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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085415
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】コネクタセーバーおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20240619BHJP
【FI】
B25J15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210864
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】63/432,590
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508365953
【氏名又は名称】マクドナルド デットワイラー アンド アソシエイツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ニック スティナ
(72)【発明者】
【氏名】マックス グライデン
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707GS04
(57)【要約】
【解決手段】コネクタセーバーおよび関連する方法が提供される。コネクタセーバーは、第1および第2の開口を含む本体と、本体の表面上に配置されて電流を伝送するための第1のコネクタと、コネクタセーバーを固定し、コネクタセーバーを取り外すための第1および第2のジャッキングファスナとを含む。第1のジャッキングファスナは第1の開口に配置するためのものであり、第2のジャッキングファスナは第2の開口に配置するためのものである。第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、それぞれのジャッキングファスナが本体から分離できないように構成された、それぞれのジャッキングファスナのシャフトに結合された保持要素を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械インターフェース用のコネクタセーバーであって、
第1および第2の開口を備える本体と、
前記本体の表面に配置され、電流を伝送するための第1のコネクタと、
前記コネクタセーバーをターゲットコネクタに固定し、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタから取り外すための第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナであって、前記第1のジャッキングファスナは前記第1の開口に配置され、前記第2のジャッキングファスナは前記第2の開口に配置され、前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、それぞれのジャッキングファスナのシャフトに結合された保持要素をさらに備え、前記保持要素は、(i)前記ジャッキングファスナがそれぞれの開口内に配置されたときに前記それぞれのジャッキングファスナが前記本体から分離されることを前記保持要素が阻止し、(ii)前記それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに前記保持要素が前記本体にジャッキ力を加え、それにより前記本体を前記ターゲットコネクタから離れるように付勢して前記コネクタセーバーの取り外しを促進するように構成される、第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナと、を備える、
コネクタセーバー。
【請求項2】
前記本体の表面に配置された冗長コネクタをさらに備え、前記第1のコネクタおよび前記冗長コネクタはそれぞれ2つのコネクタを備える、
請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項3】
前記本体に結合されたテザリングポイントをさらに備え、前記テザリングポイントは前記コネクタセーバーを外部の取り付けポイントに固定するためのものである、
請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項4】
前記ターゲットコネクタに嵌合する際に前記コネクタセーバーを位置合わせするための位置合わせポートをさらに備え、前記位置合わせポートは前記ターゲットコネクタの対応する位置合わせ機構と嵌合するように構成されている、
請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項5】
前記第1および第2のジャッキングファスナはキャプティブファスナである、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項6】
前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、ボルトまたはネジである、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項7】
前記コネクタセーバーの前記本体は、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタに固定されたとき、前記ターゲットコネクタの本体に適合し、かつ前記ターゲットコネクタの本体を覆う形状である、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項8】
前記位置合わせポートは、テーパ形状または円錐形状を有する凹部を備え、前記位置合わせ機構は、テーパ状または円錐状の先端を有する位置合わせピンである、請求項4に記載のコネクタセーバー。
【請求項9】
前記ターゲットコネクタに嵌合する間に前記コネクタセーバーを位置合わせするための第1および第2の位置合わせポートをさらに備え、前記第1および第2の位置合わせポートは、前記ターゲットコネクタ上のそれぞれの第1および第2の位置合わせ機構と嵌合するように構成され、前記第1および第2の位置合わせポートは、互いにオフセットしている、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項10】
前記オフセットは、前記第1および第2の位置合わせポートを前記本体の外周に沿って概ね互いに対向させることを含む、請求項9に記載のコネクタセーバー。
【請求項11】
前記第1の開口、前記第2の開口、および前記位置合わせポートは、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタに固定されたときに、前記第1のジャッキングファスナ、前記第2のジャッキングファスナ、および前記位置合わせ機構が互いに実質的に平行になるように配置される、請求項4に記載のコネクタセーバー。
【請求項12】
前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、前記ターゲットコネクタ上のねじ受けによって受け入れられるねじ部を含む、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項13】
前記保持要素は、前記それぞれのジャッキングファスナの本体から突出した環状または円板状の要素である、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項14】
嵌合時に前記ターゲットコネクタとの位置合わせを促進する、前記コネクタセーバーの前記本体内の少なくとも2つの溝または窪みをさらに含む、請求項1に記載のコネクタセーバー。
【請求項15】
前記少なくとも2つの溝または窪みは、互いにオフセットされた第1の溝または窪みと、第2の溝または窪みとを含む、請求項14に記載のコネクタセーバー。
【請求項16】
電気コネクタを保護する方法であって、
コネクタセーバーをターゲットコネクタと位置合わせするステップであって、前記ターゲットコネクタは第1のターゲットコネクタを含み、前記コネクタセーバーは、
第1および第2の開口を備える本体と、
前記本体の表面に配置され、電流を伝送するための第1のコネクタと、
前記コネクタセーバーをターゲットコネクタに固定し、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタから取り外すための第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナであって、前記第1のジャッキングファスナは前記第1の開口に配置され、前記第2のジャッキングファスナは前記第2の開口に配置され、前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、それぞれのジャッキングファスナのシャフトに結合された保持要素をさらに備え、前記保持要素は、(i)前記ジャッキングファスナがそれぞれの開口内に配置されたときに前記それぞれのジャッキングファスナが前記本体から分離されることを前記保持要素が阻止し、(ii)前記それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに前記保持要素が前記本体にジャッキngu力を加え、それにより前記本体を前記ターゲットコネクタから離れるように付勢して前記コネクタセーバーの取り外しを促進するように構成される、第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナと、を備える、ステップと、
前記コネクタセーバーの前記第1のコネクタを前記ターゲットコネクタの前記第1のターゲットコネクタに結合するステップと、
前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタに固定するために、前記第1および第2のジャッキングファスナを締め付けるステップと、
前記第1および第2のジャッキングファスナを緩めて、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタから離れるように付勢するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記位置合わせするステップは、前記ターゲットコネクタの位置合わせ機構を前記コネクタセーバーのそれぞれの相補的な位置合わせポートと位置合わせするステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合するステップは、前記ターゲットコネクタの位置合わせ機構を前記コネクタセーバーのそれぞれの相補的な位置合わせポートに嵌合するステップであって、嵌合されると、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタと位置合わせされるように付勢される、ステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
電気機械インターフェース用コネクタを製造する方法であって、コネクタセーバーはターゲットコネクタに結合するように構成され、
第1のファスナを前記コネクタセーバーの本体の第1の開口に挿入し、第2のファスナを前記本体の第2の開口に挿入するステップと、
前記第1および第2のファスナが前記第1および第2の開口に挿入されたときに、第1の保持要素を前記第1のファスナのシャフトに結合させ、第2の保持要素を前記第2のファスナのシャフトに結合させるステップであって、第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナを形成し、前記第1および第2の保持要素は、前記本体と機械的に干渉することによって、それぞれのジャッキングファスナがそれぞれの開口から取り外されるのを防止する、ステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタに結合され、前記ジャッキングファスナがトルクで締められたとき、前記保持要素が、それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに前記本体にジャッキ力を加え、それにより前記本体を前記ターゲットコネクタから離れるように付勢して前記コネクタセーバーの取り外しを促進するように構成されている、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、一般にコネクタセーバーに関し、より詳細には、宇宙環境で使用するように構成されたコネクタセーバーのシステム、方法、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタ部品(本明細書では「コネクタ」ともいう)は、部品間の電力またはデータ伝送のために電気接点が必要とされる多くのシステムで一般的に使用されている。宇宙ロボット、ペイロード、およびツールインターフェースの電気コネクタは、使用中の操作、環境暴露、および予期しない事象による偶発的な損傷によって劣化する可能性がある。
【0003】
コネクタは、一定の接続サイクル数に対してのみ定格化される場合がある。例えば、コネクタの機械的または電気的性能が低下するような機械的または電気的劣化が生じるまでに、コネクタは100回しか嵌合および嵌合解除できない場合がある。コネクタが、研磨粉塵や極端な温度を含む環境などの過酷な環境にさらされる場合、定格接続サイクル数はより少なくなる可能性がある。
【0004】
一般に、宇宙用途のコネクタはハーネスケーブルに一体的に固定されており、軌道上の宇宙構造物内ではアクセスできない場合がある。このような場合、劣化した部品にアクセスするために、ファスナや保持具を取り外さなければならないが、これには高度な方法が要求され、その結果、実行不可能または非実用的であると判断されることがある。
【0005】
さらに、このようなコネクタは、高価で、複雑で、または保守が困難な機器に組み込まれている場合があり、保守不可能と見なされる場合がある。保守不可能なコネクタが直接服するサイクル数を減らすために、交換可能なコネクタセーバーが適用される場合がある。しかし、このようなコネクタセーバーは、宇宙空間のような埃の多い環境や過酷な環境での使用には適していない。さらに、ロボット、ペイロード、およびツールに電気コネクタを利用した歴史的な宇宙探査は、短いライフサイクル要件、それほど過酷でない環境条件、またはその他の理由のいずれかにより、コネクタセーバーの恩恵を受けにくかった。
【0006】
したがって、既存のコネクタセーバーの欠点の少なくともいくつかを克服する改良されたコネクタセーバー、および、宇宙用途での使用に十分に適合し得るコネクタセーバーが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
電気機械インターフェース用のコネクタセーバー装置が提供される。前記コネクタセーバー装置は、第1および第2の開口を備える本体と、前記本体の表面上に配置され電流を伝送するための第1のコネクタと、前記コネクタセーバーをターゲットコネクタに固定し、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタから取り外すための第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナであって、前記第1のジャッキングファスナは前記第1の開口に配置され、前記第2のジャッキングファスナは前記第2の開口に配置され、前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、それぞれのジャッキングファスナのシャフトに結合された保持要素をさらに備え、前記保持要素は、(i)前記ジャッキングファスナがそれぞれの開口内に配置されたときに前記それぞれのジャッキングファスナが前記本体から分離されることを前記保持要素が阻止し、(ii)前記それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに前記保持要素が前記本体にジャッキ力を加え、それにより前記本体を前記ターゲットコネクタから離れるように付勢して前記コネクタセーバーの取り外しを促進するように構成される、第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナと、を備える。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、コネクタセーバーは、前記本体の表面に配置された冗長コネクタをさらに備え、前記第1のコネクタおよび前記冗長コネクタはそれぞれ2つのコネクタを備える。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、コネクタセーバーは、前記本体に結合されたテザリングポイントをさらに備え、前記テザリングポイントは前記コネクタセーバーを外部の取り付けポイントに固定するためのものである。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、コネクタセーバーは、前記ターゲットコネクタに嵌合する際に前記コネクタセーバーを位置合わせするための位置合わせポートをさらに備え、前記位置合わせポートは前記ターゲットコネクタの対応する位置合わせ機構と嵌合するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記第1および第2のジャッキングファスナはキャプティブファスナである。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、ボルトまたはネジである。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記コネクタセーバーの前記本体は、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタに固定されたとき、前記ターゲットコネクタの本体に適合し、かつ前記ターゲットコネクタの本体を覆う形状である。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記位置合わせポートは、テーパ形状または円錐形状を有する凹部を備え、前記位置合わせ機構は、テーパ状または円錐状の先端を有する位置合わせピンである。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記ターゲットコネクタに嵌合する間に前記コネクタセーバーを位置合わせするための第1および第2の位置合わせポートをさらに備え、前記第1および第2の位置合わせポートは、前記ターゲットコネクタ上のそれぞれの第1および第2の位置合わせ機構と嵌合するように構成され、前記第1および第2の位置合わせポートは、互いにオフセットしている。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記オフセットは、前記第1および第2の位置合わせポートを前記本体の外周に沿って概ね互いに対向させることを含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記第1の開口、前記第2の開口、および前記位置合わせポートは、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタに固定されたときに、前記第1のジャッキングファスナ、前記第2のジャッキングファスナ、および前記位置合わせ機構が互いに実質的に平行になるように配置される。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、前記ターゲットコネクタ上のねじ受けによって受け入れられるねじ部を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記保持要素は、前記それぞれのジャッキングファスナの本体から突出した環状または円板状の要素である。
【0020】
いくつかの実施形態では、嵌合時に前記ターゲットコネクタとの位置合わせを促進する、前記コネクタセーバーの前記本体内の少なくとも2つの溝または窪みをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも2つの溝または窪みは、互いにオフセットされた第1の溝または窪みと、第2の溝または窪みとを含む。
【0022】
コネクタセーバーを操作する方法もまた提供される。この方法は、ターゲットコネクタおよびコネクタセーバーを提供するステップを含む。コネクタセーバーは、第1および第2の開口を含む本体と、本体の表面上に配置され、電流を伝送するための第1のコネクタと、コネクタセーバーをターゲットコネクタに固定し、コネクタセーバーをターゲットコネクタから取り外すための第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナとを含む。第1のジャッキングファスナは第1の開口に配置するためのものであり、第2のジャッキングファスナは第2の開口に配置するためのものである。第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、それぞれのジャッキングファスナのシャフトに結合された保持要素をさらに含む。保持要素は、(i)ジャッキングファスナがそれぞれの開口部内に配置されたときに、それぞれのジャッキングファスナが本体から分離されるの保持要素が阻止し、(ii)それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに保持要素が本体にジャッキ力を加え、それにより本体をターゲットコネクタから離れるように付勢してコネクタセーバーの取り外しを促進するように構成される。コネクタセーバーはターゲットコネクタに結合され、ジャッキングファスナはトルクを与えられる位置にある。この方法はさらに、ジャッキングファスナを緩めてコネクタセーバーをターゲットコネクタから離れるように付勢し、コネクタセーバーをターゲットコネクタから切り離すステップを含む。
【0023】
電気コネクタを保護する方法もまた提供される。この方法は、コネクタセーバーをターゲットコネクタに位置合わせするステップを含む。ターゲットコネクタは、第1のターゲットコネクタを含む。セーバーは、第1および第2の開口を備える本体と、前記本体の表面に配置され、電流を伝送するための第1のコネクタと、前記コネクタセーバーをターゲットコネクタに固定し、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタから取り外すための第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナとを含む。前記第1のジャッキングファスナは前記第1の開口に配置され、前記第2のジャッキングファスナは前記第2の開口に配置される。前記第1および第2のジャッキングファスナのそれぞれは、それぞれのジャッキングファスナのシャフトに結合された保持要素をさらに備え、前記保持要素は、(i)前記ジャッキングファスナがそれぞれの開口内に配置されたときに前記それぞれのジャッキングファスナが前記本体から分離されることを前記保持要素が阻止し、(ii)前記それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに前記保持要素が前記本体にジャッキ力を加え、それにより前記本体を前記ターゲットコネクタから離れるように付勢して前記コネクタセーバーの取り外しを促進するように構成される。この方法は、前記コネクタセーバーの前記第1のコネクタを前記ターゲットコネクタの前記第1のターゲットコネクタに結合するステップと、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタに固定するために、前記第1および第2のジャッキングファスナを締め付けるステップと、前記第1および第2のジャッキングファスナを緩めて、前記コネクタセーバーを前記ターゲットコネクタから離れるように付勢するステップと、をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、前記位置合わせするステップは、前記ターゲットコネクタの位置合わせ機構を前記コネクタセーバーのそれぞれの相補的な位置合わせポートと位置合わせするステップを含む。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、前記結合するステップは、前記ターゲットコネクタの位置合わせ機構を前記コネクタセーバーのそれぞれの相補的な位置合わせポートに嵌合するステップであって、嵌合されると、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタと位置合わせされるように付勢される、ステップを含む。
【0026】
電気機械インターフェース用のコネクタセーバーを製造する方法もまた提供され、このコネクタセーバーは、ターゲットコネクタに結合するように構成される。この方法は、第1のファスナを前記コネクタセーバーの本体の第1の開口に挿入し、第2のファスナを前記本体の第2の開口に挿入するステップを含む。この方法は、前記第1および第2のファスナが前記第1および第2の開口に挿入されたときに、第1の保持要素を前記第1のファスナのシャフトに結合させ、第2の保持要素を前記第2のファスナのシャフトに結合させるステップであって、第1のジャッキングファスナおよび第2のジャッキングファスナを形成し、前記第1および第2の保持要素は、前記本体と機械的に干渉することによって、それぞれのジャッキングファスナがそれぞれの開口から取り外されるのを防止する、ステップをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、前記コネクタセーバーが前記ターゲットコネクタに結合され、前記ジャッキングファスナがトルクで締められたとき、前記保持要素が、それぞれのジャッキングファスナが緩められたときに前記本体にジャッキ力を加え、それにより前記本体を前記ターゲットコネクタから離れるように付勢して前記コネクタセーバーの取り外しを促進するように構成されている。
【0028】
他の態様および特徴は、いくつかの例示的な実施形態の以下の説明を検討すれば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
ここに含まれる図面は、本明細書の物品、方法、および装置の様々な例を説明するためのものである。
【0030】
図1】一実施形態に係るコネクタセーバーの正面斜視図である。
【0031】
図2】一実施形態に係る、図1のコネクタセーバーの側面図である。
【0032】
図3】一実施形態に係る、図1図2のコネクタセーバーの背面斜視図である。
【0033】
図4】一実施形態に係る、図1図3のコネクタセーバーと共に使用するためのターゲットコネクタの正面斜視図である。
【0034】
図5】一実施形態に係る、図1図3のコネクタセーバーの本体を分離した状態の底面斜視図である。
【0035】
図6】一実施形態に係る、図1図3のコネクタセーバーと共に使用するためのジャッキングファスナの正面図である。
【0036】
図7】一実施形態に係る、図4のターゲットに結合された、図1図3のコネクタセーバーの斜視断面図である。
【0037】
図8】一実施形態に係る、ジャッキングファスナが部分的に緩められた状態で図4のターゲットに結合された、図1図3のコネクタセーバーの斜視断面図である。
【0038】
図9】一実施形態に係る、コネクタが非嵌合の状態で、図4のターゲットから部分的に結合されていない、図1図3のコネクタセーバーの斜視断面図である。
【0039】
図10】一実施形態に係る、ジャッキングファスナが完全に非嵌合の状態で、図4のターゲットから完全に結合されていない、図1図3のコネクタセーバーの斜視断面図である。
【0040】
図11】一実施形態に係る、図1図3のコネクタセーバーを操作する方法のフローチャートである。
【0041】
図12】一実施形態に係る、コネクタを保護する方法のフローチャートである。
【0042】
図13】一実施形態に係る、図1図3のコネクタセーバーの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、各請求項の実施形態を例示するために、様々な装置またはプロセスを説明する。以下で説明する実施形態は、請求項に係る実施形態を限定するものではなく、請求項に係る実施形態は、以下で説明するものとは異なるプロセスまたは装置をカバーすることができる。請求項に係る実施形態は、以下で説明する任意の1つの装置またはプロセスのすべての特徴を有する装置またはプロセスには限定されず、以下で説明する複数またはすべての装置に共通する特徴にも限定されることはない。
【0044】
さらに、プロセスステップ、方法ステップ、アルゴリズムなどは、(本開示および/または特許請求の範囲において)連続した順序で記述されることがあるが、そのようなプロセス、方法およびアルゴリズムは、代替の順序で動作するように構成され得る。換言すれば、記述され得るステップの任意のシーケンスまたは順序は、ステップがその順序で実行されることを必ずしも要求するものではない。本明細書に記載されるプロセスのステップは、実用的な任意の順序で実行され得る。さらに、いくつかのステップは、同時に実行されてもよい。
【0045】
単一の装置または物品が本明細書に記載される場合、複数の装置または物品(それらが協働するか否かに関わらず)が単一の装置/物品の代わりに使用され得ることは、容易に明らかであろう。同様に、複数の装置または物品が本明細書に記載されている場合(それらが協働するか否かに関わらず)、単一の装置/物品が複数の装置または物品の代わりに使用され得ることは、容易に明らかであろう。
【0046】
以下は、一般に、電気機械インターフェースに関し、より詳細には、コネクタセーバー装置および関連する方法に関する。コネクタセーバー装置は、船外活動を伴う軌道上サービスや船外ロボット操作のような、宇宙ベースの用途や微小重力環境での使用に特に適していてもよい。
【0047】
本明細書で説明するコネクタセーバー装置は、一端にメスコネクタを有し、他端にオスコネクタを有する装置を備える。コネクタセーバー装置は、装置またシステムに常設されたコネクタに結合するように構成され、常設コネクタがさらされるコネクタ結合サイクルの回数を減少させる。コネクタセーバーは、常設コネクタに取り付けることができ、常設コネクタの代わりにコネクタセーバーを用いて繰り返し接続が行われ得る。コネクタセーバーがコネクタセーバーの劣化をもたらす一定回数の接続サイクルにさらされたら、コネクタセーバーは交換されてもよい。
【0048】
例えば、コネクタセーバーは、常設コネクタに結合され、その後、1000サイクルにさらされ、交換される。このような例では、常設コネクタは1回の接続サイクルしかさらされていない。したがって、この例では、コネクタセーバーを使用することで、常設コネクタの寿命を1000倍に延ばすことができる。他の例では、コネクタの定格サイクル数が異なる場合があり、したがって、コネクタセーバーに関連する寿命の向上は、それに応じて異なり得る。
【0049】
本開示のコネクタセーバーは、コネクタセーバーの宇宙用途への適合性を改善するための追加の特徴をさらに備える。コネクタセーバーは、キャプティブファスナ(例えば、ネジまたはボルト)を使用して常設コネクタに取り付けるように構成される。キャプティブファスナは、NASAまたは他のEVA標準(例えば、ESA ECSSデブリ標準)に適合してもよい。キャプティブファスナは、締結機能(コネクタセーバーをコネクタに締結するための機能)と、いくつかの実施形態では、コネクタセーバーの取り出し時にコネクタセーバーを常設コネクタから離れるように付勢する(jack)ためのジャッキング機能との両方を提供し、それによりコネクタセーバーの取り外し容易性を向上させる。キャプティブファスナのジャッキング機能は、保持要素またはキャプティブファスナ上に配置された要素によって提供され得る。コネクタセーバーのこのような特徴は、組立におけるタッチポイントの数およびタッチ時間を減少させ、サービス時間およびコストを改善する。一体型ジャッキング機能(例えば、ジャッキングファスナを介する)を含む本開示のコネクタセーバーの実施形態において、能動(例えば、ロボット)システムの取り外し機能は、顕著に簡略化され得る。いくつかの実施形態では、コネクタセーバー装置のジャッキング機能は存在しなくてもよく、取り外しおよび交換を実行するシステムに引き継がれてもよい。
【0050】
コネクタセーバーは、冗長コネクタ対を含み、埃の多い環境における信頼性を向上させる。コネクタセーバーは、微小重力環境での使用に要求されるテザリングポイントをさらに含んでもよい。
【0051】
本開示のコネクタセーバーは、使い捨て/交換可能である。コネクタセーバーがダスト(例えば、月のダスト)などによって汚染された場合、または交換が予定された場合、コネクタセーバーは取り外され、交換されてもよい。交換された部品は、廃棄されてもよいし、将来の使用のために再生されてもよい。そのため、コネクタセーバーは使用により(例えば、ダストにより)汚染され得るが、コネクタセーバーは「親」コネクタの汚染に対するバリアを提供する。
【0052】
本開示のコネクタセーバーは、取り外しと交換に限定された操作を必要とするモジュール型アセンブリとしてのコネクタの交換を可能にする。
【0053】
本開示のコネクタセーバーは、船外活動および船外ロボット作業において、限られた人間およびロボットの利用可能性を活用して宇宙整備を行うことを可能にする。
【0054】
いくつかの例では、常設コネクタは、ターゲットコネクタと呼ばれることがある。
【0055】
交換可能なコネクタセーバーが本明細書に開示され、このコネクタセーバーにより、軌道を周回する宇宙環境において、その取り外しと交換とを個別に行うことができる。
【0056】
本明細書で説明するコネクタセーバは、適切に機能するコネクタに依存する宇宙作業およびロボットの救済を可能にする。劣化が発生した場合、コネクタセーバーモジュールは、多数のコンポーネントを分解する必要なく交換することができ、それによりサービス停止期間を短縮することができる。
【0057】
本明細書で説明するコネクタセーバーは、船外活動および船外ロボット操作を伴う軌道上サービスの使用を可能にする。
【0058】
ここで図1から図3を参照すると、そこに示されているのは、一実施形態に係るダスト耐性コネクタセーバー装置100の正面斜視図、側面図、および背面斜視図である。
【0059】
装置100は、本体102と、一次コネクタ104aおよび104bと、二次コネクタ106aおよび106bと、第1および第2の開口108aおよび108bと、第1および第2のジャッキングファスナ110aおよび110bと、第1および第2の位置合わせポート122aおよび122bとを備える。第1および第2の開口108aおよび108bは、開口108と総称される場合がある。
【0060】
本体102は、装置100の全体的な機械的ハウジングを構成する。図1の実施形態では、本体102は、直径約4インチ、厚さ約1インチの概ね円筒形状を有する。本体102は、機械加工されたアルミニウム金属から構成される。他の実施形態では、本体102は、他の形状およびサイズを有してもよく、任意の他の適切な材料から構成されてもよい。
【0061】
本体102は、外部表面112と内部表面114とに分類できる。作業時において、装置100はコネクタの受け入れのために外部表面112を露出させ、内部表面114はターゲットコネクタに接続されたままとなる。
【0062】
コネクタセーバー装置100は、親コネクタを汚染から保護するために、親コネクタに十分に適合するように構成される。このようにして、コネクタセーバー装置100は、保護されたコネクタインターフェースに衝突するレゴリスによる弾道汚染または表面透過汚染からのバリアを提供する。
【0063】
本体102の背面の溝または窪み126は、位置合わせピン222a、222bがない場合の位置合わせ機構として機能し、正の位置合わせ機構として補助することができる。いくつかの実施形態では、溝/窪みは存在しなくてもよい。
【0064】
いくつかの例では、装置100は、テザーポイント(図示せず)をさらに備える。テザーポイントは、本体102に結合されてもよいし、本体102と一体化されてもよい。テザーポイントは、ハードウェアの取り付けポイントを提供し、操作者が装置100をテザーで固定することを可能にし、装置100が誤配置されたり位置が変わったりしないようにする。テザーポイントの存在は、微小重力条件によって使用中に装置100をテザーで繋ぐことが必要とされ得る宇宙用途において特に有利であり得る。テザーポイントは、カラビナまたは他の同様の装置への接続を可能にする、固体ループまたは本体102内の開口を備えてもよい。
【0065】
装置100は、一次コネクタ104a、104bおよび二次コネクタ106a、106bを含む。一次コネクタ104a、104bおよび二次コネクタ106a、106bは、一次コネクタ104および二次コネクタ106と総称され、概して一次コネクタ104および二次コネクタ106と呼ばれる。一次コネクタ104a、104bおよび二次コネクタ106a、106bは、本体102に結合されている。図1から図3の実施形態では、一次コネクタ104a、104bおよび二次コネクタ106a、106bのそれぞれは、2つの個別の電気コネクタである104a、104bおよび106a、106bを備える。一次コネクタ104および二次コネクタ106は、一次コネクタ104および二次コネクタ106のそれぞれの一方の側がオス型コネクタ(内面114側)を含み、他方の側がメス型コネクタ(外面112側)を含むように、パススルーコネクタ、またはコネクタエクステンダを備える。
【0066】
一次コネクタ104および二次コネクタ106は、電力またはデータを伝送するように構成された任意のコネクタタイプまたはフォーマットを備えていてよい。コネクタ104aおよび106aはデータを伝送するように構成され、コネクタ104bと106bは電力を伝送するように構成される。他の実施形態では、コネクタの用途と構成は異なっていてもよい。
【0067】
一次コネクタ104および二次コネクタ106は、一次コネクタ104および二次コネクタ106が同じ回路に結合されるように、冗長コネクタを備えていてもよい。このような冗長性は、船外宇宙作業など、コネクタの保守に高額または複雑なプロセスが要求され得る宇宙用途で特に有利となり得る。図1の装置100は、一次および二次コネクタ104、106を含むが、いくつかの実施形態では、当該装置は、1セットのコネクタのみ(例えば、一次コネクタ104a、104bのみ)を含んでもよい。
【0068】
変形例では、コネクタ104、106は、市販の既製品(COTS)または特注品であってもよい。いくつかの実施形態では、装置100は、(例えば、図4の)ターゲットコネクタ200およびコネクタセーバー100の位置合わせ不良による結合または損傷を回避するために、コネクタ104、106が(全体として)必要に応じて嵌合および移動することを可能にする追従機構を含んでもよい。位置合わせ不良は、寸法公差のばらつき、または、軌道上の宇宙環境における熱差動によって発生し得る。
【0069】
装置100は開口108を含む。開口108は、本体102上に存在し、本体102を貫通して外面112から内面114まで延びている。開口108は円形状であり、本体102内で一定の断面形状を有する。開口108は、ジャッキングファスナ110を受け入れるように構成されている。例えば、各開口108の直径は、ジャッキングファスナ110の最大外径よりも大きい。変形例では、開口108は、形状および/または位置が異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、図1に示されるように、開口108は、ファスナ110が装置100内に入り込めるように構成されてもよく、装置100がターゲットコネクタに嵌合されるとき、ファスナ110は本体102の表面を超えて突出しない。このような構成は、ファスナ110が、装置100に結合されるコネクタなどの外部構成要素と干渉または衝突する可能性を低減し得る。
【0070】
装置100は、ジャッキングファスナ110a、110b(ジャッキングファスナ110と総称し、概してジャッキングファスナ110と呼ぶ)をさらに含む。ジャッキングファスナ110は、ねじ部118およびファスナヘッド120を有する機械的ファスナを備える。ねじ部118は、ジャッキングファスナ110の先端からジャッキングファスナ110のシャフト内の凹部まで延びている。ジャッキングファスナ110の残りの部分は、平滑であってもよく、ねじ切りされていなくてもよい。ファスナヘッド120は、EVAツールおよび規格に適合するファスナヘッドであってもよい。図1の装置100は、2つのジャッキングファスナを含むが、他の実施形態では、本開示のコネクタセーバーは、2つ以上のジャッキングファスナを含んでもよい。
【0071】
ジャッキングファスナ110は、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、または他の材料など、任意の機械的に適切な材料から構成することができる。
【0072】
各ジャッキングファスナ110は、保持要素116をさらに含む。各保持要素116は、ジャッキングファスナ110が開口108に挿入された後に、ジャッキングファスナ110に結合される。そうすることで、保持要素116が本体102の開口108を取り囲む材料と機械的に干渉するため、保持要素116を取り外すことなく開口108からジャッキングファスナ110を取り外すことができない。保持要素116の存在により、ジャッキングファスナ110が装置100から分離できないことが保証される。これは、固定されていない物体が誤配置される危険性がある、宇宙空間または他の微小重力環境などの環境において特に有利であり得る。一実施形態では、図6に示すように、保持要素116は、ジャッキングファスナの本体から突出する環状または円板状の要素または部材であってもよい。環状、リング状、または円板状の当該要素は、ファスナヘッド120に面する側が平坦であってもよい。例えば、保持要素116は、上記ファスナの円筒形本体の周囲で突出する薄くて平坦な円板であってもよい。当該円板は、ファスナ本体とは別体であってもよく、当該円板を通してファスナ本体を受け入れるように構成されていてもよい。他の実施形態では、保持要素116は、リッジ、リップ、リム、フランジ、または、ファスナの本体から突出し(例えば、その時点で直径を大きくする)、かつ、装置100からのジャッキングファスナ110の分離を防止し、(本明細書に記載される)十分なジャッキング機能を提供するのに十分な構造を提供する他の任意の構造であってもよい。
【0073】
図1から図3の実施形態では、装置100は、冗長性のために2つのジャッキングファスナ110を含む。これは、コネクタの整備に船外宇宙作業のような高額または複雑な工程が要求され得る、宇宙ベースの用途のような特定の高リスクの用途において特に有利であり得る。他の例では、他の構造が冗長性を提供してもよく、より多くのまたはより少ないジャッキングファスナ110が適用され得る。
【0074】
装置100は、位置合わせポート122a、122b(位置合わせポート122と総称し、概して位置合わせポート122と呼ぶ)を含む。位置合わせポート122は、本体102内の凹部を備える。当該凹部は、テーパー形状または円錐形状を有してもよい。位置合わせポート122は、ターゲットコネクタの位置合わせ機構を受け入れるように構成され、装置100とターゲットコネクタとの嵌合を案内する。位置合わせポート122は、「間違い防止」のために、またコネクタ上の利用可能なスペースに基づいて、オフセットパターン(その一例を図1に示す)で配置されることがある。
【0075】
例えば、装置100はターゲットコネクタに近接させることができる。そうすることで、位置合わせポート122がターゲットコネクタの位置合わせ機構に接触する。装置100はターゲットコネクタにより近接させることができる。位置合わせポート122の円錐形状またはテーパー形状は、装置100とターゲットコネクタとが一体化されるときに、装置のコネクタ104、106がターゲットコネクタの対応するコネクタと嵌合する正しい位置となるように、装置100とターゲットコネクタとが位置合わせされるまたは所望の相対位置となるように付勢する。
【0076】
ここで図4を参照すると、そこに示されているのは、一実施形態に係るターゲットコネクタ200である。装置100は、特に、ターゲットコネクタ200と嵌合し、ターゲットコネクタ200に対するコネクタセーバーとして機能するように構成されている。コネクタ200は、一次コネクタ204a、204b、二次コネクタ206a、206b、ねじ開口210a、210b(開口210と総称され、概して開口210と呼ぶ)、および位置合わせピン222a、222b(位置合わせピン222と総称され、概して位置合わせピン222と呼ぶ)を含む。
【0077】
一次コネクタ204a、204bは、一次コネクタ104a、104bの雄型部分と嵌合するように構成された雌型コネクタを備える。
【0078】
二次コネクタ206a、206bは、二次コネクタ106a、106bの雄型部分と嵌合するように構成された雌型コネクタを備える。
【0079】
ねじ開口210は、ジャッキングファスナ110のねじ部118に適合するねじ付き内面を有する開口を備える。ねじ開口210は、装置100がターゲットコネクタ200に嵌合されたときに、ジャッキングファスナ110がねじ開口210に係合できるように配置される。
【0080】
位置合わせピン222は、コネクタ200から突出する機械的な位置合わせ機構を備え、(上述したように)装置100の位置合わせポート122と干渉するように構成される。位置合わせピン222は、位置合わせピン222と位置合わせポート122との位置合わせおよび/または嵌合の容易性を向上させるために、テーパ形状または円錐形状の先端を含んでもよい。いくつかの実施形態において、位置合わせピン222は、差動熱運動が位置合わせピン222に過度のひずみを誘発することなく本体100、200の移動を可能にし得るように、楕円形状であってもよい。
【0081】
ここで図5を参照すると、そこに示されているのは、図1から図3のコネクタセーバー100の本体102である。本体102は分離して描かれており、追加の構成要素は見えない。
【0082】
ここで図6を参照すると、そこに示されているのは、図1から図3のコネクタセーバー100のジャッキングファスナ110である。ジャッキングファスナ110は、分離して描かれており、保持要素116およびねじ部118が見える。
【0083】
作業時において、装置100は、操作者による装置100の手動配置によって、ターゲットコネクタ200などのターゲットコネクタに取り付けられてもよい。装置100は、操作者またはロボットシステムによってターゲットコネクタ200と大まかに位置合わせされてもよく、装置100は、ターゲットコネクタ200に向けてゆっくりと移動させられてもよい。ターゲットコネクタ200および装置100は、位置合わせピン222が位置合わせポート122に接触するときに最初に相互作用してもよく、ターゲットコネクタ200および装置100は、位置合わせピンおよび位置合わせポート122の相互作用を介して正しい相対位置に向けて付勢される。装置100は、コネクタ104および106がコネクタ204および206に嵌合するまで、ターゲットコネクタ200に向かってさらに移動させられてもよい。
【0084】
次に、装置100をターゲットコネクタ200に固定するために、ジャッキングファスナ110は締め付けられてもよい。ジャッキングファスナ110は、好ましくは、並行して締め付けられてもよく、この場合、一方のジャッキングファスナ110がある量(例えば、4分の1回転または半回転)締め付けられた後、他方のジャッキングファスナ110が同じ量(例えば、4分の1回転または半回転)締め付けられ、両方のジャッキングファスナ110に十分なトルクがかかるまでこの手順が繰り返される。この並行した締め付け操作により、位置合わせ不良から生じ得るコネクタの結合または他の接続の問題を有利に防止することができる。いくつかの実施形態では、ジャッキングファスナ110を完全に並行して締め付けるために、2つの工具が同時に操作されてもよい。
【0085】
ジャッキングファスナ110が締め付けられた後、装置100は完全に取り付けられる。装置100は、装置100のコネクタが劣化するまで取り付けたまま使用することができ、コネクタが劣化した時点で装置100を取り外して交換することができる。
【0086】
外部装置が装置100に接続されると、電気信号と電力が、コネクタ104、106を介してコネクタ104、106の雌端からコネクタ104、106の雄端へ伝送され、そしてコネクタ204、206へ伝送されることで、装置100からターゲットコネクタ200へ伝送されてよく、またはその逆に伝送されてもよい。
【0087】
装置100をターゲットコネクタ200から取り外すためには、上述と同様の操作を逆の順番で実行されればよい。
【0088】
ここで図7から図10を参照すると、そこに描かれているのは、一実施形態に係る、ターゲットコネクタ200への取り付けの様々な段階にある装置100の断面図であり、取り外しプロセスを描いている。
【0089】
図7は、装置100とターゲットコネクタ200とが完全に嵌合した状態を示す。
【0090】
図8は、装置100とターゲットコネクタ200とが部分的に嵌合した状態を示し、ジャッキングファスナ110が工具500を用いて部分的に緩められた状態である。
【0091】
図9は、装置100とターゲットコネクタ200とが部分的に嵌合した状態を示し、ジャッキングファスナ110が工具500を用いて部分的に緩められ、コネクタが係合されないように装置100がコネクタ200から離れる向きに付勢(jacked away)されている。
【0092】
図10は、装置100とターゲットコネクタ200とが完全に切り離された状態を示し、ジャッキングファスナ110がコネクタ200と係合または接触しないように工具500を用いてジャッキングファスナ110が完全に緩められ、装置100とコネクタ200とが完全に分離されるように装置100がコネクタ200から離れる向きに付勢された状態を示している。
【0093】
装置100をターゲットコネクタ200から分離するために、ジャッキングファスナ110は緩められてもよい。ジャッキングファスナ110は、好ましくは並行して緩められてもよく、この場合、一方のジャッキングファスナ110がある量(例えば、4分の1回転または半回転)緩められた後、他方のジャッキングファスナが同じ量(例えば、4分の1回転または半回転)緩められ、両方のジャッキングファスナ110が十分に緩められ、ねじ部118のねじ山がねじ開口210のねじ山と係合しなくなるまで、この手順が繰り返される。この並行した緩め操作により、位置合わせ不良から生じ得るコネクタの結合または他の接続の問題を有利に防止することができる。いくつかの実施形態では、ジャッキングファスナ110を完全に並行して緩めるために、2つの工具が同時に操作されてもよい。
【0094】
緩めプロセスの間、(図2および図8に見られるように)保持要素116は、ある時点で本体102の表面124に接触する。表面124は、装置100が適用されるターゲットコネクタ200の本体の上面に面し、かつ、当該上面に概ね平行である、本体102の表面である。保持要素116が本体102の表面124に接触すると、保持要素116は、表面124を通して装置100に外向きの力を伝達し始める。この力は、ジャッキングファスナ110が緩むことに由来する。保持要素116によって装置100に加えられるこの外向きの力は、装置100およびターゲットコネクタ200のそれぞれのコネクタ104、106、204、206の相互作用によって発生する摩擦力に打ち勝つのに必要なジャッキ力を提供することができ、この摩擦力は装置100をターゲットコネクタ200に結合させる。
【0095】
ジャッキングファスナ110と、保持要素116と、本体102の構成との組み合わせによって提供されるこのようなジャッキング機能性は、有利には、ジャッキングファスナ110を緩めるために必要な力以外の付加的な外力を加えることなく、装置100をターゲットコネクタ200から取り外すことを可能にする。このような機能性は、操作者が船外作業を行う際に厚手の手袋を着用する可能性があり、ターゲットコネクタ200から装置100を把持して取り外すことが困難になり得る宇宙用途において、特に有利であり得る。ジャッキングプロセスの進行中の図を図9に示す。
【0096】
図10に見られるように、ジャッキングファスナがいったん完全に緩められ、ターゲットコネクタ200から離れるように装置100を付勢すると、装置100をターゲットコネクタ200に結合する摩擦力がほとんどまたは全く残っていないため、装置100は、操作者またはロボットシステムによって容易に取り外すことができる。新しい装置100は、上述の通り、ターゲットコネクタ200に取り付けることができる。
【0097】
ここで図11を参照すると、そこに描かれているのは、一実施形態に係る、図1から図3の装置100を操作する方法300を示すフローチャートである。
【0098】
302において、コネクタセーバー100がターゲットコネクタ200に結合され、コネクタセーバー100のジャッキングファスナ110がトルク位置にある、ターゲットコネクタ200およびコネクタセーバー100が提供される。
【0099】
304において、ジャッキングファスナ110が緩められ、コネクタセーバーをターゲットコネクタから離れるように付勢し、コネクタセーバーをターゲットコネクタから分離させる。
【0100】
ここで図12を参照すると、そこに描かれているのは、一実施形態に係る、コネクタ保護方法400を示すフローチャートである。
【0101】
402において、コネクタセーバーがターゲットコネクタと位置合わせされる。コネクタセーバーはコネクタセーバー100であってもよい。ターゲットコネクタはターゲットコネクタ200であってもよい。
【0102】
404において、コネクタセーバーの一次コネクタは、ターゲットコネクタの一次コネクタに結合される。
【0103】
406において、第1および第2のジャッキングファスナが締め付けられ、コネクタセーバーがターゲットコネクタに固定される。
【0104】
408において、第1および第2のジャッキングファスナが緩められ、コネクタがターゲットコネクタから離れるように付勢される。
【0105】
ここで図13を参照すると、そこに描かれているのは、一実施形態に係るコネクタセーバーを製造する方法600を示すフローチャートである。コネクタセーバーはコネクタセーバー100であってもよい。
【0106】
602において、第1のファスナがコネクタセーバーの本体の第1の開口に挿入され、第2のファスナが本体の第2の開口に挿入される。
【0107】
604において、第1の保持要素が第1のファスナのシャフトに結合され、第2の保持要素が第2のファスナのシャフトに結合されることで、第1のジャッキングファスナと第2のジャッキングファスナが形成される。
【0108】
上記の説明は、1つまたは複数の装置、方法、またはシステムの例を提供するが、他の装置、方法、またはシステムが、当業者によって解釈される特許請求の範囲内に含まれ得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】