IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人金井学園の特許一覧 ▶ 兼工業株式会社の特許一覧

特開2024-85432バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置
<>
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図1
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図2
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図3
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図4
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図5
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図6
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図7
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図8
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図9
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図10
  • 特開-バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085432
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】バルブシステム及びこれを取り付けた初期雨水除去装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 3/03 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
E03B3/03 B
E03B3/03 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199854
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】390013815
【氏名又は名称】学校法人金井学園
(71)【出願人】
【識別番号】000165295
【氏名又は名称】兼工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124718
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 建
(74)【代理人】
【識別番号】100136216
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 恵美
(72)【発明者】
【氏名】笠井 利浩
(72)【発明者】
【氏名】川合 弘高
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畑 淳樹
(57)【要約】
【課題】本発明は、コンピュータ制御による初期雨水排除向けに、安価でシンプルな新しい構造の、排水用のバルブシステムを提供する。
【解決手段】本発明に係るバルブシステムは、底部に排水弁により開閉可能な底部開口部と底部通水孔とが設けられ、直線状の主管と枝管とから成るチーズの上端接続部を、底部開口部の下方に取り付けて、排水弁を開閉することにより、チーズからの排水・貯水を行う貯水容器において、チーズの主管の上端部に収容された中空の排水弁ハウジング管と、主管の下端部に収容され、底面に底面通水孔を設けたピストン弁ハウジング管と、貯水容器の底部通水孔とピストン弁ハウジング管の底面通水孔とを接続して電磁バルブが装着された通水管とから構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その底部に、排水弁により開閉可能な底部開口部と底部通水孔とが設けられ、
上端部と下端部に夫々上端接続部と下端接続部が設けられた直線状の主管と、該主管から枝分かれした枝管とから成るチーズの該上端接続部を、該底部開口部の下方に取り付けて、
該排水弁を開閉することにより、該チーズからの排水及び貯水を行う貯水容器において、
前記チーズの主管の上端接続部に収容された中空の排水弁ハウジング管と、
該チーズの主管の下端接続部に収容され、底面に底面通水孔を設けたピストン弁ハウジング管と、
貯水容器の底部に設けた底部通水孔と該ピストン弁ハウジング管の底面通水孔とを接続し、電磁バルブが装着された通水管と、から構成されるバルブシステムであって、
前記排水弁ハウジング管は、上端が開放され、内部に保持するフロート排水弁により、下端に設けた排水口を開閉可能であり、
前記ピストン弁ハウジング管は、該排水口を介して、該フロート排水弁を上方に押圧するための押圧棒を上端から突出させたピストン弁を、内壁を案内として上下に昇降可能であり、
前記電磁バルブを開放すると、前記通水管に貯水容器の貯水が通水して前記ピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、該ピストン弁の押圧棒が前記フロート排水弁を上方に押圧することにより、前記排水弁ハウジング管の排水口から前記チーズの枝管を介して、貯水容器の貯水が排水されるバルブシステム。
【請求項2】
集水口を設けた上底部と底部と、その両者を接続する側部からなり、
その底部に、フロート排水弁により開閉可能な底部開口部と底部通水孔とが設けられ、
上端部と下端部に夫々上端接続部と下端接続部が設けられた直線状の主管と、該主管から枝分かれした枝管とから成るチーズの該上端接続部を、該底部開口部の下方に取り付けて、
該フロート排水弁を開閉することにより、該チーズからの排水及び貯水を行う貯水容器において、
前記チーズの主管の上端接続部に収容する排水弁ハウジング管と、
該チーズの主管の下端接続部に収容するピストン弁ハウジング管と、
該ピストン弁ハウジング管の底面と貯水容器の底部に夫々設けた底面通水孔と前記底部通水孔とを接続する通水管と、
該通水管に装着した電磁バルブと、
を含むバルブシステムであって、
前記排水弁ハウジング管は、
上端が開放され、底面に排水口が設けられた中空容器を本体とし、
該中空容器の内壁から内径方向に突出した1又は複数のリブが、該中空容器の底部と離間するようにシリンダを中空に支持しており、
該シリンダ内を上下に昇降可能なフロート排水弁により、該排水口を開閉可能であり、
前記ピストン弁ハウジング管は、
上底面と底面に夫々上底孔と前記底面通水孔を有する柱状容器を本体とし、
該柱状容器の内壁を案内として上下に昇降可能で、その上端から押圧棒を上方に突出させたピストン弁を内部に収容し、
該押圧棒は、該上底孔と前記排水口を貫通して、前記フロート排水弁の下端と当接可能であり、
電磁バルブを閉鎖すると、前記排水弁ハウジング管のフロート排水弁が、前記排水口に嵌合して、貯水容器が貯水され、
電磁バルブを開放すると、前記通水管に貯水容器の貯水が通水して前記ピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、その押圧棒が前記排水口に嵌合した前記フロート排水弁を上方に押圧することにより該排水口が開放されて、前記チーズの枝管を介して、貯水容器の貯水が排水されるバルブシステム。
【請求項3】
前記排水弁ハウジング管において、
前記中空容器は、その内壁から突出した1又は複数のリブにより支持するシリンダの下端と、該中空容器の底部との間に底部空間が形成されており、
該底部空間における該シリンダの下端と該中空容器の底部間の離間された距離が、該シリンダ内で上下に昇降可能なフロート排水弁の鉛直長さより短いことを特徴とする、請求項2に記載のバルブシステム。
【請求項4】
前記排水弁ハウジング管は、
前記中空容器の外壁から外径方向に突出した中空円状のフランジを、貯水容器の底部開口部を囲繞してその底部の下方に取り付け可能であり、
その下方を前記チーズの主管の上端接続部に収容することができ、
前記中空容器の内壁から突出した1又は複数のリブにより内部中空に支持されたシリンダと、該内壁の間に内壁空間が形成されており、
この内壁空間と前記底部空間とを通じて、開放された上端から侵入した水を、
その底面に設けた排水口から前記チーズへ排水することができる、請求項2に記載のバルブシステム。
【請求項5】
前記排水弁ハウジング管は、貯水容器底面に取り付けた前記フランジが、前記中空容器の解放された上端から外形方向に突設されており、
前記中空容器の内壁から突出した1又は複数のリブの上方と、及び、該1又は複数のリブにより支持するシリンダの上端が、前記フランジより上方に突出している、請求項2に記載のバルブシステム。
【請求項6】
前記ピストン弁ハウジング管において、
前記柱状容器の上底面には上面通水孔が設けられており、
前記ピストン弁と該柱状容器の内壁間には間隙が設けられており、
該ピストン弁が重力により下降すると共に該ピストン弁の下方の水は、該間隙を介して、該ピストン弁の上方に上昇し、該上面通水孔を通じて該柱状容器から前記チーズ内に通水する、請求項2に記載のバルブシステムであって、
電磁バルブを閉鎖すると、前記ピストン弁が重力により下降すると共に該ピストン弁の下方の水が上昇して前記チーズ内の水と通水し、該ピストン弁が前記柱状容器の底面の位置に復帰するバルブシステム。
【請求項7】
貯水容器の上底部に設けた集水口に集水弁ハウジング管を取り付けた請求項2に記載のバルブシステムであって、
前記集水弁ハウジング管は、
上端と下端とがともに開口され、上端の開口直径が下端の開口直径より小さい集水弁収容容器を本体とし、
該集水弁収容容器の下端近傍から外延され、前記集水口に固定可能なフランジと、
該集水弁収容容器の内壁に突出して設けられた複数のガイドと、
該ガイドに案内されて該集水弁収容容器の内部を昇降し、その断面直径が該上端の開口直径より大きいフロート集水弁と、を含み、
前記フランジが貯水容器の集水口の外周縁部に固定されて、
前記集水弁収容容器の上端の開口から侵入した水を、該集水弁収容容器の内壁と前記フロート集水弁との間隙に沿って、前記複数のガイド間を介して該集水口へ案内し、貯水容器に貯水すると共に、
該集水口から該集水弁収容容器の内部に上昇した貯水容器の貯水により、前記フロート集水弁が浮揚されて、該集水弁収容容器の上端の開口を塞ぎ得るバルブシステム。
【請求項8】
前記通水管に装着した電磁バルブと送受信可能なコンピュータを備え、
該コンピュータから送信された開口信号又は閉口信号を受信した該電磁バルブが、該通水管を開放又は閉鎖する、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のバルブシステム。
【請求項9】
貯水容器の上底部に設けた集水口に集水弁ハウジング管を取り付けた請求項8に記載のバルブシステムにおいて、
前記集水弁ハウジング管は、
上端と下端とがともに開口され、上端の開口直径が下端の開口直径より小さい集水弁収容容器を本体とし、
該集水弁収容容器の下端近傍から外延され、前記集水口に固定可能なフランジと、
該集水弁収容容器の内壁に突出して設けられた複数のガイドと、
該ガイドに案内されて該集水弁収容容器の内部を昇降し、その断面直径が該上端の開口直径より大きいフロート集水弁と、を含み、
前記フランジが貯水容器の集水口の外周縁部に固定されて、
前記集水弁収容容器の上端の開口から侵入した水を、該集水弁収容容器の内壁と前記フロート集水弁との間隙に沿って、前記複数のガイド間を介して該集水口へ案内し、貯水容器に貯水すると共に、
該集水口から該集水弁収容容器の内部に上昇した貯水容器の貯水により、前記フロート集水弁が浮揚されて、該集水弁収容容器の上端の開口を塞ぎ得るバルブシステムであって、
前記フロート集水弁の下端部に磁石が埋め込まれ、
前記集水弁収容容器の下端には、その内部にリードスイッチ及びこれに接続した2本の導線を内蔵した棒状の開閉センサが、該集水弁収容容器の下端の開口を横切って設置され、
該開閉センサの2本の導線が前記コンピュータに接続されて、
該フロート集水弁の下端部の磁石が該開閉センサに接触すると、そのリードスイッチが閉じることにより該2本の導線が通電し、該コンピュータに電気信号を送る、請求項8に記載のバルブシステム。
【請求項10】
建造物の屋根と雨水タンクとの間に挿入され、
建造物の屋根から集めた雨水を雨水タンクへ送る分岐管から集水管を分岐させ、この集水管に接続された貯水容器に集水した初期雨水を取り除き、該分岐管の先端に接続した注水管を介して雨水タンクに清浄な雨水を貯水する初期雨水除去装置において、
前記初期雨水除去装置は、
その底部に底部開口部及び底部通水孔を設け、その上底部に集水口を設けた貯水容器、
貯水容器の上底部に設けた集水口の上方に取り付けられ、磁石を埋め込んだフロート集水弁がその内部を昇降し、該集水口を横切るように開閉センサをその下端に設置した集水弁ハウジング管、
貯水容器の底部開口部に取り付けられ、主管と枝管とからなるチーズ、
該チーズの主管の上端接続部に収容され、その内部を昇降する排水弁が、その底面に開口した排水口を閉鎖し得る排水弁ハウジング管、
該チーズの主管の下端接続部に収容され、電磁バルブを備える通水管により貯水容器と通水し得る前記ピストン弁ハウジング管、
該電磁バルブ及び該開閉センサと通信可能なコンピュータ、
を含み、
該電磁バルブを開放すると、該通水管に貯水容器の貯水が通水して該ピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、このピストン弁が、該排水弁ハウジング管の排水弁を上方に押圧することにより、該排水弁ハウジング管の排水口及び該チーズの枝管を介して、貯水容器の貯水を排水し得るバルブシステムを装備した初期雨水除去装置であって、
貯水容器の集水口の外周縁部に固定された集水弁ハウジング管は、
貯水容器の貯水が集水口に達しないと、フロート集水弁は集水口を横切って設置した開閉センサの位置まで下降しており、その下端部に埋め込んだ磁石が開閉センサに作用し、オンとなった開閉センサが前記コンピュータと通電し、
貯水容器の貯水が、集水口から集水弁収容容器の内部に上昇すると、フロート集水弁が浮揚され、該磁石と離間した開閉センサがオフとなり、フロート集水弁が集水弁収容容器の上端の開口を閉鎖し、前記分岐管を流れる雨水は前記集水管を通過して、前記注水管を介して雨水タンクへ貯水され、
前記コンピュータは、
該開閉センサのオン・オフにより、貯水容器の貯水が集水口の位置まで達したか否かを検知すると共に、前記電磁バルブに開口信号又は閉口信号を送信して該電磁バルブを開閉し、
該電磁バルブの開閉に応じて、ピストン弁が昇降し、貯水容器の貯水と排水を行うことができる、初期雨水除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブシステム、及び、これを取り付けた初期雨水除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今後、地球温暖化による気候変動に伴う豪雨や渇水対策として雨水活用システムの導入が進むと考えられる。また、地震等の被災時における持続的給水システムとして雨水活用システムは注目されている。
【0003】
雨水活用に関する発明については、これまでに種々開示されている。その中でも、初期雨水除去装置とこれを備えた雨水タンク装置,雨水タンク装置の通信ネットワーク,初期雨水除去装置(特許文献1)は、コンピュータ制御により清浄な雨水を集めるためのシステムであり、今後、社会に導入が進むと予想される中~大型の雨水利用装置には無くてはならないものである。
【0004】
初期雨水は降り始めの雨であり、その中には大気中の汚染物質や無降水時間中に堆積した集水面(屋根面)の埃等が多く含まれており、清浄な雨水を貯水するためには初期雨水除去が必須である。また、効率的な初期雨水除去にはマイコン等を用いた雨水の常時水質モニタリングとその結果による貯水、排水制御が必要となる。その制御にはバルブを用いる必要があるが、上述のように初期雨水には様々な汚れが含まれており、一般的なバルブではゴミ等のつまりによるトラブル発生の可能性が高く、また相当な排水速度が求められるため大きくて高価なバルブが必要となる。
【0005】
【特許文献1】特許第6860898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するため、コンピュータ制御による初期雨水排除向けに、安価でシンプルな新しい構造の、排水用のバルブシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.バルブシステム
本発明に係るバルブシステムは、その底部に、排水弁により開閉可能な底部開口部と底部通水孔とが設けられ、上端部と下端部に夫々上端接続部と下端接続部が設けられた直線状の主管と、該主管から枝分かれした枝管とから成るチーズの該上端接続部を、該底部開口部の下方に取り付けて、排水弁を開閉することにより、該チーズからの排水及び貯水を行う貯水容器において、
前記チーズの主管の上端接続部に収容された中空の排水弁ハウジング管と、該チーズの主管の下端接続部に収容され、底面に底面通水孔を設けたピストン弁ハウジング管と、貯水容器の底部に設けた底部通水孔と該ピストン弁ハウジング管の底面通水孔とを接続し、電磁バルブが装着された通水管と、から構成されるバルブシステムであって、
前記排水弁ハウジング管は、上端が開放され、内部に保持するフロート排水弁により、下端に設けた排水口を開閉可能であり、前記ピストン弁ハウジング管は、該排水口を介して、該フロート排水弁を上方に押圧するための押圧棒を上端から突出させたピストン弁を、内壁を案内として上下に昇降可能であり、前記電磁バルブを開放すると、前記通水管に貯水容器の貯水が通水して前記ピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、該ピストン弁の押圧棒が前記フロート排水弁を上方に押圧することにより、前記排水弁ハウジング管の排水口から前記チーズの枝管を介して、貯水容器の貯水が排水される。
【0008】
本発明に係るバルブシステムは、その底部に、排水弁により開閉可能な底部開口部と底部通水孔とが設けられ、上端部と下端部に夫々上端接続部と下端接続部が設けられた直線状の主管と、該主管から枝分かれした枝管とから成るチーズの該上端接続部を、該底部開口部の下方に取り付けて、該排水弁を開閉することにより、該チーズからの排水及び貯水を行う貯水容器において、
前記チーズの主管の上端接続部に収容する排水弁ハウジング管と、該チーズの主管の下端接続部に収容するピストン弁ハウジング管と、該ピストン弁ハウジング管の底面と貯水容器の底部に夫々設けた底面通水孔と前記底部通水孔とを接続する通水管と、該通水管に装着した電磁バルブと、を含むバルブシステムであって、
前記排水弁ハウジング管は、上端が開放され、底面に排水口が設けられた中空容器を本体とし、該中空容器の内壁から内径方向に突出した1又は複数のリブが、該中空容器の底部と離間するようにシリンダを中空に支持しており、該シリンダ内を上下に昇降可能なフロート排水弁により、該排水口を開閉可能であり、前記ピストン弁ハウジング管は、上底面と底面に夫々上底孔と前記底面通水孔を有する柱状容器を本体とし、その内壁を案内として上下に昇降可能で、その上端から押圧棒を上方に突出させたピストン弁を内部に収容し、該押圧棒は、該上底孔と前記排水口を貫通して、前記フロート排水弁の下端と当接可能であり、電磁バルブを閉鎖すると、前記排水弁ハウジング管のフロート排水弁が、前記排水口に嵌合して、貯水容器が貯水され、電磁バルブを開放すると、前記通水管に貯水容器の貯水が通水して前記ピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、その押圧棒が前記排水口に嵌合した前記フロート排水弁を上方に押圧することにより該排水口が開放されて、前記チーズの枝管を介して、貯水容器の貯水が排水される。
【0009】
本発明のバルブシステムの構成要素である排水弁ハウジング管、ピストン弁ハウジング管、通水管は、プラスチック、金属などで形成され、特に限定されないが、中空容器(排水弁ハウジング管)内に支持されたシリンダ内を上下に昇降可能なフロート排水弁は、水に浮くように形成され、排水口が開放されて貯水容器の貯水を排水する際は、その排水に浮いて排水口を閉鎖しない。また、通水管に装着する電磁バルブも市販されているものでよく、特に限定されない。
【0010】
(排水弁ハウジング管底部空間)
本発明に係るバルブシステムは、前記排水弁ハウジング管において、前記中空容器は、その内壁から突出した1又は複数のリブにより支持するシリンダの下端と、該中空容器の底部との間に底部空間が形成されており、該底部空間における該シリンダの下端と該中空容器の底部間の離間された距離が、該シリンダ内で上下に昇降可能なフロート排水弁の鉛直長さより短いことを特徴とする。
【0011】
(排水弁ハウジング管内壁空間)
本発明に係るバルブシステムにおいて、前記排水弁ハウジング管は、前記中空容器の外壁から外径方向に突出した中空円状のフランジを、貯水容器の底部開口部を囲繞してその底部の下方に取り付け可能であり、その下方を前記チーズの主管の上端接続部に収容することができ、前記中空容器の内壁から突出した1又は複数のリブにより内部中空に支持されたシリンダと、該内壁の間に内壁空間が形成されており、この内壁空間と前記底部空間とを通じて、開放された上端から侵入した水を、その底面に設けた排水口から前記チーズへ排水することができる。
【0012】
(排水弁ハウジング管リブ、シリンダの上端)
本発明に係るバルブシステムにおいて、前記排水弁ハウジング管は、貯水容器底面に取り付けた前記フランジが、前記中空容器の解放された上端から外形方向に突設されており、前記中空容器の内壁から突出した1又は複数のリブの上方と、及び、該1又は複数のリブにより支持するシリンダの上端が、前記フランジより上方に突出してもよい。
【0013】
(間隙を有するピストン弁機構)
本発明に係るバルブシステムは、前記ピストン弁ハウジング管において、前記柱状容器の上底面には上面通水孔が設けられており、前記ピストン弁と該柱状容器の内壁間には間隙が設けられており、該ピストン弁が重力により下降すると共に該ピストン弁の下方の水は、該間隙を介して、該ピストン弁の上方に上昇し、該上面通水孔を通じて該柱状容器から前記チーズ内に通水する、上記バルブシステムであって、
電磁バルブを閉鎖すると、前記ピストン弁が重力により下降すると共に該ピストン弁の下方の水が上昇して前記チーズ内の水と通水し、該ピストン弁が前記柱状容器の底面の位置に復帰する。
【0014】
(集水弁ハウジング管)
本発明に係るバルブシステムは、貯水容器の上底部に設けた集水口に集水弁ハウジング管を取り付けた上記バルブシステムであって、
前記集水弁ハウジング管は、上端と下端とがともに開口され、上端の開口直径が下端の開口直径より小さい集水弁収容容器を本体とし、該集水弁収容容器の下端近傍から外延され、前記集水口に固定可能なフランジと、該集水弁収容容器の内壁に突出して設けられた複数のガイドと、該ガイドに案内されて該集水弁収容容器の内部を昇降し、その断面直径が該上端の開口直径より大きいフロート集水弁と、を含み、
前記フランジが貯水容器の集水口の外周縁部に固定されて、前記集水弁収容容器の上端の開口から侵入した水を、該集水弁収容容器の内壁と前記フロート集水弁との間隙に沿って、前記複数のガイド間を介して該集水口へ案内し、貯水容器に貯水すると共に、該集水口から該集水弁収容容器の内部に上昇した貯水容器の貯水により、前記フロート集水弁が浮揚されて、該集水弁収容容器の上端の開口を塞ぎ得る。
【0015】
(コンピュータ)
本発明に係るバルブシステムは、前記通水管に装着した電磁バルブと送受信可能なコンピュータを備え、該コンピュータから送信された開口信号又は閉口信号を受信した該電磁バルブが、該通水管を開放又は閉鎖し得る。
【0016】
(開閉センサ)
本発明に係るバルブシステムは、貯水容器の上底部に設けた集水口に集水弁ハウジング管を取り付けた上記バルブシステムにおいて、
前記集水弁ハウジング管は、上端と下端とがともに開口され、上端の開口直径が下端の開口直径より小さい集水弁収容容器を本体とし、該集水弁収容容器の下端近傍から外延され、前記集水口に固定可能なフランジと、該集水弁収容容器の内壁に突出して設けられた複数のガイドと、該ガイドに案内されて該集水弁収容容器の内部を昇降し、その断面直径が該上端の開口直径より大きいフロート集水弁と、を含み、前記フランジが貯水容器の集水口の外周縁部に固定されて、前記集水弁収容容器の上端の開口から侵入した水を、該集水弁収容容器の内壁と前記フロート集水弁との間隙に沿って、前記複数のガイド間を介して該集水口へ案内し、貯水容器に貯水すると共に、該集水口から該集水弁収容容器の内部に上昇した貯水容器の貯水により、前記フロート集水弁が浮揚されて、該集水弁収容容器の上端の開口を塞ぎ得るバルブシステムであって、
前記フロート集水弁の下端部に磁石が埋め込まれ、前記集水弁収容容器の下端には、その内部にリードスイッチ及びこれに接続した2本の導線を内蔵した棒状の開閉センサが、該集水弁収容容器の下端の開口を横切って設置され、該開閉センサの2本の導線が前記コンピュータに接続されて、該フロート集水弁の下端部の磁石が該開閉センサに接触すると、そのリードスイッチが閉じることにより該2本の導線が通電し、該コンピュータに電気信号を送り得る。
【0017】
(初期雨水除去装置)
本発明に係る初期雨水除去装置は、建造物の屋根と雨水タンクとの間に挿入され、建造物の屋根から集めた雨水を雨水タンクへ送る分岐管から集水管を分岐させ、この集水管に接続された貯水容器に集水した初期雨水を取り除き、該分岐管の先端に接続した注水管を介して雨水タンクに清浄な雨水を貯水する初期雨水除去装置において、
前記初期雨水除去装置は、その底部に底部開口部及び底部通水孔を設け、その上底部に集水口を設けた貯水容器、貯水容器の上底部に設けた集水口の上方に取り付けられ、磁石を埋め込んだフロート集水弁がその内部を昇降し、該集水口を横切るように開閉センサをその下端に設置した集水弁ハウジング管、貯水容器の底部開口部に取り付けられ、主管と枝管とからなるチーズ、該チーズの主管の上端接続部に収容され、その内部を昇降する排水弁が、その底面に開口した排水口を閉鎖し得る排水弁ハウジング管、該チーズの主管の下端接続部に収容され、電磁バルブを備える通水管により貯水容器と通水し得る前記ピストン弁ハウジング管、該電磁バルブ及び該開閉センサと通信可能なコンピュータ、を含み、
該電磁バルブを開放すると、該通水管に貯水容器の貯水が通水して該ピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、このピストン弁が、該排水弁ハウジング管の排水弁を上方に押圧することにより、該排水弁ハウジング管の排水口及び該チーズの枝管を介して、貯水容器の貯水を排水し得るバルブシステムを装備した初期雨水除去装置であって、
貯水容器の集水口の外周縁部に固定された集水弁ハウジング管は、貯水容器の貯水が集水口に達しないと、フロート集水弁は集水口を横切って設置した開閉センサの位置まで下降しており、その下端部に埋め込んだ磁石が開閉センサに作用し、オンとなった開閉センサが前記コンピュータと通電し、貯水容器の貯水が、集水口から集水弁収容容器の内部に上昇すると、フロート集水弁が浮揚され、該磁石と離間した開閉センサがオフとなり、フロート集水弁が集水弁収容容器の上端の開口を閉鎖し、前記分岐管を流れる雨水は前記集水管を通過して、前記注水管を介して雨水タンクへ貯水され、前記コンピュータは、該開閉センサのオン・オフにより、貯水容器の貯水が集水口の位置まで達したか否かを検知すると共に、前記電磁バルブに開口信号又は閉口信号を送信して該電磁バルブを開閉し、該電磁バルブの開閉に応じて、ピストン弁が昇降し、貯水容器の貯水と排水を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
(バルブシステム)
本発明に係るバルブシステムは、貯水容器の底部開口部の下方に取り付けたチーズに設置して、当貯水容器の排水及び貯水を行うことができる。本発明のバルブシステムは、チーズの主管の上端接続部に収容された中空の排水弁ハウジング管と、チーズの主管の下端接続部に収容されたピストン弁ハウジング管と、貯水容器の底部に設けた底部通水孔とピストン弁ハウジング管の底面通水孔とを接続し、電磁バルブが装着された通水管とから構成され、コンピュータにより電磁バルブを制御することも可能である。
【0019】
(排水機構)
このような構成の本発明に係るバルブシステムは、排水弁ハウジング管の内部に保持するフロート排水弁により、下端に設けた排水口を開閉する。ピストン弁ハウジング管は、内蔵するピストン弁の上端から突出させた押圧棒を昇降させ、排水弁ハウジング管の排水口を介して、フロート排水弁を上方に押圧することができる。電磁バルブを開放すると、通水管に貯水容器の貯水が通水してピストン弁ハウジング管のピストン弁を押し上げ、その押圧棒がフロート排水弁を上方に押圧することにより、排水弁ハウジング管の排水口からチーズの枝管を介して、貯水容器の貯水を排水することができる。
【0020】
(間隙を有するピストン弁機構の動作)
本発明に係るバルブシステムは、間隙を有するピストン弁機構としてもよい。柱状容器(ピストン弁ハウジング管)の上底面には上面通水孔が設けられており、ピストン弁と柱状容器の内壁間には間隙が設けられているので、ピストン弁が下降すると、ピストン弁の下方の水は、間隙を介して、ピストン弁の上方に逃げることが可能である。従って、電磁バルブを閉鎖すると、電磁バルブとピストン弁間の水は、排水されずに、柱状容器(ピストン弁ハウジング管)内のピストンの下方に残ったままとなる。しかし、ピストン弁が重力により下降すると共に、ピストン弁の下方の水が間隙を介して上昇するので、上面通水孔を通じて柱状容器からチーズ内に通水し、貯水容器及び中空容器(排水弁ハウジング管)の排水口からの水と共に、枝管を介して排水される。このようにしてピストン弁は下降を続け、柱状容器の底面の位置に復帰することができる。
【0021】
(間隙を有するピストン弁機構)
このような間隙を有するピストン弁機構を採用した本発明に係るバルブシステムは、柱状容器(ピストン弁ハウジング管)内のピストンの気密性に注意を払わなくて済むため、そのピストン弁機構を簡易化することができ、低コスト化することができる。
【0022】
(間隙を有するピストン弁機構を採用のバルブシステム)
また、本発明に係るバルブシステムは、コンピュータにより電磁バルブを制御するのが好ましい。間隙を有するピストン弁機構を採用した本発明のバルブシステムは、特にコンピュータ制御による初期雨水排除向けに安価でシンプルな新しい構造の排水用バルブである。本バルブシステムは、初期雨水排除用の他にも、農業用等の比較的精度が低くとも良く、一方で悪条件下でもトラブルを起こしにくい安価な排水制御用途のバルブとして広く利用できる可能性がある。
【0023】
(集水機構と開閉センサ)
また、本発明に係るバルブシステムは、集水弁ハウジング管を貯水容器の集水口の外周縁部に取り付けてもよい。集水弁ハウジング管は、貯水容器の貯水がいっぱいになって、集水口から本体(集水弁収容容器)の内部に上昇すると、フロート集水弁が浮揚され、本体の上端の開口を塞ぐので、集水を停止することができる。一方、貯水容器の貯水が少くなれば、フロート集水弁が下降して、その下端部に埋め込んだ磁石が、集水口を横切るように取り付けた開閉センサに接触し、電気信号をコンピュータに送って、本体の集水可能を知らせることができる。
【0024】
(初期雨水除去装置)
本発明に係る初期雨水除去装置は、建造物の屋根と雨水タンクとの間に挿入され、建造物の屋根から集めた雨水を貯水容器に集水して初期雨水を取り除き、雨水タンクに清浄な雨水を貯水することができる。本発明の初期雨水除去装置は、上述したバルブシステムを装備しており、電磁バルブの開閉に応じて、ピストン弁が昇降し、貯水容器の貯水と排水を行うことができる。
【0025】
本発明の初期雨水除去装置において、貯水容器の集水口の外周縁部に固定された集水弁ハウジング管は、貯水容器の貯水が集水口に達しないと、フロート集水弁は集水口を横切って設置した開閉センサの位置まで下降しており、その下端部に埋め込んだ磁石が開閉センサに作用し、オンとなった開閉センサがコンピュータと通電する。一方、貯水容器の貯水が、集水口から集水弁収容容器の内部に上昇すると、フロート集水弁が浮揚され、磁石と離間した開閉センサがオフとなる。そして、フロート集水弁が集水弁収容容器の上端の開口を閉鎖するので、屋根から集まって分岐管を流れる雨水は集水管を通過し、清浄な雨水を雨水タンクへ貯水することができる。
【0026】
また、コンピュータは、開閉センサのオン・オフにより、貯水容器の貯水が集水口の位置まで達したか否かを検知すると共に、電磁バルブに開口信号又は閉口信号を送信して電磁バルブを開閉することができる。電磁バルブの開閉に応じて、ピストン弁が昇降するので、本発明の初期雨水除去装置は、上述のように、貯水容器の貯水と排水を行うことができる。
【0027】
このような本発明の初期雨水除去装置は、予め排水する回数Nをコンピュータにインプットし、予め定めた一定時間内にコンピュータがN回開口信号を電磁バルブに送信した場合は、(N+1)回の開口信号は送信しないようにすることができる。これにより、貯水容器に貯水された初期雨水はN回排水され、その後貯水容器に貯水されると、集水弁収容容器の上端の開口は閉鎖されるので、屋根などから集水して分岐管を流れる雨水は、以後集水管を通過し、雨水タンクに清浄な雨水を貯水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係るバルブシステムの正面模式図。
図2】本発明に係るバルブシステムの拡大正面模式図。
図3】本発明に係るバルブシステムにおいて、電磁バルブを開放して排水を行う際の動作を表す正面模式図であって、(a)電磁バルブを開放した直後のピストン弁とフロート排水弁の動作及び通水管の水の流れを表す正面模式図、(b)電磁バルブを開放から一定時間経過後のピストン弁とフロート排水弁の動作及び排水の様子を表す正面模式図。
図4】本発明に係るバルブシステムにおいて、電磁バルブを閉鎖して貯水を行う際の動作を表す正面模式図であって、(a)電磁バルブを閉鎖した直後のピストン弁とフロート排水弁の動作及び柱状容器(ピストン弁ハウジング管)内の水の流れを表す正面模式図、(b)電磁バルブを閉鎖から一定時間経過後のピストン弁とフロート排水弁の動作及び柱状容器(ピストン弁ハウジング管)内の水の流れを表す正面模式図。
図5】間隙を有するピストン弁機構を採用した本発明に係るバルブシステムにおいて、電磁バルブを閉鎖して貯水を行う際の動作を表す正面模式図であって、(a)電磁バルブを閉鎖した直後のピストン弁とフロート排水弁の動作及び柱状容器(ピストン弁ハウジング管)内の水の流れを表す正面模式図、(b)電磁バルブを閉鎖から一定時間経過後のピストン弁とフロート排水弁の動作及び柱状容器(ピストン弁ハウジング管)内の水の流れを表す正面模式図。
図6】本発明に係るバルブシステムの排水弁ハウジング管の、(a)平面図、(b)側面図、(c)裏面図、(d)上方斜視図、(e)下方斜視図。
図7】実施例に係るコンピュータの回路図。
図8】本発明に係る集水バルブシステムの集水弁ハウジング管の断面図。
図9】本発明に係る集水バルブシステムの集水弁ハウジング管の、(a)上方斜視図、(b)平面図、(c)裏面図、(d)下方斜視図、及び、(e)開閉センサの模式図。
図10】本発明に係るバルブシステムの応用例である初期雨水除去装置の正面模式図。
図11】本発明に係るバルブシステムの他の応用例である初期雨水除去装置の正面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明に係るバルブシステムの実施形態、実施例について説明する。なお、以下各図面を通して同一の構成要素には同一の符号を使用するものとする。

1.バルブシステム
【0030】
本発明に係るバルブシステム1は、図2に示すように、その底部100dに、排水弁により開閉可能な底部開口部102と底部通水孔104とが設けられた貯水容器100において、底部開口部102の下方に取り付けたチーズ50内に設置して、貯水容器100の排水及び貯水を行う。
【0031】
貯水容器100は、その底部100dに、底部開口部102と底部通水孔104とが設けられている。そして、上端部と下端部に夫々上端接続部52uと下端接続部52dが設けられた直線状の主管52と、主管52から枝分かれした枝管54とから成るチーズ50の上端接続部52uを、底部開口部102の下方に取り付けて、排水弁30を開閉することにより、底部開口部102からチーズ50を介して排水及び貯水を行う。
【0032】
バルブシステム1は、チーズ50の主管52の上端接続部52uに収容された中空の排水弁ハウジング管10と、チーズ50の主管52の下端接続部52dに収容され、底面21dに底面通水孔26を設けたピストン弁ハウジング管20と、貯水容器100の底部100dに設けた底部通水孔104とピストン弁ハウジング管20の底面通水孔26とを接続し、電磁バルブ6が装着された通水管40と、から構成される。
【0033】
排水弁ハウジング管10は、上端11uが開放され、内部に保持するフロート排水弁30により、下端11dに設けた排水口12を開閉可能である。また、ピストン弁ハウジング管20は、排水口12を介して、フロート排水弁30を上方に押圧するための押圧棒33を上端から突出させたピストン弁32を、内壁を案内として上下に昇降可能である。
【0034】
本発明に係るバルブシステム1は、電磁バルブ6を開放すると、通水管40に貯水容器100の貯水が通水してピストン弁ハウジング管20のピストン弁32を押し上げ、ピストン弁32の押圧棒33がフロート排水弁30を上方に押圧することにより、排水弁ハウジング管10の排水口12からチーズ50の枝管54を介して、貯水容器100の貯水が排水される。
【0035】
本発明に係るバルブシステム1は、例えば図10のように、貯水容器100の底部開口部102の下方に取り付けて、電磁バルブ6と通信可能なコンピュータ5や貯水容器100に配置した水位センサ250などと共に、初期雨水除去装置7を構成することができる。この初期雨水除去装置7は、集水口222が建造物1000の竪樋(雨樋)1011に取り付けられ、その屋根1002から集水した雨水から初期雨水を除去して、注水管1016から雨水タンク500の方向に清浄な雨水を取り出すことができる。

(1・1)実施形態1(排水弁を有するバルブシステム)
【0036】
本実施形態1において、本発明のバルブシステム1は、図11のように、集水口222を設けた上底部100uと底部100dと、その両者を接続する側部100sからなる貯水容器100に取り付けられる。
【0037】
(貯水容器及びチーズ)
図2において、本実施形態のバルブシステム1を設置するチーズ50は、上記と同様、その上端部と下端部に夫々上端接続部52uと下端接続部52dが設けられた直線状の主管52と、主管52から枝分かれした枝管54とから成る。貯水容器100は、底部開口部102の下方にチーズ50の上端接続部52uを取り付けて、フロート排水弁30を開閉することにより、チーズ50からの排水及び貯水を行うことができる。
【0038】
(構成要素;排水弁ハウジング管とピストン弁ハウジング管)
本実施形態に係るバルブシステム1は、このような貯水容器100において、図2に示すように、チーズ50の主管52の上端接続部52uに収容する排水弁ハウジング管10と、チーズ50の主管52の下端接続部52dに収容するピストン弁ハウジング管20と、ピストン弁ハウジング管20の底面21dと貯水容器100の底部100dに夫々設けた底面通水孔26、底部通水孔104を接続する通水管40と、通水管40に装着した電磁バルブ6と、を含んで構成される。
【0039】
(材料)
本実施形態のバルブシステム1の構成要素である排水弁ハウジング管10、ピストン弁ハウジング管20、通水管40を構成する材料は、プラスチック、金属などであるが、特に限定されず、通水管40に装着する電磁バルブ6も市販されているものでよく、特に限定されない。また、中空容器11(排水弁ハウジング管10)内に支持されたシリンダ13内を上下に昇降可能なフロート排水弁30は、水に浮くように形成され、排水口12が開放されて貯水容器100の貯水を排水する際は、その排水される中空容器11内の貯水に浮いて、排水口12を閉鎖しないように設計される。
【0040】
以下、これらの構成要素(排水弁ハウジング管10、ピストン弁ハウジング管20、通水管40、電磁バルブ6等)について、さらに詳細に説明する。
【0041】
(排水弁ハウジング管)
図2に示すように、チーズ50の主管52の上端接続部52uには、排水弁ハウジング管10を収容する。排水弁ハウジング管10は中空であり、本体11(下記する中空容器)の上端11uが開放され、内部に保持するフロート排水弁30により、本体(中空容器)11の下端11dに設けた排水口12を開閉可能である。なお、フロート排水弁30の形状は柱状が好ましいが、球状その他の形状でもよく、排水弁ハウジング管10内を昇降できれば特に限定されない。
【0042】
(ピストン弁ハウジング管)
また、チーズ50の主管52の下端接続部52dには、底面21dに底面通水孔26を設けたピストン弁ハウジング管20を収容する。ピストン弁ハウジング管20は、内壁を案内としてピストン弁32を上下に昇降可能である。このピストン弁32は、その上端から押圧棒33を突出させており、押圧棒33により、排水弁ハウジング管10の排水口12を介して、フロート排水弁30を上方に押圧することができる。
【0043】
(電磁バルブの動作)
電磁バルブ6が装着された通水管40は、このピストン弁ハウジング管20の底面通水孔26と、貯水容器100の底部100dに設けた底部通水孔104とを接続している。そして、図3(a)のように、電磁バルブ6を開放すると、通水管40に貯水容器100の貯水が通水してピストン弁ハウジング管20のピストン弁32を押し上げ、図3(b)のようにピストン弁32の押圧棒33がフロート排水弁30を上方に押圧することにより、排水弁ハウジング管10の排水口12から枝管54を介して、貯水容器100の貯水を排水することができる。
【0044】
以下の実施例1において、本発明に係るバルブシステム1について更に詳細に説明する。
【実施例0045】
実施例1に係るバルブシステム1は、上記のように構成され、貯水容器100の底部開口部102の下方に取り付けたチーズ50に収容されて、排水弁ハウジング管10のシリンダ(内壁)13内を上下に昇降可能なフロート排水弁30により、本体(中空容器)11の底面11dに設けた排水口12を開閉して、チーズ50を介して貯水容器100の貯水及び排水を行う。
【0046】
(排水弁ハウジング管)
実施例1に係るバルブシステム1の排水弁ハウジング管10は、図6に示すように、上端11uが開放され(図6(a)、(d)参照)、底面11dに排水口12が設けられた(図6(c)、(e)参照)中空容器11を本体とする。中空容器11の内壁から内径方向に突出した1又は複数のリブ15が(図6(a)、(b)、(d)、(e)参照)、中空容器11の底面11dと離間するようにシリンダ13を中空に支持している(図2参照)。すなわち、複数のリブ15は、シリンダ13を中空に支持するが、複数のリブ15の下端は底面11dには到達しておらず、底面11dとは離間している。フロート排水弁30は、シリンダ13内を上下に昇降して、排水口12を開閉することができる。
【0047】
(排水弁ハウジング管;底部空間)
排水弁ハウジング管10において、中空容器11は、上記のように、その内壁から突出した1又は複数のリブ15により支持するシリンダ13の下端13dと、中空容器11の底面11dとの間に底部空間17が形成されている(図2参照)。底部空間17におけるシリンダ13の下端と中空容器11の底面11d間の離間された距離は、シリンダ13内で上下に昇降可能なフロート排水弁30の鉛直長さより短く、フロート排水弁30がシリンダ13を下降して、その下端が中空容器11の底面11dに到達すると、排水口12を閉鎖することができる(図3(a)参照)。
【0048】
(排水弁ハウジング管)
このような排水弁ハウジング管10は、中空容器11の外壁から外径方向に突出した中空円状のフランジ16を、図2のように、貯水容器100の底部開口部102を囲繞してその底部100dの下方に取り付け可能である。また、フランジ16の下方をチーズ50の主管52の上端接続部52uに収容することができる。
【0049】
(排水弁ハウジング管;内壁空間)
上述のように、排水弁ハウジング管10において、中空容器11の内壁から突出した1又は複数のリブ15がシリンダ13を内部中空に支持しており、シリンダ13と中空容器11の内壁(及びリブ15)との間に内壁空間18が形成されている(図6(a)参照)。排水弁ハウジング管10は、この内壁空間18と上記底部空間17とを通じて、開放された中空容器11の上端から侵入した水を、その底面11dに設けた排水口12からチーズ50へ排水することができる。
【0050】
(排水弁ハウジング管;リブ、シリンダの上端)
排水弁ハウジング管10において、貯水容器100の底面100dに取り付けたフランジ16は、中空容器11の解放された上端11uから外形方向に突設されるのが好ましい。また、中空容器11の内壁から突出した1又は複数のリブ15の上方と、及び、このリブ15により支持するシリンダ13の上端13uが、フランジ16より上方に突出していてもよい(図2図6等参照)。
【0051】
(ピストン弁ハウジング管)
一方、ピストン弁ハウジング管20は、図2のように、上底面21uと底面21dに夫々上底孔23と底面通水孔26を有する柱状容器21を本体(21)とする。柱状容器21は、押圧棒33をその上端から上方に突出させたピストン弁32を内部に収容しており、ピストン弁32は柱状容器21の内壁を案内として上下に昇降可能である。そして、ピストン弁32の押圧棒33は、柱状容器21(ピストン弁ハウジング管20)の上底面21uに設けた上底孔23と、中空容器11(排水弁ハウジング管10)の底面11dに設けた排水口12を貫通して、フロート排水弁30の下端と当接することができる。
【0052】
(電磁バルブの開動作)
フロート排水弁30は、上記のようにその材質は特に限定されないが、水に浮くフロート式である。電磁バルブ6を閉状態から開放すると、図3(a)のように、貯水容器100の貯水が、電磁バルブ6の鉛直上方からピストン弁32方向に、通水管40に通水する。このため、柱状容器21(ピストン弁ハウジング管20)のピストン弁32は押し上げられ、その押圧棒33がフロート排水弁30を上方に押圧することにより、図3(b)のように、中空容器11(排水弁ハウジング管10)の排水口12からフロート排水弁30が開放される。そして、貯水容器100及び中空容器11(排水弁ハウジング管10)に貯水されていた水は、排水口12から枝管54を介して排水される。
【0053】
押圧棒33により上方に押圧されて、排水口12から開放されたフロート排水弁30は、図3(b)のように、排水される排水弁ハウジング管10中の貯水に浮いているため、押圧棒33に支持がなくても排水口12は開放状態となる。したがって、電磁バルブ6を開状態にして、フロート排水弁30を排水口12から解放した後は、速やかに電磁バルブ6を閉状態に戻してもよい。電磁バルブ6を閉状態に戻しても、排水口12は開放状態を維持するので、貯水容器100及び中空容器11内の水が無くなるまで、排水が継続する。
【実施例0054】
(三方バルブ)
図4(a)は、中空容器11の排水口12からチーズ50の枝管54方向へ排水中のバルブシステム1において(開状態)、電磁バルブ6を開状態から閉鎖した直後の閉状態を表す。本実施例2では、電磁バルブ6が三方バルブの場合に、電磁バルブ6の閉動作について説明する。
【0055】
(電磁バルブの閉動作1)
図4(a)において、ピストン弁32を押し上げていた電磁バルブ6からピストン弁32の直下までの通水管40内の水は、電磁バルブ6の鉛直下方の排水管42に流れるようになる。電磁バルブ6の鉛直上方の通水管40に流れる水は、電磁バルブ6によりストップされ、排水管42への排水により、柱状容器21のピストン弁32の直下の水位が下がり、図4(b)のようにピストン弁32が下降する。そして、ピストン弁32が柱状容器21(ピストン弁ハウジング管20)の底面21dまで下降する。しかし、この間、上記のように、フロート排水弁30は排水に浮いているため、中空容器11の排水口12は解放されており、排水口12からチーズ50の枝管54方向への排水は影響されない。
【0056】
(電磁バルブの閉動作2)
電磁バルブ6を開状態から閉鎖する際に、排水口12から枝管54方向へ排水が完了している場合は、図示しないが、フロート排水弁30の下方を押圧棒33が支持しており、チーズ50内の水は枝管54方向へ排出されて存在しない。電磁バルブ6を閉鎖すると、ピストン弁32が柱状容器21の底面21dまで下降すると共に、排水弁ハウジング管10のフロート排水弁30が下降して排水口12を閉鎖し、貯水容器100に貯水できるようになる。
【実施例0057】
(間隙を有するピストン弁機構)
実施例3に係るバルブシステム1は、以下に説明する、間隙を有するピストン弁機構としてもよい。図5(a)、(b)に示すように、実施例3に係るピストン弁ハウジング管20において、柱状容器21の上底面21uには上面通水孔24が設けられており、ピストン弁32と柱状容器21の内壁間には間隙34が設けられている。このような間隙34が設けられることにより、ピストン弁32が下降すると、ピストン弁32の下方の水は、間隙34を介して、ピストン弁32の上方に逃げることが可能になり、柱状容器21(ピストン弁ハウジング管20)内のピストン32の気密性に注意を払わなくて済むため、そのピストン弁機構を簡易化、低コスト化することができる。
【0058】
(電磁バルブの開動作)
実施例3に係る間隙を有するピストン弁機構において、電磁バルブ6は三方バルブである必要はなく、図5(a)のように電磁バルブ6を閉鎖すると、電磁バルブ6の鉛直上方の通水管40に流れる水は電磁バルブ6によりストップされ、電磁バルブ6の鉛直下方の排水管42に排水されなくてよい。従って、電磁バルブ6からピストン弁32の直下までの水は、柱状容器21(ピストン弁ハウジング管20)内のピストン32の下方に残ったままとなる。
【0059】
しかし、ピストン弁32には鉛直下方に重力が掛かり、自重により下降しようとする。実施例3に係る間隙を有するピストン弁機構においては、ピストン弁32と柱状容器21の内壁間には間隙34が設けられているため、ピストン弁32が重力により下降すると共に、ピストン弁32の下方の水が間隙34を通って上昇する。そして、ピストン弁32の上方に上昇した水は、図5(b)のように、上面通水孔24を通じて柱状容器21からチーズ50内に通水し、貯水容器100及び中空容器11(排水弁ハウジング管10)の排水口12からの水と共に、枝管54を介して排水され得る。あるいは、柱状容器21内のピストン弁32の上方に留まる。このようにしてピストン弁32は下降を続け、柱状容器21の底面21dの位置に復帰することができる。
【実施例0060】
(コンピュータ)
本発明に係るバルブシステム1は、電磁バルブ6をコンピュータ5により制御するのが望ましい。コンピュータ5は、図7に示すような簡単な回路と、送受信装置により構成することができる。
【0061】
本実施例4に係るバルブシステム1は、図10図11のように、通水管40に装着した電磁バルブ6と送受信可能なコンピュータ5を備え、コンピュータ5から送信された開口信号又は閉口信号を受信した電磁バルブ6が、通水管40を開放又は閉鎖することができる。

(1・2)実施形態2(フロート集水弁を有するバルブシステム)
【0062】
本実施形態2では、図11図8図9を参照して、貯水容器100の上底部100uに設けた集水口222を、フロート集水弁36により開閉し、開閉信号をコンピュータ5に送信するバルブシステム1について説明する。
【0063】
(集水弁ハウジング管)
本実施例5に係るバルブシステム1は、図11のように、水位センサ250、コンピュータ5、及び、貯水容器100の上底部100uに設けた集水口222に取り付けた集水弁ハウジング管60を含む。そして、貯水容器100に備えた水位センサ250は、上記コンピュータ5と通信を行う。
【0064】
集水弁ハウジング管60は、図8図9に示すように、上端61uと下端61dとが共に開口され、上端61uの開口直径が下端61dの開口直径より小さい集水弁収容容器61を本体61とする。本体61の下端61d近傍からは、集水口222に固定可能なフランジ64が外延され、本体61の上端61uには中空の接続管62が設けられている。
【0065】
また、本体(集水弁収容容器)61は、その内壁に突出して1又は複数のガイド61gが設けられており、フロート集水弁36が、このガイド61gに案内されて本体61の内部を昇降する。フロート集水弁36の断面直径は、本体61の上端61uの開口直径より大きく、フロート集水弁36が本体61内を上昇すると、上端61uの開口を閉鎖することができる。
【0066】
集水弁ハウジング管60は、フランジ64が貯水容器100の集水口222の外周縁部に固定されるが、図8においては、集水口222に被せられたキャップに固定されている。本体(集水弁収容容器)61の上端61uの開口から侵入した水は、本体61の内壁とフロート集水弁36との間隙に沿って、複数のガイド61g間を介して集水口222へ案内され、貯水容器100に貯水される。また、集水弁ハウジング管60は、集水口222から本体(集水弁収容容器)61の内部に上昇した貯水容器100の貯水により、フロート集水弁36が浮揚されて、集水弁収容容器61の上端61uの開口を塞ぐことができる。
【0067】
(開閉センサ)
このような集水弁ハウジング管60において(図8参照)、本体(集水弁収容容器)61の内部を昇降するフロート集水弁36の下端部に、磁石37を埋め込み、本体61の下端61dにリードスイッチ72を内蔵した開閉センサ70と作用させるのが好適である(図9(e)参照)。
【0068】
すなわち、図8のように、本体61の下端61dに、その内部にリードスイッチ72及びこれに接続した2本の導線74を内蔵した棒状の開閉センサ70を(図9(d)、(e)参照)、この下端61dの開口を横切って設置する。例えば、(図9(d)の開閉センサ嵌合溝701に、棒状の開閉センサ70を勘合させる。
【0069】
この開閉センサ70の2本の導線74は、コンピュータ5に接続する。そして、フロート集水弁36の下端部の磁石37が開閉センサ70に接触すると、そのリードスイッチ72が閉じることにより2本の導線74が通電し、コンピュータ5に電気信号を送ることができる。なお、開閉センサ70を使用する場合、上記した水位センサ250は不要である。

2.応用例(初期雨水除去装置)
【0070】
本節では、図1に示す、本発明に係るバルブシステム1を用いた初期雨水除去装置7について説明する。この初期雨水除去装置7は、上記図10図11と同様に、屋根1002から軒樋1010、集水管1014等を介して貯水容器100に集水した初期雨水を取り除き、注水管1016を介して雨水タンク500に清浄な水を貯水することができる。
【実施例0071】
本実施例5に係る初期雨水除去装置7は、図1のように、排水弁ハウジング管10、ピストン弁ハウジング管20、通水管40(図2図5参照)、コンピュータ5、集水弁ハウジング管60(図8図9参照)から構成される本発明に係るバルブシステム1を、貯水容器100に取り付けた装置である。本実施例に係る初期雨水除去装置7は、図1のように、フィルター1012から分岐した分岐管1013を分岐させ 集水管1014と注水管1016とを接続したため、貯水容器100に集水する雨水から、さらに大きなごみをフィルター1012により予め取り除くことができる。
【0072】
(初期雨水除去装置)
このような実施例5に係る初期雨水除去装置7は、建造物1000への降雨水を排水するために建造物1000の屋根1002の下方に取付けたフィルター1012と雨水タンク500とを中継し、フィルター1012から分岐した分岐管1013に、集水管1014により接続される。上述したように、初期雨水除去装置7は、図1のように、排水弁ハウジング管10、ピストン弁ハウジング管20、コンピュータ5、集水弁ハウジング管60等から構成されるバルブシステム1を、貯水容器100に装備している。そして、貯水容器100は、底部100dと、上底部100uと、両者を接続する側部100sとを有し、上底部100uに集水弁ハウジング管60を取り付けた集水口222を設け、その底部100dには、チーズ50の上端接続部52uを取り付ける底部開口部102と、底部通水孔104を具備する。
【0073】
(集水弁ハウジング管)
集水弁ハウジング管60は、図8のように、フランジ64が貯水容器100の集水口222の外周縁部に固定される。貯水容器100の貯水が集水口222に達しないと、フロート集水弁36は集水口222を横切って設置した開閉センサ70の位置まで下降しており、その下端部に埋め込んだ磁石37が開閉センサ70に接触あるいは作用し、開閉センサ70がオンとなってコンピュータ5と通電する。この状態において、コンピュータ5は、本体(集水弁収容容器)61が集水可能であることを検知することができる。
【0074】
一方、貯水容器100の貯水がいっぱいになって、集水口222から本体(集水弁収容容器)61の内部に上昇すると、フロート集水弁36が浮揚され、フロート集水弁36の下端部に埋め込んだ磁石37が開閉センサ70と非接触になり、開閉センサ70がオフとなる。そして、フロート集水弁36が更に上昇し、フロート集水弁36が本体61の上端61uの開口を閉鎖する。このため、コンピュータ5は、開閉センサ70と絶縁され、本体(集水弁収容容器)61の貯水が満杯であることを検知することができる。
【0075】
(排水弁ハウジング管)
また、本実施例5に係る初期雨水除去装置7において、バルブシステム1の電磁バルブ6が、排水弁ハウジング管10の排水口12(又は貯水容器100の底部開口部102)を開閉する方法は、上述の実施例1~実施例3で説明した通りである。底部開口部102の下方にチーズ50の上端接続部52uを取り付けて、この上端接続部52uに収容した中空容器11(排水弁ハウジング管10)の排水口12を、フロート排水弁30により開閉し、チーズ50からの排水及び貯水を行う。
【0076】
(集水弁ハウジング管)
貯水容器100とバルブシステム1とが構成する初期雨水除去装置7は、集水した雨水を貯水容器100の集水口222の位置まで貯水し、この貯水が集水口222から集水弁収容容器61(集水弁ハウジング管60)の内部に上昇すると、フロート集水弁36が浮揚され、集水弁収容容器61の上端61uの開口を閉鎖する。 そのため、分岐管1013を流れる雨水は 集水管1014を通過して、注水管1016に流れ込み、雨水タンク500へ貯水される。
【0077】
この初期雨水除去装置7が集水弁ハウジング管60に備える開閉センサ70は、上記のように、バルブシステム1が備えるコンピュータ5と送受信可能である。すばわち、コンピュータ5は、開閉センサ70のオン・オフにより、貯水容器100の貯水が集水口222の位置まで達したか否かを検知することができる。コンピュータ5は、開閉センサ70のオン・オフに応じて、電磁バルブ6に開口信号又は閉口信号を送信し、電磁バルブ6を開閉する。そして、電磁バルブ6の開閉に応じて、ピストン弁32が昇降し、貯水容器100の貯水と排水を行うことができる。
【0078】
初期雨水除去装置7において、貯水容器100の貯水を排水する回数は自由に決めることができる。予め排水する回数Nをコンピュータ5にインプットし、予め定めた一定時間内にコンピュータ5がN回開口信号を電磁バルブ6に送信した場合は、(N+1)回の開口信号は送信しない。これにより、貯水容器100に貯水された初期雨水はN回排水され、その後貯水容器100に貯水されると、集水弁収容容器61の上端61uの開口は閉鎖されるので、雨水タンク500に清浄な雨水を貯水することができる。
【0079】
以上、本発明のバルブシステムおよびその浄水方法について説明したが、本発明は上記実施形態や実施例に限定されるものではない。
【0080】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るバルブシステムは、初期雨水排除用の他、農業用等の比較的精度が低くとも良く、一方で悪条件下でもトラブルを起こしにくい安価な排水制御用途のバルブとして広く利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0082】
1:本発明に係るバルブシステム
5:コンピュータ
6:電磁バルブ
7;初期雨水除去装置
10:排水弁ハウジング管
11:中空容器
11u:上端
11d:底面
12:排水口
13:シリンダ
13c:蓋部
13u:上端
13d:下端
15:リブ
16:フランジ
17:底部空間
18:内壁空間
20:ピストン弁ハウジング管
21:柱状容器
21u:上底面
21d:底面
23:上底孔
24:上面通水孔
26:底面通水口
30:フロート排水弁
32:ピストン弁
33:押圧棒
34:間隙
36:フロート集水弁
37:磁石
40:通水管
42:排水管
50:チーズ
52:主管
52u:上端接続部
52d:下端接続部
54:枝管
60:集水弁ハウジング管
61:集水弁収容容器
61u:上端
61d:下端
61g:ガイド
62:接続管
64:フランジ
69:ボルト孔
70:開閉センサ
701:開閉センサ嵌合溝
72:リードスイッチ
74:導線
100:貯水容器
100u:上底部
100d:底部
100s:側部
102:底部開口部
104:底部通水孔
222:集水口
224:注水口
250:水位センサ
500:雨水タンク
1000:建造物
1002:屋根
1010:軒樋
1011:竪樋(雨樋)
1012:フィルター
1013:分岐管
1014:集水管
1016:注水管

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11