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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085439
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】鉄筋ユニットの先組・保管方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20240620BHJP
   E04C 5/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
E04G21/12 105D
E04G21/12 105A
E04C5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199870
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】三日市 正晃
(72)【発明者】
【氏名】柴田 祐丞
(72)【発明者】
【氏名】藤本 司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 基樹
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】小菅 駿佑
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA01
2E164BA42
2E164CB11
2E164CB25
2E164CB29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】狭小地においても、多くの鉄筋ユニットを能率良く先組して合理的に保管できるようにして、多くの鉄筋ユニットを使用して構築される建物の施工性を向上させる。
【解決手段】先組用架台10に、左右の支柱部材11に上下方向に一定ピッチで備えた複数段の取付部11aに着脱自在に取り付けられる複数の鉄筋支持部材16を備え、所定ピッチで一列に配置された複数の先組用架台10に対して、同じ高さの取付部11aに鉄筋支持部材16を取り付ける鉄筋支持部材取り付け工程と、同じ高さの鉄筋支持部材16上に所定本数の鉄筋1を所定ピッチで配筋しつつ鉄筋1を複数の鉄筋連結部材2で連結して鉄筋ユニットUを先組する鉄筋ユニット先組工程とを、最下段の取付部11aから順に行うことで、複数の先組用架台10に対して、複数の鉄筋ユニットUを、複数段に積み上げた状態で先組するとともに最上段の鉄筋ユニットUから順に取り出し可能に保管する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の先組用架台を使用して鉄筋ユニットを先組・保管する鉄筋ユニットの先組・保管方法であって、
前記先組用架台には、その左右一対の支柱部材に上下方向に一定ピッチで備えられた複数段の取付部に対して着脱自在に取り付けられる複数の鉄筋支持部材が備えられ、
所定ピッチで一列に配置された複数の前記先組用架台に対して、同じ高さの前記取付部に前記鉄筋支持部材を取り付ける鉄筋支持部材取り付け工程と、同じ高さの前記鉄筋支持部材上に所定本数の鉄筋を所定ピッチで配筋しながら、当該鉄筋を複数の鉄筋連結部材で連結して前記鉄筋ユニットを先組する鉄筋ユニット先組工程とを、最下段の取付部から順に行うことにより、複数の前記先組用架台に対して、複数の前記鉄筋ユニットを、複数段に積み上げた状態で先組するとともに、最上段の鉄筋ユニットから順に取り出し可能に保管する鉄筋ユニットの先組・保管方法。
【請求項2】
最上段以外での前記鉄筋ユニット先組工程を終えるごとに、当該鉄筋ユニット先組工程にて先組された前記鉄筋ユニット上に足場板を載置する足場板載置工程が含まれている請求項1に記載の鉄筋ユニットの先組・保管方法。
【請求項3】
前記先組用架台における前記支柱部材の上端部には、揚重用の玉掛け部が備えられ、
前記先組用架台には、当該先組用架台が所定ピッチで一列に配置された状態での架台連結部材による一体連結を可能にする連結部材が備えられている請求項1又は2に記載の鉄筋ユニットの先組・保管方法。
【請求項4】
前記先組用架台には、その複数を前記架台連結部材で連結してユニット化した状態での上下方向への積み重ね載置を可能にする積み重ね載置部が備えられている請求項3に記載の鉄筋ユニットの先組・保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の先組用架台を使用して鉄筋ユニットを先組・保管する鉄筋ユニットの先組・保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、柱筋を本来の配筋位置以外で組み立てる柱筋の地組方法において、一定間隔を置いて配置される一対の鉄筋組立架台と、当該鉄筋組立架台の支柱に着脱自在にピン連結される複数段のカンザシとを備え、各鉄筋組立架台に対して、それらの下段から順に、カンザシを取り付けながら当該カンザシ上に所定数の主筋を配筋して、多数の主筋を所定ピッチで縦横に配筋した後、配筋した主筋の所定位置に複数のフープ筋を配筋して柱筋(鉄筋ユニット)を地組し、地組した柱筋を補強治具で補強した後、揚重して建て込み位置に配置する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2733130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の地組方法は、前述した一対の鉄筋組立架台と複数段のカンザシとを使用して、各主筋を縦横の所定位置に配筋し易くすることなどにより、柱筋(鉄筋ユニット)の地組を能率良く行えるようにするものである。又、地組した柱筋を、その都度、揚重して建て込み位置に配置するものであることから、地組した柱筋の保管については何の考慮もなされていないものである。
【0005】
ところで、一般的に鉄筋ユニットを先組する場合には、建築現場の敷地内に組立ヤードとストックヤードとを確保し、組立ヤードで先組した鉄筋ユニットを、順次、ストックヤードに保管できるようにすることで、できるだけ多くの鉄筋ユニットを次々と能率良く先組して保管できるようにすることが考えられている。
【0006】
しかしながら、建築現場がその敷地内に組立ヤードとストックヤードとを確保することが難しい狭小地であると、鉄筋ユニットの先組は行えたとしても、保管できる鉄筋ユニットの数が制限されることから、多くの鉄筋ユニットを次々と能率良く先組して保存しておくことが難しくなる。
【0007】
そのため、狭小地にて、多くの鉄筋ユニットを使用して構築される建物を施工する場合の施工性の向上を図る上において改善の余地がある。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、狭小地においても、多くの鉄筋ユニットを能率良く先組して合理的に保管できるようにすることで、多くの鉄筋ユニットを使用して構築される建物の施工性の向上を図れるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、複数の先組用架台を使用して鉄筋ユニットを先組・保管する鉄筋ユニットの先組・保管方法であって、
前記先組用架台には、その左右一対の支柱部材に上下方向に一定ピッチで備えられた複数段の取付部に対して着脱自在に取り付けられる複数の鉄筋支持部材が備えられ、
所定ピッチで一列に配置された複数の前記先組用架台に対して、同じ高さの前記取付部に前記鉄筋支持部材を取り付ける鉄筋支持部材取り付け工程と、同じ高さの前記鉄筋支持部材上に所定本数の鉄筋を所定ピッチで配筋しながら、当該鉄筋を複数の鉄筋連結部材で連結して前記鉄筋ユニットを先組する鉄筋ユニット先組工程とを、最下段の取付部から順に行うことにより、複数の前記先組用架台に対して、複数の前記鉄筋ユニットを、複数段に積み上げた状態で先組するとともに、最上段の鉄筋ユニットから順に取り出し可能に保管する点にある。
【0010】
本構成によると、1つの鉄筋ユニットを平置きすることが可能な程度の比較的狭い作業エリアのいくつかを確保することができれば、それらの作業エリアごとに複数の先組用架台を所定ピッチで一列に配置し、配置した複数の先組用架台に対して、それらの最下段から順に、鉄筋支持部材取り付け工程と鉄筋ユニット先組工程とを行うことにより、複数の鉄筋ユニットを、各作業エリアにおいて先組用架台の最下段から順に先組しながら複数段に積み上げた状態で保管していくことができる。これにより、狭小地においても、多くの鉄筋ユニットを合理的に先組して保管することが可能なる。
そして、保管した鉄筋ユニットを使用する場合には、最上段の鉄筋ユニットから順に取り出していくことができ、これにより、例えば、各鉄筋ユニットを、それらの据え付け順位から逆算して先組して保管するようにすれば、各鉄筋ユニットの取り出しを据え付け順位に従ってスムーズに行うことができる。
その結果、狭小地においても、多くの鉄筋ユニットを能率良く先組して合理的に保管することが可能になり、多くの鉄筋ユニットを使用して構築される建物の施工性を向上させることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、最上段以外での前記鉄筋ユニット先組工程を終えるごとに、当該鉄筋ユニット先組工程にて先組された前記鉄筋ユニット上に足場板を載置する足場板載置工程が含まれている点にある。
【0012】
本構成によると、先組用架台に対して最下段の鉄筋ユニットから順に先組されるごとに、先組された鉄筋ユニット上に足場板が載置されて、体勢を安定させ易い足場が形成されることになる。これにより、先組用架台の上段側で鉄筋支持部材取り付け工程や鉄筋ユニット先組工程を行うときの作業姿勢を安定させることができ、上段側での鉄筋支持部材の取り付けや鉄筋ユニットの先組を安定した作業姿勢で能率良く行うことができる。
その結果、先組用架台に対して最下段の鉄筋ユニットから順に先組していくときの施工性を向上させることができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記先組用架台における前記支柱部材の上端部には、揚重用の玉掛け部が備えられ、
前記先組用架台には、当該先組用架台が所定ピッチで一列に配置された状態での架台連結部材による一体連結を可能にする連結部材が備えられている点にある。
【0014】
本構成によると、複数の先組用架台を使用して複数段に先組して保管された複数の鉄筋ユニットをまとめて移動させる場合には、所定ピッチで一列に配置された複数の先組用架台を架台連結部材で連結してユニット化することが可能になる。そして、このように複数の先組用架台をユニット化することにより、各先組用架台に備えた揚重用の玉掛け部を使用して、各先組用架台をクレーンなどの揚重機に玉掛けすれば、当該揚重機にて、複数の鉄筋ユニットを複数の先組用架台に複数段に積み上げて保管した状態のまま、トレーラ上や鉄筋ユニットの据え付け位置に近い仮置き位置などに一挙に揚重移動させることができる。
そして、このような揚重移動が可能になることにより、各鉄筋ユニットを、それらの据え付け順位から逆算して複数の先組用架台に先組保管しておけば、移動先においても、各鉄筋ユニットの取り出しを据え付け順位に従ってスムーズに行うことができる。
その結果、鉄筋ユニットを先組する作業エリアと鉄筋ユニットの据え付け位置とが離れていて、複数の鉄筋ユニットを揚重機やトレーラなどを使用して据え付け位置近くの仮置き位置などに移動させる必要がある場合には、その移動や移動後の各鉄筋ユニットの据え付けを能率良く行うことができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記先組用架台には、その複数を前記架台連結部材で連結してユニット化した状態での上下方向への積み重ね載置を可能にする積み重ね載置部が備えられている点にある。
【0016】
本構成によると、複数の鉄筋ユニットが複数段に積み上げて保管された状態の先組用架台を、上下方向に複数段に積み重ねた状態で保管することが可能になる。
その結果、狭小地においても、より多くの鉄筋ユニットを能率良く先組して合理的に保管することが可能になり、多くの鉄筋ユニットを使用して構築される建物の施工性をより効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】鉄筋ユニットの組立ヤードでの先組用架台設置工程などを示す概略平面図
図2】先組用架台の構成を示す平面図
図3】鉄筋支持部材を取り付けた状態の先組用架台の構成を示す正面図
図4】先組用架台の構成を示す側面図
図5】鉄筋支持部材取り付け工程を示す先組用架台の垂直断面正面図
図6】鉄筋ユニット先組工程を示す先組用架台の正面図
図7】足場板載置工程にて足場板を鉄筋ユニット上に載置した状態での鉄筋ユニット先組工程を示す先組用架台の要部側面図
図8】先組用架台を使用して先組した鉄筋ユニットの保管状態を示す側面図
図9】先組用架台を上下に積み重ねた鉄筋ユニットの保管状態を示す要部の側面図
図10】鉄筋ユニットの先組・保管方法での作業工程を示すフローチャート
図11】先組用架台ごと鉄筋ユニットを揚重する揚重工程を示す側面図(a)と平面図(b)
図12】鉄筋ユニットを先組用架台から取り出して揚重する揚重工程を示す正面図
図13】鉄筋ユニットを先組用架台から取り出して揚重する揚重工程を示す側面図
図14】鉄筋ユニットの据え付け工程を示す要部の正面図
図15】鉄筋支持部材取り外し工程を示す先組用架台の正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明に係る鉄筋ユニットの先組・保管方法を、多くの鉄筋ユニットを使用して構築される建物における鉄筋コンクリート壁の壁鉄筋に使用される鉄筋ユニットの一例である縦筋ユニットの先組・保管に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、本発明に係る鉄筋ユニットの先組・保管方法は、上記の縦筋ユニット以外に、例えば、壁鉄筋に使用される鉄筋ユニットの一例である横筋ユニット、又は、鉄筋コンクリート梁の梁鉄筋に使用される鉄筋ユニットの一例である梁筋ユニット、などの先組・保管に適用することができる。
【0019】
本実施形態で例示する建物の建築現場は、その敷地内に縦筋ユニットの組立ヤードとストックヤードとを確保することが難しい狭小地であり、そのため、当該建築現場の敷地内には、図1に示すように、鉄筋ユニットの一例である縦筋ユニットUのストックヤードを兼ねる縦筋ユニットUの組立ヤードYが確保されている。組立ヤードYには、1つの縦筋ユニットUを平置きすることが可能な程度の比較的狭い作業エリアAのいくつかが確保されている。
【0020】
各作業エリアAには4台で一組の先組用架台10が所定ピッチで一列に配置されている。つまり、本実施形態においては、4台の先組用架台10を使用して縦筋ユニットUを先組・保管する鉄筋ユニットの先組・保管方法が例示されている。
尚、鉄筋ユニットの先組・保管方法としては、4台以外の例えば3台又は5台などの複数の先組用架台10を使用して縦筋ユニットUを先組・保管するものであってもよい。
【0021】
図2~8に示すように、各先組用架台10は、一定ピッチで対向する左右一対の支柱部材11と、当該支柱部材11の下端部間に架設される第1架設部材12と、支柱部材11の下端部から前方又は後方に張り出す4本の張出部材13と、第1架設部材12と張出部材13とにわたって架設される4本の第2架設部材14と、支柱部材11と張出部材13とにわたる4枚のリブプレート15とを溶接接合して構成されている。
【0022】
図3~5に示すように、各先組用架台10には、左右一対の支柱部材11に上下方向に一定ピッチで備えられた複数段の取付部11aに対して着脱自在に取り付けられる複数の鉄筋支持部材16が備えられている。各鉄筋支持部材16には円形鋼管が使用されており、それらの両端部には、周方向の同じ位置から同じ方向に突出する抜止片16aが溶接接合されている。
尚、鉄筋支持部材16としては、それらの両端部に抜止片16aが溶接接合されたものに代えて、例えば、それらの両端部に抜止ピンが抜き差しされる貫通孔が形成されたものであってもよい。
【0023】
図2~7に示すように、各先組用架台10の各支柱部材11には溝形鋼が使用されており、左右一対の支柱部材11は、それらのウェブ11Aが対向するように配置されている。各支柱部材11のウェブ11Aには、複数段の取付部11aとして、前述した鉄筋支持部材16の抜き差しが可能な鍵穴状に形成された5つの貫通孔11aが上下方向に一定ピッチで備えられている。各支柱部材11におけるウェブ11Aの上端部には、揚重用の玉掛け部として円形に形成された単一の貫通孔11bが備えられている。
尚、支柱部材11には、溝形鋼に代えて、例えばH形鋼や山形鋼などを使用することができる。又、複数段の取付部11aとして、5つ以外の複数の貫通孔11aが上下方向に一定ピッチで備えられたものや、複数の貫通孔11aに代えて、例えば複数のフック部材などが上下方向に一定ピッチで備えられたものを使用することができる。
【0024】
図2図4に示すように、各先組用架台10の第1架設部材12には溝形鋼が使用されており、第1架設部材12は、その両端部が支柱部材11のウェブ11Aを貫通する状態で各先組用架台10に備えられている。図4図7に示すように、第1架設部材12の左右両端部には、4台の先組用架台10が所定ピッチで一列に配置された状態での左右の架台連結部材20による一体連結を可能にする連結部材17が備えられている。左右の架台連結部材20には、4台の先組用架台10にわたる長さを有する円形鋼管が使用されており、左右の連結部材17には、第1架設部材12と架台連結部材20との連結を可能にするキャッチクランプなどが使用されている。
尚、第1架設部材12には、溝形鋼に代えて、例えばH形鋼や山形鋼などを使用することができる。
【0025】
図2~4に示すように、各先組用架台10の各張出部材13には溝形鋼が使用されており、各張出部材13は、それらの一端部が支柱部材11におけるフランジ11Bの下端部に溶接接合されている。各先組用架台10の各第2架設部材14には山形鋼が使用されており、各第2架設部材14は、第1架設部材12と張出部材13とに架設されることでそれらの水平方向の変位を拘束している。
尚、張出部材13には、溝形鋼に代えて、例えばH形鋼や山形鋼などを使用することができる。第2架設部材14には、山形鋼に代えて、例えば溝形鋼などを使用することができる。
【0026】
図2~4、図9に示すように、各先組用架台10には、4台の先組用架台10を左右の架台連結部材で連結してユニット化した状態での上下方向への積み重ね載置を可能にする積み重ね載置部18が備えられている。積み重ね載置部18は、各支柱部材11の上下両端部と、各支柱部材11の上端部から上方に突出する一対の係合部18Aとから構成されている。一対の係合部18Aには丸棒鋼材が使用されており、一対の係合部18Aは、各支柱部材11における溝内の一対の隅部に溶接接合されている。そして、図9に示すように、ユニット化された先組用架台10が上下に積み重ね載置される際には、下側の先組用架台10に備えられた各係合部18Aが、上側の先組用架台10に備えられた各支柱部材11の溝内における支柱部材11と第1架設部材12との隙間に入り込むことにより、下側の先組用架台10に対する上側の先組用架台10の位置ズレが防止される。
【0027】
本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法には、図10のフローチャートなどに示すように、第1工程S1としての先組用架台設置工程(図1参照)と、第2工程S2としての鉄筋支持部材取り付け工程(図5参照)と、第3工程S3としての鉄筋ユニット先組工程(図1図6~8参照)とが含まれている。
【0028】
第1工程S1の先組用架台設置工程においては、図1に示すように、組立ヤードYに確保されている各作業エリアAに4台で一組の先組用架台10を所定ピッチで一列に配置する。具体的には、各作業エリアAにおいて、4台の先組用架台10を、縦筋(鉄筋の一例)1の長さ方向となる先組用架台10の前後方向に所定ピッチで一列に配置する。そして、各先組用架台10に備えられた左右の連結部材17を使用して、所定ピッチで一列に配置した4台の先組用架台10を左右の架台連結部材20で連結する(図8参照)。これにより、4台の先組用架台10をユニット化しておくことができる。
尚、各作業エリアAにおける各先組用架台10の配置間隔は、作業エリアAの先組用架台10を使用して先組される縦筋ユニットUを壁鉄筋として使用する鉄筋コンクリート壁の高さや、鉄筋コンクリート壁に備えられる開口の位置や大きさなどに応じて適宜変更されるものである。
【0029】
第2工程S2の鉄筋支持部材取り付け工程においては、図5~8に示すように、作業エリアAごとに所定ピッチで一列に配置された4台の先組用架台10に対して、同じ高さの貫通孔(取付部)11aに鉄筋支持部材16を取り付ける。具体的には、作業エリアAの各先組用架台10に対して、それらを使用した縦筋ユニットUの先組が始めて行われる場合は、各先組用架台10の左右の支柱部材11に備えられた5つの貫通孔11aのうち、最下段の貫通孔11aに鉄筋支持部材16を刺し通して、各先組用架台10の最下段位置に鉄筋支持部材16を取り付ける。縦筋ユニットUの先組が2回目以降の場合は、左右の支柱部材11における未使用の貫通孔11aのうちの最下位の貫通孔11aに鉄筋支持部材16を刺し通して、各先組用架台10における未使用段の最下位段に鉄筋支持部材16を取り付ける。各鉄筋支持部材16は、それらの両端部に備えられた抜止片16aが上向きになる姿勢で各先組用架台10の貫通孔11aに刺し通された後、抜止片16aが自重で下向きになるように回動することで、各先組用架台10の貫通孔11aからの抜け止めが行われる。
【0030】
第3工程S3の鉄筋ユニット先組工程においては、図1図6~8に示すように、鉄筋支持部材取り付け工程にて各先組用架台10に取り付けられた同じ高さの鉄筋支持部材16上に所定本数の縦筋(鉄筋の一例)1を所定ピッチで配筋しながら、それらの縦筋1を複数の鉄筋連結部材2で連結して縦筋ユニットUを先組する。鉄筋連結部材2には山形鋼が使用されており、鉄筋連結部材2の各所定位置には、鉄筋支持部材16上に所定ピッチで配筋された縦筋1のUボルト3やナット4などによる固定を可能にする2つ一組の貫通孔(図示せず)が形成されている。
尚、鉄筋支持部材16上に配筋される縦筋1の本数、長さ、配筋ピッチ、鉄筋連結部材2の本数、長さ、配置、及び、貫通孔の配置や組数などは、鉄筋支持部材16上で先組される縦筋ユニットUの幅寸法や、当該縦筋ユニットUを壁鉄筋として使用する鉄筋コンクリート壁に備えられる開口の位置や大きさなどに応じて適宜変更されるものである。鉄筋連結部材2には、山形鋼に代えて、例えばフラットバーや溝形鋼などを使用することができる。
【0031】
つまり、本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法においては、図1に示すように、各作業エリアAに4台で一組の先組用架台10を所定ピッチで一列に配置する先組用架台設置工程を行った後、図5~8に示すように、所定ピッチで一列に配置された4台の先組用架台10に対して、同じ高さの貫通孔11aに鉄筋支持部材16を取り付ける鉄筋支持部材取り付け工程と、同じ高さの鉄筋支持部材16上に所定本数の縦筋1を所定ピッチで配筋しながら、それらの縦筋1を複数の鉄筋連結部材2で連結して縦筋ユニットUを先組する鉄筋ユニット先組工程とを、最下段の貫通孔11aから順に行うことにより、4台の先組用架台10に対して、5つの縦筋ユニットUを、5段に積み上げた状態で先組するようにしながら、最上段の縦筋ユニットUから順に取り出し可能に保管するようにしている。
【0032】
図10のフローチャートに示すように、鉄筋ユニット先組工程には、最上段以外での鉄筋ユニット先組工程を終えるごとに、次の鉄筋ユニット先組工程を行い易くするために、鉄筋ユニット先組工程にて先組された縦筋ユニットU上に足場板21(図7参照)を載置する足場板載置工程が含まれている。足場板21には、その持ち運びや縦筋ユニットU上への載置などを容易にするために、複数の鋼線材にて網板状に形成されることで、高い強度を確保しながら軽量化が図られたものが使用されている。
尚、本実施形態では、足場板載置工程が鉄筋ユニット先組工程に含まれるものを例示したが、足場板載置工程は、最下段以外での鉄筋支持部材取り付け工程を始める前(最上段以外での鉄筋ユニット先組工程を終えるごと)に、鉄筋ユニット先組工程にて先組された縦筋ユニットU上に足場板21が載置されるように鉄筋支持部材取り付け工程に含まれたものであってもよい。足場板21には、鋼板製のものやエキスパンドメタル製のものなどを使用することができる。
【0033】
以上の通り、本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法によると、例えば、建築現場の敷地内に、1つの縦筋ユニットUを平置きすることが可能な程度の比較的狭い作業エリアAのいくつかを確保することができれば、前述した先組用架台設置工程を行った後、各作業エリアAに配置した4台の先組用架台10に対して、それらの最下段から順に、前述した鉄筋支持部材取り付け工程と鉄筋ユニット先組工程とを行うことにより、複数の縦筋ユニットUを、各作業エリアAにおいて先組用架台10の最下段から順に先組しながら5段に積み上げた状態で保管していくことができる。これにより、狭小地においても、多くの縦筋ユニットUを合理的に先組して保管することが可能なる。
【0034】
そして、保管した縦筋ユニットUを使用する場合には、最上段の縦筋ユニットUから順に取り出していくことができ、これにより、例えば、各縦筋ユニットUを、それらの据え付け順位から逆算して先組して保管するようにすれば、各縦筋ユニットUの取り出しを据え付け順位に従ってスムーズに行うことができる。
【0035】
その結果、狭小地においても、多くの縦筋ユニットUを能率良く先組して合理的に保管することが可能になり、多くの縦筋ユニットUを使用して構築される建物の施工性を向上させることができる。
【0036】
尚、例えば、縦筋ユニットUとして幅寸法や縦筋1の配筋ピッチなどが異なる複数種類のものを先組する場合には、その種類ごとに専用の作業エリアAを確保するようにしてもよい。
【0037】
又、本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法には、最上段以外での鉄筋ユニット先組工程を終えるごとに、当該鉄筋ユニット先組工程にて先組された縦筋ユニットU上に足場板21を載置する足場板載置工程が含まれていることにより、各先組用架台10に対して最下段の縦筋ユニットUから順に先組されるごとに、先組された縦筋ユニットU上に足場板21が載置されて、体勢を安定させ易い足場が形成されることになる。これにより、各先組用架台10の上段側で鉄筋支持部材取り付け工程や鉄筋ユニット先組工程を行うときの作業姿勢を安定させることができ、上段側での各鉄筋支持部材16の取り付けや縦筋ユニットUの先組を安定した作業姿勢で能率良く行うことができる。
【0038】
その結果、各先組用架台10に対して最下段の縦筋ユニットUから順に先組していくときの施工性を向上させることができる。
【0039】
次に、図11~15に基づいて、本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法を適用して組立ヤードYにて先組・保管した縦筋ユニットUを所定の据え付け位置Paに据え付ける鉄筋ユニット据え付け作業について説明する。
【0040】
本実施形態で例示する建物の建築現場においては、その敷地内に確保した縦筋ユニットUの組立ヤードY(図1図8参照)と縦筋ユニットUの据え付け位置Pa(図14参照)とが離れていることから、組立ヤードYにて先組・保管した各縦筋ユニットUを所定の据え付け位置Paに据え付けるためには、組立ヤードYにて先組・保管した複数の縦筋ユニットUを、組立ヤードYなどに設置したクレーンなどの揚重機C1(図1参照)や図外のトレーラなどを使用して据え付け位置Pa近くの仮置き位置Pb(図11~13参照)に搬出する必要がある。そのため、本実施形態で例示する鉄筋ユニット据え付け作業には、組立ヤードYにて先組・保管した複数の縦筋ユニットUを揚重機C1やトレーラなどを使用して仮置き位置Pbに搬出する鉄筋ユニット搬出工程と、仮置き位置Pbに搬出した縦筋ユニットUを仮置き位置Pbに設置したクレーンなどの揚重機C2などを使用して個別に揚重して所定の据え付け位置Paに据え付ける鉄筋ユニット据え付け工程とが含まれている。
【0041】
鉄筋ユニット搬出工程を行うにあたり、本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法においては、前述したように、各先組用架台10における各支柱部材11の上端部に揚重用の貫通孔11bが備えられている。又、第1工程S1の先組用架台設置工程において、所定ピッチで一列に配置した4台の先組用架台10が、それらに備えられた左右の連結部材17を使用して、左右の架台連結部材20にて一体連結されてユニット化されている。これにより、鉄筋ユニット搬出工程においては、図1図11に示すように、各先組用架台10に備えた揚重用の貫通孔11bを使用して、各先組用架台10を、揚重機C1の吊り具Caに第1吊り具ユニット30を介して玉掛けすれば、揚重機C1にて、5つの縦筋ユニットUを4台の先組用架台10に5段に積み上げて保管した状態のまま、図外のトレーラ上や仮置き位置Pbなどに一挙に揚重移動させることができる。
【0042】
そして、このような揚重移動が可能になることにより、各縦筋ユニットUを、それらの据え付け順位から逆算して4台の先組用架台10に先組保管しておけば、仮置き位置Pbに4台の先組用架台10ごと揚重移動させた後においても、4台の先組用架台10からの各縦筋ユニットUの取り出しを据え付け順位に従ってスムーズに行うことができる。
【0043】
その結果、縦筋ユニットUを先組する組立ヤードY(図1図8参照)と縦筋ユニットUの据え付け位置Pa(図14参照)とが離れていて、複数の縦筋ユニットUを揚重機C1やトレーラなどを使用して据え付け位置Pa近くの仮置き位置Pb(図11~13参照)に移動させる必要がある場合には、その移動や移動後の各縦筋ユニットUの据え付けを能率良く行うことができる。
【0044】
その上、本実施形態で例示する鉄筋ユニットの先組・保管方法においては、前述したように、各先組用架台10には、それらを架台連結部材20で連結してユニット化した状態での上下方向への積み重ね載置を可能にする積み重ね載置部18が備えられていることにより、図9に示すように、各作業エリアAにおいて、5つの縦筋ユニットUが5段に積み上げて保管された状態の4台の先組用架台10を、上下方向に複数段に積み重ねた状態で保管することが可能になる。
【0045】
その結果、狭小地においても、より多くの縦筋ユニットUを能率良く先組して合理的に保管することが可能になり、多くの縦筋ユニットUを使用して構築される建物の施工性をより効果的に向上させることができる。
【0046】
図11に示すように、第1吊り具ユニット30には、ユニット化された4台の先組用架台10の吊り姿勢を水平に保つ吊り治具としてのトラバーサ31と、このトラバーサ31を揚重機C1の吊り具Caに吊下げ支持させる2本の第1ワイヤーロープ32と、トラバーサ31に各先組用架台10を吊下げ支持させる8本の第2ワイヤーロープ33などが備えられている。トラバーサ31は、ユニット化された各先組用架台10にわたる長さを有するH形鋼からなる単一の第1部材31Aと、各先組用架台10の左右幅と略同じ長さを有するH形鋼からなる複数の第2部材31Bとを、各第2部材31Bがユニット化された各先組用架台10の配置間隔に対応するように接合することで構成されている。第1部材31Aの両端部には、揚重機C1の吊り具Caに第1ワイヤーロープ32を介して玉掛けされる第1玉掛け部31aが備えられている。各第2部材31Bの両端部には、先組用架台10における各支柱部材11の上端部に備えられた揚重用の貫通孔11bに第2ワイヤーロープ33を介して玉掛けされる第2玉掛け部31bが備えられている。
【0047】
図12~15に示すように、鉄筋ユニット据え付け工程には、縦筋ユニットUに備えられた複数の鉄筋連結部材2のうち、設置姿勢で最上位になる鉄筋連結部材2を揚重機C2の吊り具Cbに第2吊り具ユニット40を介して玉掛けする玉掛け工程(図12~13参照)と、玉掛けした縦筋ユニットUを揚重機C2にて揚重して、4台の先組用架台10から設置姿勢で取り出すとともに、取り出した縦筋ユニットUを、設置姿勢のまま所定の据え付け位置Paまで揚重移動させる揚重工程(図13~14参照)と、据え付け位置Paまで揚重移動させた縦筋ユニットUを所定の据え付け位置Paに据え付ける据え付け工程(図14参照)と、取り出した縦筋ユニットUを支持していた4本の鉄筋支持部材16を各先組用架台10から取り外して、次段の縦筋ユニットUの取り出しを可能にする鉄筋支持部材取り外し工程(図15参照)とが含まれている。
【0048】
図12~13に示すように、第2吊り具ユニット40には、縦筋ユニットUの吊り姿勢を水平に保つ吊り治具としてのトラバーサ41と、このトラバーサ41を揚重機C2の吊り具Cbに吊下げ支持させる2本の第1ワイヤーロープ42と、トラバーサ41に縦筋ユニットUを吊下げ支持させる2本の第2ワイヤーロープ43などが備えられている。
【0049】
図14に示すように、据え付け工程においては、揚重機C2にて所定の据え付け位置Paに揚重移動させた縦筋ユニットUのいずれかの縦筋1の上端部が、据え付け位置Paの縦筋ユニットUを支持する鉄筋支持架台50の縦筋ユニット支持部材51にUボルト52やナット53などで固定される。又、縦筋ユニットUの各縦筋1の下端部が、縦筋ユニットUの据え付け位置Paに先に所定ピッチで据え付けられた複数の縦筋1に機械式継手5を介して接続される。そのため、各縦筋1には、機械式継手5による接続が可能なねじ節鉄筋が使用されている。
【0050】
図15に示すように、鉄筋支持部材取り外し工程においては、取り出した縦筋ユニットUを支持していた各鉄筋支持部材16を、それらの両端部に備えられた抜止片16aが上向きになる姿勢まで回動させることで、各先組用架台10の貫通孔11aからの抜け止めを容易に解除することができ、各先組用架台10からの各鉄筋支持部材16の取り外しを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 鉄筋
2 鉄筋連結部材
10 先組用架台
11 支柱部材
11a 取付部
11b 玉掛け部
16 鉄筋支持部材
17 連結部材
18 積み重ね載置部
20 架台連結部材
21 足場板
U 鉄筋ユニット
図1
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