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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085450
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】スイング計測器
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20240620BHJP
   A63B 60/46 20150101ALI20240620BHJP
   A63B 102/18 20150101ALN20240620BHJP
【FI】
A63B69/00 505H
A63B69/00 505L
A63B60/46
A63B102:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199904
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 博久
(57)【要約】
【課題】バットに容易に着脱可能なスイング計測器を提供する。
【解決手段】本実施形態のバット装着器10では、嵌合リング11が備えられ、嵌合リング11の上端側から、バット90のグリップエンドに通して先端側まで移動させると、嵌合リング11の内面の傾斜面がバット90のテーパー部90Tに摩擦係止し、バット先端側から抜けないように固定される。一方、バット90からスイング計測器10を取り外す際には、スイング計測器10を取り付け方向と反対方向に引き抜くだけでよい。このように、本実施形態では、スイング計測器10は、バット90のグリップエンド側から挿通させるだけでバット90に取り付けられるのでバット90への着脱が容易である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バットのスイング動作を定量的に表す動作値を計測するためにバットに装着されるスイング計測器であって、
前記バットにグリップエンド側から嵌合されて前記バットのテーパー部に係止する嵌合リングと、
前記嵌合リングに支持され、前記動作値を計測するためのセンサを含んだ計測回路と、を備えるスイング計測器。
【請求項2】
前記嵌合リングの周方向の第1位置から側方に突出し、前記計測回路を支持する支持突部と、
前記第1位置と前記第1位置から前記嵌合リングの周方向で180度離れた第2位置との両方又は一方から前記バットの長手方向に突出して前記バットの外面に宛がわれる傾斜規制突部と、
を備える請求項1に記載のスイング計測器。
【請求項3】
前記傾斜規制突部は、少なくとも前記第1位置に配置され、その第1位置の前記傾斜規制突部は、前記嵌合リングからバットの先端側のみに突出している請求項2に記載のスイング計測器。
【請求項4】
前記傾斜規制突部は、少なくとも前記第2位置に配置され、その第2位置の前記傾斜規制突部は、前記嵌合リングから前記グリップエンド側のみに突出している請求項2又は3に記載のスイング計測器。
【請求項5】
前記傾斜規制突部は、前記嵌合リングの周方向に沿って湾曲した突板構造をなしている請求項2に記載のスイング計測器。
【請求項6】
前記テーパー部と前記嵌合リングの間に任意に嵌合されるスペーサーリングを備える請求項1又は2に記載のスイング計測器。
【請求項7】
前記スペーサーリングの一端部から側方に張り出し、前記嵌合リングのうち前記バットの先端側を向く端面に重ねられるフランジ部を備える請求項6に記載のスイング計測器。
【請求項8】
前記嵌合リングからバットの先端側に突出して前記バットの外面に宛がわれる傾斜規制突部が備えられ、
前記フランジ部には、前記傾斜規制突部を受容する切欠部が設けられている請求項7に記載のスイング計測器。
【請求項9】
前記スペーサーリングから突出して前記嵌合リングのうち前記グリップエンド側を向く端面と前記バットの長手方向で対向する環状突部を備える請求項6に記載のスイング計測器。
【請求項10】
前記スペーサーリングは、周方向の一部に分断部を有してC形状をなしている請求項6に記載のスイング計測器。
【請求項11】
前記スペーサーリングは、弾性体で形成されている請求項6に記載のスイング計測器。
【請求項12】
前記スペーサーリングは、硬質ゴム又はエラストマーで形成されている請求項11に記載のスイング計測器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バットのスイング動作を定量的に表す動作値を計測するスイング計測器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイング計測器として、バットに取り外し可能に取り付けられるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-176595号公報(段落[0011]、[0042]、[0208]、[0209]及び図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のスイング計測器に対して、バットに容易に着脱できるものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本開示の第1の態様は、バットのスイング動作を定量的に表す動作値を計測するためにバットに装着されるスイング計測器であって、前記バットにグリップエンド側から嵌合されて前記バットのテーパー部に係止する嵌合リングと、前記嵌合リングに支持され、前記動作値を計測するためのセンサを含んだ計測回路と、を備えるスイング計測器である。
【発明の効果】
【0006】
本開示のスイング計測器では、嵌合リングを備えて、バットにグリップエンド側から嵌合することで取り付けられるのでバットへの着脱が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係るスイング計測器が装着されたバットの斜視図
図2】スイング計測器の電気的な構成を示すブロック図
図3】スイング計測器の(A)斜視図、(B)側断面図
図4】バットに装着されたスイング計測器の側断面図
図5】第2実施形態に係るスペーサーリング及びスイング計測器が装着されたバットの拡大図
図6】スペーサーリングの(A)斜視図、(B)側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、図1図4を参照して、本開示のスイング計測器10に係る第1実施形態について説明する。スイング計測器10は、野球やソフトボールに使用するバット90のスイング動作の動作値を計測するためのものであって、図1に示すように、バット90の外周面のうちヘッド部分のテーパー部90Tに取り付けられる。
【0009】
スイング計測器10は、回路基板51及び電池54等をハウジング10Hでパッケージしてなる(図2参照)。回路基板51には、加速度センサ50、無線回路52、計測回路53等が実装されており、例えば、スマートフォン等の携帯端末から計測開始指令を無線受信すると、加速度センサ50がバット90のスイング動作の動作値としてのバット90の長手方向の加速度を計測し、その計測結果を無線回路52が携帯端末に無線送信するようになっている。
【0010】
ハウジング10Hは、樹脂の成形品であって、図3(A),(B)に示すように、バット90の外周面を覆う嵌合リング11と、嵌合リング11から径方向に突出する支持突部12と、嵌合リング11から中心軸方向に突出する第1と第2の傾斜規制突部13,14と、を有する。
【0011】
嵌合リング11は、図3(B)に示すように、その内面が、中心軸方向の一方側に向かうに従って徐々に拡径される形状をなしている。一方、嵌合リング11の外面は、中心軸と略平行になっている。以下、ハウジング10Hにおいて、中心軸方向における嵌合リング11の内面が大径となっている側を上側、小径となっている側を下側ということとする。また、中心軸方向を、適宜、上下方向ということとする。
【0012】
なお、嵌合リング11の外周面には、後述する支持突部12が突出形成される部分を除いて、周方向に複数等分する位置に、複数の溝部11Mが形成されている。各溝部11Mは、嵌合リング11のうち上端寄り位置から中心軸方向に延びて下端に開放している。
【0013】
支持突部12は、上下方向に扁平な形状をなして、嵌合リング11の全周の3分の1程度に亘る範囲から側方に突出している。また、支持突部12の下面は嵌合リング11の下端面と面一の平坦面となっている一方、支持突部12の上面は凹凸面となっている。そして、支持突部12の内部に、電池54が収容される電池収容部12Aと、加速度センサ50等が収容される基板収容部12Bが設けられている。なお、支持突部12の上面には、嵌合リング11の外周面との間を連絡して支持突部12の突出方向に延びる複数のリブ12Rが形成されている(図3(A)参照)。
【0014】
図3(B)に示すように、第1傾斜規制突部13は、嵌合リング11の周方向において、支持突部12が突出する第1位置S1から上方向に突出し、第2傾斜規制突部14は、その第1位置S1から180度離れた第2位置S2から下方向に突出している。これら第1と第2の傾斜規制突部13,14は、嵌合リング11の周方向に沿って湾曲した突板構造をなしている。そして、第1と第2の傾斜規制突部13,14の内面は、嵌合リング11の内周面と面一となって突出先端側に向かうに従って嵌合リング11の中心軸に近づくように傾斜している。一方、第1傾斜規制突部13,14の外面は、嵌合リング11の外周面と面一となっているが、第1傾斜規制突部13の外面は、嵌合リング11の中心軸と略平行になっていて、第2傾斜規制突部14の外面は、突出先端側に向かうに従って嵌合リング11の中心軸に近づくように傾斜している。なお、第1と第2の傾斜規制突部13,14の突出先端部の角部は円弧状に面取りされている。
【0015】
本実施形態の構成に関する説明は以上である。次に、スイング計測器10の作用効果について説明する。バット90にスイング計測器10を取り付けるには、嵌合リング11の上端側から、バット90のグリップエンドに通して先端側まで移動させる。すると、図4に示すように、嵌合リング11の内面の傾斜面がバット90のテーパー部90Tに摩擦係止し、バット先端側から抜けないように固定される。この状態で、上述したように、携帯端末と連動してバット90の長手方向の加速度が計測される。一方、バット90からスイング計測器10を取り外す際には、スイング計測器10を取り付け方向と反対方向に引き抜くだけでよい。このように、本実施形態では、スイング計測器10は、バット90のグリップエンド側から挿通させるだけでバット90に取り付けられ、バット90への着脱が容易である。
【0016】
また、本実施形態のスイング計測器10は、嵌合リング11をバット90のテーパー部90Tに係止させると、加速度センサ50及び電池54等を収容する支持突部12がバット90から側方に突出する。この状態で、バット90がスイング動作されると、その遠心力により、支持突部12にバット先端方向への力が働いて嵌合リング11に傾きのモーメント(以下、「傾斜モーメントF1」という)が発生し(図4参照)、嵌合リング11が傾いて、加速度センサ50によるバット90の長手方向の加速度の計測の誤差が生じ得る。これに対して、本実施形態のスイング計測器10では、嵌合リング11に、嵌合リング11の周方向において支持突部12が突出する第1位置S1と、第1位置S1から180度離れた第2位置S2にバット90の長手方向に延びる第1と第2の傾斜規制突部13,14を備えているので、嵌合リング11が傾く前に、第1と第2の傾斜規制突部13,14がバット90の外周面に当接することで嵌合リング11の姿勢を安定させることができる。これにより、加速度センサ50による計測の誤差を抑えることができる。
【0017】
ここで、嵌合リング11を傾きにくくする構成として、例えば、支持突部12を備える代わりに嵌合リング11の厚みを大きくして内部に加速度センサ50等を収容する構成や、第1と第2の傾斜規制突部13,14を備える代わりに嵌合リング11の中心軸方向の長さを長くする構成が考えられるが、本実施形態の構成にすることで、材料を減らして軽量かつ安価に製造することができる。さらに、支持突部12をボールが飛んでくる側と反対側に配置することで、ボールとの干渉が避けられるため、上述の構成よりも実打する際の邪魔になりにくくすることができる。
【0018】
また、本実施形態では、第1及び第2の傾斜規制突部13,14が、嵌合リング11の周方向に沿って湾曲した突板構造となっているので、剛性を保って破損しにくくすることができる。また、第1及び第2の傾斜規制突部13,14の内面が、バット90の外周面に沿って傾斜しているので第1及び第2の傾斜規制突部13,14全体でバット90の外周面に当接することができ、スイング計測器10の姿勢を一層安定させることができる。
【0019】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態は、図5及び図6に示されており、第1実施形態のスイング計測器10に、スペーサーリング30を任意に装着可能となっている。
【0020】
スペーサーリング30は、例えば、硬質ゴムやエラストマー等の弾性体で構成され、図6(A)に示すように、バット90のテーパー部90Tに嵌合する筒状部31と、筒状部31から中心軸方向に突出する1対の突板部32と、筒状部31から径方向に張り出す第1及び第2のフランジ部33,34と、を備えている。
【0021】
筒状部31は、周方向の1箇所に分断部31Aを有する断面C形状をなし、分断部31Aを挟む筒状部31の両端部が拡縮変形可能となっている。また、図6(B)に示すように、筒状部31は、均一な厚みをなして中心軸方向の一方側に向かうに従って徐々に拡径される形状をなしており、バット90に装着されたときに、内径も外径もテーパー部90Tの傾斜に沿うようになっている。以下、スペーサーリング30において、中心軸方向における筒状部31の大径側を上側、小部側を下側ということとする。
【0022】
1対の突板部32は、筒状部31の中心軸方向の両端面から上側と下側に突出しており、それらは周方向において互いに180度離れた位置に配置されている。そして、筒状部31の周方向において1対の突板部32の間を等分する位置に、上述の分断部31Aが設けられている。また、1対の突板部32は、筒状部31の周方向に沿って湾曲し、その内面と外面は筒状部31の内面と外面と面一となって突出先端側に向かうに従って筒状部31の中心軸に近づくように傾斜している。なお、1対の突板部32の突出先端部の角部は円弧状に面取りされている。
【0023】
第1フランジ部33は、筒状部31の上端縁から張り出し、第2フランジ部34は、筒状部31の下端縁から張り出し、その張り出し量は、第1フランジ部33の方が第2フランジ部34よりも大きくなっている。そして、第1及び第2フランジ部33,34には、それぞれ、周方向において1対の突板部32が突出する部分が切り欠かれた切欠部33K,34Kが形成されている。また、第1フランジ部33と第2フランジ部34との間の長さは、ハウジング10Hの嵌合リング11の軸方向の長さと略同じかそれよりもわずかに大きくなっている。なお、第1フランジ部が特許請求の範囲の「フランジ部」に相当し、第2フランジ部が特許請求の範囲の「環状突部」に相当する。
【0024】
次に、スイング計測器10のバット90への取り付け方法について説明する。まず、スペーサーリング30が、バット90に対して側方から取り付けられる。具体的には、バット90のテーパー部90Tにおいてスイング計測器10を取り付けたい位置に、スペーサーリング30の上側をバット先端側に配置した状態で、筒状部31の分断部31Aを押し当てて分断部31Aを挟む筒状部31の両端部を広げる。そして、筒状部31の内側にバット90が挿入され、自身の弾発力によって復元したときに、筒状部31がテーパー部90Tに嵌合する。このとき、スペーサーリング30の1対の突板部32が筒状部31からバット90の長手方向に突出してバット90の外周面に宛がわれる。
【0025】
次に、スペーサーリング30が装着されたバット90に、第1実施形態と同様にスイング計測器10の嵌合リング11をグリップエンド側から挿通させる。このとき、嵌合リング11は、バット先端側に移動させたときにスペーサーリング30の筒状部31を押し潰して密着する。そして、嵌合リング11の上端面がスペーサーリング30の第1フランジ部33に重なるまで移動させると、嵌合リング11は、スペーサーリング30の第2フランジ部34を乗り越え、第1及び第2のフランジ部33,34の間に配置される。このようにして、スイング計測器10はバット90のテーパー部90Tに係止される。嵌合リング11の第1及び第2の傾斜規制突部13,14は、それぞれ、スペーサーリング30の第1及び第2のフランジ部33,34と干渉しないように切欠部33K,34Kに受容させることで、スペーサーリング30の1対の突板部32の外面に重ねられる。
【0026】
本実施形態のように、バット90と嵌合リング11の間にスペーサーリング30を嵌合させることで、バット90の径寸法が変わっても同一のスイング計測器10を使用することが可能となる。また、スペーサーリング30が弾性体で構成されるので、スイング計測器10を密着させて固定し、バット90に対するスイング計測器10の位置を一層安定させることができる。ここで、例えば、径や厚みの異なるスペーサーリング30を複数準備しておき、バット90の径寸法に合わせて適宜選択して使用する構成にしてもよい。
【0027】
また、スペーサーリング30は、バット90に嵌合される筒状部31が断面C形状をなしているので、バット90への装着性が向上すると共に、異なる径寸法のバット90に適用可能となる。また、バット90の側方から取り付けることができ、バット90のグリップエンド側から挿通させるよりも容易にバット90のテーパー部90Tの取り付けたい位置に装着させやすくなる。
【0028】
また、スペーサーリング30は、筒状部31の中心軸方向の両端部に第1及び第2のフランジ部33,34を備えて、スイング計測器10の嵌合リング11がその間に配置されるので、スイング計測器10を容易に位置決めできる。
【0029】
[他の実施形態]
(1)前記第1実施形態では、スイング計測器10の嵌合リング11に、バット90の長手方向に延びる第1及び第2の傾斜規制突部13,14が備えられていたが、第1傾斜規制突部13のみが備えられていてもよいし、第2傾斜規制突部14のみが備えられていてもよい。
【0030】
また、第1及び第2の傾斜規制突部13,14の両方が備えられていなくてもよい。
【0031】
(2)嵌合リング11の内面に、滑り止め用の突起が設けられていてもよい。
【0032】
(3)前記第1形態では、扁平形状をなす加速度センサ50及び電池54等を収容する部分(支持突部12)が嵌合リング11から側方に突出する構成であったが、これに限らず、例えば、加速度センサ50及び電池54等を収容する部分が嵌合リング11の外面に重ねられて側方に突出しない構成や、嵌合リング11の厚みを大きくして内部に加速度センサ50及び電池54等を収容する構成であってもよい。つまり、嵌合リング11の形状は、加速度センサ50及び電池54等が収容されて、バット90のテーパー部90Tに係止するものであれば、どのような形状であってもよい。
【0033】
(4)前記第2実施形態では、スペーサーリング30の筒状部31に分断部31Aを設けて、分断部31Aを押し広げて、バット90の側方から取り付けていたが、筒状部31をバット90のグリップエンド側から挿通させて取り付けてもよい。この場合、筒状部31に分断部31Aが設けられていなくてもよい。
【0034】
(5)前記第2実施形態では、バット90にまずスペーサーリング30を取り付けて、その後で、スイング計測器10を取り付ける構成であったが、スペーサーリング30にスイング計測器10を装着した状態でバット90に取り付ける構成であってもよい。
【0035】
(6)前記第2実施形態では、スペーサーリング30に第1及び第2のフランジ部33,34が設けられていたが、何れか一方、又はその両方が設けられていなくてもよい。
【0036】
(7)前記第2実施形態では、嵌合リング11は、スペーサーリング30の第1と第2のフランジ33,34との間に受容される構成であったが、第2フランジ部34の代わりに、筒状部31の外取面から突出して嵌合リング11の内面に当接する環状突部を備える構成であってもよい。
【0037】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0038】
本願出願には、後述する複数の特徴が含まれている。なお、これら特徴の記載においてカッコ内の数字は、上記実施形態において対応する符号である。
【0039】
[特徴1]
バット(90)のスイング動作を定量的に表す動作値を計測するためにバット(90)に装着されるスイング計測器(10)であって、前記バット(90)にグリップエンド側から嵌合されて前記バット(90)のテーパー部(90T)に係止する嵌合リング(11)と、前記嵌合リング(11)に支持され、前記動作値を計測するためのセンサ(50)を含んだ計測回路(53)と、を備えるスイング計測器(10)。
【0040】
特徴1のスイング計測器(10)によれば、嵌合リング(11)を備えて、バット(90)にグリップエンド側から嵌合することで取り付けられるのでバット(90)への着脱が容易となる。
【0041】
[特徴2]
前記嵌合リング(11)の周方向の第1位置(S1)から側方に突出し、前記計測回路(53)を支持する支持突部(12)と、前記第1位置(S1)と前記第1位置(S1)から前記嵌合リング(11)の周方向で180度離れた第2位置(S2)との両方又は一方から前記バット(90)の長手方向に突出して前記バット(90)の外面に宛がわれる傾斜規制突部(13,14)と、を備える特徴1に記載のスイング計測器(10)。
【0042】
本開示のスイング計測器(10)は、バット(90)のスイング動作を定量的に表す動作値を計測するセンサ(50)を含んだ計測回路(53)を備えているが、その計測回路(53)を支持する支持突部が嵌合リング(11)から突出する構成とすると、バット(90)がスイング動作されると、その遠心力により、支持突部(12)にバット先端方向への力が働いて嵌合リング(11)に傾きのモーメント(F1)が発生し、嵌合リング(11)が傾いて、センサ(50)による計測の誤差が生じ得る。これに対して、特徴2のスイング計測器(10)のように、嵌合リング(11)の周方向において支持突部(12)が突出する第1位置(S1)と、第1位置(S1)から180度離れた第2位置(S2)との両方又は一方にバット(90)の長手方向に延びる傾斜規制突部(13,14)を備えることで、嵌合リング(11)が傾くことが抑えられて、バット(90)に対するスイング計測器(10)の姿勢を安定させることができる。これにより、センサ(50)による計測の誤差を抑えることができる。
【0043】
[特徴3]
前記傾斜規制突部(13)は、少なくとも前記第1位置(S1)に配置され、その第1位置(S1)の前記傾斜規制突部(13)は、前記嵌合リング(11)からバット(90)の先端側のみに突出している特徴2に記載のスイング計測器(10)。
【0044】
[特徴4]
前記傾斜規制突部(14)は、少なくとも前記第2位置(S2)に配置され、その第2位置(S2)の前記傾斜規制突部(14)は、前記嵌合リング(11)から前記グリップエンド側のみに突出している特徴2又は3に記載のスイング計測器(10)。
【0045】
傾斜規制突部(13,14)は、特徴3のように、少なくとも第1位置(S1)に設けられる構成であっても、特徴4のように、少なくとも第2位置(S2)に設けられる構成であっても、嵌合リング(11)が傾くことが抑えられるが、両方に設けられることで一層バット(90)に対するスイング計測器(10)の姿勢を安定させることができる。
【0046】
[特徴5]
前記傾斜規制突部(13,14)は、前記嵌合リング(11)の周方向に沿って湾曲した突板構造をなしている特徴2から4の何れか1の特徴に記載のスイング計測器(10)。
【0047】
特徴5のスイング計測器(10)によれば、傾斜規制突部(13,14)を、嵌合リング(11)の周方向に沿って湾曲した突板構造となっているので剛性を保って破損しにくくなる。また、傾斜規制突部(13,14)の内面全体でバット(90)の外面を支持することができるのでスイング計測器(10)の姿勢を一層安定させることができる。
【0048】
[特徴6]
前記テーパー部(90T)と前記嵌合リング(11)の間に任意に嵌合されるスペーサーリング(30)を備える特徴1から5の何れか1の特徴に記載のスイング計測器(10)。
【0049】
特徴6のスイング計測器(10)によれば、バット(90)の径寸法が変わっても同一のスイング計測器を使用することができる。
【0050】
[特徴7]
前記スペーサーリング(30)の一端部から側方に張り出し、前記嵌合リング(11)のうち前記バット(90)の先端側を向く端面に重ねられるフランジ部(33)を備える特徴6に記載のスイング計測器(10)。
【0051】
特徴7のスイング計測器(10)によれば、スイング計測器(10)の位置を容易に位置決めできる。
【0052】
[特徴8]
前記嵌合リング(11)からバット(90)の先端側に突出して前記バット(90)の外面に宛がわれる傾斜規制突部(13)が備えられ、前記フランジ部(33)には、前記傾斜規制突部(13)を受容する切欠部(33K)が設けられている特徴7に記載のスイング計測器(10)。
【0053】
特徴8のスイング計測器(10)によれば、傾斜規制突部(13)との干渉を避けることができる。
【0054】
[特徴9]
前記スペーサーリング(30)から突出して前記嵌合リング(11)のうち前記グリップエンド側を向く端面と前記バット(90)の長手方向で対向する環状突部(34)を備える特徴6から8の何れか1の特徴に記載のスイング計測器(10)。
【0055】
特徴9のスイング計測器(10)によれば、スイング計測器(10)の位置を容易に位置決めできる。
【0056】
[特徴10]
前記スペーサーリング(30)は、周方向の一部に分断部(31A)を有してC形状をなしている特徴6から9の何れか1の特徴に記載のスイング計測器(10)。
【0057】
特徴10のスイング計測器(10)によれば、バット(90)への装着性が向上すると共に、異なる径寸法のバット(90)に適用可能となる。また、スペーサーリング(30)をバット(90)の側方から取り付けることができる。
【0058】
[特徴11]
前記スペーサーリング(30)は、弾性体で形成されている特徴6から10の何れか1の特徴に記載のスイング計測器(10)。
【0059】
特徴11のスイング計測器(10)によれば、嵌合リング(11)がスペーサーリング(30)を圧縮して密着し、バットに対するスイング計測器の位置を一層安定させることができる。
【0060】
[特徴12]
前記スペーサーリング(30)は、硬質ゴム又はエラストマーで形成されている特徴11に記載のスイング計測器(10)。
【0061】
スペーサーリング(30)は、特徴12のように、硬質ゴム又はエラストマーで形成されていてもよい。
【0062】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0063】
10 スイング計測器
11 嵌合リング
12 支持突部
13 第1傾斜規制突部
14 第2傾斜規制突部
30 スペーサーリング
31A 分断部
33 第1フランジ部
33K 切欠部
34 第2フランジ部(環状突部)
50 加速度センサ
53 計測回路
90 バット
90T テーパー部
S1 第1位置
S2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6