IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパスメディカルシステムズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085400
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209176
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】63/387,401
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】宮島 千賀
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 淳一
(72)【発明者】
【氏名】樋高 裕也
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 直輝
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK06
4C160KK13
4C160KK52
4C160KK57
4C160MM43
4C160NN01
4C160NN09
4C160NN11
(57)【要約】
【課題】本発明に係る内視鏡用処置具によれば、高周波ナイフまたはシースの先端からの送水を好適に行うことができる。
【解決手段】本発明に係る内視鏡用処置具は、長手方向に延在するシース1と、シース1の先端に設けられ、長手方向に貫通する貫通孔12を有する絶縁性の先端部材11と、貫通孔12に挿入され長手方向に進退し、長手方向に延びる送水用の第一管路22を備えた金属製の電極2と、長手方向に延在し、少なくとも第一管路22に配置されたロッド3と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在するシースと、
前記シースの先端に設けられ、前記長手方向に貫通する貫通孔を有する絶縁性の先端部材と、
前記貫通孔に挿入され前記長手方向に進退し、前記長手方向に延びる送水用の第一管路を備えた金属製の電極と、
前記長手方向に延在し、少なくとも前記第一管路に配置されたロッドと、
を備える、
内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記ロッドは、前記長手方向に進退可能に延在する、
請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記ロッドの先端は、前記長手方向において、前記第一管路の先端開口が位置する第一位置に位置するとき、前記先端開口から前記第一管路に生体組織が入り込まないように前記先端開口を封止する、
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記長手方向において前記第一管路に連通する第二管路を有し、先端を前記電極に接続された中空の操作ワイヤと、
前記操作ワイヤを前記長手方向に沿って進退させる操作部と、
をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記操作部は、
前記操作ワイヤの基端に接続され、前記電極を前記長手方向に進退させるスライダと、
前記長手方向において、前記電極に対して前記ロッドを相対的に進退させるスライドレバーと、
を備える、
請求項4に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記ロッドは、
前記スライドレバーを前記長手方向の先端側に移動させると、前記ロッドの先端が前記長手方向において、前記第一管路の先端開口が位置する第一位置に配置されて前記先端開口を封止する第一形態と、
前記スライドレバーを前記長手方向の基端側に移動させると、前記ロッドの先端が前記長手方向において、前記先端開口よりも基端側の第二位置に配置されて前記先端開口を開口し、前記第一管路を送水可能にする第二形態と、を有する、
請求項5に記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
前記ロッドは、前記長手方向に延びる支柱部と、前記支柱部の先端側に設けられ前記支柱部よりも外径の大きい先端部と、
を備え、
前記先端部は、前記第一管路の先端開口よりも前記先端側に移動可能に設けられる、
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
前記先端部は、前記先端開口から前記第一管路に生体組織が入り込まないように前記先端開口を封止する、
請求項7に記載の内視鏡用処置具。
【請求項9】
前記ロッドは、先端に先細形状の先端部を有する、
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項10】
前記操作部は、前記スライドレバーの前記長手方向に沿う進退を規制可能なストッパーを有し、
前記ストッパーによって前記スライドレバーの進退が規制されているとき、前記前記ロッドの進退可能な範囲は、前記ロッドの先端が前記第一管路の先端開口から前記電極の基端部までの範囲に規制される、
請求項5に記載の内視鏡用処置具。
【請求項11】
前記スライドレバーが、前記ストッパーよりも基端側に位置するとき、前記ロッドの先端が前記第一管路内に位置する、
請求項10に記載の内視鏡用処置具。
【請求項12】
前記ロッドは、
前記ストッパーが前記操作部に取り付けられたとき、前記ロッドの先端の進退可能な範囲が前記先端開口から前記電極の基端部までに位置する範囲に規制された規制状態であり、
前記ストッパーが前記操作部から取り外されたとき、前記ロッドの先端が前記先端開口よりも先端側へ突出可能な突出状態である、
請求項11に記載の内視鏡用処置具。
【請求項13】
前記操作部は、前記スライドレバーの前記長手方向に沿う進退を規制可能なストッパーを有し、
前記ロッドは、前記ストッパーによって前記スライドレバーの進退が規制されているとき、前記長手方向に進退不能である、
請求項5に記載の内視鏡用処置具。
【請求項14】
前記ロッドは、前記ストッパーによって前記長手方向に進退不能に規制されているとき、前記ロッドの先端が前記第一管路の先端開口に維持された位置決め状態である、
請求項13に記載の内視鏡用処置具。
【請求項15】
前記ロッドは、前記ロッドを進退させることで前記第一管路に固着した生体組織を除去可能な焦げ除去部を有する、
請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項16】
前記ロッドは、前記第一管路の先端開口を封止する栓を有する、
請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項17】
前記操作部は、前記ロッドの先端部を前記第一管路の先端開口から突出する際に、前記スライドレバーに対してユーザーフィードバックを発生させる位置決め部を有する、
請求項5に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具に関する。
本願は、2022年12月14日に米国に出願された米国仮特許出願第63/387,401号に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの内視鏡治療において、高周波ナイフなどの切開・焼灼・剥離用の内視鏡用処置具や局注用の内視鏡用処置具や止血用の内視鏡用処置具等が使用されている。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載のような内視鏡用処置具は、高周波ナイフによる切開・焼灼・剥離処置と止血処置とを実施可能にし、かつシースの先端から液体(局注液)を送水する局注処置を実施可能に構成されている。また、特許文献1及び特許文献2には、高周波ナイフの側面に形成されたシースの送水口からの送水に加えて、高周波ナイフの先端に備えた送水口からの送水を可能な内視鏡用処置具(いわゆるデュアルナイフ)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0113260号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0096154号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載の内視鏡用処置具は、切開・焼灼・剥離処置及び止血処置において、高周波ナイフの先端を処置部に当てるため、組織が高周波ナイフの先端に付着したり、先端に設けられた送水口内に入りこんで詰まったりする。すると、術者が局注処置を行う際に処置部への流体の送水力が弱まったり、送水が不安定になってしまったりする虞があった。また、組織が高周波ナイフに付着した状態で、高周波エネルギーを供給すると、組織が焦げてしまう。組織の焦げは、高周波ナイフの先端に固着してしまうため、送水力を高圧にしても、組織の焦げを落としにくかった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、高周波ナイフまたはシースの先端からの送水を好適に行うことができる内視鏡用処置具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る内視鏡用処置具は、長手方向に延在するシースと、前記シースの先端に設けられ、前記長手方向に貫通する貫通孔を有する絶縁性の先端部材と、前記貫通孔に挿入され前記長手方向に進退し、前記長手方向に延びる送水用の第一管路を備えた金属製の電極と、前記長手方向に延在し、少なくとも前記第一管路に配置されたロッドと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る内視鏡用処置具によれば、高周波ナイフまたはシースの先端からの送水を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る内視鏡処置システムの全体構成を示す図である。
図2】同内視鏡処置システムの処置具を示す全体図である。
図3】同処置具の先端部の斜視図である。
図4】同処置具の先端部の断面図である。
図5】処置前状態の同処置具の先端部を示す斜視図である。
図6】処置前状態の同処置具の先端部を示す断面図である。
図7】送水状態の同処置具の先端部を示す斜視図である。
図8】送水状態の同処置具の先端部を示す断面図である。
図9】同処置具のロッドの変形例である処置具の封止部材を示す断面図である。
図10】同処置具のロッドの変形例である処置具のロッドを示す断面図である。
図11】同ロッドが前進した状態を示す断面図である。
図12】同処置具のロッドの変形例である処置具のロッドを示す断面図である。
図13】同処置具のナイフを移動させた状態を示す断面図である。
図14】同ナイフの変形例を示す斜視図である。
図15】同ナイフの変形例を示す斜視図である。
図16】同処置具の操作部の変形例における閉状態を示す図である。
図17】同処置具の操作部の変形例における開状態を示す図である。
図18】同処置具の操作部の変形例における閉状態を示す図である。
図19】同ロッドの変形例を示す断面図である。
図20】同操作部の変形例における第一領域に位置するロッド用スライダを示す断面図である。
図21】同操作部の変形例における第二領域に位置するロッド用スライダを示す断面図である。
図22】同操作部の変形例における第三領域に位置するロッド用スライダを示す断面図である。
図23】同操作部の変形例を示す断面図である。
図24】同操作部の変形例を示す断面図である。
図25】同操作部のレバーとロッドとの接続を示す図である。
図26図25に示すX-X線に沿う同レバー及び管状部材の断面図である。
図27】同レバー及び管状部材の変形例を示す断面図である。
図28】同レバー及び管状部材の変形例を示す断面図である。
図29】第二実施形態に係る処置具の先端部の斜視図である。
図30】同処置具の先端部の断面図である。
図31】同処置具のシースの絶縁チップの変形例であるシースの絶縁チップを示す断面図である。
図32】同処置具のナイフが基端側に後退した状態における絶縁チップを示す断面図である。
図33】同絶縁チップの突出部の変形例である突出部を示す斜視図である。
図34】同絶縁チップの突出部の変形例である突出部を示す斜視図である。
図35】同絶縁チップの突出部の変形例である突出部を示す断面図である。
図36】同処置具のシースの絶縁チップの変形例であるシースの絶縁チップを示す断面図である。
図37】同処置具のナイフを移動させた状態を示す断面図である。
図38】同処置具の変形例である処置具を示す断面図である。
図39】同処置具の変形例である処置具を示す断面図である。
図40】本発明の第三実施形態に係る内視鏡処置システムを示す図である。
図41】同内視鏡処置システムの一例を説明する概略構成図である。
図42】同内視鏡処置システムの作用を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る内視鏡処置システム300について、図1から図8を参照して説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る内視鏡処置システム300の全体構成を示す図である。
【0011】
[内視鏡処置システム300]
内視鏡処置システム(処置システム)300は、消化管等の手術に使用される。内視鏡処置システム300は、図1に示すように、内視鏡200と処置具(内視鏡用処置具)100とを備えている。処置具100は、内視鏡200に挿入して使用される。
【0012】
[内視鏡200]
内視鏡200は、公知の軟性内視鏡であり、先端から体内に挿入される長尺の挿入部202と、挿入部202の基端部に設けられた操作部207と、を備える。
【0013】
挿入部202は、撮像部203と、湾曲部204と、軟性部205と、を有する。挿入部202の先端から、撮像部203、湾曲部204及び軟性部205の順でそれぞれが配されている。挿入部202には、処置具100が挿通する処置具チャネル206が形成されている。挿入部202の先端202aには、処置具チャネル206の先端開口部206aが設けられている。処置具チャネル206は、挿入部202の先端202aから操作部207まで延びている。
【0014】
撮像部203は、例えばCCDやCMOSなどの撮像素子を備えており、処置対象となる部位を撮像可能である。撮像部203は、処置具100がチャンネル206の先端開口部206aから突出している状態において、処置具100のナイフ2を撮像することができる。
【0015】
湾曲部204は、操作者による操作部207の操作に従って湾曲する。軟性部205は、可撓性を有する管状の部位である。
【0016】
操作部207は、軟性部205に接続されている。操作部207は、グリップ208と、入力部209と、チャンネル206の基端開口部206bと、ユニバーサルコード210と、を有する。グリップ208は、操作者によって把持される部位である。入力部209は、湾曲部204を湾曲動作させるための操作入力を受け付ける。ユニバーサルコード210は、撮像部203が撮像した画像を外部に出力する。ユニバーサルコード210は、プロセッサなどを備えた画像処理装置を経由して、液晶ディスプレイなどの表示装置に接続される。
【0017】
[処置具100]
図2は、処置具100を示す全体図である。
処置具(内視鏡用処置具)100は、シース1と、ナイフ(高周波ナイフ、電極)2と、棒状部材(ロッド)3と、接続ツナギ23と、操作ワイヤ4(図4参照)と、操作部5と、を備える。以降の説明において、処置具100の長手方向Aにおいて、患者の体内に挿入される側を「先端側A1」、操作部5側を「基端側A2」という。また、長手方向Aに直交する処置具100の幅方向(正面視した処置具100の左右方向)を「幅方向Y(図3参照)」とする。
【0018】
[シース1]
シース1は、長手方向Aに延在する。シース1は、可撓性及び絶縁性を有し、先端1aから基端1bまで延びる長尺な樹脂製の部材である。シース1は、内視鏡200のチャンネル206に挿入可能な外径を有し、チャンネル206を進退可能である。図1に示すように、シース1がチャンネル206に挿入された状態において、シース1の先端1aは、チャンネル206の先端開口部206aから突没可能である。
【0019】
図3は、処置具100の先端部の斜視図である。
シース1の先端1aには、長手方向Aに貫通する貫通孔12を有する絶縁性の絶縁チップ(先端部材)11が取り付けられている。貫通孔12は、長手方向Aに沿って延びるチップ管路12h(図4参照)を有する。チップ管路12hには、先端に先端開口12aが形成されている。貫通孔12には、ナイフ2及びロッド(棒状部材)3が挿入される。ナイフ2及びロッド3は、チップ管路12h内において長手方向Aに進退可能に設けられている。
【0020】
[ナイフ(高周波ナイフ)2]
図4は、処置具100の先端部の断面図である。
ナイフ(高周波ナイフ)2は、例えば送水及び高周波電流による切開・焼灼・剥離が可能な高周波デュアルナイフである。ナイフ2は、シース1に挿入され、長手方向Aに進退する金属製の略丸棒状の部材である。ナイフ2は、シース1の絶縁チップ11の先端開口12aから先端側A1に突出可能に設けられている。ナイフ2は、例えばステンレスなどの素材により形成されている。ナイフ2は、導電性を有し、高周波電流が通電される。ナイフ2は、ナイフ本体20と、フランジ21と、を有する。
【0021】
ナイフ2は、後述のロッド3に対して相対移動可能である。ナイフ2の長手方向Aにおける中心軸O2は、シース1の長手方向Aにおける中心軸O1と略一致している。
【0022】
ナイフ本体20は、金属製の丸棒状の部材である。ナイフ本体20の基端には操作ワイヤ4が取り付けられている。ナイフ本体20は、操作部5と接続された操作ワイヤ4から供給される高周波電流をフランジ21に供給する。操作ワイヤ4からナイフ2に高周波電流が供給されると、ナイフ本体20及びフランジ21は、高周波電流を生体組織へ出力するモノポーラ電極として機能する。
【0023】
フランジ(先端部)21は、ナイフ本体20の先端に設けられた円環板状の導電部材である。長手方向Aに沿った方向から見た正面視において、フランジ21の外周は、ナイフ本体20の外周と同心円状に形成されている。図4に示すように、フランジ21の長手方向Aに対して垂直な径方向の幅L1は、ナイフ本体20の径方向の幅L2よりも長い。
【0024】
ここで、チップ管路12hの先端開口12aは、ナイフ2の先端部であるフランジ21と係合する大きさに形成されている。また、チップ管路12hの内径L3は、フランジ21の径方向の幅L1よりも小さい。そのため、フランジ21は、先端開口12aで係止して先端開口12aから基端側A2には移動しない。
【0025】
ナイフ本体20及びフランジ21は、長手方向Aに沿って延びる第一送水管路(第一管路)22を有する。第一送水管路22には、液体が流れる。第一送水管路22は、フランジ21に形成された先端開口(送水口または第一開口)22aに連通している。言い換えると、第一送水管路22は、先端側A1に先端開口22aを有する。
【0026】
[ロッド(棒状部材)3]
ロッド(棒状部材)3は、長手方向Aに延在し、樹脂材や金属材等により形成された可撓性の丸棒状部材である。ロッド3は、ナイフ2と同様に、中心軸O2を中心軸としている。ロッド3は、長手方向Aに沿って管状のナイフ2及び操作ワイヤ4に挿入されており、ナイフ2及び操作ワイヤ4に対して相対的に進退可能である。具体的には、ロッド3は、ナイフ2の第一送水管路22及び後述の操作ワイヤ4の第二送水管路(第二管路)42に挿入される。
【0027】
ロッド3は、少なくとも先端側A1の先端3aが、先端開口22aの内径よりもわずかに小さい外径を有する。先端3aは、第一送水管路22及び後述の操作ワイヤ4の第二送水管路(第二管路)42に対する栓として機能し得る。本実施形態では、ロッド3は、長手方向Aのどの位置においても外径は同じである。ロッド3の基端部は、後述の操作部5のレバー55に接続される。
【0028】
[接続ツナギ23]
接続ツナギ23は、図4に示すように、ナイフ2の基端側A2の周方向及び操作ワイヤ4の先端側A1の周方向に取付けられ、ナイフ2の基端と操作ワイヤ4の先端とを接続する。
【0029】
[操作ワイヤ4]
操作ワイヤ4は、図4に示すように、シース1の内部空間1sを挿通するシャフトであり、コイルシャフト40と、チューブ41と、を有する。操作ワイヤ4の先端は接続ツナギ23によってナイフ2に接続され、操作ワイヤ4の基端は操作部5に接続されている。なお、操作ワイヤ4は、中空のシャフトであれば他の態様であってもよい。
【0030】
コイルシャフト40は、金属製のコイルワイヤである。コイルシャフト40は、例えばステンレスなどの素材により形成されている。コイルシャフト40の内部には、第二送水管路42が形成されている。第二送水管路42は、第一送水管路22の基端に連結(連通)されている。
【0031】
チューブ41は、コイルシャフト40の外周部分に設けられたチューブであり、例えば熱収縮チューブである。コイルシャフト40の外周部分にチューブ41を被せることにより、第二送水管路42から液体が漏れない。
【0032】
[操作部5]
操作部5は、図1及び図2に示すように、操作部本体51と、スライダ52と、給電コネクタ53と、液体供給口54と、レバー(スライドレバー)55と、を有する。
【0033】
操作部本体51の先端部は、シース1の基端1bと接続されている。操作部本体51は、操作ワイヤ4が挿通可能な内部空間を有している。ロッド3と操作ワイヤ4は、シース1の内部空間1s(図4参照)及び操作部本体51の内部空間を通過してスライダ52まで延びている。
【0034】
スライダ52は、操作部本体51に対して長手方向Aに沿って移動可能に取り付けられている。スライダ52は、操作部本体51と連結されたシース1にОリング等を介して取り付けられている。スライダ52には、操作ワイヤ4の基端が取り付けられている。術者がスライダ52を操作部本体51に対して相対的に進退させることにより、操作ワイヤ4及びナイフ2が進退する。
【0035】
給電コネクタ53は、スライダ52に固定されている。給電コネクタ53は、図示しない高周波電源装置に接続可能であり、導電ワイヤ等を経由して操作ワイヤ4の基端部と接続されている。給電コネクタ53は、高周波電源装置から供給された高周波電流を、操作ワイヤ4を経由してナイフ2に供給可能である。
【0036】
液体供給口54は、スライダ52に設けられている。液体供給口54は、スライダ52に形成された送水管路(不図示)を経由して第二送水管路42の基端に連結されている。液体供給口54には、例えばポンプ等の送液装置が接続されている。ポンプは、液体供給口54に液体を送水(送液)する。液体供給口54から供給した液体は、スライダ52に形成された送水管路、第二送水管路42及び第一送水管路22を通過して先端開口22aから放出される。
【0037】
レバー(スライドレバー)55にはロッド3の基端が取り付けられている。また、レバー(スライドレバー)55は、スライダ52に対して長手方向Aに沿って移動可能に取り付けられている。術者は、レバー55を長手方向Aに沿って移動させることで、棒状部材3を長手方向Aに進退させることができる。
【0038】
次に、操作部5の操作とナイフ2及びロッド3の関係について説明する。
【0039】
図3及び図4に示すように、スライダ52及びレバー55を先端側A1に移動させると、ナイフ2及びロッド3は、シース1の先端1aから突出する。このときナイフ2及びロッド3の状態を、処置状態とする。処置状態において、術者は、切開・焼灼・剥離処置を行うことができる。また、このときロッド3の先端3aは、長手方向Aにおいて先端開口22aに位置する。以降の説明において、先端3aが長手方向Aにおいて先端開口22aに配置される位置を、第一位置P1という。先端3aは、第一位置P1において、幅方向Yから見て先端開口22aに重なる。すなわち、先端3aが第一位置P1に位置した状態では、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致している。ロッド3の先端3aが第一位置P1に位置するとき、先端開口22aは、ロッド3の先端3aによって封止されている。第一位置P1に配置された先端3aによって先端開口22aを封止するロッド3の形態を、第一形態とする。
【0040】
図5は、処置前状態の処置具100の先端部を示す斜視図である。図6は、処置前状態の処置具100の先端部を示す断面図である。
【0041】
図5及び図6に示すように、スライダ52及びレバー55を基端側A2に移動させると、ナイフ2及びロッド3は、シース1の先端1aに設けられた絶縁チップ11の貫通孔12の先端開口12aから突出しない状態となる。ナイフ2及びロッド3は、後退することにより、貫通孔12の先端開口12aから基端側A2に収納される。
【0042】
このときナイフ2及びロッド3の状態を、処置前状態とする。具体的には、ナイフ2が基端側A2に後退した状態では、ナイフ本体20の先端に設けられたフランジ21が先端開口12a付近に配置される。この状態では、フランジ21は、幅方向Yから見て先端開口12aに重なる。すなわち、絶縁チップ11の凹部にフランジ21が収容されている。なお、絶縁チップ11の凹部にフランジ21が収容された状態において先端開口12aから僅かにナイフ2の先端が突出していても良い。また、ナイフ2の後退に伴ってロッド3も基端側A2に後退し、ロッド3の先端3aが長手方向Aにおいてナイフ2の先端開口22aに位置する。すなわち、先端3aは第一位置P1に位置した状態であり、先端3aの位置は長手方向Aにおいてナイフ2の先端の位置と一致している。なお、長手方向Aにおいてフランジ21の先端位置が絶縁チップ11の先端面の位置と一致している場合は、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端面および絶縁チップ11の先端面の位置と一致している。
【0043】
図7は、送水状態の処置具100の先端部を示す斜視図である。図8は、送水状態の処置具100の先端部を示す断面図である。
【0044】
図7及び図8に示すように、スライダ52を先端側A1に移動させると、ナイフ2は、シース1の先端1a(すなわち絶縁チップ11の先端開口12a)から突出する。また、ロッド3の先端3aは、レバー55をさらに基端側A2に移動させることによって、第一位置P1から基端側A2に後退した第二位置P2に配置され、先端開口22aを開口する。このときナイフ2及びロッド3の状態を、送水状態とする。送水状態において、第一送水管路22には、ロッド3が挿入されず十分な空間がとれ、第一送水管路22は送水可能となる。そのため、送水が行われても、ロッド3が干渉せず、ロッド3の先端3aは第一送水管路22の先端開口22aを閉塞しないため、術者は、スムーズに送水して局注処置を行うことができる。先端3aが第二位置P2に配置され、先端開口22aを開口して第一管路22を送水可能にするロッド3の形態を、第二形態とする。
【0045】
[内視鏡処置システム300の使用方法]
次に、本実施形態の内視鏡処置システム300を用いた手技(内視鏡処置システム300の使用方法)について説明する。具体的には、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの内視鏡治療における病変部(処置部)の局注処置、切開・焼灼・剥離処置及び止血処置について説明する。
【0046】
準備作業として、術者は、公知の方法により病変部を特定する。具体的には、術者は内視鏡200の挿入部202を消化管(例えば、食道、胃、十二指腸、大腸)内に挿入し、内視鏡の撮像部203で得られる画像を観察しながら病変部を特定する。
【0047】
<挿入ステップ>
術者は処置具100をチャンネル206に挿入し、挿入部202の先端開口部206aからシース1の先端1aを突出させる。術者は、操作部5のスライダ52を操作部本体51に対して相対的に前進させ、ナイフ2及びロッド3を突出させて処置状態にする(図3及び図4参照)。
【0048】
<局注ステップ>
術者は、スライダ52に対してレバー55を基端側A2に移動させることにより、ナイフ2に対してロッド3を基端側A2に移動させる。また、術者は、スライダ52を先端側A1に移動させて、ナイフ2をシース1の先端1aから突出させる。これにより、ロッド3の先端3aは、第二位置P2に配置されてナイフ2及びロッド3が送水状態となる(図7及び図8参照)。術者は、病変部において局注用の液体(局注液)を注入する箇所にナイフ2を穿刺させて、粘膜下層の中にナイフ2の先端の先端開口22aを入れた状態で送水する(局注ステップ)。このとき、第一送水管路22には送水用の液体が流れる空間が十分にあるため、液体はスムーズに第一送水管路22内を流れ、先端開口22aから流出される。
【0049】
<切開・焼灼・剥離ステップ>
術者は、切開・焼灼・剥離処置を行う。術者は、ナイフ2を前進させたまま、スライダ52に対してレバー55を先端側A1に移動させることにより、棒状部材3をシース1の先端1aから突出させて処置状態にする(図3及び図4参照)。棒状部材3の先端3aは、長手方向Aにおいて先端開口22aに位置し、第一位置P1に配置される。術者は、ナイフ2に高周波電流を通電させた状態でフランジ21を移動させて病変部の粘膜を焼灼または切開する。また、術者は、ナイフ2を前進させ、高周波電流を通電させた状態で、焼灼または切開した病変部の粘膜を持ち上げて粘膜下層を露出させながら、焼灼または切開した病変部の粘膜下層を剥離する。このとき、ナイフ2の先端には、消化管内の一部の組織が付着する。そして、この組織は、焼灼する際に焦げとなり、ナイフ2の先端に固着する。しかし、ナイフ2の先端開口22aには、先端3aが配置される。また、先端開口22aは、長手方向Aの先端側A1から見て、ロッド3の先端3aに覆われて閉塞されている。そのため、ロッド3は、組織がフランジ21に付着したり、先端開口22aから第一送水管路22に入り込んで組織が詰まったりする虞を削減できる。また、ロッド3は、焼灼処置の際に付着した組織が焦げて固着したりしてしまうことを防止することができる。
【0050】
<除去ステップ>
術者は、図4及び図8に示すように、スライダ52に対してレバー55を先端側A1及び基端側A2に進退移動させることにより、ナイフ2に対してロッド3を進退移動させる。その結果、ロッド3の先端3aは、上述の切開・焼灼・剥離処置によってナイフ2のフランジ21や先端開口22aから第一送水管路22に組織が入り込み、先端開口22aやナイフ本体20に組織の焦げが固着したとしても、組織の焦げをはがして落とすことができる。
【0051】
<追加局注ステップ>
術者は、必要に応じて追加局注処置を行う。術者は、ロッド3をナイフ2に対して基端側A2に後退させて送水状態にする(図7及び図8参照)。術者は、局注用の液体(局注液)を追加注入する箇所において、ナイフ2の先端の先端開口22aを粘膜下層の中に入れ、送水する(追加局注ステップ)。このとき、ロッド3の先端3aは、第二位置P2に配置され、第一送水管路22には送水用の液体が流れる空間が十分にある。そのため、液体はスムーズに第一送水管路22内を流れ、先端開口22aから流出される。
【0052】
<止血ステップ>
切開・焼灼・剥離処置において出血した場合、術者は止血処置を行う。術者は、ナイフ2及びロッド3を処置状態にして、ナイフ本体20及びフランジ21を押し当てながら高周波電流による通電で出血点を焼灼して止血する(止血ステップ)。
【0053】
術者は、必要に応じて上述の動作(処置)を継続し、最終的に病変部を切除し、ESDの手技を終了する。
【0054】
本実施形態に係る処置具100によれば、局注処置や切開・焼灼・剥離処置や止血処置などの複数の処置を実施できる。
【0055】
また、本実施形態に係る処置具100は、棒状部材3を備えている。そのため、ロッド3が切開・焼灼・剥離処置によってナイフ2の先端や第一送水管路22に入り込んだ組織の焦げが第一送水管路22に固着したとしても組織の焦げをはがして落とすことができる。さらに、ロッド3は、組織の焦げを物理的に除去することができる。そのため、術者は、従来行っていた高圧送水による組織の焦げを落とす動作(処置)を行う必要がなくなる。
【0056】
また、本実施形態に係るロッド3は、長手方向Aに進退する。そのため、局注処置を行う際に、術者は、スライダ52に対してレバー55を基端側A2に後退させて、棒状部材3を基端側A2に移動させて第二位置に配置させることで、送水用の液体が流れる第一送水管路22に十分に空間を持たせて、液体をスムーズに先端開口22aから流出させることができる。
【0057】
また、本実施形態に係るロッド3は、第一送水管路22の先端側A1の先端開口22aを閉塞する。そのため、ロッド3は、切開・焼灼・剥離処置の際に、組織が先端開口22aから第一送水管路22に入り込んでしまうのを防ぐことができる。
【0058】
(変形例1-1)
上記実施形態において、ロッド3は、ナイフ2及び操作ワイヤ4を挿通している。しかしながら、棒状部材3の態様はこれに限定されない。図9は、処置具100のロッド3の変形例である処置具100Aの封止部材(栓)3Aを示す図である。封止部材3Aは、第一実施形態のロッド3と比較して、長手方向Aの長さが短い。具体的には、封止部材3Aの長さは、ナイフ2の長手方向Aの長さよりも短い。封止部材3Aは、本実施形態では、図9に示すように、ナイフ2の第一送水管路(第一管路)22に挿入されて、ナイフ2の先端の先端開口22aを閉塞する絶縁性の栓である。封止部材3Aは、取り外し可能である。
【0059】
この場合は、封止部材3Aは、ナイフ2の先端の先端開口22aを閉塞する。そのため、上述の切開・焼灼・剥離ステップにおいて、ナイフ2の先端への組織や組織の焦げの付着を防ぐことができる。仮に、ナイフ2の先端に組織に付着しても、封止部材3Aは、取り外し可能であるため、術者は封止部材3Aを先端開口22aから取り外すことによって組織や組織の焦げをはがして落とすことができる。
【0060】
なお、封止部材3Aは、長手方向Aに貫通した貫通孔をさらに中心付近に設けてもよい。この構成により、処置具100Aは、封止部材3Aを先端開口22aに取り付けた状態で封止部材3Aの貫通孔から液体を送水できる。そのため、処置具100Aは、組織や組織の焦げの付着を防ぎつつ、送水することができる。
【0061】
(変形例1-2)
また、上記実施形態において、ロッド3は、長手方向Aに沿って延びる丸棒状の部材である。しかしながら、ロッド3の態様はこれに限定されない。図10は、処置具100のロッド3の変形例である処置具100Bのロッド3Bを示す図である。図11は、ロッド3Bが前進した状態を示す図である。
【0062】
ロッド3Bは、図10に示すように、中心軸O2を中心軸として長手方向Aに延びる支柱部3Bbと、支柱部3Bbの先端側A1に設けられ支柱部3Bbよりも外径の大きい先端部(封止部材)3Baとを備える。支柱部3Bbの基端側A2は、後述の操作部5のレバー55に接続される。先端部3Baの外径は、先端開口22aの内径よりもわずかに小さい。ロッド3Bの先端部3Baは、先端開口22aに配置される第一位置P1において、先端開口22aを覆い閉塞(封止)する。術者は、この状態において、切開・焼灼・剥離処置を行うことができる。この場合においても、ロッド3Bの先端部3Baによって先端開口22aが閉塞(封止)されるため、組織がフランジ21や先端開口22aから第一送水管路22に入り込んでナイフ本体20に付着したり、組織の焦げが固着したりしてしまうことを防止することができる。
【0063】
また、支柱部3Bbは、図11に示すように、術者が操作部5のレバー55を前進させると、先端側A1に前進する。先端部3Baは、第一送水管路22の先端側A1の先端開口22aより先端側A1に移動する。すると、ロッド3Bの先端部3Baに覆われて閉塞していた先端開口22aは開口する。そのため、術者は、この状態において液体をスムーズに送水して、局注処置を行うことができる。
【0064】
(変形例1-3)
また、図12は、処置具100のロッド3の変形例である処置具100Cのロッド3Cを示す図である。図13は、処置具100Cのナイフ2を移動させた状態を示す図である。
【0065】
ロッド3Cの先端部3Caは、先端が鋭利になるようなテーパ面を有し、テーパ面の基端から先端に向かうにつれて外径が小さくなるように形成されている。ロッド3Cの先端部3Caは、図12に示すように、チップ管路12hの先端開口12aよりもわずかに先端側A1に突出するように配置される。ここで、本実施形態では、操作部5は、レバー55を備えなくてもよい。ロッド3Cは、長手方向Aに進退せず、ロッド3Cの基端側は、操作部本体51の一部に固定される。
【0066】
術者は、切開・焼灼・剥離処置を行うため、図12に示すように、スライダ52を先端側A1に移動させてナイフ2を先端開口12aから突出させる。この状態で、切開・焼灼・剥離処置を行うと、消化管内の一部の組織が付着し、ナイフ2の先端に固着する。しかし、図13に示すように、術者がスライダ52を基端側A2に移動させてナイフ2を先端開口12a付近まで後退させると、先端開口12aよりもわずかに先端側A1に突出した先端部3Caがナイフ2の先端に固着した組織の焦げに突き刺さり、はがして落とすことができる。
【0067】
なお、操作部5は、レバー55を備えていてもよい。この場合、術者は、レバー55を長手方向Aの先端側A1に移動させて、ロッド3Cを先端開口12a及びナイフ2の先端開口22aから突出させる。この状態において、ロッド3Cは、局注用の液体を注入する箇所において、先端部3Caで穿刺して、ナイフ2の先端の先端開口22aを容易に粘膜下層の中に入れることができる。
【0068】
また、先端部3Caは、中心軸O2に向かって傾斜していなくてもよい。先端部3Caは、例えば、基端側A2から先端側A1に向かうにつれて、ロッド3の周縁の一端を通る長手方向Aの軸線に向かって傾斜した形状に形成されていてもよい。
【0069】
(変形例1-4)
上記実施形態において、操作部5においてスライダ52とレバー55とは直接連結されてないが、操作部5の態様はこれに限定されない。操作部5において、スライダ52とレバー55とは直接連結されていてもよい。この場合は、スライダ52とレバー55との摩擦等により、スライダ52を進退操作する際には、ロッド3と操作ワイヤ4及びナイフ2とを連動して動作させることができる。
【0070】
(変形例1-5)
上記実施形態において、操作部5は、さらにレバー55を係止する取り外し可能なストッパーを備えていてもよい。この場合においても、レバー55がストッパーに係止して進退移動を止めることができ、ロッド3が意図せずにナイフ2に対して進退することを抑制できる。
【0071】
(変形例1-6)
上記実施形態において、ナイフ2の先端には円板状のフランジ21が設けられている。しかしながら、ナイフ2の態様はこれに限定されない。図14は、ナイフ2の変形例であるナイフ2Aを示す図である。ナイフ2Aのフランジ21Aは、先端側A1から見た正面視において三角形状の形成されている。この構成によれば、術者は、ナイフ2の周方向の回転操作を行なうことなく、三角形状の各頂点を引っ掛けて組織を滑らずに切開することができる。
【0072】
(変形例1-7)
上記実施形態において、ナイフ2の先端にはフランジ21が設けられている。しかしながら、ナイフ2の態様はこれに限定されない。図15は、ナイフ2の変形例であるナイフ2Bを示す図である。ナイフ2Bの先端部21Bは、フランジ21と形状が異なり球状に形成されている。この構成により、ナイフ2Bの先端部21Bは、粘膜下層へ容易に潜り込み、術者は効率的な手技を行うことができる。また、術者はナイフ2Bの先端部21Bを用いることで深部組織への侵襲を抑えて粘膜切開操作を行うことができる。
【0073】
(変形例1-8)
上記実施形態において、処置具100は、送水口としてナイフ2の先端開口22aを設けているが、処置具100の態様はこれに限定されない。処置具100は、シース1の絶縁チップ11に送水用の貫通孔(第一管路)をさらに設けてもよい。また、処置具100は、送水用の送水チューブをシース1の内部空間1sにさらに設けてもよい。
【0074】
(変形例1-9)
上記実施形態において、操作部5は、レバー55の進退範囲を規制する規制部材(ストッパー)を備えていてもよい。
【0075】
図16は、規制部材56を備える操作部5の変形例における閉状態を示す図である。図17は、規制部材56を備える操作部5の変形例における開状態を示す図である。図18は、規制部材56を備える操作部5の変形例における閉状態を示す図である。
【0076】
規制部材56(ストッパー)は、操作部本体51に着脱可能に設けられている。また、規制部材56は、レバー55よりも先端側A1に設けられ、レバー55の先端側A1への移動を規制可能である。
【0077】
操作部5は、さらにレバー55の基端側A2への移動を規制可能な規制突起57を備えていてもよい。図16図17及び図18に示すように、規制突起57は、操作部本体51において、レバー55よりも基端側A2に設けられた突起形状である。
【0078】
ここで、図16に示すように、操作部5において、規制部材56が、レバー55の先端側A1への移動を規制した状態を、「閉状態」と称する。閉状態の操作部5において、レバー55の先端側A1の移動は規制部材56によって規制される。また、レバー55の基端側A2の移動は規制突起57によって規制される。すなわち、規制部材56及び規制突起57は、レバー55の進退範囲を規制するストッパーである。
【0079】
図16に示す閉状態の操作部5において、レバー55は、所定の範囲を長手方向Aに進退可能である。レバー55が進退可能な範囲は、長手方向Aにおいて、規制部材56と規制突起57とに挟まれた範囲である。
【0080】
レバー55にはロッド3の基端が接続されているため、規制部材56及び規制突起57によってレバー55の進退範囲を限定することで、ロッド3の長手方向Aにおける進退範囲も限定される。
【0081】
規制部材56及び規制突起57によってレバー55の進退範囲が限定されたとき、ロッド3の先端3aの長手方向Aにおける進退範囲は、先端3aが先端開口22aに位置する第一位置P1(図4および図6参照)から、ナイフ2の基端部(例えば、図8に示す第二位置P2)までの範囲に限定される。ここで、先端3aが進退可能な範囲を、第一位置P1から、ナイフ2の基端部の位置までの範囲に規制されたロッド3の状態を、「規制状態」と称する。
【0082】
例えば、術者は、規制部材56から規制突起57までの範囲でレバー55を進退させることで、ロッド3の先端3aを、第一位置P1から第二位置P2の範囲で容易に進退させることができる。そのため、第一送水管路22に組織が入り込み、第一送水管路22の内部に組織の焦げが固着した場合、術者は、規制部材56から規制突起57までの範囲でレバー55を進退させ、第一位置P1から第二位置P2の範囲でロッド3を進退させることで、ロッド3によって容易に組織の焦げをはがして落とすことができる。術者は、上記実施形態におけるロッド3の先端3aや、図10に示す先端部3Baを用いて第一送水管路22の内部に固着した焦げをはがして落とすことができる。
【0083】
また、図17に示すように、規制部材56を操作部本体51から取り外すことで、規制部材56によるレバー55の移動の規制を解除することができる。ここで、規制部材56によってレバー55の先端側A1への移動が規制されていない操作部5の状態を、「開状態」と称する。
【0084】
操作部5が開状態のとき、図17に示すように、レバー55は、規制部材56に阻害されずに先端側A1へ移動できる。そのため、術者は、操作部5のレバー55を前進させることで、ロッド3の先端3aを第一位置P1よりも先端側A1へ移動させることができる。ここで、先端3aを第一位置P1よりも先端側A1へ突出されたロッド3の状態を、「突出状態」と称する。操作部5が開状態であり、ロッド3が突出状態であるとき、例えば、図11に示すロッド3Bの先端部3Baを第一送水管路22の先端側A1の先端開口22aより先端側A1に移動でき、局注処置を行うことができる。
【0085】
また、図18に示すように、規制部材56及び規制突起57によってレバー55が進退不能になるように操作部5を構成してもよい。図18に示すレバー55は、規制部材56によって先端側A1への移動を規制され、規制突起57によって基端側A2への移動を規制され、長手方向Aに進退不能に設けられている。図18に示す規制部材56は、例えば、図16に示す規制部材56よりも基端側A2に設けられている。
【0086】
ここで、規制部材56及び規制突起57によってレバー55が進退不能に規制されているとき、ロッド3の先端3aは、第一位置P1に配置されている。すなわち、ナイフ2の先端開口22aがロッド3の先端3aに覆われて閉塞されているため、組織が先端開口22aから第一送水管路22に入り込んで詰まるのを防止できる。
【0087】
規制部材56及び規制突起57によってレバー55の進退が規制されることで先端3aが第一位置P1に位置決めされたロッド3の状態を、「位置決め状態」と称する。術者は、規制部材56及び規制突起57によってレバー55の進退を規制することで、ロッド3を容易に位置決め状態に維持できる。
【0088】
操作部本体51に着脱可能な規制部材56は、開状態の操作部5において、操作部本体51から分離していなくてもよい。例えば、規制部材56の第一端を操作部本体51に回動可能に取付け、規制部材56の第二端を操作部本体51に着脱自在に設けても良い。その場合、規制部材56を操作部本体51に対して回動させることで操作部5を開状態と閉状態とに切り替えてもよい。
【0089】
また、レバー55の基端側A2への移動を規制する規制突起57が操作部本体51に着脱可能に設けられてもよい。また、図16図17及び図18に示す例では、操作部5には2つの規制突起57が設けられているが、規制突起57は、レバー55の基端側A2への移動を規制できればよく、例えば、1つの規制突起57によってレバー55の基端側A2への移動を規制してもよい。
【0090】
(変形例1-10)
上記実施形態において、ロッド3は、ロッド3の外周面から突出した突起(焦げ除去部)を備えていてもよい。
【0091】
図19は、ロッド3の変形例を示す断面図である。図19に示すロッド3には、ロッド3の外周面に設けられ、ロッド3の径方向のおける外側へ突出した螺旋突起31が設けられている。ここで、ロッド3の径方向における外側とは、ロッド3の径方向において、ロッド3の中心軸O2から離れる向きを示す。
【0092】
螺旋突起31は、図19に示すように、ロッド3の外周面において、長手方向Aの所定の範囲に螺旋状に設けられている。螺旋突起31の外径は、先端開口22aの内径よりも僅かに小さい。
【0093】
術者は、レバー55を進退させ、例えば、第一位置P1から第二位置P2の範囲でロッド3を進退させることで、螺旋突起31を用いて第一送水管路22の内部に固着した焦げをはがして落とすことができる。
なお、突起は、螺旋状に限らず、フラップや羽など、任意の形状の突起をロッド3の外周面に設けてもよい。ロッド3の外周面が焦げを除去する機能を有していればよい。
【0094】
(変形例1-11)
上記実施形態において、ロッド3は、レバー55を進退させることで長手方向Aに進退可能であるが、ロッド3の態様はこれに限定されない。
【0095】
図20は、操作部5の変形例における第一領域R1に位置するロッド用スライダ52Abを示す断面図である。図21は、第二領域R2に位置するロッド用スライダ52Abを示す断面図である。図22は、第三領域R3に位置するロッド用スライダ52Abを示す断面図である。
【0096】
図20図21及び図22に示す変形例では、スライダ52Aは、ナイフ用スライダ(第一スライダ)52Aaと、ロッド用スライダ(第二スライダ、スライドレバー)52Abと、を有する。
【0097】
ナイフ用スライダ(第一スライダ)52Aaは、上記実施形態におけるスライダ52と同様に、操作ワイヤ4の基端に取り付けられ、操作部本体51に対して相対的に進退させることにより、操作ワイヤ4及びナイフ2を進退可能に構成されている。
【0098】
ロッド用スライダ52Ab(第二スライダ)は、ロッド3の基端に取り付けられ、操作部本体51およびナイフ用スライダ52Aaに対して相対的に進退させることにより、ロッド3を進退可能に構成されている。すなわち、術者は、ナイフ用スライダ52Aaを進退させることにより操作ワイヤ4及びナイフ2を進退させることができ、ロッド用スライダ52Abを進退させることによりロッド3を進退させることができる。
【0099】
ロッド用スライダ52Abは、操作部本体51が挿通した円筒状の部材である。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。ロッド用スライダ52Abの先端には、外周面から外側に凸になった位置決め部521が設けられている。
【0100】
位置決め部521は、ロッド用スライダ52Abの外周における全周に設けられてもよいし、一部のみに設けられていてもよい。位置決め部521は、ロッド用スライダ52Abの外周における一部のみに設けられる場合、ロッド用スライダ52Abの外周における複数箇所に設けられるのが好ましい。
【0101】
また、ナイフ用スライダ52Aaの基端には、図20に示すように、操作部本体51が挿通した円筒状のスライダ規制部(ストッパー)522Aが設けられている。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。
【0102】
スライダ規制部522A(ストッパー)の内周には、スライダ規制部522Aの基端部522Ab及び先端部522Acよりも内周面が凹になったスライダ凹部522Aaが設けられている。スライダ凹部522Aaは、例えば、スライダ規制部522Aの内周において、全周が凹になった部分である。
【0103】
ここで、スライダ規制部522Aよりも基端側A2を「第一領域R1」と称する。すなわち、図20に示すロッド用スライダ52Abは、第一領域R1に位置している。また、長手方向Aにおいて、スライダ規制部522Aが設けられている領域を、「第二領域R2」と称する。図21に示すロッド用スライダ52Abは、位置決め部521が第二領域R2に位置している。
【0104】
位置決め部521が第二領域R2に位置しているとき、凸になった位置決め部521と、凹になったスライダ凹部522Aaとが嵌合し、ロッド用スライダ52Abの長手方向Aにおける進退がスライダ規制部522Aによって規制される。スライダ規制部522Aの基端部522Ab及び先端部522Acの内径は、位置決め部521の外径よりも小さい。そのため、位置決め部521は、長手方向Aにおいてスライダ規制部522Aの基端部522Ab及び先端部522Acに挟み込まれ、長手方向Aにおける進退が規制される。
【0105】
また、スライダ規制部522Aよりも先端側A1を「第三領域R3」と称する。図22に示すロッド用スライダ52Abは、位置決め部521が第三領域R3に位置している。図22に示すロッド用スライダ52Abは、位置決め部521が第三領域R3に位置しているため、位置決め部521とスライダ凹部522Aaとが嵌合していない。そのため、ロッド用スライダ52Abは、位置決め部521が第三領域R3に位置する範囲を進退可能である。
【0106】
ここで、ロッド用スライダ52Abの位置決め部521が第一領域R1に位置するとき、ロッド3の先端3aは、第一送水管路22の先端開口22aよりも基端側A2に位置する。すなわち、ロッド3の先端3aは、第一位置P1よりも基端側A2に位置する。
【0107】
そのため、位置決め部521が第一領域R1に位置するとき、術者は、位置決め部521が第一領域R1に位置する所定の範囲でロッド用スライダ52Abを進退させることができる。このとき、術者は、ロッド3を用いて第一送水管路22の内部に固着した焦げをはがして落とすことができる。ロッド3が図19に示す螺旋突起31のような突起(焦げ除去部)を有していてもよく、その場合、術者は、焦げ除去部を用いて第一送水管路22の内部に固着した焦げをはがして落とすことができる。
【0108】
例えば、第一領域R1に位置するロッド用スライダ52Abにおいて、ロッド用スライダ52Abの基端側A2への移動は、ロッド用スライダ52Abの基端部523と、操作部本体51の基端部511とが長手方向Aに接触することで規制される。
【0109】
また、ロッド用スライダ52Abの先端側A1への移動は、位置決め部521と、スライダ規制部522Aの基端部522Abとが長手方向Aに接触することで規制される。そのため、位置決め部521が第一領域R1に位置するロッド用スライダ52Abが進退可能な範囲は、所定の範囲に限定される。
【0110】
位置決め部521が第一領域R1に位置するとき、ロッド3は、先端3aの進退可能な範囲が、先端開口22aに位置する第一位置P1から、ナイフ2の基端部(例えば、第二位置P2)までの範囲に規制された状態(規制状態)である。また、ロッド用スライダ52Abは、スライダ規制部522Aよりも基端側A2において進退可能な範囲が規制されている。また、ロッド3の先端は第一位置P1からナイフ2の基端部(第二位置P2)までの範囲に規制されており、位置決め部521をスライダ凹部522Aaに嵌合させたとき、ロッド3の先端は第一位置P1に位置し、ロッド用スライダ52Abを最大限後退させたときに、ロッド3の先端は第二位置P2に位置するように構成してもよい。なお、ロッド3の先端の移動範囲は、必ずしも第一位置P1と第二位置P2との間である必要はなく、ナイフ2の第一送水管路22内の任意の範囲で規制して良い。
【0111】
ロッド用スライダ52Abの位置決め部521が第二領域R2に位置するとき、ロッド3の先端3aは、第一位置P1に配置されている。そのため、ナイフ2の先端開口22aがロッド3の先端3aに覆われて閉塞されているため、組織が先端開口22aから第一送水管路22に入り込んで詰まるのを防止できる。
【0112】
位置決め部521が第二領域R2に位置するとき、位置決め部521とスライダ凹部522Aaとが嵌合し、ロッド用スライダ52Abの長手方向Aにおける進退はスライダ規制部522Aの基端部522Ab及び先端部522Acによって規制されている。そのため、ロッド3は、先端3aが第一位置P1に位置決めされた状態(位置決め状態)、すなわち、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致する状態で維持されている。
術者は、スライダ52に対して所定の力量でロッド用スライダ52Abを進退させることで、位置決め部521とスライダ凹部522Aaとの嵌合を解除できる。位置決め部521とスライダ凹部522Aaとの嵌合を解除した状態において、術者は、スライダ52に対してロッド用スライダ52Abを進退させることによって、ロッド3をナイフ2に対して相対的に進退させることができる。術者は、スライダ52に対してロッド用スライダ52Abを前進させると、位置決め部521とスライダ凹部522Aaとの嵌合が解除されて位置決め部521が第三領域R3に移動する。ロッド3の先端を第一管路22の先端開口22aから突出させるとき、位置決め部521とスライダ凹部522Aaが嵌合することで、ロッド用スライダ52Abに対して抵抗力(ユーザーフィードバック)を発生させる。
【0113】
位置決め部521が第三領域R3に位置するとき、ロッド3は、先端3aがナイフ2の先端開口22aから先端側A1へ突出した状態(突出状態)である。ロッド3が突出状態のとき、ナイフ2の先端開口22aはロッド3の先端3aに覆われていないため、術者は、局注処置を行うことができる。
【0114】
ここで、スライダ規制部522Aは、ゴム等の弾性部材で形成されている。そのため、位置決め部521が第一領域R1に位置するとき、術者は、ロッド用スライダ52Abを所定の力量で先端側A1へ押し込むことで、位置決め部521を第二領域R2へ移動できる。また、位置決め部521が第二領域R2に位置するとき、術者は、ロッド用スライダ52Abを所定の力量で先端側A1へ押し込むことで、位置決め部521を第三領域R3へ移動できる。
【0115】
このように、術者は、所定の力量でロッド用スライダ52Abを進退させ、位置決め部521を第一領域R1、第二領域R2、第三領域R3へ進退させることで、ロッド3における規制状態、位置決め状態、突出状態を容易に切り替えできる。術者は、規制状態、位置決め状態、突出状態の切り替えに所定の力量を要するため、ロッド3の状態(位置)が切り替わることを容易に把握でき、所望の位置にロッド3を移動できる。
【0116】
(変形例1-12)
上述のスライダ規制部522Aは、術者が、ロッド3の位置を把握できるように構成されていればよく、例えば、スライダ凹部522Aaを有さなくてもよい。上述のスライダ規制部522Aは、位置決め部521の位置を第一領域R1、第二領域R2、第三領域R3に切り替えることでロッド3における規制状態、位置決め状態、突出状態を切り替え可能にするが、スライダ規制部は、ロッド3における規制状態と突出状態との切り替えを術者が把握できるように構成されてもよい。
図23は、操作部5の変形例におけるスライダ52Bを示す断面図である。
【0117】
スライダ52Bは、ナイフ用スライダ(第一スライダ)52Baと、ロッド用スライダ(第二スライダ、スライドレバー)52Bbと、を備える。ナイフ用スライダ52Baは、ナイフ2の基端に取り付けられ、操作部本体51に対して進退することでナイフ2を長手方向Aに進退可能に構成されている。また、ロッド用スライダ52Bbは、ロッド3の基端に取り付けられ、操作部本体51に対して進退することでロッド3を長手方向Aに進退可能に構成されている。
【0118】
ナイフ用スライダ52Baは、図23に示すように、操作部本体51が挿通した円筒状のスライダ規制部(ストッパー)522Bを有する。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。スライダ規制部522Bは、上述のスライダ規制部522Aと比較して、先端側A1へ延びており、スライダ凹部522Aaを有さない。
【0119】
ロッド用スライダ52Bbは、図23に示すように、操作部本体51が挿通した円筒状の部材であり、上述のロッド用スライダ52Abと比較して、位置決め部521を有さない。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。
【0120】
ここで、ロッド用スライダ52Bbとスライダ規制部522Bとは、異なる材質で形成されている。例えば、ロッド用スライダ52Bbは樹脂で形成され、スライダ規制部522Bはゴム材で形成されている。
【0121】
また、スライダ規制部522Bの内径と、ロッド用スライダ52Bbの先端の外径とは、等しい。そのため、スライダ規制部522Bの内部にロッド用スライダ52Bbの先端が挿通している場合、ロッド用スライダ52Bbをスライダ規制部522Bに対して相対的に進退させるとき、ロッド用スライダ52Bbの進退は、スライダ規制部522Bとの間に生じる摩擦力によってある程度阻害される。ロッド用スライダ52Bbとスライダ規制部522Bとの間に摩擦力が生じるため、スライダ規制部522Bの内部に挿通しているロッド用スライダ52Bbを術者が進退させるとき、所定の力量が必要になる。なお、スライダ規制部522Bの内径と、ロッド用スライダ52Bbの先端の外径とは、厳密に等しい必要は無い。
【0122】
そのため、術者は、ロッド用スライダ52Bbが、スライダ規制部522Bの内部に挿通しているか否かを容易に把握できる。例えば、ロッド用スライダ52Bbがスライダ規制部522Bよりも基端側A2に位置し、ロッド用スライダ52Bbがスライダ規制部522Bの内部に挿通していないとき、ロッド3の先端3aは、第一位置P1又は第一位置P1よりも基端側A2に位置している。すなわち、ロッド3は、上述の規制状態である。
【0123】
ロッド用スライダ52Bbの先端がスライダ規制部522Bの内部に挿通しているとき、ロッド3の先端3aは、第一位置P1よりも先端側A1に位置し、ナイフ2の先端開口22aから先端側A1へ突出している。すなわち、ロッド3は、上述の突出状態である。
【0124】
このように、ロッド用スライダ52Bbとスライダ規制部522Bとの摩擦によって術者へ抵抗感を与えることで、術者は、ロッド3の先端3aの位置を容易に把握できる。
一方、ロッド用スライダ52Bbとスライダ規制部522Bの端部とが当接したとき、ロッド3の先端は第一位置P1、すなわち、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致する。また、スライダ規制部522Bの端部よりも基端側A2は、ロッド用スライダ52Bbが進退可能な範囲として実質規制されている。ロッド3の先端を第一管路22の先端開口22aから突出させるとき、ロッド用スライダ52Bbがスライダ規制部522Bの端部に突き当たることで、ロッド用スライダ52Bbに対して抵抗力(ユーザーフィードバック)を発生させる。また、ロッド3の先端は第一位置P1からナイフ2の基端部(第二位置P2)までの範囲に規制されており、ロッド用スライダ52Bbをスライダ規制部522Bの端部に当接させるとロッド3の先端は第一位置P1に位置し、ロッド用スライダ52Bbを最大限後退させると、ロッド3の先端は第二位置P2に位置するように構成してもよい。なお、ロッド3の先端の移動範囲は、必ずしも第一位置P1と第二位置P2との間である必要はなく、ナイフ2の第一送水管路22内の任意の範囲で規制してよい。
【0125】
(変形例1-13)
図24は、操作部5の変形例におけるスライダ52Cを示す断面図である。
スライダ52Cは、ナイフ用スライダ(第一スライダ)52Caと、ロッド用スライダ(第二スライダ、スライドレバー)52Cbと、を備える。
【0126】
ナイフ用スライダ52Caは、ナイフ2の基端に取り付けられ、操作部本体51に対して進退することでナイフ2を長手方向Aに進退可能に構成されている。また、ロッド用スライダ52Cbは、ロッド3の基端に取り付けられ、操作部本体51に対して進退することでロッド3を長手方向Aに進退可能に構成されている。
【0127】
ナイフ用スライダ52Caは、操作部本体51が挿通した円筒状の部材である。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。ナイフ用スライダ52Caの基端において、操作部本体51を囲っている内周面には、操作部本体51側に凸になったスライダ規制部(ストッパー)522Cが設けられている。スライダ規制部522Cは、ナイフ用スライダ52Caの内周面の全周に設けられていてもよいし、内周面の一部にのみ設けられていてもよい。
【0128】
ロッド用スライダ52Cbは、操作部本体51が挿通した円筒状の部材である。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。ロッド用スライダ52Cbは、第二スライダ本体524と、第二スライダ本体524の先端に設けられた位置決め部521Cと、を有する。
【0129】
位置決め部521Cは、第二スライダ本体524よりも外径が小さい小径部521Caと、小径部521Caの先端側A1に設けられ、小径部521Caよりも外径が大きい大径部521Cbと、を有する。すなわち、ロッド用スライダ52Cbの外周面において、小径部521Caが設けられた部分は、第二スライダ本体524及び大径部521Cbが設けられた部分よりも凹になっている。小径部521Caは、例えば、ロッド用スライダ52Cbの外周面において、全周が凹になった部分である。
【0130】
第二スライダ本体524及び大径部521Cbの外径は、ナイフ用スライダ52Caにおけるスライダ規制部522Cの内径よりも僅かに大きい。また、小径部521Caの外径は、スライダ規制部522Cの内径よりも僅かに小さい。
【0131】
ここで、ロッド用スライダ52Cbがスライダ規制部522Cよりも基端側A2の領域(第一領域)に位置するとき、術者は、所定の力量でロッド用スライダ52Cbを先端側A1へ押し込むことで、ロッド用スライダ52Cbをスライダ規制部522Cに挿通させることができる。
【0132】
このとき、例えば、大径部521Cb又はスライダ規制部522Cが弾性変形することで大径部521Cbがスライダ規制部522Cを乗り越え、凸形状であるスライダ規制部522Cと、凹形状である小径部521Caとが嵌合する。
【0133】
スライダ規制部522Cと小径部521Caとが嵌合した状態では、小径部521Caは、長手方向Aと直交する方向において、スライダ規制部522Cと重なる位置に配置される。また、第二スライダ本体524の外径はスライダ規制部522Cの内径よりも大きいため、長手方向Aにおいて、スライダ規制部522Cは、大径部521Cbと、第二スライダ本体524とに挟まれている。すなわち、スライダ規制部522Cと小径部521Caとが嵌合した状態では、位置決め部521Cは、第二領域に位置されている。
【0134】
位置決め部521Cが第二領域に位置するとき、術者は、所定の力量でロッド用スライダ52Cbを先端側A1へ押し込むことで、スライダ規制部522Cを弾性変形させ、位置決め部521Cをスライダ規制部522Cよりも先端側A1の領域(第三領域)に移動させることができる。このとき、スライダ規制部522Cと第二スライダ本体524とは互いに接触した状態を維持している。
【0135】
ここで、ロッド用スライダ52Cbの位置決め部521Cが第一領域に位置するとき、ロッド3の先端3aは、第一送水管路22の先端開口22aよりも基端側A2に位置する。すなわち、ロッド3の先端3aは、第一位置P1よりも基端側A2に位置する。
【0136】
位置決め部521Cが第一領域に位置するとき、術者は、位置決め部521Cが第一領域に位置する所定の範囲でロッド用スライダ52Cbを進退させることができる。このとき、術者は、ロッド3を用いて第一送水管路22の内部に固着した焦げをはがして落とすことができる。ロッド3が図19に示す螺旋突起31のような突起(焦げ除去部)を有していてもよく、その場合、術者は、焦げ除去部を用いて第一送水管路22の内部に固着した焦げをはがして落とすことができる。
【0137】
例えば、第一領域に位置するロッド用スライダ52Cbにおいて、ロッド用スライダ52Cbの基端側A2への移動は、ロッド用スライダ52Cbの基端部523と、操作部本体51の基端部511とが長手方向Aに接触することで規制される。
【0138】
また、ロッド用スライダ52Cbの先端側A1への移動は、位置決め部521Cの大径部521Cbと、スライダ規制部522Cとが長手方向Aに接触することで規制される。そのため、第一領域に位置するロッド用スライダ52Cbが進退可能な範囲は、所定の範囲に限定される。
【0139】
位置決め部521Cが第一領域に位置するとき、ロッド3の先端3aは、先端開口22aに位置する第一位置P1から、ナイフ2の基端部(例えば、第二位置P2)までの範囲に規制された状態(規制状態)である。また、スライダ規制部522Cよりも基端側A2は、ロッド用スライダ52Cbが進退可能な範囲として規制されている。また、ロッド3の先端は第一位置P1からナイフ2の基端部(第二位置P2)までの範囲に規制されており、位置決め部521Cをスライダ規制部522Cに嵌合させたとき、ロッド3の先端は第一位置P1に位置し、ロッド用スライダ52Cbを最大限後退させたとき、ロッド3の先端は第二位置P2に位置するように構成してもよい。なお、ロッド3の先端の移動範囲は、必ずしも第一位置P1と第二位置P2との間である必要はなく、ナイフ2の第一送水管路22内の任意の範囲で規制してよい。
【0140】
ロッド用スライダ52Cbの位置決め部521Cが第二領域に位置するとき、ロッド3の先端3aは、第一位置P1に配置されている。そのため、ナイフ2の先端開口22aがロッド3の先端3aに覆われて閉塞されているため、組織が先端開口22aから第一送水管路22に入り込んで詰まるのを防止できる。
【0141】
位置決め部521Cが第二領域に位置するとき、位置決め部521Cとスライダ規制部522Cとが嵌合し、ロッド用スライダ52Cbの長手方向Aにおける進退はスライダ規制部522Cによって規制されている。そのため、ロッド3は、先端3aが第一位置P1に位置決めされた状態(位置決め状態)、すなわち、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致する状態で維持されている。
術者は、スライダ52に対して所定の力量でロッド用スライダ52Cbを進退させることで、位置決め部521Cとスライダ規制部522Cとの嵌合を解除できる。位置決め部521Cとスライダ規制部522Cとの嵌合を解除した状態において、術者は、スライダ52に対してロッド用スライダ52Cbを進退させることによって、ロッド3をナイフ2に対して相対的に進退させることができる。術者は、スライダ52に対してロッド用スライダ52Cbを前進させると、位置決め部521Cとスライダ規制部522Cとの嵌合が解除されて位置決め部521Cが第三領域に移動する。ロッド3の先端を第一管路22の先端開口22aから突出させるとき、位置決め部521Cとスライダ規制部522Cが嵌合することで、ロッド用スライダ52Cbに対して抵抗力(ユーザーフィードバック)を発生させる。
【0142】
位置決め部521Cが第三領域に位置するとき、ロッド3は、先端3aがナイフ2の先端開口22aから先端側A1へ突出した状態(突出状態)である。ロッド3が突出状態のとき、ナイフ2の先端開口22aは、ロッド3の先端3aに覆われていないため、術者は、局注処置を行うことができる。
【0143】
ここで、位置決め部521Cが第三領域に位置するとき、ロッド用スライダ52Cbと、スライダ規制部522Cとは、互いに接触していなくてもよい。例えば、第二スライダ本体524において、小径部521Caよりも基端側A2の部分の外径をスライダ規制部522Cの内径よりも小さくすることで、第二スライダ本体524とスライダ規制部522Cとを接触させずに第三領域に位置するロッド用スライダ52Cbを進退できる。
【0144】
この場合、小径部521Caの基端には、第二領域におけるロッド用スライダ52Cbの先端側A1への移動を規制する凸形状(第二大径部)を設けるのが好ましい。
【0145】
(変形例1-14)
上記実施形態において、操作部5内に管状部材43を有し、レバー55が操作ワイヤ4の基端に連結された管状部材43に対して位置決めできる構造であってもよい。なお、管状部材43の基端は、スライダ52に連結されている。
【0146】
図25は、操作部5におけるレバー55とロッド3との接続を示す図である。図25において、シース1などの一部の部品は省略されている。
【0147】
ロッド3の基端部32は、例えば、図25に示すように円筒状をしている。なお、円筒状とは、厳密に円筒である必要は無い。レバー55は、ロッド3の基端部32における係合凹部32aに取り付けられている。
【0148】
レバー55は、術者によって操作される凸状のハンドル部55aと、ロッド3と接続される係合部55bと、を有する。係合部55bの先端には、図25に示すように、係合凸部55cが設けられている。レバー55の係合凸部55cと、ロッド3の係合凹部32aとが係合し、レバー55とロッド3とが接続される。
【0149】
また、管状部材43の基端には、図25に示すように、径方向に貫通し、長手方向Aに延びる貫通孔4hが形成されている。レバー55の係合部55bは、管状部材43の貫通孔4hに設けられ、貫通孔4hが形成された範囲において、長手方向Aに進退可能に設けられている。術者がスライダ52に対してレバー55を長手方向Aに進退させたとき、レバー55に接続されたロッド3が進退し、操作ワイヤ4は進退しない。すなわち、スライダ52に対してレバー55を進退操作する際には、ロッド3は、ナイフ2に対して相対的に進退する。
【0150】
図26は、図25に示すX-X線に沿うレバー55及び管状部材43の断面図である。図25及び図26に示すように、管状部材43の貫通孔4hの内周面には、幅方向Yに凹になった係合凹部(レバー位置決め部)4aが形成されている。
【0151】
また、レバー55の係合凸部55cには、ばね部材と球状の部材(球状部材)とで構成されたボールクリック55dが設けられている。図26に示すように、ボールクリック55dは、管状部材43の貫通孔4hに囲われた係合部55bの幅方向Yにおける両側に設けられている。
【0152】
ボールクリック55dは、係合部55bに接続されたばね部材と、ばね部材の先端に接続された球状部材55eと、を有する。ボールクリック55dは、ばね部材の弾性によって、幅方向Yに伸縮可能である。
【0153】
レバー55を長手方向Aに進退させたとき、レバー55は、ボールクリック55dの先端に設けられた球状部材55eを貫通孔4hの内周面に接触させた状態で進退する。係合凹部4aとボールクリック55dとが幅方向Yに重なる位置にレバー55が配置されたとき、ボールクリック55dのばね部材が幅方向Yに延び、ボールクリック55dの先端(球状部材55e)が係合凹部4aと係合する。
【0154】
ボールクリック55dと係合凹部4aとが係合しているとき、ロッド3の先端3aは、第一位置P1に位置している、すなわち、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致する。また、レバー55は、係合凹部4aよりも基端側A2において進退可能な範囲が規制されている。また、ロッド3の先端は第一位置P1からナイフ2の基端部(第二位置P2)までの範囲に規制されており、ボールクリック55dを係合凹部4aに係合させるとロッド3の先端は第一位置P1に位置し、レバー55を最大限後退させると、ロッド3の先端は第二位置P2に位置するように構成してもよい。なお、ロッド3の先端の移動範囲は、必ずしも第一位置P1と第二位置P2との間である必要はなく、ナイフ2の第一送水管路22内の任意の範囲で規制してよい。
【0155】
また、術者は、ボールクリック55dと係合凹部4aとの係合によって連結された状態で、スライダ52を進退させることによって、ロッド3の先端3aが第一位置P1に位置決めされた状態(位置決め状態)を維持しながら、操作ワイヤ4に接続されたナイフ2と、レバー55に接続されたロッド3とを進退させることもできる。
【0156】
術者は、スライダ52に対して所定の力量でレバー55を進退させることで、ボールクリック55dと係合凹部4aとの係合を解除できる。ボールクリック55dと係合凹部4aとの係合を解除した状態において、術者は、スライダ52に対してレバー55を進退させることによって、ロッド3をナイフ2に対して相対的に進退させることができる。ロッド3の先端を第一管路22の先端開口22aから突出させるとき、ボールクリック55dと係合凹部4aが係合することで、レバー55に対して抵抗力(ユーザーフィードバック)を発生させる。
【0157】
(変形例1-15)
上記実施形態において、操作部5内に管状部材43を有し、レバー55が操作ワイヤ4の基端に連結された管状部材43に対して位置決めできる構造であってもよい。なお、管状部材43の基端は、スライダ52に連結されている。
【0158】
図27は、レバー55及び管状部材43の変形例を示す断面図である。図27に示す断面は、図26と同様に、図25に示すX-X線に沿うレバー55及び管状部材43の断面図である。
【0159】
管状部材43の貫通孔4hには、図27に示すように、貫通孔4hの内周面から幅方向Yに凸になった規制凸部(レバー位置決め部)4Aaが設けられている。レバー55の先端と規制凸部4Aaとを当接させたとき、ロッド3の先端は第一位置P1、すなわち、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致する。また、規制凸部4Aaよりも基端側A2は、レバー55が進退可能な範囲として規制されている。また、ロッド3の先端は第一位置P1からナイフ2の基端部(第二位置P2)までの範囲に規制されており、レバー55を規制凸部4Aaに当接させるとロッド3の先端は第一位置P1に位置し、レバー55を最大限後退させたときに、ロッド3の先端は第二位置P2に位置するように構成してもよい。なお、ロッド3の先端の移動範囲は、必ずしも第一位置P1と第二位置P2との間である必要はなく、ナイフ2の第一送水管路22内の任意の範囲で規制してよい。
【0160】
なお、所定の力量でレバー55を先端側A1へ移動させることでレバー55が規制凸部4Aaを乗り越えて規制凸部4Aaよりも先端側A1に移動できるように構成してもよい。ロッド3の先端を第一管路22の先端開口22aから突出させるとき、レバー55が規制凸部4Aaに突き当たることで、レバー55に対して抵抗力(ユーザーフィードバック)を発生させる。
【0161】
(変形例1-16)
上記実施形態において、管状部材43は、レバー55の進退をある程度規制する規制部材4bを備えていてもよい。
【0162】
図28は、レバー55及び管状部材43の変形例を示す断面図である。図28に示す断面は、図26及び図27と同様に、図25に示すX-X線に沿うレバー55及び管状部材43の断面図である。
【0163】
図28に示すように、管状部材43の貫通孔4hの先端には、貫通孔4hの内周面に沿って配置された規制部材4bが設けられている。貫通孔4hの開孔において、規制部材4bが設けられた領域(規制領域4c)は、他の領域と比較して幅方向Yの寸法が小さい。
【0164】
レバー55を先端側A1へ移動させ、レバー55の少なくとも一部が規制領域4cに位置するとき、幅方向Yにおいて、レバー55の係合部55bと規制部材4bとが接触する。規制部材4bは、例えば、ゴム材等で形成されている。
【0165】
そのため、術者は、レバー55を先端側A1へ移動させ、レバー55と規制部材4bとが接触したとき、レバー55の係合部55bと規制部材4bと間の摩擦により、抵抗感を感じる。
【0166】
レバー55の係合部55bの少なくとも一部が規制領域4cに位置するとき、例えば、ロッド3は、先端3aがナイフ2の先端開口22aから先端側A1へ突出した状態(突出状態)である。そのため、術者は、規制領域4cに位置するレバー55から感じる抵抗感によって、ロッド3が突出状態であることを容易に把握できる。
一方、レバー55の係合部55bと規制部材4bの端部とが当接したとき、ロッド3の先端は第一位置P1、すなわち、長手方向Aにおいて先端3aの位置はナイフ2の先端の位置と一致する。また、規制部材4bの端部よりも基端側A2は、レバー55が進退可能な範囲として実質規制されている。ロッド3の先端を第一管路22の先端開口22aから突出させるとき、レバー55が規制部材4bの端部に突き当たることで、レバー55に対して抵抗力(ユーザーフィードバック)を発生させる。また、ロッド3の先端は第一位置P1からナイフ2の基端部(第二位置P2)までの範囲に規制されており、レバー55を規制部材4bの端部に当接させるとロッド3の先端は第一位置P1に位置し、レバー55を最大限後退させると、ロッド3の先端は第二位置P2に位置するように構成してもよい。なお、ロッド3の先端の移動範囲は、必ずしも第一位置P1と第二位置P2との間である必要はなく、ナイフ2の第一送水管路22内の任意の範囲で規制してよい。
【0167】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0168】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係る処置具100Dについて、図29から図30を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0169】
図29は、第二実施形態に係る処置具100Dの先端部の斜視図である。図30は、同処置具100Dの先端部の断面図である。
処置具100Dは、ロッド3を備えていない。処置具100Dは、図29及び図30に示すように、シース1Dと、ナイフ2と、接続ツナギ23と、送水チューブ24と、操作ワイヤ4と、操作部(不図示)と、を備える。
【0170】
シース1Dは、シース1Dの先端1aに設けられた絶縁チップ(先端部材)11Dが異なることを除き、第一実施形態のシース1と同様の構成である。
【0171】
絶縁チップ11Dは、異なる2つの貫通孔を有する。絶縁チップ11Dは、絶縁チップ本体(先端部材本体)111と、第一貫通孔121と、第二貫通孔122と、を備える。
【0172】
絶縁チップ本体111は、絶縁チップ11Dの本体部分である。絶縁チップ本体111は、先端側A1の先端面111aに第一開口112と、第一開口112と異なるに位置に備えられ、後述の送水チューブ24の第三送水管路(送水管路)24hを通る流体が流出する第二開口113と、を有する。
【0173】
第一貫通孔121は、絶縁チップ本体111を長手方向Aに貫通する孔である。第一貫通孔121の長手方向Aにおける中心軸OB2は、長手方向A及び幅方向Yと交わる高さ方向Zにおいて、シース1Dの長手方向Aにおける中心軸O1と異なる位置に配置される。第一貫通孔121は、内部に第一先端管路121hを備える。第一先端管路121hは、先端面111aに形成された第一開口112に連通している。言い換えると、第一先端管路121hは、先端側A1に第一開口112を備える。第一開口112は、ナイフ2の先端部であるフランジ21よりもわずかに小さく、フランジ21が係止する大きさに形成されている。そのため、フランジ21は、第一開口112で係止して第一開口112から基端側A2には移動しない。
【0174】
第二貫通孔122は、長手方向Aに貫通し、長手方向Aの先端側A1から見て第一貫通孔121と離間して設けられる。第二貫通孔122の長手方向Aにおける中心軸OB3は、高さ方向Zにおいてシース1Dの長手方向Aにおける中心軸O1及び中心軸OB2と異なる位置(オフセットした位置)に配置される。第二貫通孔122は、内部に第二先端管路122hを備える。第二先端管路122hは、先端面111aに形成された第二開口113に連通している。言い換えると、第二先端管路122hは、先端側A1に第二開口113を備える。
【0175】
ここで、図30に示すように、以下の説明において、中心軸O1に対して中心軸OB2が配置される向きを高さ方向Zの下側Z2とし、中心軸O1に対して中心軸OB3が配置される向きを高さ方向Zの上側Z1とする。本実施形態では、中心軸OB2は、中心軸OB3よりも下側Z2に形成されている。ただし、中心軸OB2は、中心軸OB3よりも上側Z1に形成されていてもよい。また、中心軸OB2または中心軸OB3は、中心軸O1と同じ軸線上に形成されていてもよい。
【0176】
ナイフ2は、シース1Dに挿入される。ナイフ2は、絶縁チップ11Dの第一先端管路121hの第一開口112から先端側A1に突出可能に設けられている。ナイフ2の長手方向Aにおける中心軸は、シース1Dの第一貫通孔121の長手方向Aにおける中心軸OB2と略一致している。
【0177】
送水チューブ24は、長手方向Aに沿って延びるチューブ状の部材である。送水チューブ24の内部には、送水用の第三送水管路(送水管路)24hが形成されている。第三送水管路24hは、第二貫通孔122の第二先端管路122hに連通する。そのため、送水チューブ24の第三送水管路24hを流れる流体は、第二先端管路122hを通り、第二開口113から流出する。なお、送水チューブ24は、必須の構成ではない。この場合は、シース1Dの内部空間1sが流体の送水管路となる。
【0178】
操作部(不図示)は、本実施形態では、第一実施形態の操作部5と比較して、レバー55を備えず、液体供給口を2つ設けている。2つの液体供給口のうち一方は、送水チューブ24の基端に連結される。送水チューブ24の第三送水管路24hに供給された流体は、第二開口113から放出される。また、2つの液体供給口のうち他方は、第一実施形態と同様に、操作ワイヤ4の第二送水管路42の基端に連結され、供給された流体は、ナイフ2の第一送水管路22の先端開口22aから放出される。2つの液体供給口には、例えばポンプ等の送液装置がそれぞれ接続されている。ただし、ポンプは、切替弁等を設けることで2つの液体供給口のどちらにも供給できるように制御されていてもよい。また、ポンプは、液体だけでなく、気体を供給してもいい。
【0179】
第二開口113の開口面積は、第一開口112の開口面積よりも小さいのが好ましい。ここで、開口面積とは、長手方向Aからの平面視における開口の面積を示す。第二開口113の開口面積を第一開口112の開口面積よりも小さくすることで、ナイフ2による切開性能の維持と、第二開口113からのシャープな送水とを両立できる。
【0180】
第二開口113の開口面積は、第一送水管路22の先端開口22aの開口面積よりも大きいのが好ましい。また、ナイフ2は、シース1Dおよび絶縁チップ11Dに対して中心軸OB2を回転中心として長手方向A周りに回動可能であるのが好ましい。
【0181】
本実施形態によれば、シース1Dの絶縁チップ11Dが、絶縁チップ本体111の先端面111aに、第一開口112と、第一開口112と異なる位置に設けられて後述の送水チューブ24の第三送水管路(送水管路)24hを通る流体が流出する第二開口113と、を備える。そのため、切開・焼灼・剥離処置によってナイフ2の先端に固着した組織の焦げが、先端開口22aにつまり、第一送水管路22を通る流体が送水できなくなってしまっても、術者は、送水チューブ24の第三送水管路24hを流れる流体を、組織が付着せず送水が阻害されない第二開口113から流出して送水を行うことができる。
【0182】
また、ナイフ2を、シース1Dおよび絶縁チップ11Dに対して長手方向A周りに回動可能にすることで、第二開口113から放出した流体によってナイフ2のフランジ21に固着した組織の焦げを満遍なく洗い流すことができる。
【0183】
(変形例2-1)
本実施形態によれば、シース1Dは、先端に絶縁チップ11Dを備えているが、絶縁チップ11Dの態様はこれに限定されない。図31は、シース1Dの絶縁チップ11Dの変形例であるシース1Eの絶縁チップ11Eを示す断面図である。絶縁チップ11Eの絶縁チップ本体111Eは、先端面111Eaから先端側A1に突出した突出部13を備える。突出部13は、中心軸OB3を中心軸として長手方向Aに延びる円筒状に形成される。突出部13は、内部に突出部管路13hを備える。また、突出部13の基端は、第二開口113を覆うように先端面111Eaに取付けられており、内部の突出部管路13hが第二先端管路122hに連通する。突出部13は、先端に突出部開口13aを備える。送水チューブ24の第三送水管路24hを通る流体は、第二先端管路122hを通り第二開口113から流出したのち、第二先端管路122hに連通する突出部管路13hを通り突出部開口13aから流出される。
【0184】
突出部13の突出部開口13aは、図31に示すように、ナイフ2が先端側A1に前進した状態で、ナイフ2より基端側A2に配置される。また、図32は、ナイフ2が基端側A2に後退した状態における絶縁チップ11Eを示す断面図である。突出部13の突出部開口13aは、図32に示すように、ナイフ2が基端側A2に後退した状態(ナイフ2のフランジ21が絶縁チップ本体111Eの先端面111Eaに当接した状態)で、ナイフ2より先端側A1に配置される。この構成により、術者は、シース1Eの絶縁チップ11Eに設けられ、送水された液体が流出する突出部開口13aを備えた突出部13を病変部近くに配置して、容易に局注処置を行うことができる。
【0185】
(変形例2-2)
また、突出部13は、上述の実施形態に限定されない。図33は、突出部13の変形例である突出部13Aを示す斜視図である。突出部13Aは、先端部において、基端側A2から先端側A1に向かって中心軸OB3に傾斜したテーパー面13pを有する。この場合は、液体が流出する突出部開口13aを備えた突出部13Aの先端部がテーパー面13pを備えるため、術者は突出部13Aの突出部開口13aを容易に粘膜下層の中に入れて局注処置を行うことができる。
【0186】
(変形例2-3)
また、突出部13は、上述の実施形態に限定されない。図34は、絶縁チップ11Eの突出部13の変形例である突出部13Bを示す斜視図である。突出部13Bの先端部13bは、基端側A2から先端側A1に向かって突出部13Bの周縁の一端を長手方向Aに通る軸線に傾斜する。この構成により、突出部13Bの先端部は、鋭利形状になる。この場合においても、術者は突出部13Bの突出部開口13aを容易に粘膜下層の中に入れて局注処置を行うことができる。
【0187】
(変形例2-4)
また、突出部13は、上述の実施形態に限定されない。図35は、突出部13の変形例である突出部13Cを示す断面図である。突出部13Cは、図35に示すように、長手方向Aに進退可能に構成されている。具体的には、突出部13Cは、基端を送水チューブ24の先端に固定されている。そして、送水チューブ24は、例えば、操作部5がレバー55を備え、レバー55に基端を取り付けられる。そのため、術者はレバー55を長手方向Aに進退移動させると、送水チューブ24及び突出部13Cを長手方向Aに進退移動させることができる。突出部13Cの突出部開口13Caは、図35に示すように、絶縁チップ本体111の備える第二開口113から先端側A1に突出しないように配置することができる。この構成により、術者は、切開・焼灼・剥離処置及び止血処置の際に、使用しない突出部13Cを第二開口113よりも基端側A2に移動させて、第二貫通孔122に収容することができる。なお、送水チューブ24を進退移動させず、突出部13のみが長手方向Aに進退可能に構成されていてもよい。
【0188】
(変形例2-5)
上記実施形態において、シース1Dの絶縁チップ11Dは、絶縁チップ本体111の先端面111aに、第一開口112と、第一開口112と異なる位置に設けられた第二開口113と、を備える。しかしながら、絶縁チップ11Dの態様はこれに限定されない。図36は、シース1Dの絶縁チップ11Dの変形例であるシース1Fの絶縁チップ11Fを示す断面図である。また、シース1Fに挿入されるナイフ2Fは、本実施形態では、上述の実施形態のナイフ2と比較して径方向の幅が短く、ナイフ2Fのフランジ21Fは、第一開口112よりも基端側A2に移動可能である。
【0189】
絶縁チップ11Fは、第二実施形態の絶縁チップ11Dと比較して、絶縁チップ本体111Fの先端面111Faに第一開口112のみを備える。また、絶縁チップ11Fは、第二先端管路122Fhを備える。第二先端管路122Fhは、絶縁チップ11Fの内部において先端が下側Z2を向くように湾曲しており、先端に設けられた内部挿通開口(第二開口)113Fは、第一先端管路121hの側面に形成される。第二先端管路122Fhの基端側A2は、送水チューブ24の第三送水管路24hに連通される。
【0190】
図37は、ナイフ2Fを移動させた状態を示す断面図である。図37に示すように、術者がスライダ52を基端側A2に移動させることにより、ナイフ2Fのフランジ21Fは、内部挿通開口113Fよりも基端側A2に移動する。すると、第一先端管路121hにおいて、フランジ21Fから先端側A1に流体が流出可能となる十分な空間を設けることができる。そのため、送水チューブ24の第三送水管路24hに流れる液体は、第二先端管路122Fh内に供給されたのち、内部挿通開口113Fから流出する。そして、流体は、第一先端管路121hを通り、第一開口112から流出される。言い換えると、内部挿通開口113Fから液体が流入される状態において、ナイフ2Fのフランジ(先端部)21Fは、内部挿通開口113Fよりも基端側A2に配置される。この構成によれば、術者は、液体をスムーズに送水して、局注処置を行うことができる。また、内部挿通開口113F付近にナイフ2Fのフランジ21Fを配置させると、フランジ21Fに組織や組織の焦げが付着していても、内部挿通開口113Fから流出した流体が組織や組織の焦げを流して、第一開口112から排出させることができる。
【0191】
(変形例2-6)
上記実施形態において、第二実施形態に係る処置具100Dは、送水チューブ24を備えている。しかし、処置具100Dは、上述の実施形態に限定されない。図38は、処置具100Dの変形例である処置具100Gを示す断面図である。処置具100Gは、送水チューブ24を備えていない。この場合、流体の送水管路は、シース1Dの内部空間1sに形成される。この構成においても、処置具100Gは、絶縁チップ11Dの絶縁チップ本体111が備える第二開口113から流体を送水させることができる。
【0192】
(変形例2-7)
上記実施形態において、第二貫通孔122の長手方向Aにおける中心軸OB3は、長手方向Aと平行に延びるが、第二貫通孔の態様はこれに限定されない。
【0193】
図39は、処置具100Dの変形例である処置具100Jを示す断面図である。
処置具100Jは、シース1Jと、ナイフ2と、接続ツナギ23と、操作ワイヤ4と、操作部(不図示)と、を備える。
【0194】
シース1Jの先端1aには、絶縁チップ(先端部材)11Jが設けられている。
絶縁チップ11Jは、異なる2つの貫通孔を有する。絶縁チップ11Jは、絶縁チップ本体(先端部材本体)111Jと、第一貫通孔121と、第二貫通孔122Jと、を備える。
【0195】
絶縁チップ本体111Jは、絶縁チップ11Jの本体部分である。絶縁チップ本体111Jは、先端側A1の先端面111Jaに第一開口112と、第一開口112と異なるに位置に備えられ、シース1Jの内部空間1sを通る流体が流出する第二開口113Jと、を有する。
【0196】
第一貫通孔121は、上記実施形態と同様に、絶縁チップ本体111Jを長手方向Aに貫通する孔である。
【0197】
第二貫通孔122Jは、図39に示すように、第二貫通孔122Jの中心軸OB4が第一貫通孔121の中心軸OB2と交差するように絶縁チップ本体111Jを貫通する孔である。すなわち、第二貫通孔122Jは、中心軸OB4がナイフ2の中心軸と交差するように設けられている。
【0198】
そのため、シース1Jの内部空間1sを通る流体は、第二開口113Jからナイフ2に向かって放出される。その結果、第二開口113Jから放出した流体によって、ナイフ2に固着した組織の焦げを効率良く洗い流すことができる。
【0199】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0200】
本発明は、以下の技術思想を含む。
(付記項1)
長手方向に延在し、内部に送水用の送水管路を有するシースと、
前記シースに挿入され、前記長手方向に進退する金属製の高周波ナイフと、
前記シースの先端に設けられた、絶縁性の先端部材と、
を備え、
先端部材は、先端面に前記高周波ナイフが挿通する第一開口と、前記第一開口と異なる位置に設けられ前記送水管路を通る流体が流出する第二開口と、を有する、
内視鏡用処置具。
【0201】
(付記項2)
前記高周波ナイフには、高周波電流が流れる、
付記項1に記載の内視鏡用処置具。
【0202】
(付記項3)
前記長手方向に延在し、先端に前記高周波ナイフを接続された操作ワイヤと、
前記操作ワイヤの基端に設けられた操作部と、
をさらに備え、
前記高周波ナイフは、前記操作部を操作されて前記長手方向に進退する、
付記項1または付記項2に記載の内視鏡用処置具。
【0203】
(付記項4)
前記シースに挿入され、内部に送水用の前記送水管路を備える送液チューブをさらに備え、
前記送液チューブを流れる流体は、前記第二開口から流出する、
付記項1または付記項2に記載の内視鏡用処置具。
【0204】
(付記項5)
長手方向に延在し、内部に送水用の送水管路を有するシースと、
前記シースに挿入され、前記長手方向に進退する金属製の高周波ナイフと、
前記シースの先端に設けられた絶縁性の先端部材と、
を備え、
前記先端部材は、前記高周波ナイフが挿通する第一開口を先端面に設けた第一先端管路と、内部挿通開口を前記第一先端管路の側面に備え前記送水管路から流体が供給される第二先端管路とを備え、
前記第二先端管路に供給された前記流体は、前記第一開口から流出される、
内視鏡用処置具。
【0205】
(付記項6)
前記第二開口から液体が流出される状態において、
前記高周波ナイフの先端部は、前記内部挿通開口よりも基端側に配置される、
付記項5に記載の内視鏡処置具。
【0206】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について、図40から図42を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施形態は、いずれも第一実施形態と比較して、処置具を用いた内視鏡処置システムの構成が異なっている。従って、以下の説明では、第一実施形態との相違点を中心に説明する。
【0207】
[内視鏡処置システム(処置システム、高周波ナイフシステム)300H]
図40は、本発明の第三実施形態に係る内視鏡処置システム300Hを示す図である。図40は、内視鏡処置システム300Hの一例を説明する概略構成図である。
【0208】
本発明の第三実施形態に係る処置具を用いた内視鏡処置システム(処置システム、高周波ナイフシステム)300Hは、図40に示すように、内視鏡(不図示)と、処置具100Hと、スイッチ(フットスイッチ)6と、高周波電源装置7と、送液装置8と、を備える。ここで、処置具100Hは、第一実施形態と比較してロッド(棒状部材)3と、操作部5のレバー55とを備えていないことを除き、処置具100と同様の構成である。
【0209】
スイッチ6は、例えば、術者が足により操作するフットスイッチである。スイッチ6は、高周波電源装置7と有線通信または無線通信する。スイッチ6は、電源オン/オフの信号を後述する高周波電源装置7に送信する。
【0210】
高周波電源装置7は、処置具100Hに高周波エネルギーを供給する。具体的には、高周波電源装置7は、操作部5に設けられた給電コネクタ53に電気的に接続される。高周波電源装置7は、術者によるスイッチ6の操作によって電源のオン/オフの信号を受信することで高周波エネルギーの出力の有無を切り替える。高周波電源装置7は、スイッチ検知部71と、出力部72と、第一通信部73と、第一制御部74と、を備える。
【0211】
スイッチ検知部71は、スイッチ6の電源のオン/オフの信号を検知する。スイッチ検知部71は、電源のオン/オフの信号を検知すると、電源のオン/オフの検知情報を第一制御部74に送信する。スイッチ検知部71は、例えば、電流検知センサである。
【0212】
出力部72は、第一制御部74から出力信号を取得して、処置具100Hに高周波エネルギーの出力を開始する。また、出力部72は、第一制御部74から出力停止信号を取得して、処置具100Hへの高周波エネルギーの出力を停止する。
【0213】
第一通信部73は、通信インターフェースである。第一通信部73は、例えば有線ケーブルによって、送液装置8や他の機器と通信する。第一通信部73は、例えば無線通信する装置であってもよい。また、第一通信部73は、例えばインターネットに接続されたアクセスポイントとの間で無線LAN(Local Area Network)等の所定のプロトコルで通信する装置であってもよい。
【0214】
第一通信部73は、第一制御部74から電源のオン/オフの情報を取得すると、電源のオン/オフの情報を送液装置8に送信する。また、第一通信部73は、送液装置8から異常検知情報を取得すると、第一制御部74に送信する。
【0215】
第一制御部74は、CPU(Central Processing Unit)やプログラムを読み込み可能なメモリ、記憶部(不図示)等を有するプログラムを実行可能な装置(コンピュータ)である。第一制御部74の機能は、第一制御部74に提供されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。なお、第一制御部74の少なくとも一部の機能を、専用の論理回路等によって構成してもよい。記憶部は、プログラムや必要なデータを記憶する不揮発性の記録媒体である。記憶部は、例えばROMやハードディスク等で構成される。記憶部に記録されたプログラムは、メモリに読み込まれ、CPUによって実行される。
【0216】
第一制御部74は、スイッチ検知部71からの電源のオン/オフの検知情報(入力状態)を取得すると、出力信号または出力停止信号を生成して出力部72に送信する。また、第一制御部74は、第一通信部73を介して、送液装置8から異常検知情報を取得すると、出力停止信号を生成して出力部72に送信する。
【0217】
また、第一制御部74は、スイッチ検知部71からの電源のオン/オフの検知情報を取得すると、電源のオン/オフの情報を生成して第一通信部73に指示を送信する。
【0218】
なお、第一制御部74は、1つのハードウェアに備わる装置に限られない。例えば、第一制御部74は、CPUと、メモリと、記憶部とをそれぞれ別体のハードウェアとして分離した上で、ハードウェア同士を通信回線で接続することで構成してもよい。または、第一制御部74は、記憶部を分離して、同様に通信回線で接続することで、第一制御部をクラウドシステムとして実現してもよい。さらに第一制御部74は、CPU、メモリ、記憶部以外のもので、第一制御部74の動作のために必要なものを、さらに有してもよい。
【0219】
送液装置8は、処置具100Hに液体を送液(送水)する。具体的には、送液装置8は、操作部5に設けられた液体供給口54に接続される。送液装置8は、スイッチ6によって高周波電源装置の電源のオン/オフを操作され、高周波電源装置7から電源のオン/オフの情報を取得することで処置具100Hに液体を送液する。送液装置8は、送水部81と、第二通信部82と、第二制御部83と、異常検知部84と、を備える。送液装置8は、例えば、送液用の圧力ポンプである。
【0220】
送水部81は、第二制御部83から送水信号を取得して、処置具100Hに液体を送液して送水を開始する。また、送水部81は、第二制御部83から送水停止信号を取得して、処置具100Hへの送水を停止する。
【0221】
第二通信部82は、通信インターフェースである。第二通信部82は、例えば有線ケーブルによって、高周波電源装置7や他の機器と通信する。第二通信部82は、例えば無線通信する装置であってもよい。また、第二通信部82は、例えばインターネットに接続されたアクセスポイントとの間で無線LAN(Local Area Network)等の所定のプロトコルで通信する装置であってもよい。
【0222】
第二通信部82は、高周波電源装置7の第一通信部73と通信する。第二通信部82は、第一通信部73から高周波電源装置7の電源のオン/オフの情報を取得すると、電源のオン/オフの情報を第二制御部83に送信する。
【0223】
第二制御部83は、CPU(Central Processing Unit)やプログラムを読み込み可能なメモリ、記憶部(不図示)等を有するプログラムを実行可能な装置(コンピュータ)である。第二制御部83の機能は、第二制御部83に提供されたプログラムをCPUが実行することにより実現される。なお、第二制御部83の少なくとも一部の機能を、専用の論理回路等によって構成してもよい。記憶部は、プログラムや必要なデータを記憶する不揮発性の記録媒体である。記憶部は、例えばROMやハードディスク等で構成される。記憶部に記録されたプログラムは、メモリに読み込まれ、CPUによって実行される。
【0224】
第二制御部83は、第二通信部82からの電源のオン/オフの情報を取得すると、送水信号を生成して送水部81に指示を送信する。
【0225】
なお、第二制御部83は、1つのハードウェアに備わる装置に限られない。例えば、第二制御部83は、CPUと、メモリと、記憶部とをそれぞれ別体のハードウェアとして分離した上で、ハードウェア同士を通信回線で接続することで構成してもよい。または、第二制御部83は、記憶部を分離して、同様に通信回線で接続することで、第二制御部83をクラウドシステムとして実現してもよい。さらに第二制御部83は、CPU、メモリ、記憶部以外のもので、第二制御部83の動作のために必要なものを、さらに有してもよい。
【0226】
異常検知部84は、送水部81から処置具100Hへ送水(送液)を行う際に、例えば先端開口22aが組織の焦げの固着などによって塞がったり、流体が流れる送水管路をもつ処置具100Hが座屈したりして、送水が十分にされないときに不具合の発生の異常を検知する。異常検知部84は、異常を検知すると、異常検知情報を第二制御部83に送信する。
【0227】
そして、第二制御部83は、異常検知部84から異常検知情報を取得すると、送水部81に、送水停止信号を送信する。また、第二制御部83は、異常検知情報を、第二通信部82を介して高周波電源装置7に送信する。
【0228】
ここで、内視鏡処置システム300Hは、さらに警告出力部(不図示)を備えていてもよい。警告出力部を備えることで、異常検知部84は、異常を検知すると、異常検知情報を警告出力部に送信し、警告出力部は、異常検知情報を取得して警告音や警告灯を発生させることができる。
【0229】
[内視鏡処置システム300Hの作用]
次に、内視鏡処置システム300Hの作用について図42を用いて説明する。図42は、内視鏡処置システム300Hの作用を説明するフロー図である。
【0230】
<スイッチオン検知ステップ(第一検知ステップ)S1>
まず、術者は、足を使ってスイッチ6であるフットスイッチを操作する。スイッチ6は、電源オン(ON)の信号を高周波電源装置7に送信すると、高周波電源装置7のスイッチ検知部71は、スイッチ6の電源オンの信号を検知する。
【0231】
<送水開始ステップ(第一供給ステップ)S2>
スイッチ検知部71は、電源のオンの検知情報を第一制御部74に送信する。第一制御部74は、スイッチ検知部71からの電源のオンの検知情報を取得すると、電源のオンの情報を生成して第一通信部73に指示を送信する。第一通信部73は、第一制御部74から電源のオンの情報を取得すると、電源のオンの情報を送液装置8に送信する。送液装置8の第二通信部82は、電源のオンの情報を取得すると、電源のオンの情報を第二制御部83に送信する。第二制御部83は、第二通信部82からの電源のオンの情報を取得すると、送水信号を生成して送水部81に指示を送信する。送水部81は、送水信号を取得して、処置具100Hに液体を送液して送水を開始する。
【0232】
<高周波エネルギー出力開始ステップ(第二供給ステップ)S3>
また、第一制御部74は、スイッチ検知部71からの電源のオンの検知情報を取得すると、出力信号を生成して出力部72に送信する。出力部72は、第一制御部74から出力信号を取得して、処置具100Hに高周波エネルギーの出力を開始する。すなわち、第一制御部74は、スイッチ6の電源オンの検知情報をスイッチ検知部71から取得すると、送液装置8によって送水部81から流体の供給を開始させるとともに、出力部72によって高周波エネルギーの出力を開始させる。
【0233】
このように、高周波電源装置7と送液装置8とは連動して処置具100Hに高周波エネルギーと流体とを同時に供給することができる。言い換えると、高周波電源装置7と送液装置8とは互いに通信を行い、一方が他方を制御して連動している。なお、処置具100Hには、高周波エネルギーと流体とを同時に供給することができるが、処置具100Hには、流体が高周波エネルギーよりも先に供給されているのが好ましい。高周波エネルギーと流体とを供給するタイミングは、高周波電源装置7の第一制御部74及び送液装置8の第二制御部83によって任意に調整できる。術者は、この状態において、処置具100Hを用いて上述の挿入ステップ、局注ステップ、切開・焼灼・剥離ステップ、除去ステップ、追加局注ステップ、及び止血ステップを実施することができる。また、術者は、必要に応じて上述のステップを継続することができる。ここで、高周波電源装置7と送液装置8との連動とは、高周波エネルギーや流体が供給されている状態に限られず、高周波電源装置7と送液装置8とが互いに通信している状態を含む。
【0234】
<異常検知ステップS4>
送液装置8の異常検知部84は、送液装置8が送水部81から処置具100Hに送水を行う際に、不具合発生の異常を検知すると、異常検知情報を第二制御部83に送信する。
【0235】
<異常停止ステップS41、S42>
第二制御部83は、異常検知部84から異常検知情報を取得すると、送水部81に、送水停止信号を送信する。送水部81は、第二制御部83から送水停止信号を取得すると、処置具100Hへの送水を停止する。また、第二制御部83は、異常検知情報を、第二通信部82を介して高周波電源装置7に送信する。高周波電源装置7の第一通信部73は、送液装置8から異常検知情報を取得すると、第一制御部74に送信する。第一制御部74は、異常検知情報を取得すると、出力停止信号を生成して出力部72に送信し、出力部72によって処置具100Hへの高周波エネルギーの出力を停止する。なお、異常検知部84が異常を検知しない場合は、高周波電源装置7及び送液装置8は、処置具100Hへ高周波エネルギー及び流体の供給を継続する。
【0236】
<スイッチオフ検知ステップ(第二検知ステップ)S5>
術者は、足を使ってスイッチ6を操作し、電源オフ(OFF)の信号を高周波電源装置7に送信する。高周波電源装置7のスイッチ検知部71は、スイッチ6の電源オンの信号を検知する。
【0237】
<送水停止ステップ(第一停止ステップ)S51>
スイッチ検知部71は、電源のオフの検知情報を第一制御部74に送信する。第一制御部74は、スイッチ検知部71からの電源のオフの検知情報を取得すると、電源のオフの情報を生成して第一通信部73に指示を送信する。第一通信部73は、第一制御部74から電源のオフの情報を取得すると、電源のオフの情報を送液装置8に送信する。送液装置8の第二通信部82は、電源のオフの情報を取得すると、電源のオフの情報を第二制御部83に送信する。第二制御部83は、第二通信部82からの電源のオフの情報を取得すると、送水停止信号を生成して送水部81に指示を送信する。送水部81は、送水停止信号を取得して、処置具100Hへの送水を停止する。
【0238】
<高周波エネルギー出力停止ステップ(第二停止ステップ)S52>
また、第一制御部74は、スイッチ検知部71からの電源のオフの検知情報を取得すると、出力停止信号を生成して出力部72に送信する。出力部72は、第一制御部74から出力停止信号を取得して、処置具100Hへの高周波エネルギーの出力を停止する。すなわち、第一制御部74は、スイッチ6の電源オフの検知情報をスイッチ検知部71から取得すると、送液装置8によって送水部81からの流体の供給を停止させるとともに、出力部72によって高周波エネルギーの出力を停止させる。高周波電源装置7と送液装置8とは、連動して処置具100Hに高周波エネルギーと流体との供給を停止することができる。術者は、必要に応じて、上述のステップを実施して、ESDの手技を終了(完了)する。
【0239】
本実施形態に係る内視鏡処置システム(処置システム)300Hによれば、高周波電源装置7と送液装置8とが連動して処置具100Hに高周波エネルギーと流体とを同時に供給させることができる。これにより、術者は、スイッチ6を操作することで、流体を送水して局注処置を行いつつ、切開・焼灼・剥離処置、及び止血処置を同時に行うことができる。そのため、組織が処置具100Hのナイフ2の先端開口(送水口)22aに入り込まず、先端開口22aを詰まらせたり、組織の焦げを発生させたりすることがない。
【0240】
(変形例3-1)
上述の実施形態に係る送液装置8は、液体に限らず、気体を供給(送気)してもよい。
【0241】
(変形例3-2)
上述の実施形態に係るスイッチ6は、高周波電源装置7と有線通信または無線通信するが、特に限定されない。スイッチ6は、送液装置8と有線通信または無線通信してもよい。この場合は、送液装置8がスイッチ検知部を設けることによって、上述の内視鏡処置システム300Hを作用させることができる。さらに、スイッチ6は、高周波電源装置7と送液装置8との両方に有線通信または無線通信してもよい。
【0242】
(変形例3-3)
また、スイッチ6は、上述のフットスイッチに限定されず、例えば、タッチパネルや、マウス、キーボードなどの各種スイッチや、レバー、リモートコントローラなどの操作を行うことが可能な任意のデバイスによるスイッチを用いることができる。
【0243】
(変形例3-4)
上述の実施形態に係る処置システム300Hは、高周波電源装置7と送液装置8とが連動して処置具100Hに高周波エネルギーと流体とを同時に供給させるが、処置システムの態様はこれに限定されない。例えば、処置システムは、高周波電源装置7のスイッチ検知部71がスイッチ6の電源オンの信号を検知し、処置具100Hに高周波エネルギーの出力を開始する。さらに、処置システムは、高周波電源装置7による高周波エネルギーの供給の停止を検知した後、処置具100Hに液体を送液して送水を開始してもよい。このように、高周波エネルギーと流体とをシリアルに出力することで、切開・焼灼・剥離ステップを実施した後、ナイフ2に貼り付いた組織の焦げを流体によって洗い流すことができる。
【0244】
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0245】
本発明は、以下の技術思想を含む。
(付記項7)
内視鏡のチャンネルに挿入して長手方向に進退可能に延在する高周波ナイフと、前記長手方向に延在して液体が流れる第一管路と、前記液体を流出する第一開口と、を有する内視鏡処置具と、
前記高周波ナイフに高周波エネルギーを供給する高周波電源装置と、
前記高周波エネルギーの供給を開始または停止するスイッチと、
前記第一管路に流体を供給する送液装置と、
を備え、
前記高周波電源装置と前記送液装置とは、連動している、
高周波ナイフシステム。
【0246】
(付記項8)
前記高周波ナイフは、先端に前記第一開口を設け、内部に前記第一管路を設ける、
付記項7に記載の高周波ナイフシステム。
【0247】
(付記項9)
前記内視鏡処置具は、前記長手方向に延在し、前記高周波ナイフを挿入可能なシースと、前記シースの先端に設けられた絶縁性の先端部材と、をさらに備え、
前記先端部材は、前記長手方向に貫通して前記高周波ナイフが挿入可能な第一貫通孔と、前記第一開口を先端側に設け前記長手方向に貫通する第二貫通孔と、を備える、
付記項7に記載の高周波ナイフシステム。
【0248】
(付記項10)
前記送液装置は、送気または送水を行う、
付記項7または付記項8に記載の高周波ナイフシステム。
【0249】
(付記項11)
前記送液装置と前記高周波電源装置とは互いに通信を行っており、少なくとも一方が他方を制御する、
付記項7または付記項8に記載の高周波ナイフシステム。
【0250】
(付記項12)
前記高周波電源装置が前記高周波エネルギーを供給すると、
前記送液装置は、前記流体を供給する、
付記項7または付記項8に記載の高周波ナイフシステム。
【0251】
(付記項13)
前記送液装置の動作異常を検知する検知部をさらに備え、
前記検知部は前記送液装置の動作異常を検知すると、前記高周波電源装置は出力を停止する、
付記項7または付記項8に記載の高周波ナイフシステム。
【0252】
(付記項14)
スイッチによって、高周波エネルギー及び流体の供給を制御される高周波ナイフの制御方法であって、
前記スイッチのオンを検知する第一検知ステップと、
前記流体の供給を開始する第一供給ステップと、
前記流体の供給を開始とともに前記高周波エネルギーの供給を開始する第二供給ステップと、
前記スイッチのオフを検知する第二検知ステップと、
前記流体の供給を停止する第一停止ステップと、
前記流体の供給の停止とともに前記高周波エネルギーの供給を停止する第二停止ステップと、
を備える高周波ナイフの制御方法。
【0253】
(付記項15)
前記流体の供給異常を検知する異常検知ステップと、
前記流体の供給及び前記高周波エネルギーの供給を停止する異常停止ステップと、
をさらに備える付記項14に記載の高周波ナイフの制御方法。
【0254】
いずれの上記実施形態においても、本発明の内視鏡用処置具によれば、高周波ナイフまたはシースの先端からの送水を好適に行うことができる。
【符号の説明】
【0255】
300、300H…内視鏡処置システム(処置システム、高周波ナイフシステム)
100、100A、100B、100C、100D、100G、100H…処置具(内視鏡用処置具)
200…内視鏡
1、1D、1E、1F…シース
11、11D、11E、11F…絶縁チップ(先端部材)
12…貫通孔
13、13A、13B、13C…突出部
12a…先端開口
2、2A、2B、2F…ナイフ(高周波ナイフ、電極)
20…ナイフ本体
21、21A、21F…フランジ
21B…先端部
22…第一送水管路(第一管路)
22a…先端開口(送水口または第一開口)
24…送水チューブ
24h…第三送水管路(送水管路)
3、3B、3C…ロッド(棒状部材)
3A…封止部材
4…操作ワイヤ
42…第二送水管路(第二管路)
5…操作部
52…スライダ
55…レバー(スライドレバー)
6…スイッチ(フットスイッチ)
7…高周波電源装置
71スイッチ検知部
72…出力部
73…第一通信部
74…第一制御部
8…送液装置
81…送水部
82…第二通信部
83…第二制御部
84…異常検知部
A…長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42