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特開2024-85417電子エネルギー損失分光器を運用するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085417
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】電子エネルギー損失分光器を運用するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/26 20060101AFI20240619BHJP
   H01J 37/244 20060101ALI20240619BHJP
   H01J 37/153 20060101ALI20240619BHJP
   G01N 23/02 20060101ALI20240619BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20240619BHJP
   G01N 23/2251 20180101ALI20240619BHJP
【FI】
H01J37/26
H01J37/244
H01J37/153 A
G01N23/02
G01N23/04 330
G01N23/2251
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211180
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】63/432,581
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511314887
【氏名又は名称】ガタン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GATAN,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリン ジェフリー トレバー
(72)【発明者】
【氏名】メラニー バルフェルス
【テーマコード(参考)】
2G001
5C101
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA07
2G001BA11
2G001CA03
2G001EA04
2G001FA08
2G001JA05
5C101AA04
5C101AA23
5C101EE08
5C101EE17
5C101EE34
5C101EE59
5C101EE67
5C101EE69
(57)【要約】
【課題】電子エネルギー・レベル分光器で使用される透過電子顕微鏡の色収差を補正するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】方法は、観察中の電子エネルギー・レベルで電子顕微鏡ビームを集束させるために電子顕微鏡と偏向磁石との間に設置された静電レンズ又は磁気レンズを調節する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子エネルギー損失分光法のためのシステムであって、
電子顕微鏡と、
偏向磁石と、
前記偏向磁石の入口端のところに設置された静電レンズ又は磁気レンズと、
前記電子顕微鏡内の電子ビームの最終クロスオーバの位置の変化を補正するために前記静電レンズ又は磁気レンズを調節するように構成されたコントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記静電レンズ又は磁気レンズを第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値に調節するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値への前記調節が、手動で制御される調節である
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値への前記調節が、記憶された較正データに基づく自動調節である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値への前記調節が、記憶された較正データ及び前記電子顕微鏡のカメラ長に基づく自動調節である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
電子顕微鏡と、偏向磁石と、ドリフト・チューブとを備える電子エネルギー損失分光システムにおける色収差を補正する方法であって、
前記電子顕微鏡をカメラ長に設定することと、
ドリフト・チューブ電圧又は偏向磁石電流を介して第1のエネルギー・オフセットを設定することと、
検出器のところに集束されたスペクトルを生成するために第1の電子エネルギー・レベルに関して前記偏向磁石への入口のところに設置された第1の静電レンズ又は磁気レンズを第1の設定値に調節することと、
前記カメラ長及び前記第1の電子エネルギー・レベルとともに前記第1の静電レンズ又は磁気レンズの前記第1の設定値を記憶することと、
前記ドリフト・チューブ電圧又は偏向磁石を介して第2のオフセットまで移動させることと、
前記検出器のところに集束されたスペクトルを生成するために第2の電子エネルギー・レベルに関して前記偏向磁石への前記入口のところに設置された前記第1の静電レンズ又は磁気レンズを第2の設定値に調節することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記ドリフト・チューブ又は偏向磁石に適用される任意のエネルギー・オフセットに対してすべてのその後のスペクトルについてスペクトルの焦点を維持するために、前記記憶された第1の設定値又は前記記憶された第1の設定値から計算される値を適用すること
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複数の電子エネルギー・レベルについて前記静電レンズ又は磁気レンズを調節するステップと、較正テーブルを作成するために電子顕微鏡カメラ長及び電子エネルギー・レベルに各々が関係する複数の設定値を記憶するステップとを繰り返すこと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記電子顕微鏡カメラ長、電子エネルギー・レベル及び前記較正テーブルに基づいて前記静電レンズ又は磁気レンズを自動的に調節すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2022年12月14日に出願し、電子エネルギー損失分光器を運用するシステム及び方法という名称の米国仮特許出願番号第63/432,581号に優先権を主張し、その全体を引用により組み込んでいる。
【背景技術】
【0002】
電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy Loss Spectroscopy)分光器が大きな収集角を可能にするために走査又は透過電子顕微鏡(S/TEM:scanning or transmission electron microscope)において非常に短いカメラ長で使用されるときに、寄生デフォーカスが、電子エネルギーで変化する焦点距離である色収差を有するS/TEMの対物レンズに起因して生じる。
【0003】
単一スペクトル内では、この効果は、スペクトル平面を傾けることによって修正されることが可能である。これは、スリットの直ぐ上流に設置されたレンズを調節することによって実現され得るが、これは機能では典型的には論理的でないので使用するためには複雑である。
【0004】
デュアルEELS(デュアルEELSとは、必ずしも以下に限定されないが、典型的にはスペクトルのゼロ損失部分とスペクトルの元素端部分とである2つのエネルギー同士の間をシフトすることである)を、ゼロ損失部分及び元素端部分の高分解能の観察を可能にするように高い分散を伴って実行するときに、単一スペクトル内のデフォーカスは小さいが、ゼロ損失と端部との間のデフォーカスは、極短カメラ長が使用される場合に大きくなり得る。このケースでは、複数のスペクトル同士の間のデフォーカスだけが修正される必要があり、単一のスペクトル内のデフォーカスではない。これは、偏向磁石の上流の追加の集束素子により実現され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
電子エネルギー損失分光器を運用するシステム及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的な電子エネルギー損失分光器の図である。
図2】電子エネルギー・レベルによる焦点距離変化の効果を示す図である。
図3】例示的なゼロ損失スペクトル部分の図である。
図4】例示的な元素端スペクトル部分の図である。
図5】例示的なコントローラの図である。
図6】例示的なプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に関して、透過電子顕微鏡201から出てアパーチャ210を通り分光器に入るビーム205が示される。静電レンズ系211、212及び219、220は、偏向磁石ドリフト・チューブ214の前と後に先行技術デバイスにそれぞれ追加される。これらのレンズは、偏向磁石ドリフト・チューブ電圧及びプリズム・エネルギー・オフセットの関数として調節され、そのため分光器の焦点距離は、デフォーカシングが検出器221のところで生じないように顕微鏡の最終クロスオーバ(すなわち、分光器の対象である顕微鏡内の集束されたクロスオーバ)の位置の変化を補正するために変化する。参照アイテム220及び221は、接地されたチューブ及び接地された検出器を描き、そして212、219は電圧バイアスされたレンズ素子である。
【0008】
さらなる実施例では、絶縁されたドリフト・チューブ214は、偏向磁石214だけでなく、全光学系216、217の全体にわたって延び、そのためすべての光学系内の電子のエネルギーの範囲は一定であり、デフォーカシングは分光器内のクロマティック効果からは生じない。
【0009】
さらなる実施例では、静電レンズ212、219は、ラウンド静電レンズである。さらなる実施例では、静電レンズは、偏向磁石ドリフト・チューブの始点212及び終点219のところに設置される。同様に撮像エネルギー・フィルタとして働き得るEEL分光器のケースでは、エネルギー選択スリット218は、スリットの周りの静電レンズ効果を防止するために電圧Vでフローティングである。さらなる実施例では、2個よりも少ない又は多くの静電レンズがある。さらなる実施例では、多極子レンズがラウンド・レンズの代わりに使用される。さらなる実施例では、磁気レンズが静電レンズの代わりに使用される。
【0010】
さらなる実施例では、中間の集束されたスペクトルがシステム内に形成される。
【0011】
エネルギー選択スリット218は、検出器により検出されるべきeVでの視野に等しいeVでの幅を有する集束されたスペクトルのところに設置される。スリットは、分散方向で検出器221のサイズに一致するように次の光学系217により撮像され、そのため、検出器の視野外である電子はスリットを通過して分光器に進むことができない。これらの電子は、スリットにより手際よくそして素早くトラップされ、それゆえにドリフト・チューブ壁からもはや散乱できない。
【0012】
スリット幅は、変化する分散で調節可能であってもよく、そのためスリットは、検出器により検出されるべきeVでの視野に常にぴったりと一致する。スリットは、制御可能な静電バイアス電位でフローティングである。
【0013】
コントローラ230は、上記の構成要素のうちのいずれかの制約なしに制御でき、制約なしに本明細書において説明するすべてのプロセス又は方法を実行できる。
【0014】
上に記したように、EELS分光器が、大きな集束角の検出を可能にするようにS/TEM上の非常に短いカメラ長で使用されるときに、寄生デフォーカスは、S/TEMの対物レンズが電子のエネルギーとともに変化する焦点距離である色収差を有するので生じる。この効果が図2に示され、図2は高いエネルギー損失電子についての第1の場所111及びより低いエネルギー損失電子についての第2の位置112のところでの対物レンズ110からの最終クロスオーバを示す。
【0015】
下記の式は、デフォーカスの大きさを記述する。
【数1】

ここでは、
Δf=焦点変化(eV)
=色収差(mm)
E=エネルギー(eV)
ΔE=エネルギーの変化(eV)
θ=収集角(rad)
L=投影レンズ・クロスオーバからアパーチャまでの距離(mm)
CL=カメラ長(mm)
=分光器倍率
=分光器分散(mm/eV)
【0016】
実施例では、偏向磁石213の前に設置された静電レンズ211、212は、(先に説明したように)ドリフト・チューブからすべてのデフォーカスを修正するだけでなくS/TEMでの上記のクロマティック効果からのすべてのデフォーカスを取り除くためにも使用される。
【0017】
実施例では、クロマティック・デフォーカスは、較正ステップで初めて1つ又は複数のレンズ211、212により修正され得て、次いでこの1つ又は複数の較正値が、同じ条件を有するすべての今後のスペクトルに対して使用され得る。実施例ではこの方法は、二次元画像の全体にわたりスペクトルを各々が有する複数の点の三次元ラスターである良く焦点の合ったスペクトル画像を生成するために使用されることがある。
【0018】
実施例では、各々のS/TEMカメラ長で、クロマティック・デフォーカスの効果が測定され、そして1つ又は複数のレンズに関する修正設定値が、具体的なエネルギー・レベルについて決定される。システム・ソフトウェアが、レンズ設定値を記憶し呼び戻すように構成され、そしてカメラ長及び2つの撮像したスペクトル部分同士の間のエネルギーのオフセットを読み出すこと並びに各々の撮像したスペクトル部分に関するこの記憶された較正データに基づいてレンズ素子を設定することによって適切な修正を自動的に適用するように構成される。
【0019】
このようにして、色収差に対する迅速な補正は、マルチポーション又はマルチイメージ・スペクトルが1つ若しくは複数の補正レンズ調節の速度によって又は撮像センサ取り込み速度によってのみ撮像時間で分離される(例えば図3に示した)ゼロ損失310部分及び(例えば図4に示した)元素端部分の両者を含んで得られることが可能であるように実現され得る。
【0020】
図5は、デバイス500の例示的な物理的構成部品を図示している図である。デバイス500は、システム・コントローラ230などの上記のシステム内の様々なデバイスに対応することができる。デバイス500は、バス510、プロセッサ520、メモリ530、入力構成部品540、出力構成部品550、及び通信インターフェース560を含んでもよい。
【0021】
バス510は、デバイス500の構成部品同士の間の通信を可能にする経路を含み得る。プロセッサ520は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、又は命令を解釈できそして実行できる処理論理回路を含み得る。メモリ530は、プロセッサ520による実行のための情報若しくは命令を記憶できる任意のタイプのダイナミック・ストレージ・デバイス、及び/又はプロセッサ520による使用のための情報を記憶できる任意のタイプの不揮発性ストレージ・デバイスを含み得る。
【0022】
ソフトウェア535は、機能及び/又はプロセスを提供するアプリケーション又はプログラムを含む。ソフトウェア535はまた、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語(HDL:hardware description language)、及び/又は命令の他の形態を含むものでもある。実例として、作業認証の証明を提供する論理を含むネットワーク素子に関して、これらのネットワーク素子は、ソフトウェア535を含むように実装されてもよい。加えて、例えば、デバイス500は、本明細書において説明されるようなプロセス及び方法を実行するソフトウェア535を含んでもよい。
【0023】
入力構成部品540は、キーボード、キーパッド、ボタン、スイッチ、等などの、デバイス500へ情報をユーザが入力することを可能にする機構を含み得る。出力構成部品550は、ディスプレイ、スピーカ、1つ又は複数の発光ダイオード(LED:light emitting diode)、等などの、ユーザへ情報を出力する機構を含み得る。
【0024】
通信インターフェース560は、デバイス500が無線通信、有線通信、又は無線通信と有線通信との組み合わせを介して他のデバイス及び/又はシステムと通信することを可能にするトランシーバを含み得る。例えば、通信インターフェース560は、ネットワークを介して別のデバイス又はシステムと通信するための機構を含んでもよい。通信インターフェース560は、RF信号の送信及び/又は受信用のアンテナ・アセンブリを含み得る。1つの実装形態では、例えば、通信インターフェース560は、ネットワーク及び/又はネットワークに接続されたデバイスと通信してもよい。或いは又は加えて、通信インターフェース560は、入力及び出力ポート、入力及び出力システム、並びに/又は他のデバイスへのデータの送信を容易にする他の入力及び出力構成部品を含む論理構成部品を含んでもよい。
【0025】
デバイス500は、メモリ530などのコンピュ-タ可読媒体に含まれるソフトウェア命令(例えば、ソフトウェア535)を実行するプロセッサ520に応じてある特定の作業を実行できる。コンピュ-タ可読媒体は、非一過性メモリ・デバイスとして規定されることがある。非一過性メモリ・デバイスは、単一の物理メモリ・デバイス内に又は複数の物理メモリ・デバイスの全体に広がったメモリ空間を含むことがある。ソフトウェア命令は、別のコンピュ-タ可読媒体から又は別のデバイスからメモリ530へと読み込まれることがある。メモリ530に含まれるソフトウェア命令は、プロセッサ520に本明細書において説明するプロセスを実行させてもよい。或いは、ハードワイアド回路は、本明細書において説明するプロセスを実施するためにソフトウェア命令の代わりに又は組み合わせて使用されてもよい。このように、本明細書において説明する実装形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいずれかの特定の組み合わせに限定されない。
【0026】
デバイス500は、図5に図示されたものより少ない構成部品、追加の構成部品、異なる構成部品、及び/又は別なふうに配置された構成部品を含んでもよい。実例として、いくつかの実装形態では、ディスプレイがデバイス500に含まれなくてもよい。これらの状況では、デバイス500は、入力構成部品540を含まない「ヘッドレス」デバイスであってもよい。加えて又は代わりに、デバイス500の1つ又は複数の構成部品は、デバイス500の1つ又は複数の他の構成部品により実行されるように説明された1つ又は複数のタスクを実行できる。
【0027】
電子顕微鏡、偏向磁石、及びドリフト・チューブを備える電子エネルギー損失分光システムにおける色収差を補正するための例示的なプロセスが、図6を参照して説明される。610のところでは、電子顕微鏡がカメラ長に設定される。612のところでは、第1のエネルギー・オフセットが、ドリフト・チューブ電圧又は偏向磁石電流を介して設定される。614のところでは、偏向磁石の入口のところに設置された第1の静電レンズ又は磁気レンズが、検出器のところに集束されたスペクトルを生成するために第1の電子エネルギー・レベルのための第1の設定値に調節される。616のところでは、第1の静電レンズ又は磁気レンズの第1の設定値が、カメラ長及び第1の電子エネルギー・レベルとともに記憶される。618のところでは、システムは、ドリフト・チューブ電圧又は偏向磁石を介して第2のオフセットへ移動される。620のところでは、偏向磁石への入口のところに設置された第1の静電レンズ又は磁気レンズが、検出器のところに集束されたスペクトルを生成するために第2の電子エネルギー・レベルのための第2の設定値に調節される。
【0028】
実施例では、電子顕微鏡と、偏向磁石と、偏向磁石の入口端のところに設置された静電レンズ又は磁気レンズと、電子顕微鏡内の電子ビームの最終クロスオーバの位置の変化を補正するために静電レンズ又は磁気レンズを調節するように構成されたコントローラとを備える電子エネルギー損失分光法のためのシステムを実装されてもよい。
【0029】
さらなる実施例では、コントローラは、静電レンズ又は磁気レンズを第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値に調節するように構成される。
【0030】
さらなる実施例では、第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値への調節は、手動で制御される調節である。
【0031】
さらなる実施例では、第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値への調節は、記憶された較正データに基づく自動調節である。
【0032】
さらなる実施例では、第1の電子エネルギー・レベルに関連する第1の設定値及び第2の電子エネルギー・レベルに関連する第2の設定値への調節は、記憶された較正データ及び電子顕微鏡のカメラ長に基づく自動調節である。
【0033】
実施例では、電子顕微鏡と、偏向磁石と、ドリフト・チューブとを備える電子エネルギー損失分光システムにおける色収差を補正する方法が実行されてもよく、方法は、電子顕微鏡をカメラ長に設定することと、ドリフト・チューブ電圧又は偏向磁石電流を介して第1のエネルギー・オフセットを設定することと、検出器のところに集束されたスペクトルを生成するために第1の電子エネルギー・レベルに関して偏向磁石への入口のところに設置された第1の静電レンズ又は磁気レンズを第1の設定値に調節することと、カメラ長及び第1の電子エネルギー・レベルとともに第1の静電レンズ又は磁気レンズの第1の設定値を記憶することと、ドリフト・チューブ電圧又は偏向磁石を介して第2のオフセットまで移動させることと、検出器のところに集束されたスペクトルを生成するために第2の電子エネルギー・レベルに関して偏向磁石への入口のところに設置された第1の静電レンズ又は磁気レンズを第2の設定値に調節することとを含む。
【0034】
さらなる実施例では、方法は、ドリフト・チューブ又は偏向磁石に適用される任意のエネルギー・オフセットに対してすべてのその後のスペクトルについてスペクトルの焦点を維持するために、記憶された第1の設定値又は記憶された第1の設定値から計算される値を適用することを含んでもよい。
【0035】
さらなる実施例では、方法は、複数の電子エネルギー・レベルについて静電レンズ又は磁気レンズを調節するステップと、較正テーブルを作成するために電子顕微鏡カメラ長及び電子エネルギー・レベルに各々が関係する複数の設定値を記憶するステップとを繰り返すことを含んでもよい。
【0036】
さらなる実施例では、方法は、電子顕微鏡カメラ長、電子エネルギー・レベル及び較正テーブルに基づいて静電レンズ又は磁気レンズを自動的に調節することを含んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】