(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085409
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】車両のアンチロールオフ制動システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B60T 7/12 20060101AFI20240619BHJP
B60W 10/184 20120101ALI20240619BHJP
B60W 50/08 20200101ALI20240619BHJP
B60W 30/02 20120101ALI20240619BHJP
【FI】
B60T7/12 E
B60T7/12 A
B60W10/184
B60W50/08
B60W30/02
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210462
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】63/387,382
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/505,206
(32)【優先日】2023-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1 Continental Drive, Auburn Hills, Michigan 48326-1581, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ミナ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ エンリケシュ
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
【Fターム(参考)】
3D241AA71
3D241AC01
3D241AC14
3D241AC26
3D241AD31
3D241AD51
3D246BA02
3D246DA01
3D246EA02
3D246EA03
3D246EA11
3D246GA01
3D246GB21
3D246GC07
3D246GC16
3D246HA25A
3D246HA64A
3D246JA02
3D246JA12
3D246JB11
3D246JB32
3D246MA21
(57)【要約】
【課題】車両のアンチロールオフ制動システム及び方法を提供する。
【解決手段】車両を制御するためのシステムであって、電子制御ユニットであって、車両が進んでいるかどうかを検出し、車両がいずれの方向に進んでいるかを検出し、車両のギヤ位置を検出するように構成及び配置されるプロセッサ回路を有する電子制御ユニットを含むシステム。車両のギヤ位置及び方向は、互いに比較されて、検出されたギヤ位置に応じて且つ検出された方向に応じて、車両が誤った方向に進んでいると特定する。車両が誤った方向に進んでいると特定すると、車両が停止される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制御する方法であって、
前記車両が進んでいるかどうかを検出することと、
前記車両がいずれの方向に進んでいるかを検出することと、
前記車両のギヤ位置を検出することと、
前記車両の前記ギヤ位置と前記方向とを比較することと、
前記検出されたギヤ位置に応じて且つ前記検出された方向に応じて、前記車両が誤った方向に進んでいると特定することと、
前記車両が誤った方向に進んでいると特定すると、前記車両を停止させることと
を含む方法。
【請求項2】
前記車両が進んでいるかどうかを前記検出することは、前記車両の少なくとも1つの車輪の車輪速を検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両が進んでいるかどうかを前記検出することは、前記車両の車輪速センサで前記車両の少なくとも1つの車輪の車輪速を検出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両が誤った方向に進んでいると前記特定することは、前記検出されたギヤ位置と前記検出された方向とを比較することと、前記検出されたギヤ位置と前記検出された方向とが異なる場合、前記車両が誤った方向に進んでいると特定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記車両を前記停止させることは、前記車両の1つ以上のブレーキを作動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記車両を前記停止させることは、前記車両が前記車両のエンジンのアイドルトルクを増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記車両を前記停止させることは、前記車両が前記車両の少なくとも1つのブレーキのブレーキトルクを増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
車両が誤った方向に移動することは、前記車両が、前記車両の前記ギヤ位置によって示される方向と異なる方向に移動することを意味する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
坂道発進補助(HSA)システムが前記車両において作動していないか又は停止されている場合にのみ又はその場合にも作動される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
車両を制御するためのシステムであって、
電子制御ユニットであって、
前記車両が進んでいるかどうかを検出することと、
前記車両がいずれの方向に進んでいるかを検出することと、
前記車両のギヤ位置を検出することと、
前記車両の前記ギヤ位置と前記方向とを比較することと、
前記検出されたギヤ位置に応じて且つ前記検出された方向に応じて、前記車両が誤った方向に進んでいると特定することと、
前記車両が誤った方向に進んでいると特定すると、前記車両を停止させることと
を行うように構成及び配置されるプロセッサ回路を有する電子制御ユニット
を含むシステム。
【請求項11】
前記停止装置は、前記車両の車輪ブレーキに圧力媒体を供給するように構成及び配置される装置により、前記車両を停止させるように構成及び配置される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記停止装置は、前記車両のエンジンのアイドルトルクを増加させるように構成及び配置される装置により、前記車両を停止させるように構成及び配置される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
機械による実行のためのロジックで符号化される1つ以上の非一時的有形媒体であって、前記機械によって実行されると、
車両が進んでいるかどうかを検出することと、
前記車両がいずれの方向に進んでいるかを検出することと、
前記車両のギヤ位置を検出することと、
前記車両の前記ギヤ位置と前記方向とを比較することと、
前記検出されたギヤ位置に応じて且つ前記検出された方向に応じて、前記車両が誤った方向に進んでいると特定することと、
前記車両が誤った方向に進んでいると特定すると、前記車両を停止させることと
を行うように動作可能である1つ以上の非一時的有形媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に少なくとも1つのブレーキを用いて車両を制御し、且つ車両のロールオフを回避するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制動力保持制御(HHC)、又は坂道発進補助制御(HAC)、又は制動力保持装置としても公知の坂道発進補助装置(HSA)は、例えば、坂道での車両のロールバックを回避することを意図した、自動車における運転支援システムの名称である。
【0003】
坂道発進補助装置(HSA)は、例えば、クラッチが摩擦点になるまでブレーキを保持することにより、例えば坂道での車両のロールバックを回避することを意図した、自動車における運転支援システムであり得、手動変速機及び自動変速機自動車において静止状態からの坂道発進をより容易にする。制動力保持装置は、例えば、運転者がファーストギヤに設定し、作動させている間、ブレーキを所定の位置に保持することにより、ロールバックの恐れなしに車を完全停止状態から前方に移動させるように機能し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0001846A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つ以上の実施形態の目的は、車両を制御し、且つ車両のロールオフを回避するためのシステム及び方法を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の原理によれば、この目的は、車両が坂道で停止し(例えば、HSAが作動していない状態で)、車両が運転者の意図とは反対の方向に進み始めると(特に車両のギヤ位置に基づいて検出される)、システムが誤った動きを検出し(例えば、車輪の方向に基づいて)、車両を停止させる、システム及び/又は方法を提供することによって達成される。
【0007】
車両を制御する方法は、車両が進んでいるかどうかを検出するステップ、車両がいずれの方向に進んでいるかを検出するステップ、車両のギヤ位置を検出するステップ、車両のギヤ位置と方向とを比較するステップ、検出されたギヤ位置に応じて且つ検出された方向に応じて、車両が誤った方向に進んでいると特定するステップ、車両が誤った方向に進んでいると特定すると、車両を停止させるステップを含む。
【0008】
車両を制御するためのシステムは、電子制御ユニットであって、車両が進んでいるかどうかを検出し、車両がいずれの方向に進んでいるかを検出し、車両のギヤ位置を検出し、車両のギヤ位置と方向とを比較し、検出されたギヤ位置に応じて且つ検出された方向に応じて、車両が誤った方向に進んでいると特定し、車両が誤った方向に進んでいると特定すると、車両を停止させるように構成及び配置されるプロセッサ回路を有する電子制御ユニットを含む。
【0009】
1つ以上の非一時的有形媒体は、機械による実行のためのロジックで符号化され、機械によって実行されると、車両が進んでいるかどうかを検出すること、車両がいずれの方向に進んでいるかを検出すること、車両のギヤ位置を検出すること、車両のギヤ位置と方向とを比較すること、検出されたギヤ位置に応じて且つ検出された方向に応じて、車両が誤った方向に進んでいると特定すること、車両が誤った方向に進んでいると特定すると、車両を停止させることを行うように動作可能である。
【0010】
実施形態の他の目的、特徴及び特性並びに動作の方法及び構造の関連要素の機能、部品の組み合わせ及び製造の経済性は、その全てが本明細書の一部を形成する添付図面を参照して、以下の詳細な説明及び添付特許請求の範囲を考慮することでより明らかになるであろう。
【0011】
実施形態は、同様の符号が同様の部品を参照する添付図面と併せて、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による、車両の望ましくない方向への望ましくないロールオフを回避するためのシステムの概略図である。
【
図2】一実施形態による、車両の望ましくないロールオフを回避するためのシステムを有する車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面の参照を含む。図面は、例示として、装置が実施され得る特定の実施形態を示す。本明細書において「例」又は「オプション」とも呼ばれるこれらの実施形態を、当業者が本実施形態を実施することを可能にするのに十分に詳細に説明する。本開示の適用範囲から逸脱することなく、実施形態が組み合わされ得るか、他の実施形態が利用され得るか、又は構造的若しくは論理的な変更形態がなされ得る。以下の詳細な説明は、従って、限定的な意味で解釈されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物によって定義されるものである。
【0014】
図1を参照すると、一実施形態による、車両のアンチロールオフ制御のためのシステムを概して1で示している。
【0015】
システムは、一実施形態に従い、
図2に示し、概して99で示す車両に実装することができる。
【0016】
図1を参照すると、システム1は、概して2で示す電子制動システム(例えば、ABSモジュール)と、それに関連する車両アンチロールオフ制動システム(ロジック)11とを含む。
【0017】
制御システム及び/又は制動システム2は、例えば、(特許文献1)に開示されている種類のものであり得、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
制動システム2の実施形態は、例えば、車両(例えば、乗用車又はトラック)の作動ペダル又はブレーキペダル6に応じて且つ運転者制動システム制御21に応じて、電子制動システム2(例えば、ABSモジュール2を有する)によって作動されるブレーキシリンダ3、4、5、6、10(例えば、車両99の車輪7、8、9、10毎に少なくとも1つのブレーキシリンダ3、4、5、6、10)を含む。
【0019】
エンジン制御装置13、例えばECUは、車両99のエンジン14のエンジントルクを検出するように構成される。エンジン制御装置13は、例えば、車両99のペダルに応じて運転者要求トルクを検出するように構成される。
【0020】
ギヤ制御装置(又は変速機制御装置)15、例えばECUは、車両99のギヤのギヤ位置、例えば車両99の運転者によって所望される(正しい/意図された)前進車両方向(
図2のF)を示す前進ギヤ(又は「D」)又は車両の運転者によって所望される(正しい/意図された)後退車両方向(
図2のB)を示すリバースギヤ(又は「R」)を検出するように構成される。
【0021】
車輪速センサ12は、自動車99の各車輪3、4、5、6に配置される。
【0022】
車輪速センサ12は、特に回転する車輪の(前進又は後退)方向及び/又は速度を検出することにより、車両99が進んでいるかどうかを検出するように配置される。
【0023】
車輪速検出装置17は、車両99の1つ以上の車輪速センサ12の速度、及び/又は車輪速ティック、及び/又は例えば車両99の前進方向F若しくは後退方向Bに関連する車両99の車輪3、4、5、6の車輪方向を検出するように構成される。
【0024】
更に、システム2は、車輪速センサ装置17に加えて又はその代わりに、例えば車両が進む方向及び速度を検出するためのIMUモジュール20(慣性測定ユニット)を含み得る。
【0025】
ギヤ制御装置15によって検出される方向(B又はF)が、車輪速センサ12、及び/又は車輪速センサ装置17、及び/又はIMUモジュール20によって検出される方向(F又はB)と異なる場合、それは、車両99が誤った方向(例えば、車両の運転者が現在又はアクセルペダルを踏んだ後に運転することを望むと想定される方向と異なる方向)に進んでいるという検出であり得る。例えば、ギヤ制御装置15が(ギヤ及び/又は所望の)前進方向Fを検出したが、車輪速センサ装置17が(車両の)後退回転方向Bを検出した場合、それは、車両99が誤った方向に進んでいるという検出であり得る。例えば、ギヤ制御装置15が(ギヤ及び/又は所望の)後退方向Bを検出したが、車輪速センサ装置17が(車両の)前進方向Fを検出した場合、それは、車両99が誤った方向に進んでいると特定することができる。
【0026】
車両99が誤った方向に進んでいると特定すると、制御及び/又はブレーキシステム2は、例えば、車両99の1つ以上又は全てのブレーキ3、4、5、6を作動させることにより、且つ/又は車両のエンジンのアイドルトルクを増加若しくは減少させることにより、車両を停止させることができる。
【0027】
一般に、アンチロールオフロジック11は、車両99が進んでいる検出方向F又はBを車両のギヤ位置と比較し、検出されたギヤ位置に応じて且つ検出された方向(車両が進んでいる)に応じて、車両99が誤った方向F又はBに進んでいると特定することができる。車両が誤った方向に進んでいると特定すると、車両を停止させる。
【0028】
幾つかの状況中に車両が進む可能性があり、パーキングブレーキを作動させる可能性がある。パーキングブレーキは、クランプさせるまでに例えば3秒以上かかり、車両は、パーキングブレーキを完全に作動させることができる前に数メートル移動する。
【0029】
車両が急勾配で停止した場合又は(DSG変速機のように)変速機の引きずりが減少している場合、車両が運転者の意図する進行方向とは反対に進み始める可能性がある。これは、エンジンストール及び運転者のパニックにつながり得る。
【0030】
解決することができる他の1つの状況は、エネルギーを節約することであり、従って、車両は、ブレーキトルクの増加に変換される必要があるアイドルトルクを低減する。本発明は、車両を所定の位置に保持することを低減するエンジン抵抗の容易な検出を提供する。
【0031】
車輪速及び方向を用いて、車両状態及び進行方向がどうなっているかを定義することができる。ギヤ位置情報により、車両が所望の方向に移動しているかどうか又は保持(車両が例えば後方に進むことを防止すること)が必要であるかどうかを検出し得る。
【0032】
検出がトリガされると、例えば100msで圧力を印加することができる。本発明は、車輪速センサ及び方向歯車装置を有する物品を有する任意の分野において有用であり得る。
【0033】
一実施形態によれば、運転者が意図した方向とは反対の方向に移動する車両の検出が有用であり得る。
【0034】
停止とは、ゼロ速度での完全な停止又は減速を意味し得る。
【符号の説明】
【0035】
1 システム
2 制動システム
3、4、5、6 ブレーキシリンダ
7、8、9、10 車輪
11 車両アンチロールオフ制動システム(ロジック)
12 車輪速センサ
13 エンジン制御装置
14 エンジン
15 ギヤ制御装置
17 車輪速検出装置
20 IMUモジュール
21 運転者制動システム制御
99 車両
【外国語明細書】