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  • 特開-敷設式表示具及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085442
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】敷設式表示具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/512 20160101AFI20240620BHJP
【FI】
E01F9/512
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199875
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】511088623
【氏名又は名称】株式会社ナフサ
(74)【代理人】
【識別番号】100167690
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 直
(72)【発明者】
【氏名】菊池 直也
(72)【発明者】
【氏名】毛利 明博
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA01
2D064AA21
2D064AA24
2D064BA03
2D064CA01
2D064DA04
2D064DA05
2D064DA13
2D064DB05
2D064EA02
2D064EA03
(57)【要約】
【課題】本願発明は、運転者に注意喚起を表示可能とすると共に表示部分の脱離を少なくするための構造を備えた敷設式表示具及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】路上に敷設する本体20と、本体に設け運転者に注意を促す表示部30と、を備えた敷設式表示具10であって、縦及び横に延びた溝である溝部26によって形成した格子状の格子部と、格子部内に設け、本体と一体的に形成し本体とは異なる色の複数の識別子31と、格子部内に配置した複数の識別子を使用し、本体とは異なる色によって文字、図形、模様又はそれらの組合せを表示した表示部と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上に敷設する本体と、前記本体に設け運転者に注意を促す表示部と、を備えた敷設式表示具であって、
縦及び横に延びた溝である溝部によって形成した格子状の格子部と、
前記格子部内に設け、前記本体と一体的に形成し前記本体とは異なる色の複数の識別子と、
前記格子部内に配置した複数の識別子を使用し、本体とは異なる色によって文字、図形、模様又はそれらの組合せを表示した前記表示部と、
を備えたことを特徴とする敷設式表示具。
【請求項2】
前記本体と同一素材で形成した前記識別子を備えたことを特徴とする請求項1に記載の敷設式表示具。
【請求項3】
前記本体に車両の進入方向に向かって下りの傾斜を設けた傾斜部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の敷設式表示具。
【請求項4】
縦及び横に延びた突部によって形成した格子状の突格子部を形成した金型に、敷設式表示具の本体とは異なる色の複数の識別子を配置する配置工程と、
前記本体を形成する原料を前記識別子の上から配置する本体配置工程と、
前記金型を使用し加硫成形によって前記本体と前記識別子を一体的に形成する加硫工程と、を含むことを特徴とする敷設式表示具の製造方法。
【請求項5】
前記識別子の配置により文字、図形、模様又はそれらの組合せを表示した複数の表示マットを連結部によって連結固定し、運転者に注意喚起を促す表示部を形成する連結工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の敷設式表示具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等の地面に敷設して設け、自動車等の車両の運転者に乗り上げる際の振動や表示等によって注意喚起を促すための表示具及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から地面の道路上に敷設し、車両等の運転者に注意を促し減速させて安全に通行を促すための移動式のランブルストリップ装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、長さ方向に配列される複数の本体と、該複数の本体の間ごとにそれぞれ設置されて、前記本体より短い長さを有する複数のジョイントと、幅方向に延ばして前記本体とジョイントとの境界を回動可能に結合する結合ロッドとを含んで、前記本体とジョイントが前記結合ロッドを中心軸にして畳まれて、前記ジョイントはお互いに行き違うように配置されて上面と下面を構成して、前記本体は内側に配置されて側面を構成することを特徴とする移動式のランブルストリップ装置が開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、自動車を走行させる車道上の路面中央付近に据置いて使用される車道上標示具であって、ゴム製又は樹脂製の標示マットからなり、この標示マットの表面に各種標示を印刷又は切文字又は貼付等により標記したことを特徴とする車道上標示具が挙げられる。特に表示部分は、マットの本体の色と区別して設けることによって運手者に認識しやすくすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-503275号公報
【特許文献2】特開2004-285802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のように特に文字等の表示部分は、マットの本体の色と区別して設けることによって運手者に注意を促すのは有効な手段である。
しかしながら、各種標示を印刷又は切文字又は貼付等により標記した場合には、車両の通行の際にタイヤによる摩擦等によって標示部分が剥がれてしまうという欠点がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本願発明は、運転者に注意喚起を表示可能とすると共に表示部分の脱離を少なくするための構造を備えた敷設式表示具及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
路上に敷設する本体(例えば、主に標示マット20)と、前記本体に設け運転者に注意を促す表示部(例えば、主に表示部30)と、を備えた敷設式表示具(例えば、主に敷設式表示具10)であって、 縦及び横に延びた溝である溝部(例えば、主に溝部26)によって形成した格子状の格子部(例えば、主に格子)と、
前記格子部内に設け、前記本体と一体的に形成し前記本体とは異なる色の複数の識別子(例えば、主に標示片31)と、
前記格子部内に配置した複数の識別子を使用し、本体とは異なる色によって文字、図形、模様又はそれらの組合せを表示した前記表示部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の特徴によって、本発明は、運転者に注意喚起として促す表示部が剥がれ落ちることなく明確に認識させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の敷設式表示具を道路に敷設した状態を示す図である。
図2】実施形態の敷設式表示具の表示の一例を示す図である。
図3】実施形態の敷設式表示具の部品構成を示す概略図である。
図4】実施形態の敷設式表示具を折り畳み段積みした状態を示す概略図である。
図5】実施形態の敷設式表示具を製造する際のプロセスフローを示す図である。
図6】実施形態の敷設式表示具を製造する際の金型を示す斜視図である。
図7】実施形態の図A-A’部分を切断した断面を示す断面図である。
図8】実施形態の標示マットの一部を切断した断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる敷設式表示具及びその製造方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0012】
先ず、図1から4及び図8を参照し敷設式表示具10を説明する。敷設式表示具10は、図1に示すように複数の標示マット20を連結して構成している。図1は、道路上1に敷設式表示具10を敷設した状態を示す図である。
【0013】
図2は、複数の標示マット20を連結して構成し、標示マット20の黒色とは異なる色の表示片31によって表示した表示部30を表示している。例えば、表示部30は、黄色の表示片31によって「SLOWユックリ」と表示している。この表示部30は、文字だけでなく、模様、図形、記号等であっても良く、これらの組み合わせであっても良い。
【0014】
表示マット20は、略長方形の升21が、縦が9升、横5升に配置した45升の格子状の格子部を形成している。その格子に表示片31を配置することによって文字等を構成することが可能である。
【0015】
表示部30を運転者が認識しやすい文字や図形等が形成できる態様であれば、升21の形状は限定する必要はなく、正方形や多角形や円形や楕円形等であっても良い。格子部は、蜂の巣状等も含んでも良い。
【0016】
次に、図3は、敷設式表示具10の部品構成を示す概略図である。図3(A)は、標示マット20を示している。標示マット20は、略長方形に形成し、中央に縦が9升、横5升に溝である溝部26によって仕切られた45升の格子を形成している。また、路面に固定するコンクリートピンを挿入可能な孔25を格子の外側の6カ所に設けている。長期間固定する場合は、マットのズレ防止のために路面に敷設式表示具10を固定することが可能である。
【0017】
長方形の短手方向の端部に図8にも示すように車両等が侵入しやすいように、車の侵入方向に向かって下り傾斜した傾斜部24を設けている。これによって、車両の緩やかな侵入となるため表示片31が剥がれ落ち難くなる。
【0018】
図3(A)に示すように後述する連結部40を使用し、長手方向の端部に標示マット20同士を連結するための連結穴23を設けている。
【0019】
図3(B)は、上述した表示部30を構成する表示片31である。表示片31は正方形の形状によって形成するが、特に正方形に限定する必要はなく、格子の形状に合わせればよい。図8に示すように升21と表示片31は同一高さに成形することになり、表示部30の表示片31が更に剥がれ落ち難くなる。
【0020】
図3(C)は、連結部40の部品構成を示しており、図3(D)に示すように一対の連結具41a、bを組み合わせることによって連結部40を構成する。連結部の一部を構成する連結具41は、土台部42から伸びた支柱48の先端が2つに先割れした先端凸部45を設け、土台部42にもう一方に貫通した孔である挿入孔43を設けている。連結部40は、先端凸部45aを挿入穴43bに挿入し、凹み部47を挿入穴43の内側面に嵌合させて固定する。
【0021】
図4は、敷設式表示具10を連結部40の部分でつづら折りに折って収納した様子を示している。また、敷設式表示具10は、標示マット20の大きさに畳むことが可能であるので、段積みして収納が可能である。
【0022】
本実施形態に示す上記した標示マット20は、素材としてゴムを使用し以下に挙げるゴムが使用可能である。例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロブレンゴム(CR)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(SI)及びフッ素ゴム(FPM)等があるが、これらに限定されずゴム製品であれば良い。
【0023】
(敷設式表示具の製造方法)
図5から図8を参照し、敷設式表示具10を製造する際の工程を説明する。
先ず、図6及び図7を参照し、敷設式表示具10を製造する際に使用する金型60を説明する。金型60は、標示マット20の形状に合わせて形成した格子状の突格子部62が形成されている。
【0024】
また、その突格子部62には、縦横に延び上方へ突出した突部63・67を設け、その突部63・67により囲われた格子状の45升の凹状の凹み升61を形成する。突部63・67より上方に、本体部分や連結部40を挿入するための側面突部64や標示マット20を路面に固定するコンクリートピンを挿入可能な孔25を形成するための穴突部65が設けられている。
【0025】
次に、図5を中心に敷設式表示具10を製造する際の工程を説明する。
先ず、未加硫ゴムに添加剤を加え着色し練り合わせた未加硫の標示片31を作成し、同時に未加硫ゴムに添加剤を加え本体の未加硫の材料を作成する(S1)。
【0026】
次に、金型60の45升の格子に標示したい文字に合わせて表示片31を載置する。例えば、図2の先頭の文字「S」であれば、「S」の字に合わせて17個の黄色の未加硫ゴムである表示片31を配置する(S2)。
【0027】
次に、標示片31と重なるところも含めて黒色の未加硫ゴムを全体に配置する(S3)。金型60の上から平形の型を押し当て、金型の温度を100℃から200℃に上げてゴムを均一に軟化させる。その後、型に圧力を掛けて加硫を進め安定した状態迄トルクを掛ける(S4)。
【0028】
そして、加硫状態が安定し硬化した後型から離型させ、例えば図2の先頭の一枚が「S」が標示された標示マット20を取り出すことが可能である(S5)。このようにして製造した標示マット20は、図8に示すように標示片31と升21の高さが同一に形成される。また、加硫成形によって分子間結合が行われ標示片31と標示マット20本体の材料と一体的に成形することができるため剥がれ落ちることはない。
【0029】
尚、未加硫ゴム同士での製造方法を説明したが、加硫ゴム同士での製造や未加硫と加硫ゴムとの加硫成形による製造方法であっても良い。また、加硫成型によって剥がれることが少ない一体的に成型される状態であれば標示マット20本体の材料と異素材の標示片31であっても良い。例えば、ゴムと金属等であっても良い。
【0030】
その後、文字や図形等を形成した標示マット20を連結部40で連結し、図2に示すような標示部30を形成する。この一連の工程によって敷設式表示具10が完成し、運転者へ注意喚起を認識させる表示部を形成することが可能となる。
【0031】
(技術的特徴)
以下に本実施形態の技術的特徴点の一例を括弧に示すが、特に限定するものでもな
く例示しているものであり、これら特徴から考えられる効果についても記載する。
【0032】
<特徴点1>
路上に敷設する本体(例えば、主に標示マット20)と、前記本体に設け運転者に注意を促す表示部(例えば、主に表示部30)と、を備えた敷設式表示具(例えば、主に敷設式表示具10)であって、 縦及び横に延びた溝である溝部(例えば、主に溝部26)によって形成した格子状の格子部(例えば、主に格子)と、
前記格子部内に設け、前記本体と一体的に形成し前記本体とは異なる色の複数の識別子(例えば、主に標示片31)と、
前記格子部内に配置した複数の識別子を使用し、本体とは異なる色によって文字、図形、模様又はそれらの組合せを表示した前記表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0033】
以上の特徴によって、本発明は、運転者に注意喚起として促す表示部が剥がれ落ちることなく明確に認識させることが可能である。
【0034】
<特徴点2>
前記本体と同一素材で形成した前記識別子を備えたことを特徴とする。(例えばゴム製品同士の素材によって成形する。)
以上の特徴によって、異素材同士よりも同一素材を一体的に成形した識別子は本体から剥がれ落ちがたくなる。
【0035】
<特徴点3>
前記本体に車両の進入方向に向かって下りの傾斜を設けた傾斜部(例えば、主に傾斜部24)を備えたことを特徴とする。
以上の特徴によって、これによって、車両の緩やかな侵入となるため表示片31が剥がれ落ち難くなる。
【0036】
<特徴点4>
縦及び横に延びた突部(例えば、主に突部63・67)によって形成した格子状の突格子部(例えば、主に突格子部62)を形成した金型(例えば、主に金型24)に、敷設式表示具の本体とは異なる色の複数の識別子を配置する配置工程(例えば、主にS2)と、
前記本体を形成する原料を前記識別子の上から配置する本体配置工程(例えば、主にS3)と、
前記金型を使用し加硫成形によって前記本体と前記識別子を一体的に形成する加硫成形工程(例えば、主にS4)と、を含むことを特徴とする。
【0037】
以上の特徴によって運転者に注意喚起として促す表示部が剥がれ落ちることなく明確に認識させることが可能である。
【0038】
<特徴点5>
前記識別子の配置により文字、図形、模様又はそれらの組合せを表示した複数の表示マットを連結部によって連結固定し、運転者に注意喚起を促す表示部を形成する連結工程(例えば、主に文字や図形等を形成した標示マット20を連結部40で連結する。)を含むことを特徴とする。
以上の特徴によって、運転者へ注意喚起を認識させる表示部を形成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の敷設式表示具10の産業上の利用に関して、一般道路や高速道路の道路上に限らず工場や施設内の道路上に敷設して利用することも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10…敷設式表示具、20…標示マット、40・・・連結部、30・・・表示部、
31・・・標示片、60・・・金型。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8