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  • 特開-車両用の電気駆動軸 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085411
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】車両用の電気駆動軸
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/40 20071001AFI20240619BHJP
   B60K 6/22 20071001ALI20240619BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20240619BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20240619BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20240619BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20240619BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20240619BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
B60K6/40
B60K6/22 ZHV
B60K6/36
B60K6/48
B60W10/30 900
B60W20/20
F16H57/04 B
F16H57/04 J
B60L15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210490
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】10 2022 133 350.7
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン、ブレードラー
(72)【発明者】
【氏名】ディエゴ、シールレ
【テーマコード(参考)】
3D202
3J063
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB46
3D202BB58
3D202CC22
3D202CC24
3D202EE00
3D202EE12
3D202EE23
3D202FF12
3J063AA01
3J063AB02
3J063AC01
3J063BA11
3J063CB41
3J063CD13
3J063CD23
3J063CD24
3J063XD03
3J063XD23
3J063XD38
5H125AA01
5H125CD06
5H125FF01
5H125FF21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】分離クラッチを開いた状態で電気駆動軸が動作されるときに差動装置への損傷を防止する。
【解決手段】車両用の電気駆動軸10であって、電気モータ14と、ギアボックス16と、2つの出力シャフト20を有する差動装置18と、分離クラッチ26であって、入力側24が差動装置18の出力シャフト20の一方に結合され、出力側28が駆動軸の2つの駆動シャフト22、30の一方に割り当てられる分離クラッチ26とを有し、変速クラッチ48によって2つの駆動シャフト22、30の一方に結合された機械式オイルポンプ40が設けられることを特徴とする、駆動軸10に関する。また、このような駆動軸10用のモジュールに関し、モジュールは、ギアボックス16と、オイルポンプ40であって、ギアボックス16が駆動力を伝達しないときにのみ前記オイルポンプ40が送達能力を有するようにギアボックス16に結合されたオイルポンプ40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の電気駆動軸(10)であって、電気モータ(14)と、ギアボックス(16)と、2つの出力シャフト(20)を有する差動装置(18)と、分離クラッチ(26)であって、入力側(24)が前記差動装置(18)の前記出力シャフト(20)の一方に結合され、出力側(28)が前記駆動軸の2つの駆動シャフト(22、30)の一方に割り当てられる分離クラッチ(26)とを有し、変速クラッチ(48)によって前記2つの駆動シャフト(22、30)の一方に結合された機械式オイルポンプ(40)が設けられることを特徴とする、駆動軸(10)。
【請求項2】
前記オイルポンプ(40)は、前記差動装置(18)に直接結合された前記駆動シャフト(22)に割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の駆動軸(10)。
【請求項3】
前記オイルポンプ(40)は、前記分離クラッチ(26)によって前記差動装置(18)に結合された前記駆動シャフト(30)に割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の駆動軸(10)。
【請求項4】
前記オイルポンプ(40)は、前記分離クラッチ(26)に割り当てられることを特徴とする、請求項3に記載の駆動軸(10)。
【請求項5】
前記変速クラッチ(48)は、前記分離クラッチ(26)に一体化されることを特徴とする、請求項4に記載の駆動軸(10)。
【請求項6】
前記変速クラッチ(48)は、前記分離クラッチ(26)が開位置にあるときに前記オイルポンプ(40)が前記駆動シャフト(30)に結合されるように、逆もまた同様であるように、前記分離クラッチ(26)に結合されることを特徴とする、請求項4および5のいずれか一項に記載の駆動軸(10)。
【請求項7】
前記分離クラッチ(26)を開くと、前記変速クラッチ(48)の入力側(24)および出力側(28)の回転速度を等しくする同期機構が設けられることを特徴とする、請求項6に記載の駆動軸(10)。
【請求項8】
前記オイルポンプ(40)は、前記ギアボックス(16)のオイルサンプ(36)から導入する入口を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動軸(10)。
【請求項9】
前記オイルポンプ(40)は、前記差動装置(18)に割り当てられた前記ギアボックス(16)内のオイル出口(46)に接続された出口を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動軸(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動軸(10)用のモジュールであって、前記モジュールは、ギアボックス(16)と、オイルポンプ(40)であって、前記ギアボックス(16)が駆動力を伝達しないときにのみ送達能力を有するように前記ギアボックス(16)に結合されたオイルポンプ(40)とを有する、モジュール。
【請求項11】
前記モジュールは、分離クラッチ(26)と、2つの駆動シャフト(22、30)とを備え、変速クラッチ(48)が設けられ、それによって前記オイルポンプ(40)は前記駆動シャフト(30)の一方に結合することができることを特徴とする、請求項11に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の電気駆動軸であって、電気モータと、ギアボックスと、2つの出力シャフトを有する差動装置と、分離クラッチであって、入力側が差動装置の出力シャフトの一方に結合され、出力側が駆動軸の2つの駆動シャフトの一方に割り当てられる分離クラッチとを有する、電気駆動軸に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような駆動軸は、例えば、ハイブリッド車両が必要に応じて電気エネルギーで車両を駆動するために使用することができる。これは、例えば、範囲を拡大することが可能である。駆動軸が四輪駆動車両に使用され、それによって要求に応じて係合されることも考えられる。
【0003】
駆動軸が駆動力を提供するためのものである場合、分離クラッチが閉じられ、それにより分離クラッチの入力側が差動装置の出力シャフトに結合され、差動装置に加えられる駆動トルクが分離クラッチの出力側に伝達され、そこから対応する車輪の駆動シャフトに伝達される。駆動力が必要とされないとき、分離クラッチは開かれ、それにより駆動軸輪のうちの1つの駆動シャフトが差動装置の割り当てられた出力シャフトから結合解除される。車両がこの状態で走行している場合、差動装置の出力シャフトは、分離クラッチが設けられていない駆動シャフトによって直接同調(entrain)される。しかしながら、電気モータおよびギアボックスは一定の引き摺りトルクを発生するため、差動装置のケージは、差動装置の反対側の出力シャフトが駆動されるように減速または停止される。しかしながら、これは、この側の出力シャフトが開かれた分離クラッチにより完全に自由に回転することができるため、問題なく可能である。
【0004】
分離クラッチを有するこのような駆動軸の利点は、電気モータが必要とされないとき、前記駆動軸が極めて低い引き摺りトルク、すなわち差動装置における摩擦の実質的な損失を有することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分離クラッチが開いている動作状態では、ギアボックスが駆動されず、したがってギアボックス内に通常存在するオイルポンプも駆動されないため、差動装置にはもはや十分なオイルが供給されないことが実証されている。
【0006】
本発明の目的は、分離クラッチを開いた状態で電気駆動軸が動作されるときに差動装置への損傷が防止されるように電気駆動軸を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題を解決するために、本発明によれば、冒頭で述べたタイプの電気駆動軸において、変速クラッチによって2つの駆動シャフトの一方に結合された機械式オイルポンプが設けられる。本発明は、駆動シャフトのうちの1つからその駆動力を受け取る、すなわち駆動軸の車輪のうちの1つによって受動的に駆動される追加のオイルポンプを提供するという基本概念に基づいている。分離クラッチが開いている状態で電気駆動軸が受動的に動作されるとすぐに、すなわち電気モータにエネルギーが供給されることなく車輪が回転するとすぐに、分離クラッチが開いている場合であってもオイルポンプを動作させるのに必要な駆動エネルギーを駆動シャフトから引き出すことができる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、オイルポンプが、差動装置に直接結合された駆動シャフトに割り当てられることが実現される。このとき、オイルポンプは、常に一緒に、すなわち分離クラッチの状態とは無関係に作動することができ、または追加のクラッチを設けることができ、それによってオイルポンプは要求に応じて駆動シャフトに結合される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、オイルポンプが、分離クラッチによって差動装置に結合された駆動シャフトに割り当てられることが実現される。これにより、分離クラッチの状態に応じて、少ない手間でオイルポンプを動作させることが可能になる。
【0010】
特に、オイルポンプが分離クラッチに割り当てられることが実現され得る。オイルポンプは、共通のモジュールを形成するように分離クラッチに接続することができ、または変速クラッチを分離クラッチに完全に一体化することもでき、その結果、組み立てに関する複雑さが低減される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、変速クラッチが、分離クラッチが開位置にあるときにオイルポンプが駆動シャフトに結合され、逆もまた同様であるように、分離クラッチに結合されることが実現される。これは、分離クラッチが開かれたとき、すなわちギアボックスがもはや駆動輪によって同伴されなくなったとき、オイルポンプを自動的に動作させる。これは、駆動軸が受動的に動作されるときにオイルを差動装置に自動的に供給し、望ましくない摩耗を防止する。
【0012】
分離クラッチを開くと、変速クラッチの入力側および出力側の回転速度を等しくする同期機構が設けられてもよい。これにより、分離クラッチが開かれたときにオイルポンプがスムーズに始動するようになるという結果が達成される。
【0013】
オイルポンプは、その入口によって、好ましくは、オイルポンプがギアボックスのオイルリザーバに依存する(resort)ことができるようにギアボックスのオイルサンプから直接導入(induct)する。
【0014】
オイルポンプは、好ましくは、差動装置に関連するギアボックス内のオイル出口に接続された出口を有する。分離クラッチが開いているときには差動装置のみがギアボックス内で回転するため、これは差動装置のみを潤滑するのにも十分である。したがって、オイルポンプは、非常に低いスループットしか提供する必要がない。
【0015】
上述の目的を達成するために、このような駆動軸用のモジュールも提供され、モジュールは、ギアボックスと、オイルポンプであって、ギアボックスが駆動力を伝達しないときにのみ前記オイルポンプが送達能力を有するようにギアボックスに結合されたオイルポンプとを有する。結果として得られる利点に関して、上記の説明を参照する。
【0016】
好ましくは、モジュールは、分離クラッチと、2つの駆動シャフトとを有し、変速クラッチが設けられ、それによってオイルポンプは駆動シャフトの一方に結合することができる。
【0017】
本発明は、添付の図面に示される一実施形態によって以下に説明される。図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の動作状態にある本発明による駆動軸を示す図である。
図2】第2の動作状態にある図1の駆動軸を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、それによって車両(ここでは図示せず)の2つの概略的に示された車輪12を駆動することができる電気駆動軸10が示されている。
【0020】
駆動軸10は、ギアボックス16によって電気駆動エネルギーをギアボックス16に一体化された差動装置18に伝達する電気モータ14を有する。差動装置18は、2つの出力シャフト20を有し、そのうちの一方(右側)は、対応する車輪12に通じる駆動シャフト22に直接移行する。
【0021】
反対側に配置された出力シャフト20は、分離クラッチ26の入力側24に通じている。分離クラッチ26の出力側28は、第2の車輪12に通じる第2の駆動シャフト30に接続される。
【0022】
ギアボックス16内には、ギアボックスシャフト34に接続され、したがって電気モータ14が動作されると動作されるオイルポンプ32が設けられる。次に、オイルポンプ32は、オイルをオイルサンプ36からオイル供給ライン38に圧送し、オイル供給ライン38は、ギアボックス内および差動装置の近くの所望の潤滑点に通じている。
【0023】
分離クラッチ26の内側には、さらなるオイルポンプ40が配置される。後者は動作されると、オイルサンプ36からライン42を介してその入口を通じてオイルを引き出す。その出口に提供されたオイルは、供給ライン44によってギアボックス16内のオイル出口46(例えば、スプレーノズル)に導かれ、オイル出口は、差動装置18に特別に割り当てられている。分離クラッチ26内に配置されたオイルポンプ40は、変速クラッチ48によって差動装置18の駆動シャフト30または出力側20のいずれかに接続することができる。図示の例示的な実施形態では、オイルポンプ40は、分離クラッチ26の出力側28に接続することができる。
【0024】
図1に示す状態では、分離クラッチ26は閉じられている。この状態では、変速クラッチ48は開いている。
【0025】
電気モータ14は、(矢印Eによって表される)ギアボックス16を駆動する。駆動トルクは、ギアボックスおよび差動装置によって2つの駆動シャフト22、30に分配され、ギアボックス内のオイルポンプ32は、ギアボックスシャフト34によって直接駆動される。したがって、ギアボックス内のすべての構成要素は、オイルポンプ32によって潤滑される。
【0026】
図2では、図1の駆動軸は、分離クラッチ26が開いている状態で示されている。同時に、電気モータ14はオフになっている。それにもかかわらず、例えば、第2の駆動軸に割り当てられた内燃機関によって車両が移動される場合、回転運動が駆動シャフト22によって差動装置18に持ち込まれる。しかしながら、差動装置のケージはギアボックス16によって電気モータ14に結合されているため、ケージは共回転しない。したがって、駆動シャフト22の回転は、差動装置18の出力側20および分離クラッチ26の入力側24の回転のみにつながる。
【0027】
しかしながら、分離クラッチ26がその開状態にあるとき、オイルポンプ40は、変速クラッチ48によって分離クラッチ26の出力側28に結合される。したがって、オイルポンプ40は、分離クラッチ26の出力側28に結合された駆動シャフト30の回転運動(車両が移動しており、したがって車輪12が回転していると仮定)によって駆動される。これは、差動装置18にのみオイルを供給するオイル流を生成する。オイル出口46は、図2の矢印によって示されるように、圧送されたオイルを差動装置に直接噴霧する。
【0028】
変速クラッチ48は、様々な方法で具現化することができる。例えば、これは分離クラッチが開くときに閉じられる機械式クラッチであってもよく、すなわち、例えば、クラッチプレートの形態の出力側28が左に変位する。また、変速クラッチ48は、分離クラッチ26が開かれたときにアクチュエータによって閉じられる別々のクラッチであることも可能である。
【0029】
また、手動ギアボックス用の同期装置と同様の同期装置を変速クラッチ48に一体化することもでき、それにより分離クラッチ26が開かれたときにオイルポンプ40をスムーズに始動させることを確実にする。
図1
図2
【外国語明細書】