(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085441
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】知育玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/38 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A63H33/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199874
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 好重
(72)【発明者】
【氏名】堀切 正司
(72)【発明者】
【氏名】八重樫 浩子
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150BA17
2C150BA47
2C150BB01
2C150DC08
(57)【要約】
【課題】箱の状態と、絵本の状態とを取ることができ、知育に適した知育玩具を提供すること。
【手段】両面に絵柄が表示された正方形の6個の面体を備え、6個の面体は、隣接された面体同士が辺部に沿って形成した折り目を介して互いに連結されて平面的状態を取り得る連結体を構成し、連結体は、隣接された面体同士を折り目で直角に折り曲げることで立方体の箱となり、隣接された面体同士を折り目で折り畳むことで絵本となり、連結体には、箱としたときに前記折り目を介さずに突き合わされる辺部同士を互いに離間しないように係止するとともに係止解除可能な留め具が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に絵柄が表示された正方形の6個の面体を備え、
前記6個の面体は、隣接された面体同士が辺部に沿って形成した折り目を介して互いに連結されて平面的状態を取り得る連結体を構成し、
前記連結体は、
前記隣接された面体同士を前記折り目で所定方向に直角に折り曲げることで前記6個の面体の一側の面を外面とする立方体の箱となり、
前記隣接された面体同士を前記折り目で折り畳むことで絵本となり、
前記連結体には、
箱としたときに前記折り目を介さずに突き合わされる辺部同士を互いに離間しないように係止するとともに係止解除可能な留め具が設けられている、
ことを特徴とする知育玩具。
【請求項2】
前記留め具として、雄具及び雌具から構成される面ファスナを備え、突き合わされる一の辺部には突片が設けられ、前記突片の一側面に前記雄具及び雌具の一方が設けられ、突き合わされる他の辺部には雄具及び雌具の他方が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項3】
前記他の辺部には、前記雄具及び前記雌具の一方と前記雄具及び前記雌具の他方とが付着される際に前記突片が当接される個所を示すマーカが表示されている、ことを特徴とする請求項2に記載の知育玩具。
【請求項4】
前記突片の他側面の色と、少なくとも箱とする場合に前記突片に対応する前記マーカの周辺の色とが同じとなっている、ことを特徴とする請求項3に記載の知育玩具。
【請求項5】
前記突片の他側面には小絵柄が表示され、前記小絵柄は、少なくとも箱とする場合に前記小絵柄のある前記突片に対応する前記マーカがある前記面体の絵柄の一部と同じとなっている、ことを特徴とする請求項3に記載の知育玩具。
【請求項6】
前記連結体は、少なくとも外皮が布で形成され、弾性及び柔軟性を有し、前記面体は弾性によって形を保持する、ことを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項7】
前記隣接された面体同士を前記折り目で前記所定方向と反対の方向に直角に折り曲げることで前記6個の面体の他側の面を外面とする立方体の箱となる、ことを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項8】
前記6個の面体は、第1面体、第2面体、第3面体、第4面体、第5面体及び第6面体で構成され、前記平面的状態では、前記第1面体、前記第2面体、前記第3面体、前記第4面体が前記折り目を介して一方向にこの順で連結され、前記第1面体に前記第5面体が連結され、前記第4面体に前記第6面体が連結され、前記第5面体及び前記第6面体が外面となるように、前記第5面体及び前記第6面体を前記第1面体及び第4面体に対して折り畳むとともに前記第1面体、前記第2面体、前記第3面体、前記第4面体を九十九折りできるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項9】
前記6個の面体の中の一部の面体には人手が挿入可能な大きさの孔が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【請求項10】
前記面体には、絵本の下辺側から読める第1の言葉が文字として表示されるとともに、絵本の上辺側から読める第2の言葉が文字として表示されている、ことを特徴とする請求項1に記載の知育玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知育玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具として正6面体の箱の状態と、折畳み状態とを取る得るものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記玩具は、箱の組立て及び折畳みを楽しむことができ、箱の状態では幼児が箱の内部に入り込んだりして遊ぶことができる。
しかしながら、上記玩具は、箱としての遊びに主眼がおかれ、折畳み状態は収納のための便宜上の形態に過ぎないものであった。
この玩具は、上記事情に鑑みなされたもので、箱の状態と、絵本の状態とを取ることができ、知育に適した知育玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
両面に絵柄が表示された正方形の6個の面体を備え、
前記6個の面体は、隣接された面体同士が辺部に沿って形成した折り目を介して互いに連結されて平面的状態を取り得る連結体を構成し、
前記連結体は、
前記隣接された面体同士を前記折り目で所定方向に直角に折り曲げることで前記6個の面体の一側の面を外面とする立方体の箱となり、
前記隣接された面体同士を前記折り目で折り畳むことで絵本となり、
前記連結体には、
箱としたときに前記折り目を介さずに突き合わされる辺部同士を互いに離間しないように係止するとともに係止解除可能な留め具が設けられている、
ことを特徴とする。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記留め具として、雄具及び雌具から構成される面ファスナを備え、突き合わされる一の辺部には突片が設けられ、前記突片の一側面に前記雄具及び雌具の一方が設けられ、突き合わされる他の辺部には雄具及び雌具の他方が設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記他の辺部には、前記雄具及び前記雌具の一方と前記雄具及び前記雌具の他方とが付着される際に前記突片が当接される個所を示すマーカが表示されている、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、前記突片の他側面の色と、少なくとも箱とする場合に前記突片に対応する前記マーカの周辺の色とが同じとなっている、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第3の手段であって、前記突片の他側面には小絵柄が表示され、前記小絵柄は、少なくとも箱とする場合に前記小絵柄のある前記突片に対応する前記マーカがある前記面体の絵柄の一部と同じとなっている、ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第1の手段であって、前記連結体は、少なくとも外皮が布で形成され、弾性及び柔軟性を有し、前記面体は弾性によって形を保持する、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第1の手段であって、前記隣接された面体同士を前記折り目で前記所定方向と反対の方向に直角に折り曲げることで前記6個の面体の他側の面を外面とする立方体の箱となる、ことを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第1の手段であって、前記6個の面体は、第1面体、第2面体、第3面体、第4面体、第5面体及び第6面体で構成され、前記平面的状態では、前記第1面体、前記第2面体、前記第3面体、前記第4面体が前記折り目を介して一方向にこの順で連結され、前記第1面体に前記第5面体が連結され、前記第4面体に前記第6面体が連結され、前記第5面体及び前記第6面体が外面となるように、前記第5面体及び前記第6面体を前記第1面体及び第4面体に対して折り畳むとともに前記第1面体、前記第2面体、前記第3面体、前記第4面体を九十九折りできるように構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第1の手段であって、前記6個の面体の中の一部の面体には人手が挿入可能な大きさの孔が設けられている、ことを特徴とする。
【0014】
第10の手段は、第1の手段であって、前記面体には、絵本の下辺側から読める第1の言葉が文字として表示されるとともに、絵本の上辺側から読める第2の言葉が文字として表示されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段によれば、連結体は、隣接された面体同士を折り目で所定方向に直角に折り曲げることで立方体の箱となり、折り目で開かれることで平面的状態となり、平面的状態から折り目で折畳みされることで絵本となるので、折り曲げたり開いたりする際に、判断力や創造力、推察力といった知的能力を育むことができる。
また、箱を利用して様々な遊びをすることができるとともに、絵本を使っての学習をすることができる。
【0016】
第2の手段によれば、面ファスナを使用するので、箱としたときに互いに突き合わされる辺部同士を簡単に係止及び係止解除することができる。
【0017】
第3の手段によれば、マーカが設けられているので、雄具を雌具に係合位置を認識しやすくなる。
【0018】
第4の手段によれば、突片と、それに対応するマーカ周辺の絵柄の色とが同じなので、色を手がかりに、対応する突片及びマーカの組を発見することができる。
【0019】
第5の手段によれば、突片の小絵柄と、それに対応する面体の絵柄の一部とが同じであるので、小絵柄を手がかりに、対応する突片及びマーカの組を発見することができる。
【0020】
第6の手段によれば、連結体が弾性及び柔軟性を有するので、箱に乗ったり、箱を踏んだり、箱を落としたりした場合にも安全であるとともに、自ら箱形が復元される。
【0021】
第7の手段によれば、箱がリバーシブルな構造であるので、変形の幅が広がり、より興趣性の高い知育玩具を実現することができる。
【0022】
第8の手段によれば、第1面体及び第4面体に重畳される第5面体及び第6面体を外面とすることができるとともに、折り目を介して隣接される面体同士が当接されるように折り畳むことができるので、折畳みが簡単に行えることになる。
【0023】
第9の手段によれば、孔に手を入れたり、孔から小物を出し入れしたりして遊ぶことができる。
【0024】
第10の手段によれば、逆さから文字を読むことで幼児が別のストーリーを楽しんだり、幼児が下辺側の文字を読み、保護者が上辺側の文字を読み聞かせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】箱となった知育玩具の一例と付属品とを示す斜視図である。
【
図2】箱となった知育玩具の他例を示す斜視図である。
【
図3】箱の展開状態の一面(A面)を示す平面図である。
【
図4】箱の展開状態の他面(B面)を示す平面図である。
【
図5】絵本となった知育玩具の一面を示す斜視図である。
【
図6】絵本となった知育玩具の他面を示す斜視図である。
【
図7】隠れページを開いた状態の絵本を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0027】
《全体》
図1は、箱となった知育玩具100の一例と付属品とを示す斜視図、
図2は、箱となった知育玩具100の他例を示す斜視図、
図3は、箱の展開状態の一面(A面)を示す平面図、
図4は、箱の展開状態の他面(B面)を示す平面図、
図5は、絵本となった知育玩具100の斜視図である。
知育玩具100は、立方体の箱の6面を構成する正方形の6個の面体1~6を備えている。この知育玩具100は、6個の面体1~6が辺部の折り目C12、C23,C34、C15、C46を介して連結された1つの連結体によって構成されている。
すなわち、
図3に基づいて説明すれば、連結体は、4つの面体1~4がこの順にX(+)方向に折り目C12、C23、C34を介して一列に連結され、面体5が面体1に対してY(-)方向に折り目C15を介して連結され、面体6が面体4に対してY(+)方向に折り目C46を介して1つに連結された構造となっている。
【0028】
この連結体は、折り目C12、C23、C34、C15,C46を挟んで隣接する面体同士をA面(
図3)が外面となるように直角に折ることで、当該A面を外面とする箱とすることができる(
図1)。また、この連結体は、折り目C12、C23、C34、C15、C46を挟んで隣接する面体同士をB面(
図4)が外面となるように直角に折ることで、当該B面を外面とする箱とすることができる(
図2)。
【0029】
また、この連結体は、
図3に示す展開状態で、面体5を折り目C15で面体1の裏側に折り畳むとともに、面体6を折り目C46で面体4の裏側に折り畳んだ状態で、隣接する面体1、2が谷折りとなるように、折り目C12、C23、C34で面体1~4を九十九折りすることで、面体5が表面(外面)、面体6が裏面(外面)となる折畳み式の絵本とすることができる(
図5)。
【0030】
《細部》
連結体を構成する面体1~6の各々は同一形状(正方形)となっている。各面体は、当該面体と同形のスポンジ(図示せず)を例えば合成繊維製の布で被覆した形となっている。布の表面は起毛している。
このような構造は、例えば、連結体のA面及びB面を構成する2枚の布に6個のスポンジを配置し、外縁を袋縫いするとともに、隣接する面体同士の間の境界を縫合することで、実現することができる。隣接する面体同士の間に形成された縫い目部分が折り目となる。
【0031】
面体1~6のA面及びB面には、物語など所定のテーマに沿った一連の絵柄が分散して表示されている。また、面体には、絵本とした場合のページ番号が付されているとともに、ナレーションや会話などの文が適宜に付される。
この際、ページ番号が付される各面体には、下辺及び上辺の1つの角隅に同一のページ番号が付される。また、各面体には、絵本の下辺側から読める第1の言葉が文字として表示されるとともに、絵本の上辺側から読める第2の言葉が文字として表示されている。これにより、逆さから文字を読むことで幼児が別のストーリーを楽しんだり、幼児が下辺側の文字を読み、保護者が上辺側の文字を読み聞かせたりすることができる。
【0032】
面体5のA面及びB面には、互いに表情を異にする同一の動物の顔が表示されている。この表情の変化を入れることで、より興趣性を高めることができる。また、絵本となる場合に、面体5と重畳される面体1の中央には孔1aが形成されている。この孔1aは、絵本の状態では、面体5によって塞がれ、面体5に表示された動物の目、鼻及び口を露出させるだけでなく、ポケットとして利用することができる。また、孔1aは、箱の状態では、手を入れたり、小物を出し入れしたりする孔として利用することができる。
また、面体5には、面体5に表示された動物の耳5aが突出して形成されている。耳5aは、その外皮が面体と同じ素材で形成され、中の詰め物によって起倒自在となっている。
【0033】
面体1には、折り目C12、C15が形成されていない2つの辺の中央に、それぞれ突片14、16が設けられている。また、面体5には、折り目C15が形成されていない3つの辺の中央に、それぞれ突片52、53、54が設けられている。さらに、面体6には、折り目C46が形成されていない3つの辺のうち2つの辺の中央に、それぞれ突片62、63が設けられている。
そして、これら突片のB面には、面ファスナの構成要素の一方である矩形のループ面(雌具)Lが形成されている(
図4)。これにより比較的小さい突片を幼児が口にくわえてしまった際にも、フック面とした場合と比べて、舌を傷つけるリスクが低くなる。
【0034】
また、面体1には、突片16が設けられた辺の中央に、絵本となるときに突片53の付着場所の目印となるマーカ15が表示されている。面体2には、折り目C12、C23が形成されていない2つの辺の中央に、箱となるときに突片52、62の付着場所の目印となるマーカ25、26が表示されている。また、面体3には、折り目C23、C34が形成されていない2つの辺の中央に、箱となるときに突片53、63の付着場所の目印となるマーカ35、36が表示されている。また、面体4には、折り目C34、C46が形成されていない2つの辺の中央に、箱となるときに突片14、54の付着場所の目印となるマーカ41、45が表示されている。さらに、面体6には、折り目C46も突片62、63も形成されていない辺に、箱となるときに突片16の付着場所の目印となるマーカ61が表示されている。
これらのマーカはA面だけに形成されており、各マーカの内側には、面ファスナの構成要素の他方である四角形のフック面(雄具)Fが形成されている。
【0035】
なお、面体6には、マーカ61が表示された辺に、外方に張り出す3本のテープ6a、6b、6cが付設されている。3本のテープ6a、6b、6cは、同一素材からなり互いに色が異なっている。これらテープは幼児が触ることにより手触り感を楽しむためのものである。ここでは、色のみを変えているが、各テープの素材を変えて別の手触り感を味わえるようにしてもよい。
【0036】
続いて、突片及びマーカについて敷衍する。
箱を組み立てるなどするとき、幼児にとって、どの突片がどのマーカに対応しているのかを判別することが難しい。そこで、箱を組み立てる場合に、どの突片がどの面体のマーカに対応するのかを幼児が自ら見つけたり、保護者が簡単にアドバイスしたりできるように以下のような工夫がされている。
【0037】
第1に、面体毎にマーカの周辺色及び形が設定され、当該マーカの周辺色及び形と、当該マーカに対応する突片の色(A面の色)及び形とを同じにしてある。この場合、マーカ内の色はマーカ周辺の色と同色系で、互いに識別可能となっていることが好ましい。
例えば、面体2のマーカ25、26の周辺色は、突片52、62の色と同じグリーンにしてある。一方、面体2のマーカ25、26の形は、突片52、62の形と同様に、先端両角部が斜に切り欠かれた形となっている。
また、例えば、面体3のマーカ35、36の周辺色は、突片53、63の色と同じピンクにしてある。一方、面体3のマーカ35、36の形は、突片53、63の形と同様に、先端が山形に尖った形となっている。
また、例えば、面体4のマーカ41、45の周辺色は、突片14、54の色と同じライトブルーにしてある。一方、面体4のマーカ41、45の形は、突片14、54の形と同様に、先端両角部が丸められた形となっている。
このように、箱となるときに互いに対応するマーカ及び突片の色と形とが同じとなっているので、色や形を手がかりにして、互いに対応する突片及びマーカを見つけて、互いを付着させればよいので、箱の組立てが容易となる。
【0038】
なお、マーカの色はマーカ毎に異ならせてもよい。ただし、却って、複雑となり、色や形を合わせるのに手間がかかるので、面体毎に異ならせることが好ましい。
また、箱とするときに使用されない面体1のマーカ15は、絵本とするときに面体5の突片53に対応するが、マーカ15と突片53とは形だけを合わせてある。絵本とする場合には、使用するマーカ及び突片が限定され、面体5の折畳み方向も限定されているので、形だけを手がかりにして、互いに対応する突片を見つけて、互いを付着させれば済む。
さらに、箱とするときと絵本とするときとの双方で使用されるマーカ45と、絵本とするときに対応する突片62と色及び形が異なるが、絵本とする場合には、使用するマーカ及び突片が限定され、面体5の折畳み方向も限定されているので、少しの創造力を働かせることで、互いに対応する突片を見つけて、互いを付着させることができる。
【0039】
第2に、面体の絵柄(A面の絵柄)の一部と、箱とするときに当該突片が当接される面体の小絵柄(A面の絵柄)とを同じにしてある。
例えば、面体2の絵柄には葉の絵柄が含まれており、この面体2のマーカ25、26に対応する突片52、62の第2面にも葉の小絵柄が表示されている。
また、面体3の絵柄には太陽の絵柄が含まれており、この面体3のマーカ35、36に対応する突片53、63の第2面にも太陽の小絵柄が表示されている。
また、面体4の絵柄には風船の絵柄が含まれており、この面体4のマーカ41、45に対応する突片14、54の第2面にも風船の小絵柄が表示されている。
さらに、面体6の絵柄には人参の絵柄が含まれており、この面体6のマーカ61に対応する突片16の第2面にも人参の小絵柄が表示されている。
このようにすることで、突片に表示されている小絵柄を手掛かりに、当該突片に対応するマーカを見つけて、箱を組み立てることができる。
【0040】
なお、絵本とするときには、突片53が面体1のマーカ15に対応するが、既に突片53のA面には太陽の小絵柄が表示されてはいるが、当該突片53に対応するマーカ15が存在する面体1の絵柄には太陽の絵柄は含まれていない。同様に、突片62の小絵柄(葉の小絵柄)は、当該突片62に対応するマーカ45が存在する面体4の絵柄には含まれていない。このようにしても、絵本とする場合には、使用するマーカ及び突片が限定され、面体5の折畳み方向も限定されているので、少しの創造力を働かせることで、互いに対応する突片を見つけて、互いを付着させることができる。
ただし、面体1の絵柄に突片53の小絵柄を表示させ、また、面体4の絵柄に突片62の小絵柄を表示させることもできる。
【0041】
2.付属品
図1に示すように、実施形態の知育玩具100は付属品として人形90と、植物の葉を象った平面状の付着物91a、風船を象った平面状の付着物91bとを備える。付着物の種類は、これ限定されない。また、付着物は平面状のものでなく、立体状のものであってもよい。ただし、絵本のストーリーにリンクしたものであることが好ましい。
人形90は、そのままで面体1の孔1aに挿入可能な大きさとなっている。また、付着物91a、91bは、そのまま或いは変形させることによって、面体1の孔1aに挿入可能となっている。付着物91a、91bの裏面には、面ファスナを構成するフック面F〈雄具;図示せず〉が形成されており、面体1~6の起毛面の任意箇所に対して着脱可能となっている。
これら、人形90、付着物91a、91bを用いることでストーリーをより楽しむことができるとともに、遊びや学習の幅を拡げることができる。
【0042】
《箱の組立方法》
組立方法は2通りある。1つ目は、
図3に示すA面を箱の外面とするものであり、2つ目は、
図4に示すB面を外面とするものである。
1つ目の組立方法では、
図3の状態から、各折り目C12、C23、C34を介して隣接する面体同士が直角に山折りされるように折り曲げ、面体1の突片14のループ面Lを面体4のマーカ41のフック面Fに付着させる。これにより両端が開口された角筒状の構造体を得る。次に、この構造体の両端の口を塞ぐように面体5、6を直角に折り曲げる。そして、面体5の突片52、53、54のループ面Lを面体2、3、4のマーカ25、35、45のフック面Fに付着させる。また、面体6の突片62、63のループ面Lを面体2、3のマーカ26、36のフック面Fに付着させるとともに、面体1の突片16のループ面Lを面体6のマーカ61のフック面Fに付着させる。
これによりA面を外面とする箱が構成される。
【0043】
2つ目の組立方法では、
図4の状態から、各折り目C12、C23、C34を介して隣接する面体同士が直角に山折りされるように折り曲げ、面体1の突片14のループ面Lを面体4のマーカ41のフック面Fに付着させる。これにより両端が開口された角筒状の構造体を得る。次に、この構造体の両端の口を塞ぐように面体5、6を直角に折り曲げる。そして、面体5の突片52、53、54のループ面Lを面体2、3、4のマーカ25、35、45のフック面Fに付着させる。また、面体6の突片62、63のループ面Lを面体2、3のマーカ26、36のフック面Fに付着させるとともに、面体1の突片16のループ面Lを面体6のマーカ61のフック面Fに付着させる。
これによりB面を外面とする箱が構成される。
【0044】
《絵本への変形方法》
図3の状態から、面体5を面体1の裏側に折り畳む。この際、面体1の突片14、16と面体5の突片52、54とが面体1と面体5とに挟み込まれるように折り畳んでおく。そして、面体5の突片53のループ面Lを面体1のマーカ15のフック面Fに付着させる。
また、面体6を面体4の裏側に折り畳む。この際、面体6の突片63が面体4と面体6とに挟み込まれるように折り畳んでおく。そして、面体6の突片62のループ面Lを面体4のマーカ45のフック面Fに付着させる。
そして、4連となった面体部分を折り目C12、C23、C34の部分で、面体5が表側の外面を、面体6が裏側の外面を構成するように九十九折りする。これにより、
図5に示すような絵本が完成する。
この絵本は1ページ目から順に見てゆく。そして、4ページ目を見終わったら、全体
図6に示すように裏返し、5ページ目から順に7ページ目までを見る。
なお、
図7に示すように、面体5、6を開くことで隠し8ページ~10ページを見ることができる。
この絵本の状態では、幼児自らが本を読んだり、保護者が読み聞かせしたりすることができる。さらに、
図5に示す孔1aを開口とするポケットが形成されるので、このポケットに人形90や付着物91a、91bその他の小物品を出し入れして遊ぶことができる。また、付着物91a、91bを絵本に付着させて遊んだり学習したりすることもできる(
図8)。
【0045】
《実施形態の効果》
上記実施形態によれば、次のような主たる効果を奏する。
幼児自らが頭脳や手を使って、箱を組み立てたり、展開したり、絵本に変形させたりして遊ぶことができるので、判断力や創造力、推察力といった知的能力を育むことができる。
また、箱を置物として鑑賞したり、サイコロとして用いたり、箱に対して人形90その他の小物を出し入れしたり、箱に付着物91a、91bを貼ったりして遊ぶことができる。
また、絵本として用い、幼児自らが見たり、幼児に読み聞かせたりすることができるので、知識の取得や創造力といった知的能力を育むことができる。
ざらに、連結体が弾性及び柔軟性を有するので、箱に乗ったりした場合にも安全であるとともに、自ら箱形が復元される。
【0046】
《変形例》
上記実施形態では、面ファスナを構成するループ面を突片に設け、フック面を面体に設けたが逆であってもよい。また、面体側にループ面とフック面を混在させてもよい。
【0047】
また、展開状態も、上記形に限定されない。立方体の展開状態は全11種類考えられるが、どの形に展開されるものでもよい。
【0048】
また、留め具は、面ファスナには限定されない。例えば、留め具をホックとし、一方の辺部又は突片に雄ホック体又は雌ホック体の一方を設け、他方の辺部又は突片に雄ホック体又は雌ホック体の他方を設けてもよい。或いは、留め具として、突き合わされる辺部の双方に紐を設けるようにしてもよい。また、留め具は、辺部又は突片に設けた磁石であってもよい。
【0049】
また、箱は蓋がないものであってもよい。すなわち、上記実施形態では6個の面体1~6を有し立方体の箱を構成するようにしたが、5個の面体で蓋なしの立方体状の箱を構成することができる。また、直方体の箱とすることもできる。
【符号の説明】
【0050】
1~6 面体
1a 孔
6a、6b、6c テープ
14、16、52~54、62,63 突片
15、25、26、35、36、41、45、61 マーカ
90 人形
91a、91b 付着物
100 知育玩具