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  • 特開-切替開閉器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085444
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】切替開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/18 20060101AFI20240620BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01F7/18 K
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199882
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 久典
(72)【発明者】
【氏名】荻澤 裕也
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015FA13
5G015FA14
5G015JA32
5G015JA34
(57)【要約】
【課題】切替機構が駆動できない程の電圧によるソレノイドコイルへの通電が継続してしまうことを防止すること。
【解決手段】第1電源に接続される第一端子と、第2電源に接続される第二端子と、負荷に接続される第三端子と、所定電圧以上の通電の有無により第三端子の接続先を第一端子と第二端子の間で切り替え可能とするソレノイドコイルを備えた切替機構と、ソレノイドコイルへの通電を制御可能な制御部21と、を備える切替開閉器であって、制御部21に電圧監視部51を備え、ソレノイドコイルへの通電がされていない状態において、電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値未満である場合にはソレノイドコイルへの通電がされていない状態を維持するとともに、電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値以上となった場合にはソレノイドコイルへの通電を開始可能とする構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源に接続される第一端子と、第2電源に接続される第二端子と、負荷に接続される第三端子と、所定電圧以上の通電の有無により第三端子の接続先を第一端子と第二端子の間で切り替え可能とするソレノイドコイルを備えた切替機構と、ソレノイドコイルへの通電を制御可能な制御部と、を備える切替開閉器であって、
制御部に電圧監視部を備え、
ソレノイドコイルへの通電がされていない状態において、電圧監視部に印加される電圧が第1閾値未満である場合にはソレノイドコイルへの通電がされていない状態を維持するとともに、電圧監視部に印加される電圧が第1閾値以上となった場合にはソレノイドコイルへの通電を開始可能とする切替開閉器。
【請求項2】
制御部に、通電制御部と、閾値設定部と、電圧引き上げ部と、を備え、
通電制御部に電圧監視部を備え、
通電制御部の前段に設けられた閾値設定部は、入力された電圧を複数の抵抗により分圧し、分圧された電圧を電圧監視部に出力可能であり、
電圧引き上げ部は、電圧監視部に印加される電圧を引き上げ可能である請求項1に記載の切替開閉器。
【請求項3】
ソレノイドコイルへの通電がされていない状態において、電圧監視部に第1閾値以上の電圧が印加された場合、スイッチを動作させて、ソレノイドコイルへの通電を開始可能とする請求項2に記載の切替開閉器。
【請求項4】
電圧監視部に印加される電圧が第1閾値以上となった場合、電圧監視部に入力される電圧を電圧引上げ部により通電制御部から出力される電圧に引き上げることが可能なフィードバック回路を備える請求項3に記載の切替開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切替開閉器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、商用電源と非常用電源を切り替えるために切替開閉器を用いることが知られている。この切り替えは必要なタイミングに人の手を介さずに行われることが通常である。このため、例えば、切替開閉器の切替動作を行う切替制御部では、ソレノイドコイルに電流を流すことで発生する吸引トルクを利用し、切替機構を駆動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-123296号公報
【0004】
ところで、電源電圧が駆動に必要な電圧(最小駆動電圧)を満たしている場合は、切替機構が駆動された後にソレノイドコイルヘの通電回路を開路するが、電源電圧が最小駆動電圧に達していない場合は、ソレノイドコイルヘ通電しても必要な吸引トルクが発生しない。このため、切替機構が駆動できず通電が継続しソレノイドコイルが発熱し焼損する可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、切替機構が駆動できない程の電圧によるソレノイドコイルへの通電が継続してしまうことを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1電源に接続される第一端子と、第2電源に接続される第二端子と、負荷に接続される第三端子と、所定電圧以上の通電の有無により第三端子の接続先を第一端子と第二端子の間で切り替え可能とするソレノイドコイルを備えた切替機構と、ソレノイドコイルへの通電を制御可能な制御部と、を備える切替開閉器であって、制御部に電圧監視部を備え、ソレノイドコイルへの通電がされていない状態において、電圧監視部に印加される電圧が第1閾値未満である場合にはソレノイドコイルへの通電がされていない状態を維持するとともに、電圧監視部に印加される電圧が第1閾値以上となった場合にはソレノイドコイルへの通電を開始可能とする切替開閉器とする。
【0007】
また、制御部に、通電制御部と、閾値設定部と、電圧引き上げ部と、を備え、通電制御部に電圧監視部を備え、通電制御部の前段に設けられた閾値設定部は、入力された電圧を複数の抵抗により分圧し、分圧された電圧を電圧監視部に出力可能であり、電圧引き上げ部は、電圧監視部に印加される電圧を引き上げ可能である構成とすることが好ましい。
【0008】
また、ソレノイドコイルへの通電がされていない状態において、電圧監視部に第1閾値以上の電圧が印加された場合、スイッチを動作させて、ソレノイドコイルへの通電を開始可能とする構成とすることが好ましい。
【0009】
また、電圧監視部に印加される電圧が第1閾値以上となった場合、電圧監視部に入力される電圧を電圧引上げ部により通電制御部から出力される電圧に引き上げる構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、切替機構が駆動できない程の電圧によるソレノイドコイルへの通電が継続してしまうことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における切替開閉器の正面図である。
図2】第1電源と第2電源と切替開閉器の制御部の接続例を示したイメージ図である。
図3】切替開閉器のソレノイドコイルへの通電の制御に利用される回路の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。実施形態の切替開閉器1は、第1電源P1に接続される第一端子12aと、第2電源P2に接続される第二端子12bと、負荷Ldに接続される第三端子12cと、所定電圧以上の通電の有無により第三端子12cの接続先を第一端子12aと第二端子12bの間で切り替え可能とするソレノイドコイル99を備えた切替機構と、ソレノイドコイル99への通電を制御可能な制御部21と、を備えている。また、この切替開閉器1の制御部21に電圧監視部51を備え、ソレノイドコイル99への通電がされていない状態において、電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値未満である場合にはソレノイドコイル99への通電がされていない状態を維持するとともに、電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値以上となった場合にはソレノイドコイル99への通電を開始可能とする。このため、切替機構が駆動できない程の電圧によるソレノイドコイル99への通電が継続してしまうことを防止することが可能となる。
【0013】
実施形態の切替開閉器1は制御部位11と切替部位12が並ぶように構成されている。図1に示す切替部位12は第1電源P1が接続される第一端子12a、第2電源P2が接続される第二端子12b、切替開閉器1の二次側に電流を送ることが可能な第三端子12cを備えている。通常、第一端子12aに商用電源が接続され、第二端子12bに非常用電源が接続され、第三端子12cに負荷Ldが接続される。
【0014】
通常は、商用電源から切替開閉器1を介して負荷Ldに電気が供給され、商用電源が使用できない場合に非常用電源から切替開閉器1を介して負荷Ldに電気が供給され、非常用電源を利用している間に商用電源が利用できるようになった場合には、非常用電源の利用から商用電源の利用に切り替える。
【0015】
また、実施形態では、図2に示すことから理解されるように、制御部位11に二つの制御部21を備えており、第1電源P1を一方の制御部21に接続するとともに、第2電源P2を他方の制御部21に接続している。なお、図2に示す各電源と制御部21の接続は、第一端子12aや第二端子12bを介した接続である。
【0016】
次に電源と制御部21等の具体的なつながりについて説明をする。なお、第1電源P1と制御部21等のつながりも、第2電源P2と制御部21等のつながりも、基本的には同様であるため、電源の種別の区別なく説明をおこなう。
【0017】
実施形態においては、電源はリレー91に接続される。電源からリレー91に供給される電流の一部は交流から直流に変えられリレー91の制御に用いられる。また、電源からリレー91に供給される電流の他の一部は交流電流のままリレー91に供給され、リレー91を介してリレー91の二次側に流される電流として用いられる。
【0018】
実施形態においては、リレー91に直流電流が流れることによりリレー91の二次側に交流電流を流すことができるものであるため、リレー91に直流電流を流す時期を調整することで、電圧の低い交流電流がリレー91の二次側に流れないようにしている。
【0019】
具体的には交流の電圧が低い場合、直流の電圧も低くなることを利用するものであり、直流の電圧が一定以上となるまでは、リレー91に電流が流れないようにしている。このようなことを可能とするために、実施形態では制御部21に電圧監視部51を備えている。この電圧監視部51は直流の電圧が第1閾値以上であるか否かを確認できるものであり、かつ、グラウンドへの接地をするか否かを切り替え可能なものである。なお、実施形態では、直流波形とするためにブリッジ回路41とコンデンサ42を用いており、ブリッジ回路41で全波整流した後にコンデンサ42を用いて平滑化している。
【0020】
実施形態においては、グラウンドへの接地がされた状態において電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値未満である場合は、そのままの状態が維持されるが、電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値以上である場合は、グラウンドへの接地が解除される。
【0021】
また、実施形態においては一度グラウンドへの接地が解除されたら、電圧監視部51に印加される電圧が第2閾値を下回るまではグラウンドへの接地が解除されたままとなる構成としている。このようにすれば、グラウンドへの接地の設定と解除が頻繁に繰り返されるのを回避することができる。ただし、電圧監視部51に印加される電圧が第2閾値を下回った場合には、グラウンドへの接地をおこなう。この第2閾値が変更可能であれば、状況に応じた第2閾値の設定が可能となり、利便性を高めることが可能となる。なお、通常、第2閾値は第1閾値よりも低い値に設定するが、切替機構が駆動できない程の電圧によるソレノイドコイル99への通電が継続してしまうことを回避できるように設定する。
【0022】
第1閾値は変更可能としなくてもよい。例えば、電圧監視部51の上流側に位置する抵抗の抵抗値を調整することで、交流の電圧と電圧監視部51に印加される電圧の関係を調整することができるからである。
【0023】
実施形態においては、電源から供給された電流の一部または全部についてブリッジ回路41を用いた全波整流部に流す。ここで整流された電気について、電圧を第一抵抗61と第二抵抗62により分圧する(例えば、60Vの電圧について、第一抵抗61側を5V、第二抵抗62側を55Vに分圧する。)。電源の電圧がソレノイドコイル99を用いて切替機構を動作するのに十分な電圧である場合に、第一抵抗61側の分圧が電圧監視部51の第1閾値を超えるように、第一抵抗61の大きさと第二抵抗62の大きさを調整すればよい。この例では、第一抵抗61と第二抵抗62を電圧監視部51に印加される電圧が大きくなりすぎないように調整可能な閾値設定部60として用いている。
【0024】
例えば、電源電圧が100Vであり、ソレノイドコイル99を用いて切替機構を確実に動作させるための最低限の電圧が70Vだとすると、第一抵抗61の分圧は電源電圧が70Vの時に電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値となるように設定すればよい(例えば、電圧監視部51に印加される電圧が5Vとなるように設定)。このようにすれば、電源の電圧が70V未満に低下した場合は、第一抵抗61での分圧は5V未満となり、電圧監視部51におけるグラウンドへの接地が維持され、ソレノイドコイル99への通電はされない。このため、切替機構が切り替え動作をしないままソレノイドコイル99に電流が流れ続けて焼損することを防止することができる。
【0025】
一方、分圧により設定された第二抵抗62側の電圧(55V)をリレー91に掛けるのは適切ではないため、降圧をおこなう。例えば、55Vから10Vまで降圧することができるように、実施形態では降圧回路80を設けている。リレー91の直流回路の部分には降圧回路80で出力された電力(例えば10V)の電圧が入力される。リレー91の直流回路の部分に入力されると、リレー91の交流回路の部分のスイッチをONとすることができ、切替制御部92に電流を流すことができる。
【0026】
ただし、電源の電圧が低電圧の場合に降圧回路80を流れた電気をリレー91に流さないようにするため、実施形態では、通電制御部50を設けている。実施形態の通電制御部50は、リレー91と降圧回路80を繋ぐ経路の間に遮断可能部52を配置する構成としており、電源の電圧が低電圧の場合には、降圧回路80からリレー91までの経路がつながらないようにしている。このため、電源の電圧が低電圧の場合に、リレー91が動作することを回避することができる。
【0027】
図3に示す例では遮断可能部52はスイッチであり、具体的にはスイッチング素子であるFETであり、この遮断可能部52は電圧監視部51の二次側に設けられた別のFETがОNした場合に、ОNすることができる構成となっている。この例では遮断可能部52と電圧監視部51の間に位置するFETは電圧監視部51がグラウンドに接地された状態が解除されることで、ОNすることができる。したがって、電圧監視部51がグラウンドに接地された状態が解除されることで、遮断可能部52をОNすることができる構成となっている。また、FET以外のスイッチング素子としてトランジスタや、リレー、フォトカプラ等を用いることもできる。
【0028】
ここでFETについて簡単に説明をしておく。FET(Field Effect Transistor)は電界効果トランジスタのことであり、通常、「ゲート端子」、「ソース端子」、「ドレイン端子」という3種類の端子を備える。また、ゲート端子とソース端子に入力される電圧を比較し、設定された側の端子の方が高い(若しくは低い)場合にソース端子とドレイン端子間をОNすることで電流を流すことができる。
【0029】
図3に示す例において、遮断可能部52と電圧監視部51の間に位置するFETを第1FET31とし、遮断可能部52を構成するFETを第2FET32とする。第1FET31において、ソース端子に対して正の電圧がゲート端子に入力されると第1FET31をОNする制御が行われる。なお、この例では、第1FET31のソース端子はグラウンドに接続されるため0Vとなる。また、低圧回路の下流側であって、第1FET31と降圧回路80の間に第四抵抗59が設けられているとともに、第四抵抗59とグラウンドの間に第三抵抗58が設けられている。
【0030】
このため、電圧監視部51におけるグラウンドへの接地が解除されると、第1FET31のゲート端子には第四抵抗59側の分圧(例えば6V)が入力され、ソース端子に対して正の電圧がゲート端子に入力され、第1FET31がОNするようになる。なお、電圧監視部51がグラウンドと接続されている場合は、遮断可能部52と電圧監視部51の間に位置する第1FET31は、ソース端子もゲート端子も0Vとなるため、第1FET31はОNしない。
【0031】
図3に示す遮断可能部52を構成するを第2FET32においては、ソース端子に対して負の電圧がゲート端子に入力されるとОNする制御が行われる点が上記した第1FET31と異なるだけであり、基本的な動きは同様である。
【0032】
なお、ソレノイドコイル99への通電がされていない状態において、電圧監視部51に第1閾値以上の電圧が印加された場合、スイッチを動作させて、ソレノイドコイル99への通電を開始可能とする構成とすることが好ましい。また、FETを利用すれば、マイコンを使用する必要がなく、小型化や低廉化が可能となる。このため、ソレノイドコイル99への通電がされていない状態において、電圧監視部51に第1閾値以上の電圧が印加された場合、FETを動作させて、ソレノイドコイル99への通電を開始可能とする構成とすることが好ましい。
【0033】
ところで、リレー91やリレー91の二次側で大きな電流が使用されて電圧降下が起こり、電圧監視部51に印加される電圧が第2閾値を下回る状態が発生する可能性がある。また、電圧監視部51に印加される電圧が第2閾値を下回ると通電制御部50はリレー91に電流を流さなくなる。それにより再び電圧が上昇し、通電制御部50がリレー91に電流を流し始め、再び動作し、電流降下が再び起こり、電圧監視部51に入力される電圧が第2閾値を下回るということが繰り返されてしまうおそれがある。上記した事象は、電圧監視部51に印加される電圧が第2閾値を下回ることと第1閾値を上回ることの繰り返しにより発生する。この繰り返しを避けるために、図3に示す例では、制御部21に電圧引き上げ部70を備えた構成としている。
【0034】
制御部21に電圧引き上げ部70を備えた構成としなくても、電圧を安定して出力できる外部装置を別途使用すれば、上記事象は回避できるかもしれないが、そのような外部装置は一般的に高価で大型であるため、切替開閉器1には不向きである。一方、電圧引き上げ部70を備えた構成とし、制御部21で電圧を引上げ可能な構成とすれば、安価で省スペースに設置可能な切替開閉器1とすることができる。このため、制御部21に、通電制御部50と、閾値設定部60と、電圧引き上げ部70と、を備え、通電制御部50に電圧監視部51を備え、通電制御部50の前段に設けられた閾値設定部60は、入力された電圧を複数の抵抗により分圧し、分圧された電圧を電圧監視部51に出力可能であり、電圧引き上げ部70は、電圧監視部51に印加される電圧を引き上げ可能である構成とすることが好ましい。
【0035】
例えば図3に示すように、通電制御部50から電圧が入力されると、電圧監視部51に入力される電圧を引き上げることができるフィードバック回路71を閾値設定部60と電圧監視部51との間に接続する。電圧監視部51に入力される電圧は幾分か印加されるため(例えば10V)、リレー91以降における電気の消費に起因して電圧降下が起こっても電圧監視部51に入力される電圧が第1閾値(5V)未満にはならないようにすることができる。それにより、制御部21に流れる電流に変動が発生しても切替制御部92のON/OFFを短時間で繰り返さないようにすることができるため、切替開閉器1の自動切替機能を維持させることができる。なお、電圧引き上げ部70を用いれば、第2閾値を第1閾値と同じにしても運用可能である。
【0036】
ところで、電圧低下は、リレー91やリレー91の二次側で大きな電流が使用されることにより生じるだけではなく、電源の電圧の低下(パワコン等の故障による電源電圧の低下)などでも生じる。電源の電圧が低下しているのに、リレー91に電気を流し続けるのはソレノイドコイル99の焼損に繋がることは既に説明したとおりである。この点に関し、電圧引き上げ部70に入力される電圧を用いて電圧監視部51に印加される電圧を引き上げることができるフィードバック回路71を電圧引き上げ部70に備える構成であれば、電源の電圧が正常の値の出力後に一定以上低くなれば、電圧引き上げ部70を用いても電圧は十分に引き上げることができないため、電源の電圧が低いのにソレノイドコイル99に通電される事態は容易に回避することができる。なお、フィードバック回路71への電圧の出力は、電圧引き上げ部70に対して規定値以上の電圧が入力された場合に行われるようにするのが好ましい。
【0037】
これらの記載から理解されるように、電圧監視部51に印加される電圧が第1閾値以上となった場合、電圧監視部51に入力される電圧を電圧引上げ部70により通電制御部50から出力される電圧に引き上げる構成とするのが好ましい。また、通電制御部50から出力される電圧が入力される電圧引き上げ部70は、電圧監視部51に電圧を印加されることが可能なフィードバック回路71を備える構成とすることが好ましい。
【0038】
ところで、この例では、切替制御部92による制御により切替機構に備えるソレノイドコイル99に一定の電流以上を流して電磁誘導により誘導片を移動させ、第三端子12cの接続先を第一端子12aと第二端子12bの間で切り替えるように駆動させる。なお、元の電源側とは異なるソレノイドコイル99に電流が流れ、第三端子12cの接続先が他の電源と接続されている端子側に切り替わった場合、他の電源側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオフになる。また、元の電源側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオンになる。
【0039】
この点ソレノイドコイル通電用スイッチ94などの動作例について具体的に説明をする。例えば、負荷Ldが商用電源である第1電源P1と接続している場合、第1電源P1側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオフ、非常用電源などの第2電源P2側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオンとなっている。
【0040】
停電などにより第2電源P2(非常用電源)側から切替開閉器1に電力が供給されると第2電源P2(非常用電源)側のソレノイドコイル99に電流が流れ、第2電源P2(非常用電源)側に切り替わる。その際に第2電源P2(非常用電源)側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオフとなり、第1電源P1(商用電源)側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオンとなる。
【0041】
復電時などにより第1電源P1(商用電源)側から電力が供給されると第1電源P1(商用電源)側のソレノイドコイル99に電流が流れ、第1電源P1(商用電源)側に切り替わる。その際に第1電源P1(商用電源)側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオフとなり、第2電源P2(非常用電源)側のソレノイドコイル通電用スイッチ94はオンとなる。
【0042】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、遮断可能部にFETとは異なるものを採用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 切替開閉器
12a 第一端子
12b 第二端子
12c 第三端子
21 制御部
50 通電制御部
51 電圧監視部
60 閾値設定部
70 電圧引き上げ部
71 フィードバック回路
99 ソレノイドコイル

P1 第1電源
P2 第2電源
Ld 負荷
図1
図2
図3