(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085459
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】無線通信ネットワークを介した装着型端末装置の生体情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240620BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199925
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】515299944
【氏名又は名称】日本アルテミス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 賢司
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】装着型端末装置から無線通信ネットワークを介して受け取った生体情報を安全に管理するシステムを提供する。
【解決手段】 生体情報管理システムが、生体情報を検出する検出部および生体情報を送る無線通信を行う無線通信部を有する装着型端末装置と、無線通信網を備えて無線通信部からの無線通信を受信可能なアクセスポイント装置と、装着型端末装置で検出した生体情報をアクセスポイント装置から受け取って管理する生体情報管理装置とを備える。装着型端末装置は、検出した生体情報とともに装着端末識別情報およびユーザ識別情報をアクセスポイント装置に送信し、アクセスポイント装置は、装着型端末装置から情報を受け取ったときに、予め有している装着端末識別情報と装着型端末装置から送られてきた装着端末情報とを照合して、装着型端末装置から送られてくる情報を生体情報管理装置で管理すべきか否かの判断を行う認証監視装置を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが身に着けて用いるように構成され、身に着けたユーザの生体情報を検出する検出部および前記検出部により検出された生体情報を外部に送るための無線通信を行う無線通信部を有する装着型端末装置と、
所定の受信可能エリアを有する無線通信網を備え、前記無線通信部からの無線通信を受信可能なアクセスポイント装置と、
前記アクセスポイント装置が前記無線通信網を介して前記装着型端末装置から受信したユーザの前記生体情報を、前記アクセスポイント装置から受け取って管理する生体情報管理装置と、を備え、
前記装着型端末装置は自身を識別するための装着端末識別情報を有し、且つ、前記装着型端末装置を身に着けるユーザを識別するためのユーザ識別情報を入力可能であり、
前記装着型端末装置は、前記検出部が検出した生体情報とともに前記装着端末識別情報および前記ユーザ識別情報を前記無線通信部から前記アクセスポイント装置に送信するように構成され、
前記アクセスポイント装置および前記生体情報管理装置の少なくともいずれかは、前記装着端末識別情報を予め有しており、前記装着型端末装置から送られてくる情報を受け取ったときに、予め有している前記装着端末識別情報と前記装着型端末装置から送られてきた装着端末情報とを照合して、前記装着型端末装置から送られてくる前記情報を前記生体情報管理装置で管理すべきか否かの判断を行う認証監視装置を備えることを特徴とする生体情報管理システム。
【請求項2】
前記アクセスポイント装置が前記認証監視装置を備え、
前記アクセスポイント装置が前記装着型端末装置から送られてくる情報を受け取ったときに、前記認証監視装置において、予め入力されている前記装着端末識別情報と前記装着型端末装置から送られてきた前記装着端末情報とを照合して、前記装着型端末装置から送られてくる前記情報を前記生体情報管理装置に送るべきか否かの判断を行うことを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理システム。
【請求項3】
前記アクセスポイント装置が、
第1の受信可能エリアを有して前記無線通信部からの第1の無線通信方式による無線通信を受信可能な1つまたはそれぞれ異なる位置に設けられた複数の第1アクセスポイント装置と、
前記1つまたは複数の第1アクセスポイント装置をカバーする第2の受信可能エリアを有して、前記1つまたは複数の第1アクセスポイント装置からの第2の無線通信方式による無線通信を受信可能な第2アクセスポイント装置と、を備え、
前記第1アクセスポイント装置が、前記第1無線通信方式と前記第2無線通信方式との通信方式の変換を行う通信方式変換装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報管理システム。
【請求項4】
前記認証監視装置は、前記生体情報に対して所定の情報処理を行う情報処理部を有し、
前記所定の情報処理は前記生体情報を圧縮する処理を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報管理システム。
【請求項5】
前記生体情報管理装置は、前記認証監視装置において前記生体情報管理装置で管理すべきと判断されて前記アクセスポイント装置から受け取ったユーザの生体情報を記憶するサーバ記憶装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の生体情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信ネットワークを介した装着型端末装置の生体情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身に着けながらユーザの心拍数や脈拍、血圧、体温など様々な生体情報を取得することのできる生体センサを搭載したウェアラブルデバイスが登場している。また、医療施設や介護施設等では、これらの生体情報を取得する作業人員の不足や作業時間等が問題になっている。そこで、これまで医療機器を用いて行っていた生体情報の取得作業にウェアラブルデバイスを利用することで、遠隔から生体情報を取得することを可能にすることが提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、作業の負担を軽減することができると期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ここで扱われる生体情報は個人情報であり、医療施設や介護施設等で使用するには、複数の機器の認証や情報の安全管理が必要であるという課題がある。また、ウェアラブルデバイスには、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)などの通信方式を用いて無線通信を行うものがあり、これら種々の通信方式に対応する必要があるという課題もある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、無線通信ネットワークを介して、ウェアラブルデバイス(装着型端末装置)によって取得した生体情報を安全に管理するシステムを提供することを目的とする。これにより、医療施設や介護施設等における生体情報の取得作業を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る生体情報管理システムは、ユーザが身に着けて用いるように構成され、身に着けたユーザの生体情報を検出する検出部および検出部により検出された生体情報を外部に送るための無線通信を行う無線通信部を有する装着型端末装置と、所定の受信可能エリアを有する無線通信網を備え、無線通信部からの無線通信を受信可能なアクセスポイント装置と、アクセスポイント装置が無線通信網を介して装着型端末装置から受信したユーザの生体情報を、アクセスポイント装置から受け取って管理する生体情報管理装置と、を備える。そして、装着型端末装置は自身を識別するための装着端末識別情報(例えば実施形態における機器情報)を有し、且つ、装着型端末装置を身に着けるユーザを識別するためのユーザ識別情報(例えば実施形態における患者ID)を入力可能であり、装着型端末装置は、検出部が検出した生体情報とともに装着端末識別情報およびユーザ識別情報を無線通信部からアクセスポイント装置に送信するように構成され、アクセスポイント装置および生体情報管理装置の少なくともいずれかは、装着端末識別情報を予め有しており、装着型端末装置から送られてくる情報を受け取ったときに、予め有している装着端末識別情報と装着型端末装置から送られてきた装着端末情報とを照合して、装着型端末装置から送られてくる情報を生体情報管理装置で管理すべきか否かの判断を行う認証監視装置を備える。
【0007】
上記の生体情報管理システムにおいて、好ましくは、アクセスポイント装置が認証監視装置を備え、アクセスポイント装置が装着型端末装置から送られてくる情報を受け取ったときに、認証監視装置において、予め入力されている装着端末識別情報と装着型端末装置から送られてきた装着端末情報とを照合して、装着型端末装置から送られてくる情報を生体情報管理装置に送るべきか否かの判断を行う。
【0008】
上記の生体情報管理システムにおいて、好ましくは、アクセスポイント装置が、第1の受信可能エリアを有して無線通信部からの第1の無線通信方式(例えば、Bluetooth(登録商標)通信)による無線通信を受信可能な1つまたはそれぞれ異なる位置に設けられた複数の第1アクセスポイント装置と、1つまたは複数の第1アクセスポイント装置をカバーする第2の受信可能エリアを有して、1つまたは複数の第1アクセスポイント装置からの第2の無線通信方式(例えば、Wi-Fi(登録商標)通信)による無線通信を受信可能な第2アクセスポイント装置と、を備え、第1アクセスポイント装置が、第1無線通信方式と第2無線通信方式との通信方式の変換を行う通信方式変換装置(例えば、実施形態における通信方式変換装置10A、10B)を有する。
【0009】
上記の生体情報管理システムにおいて、好ましくは、認証監視装置は、生体情報に対して所定の情報処理を行う情報処理部(例えば実施形態における情報処理装置)を有し、所定の情報処理は生体情報を圧縮する処理を含む。
【0010】
上記の生体情報管理システムにおいて、好ましくは、生体情報管理装置は、認証監視装置において生体情報管理装置で管理すべきと判断されてアクセスポイント装置から受け取ったユーザの生体情報を記憶するサーバ記憶装置を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る生体情報管理システムによれば、アクセスポイント装置および生体情報管理装置の少なくともいずれかは、装着端末識別情報を予め有しており、装着型端末装置から送られてくる情報を受け取ったときに、予め有している装着端末識別情報と装着型端末装置から送られてきた装着端末情報とを照合して、装着型端末装置から送られてくる情報を生体情報管理装置で管理すべきか否かの判断を行う認証監視装置を備えるので、登録されていない不正な機器の接続や不正な通信を排除することができる。したがって、無線通信を介して、複数の装着型端末装置を安全に管理するシステムを実現することができる。また、装着型端末装置を身に着けるユーザに対して固有のユーザ情報(例えば実施形態における患者ID)を割り当て、身に着ける装着型端末装置の機器情報と関連づけることで、各ユーザそれぞれの生体情報を正しく管理することができる。
【0012】
上記生体情報管理システムにおいて、アクセスポイント装置が認証監視装置を備えるのが好ましい。このようにすれば、アクセスポイント装置が装着型端末装置から送られてくる情報を受け取ったときに、アクセスポイント装置の認証監視装置において、予め入力されている装着端末識別情報と装着型端末装置から送られてきた装着端末情報とを照合して、装着型端末装置から送られてくる情報を生体情報管理装置に送るべきか否かの判断を行うことになり、不正な情報が生体情報管理装置に送られることを、通信の上流側で未然に阻止することが可能となる。
【0013】
上記の生体情報管理システムにおいて、アクセスポイント装置を、第1の無線通信方式による無線通信を受信可能なそれぞれ異なる位置に設けられた複数の第1アクセスポイント装置と、複数の第1アクセスポイント装置からの第2の無線通信方式による無線通信を受信可能な第2アクセスポイント装置とを備え、第1アクセスポイント装置が、通信方式の変換を行う通信方式変換装置を有するようにするのが好ましい。これにより、例えば、
第1の無線通信方式として、Bluetooth(登録商標)通信方式を用いて装着型端末装置の構成を小型簡略化し、第2の無線通信方式にWi-Fi(登録商標)通信方式を用いて広域通信を可能とすることが可能となる。
【0014】
上記の生体情報管理システムにおいて、認証監視装置に生体情報に対して所定の情報処理を行う情報処理部を設け、所定の情報処理は生体情報を圧縮する処理を含むようにするのが好ましい。このようにすれば、情報量を小さくでき、ネットワークへの負荷を軽減することができるので、無線による生体情報の送信が容易となる。
【0015】
上記の生体情報管理システムにおいて、生体情報管理装置に、アクセスポイント装置から受け取ったユーザの生体情報を記憶するサーバ記憶装置を設けるのが好ましい。これにより、生体情報管理装置による生体情報の集中管理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る生体情報管理システムSYS(1)を医療施設に採用した一例を示す医療施設内の平面図である。
【
図2】本発明に係る生体情報管理システムSYS(1)の全体構成を示す模式図である。
【
図3】本発明に係る生体情報管理システムSYS(1)の全体構成を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る生体情報管理システムSYS(2)を医療施設に採用した一例を示す医療施設内の平面図である。
【
図5】本発明に係る生体情報管理システムSYS(2)の全体構成を示す模式図である。
【
図6】本発明に係る生体情報管理システムSYS(3)の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(1)をある医療施設に採用した一例を示す医療施設内を示す平面図である。本発明は医療施設において検査機器により検査して得られた生体情報と、装着型端末装置としてのウェアラブルデバイスにより得られた生体情報とを集中的に管理するシステムに関するものであるが、このシステムを適用する前提となる医療施設の一例を説明する。医療施設は、大きな総合病院、中小規模の病院、小規模のクリニックから医療検査機関など種々のものがあるが、
図1ではその一例としての医療施設を簡略化して模式的に示している。
【0018】
図1に示す医療施設MFは、受付室Aと、病室B~Dと、診察室Eと、検査室Fの各部屋を有して構成されている。この医療施設MFには、
図2に示す第1の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(1)が設けられており、以下、
図1および
図2を併用して説明する。
【0019】
まず、この医療施設MFを入口ENTから訪れた患者の受付が受付室Aで行われ、その際、各患者にそれぞれ固有の患者IDが発効され、それと同時にウェアラブルデバイスWDが貸与されるようになっている。病室BおよびDには、Bluetooth通信方式によってウェアラブルデバイスWDからの無線通信情報を受け取る第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)がそれぞれ設置されている。受付室Aには、Wi-Fi通信方式を用いる無線LAN100により第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)からの無線通信情報を受け取る第2アクセスポイント装置AP2と、第2アクセスポイント装置AP2と繋がる認証監視装置20が設置されている。検査室Fには検査装置
45が設けられており、検査装置45により得られた患者の検査生体情報はWi-Fi通信方式を用いる無線LAN100により第2アクセスポイント装置AP2に送られる。外部にサーバ装置30が設けられており、第2アクセスポイント装置AP2は広域通信網200を介してサーバ装置30と接続されており、無線LAN100により第2アクセスポイント装置AP2に送られてくる情報は広域通信網200を用いてサーバ装置30に送られて、ここで管理される。
【0020】
第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)はそれぞれ、Bluetooth通信方式で受信したウェアラブルデバイスWDからの信号をWi-Fi通信方式に変換して無線LAN100による通信を可能とする通信方式変換装置(10A、10B)を有している。第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)は互いにBluetooth通信可能な距離範囲以上に離れないように距離を保って設置されており、それぞれの装置からBluetooth通信可能な距離範囲内にあるウェアラブルデバイスWDの信号を受け取るように構成されている。なお、
図1では、第1アクセスポイント装置AP1(1)によりBluetooth通信方式で受信可能なエリアを第1の受信可能エリアAREA1(1)として二点鎖線の円で示し、第1アクセスポイント装置AP1(2)によりBluetooth通信方式で受信可能なエリアを第1の受信可能エリアAREA1(2)として二点鎖線の円で示している。
【0021】
以上のように構成された医療施設MFにおいては、上述のように、ここを訪れた患者の受付が受付室Aで行われ、その際、入力端末15により、各患者にそれぞれ固有の患者IDが発効され、それと同時にウェアラブルデバイスWDが貸与される。このとき、患者の個人の情報(名前、生年月日、年齢、性別など)と、患者IDと、割り当てられたウェアラブルデバイスWDの機器情報とが入力端末15から入力され、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を用いてサーバ装置30に送られて記憶され、管理される。また、ここで貸与されるウェアラブルデバイスWDの機器情報やネットワーク情報は、あらかじめ認証監視装置20にも入力されて記憶される。
【0022】
受付室Aで受付を済ませてウェアラブルデバイスWDを付与された患者は、付与されたウェアラブルデバイスWDを身に着けて入り医療施設MF内を移動するが、この状態を
図1に示している。本実施例では、ウェアラブルデバイスWD1~5が通信方式としてBluetooth通信を採用している例を
図1および
図2に示している。病室B内には、ウェアラブルデバイスWD1を身に着けた患者P1、ウェアラブルデバイスWD2を身に着けた患者P2が居り、病室C内には、ウェアラブルデバイスWD3を身に着けた患者P3が居り、病室D内には、ウェアラブルデバイスWD4を身に着けた患者P4が居り、通路には、ウェアラブルデバイスWD5を身に着けた患者P5が居る。この状態では、第1の受信可能エリアAREA1(1)内に患者P1~P3およびP5が位置しており、これら患者がそれぞれ身に着けているウェアラブルデバイスWD1~WD3、WD5からBluetooth通信方式で送られてくる無線信号を第1アクセスポイント装置AP1(1)により受信可能である。また、第1の受信可能エリアAREA1(2)内に患者P4およびP5が位置しており、これら患者がそれぞれ身に着けているウェアラブルデバイスWD4、WD5からBluetooth通信方式で送られてくる無線信号を第1アクセスポイント装置AP1(2)により受信可能である。第1アクセスポイント装置AP1(1)により受信した信号および第1アクセスポイント装置AP1(2)により受信した信号は、それぞれ第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)における通信方式変換装置(10A、10B)によってWi-Fi通信方式に変換され、Wi-Fi通信方式を用いる無線LAN100により第2アクセスポイント装置AP2に送られる。そして、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を介してサーバ装置30に送られる。なお、患者が複数の第1アクセスポイント装置から受信可能なエリアにいる場合(この実施例では患者P5はAP1(1)、AP1(2)のどちらでも受信可能である)には、使
用するアクセスポイント装置に優先順位をつけるようにしてもよい。
【0023】
第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200へ接続する前に、第2アクセスポイント装置AP2と繋げられている認証監視装置20によって認証処理が行われる。この認証処理は、認証監視装置20にあらかじめ登録されている機器情報やネットワーク情報と、これから広域通信網200へ接続しようとしているウェアラブルデバイスWDのそれらの情報との照合を行い、接続の可否を判断し、接続が可能であると判断された場合にはウェアラブルデバイスの有している生体情報や機器情報などをサーバ装置30に送信する処理を行うものである。なお、機器情報とは、例えばMACアドレス等の機器情報や、IPアドレス等のネットワーク情報である。
【0024】
認証監視装置20において認証処理され、接続を許可されたウェアラブルデバイスWDは、広域通信網200を介してサーバ装置30に接続し、この広域通信網200を介してサーバ装置30に接続し、接続の許可されたウェアラブルデバイスの生体情報がサーバ装置30に記憶される。なお、このとき、受付の際に記憶した患者IDや生体情報、ウェアラブルデバイスの機器情報などを照らし合わせて生体情報を患者IDごとに整理して記憶されることにより、生体情報の集中管理がしやすくなる。
【0025】
認証監視装置20は、
図1あるいは
図2のほかに、
図3に示すように、第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)にそれぞれ認証監視装置20が繋げられて構成することも考えられる。この場合は、第2アクセスポイント装置AP2へ接続する前に上述した認証処理が行われる。なお、検査室Fにおける検査装置45からの通信の流れは
図2と同様であり図示していない。
【0026】
次に、
図4、
図5を併用して本発明の第2の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(2)について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(2)を医療施設MFに採用した一例を示す医療施設内を示す平面図を示している。
【0027】
図4において、医療施設MF内の各部屋の構成は第1の実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。医療施設MF内には、施設全体をカバーするように無線LAN100が設けられている。認証監視装置20と繋がる第2アクセスポイント装置AP2が廊下に設置されており、第2アクセスポイント装置AP2によりWi-Fi通信方式で受信可能な第2の受信可能エリアAREA2に位置する患者のウェアラブルデバイスWDからのWi-Fi信号を受信可能である。また、受付室Aには、第2アクセスポイント装置AP2により広域通信網200を介して接続されるサーバ装置30が設置されている。なお、
図4では、第2の受信可能エリアAREA2として二点鎖線の円で示している。
【0028】
以上のように構成された医療施設MFにおいて、受付室Aで受付を済ませてウェアラブルデバイスWDを付与された患者は、付与されたウェアラブルデバイスWDを身に着けて医療施設MF内を移動するが、この状態を
図4に示している。このとき、第1の実施形態と同様に、入力端末15により、各患者にそれぞれ固有の患者IDが発効され、患者の個人の情報(名前、生年月日、年齢、性別など)と、患者IDと、割り当てられたウェアラブルデバイスWDの機器情報とが入力端末15から入力され、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を用いてサーバ装置30に送られて記憶され、管理される。また、ここで貸与されるウェアラブルデバイスWDの機器情報やネットワーク情報は、あらかじめ認証監視装置20にも入力されて記憶される。患者の配置は第1の実施形態と同様であり説明は省略する。第2の受信可能エリアAREA2内に、患者P1~P5が位置している。これら患者がそれぞれ患者P1がWD1を、P2がWD2を、P3がWD3を、P4がWD4を、P5がWD5を身に着けている。このウェアラブルデバイスWD1~5はWi-Fi通信が可能であり、ウェアラブルデバイスWD1~WD5からWi-Fi
通信方式によって送られてくる無線信号を第2アクセスポイント装置AP2により受信可能である。そして、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を介してサーバ装置30に接続される。この通信の流れは
図5に示している。なお、検査室Fにおける検査装置45からの通信の流れは
図2と同様であり
図5には図示していない。
【0029】
このとき、すなわち第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200へ接続する前に、第2アクセスポイント装置AP2と繋がる認証監視装置20によって認証処理が行われる。認証処理については第1の実施形態と同様であり説明は省略する。このように、認証監視装置20において接続の許可されたウェアラブルデバイスWDの生体情報がサーバ装置30に記憶される。
【0030】
なお、第1および第2の実施形態において、ウェアラブルデバイスWDとしては、ユーザが身に着けながら心拍数や脈拍、血圧、体温などの生体情報を取得する生体センサを有し、外部と第2無線通信方式を用いて通信をスマートウォッチやスマートバンドなどが考えられるがこれに限らない。生体情報とは例えば心拍数、脈拍、血圧、体温、血中酸素濃度、睡眠状況、行動状況等をあらわす数値などが挙げられるが、これに限らない。
【0031】
以上のように生体情報管理システムの第1および第2の実施形態について述べたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0032】
第1の実施形態および第2の実施形態における生体情報管理システムにおいて、ウェアラブルデバイスWDにより取得される生体情報の精度を高めることを目的とした補正処理を行う端末情報補正装置40を有してもよい。この補正処理は、検査装置45などの医療機器として認証された機器から取得される検査生体情報を用いることによって、ウェアラブルデバイスWDから取得される生体情報を補正する処理などが考えられる。
図6は第2の実施形態において端末情報補正装置40を有して構成された生体情報管理システムSYS(3)の通信の流れを示している。端末情報補正装置40は、
図6に示すように、認証監視装置20と繋げられた第2アクセスポイント装置AP2に接続している。このような構成とすることで、検査室Fにおいて検査装置45により検査して取得した生体情報を第2アクセスポイント装置AP2に送信し、認証監視装置20に繋げられた端末情報補正装置40に記憶させることによって上述した補正に用いることができる。また、第2アクセスポイント装置AP2に送信しサーバ装置30に記憶させることによって上述した補正に用いることもできる。端末情報補正装置40は、図示していないが認証監視装置20の内部に組み込まれることも考えられる。端末情報補正装置40によって、ウェアラブルデバイスの精度を高め、医療機器により取得される生体情報に近似させることができる。
【0033】
また、第1の実施形態および第2の実施形態における生体情報管理システムにおいて、生体情報管理システムは情報処理を行う情報処理装置を有しても良い。情報処理の内容としては、例えばデータ容量を小さくするデータ圧縮や、統計処理により情報をまとめる処理などが挙げられる。情報処理装置においてこれらの情報処理を行うことにより、サーバ装置30に情報を送信する際のネットワークへの負荷を軽減することができる。情報処理装置は、認証監視装置20と繋げられて構成されることが考えられる。情報処理装置は認証監視装置20の内部に組み込まれることも考えられる。
【0034】
以上のような実施形態によれば、無線通信ネットワークを介し、複数の装着型端末装置(ウェアラブルデバイス)の認証を行い、取得した生体情報を安全に管理するシステムを提供することができる。これにより、医療従事者や介護者等の作業を軽減することができる。
【0035】
上述の実施形態では、無線通信網が配置される領域を医療施設としたが、これに限られ
ない。介護施設や、ショッピングモール等の商業施設、学校や図書館などの公共施設等であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
SYS(1)~(3) 生体情報管理システム
100 無線LAN
200 広域通信網
AP1 第1アクセスポイント装置
AP2 第2アクセスポイント装置
10A、10B 通信方式変換装置
20 認証監視装置
30 サーバ装置
40 端末情報補正装置
45 検査装置
WD1~5 ウェアラブルデバイス
P1~P5 患者