための指示を実行するように構成されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムであって、
指示を記憶するように構成されている非一時的コンピュータ可読媒体と、
前記非一時的コンピュータ可読媒体に接続されたプロセッサであって、
橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、
周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングし、
前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、
前記複数の広がり特徴の二値化を実施し、
前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別する
ための前記指示を実行するように構成されているプロセッサと
を備える、DFOSシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記二値化を使用して閾値を決定し、
前記決定された閾値に基づいて前記フィルタリングされたDFOSデータの閾値処理を実施し、
前記閾値処理の結果にさらに基づいて前記橋の前記位置を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載のDFOSシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
入力/出力(I/O)またはネットワークインターフェースを介して前記周波数範囲を受信する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載のDFOSシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
経験的データに基づいて、または訓練されたニューラルネットワークを使用して前記周波数範囲を決定する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載のDFOSシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記フィルタリングされたDFOSデータに基づいて前記橋の長さを決定する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載のDFOSシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記DFOSデータに基づいて前記光ファイバの追加のファイバ部分を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載のDFOSシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
訓練されたニューラルネットワークを使用して前記追加のファイバ部分を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項6に記載のDFOSシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングする前に前記追加のファイバ部分を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、請求項6に記載のDFOSシステム。
【請求項9】
分散型光ファイバセンシング(DFOS)方法であって、
橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信することと、
周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングすることと、
前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成することと、
前記複数の広がり特徴の二値化を実施することと、
前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別することと
を含む、DFOS方法。
【請求項10】
橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、
周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングし、
前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、
前記複数の広がり特徴の二値化を実施し、
前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別する
ことをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分散型光ファイバセンシングシステム、分散型光ファイバセンシング方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは、多数の車道に沿って存在する。これらの光ファイバに取り付けられた分散型音響センサ(DAS:distributed acoustic sensor)は、光ファイバが位置する場所の振動を検出することができる。場合によっては、これらの振動は、通過車両の結果である。DASは、車両の数、車両の車線位置、および車両速度に関連するデータを収集することができる。
【0003】
DASは、交通パラメータを決定するために、時間および距離に基づいてウォーターフォールデータを生成する。DASが個々の車両を検出する能力は、DASによって検出された信号のノイズ量に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車道に沿った橋の位置を識別する技術の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施態様にかかる分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムは、指示を記憶するように構成されている非一時的コンピュータ可読媒体と、前記非一時的コンピュータ可読媒体に接続されたプロセッサであって、橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングし、前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、前記複数の広がり特徴の二値化を実施し、前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別するための前記指示を実行するように構成されているプロセッサとを備える。
【0006】
本開示の実施態様にかかる分散型光ファイバセンシング(DFOS)方法は、橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信することと、周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングすることと、前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成することと、前記複数の広がり特徴の二値化を実施することと、前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別することとを含む。
【0007】
本開示の実施態様にかかるプログラムは、橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングし、前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、前記複数の広がり特徴の二値化を実施し、前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別することをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の態様は、添付の図と併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。業界の標準的な慣行に従って、様々な特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際、様々な特徴の寸法は、説明を明確にするために任意に拡大または縮小されることがある。
【0009】
図1A】いくつかの実施形態による、車道に沿った分散型音響センサ(DAS)システムの概略図である。
図1B】いくつかの実施形態による、車道に沿った分散型音響センサ(DAS)システムの概略図である。
図2】いくつかの実施形態による、分散型光ファイバセンシング(DFOS:distributed fiber optic sensing)データから橋(ブリッジ(bridge))を識別する方法のフローチャートである。
図3】いくつかの実施形態による、DASシステムによって収集されたウォーターフォールデータを伴うDASシステムの概略図である。
図4】いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの図である。
図5A】いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの橋チャネル(ブリッジチャネル)のヒストグラムの図である。
図5B】いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの非橋(非ブリッジ(non-bridge))チャネルのヒストグラムの図である。
図5C】いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの橋チャネルのヒストグラムの図であり、広がり特徴(spread feature)を含む。
図6】いくつかの実施形態による、閾値を含む広がり特徴のプロットの図である。
図7】いくつかの実施形態による、広がり特徴の閾値処理プロットの図である。
図8】いくつかの実施形態による、分散型光ファイバセンシング(DFOS)データから橋および追加のファイバ部分(extra fiber portion)を識別する方法のフローチャートである。
図9】いくつかの実施形態による、DFOSデータの図である。
図10】いくつかの実施形態による、DFOSデータを分析するためのシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態または例を提供する。以下、本開示を簡略化するために、構成要素、値、動作、材料、配置などの具体的な例を説明する。もちろん、これらは単なる例であり、限定することを意図するものではない。他の構成要素、値、動作、材料、配置なども考えられる。例えば、以下の説明における第2の特徴の上側または上の第1の特徴の形成は、第1および第2の特徴が直接接触して形成される実施形態を含むことができ、第1および第2の特徴が直接接触しないように、追加の特徴が第1および第2の特徴の間に形成され得る実施形態も含むことができる。加えて、本開示は、様々な例において参照番号および/または文字を繰り返すことができる。この繰り返しは、単純化および明確化のためのものであり、それ自体は、説明した様々な実施形態および/または構成の間の関係を規定するものではない。
【0011】
さらに、「真下」、「下」、「下側」、「上」、「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記載するための説明を容易にするために本明細書では使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示す向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図している。装置は、他の方向に向けられてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて同様に解釈されてもよい。
【0012】
車道に沿った光ファイバからのデータを利用することは、車道に沿った交通量、交通速度、事故、および他の事象を決定するのに有用である。光ファイバからのデータに基づいて得られた交通情報の有用性を高めるために、交通情報に対応する車道に沿った正確な位置が決定される。光ファイバは常に車道に正確に平行に設置されるとは限らないので、受信した交通情報に対応する光ファイバに沿った距離を単に決定するだけでは、場合によっては十分な精度を提供しない。車道に沿った橋などの固定基準点の識別は、既知の地理的位置と光ファイバに沿った距離の相関を可能にすることによって精度を向上させるのに役立つ。これらの固定基準点を利用することにより、交通情報の位置精度が向上する。
【0013】
光ファイバに沿った固定基準点の位置を決定することに加えて、追加の光ファイバの位置を識別することは、交通情報についての位置精度を向上させるのに役立つ。車道に沿って設置された光ファイバは、追加の光ファイバを提供して設置された光ファイバの修復または再配置を支援するために、光ファイバのループなどの光ファイバの追加のセクションを有することが多い。光ファイバの追加の部分、例えば、光ファイバループの位置を知ることは、光ファイバのそのような追加の部分によって導入される光ファイバ長および車道長の差を考慮することによって位置精度を向上させるのに役立つ。
【0014】
交通情報の位置の精度の向上は、例えば、車道に沿ったどの位置が交通に対するチョークポイントであるか、交通事故がどこでより頻繁に発生するか、および交通パターンが車道網内でどのように変化するかを決定することによって都市計画にさらに役立つ。この情報は、既存の車道の改善または新しい車道の建設の計画に役立つ。
【0015】
加えて、交通情報の正確な位置は、車道に沿って走行する車両のナビゲーションを支援する。より正確な交通データを運転者に提供することによって、ナビゲーションシステムおよび/またはナビゲーションアプリケーションは、運転者にとってより有用になる。精度の向上したナビゲーションはまた、車両に対する自律運転者または運転者支援機能にも有用である。交通渋滞または交通事故がどこで発生したかを正確に決定することにより、自律運転車両または運転者支援システムは、より効率的な経路に沿って車両を導くことができる。
【0016】
図1Aは、いくつかの実施形態による、車道130Aに沿った分散型音響センサ(DAS)システム100Aの概略図である。DASシステム100Aは、DAS112と通信する交通監視装置111を含む。DASシステム100Aは、DAS112に接続された光ファイバ121をさらに含む。光ファイバ121は、車道130Aに沿っている。車道130Aは、3つの車線を含む。多数の車両が、車道130A上に存在する。車道130A上の一部の車両140は、車道130A上の他の車両150よりも大きい。説明は光ファイバ121に言及しているが、いくつかの実施形態では、光ファイバ121がマルチファイババンドルを含むことを当業者は理解するであろう。
【0017】
車両140および150が車道130Aに沿って通過するとき、車両は振動を生成する。これらの振動により、光ファイバ121に沿った光の伝搬の仕方が変化する。DAS112は、光ファイバ121に接続され、光ファイバ121に光信号を送出し、光ファイバ121からの戻り光を検出する。得られたデータを、ウォーターフォールデータ(waterfall data)と呼ぶ。ウォーターフォールデータは、車両の数、車両による走行の方向性、車両速度、および車道130A上の車両の車線位置に関連する情報を提供する。
【0018】
図1の車道130Aは、堅固な地面上にある。堅固な地面は、車道130Aに沿って走行している車両140および150の検出を不明瞭にするほど十分に高い振幅で振動しない。その結果、DAS112は、車道130Aに沿って走行する車両140および150を正確に検出することができる。いくつかの実施形態では、車道130Aは、図1Bの車道130Bなどの少なくとも1つの橋を含む。
【0019】
堅固な地面とは異なり、橋は、減衰などの異なる振動特性を示す。橋の振動特性は、橋の長、橋の建設材料、風、および他の要因によって影響を受ける。橋の振動特性におけるこれらの差を利用して、光ファイバ121に沿って橋が位置する場所を決定することができる。
【0020】
図1Aはまた、例示的な測定されたDASデータを含む。この例示的な測定されたDASデータは、DAS112によって収集されたウォーターフォールデータの理解を支援するために提供される。
【0021】
図1Bは、いくつかの実施形態による、車道130Bに沿ったDASシステム100Bの概略図である。図1AのDASシステム100Aと同様に、DASシステム100Bは、DAS112と、光ファイバ121とを含む。図1Aとは対照的に、図1Bの車道130Bは、第1の橋160Aと、第2の橋160Bとを含む。加えて、図1Bは、追加のファイバ部分170を含む。
【0022】
第1の車両150Aおよび第2の車両150Bを考慮することは、交通情報に対応する位置を正確に決定する際に第1の橋160Aおよび第2の橋160Bなどの固定基準点の使用を理解するのに役立つ。車道130Bに沿った第1の車両150Aと第2の車両150Bとの間の距離は、第1の車両150Aおよび第2の車両150Bの位置の間の光ファイバ121の長さとは大きく異なる。この差は、追加のファイバ部分170の存在、ならびに光ファイバ121が車道130Bに正確に平行ではないことに起因する。光ファイバ121に沿った第1の橋160Aの位置を決定することは、車道130Bに沿った第1の車両150Aの正確な位置を決定するのに役立つ。車道130Bに沿った第1の橋160Aの位置は、公開されている地理的データに基づいて知られている。光ファイバ121に対する第1の橋160Aの場所を決定することによって、DAS112から第1の車両150Aに最も近い第1の橋160Aの端までの光ファイバ121の長さが、ウォーターフォールデータに基づいて決定される。次に、ウォーターフォールデータに基づいて、第1の橋160Aの端から第1の車両150Aまでの光ファイバ121の長さを決定する。第1の橋160Aの固定基準点から第1の車両150Aまでの光ファイバ121の距離を制限することによって、第1の橋160Aの端からDAS112までの車道130の長さにおける誤差が位置決定から除外される。その結果、車道130Bに沿った第1の車両150Aの位置は、第1の橋160Aの固定基準点を使用してより正確に決定することができる。
【0023】
同様に、第2の車両150Bの位置は、第2の橋160Bの固定基準点を使用することによってより正確に決定される。DAS112からのウォーターフォールデータは、DAS112から第2の車両150Bに最も近い第2の橋160Bの端までの光ファイバ121の長さを決定するために使用可能である。次に、第2の車両150Bと第2の橋160Bとの間の光ファイバ121の長さのみが、車道130Bに沿った第2の車両150Bの位置を決定するために使用される。この短い光ファイバ121の長さを使用することにより、第2の車両150Bと、追加のファイバ部分170を含むDAS112との間の光ファイバ121の長さは、位置決定から除外される。その結果、第2の車両150Bの位置は、第2の橋160Bの固定基準点を使用することによってより正確に決定される。
【0024】
図2は、いくつかの実施形態による、分散型光ファイバセンシング(DFOS)データから橋を識別する方法200のフローチャートである。方法200は、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、またはDFOSデータを提供する別の適切なシステムで使用可能である。
【0025】
動作205において、生のDFOSデータが受信される。いくつかの実施形態では、生のDFOSデータは、ウォーターフォールデータ、例えば、DAS112(図1)によって検出されたウォーターフォールデータを含む。ウォーターフォールデータは、振動データが検出された光ファイバに沿った時間および位置に関連する情報を含む。ウォーターフォールデータのさらなる詳細は、以下の図3に関して説明される。ウォーターフォールデータは、堅固な地面と少なくとも1つの橋の両方を含む車道に沿ったデータを含む。
【0026】
動作210において、車道に沿った橋について周波数範囲が推定される。周波数範囲は、車道に沿った1つまたは複数の橋からの予想される減衰応答を示す。推定周波数範囲は、生のDFOSデータをフィルタリングして橋の位置を自動的に抽出するために使用可能である。いくつかの実施形態では、周波数範囲は、橋の長さ、橋の建設材料、または他の適切なパラメータなど、車道に沿った1つまたは複数の橋の既知の特性に基づいて推定される。いくつかの実施形態では、推定周波数範囲は、オペレータの経験に基づいてオペレータから受信される。いくつかの実施形態では、推定周波数範囲は、経験的データに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、推定周波数範囲は、訓練されたニューラルネットワークを使用して決定される。いくつかの実施形態では、推定周波数範囲は、約3ヘルツ(Hz)~約7Hzである。いくつかの実施形態では、推定周波数範囲は、約3Hz~約5Hzである。推定周波数範囲が低すぎると、場合によっては、橋ではない車道の部分を含めるリスクが増加する。推定周波数範囲が高すぎると、橋の終点、または全体的に短い橋は、場合によってはフィルタリングされたデータから除外されるリスクが高くなる。
【0027】
動作215において、生のDFOSデータは、受信データを強化するために前処理される。データを前処理することは、所定の継続時間にわたって、車道、例えば、車道130B(図1B)に沿った各場所におけるデータの振動振幅を正規化することを含む。振動振幅を正規化することは、光ファイバの感度の変動を考慮するのに役立つ。光ファイバの感度の変動は、限定はしないが、車道の不均一な表面、光ファイバの一貫性のない設置、および光ファイバの不整合を含むいくつかの原因に起因する。振動振幅を正規化することはまた、交通量の変動を考慮するのに役立つ。例えば、車道上の車両の数が増加するにつれて、DASによって検出される振動の大きさが増加する。所定の継続時間に基づいて振動振幅を正規化することによって、交通状況が高い間に検出された大きな振動が交通状況が低い期間に及ぼす影響が低減され、交通流性質を推定するためのより正確なデータが得られる。
【0028】
いくつかの実施形態では、データを前処理することはまた、所定の継続時間にわたって光ファイバに沿った各場所における最大振動振幅を制限する。最大振動振幅を制限することは、トラックまたは建設車両などの大型車両からの振動が、乗用車などの小型車両によって生成される振動を不明瞭にするのを防止するのに役立つ。
【0029】
次に、前処理されたデータは、動作210からの推定周波数範囲に基づいてバンドパスフィルタによってフィルタリングされる。データのフィルタリングは、橋の振動減衰特性を示さないデータから車道の部分を除外する。以下の図4は、フィルタリングされたDFOSデータの一例を提供する。
【0030】
動作220において、フィルタリングされたデータの各チャネルについて広がり特徴が計算される。広がり特徴は、振動強度がチャネル内でどの程度変化するかを決定する。DFOSにおけるチャネルは、その長さがDFOSデータの空間分解能に対応するウォーターフォールデータにおけるデータ点/画素である。例えば、1.6m、3.2m、4.1mなどである。これは、チャネルがこの空間分解能(1.6m、3.2m、4.1mなど)内の振動に関する情報を保持することを意味する。ヒストグラムは、広がり特徴を決定するために使用される。ヒストグラムは、所定の期間にわたって特定の振動強度を有する発生数を示す。いくつかの実施形態では、所定の期間は、約1分~約30分の範囲である。いくつかの実施形態では、1~2時間の期間は、橋チャネルおよび非橋チャネルを分類するのに十分な量のデータを提供する。所定の期間が短すぎると、場合によっては、橋識別に対するフォールスポジティブおよびフォールスネガティブのリスクが増加する。所定の期間が長すぎると、場合によっては、橋識別の正確さを顕著に向上させることなく、DASシステムに対する処理負荷が増加する。橋チャネルのヒストグラムの一例が、以下の図5Aにおいて提供される。非橋チャネルのヒストグラムの一例が、以下の図5Bにおいて提供される。
【0031】
光ファイバのチャネルの各々についてヒストグラムが作成されると、各ヒストグラムについて所定の発生率を含む曲線の幅が決定される。この幅が、ヒストグラムの広がり特徴である。より広い広がり特徴は、車道の橋部分を示す。より狭い広がり特徴は、車道の非橋部分を示す。いくつかの実施形態では、所定の発生率は、約50%~約70%の範囲である。所定の発生率が低すぎると、場合によっては、フォールスポジティブおよびフォールスネガティブの橋識別のリスクが増加する。所定の発生率が高すぎると、場合によっては、橋識別の正確さを顕著に向上させることなく、DASシステムに対する計算負荷が増加する。広がり特徴を含む橋チャネルのヒストグラムの一例が、以下の図5Cにおいて提供される。
【0032】
動作225において、二値化技術がチャネルの各々に対する広がり特徴に適用される。二値化技術は、広がり関数に対して閾値処理を実施するために使用され、それにより閾値以上の広がり特徴を有するすべてのチャネルが車道の橋部分であると決定され、閾値未満の広がり特徴を有するすべてのチャネルが車道の非橋部分であると決定される。いくつかの実施形態では、二値化技術は、Otsuの方法、Kapurの方法、Huangの方法、Niblackの方法、または別の適切な二値化方法を含む。広がり特徴の二値化の一例が、以下の図6において提供される。
【0033】
動作230において、閾値処理が二値化に基づいてチャネルに対して実施される。閾値処理は、チャネルの広がり特徴をデジタル化するために使用され、閾値以上のすべての広がり特徴が橋部分であるとして「1」または正として示され、閾値未満のすべての広がり特徴が非橋部分であるとして「0」または負として示される。広がり特徴の閾値処理の一例が、以下の図7において提供される。
【0034】
動作235において、橋チャネルが閾値処理の結果に基づいて識別される。橋チャネルが識別されると、橋が及ぶチャネルの数に基づいて、橋の各々の長さを決定することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、任意選択の動作240において、追加のチャネルの数を計算することによって、識別された橋間のセグメントがチャネルの実際の長さ/数にサイズ変更される。いくつかの実施形態では、追加のチャネルの数は、DFOSデータ内の識別された橋の場所を道路/高速道路上の対応する橋の基準/実際の場所と比較することによって推定される。いくつかの実施形態では、任意選択の動作240は、動作810の前または後に実施される。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法200は、追加の動作を含む。例えば、いくつかの実施形態では、方法200は、DFOSデータ内で識別された橋が及ぶチャネルの数に基づいて識別された橋の長さを決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法200のうちの少なくとも1つの動作は省略される。例えば、いくつかの実施形態では、動作230は省略され、橋チャネルは、二値化技術が実施された直後に識別される。いくつかの実施形態では、方法200の動作の順序が調整される。例えば、いくつかの実施形態では、動作210は、動作205の前に実施される。
【0037】
図3は、いくつかの実施形態による、DASシステムによって収集されたウォーターフォールデータ300を伴うDASシステム100Bの概略図である。DASシステム100Bは、図1BのDASシステム100Bと同じである。図1Bと同様に、図3の車道(図示せず)は、ウォーターフォールデータ300によって示されるような2つの橋を含む。ウォーターフォールデータ300は、前処理されたウォーターフォールデータである。
【0038】
ウォーターフォールデータ300は、領域302、304、306、308、および310を含む。領域302、306、および310は、車道を横断する車両によって発生される振動を示す識別可能な線を含む。領域304および308は、橋を示す。領域302、306、および310と比較して、領域304および308は、橋の減衰振動が橋を横断する車両の検出された振動を不明瞭にするので、識別可能な線を含まない。
【0039】
図4は、いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータ400の図である。フィルタリングされたDFOSデータ400は、推定周波数範囲内のより高い振動強度を示す領域410を含む。領域410は、車道に沿った橋である可能性が高い。フィルタリングされたDFOSデータ400はまた、推定周波数範囲内のより低い振動強度を示す領域420を含む。領域420は、車道の非橋部分である可能性が高い。
【0040】
図5Aは、いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの橋チャネルのヒストグラム500Aの図である。ヒストグラム500Aは、異なる振動強度に対する発生数を示す曲線510を含む。曲線510は、橋の振動減衰のために広くなっている。すなわち、橋は、車道の非橋部分よりも遅くピーク振動を放散する。その結果、曲線510は広くなる。
【0041】
図5Bは、いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの非橋チャネルのヒストグラム500Bの図である。ヒストグラム500Bは、異なる振動強度に対する発生数を示す曲線520を含む。曲線520は、狭くなっている。すなわち、車道の非橋部分は、橋よりも速く振動を放散する。その結果、曲線520は狭くなる。
【0042】
図5Cは、いくつかの実施形態による、フィルタリングされたDFOSデータの橋チャネルのヒストグラム500Cの図であり、広がり特徴を含む。ヒストグラム500Cは、図5Aに関して上述した曲線510を含む。図5Aと比較して、ヒストグラム500Cは、広がり特徴530を含む。広がり特徴530は、ヒストグラム500Cにおける所定の発生率を捕捉するために使用される曲線510の幅を示す。所定の発生率は、図2に関して上述したものである。
【0043】
図6は、いくつかの実施形態による、閾値620を含む広がり特徴のプロット600の図である。プロット600は、異なるチャネルに対する広がり特徴を示す曲線610を含む。各チャネルに対するヒストグラム、例えば、ヒストグラム500C(図5C)の広がりは、曲線610にプロットされている。閾値620は、例えば、動作225に関して上述したように、二値化技術に基づいて決定される。領域630は、橋チャネルであると決定されたチャネルを示す。領域640は、非橋チャネルであると決定されたチャネルを示す。すなわち、領域630は、閾値620以上の広がり特徴を有するすべてのチャネルを含み、領域640は、閾値620未満の広がり特徴を有するすべてのチャネルを含む。プロット600は、どのチャネルが橋チャネルとして決定されるかを示す。しかし、プロット600は、光ファイバに沿った対応する位置に橋チャネルを位置決めしない。
【0044】
図7は、いくつかの実施形態による、広がり特徴の閾値処理プロット700の図である。閾値処理プロット700は、線720および閾値730を含む第1のグラフ710を含む。線720は、光ファイバ、例えば、光ファイバ121(図1B)の長さに沿った各チャネルに対する広がり特徴を示す。閾値730は、閾値620(図6)と同様に、二値化技術によって決定された閾値を示す。閾値730以上の広がり特徴を有する線720上のチャネルの各々は、橋であると決定される。
【0045】
プロット700は、第1のグラフ710をデジタル化する第2のグラフ740をさらに含む。第2のグラフ740は、線750を含む。線750は、非橋チャネルであると決定されたチャネル毎に「0」の値を有する。線750は、橋チャネルであると決定されたチャネル毎に「1」の値を有する。プロット700を使用して、橋が光ファイバに対して位置する場所に関して正確な決定が行われる。
【0046】
図8は、いくつかの実施形態による、分散型光ファイバセンシング(DFOS)データから橋および追加のファイバ部分を識別する方法800のフローチャートである。方法800は、方法200(図2)における動作と同様のいくつかの動作を含む。同様の動作は同じ参照番号を有し、簡潔にするために図8に関して詳細には説明しない。
【0047】
方法800は、追加のファイバ部分が識別される動作810を含む。追加のファイバ部分を識別することは、車道に隣接して設置された光ファイバ、例えば、光ファイバ121(図1B)に沿って、光ファイバのループなどの追加のファイバ部分の位置を決定することを含む。追加のファイバ部分の位置は、DFOSデータに基づいて決定される。追加のファイバ部分におけるDFOSデータ、例えば、ウォーターフォールデータの読み出しは、特有のパターンを有する。いくつかの実施形態では、特有のパターンは、複数の直線を含む。特有のパターンは、追加のファイバ部分の位置を識別するために使用される。いくつかの実施形態では、特有のパターンは、手動で識別され、オペレータによってマークされる。いくつかの実施形態では、特有のパターンは、訓練されたニューラルネットワークを使用して識別される。追加のファイバ部分を含むDFOSデータの一例が、以下の図9において提供される。
【0048】
追加のファイバ部分を識別することはまた、追加のファイバ部分の長さを決定することを含む。追加のファイバ部分の長さを決定することは、車道に沿った距離と、DAS、例えば、DAS112(図1B)から車道に沿った場所までの光ファイバの長さとの間の不一致を低減するのに役立つ。追加のファイバ部分の長さは、特有のパターンが及ぶチャネルの数およびチャネルのサイズに基づいて決定される。例えば、特有のパターンが及ぶチャネルの数に各チャネルによってカバーされる距離を乗算すると、追加のファイバ部分の全長が得られる。
【0049】
いくつかの実施形態では、特有のパターンは、動作215におけるフィルタリングによって除去される。いくつかの実施形態では、動作810は、動作215の前に実施され、特有のパターンがフィルタリングによって除去されるリスクを低減する。いくつかの実施形態では、動作810は、動作810が動作215の後に実施される場合であっても、生のDFOSデータを使用して実施される。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法800は、追加の動作を含む。例えば、いくつかの実施形態では、方法800は、車道に沿った橋の位置を決定する前に、識別された追加のファイバ部分を除外するようにDFOSデータを修正することを含む。いくつかの実施形態では、方法800のうちの少なくとも1つの動作は省略される。例えば、いくつかの実施形態では、動作240は省略される。いくつかの実施形態では、方法800の動作の順序が調整される。例えば、いくつかの実施形態では、動作810は、動作215の前に実施される。
【0051】
図9は、いくつかの実施形態による、DFOSデータ900の図である。DFOSデータ900は、推定周波数範囲内のより高い振動強度を示す領域910を含む。領域910は、車道に沿った橋である可能性が高い。DFOSデータ900はまた、推定周波数範囲内のより低い振動強度を示す領域920を含む。領域920は、車道の非橋部分である可能性が高い。DFOSデータ900は、特有のパターンを有する領域930を含む。領域930は、追加のファイバ部分を示す。領域930の位置は、DFOSデータ900内の特有のパターンに基づいて識別可能である。追加のファイバ部分の長さは、領域930がDFOSデータ900の距離方向に及ぶチャネルの数に基づいて決定される。
【0052】
図10は、いくつかの実施形態による、DFOSデータを分析するためのシステム1000のブロック図である。システム1000は、ハードウェアプロセッサ1002と、コンピュータプログラムコード1006、すなわち、実行可能指示のセットで符号化された、すなわち、それらを記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体1004とを含む。コンピュータ可読記憶媒体1004はまた、外部デバイスとインターフェースするための指示1007で符号化される。プロセッサ1002は、バス1008を介してコンピュータ可読記憶媒体1004に電気的に結合される。プロセッサ1002はまた、バス1008によってI/Oインターフェース1010に電気的に結合される。ネットワークインターフェース1012はまた、バス1008を介してプロセッサ1002に電気的に接続される。ネットワークインターフェース1012は、プロセッサ1002およびコンピュータ可読記憶媒体1004がネットワーク1014を介して外部要素に接続することが可能であるように、ネットワーク1014に接続される。プロセッサ1002は、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを実施するためにシステム1000を使用可能にするために、コンピュータ可読記憶媒体1004に符号化されたコンピュータプログラムコード1006を実行するように構成される。
【0053】
いくつかの実施形態では、プロセッサ1002は、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、分散処理システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または適切な処理部である。
【0054】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体1004は、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、および/または半導体システム(または装置もしくはデバイス)である。例えば、コンピュータ可読記憶媒体1004は、半導体もしくはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、および/または光ディスクを含む。光ディスクを使用するいくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体1004は、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク読み取り/書き込み(CD-R/W)、および/またはデジタルビデオディスク(DVD)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、記憶媒体1004は、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてをシステム1000に実施させるように構成されたコンピュータプログラムコード1006を記憶する。いくつかの実施形態では、記憶媒体1004はまた、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを実施するために必要な情報、ならびにDASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータ、例えばセンサデータパラメータ1016、橋位置パラメータ1018、周波数範囲パラメータ1020、追加のファイバ部分パラメータ1022、および/またはDASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを実施するための実行可能指示のセットを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを実施する間に生成された情報を記憶する。
【0056】
いくつかの実施形態では、記憶媒体1004は、外部デバイスとインターフェースするための指示1007を記憶する。指示1007は、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを効果的に実施するために、プロセッサ1002が外部デバイスによって読み取り可能な指示を生成することを可能にする。
【0057】
システム1000は、I/Oインターフェース1010を含む。I/Oインターフェース1010は、外部回路に結合される。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1010は、情報およびコマンドをプロセッサ1002に通信するためのキーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、トラックパッド、および/またはカーソル方向キーを含む。
【0058】
システム1000はまた、プロセッサ1002に結合されたネットワークインターフェース1012を含む。ネットワークインターフェース1012は、システム1000が、1つまたは複数の他のコンピュータシステムが接続されるネットワーク1014と通信することを可能にする。ネットワークインターフェース1012は、BLUETOOTH(登録商標)、WIFI、WIMAX、GPRS、もしくはWCDMA(登録商標)などの無線ネットワークインターフェース、またはETHERNET、USB、もしくはIEEE-1394などの有線ネットワークインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべては、2つ以上のシステム1000で実施され、センサデータ、橋位置、周波数範囲、および追加のファイバ部分などの情報は、ネットワーク1014を介して異なるシステム1000間で交換される。
【0059】
システム1000は、I/Oインターフェース1010またはネットワークインターフェース1012を介してDFOSデータに関連する情報を受信するように構成される。DFOSデータは、周波数範囲の推定ならびに前処理および/またはフィルタリングのためにバス1008を介してプロセッサ1002に転送される。周波数範囲は、周波数範囲パラメータ1020としてコンピュータ可読媒体1004に記憶される。いくつかの実施形態では、推定周波数範囲パラメータ1020は、I/O1010またはネットワークインターフェース1012を介して受信される。前処理されたDFOSデータは、その後、センサデータパラメータ1016としてコンピュータ可読媒体1004に記憶される。プロセッサ1002は、コンピュータ可読媒体1004からセンサデータパラメータ1016を取得し、センサデータパラメータ1016内の各チャネルに対する広がり特徴を計算する。プロセッサ1002は、広がり特徴に対して二値化技術を実施し、閾値を決定する。プロセッサ1002は、センサデータパラメータ1016からのどのチャネルが橋の存在を示すかを決定するために、広がり特徴の閾値処理を実施する。プロセッサ1002は、橋の存在を示すチャネルに、橋位置パラメータ1018としてコンピュータ可読媒体1004に記憶されるように指示する。いくつかの実施形態では、プロセッサ1002は、指示1007を実行してセンサデータパラメータ1016内の特有のパターンを識別し、追加のファイバ部分を識別する。いくつかの実施形態では、プロセッサ1002は、訓練されたニューラルネットワークを実行し、追加のファイバ部分を示す特有のパターンを識別する。追加のファイバ部分の位置および長さは、追加のファイバ部分パラメータ1022としてコンピュータ可読媒体1004に記憶される。
【0060】
動作中、プロセッサ1002は、DAS、例えば、DAS100A(図1A)またはDAS100B(図1B)から受信したDFOSデータを前処理するための指示のセットを実行する。プロセッサ1002は、DFOSデータに基づいて車道に沿った橋の少なくとも1つの位置を推定するために、橋位置パラメータ1018、周波数範囲パラメータ1020、追加のファイバ部分パラメータ1022、および/または他の情報を使用して前処理されたDFOSデータを操作するための指示をさらに実行する。少なくとも1つの橋の位置の決定に続いて、プロセッサ1002は、I/Oインターフェース1010またはネットワークインターフェース1012を介して外部デバイスと通信するための指示を生成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、外部デバイスは、DAS、例えば、DAS100A(図1A)またはDAS100B(図1B)からのデータを使用して少なくとも1つの交通流性質を決定し、都市または町の領域内の交通パターンを決定する。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流性質を使用して、例えば、車両が道路を横断することによって生じる振動線の幅および振幅に基づいて、車道に沿って走行する車両が車道に対する重量制限を超えているかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流性質を使用して、GPSデバイスに対するナビゲーション計画を作成する。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、少なくとも1つの交通流性質を使用して、緊急車両のルーティングを支援する。例えば、ナビゲーション計画を生成することによって、および/または大きな振動振幅を検出することによって車両事故の位置を具体的に識別するために。いくつかの実施形態では、外部デバイスは、極めて高い振動振幅および/または光ファイバの損傷に基づいて地すべりを検出するために少なくとも1つの交通パターンを使用する。
【0062】
他の手法と比較して、DASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを実施するために使用されるシステム1000は、カメラなどの複数の視覚監視デバイスを単一の検出システムに置き換えることができる。視覚監視デバイスの代わりに測定機器として光ファイバを使用することによって、無線通信が回避される。場合によっては、無線通信が中断されるか、または他の無線通信デバイスと干渉する。無線通信はまた、光ファイバによって提供される有線接続よりも多くのノイズを送信信号に導入する。加えて、システム1000は、車道に沿って既に設置されている光ファイバに接続することができる。これにより、システム1000を設置し、かつ/またはDASシステム100A(図1A)、DASシステム100B(図1B)、方法200(図2)、方法800(図8)、またはDFOSデータを分析するための別の適切なシステムに関して説明した動作の一部またはすべてを実施するために使用されるインフラストラクチャの量が最小化される。
【0063】
上記の説明は、橋を識別し、少なくとも1つの橋を含む車道に関連する交通流性質を推定する例を参照している。当業者は、上述の原理がトンネル内の交通流性質を決定することにも適用可能であることを認識するであろう。橋とは対照的に、トンネル内の車道は振動を減衰させる。したがって、橋に対する信号を不明瞭にする大量のノイズの代わりに、トンネルは信号強度が低下する。両方の例において、個々の車両情報を識別することは困難である。しかし、所望に応じてパッチサイズを修正し、かつオーバーラップ領域を確立することによって、トンネル内の交通流性質は、上述の原理を使用して依然として推定することができる。
【0064】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0065】
(付記1)
分散型光ファイバセンシング(DFOS)システムであって、
指示を記憶するように構成されている非一時的コンピュータ可読媒体と、
前記非一時的コンピュータ可読媒体に接続されたプロセッサであって、
橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、
周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングし、
前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、
前記複数の広がり特徴の二値化を実施し、
前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別する
ための前記指示を実行するように構成されているプロセッサと
を備える、DFOSシステム。
【0066】
(付記2)
前記プロセッサは、
前記二値化を使用して閾値を決定し、
前記決定された閾値に基づいて前記フィルタリングされたDFOSデータの閾値処理を実施し、
前記閾値処理の結果にさらに基づいて前記橋の前記位置を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記1に記載のDFOSシステム。
【0067】
(付記3)
前記プロセッサは、
入力/出力(I/O)またはネットワークインターフェースを介して前記周波数範囲を受信する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記1に記載のDFOSシステム。
【0068】
(付記4)
前記プロセッサは、
経験的データに基づいて、または訓練されたニューラルネットワークを使用して前記周波数範囲を決定する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記1に記載のDFOSシステム。
【0069】
(付記5)
前記プロセッサは、
前記フィルタリングされたDFOSデータに基づいて前記橋の長さを決定する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記1に記載のDFOSシステム。
【0070】
(付記6)
前記プロセッサは、
前記DFOSデータに基づいて前記光ファイバの追加のファイバ部分を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記1に記載のDFOSシステム。
【0071】
(付記7)
前記プロセッサは、
訓練されたニューラルネットワークを使用して前記追加のファイバ部分を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記6に記載のDFOSシステム。
【0072】
(付記8)
前記プロセッサは、
前記周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングする前に前記追加のファイバ部分を識別する
ための前記指示を実行するようにさらに構成されている、付記6に記載のDFOSシステム。
【0073】
(付記9)
分散型光ファイバセンシング(DFOS)方法であって、
橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信することと、
周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングすることと、
前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成することと、
前記複数の広がり特徴の二値化を実施することと、
前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別することと
を含む、DFOS方法。
【0074】
(付記10)
前記二値化を使用して閾値を決定することと、
前記決定された閾値に基づいて前記フィルタリングされたDFOSデータの閾値処理を実施することと、
前記閾値処理の結果にさらに基づいて前記橋の前記位置を識別することと
をさらに含む、付記9に記載のDFOS方法。
【0075】
(付記11)
入力/出力(I/O)またはネットワークインターフェースを介して前記周波数範囲を受信すること
をさらに含む、付記9に記載のDFOS方法。
【0076】
(付記12)
経験的データに基づいて、または訓練されたニューラルネットワークを使用して前記周波数範囲を決定すること
をさらに含む、付記9に記載のDFOS方法。
【0077】
(付記13)
前記フィルタリングされたDFOSデータに基づいて前記橋の長さを決定すること
をさらに含む、付記9に記載のDFOS方法。
【0078】
(付記14)
前記DFOSデータに基づいて前記光ファイバの追加のファイバ部分を識別すること
をさらに含む、付記9に記載のDFOS方法。
【0079】
(付記15)
前記追加のファイバ部分を識別することは、訓練されたニューラルネットワークを使用することを含む、付記14に記載のDFOS方法。
【0080】
(付記16)
前記追加のファイバ部分を識別することは、前記周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングする前に前記追加のファイバ部分を識別することを含む、付記14に記載のDFOS方法。
【0081】
(付記17)
橋を含む車道に隣接した光ファイバに接続されたセンサからDFOSデータを受信し、
周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングし、
前記フィルタリングされたDFOSデータの複数のチャネルのうちの1つのチャネルに各々が対応する複数の広がり特徴を生成し、
前記複数の広がり特徴の二値化を実施し、
前記複数の広がり特徴の前記二値化の結果に基づいて前記車道に沿った前記橋の位置を識別する
ことをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0082】
(付記18)
前記二値化を使用して閾値を決定し、
前記決定された閾値に基づいて前記フィルタリングされたDFOSデータの閾値処理を実施し、
前記閾値処理の結果にさらに基づいて前記橋の前記位置を識別する
ことを前記コンピュータにさらに実行させるための付記17に記載のプログラム。
【0083】
(付記19)
前記DFOSデータに基づいて前記光ファイバの追加のファイバ部分を識別する
ことを前記コンピュータにさらに実行させるための付記17に記載のプログラム。
【0084】
(付記20)
前記周波数範囲に基づいて前記DFOSデータをフィルタリングする前に前記追加のファイバ部分を識別する
ことを前記コンピュータにさらに実行させるための付記19に記載のプログラム。
【0085】
上記は、当業者が本開示の態様をよりよく理解することができるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、本明細書に導入された実施形態と同じ目的を実行し、かつ/または同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用することができることを理解するべきである。当業者はまた、そのような同等の構成が本開示の精神および範囲から逸脱するものではなく、本開示の精神および範囲から逸脱することなく本明細書において様々な変更、置換、および改変を行うことができることを認識するべきである。
【0086】
この出願は、2022年12月14日に出願された米国特願18/066,237号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0087】
(関連出願)
本出願は、日本国特許出願第2019/026131号に関するものであり、上記の開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0088】
100A 分散型音響センサ(DAS)システム
100B DASシステム
111 交通監視装置
112 DAS
121 光ファイバ
130A、130B 車道
140、150 車両
150A 第1の車両
150B 第2の車両
160A 第1の橋
160B 第2の橋
170 追加のファイバ部分
200 方法
205、210、215、220、225、230、235、240 動作
300 ウォーターフォールデータ
302、304、306、308、310 領域
400 分散型光ファイバセンシング(DFOS)データ
410、420 領域
500A、500B、500C ヒストグラム
510、520 曲線
530 広がり特徴
600 プロット
610 曲線
620 閾値
630、640 領域
700 閾値処理プロット
710 第1のグラフ
720 線
730 閾値
740 第2のグラフ
750 線
800 方法
810 動作
900 DFOSデータ
910、920、930 領域
1000 システム
1002 ハードウェアプロセッサ
1004 非一時的コンピュータ可読記憶媒体
1006 コンピュータプログラムコード
1007 指示
1008 バス
1010 I/Oインターフェース
1012 ネットワークインターフェース
1014 ネットワーク
1016 センサデータパラメータ
1018 橋位置パラメータ
1020 周波数範囲パラメータ
1022 追加のファイバ部分パラメータ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10