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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008546
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】焼結用パレット
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/08 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
F27B21/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110502
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000178011
【氏名又は名称】山九株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 晃久
(72)【発明者】
【氏名】長田 淳治
(72)【発明者】
【氏名】松村 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岸野 友泰
(72)【発明者】
【氏名】悦喜 裕史
(72)【発明者】
【氏名】菅井 和男
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇史
(72)【発明者】
【氏名】荻野 健蔵
(57)【要約】
【課題】焼結用パレットの支持梁に対するスタンドの位置ずれを抑制することを目的とする。
【解決手段】焼結鉱の原料が積載されるグレートを有し、原料を搬送しながら焼結させる焼結用パレットであって、搬送方向に間隔を空けて配置され、グレートを支持する複数の支持梁54と、隣り合う支持梁54の係合部56が上下方向に係合可能とされるとともに、係合部56を保持する被係合部82を両端部に有し、隣り合う支持梁54に架け渡され、グレートよりも上方へ突出するスタンド80と、係合部56の上面56Uと被係合部56との上側隙間G1、及び係合部56の下面56Lと被係合部56との下側隙間G2に配置されるカバー部材90と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結鉱の原料が積載されるグレートを有し、前記原料を搬送しながら焼結させる焼結用パレットであって、
搬送方向に間隔を空けて配置され、前記グレートを支持する複数の支持梁と、
隣り合う前記支持梁の係合部が上下方向に係合可能とされるとともに、該係合部を保持する被係合部を両端部に有し、隣り合う前記支持梁に架け渡され、前記グレートよりも上方へ突出するスタンドと、
前記係合部の上面と前記被係合部との上側隙間、及び前記係合部の下面と前記被係合部との下側隙間に配置されるカバー部材と、
を備える焼結用パレット。
【請求項2】
前記係合部は、隣り合う前記支持梁から互いに相手側へ向けてそれぞれ突出し、
前記被係合部は、前記係合部が上下方向に係合可能に挿入される凹状に形成され、
前記カバー部材は、前記係合部の突出方向の先端側を跨いで前記上側隙間と前記下側隙間とに亘って配置されるカバー本体部を有する、
請求項1に記載の焼結用パレット。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記上側隙間及び前記下側隙間に嵌め込まれる、
請求項2に記載の焼結用パレット。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記カバー本体部から張り出し、前記スタンドの側面に沿って配置されるフランジ部を有する、
請求項3に記載の焼結用パレット。
【請求項5】
前記カバー本体部は、
前記上側隙間に配置される上側カバー部と、
前記下側隙間に配置される下側カバー部と、
を有し、
前記フランジ部は、前記下側カバー部から下方へ張り出し、前記スタンドの側面に沿って配置される、
請求項4に記載の焼結用パレット。
【請求項6】
前記カバー本体部は、前記スタンドの厚み方向から見てU字形状とされ、前記係合部に被せられる、
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の焼結用パレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の原料としての焼結鉱を製造する焼結機がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
焼結機は、焼結鉱の原料を搬送する焼結用パレットと、焼結用パレットに積載された原料の上層に点火する点火炉と、焼結用パレットの下から下方へ空気を吸引し、原料を上層から下層へ向けて焼結させてシンターケーキを形成する吸引装置とを備えている。
【0004】
また、焼結機は、焼結用パレットから排鉱されたシンターケーキを案内するクラッシングガイドと、クラッシングガイドによって案内されたシンターケーキを破砕し、焼結鉱を形成するクラッシャーとを備えている。
【0005】
ここで、焼結用パレットは、スタンドが設けられている。スタンドは、原料が積載される焼結用パレットのグレートから上方へ突出し、原料の上層に形成されるシンターケーキの上部を下から支持する。これにより、原料の下層の通気性が確保されるため、原料の下層の燃焼及び焼結が促進される。このスタンドは、焼結用パレットからシンターケーキが排鉱される際に、クラッシングガイドに形成されたスリットを通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-168234号公報
【特許文献2】特開2011-179754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スタンドは、例えば、焼結用パレットの搬送方向に間隔を空けて配置された複数の支持梁(フレーム)に架け渡され、これらの支持梁の係合部に、上下方向に係合可能に取り付けられる。
【0008】
しかしながら、支持梁の係合部が摩耗すると、例えば、支持梁に対してスタンドが傾き、又は支持梁に対するスタンドの傾きが大きくなり、支持梁に対してスタンドが位置ずれする可能性がある。そして、支持梁に対してスタンドが位置ずれすると、スタンドがクラッシングガイドのスリットを通過せず、クラッシングガイドに干渉する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の事実を考慮し、焼結用パレットの支持梁に対するスタンドの位置ずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の焼結用パレットは、焼結鉱の原料が積載されるグレートを有し、前記原料を搬送しながら焼結させる焼結用パレットであって、搬送方向に間隔を空けて配置され、前記グレートを支持する複数の支持梁と、隣り合う前記支持梁の係合部が上下方向に係合可能とされるとともに、該係合部を保持する被係合部を両端部に有し、隣り合う前記支持梁に架け渡され、前記グレートよりも上方へ突出するスタンドと、前記係合部の上面と前記被係合部との上側隙間、及び前記係合部の下面と前記被係合部との下側隙間に配置されるカバー部材と、を備える。
【0011】
請求項1に係る焼結用パレットによれば、焼結用パレットは、焼結鉱の原料が積載されるグレートを有し、原料を搬送しながら焼結させる。この焼結用パレットは、複数の支持梁と、スタンドと、カバー部材とを有する。
【0012】
複数の支持梁は、焼結用パレットの搬送方向に間隔を空けて配置され、グレートを支持する。スタンドは、隣り合う支持梁の係合部が上下方向に係合可能とされるとともに、当該係合部を保持する被係合部を両端部に有する。このスタンドは、隣り合う支持梁に架け渡され、グレートよりも上方へ突出する。
【0013】
ここで、カバー部材は、係合部の上面と被係合部との上側隙間、及び係合部の下面と被係合部との下側隙間に配置される。このカバー部材によって、係合部の上面及び下面に、被係合部が直接的に干渉することが抑制される。この結果、係合部の上面及び下面の摩耗が抑制されるため、係合部の摩耗によるスタンドの傾き等の位置ずれが抑制される。したがって、スタンドがクラッシングガイドに干渉することが抑制される。
【0014】
請求項2に記載の焼結用パレットは、請求項1に記載の焼結用パレットにおいて、前記係合部は、隣り合う前記支持梁から互いに相手側へ向けてそれぞれ突出し、前記被係合部は、前記係合部が上下方向に係合可能に挿入される凹状に形成され、前記カバー部材は、前記係合部の突出方向の先端側を跨いで前記上側隙間と前記下側隙間とに亘って配置されるカバー本体部を有する。
【0015】
請求項2に係る焼結用パレットによれば、係合部は、隣り合う支持梁から互いに相手側へ向けてそれぞれ突出する。また、被係合部は、前記係合部が上下方向に係合可能に挿入される凹状に形成される。
【0016】
また、カバー部材は、カバー本体部を有する。カバー本体部は、係合部の突出方向の先端側を跨いで上側隙間と下側隙間とに亘って配置される。これにより、本発明では、上側隙間及び下側隙間に別々のカバー部材を配置する場合と比較して、カバー部材の取付作業の手間が低減される。
【0017】
請求項3に記載の焼結用パレットは、請求項2に記載の焼結用パレットにおいて、前記カバー部材は、前記上側隙間及び前記下側隙間に嵌め込まれる。
【0018】
請求項3に係る焼結用パレットによれば、カバー部材は、上側隙間及び下側隙間に嵌め込まれる。これにより、係合部と被係合部とのガタツキが抑制される。したがって、スタンドの傾き等の位置ずれがさらに抑制される。
【0019】
請求項4に記載の焼結用パレットは、請求項3に記載の焼結用パレットにおいて、前記カバー部材は、前記カバー本体部から張り出し、前記スタンドの側面に沿って配置されるフランジ部を有する。
【0020】
請求項4に係る焼結用パレットによれば、カバー部材は、フランジ部を有する。フランジ部は、カバー本体部から張り出し、スタンドの側面に沿って配置される。
【0021】
これにより、上側隙間及び下側隙間にカバー本体部を嵌め込む際に、ハンマー等によってフランジ部を叩くことにより、上側隙間及び下側隙間にカバー本体部を容易に嵌め込むことができる。
【0022】
請求項5に記載の焼結用パレットは、請求項4に記載の焼結用パレットにおいて、前記カバー本体部は、前記上側隙間に配置される上側カバー部と、前記下側隙間に配置される下側カバー部と、を有し、前記フランジ部は、前記下側カバー部から下方へ張り出し、前記スタンドの側面に沿って配置される。
【0023】
請求項5に係る焼結用パレットによれば、カバー本体部は、下側隙間に配置される下側カバー部をする。そして、フランジ部は、下側カバー部から下方へ張り出し、スタンドの側面に沿って配置される。
【0024】
これにより、本発明では、フランジ部が上側カバー部から上方へ張り出す場合と比較して、フランジ部とグレートとの干渉が抑制されるとともに、ハンマー等によってフランジ部を叩く際に、グレートにハンマー等が干渉することが抑制される。したがって、上側隙間及び下側隙間に、カバー部材のカバー本体部をさらに容易に嵌め込むことができる。
【0025】
請求項6に記載の焼結用パレットは、請求項2~請求項5の何れか1項に記載の焼結用パレットにおいて、前記カバー本体部は、前記スタンドの厚み方向から見てU字形状とされ、前記係合部に被せられる。
【0026】
請求項6に係る焼結用パレットによれば、カバー本体部は、スタンドの厚み方向から見て、U字形状とされ、支持梁の係合部に被せられる。これにより、支持梁の係合部に、カバー部材を容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、焼結用パレットの支持梁に対するスタンドの位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第一実施形態に係る焼結用パレットを備える焼結機を示す側面図である。
図2図1に示されるクラッシングガイドをクラッシャー側から見た背面図である。
図3図1に示される焼結用パレットを示す斜視図である。
図4図3に示される焼結用パレットを示す平面図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6図5の一部拡大断面図である。
図7図6に示されるカバー部材を示す上面図、側面図、及び背面図である。
図8図6の8-8線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る焼結用パレットについて説明する。
【0030】
(焼結機)
図1には、本実施形態に係る焼結用パレット50を備えるドワイトロイド式の焼結機10が示されている。焼結機10は、高炉の原料としての焼結鉱を製造する。この焼結機10は、一対のスプロケット12,14と、無端状レール16と、複数の焼結用パレット50と、床敷ホッパ22と、原料装入ホッパ24と、点火炉30と、吸引装置32と、クラッシングガイド42と、クラッシャー46とを備えている。
【0031】
一対のスプロケット12,14は、水平方向に間隔を空けて配置されている。この一対のスプロケット12,14には、無端状レール16が掛け渡されている。無端状レール16は、一対のスプロケット12,14の上側に配置される往路部16Aと、一対のスプロケット12,14の下側に配置される復路部16Bと有している。
【0032】
無端状レール16には、直列に連結された複数の焼結用パレット50が走行可能に設置されている。そして、一対のスプロケット12,14が所定方向に回転することにより、複数の焼結用パレット50が無端状レール16に沿って走行(周回)する。
【0033】
一方のスプロケット12側は、焼結用パレット50に焼結鉱の原料Rを供給する給鉱部20とされている。給鉱部20には、床敷ホッパ22及び原料装入ホッパ24が設けられている。床敷ホッパ22は、一方のスプロケット12の上方に設けられている。この床敷ホッパ22から、各焼結用パレット50上に焼床鉱が供給され、当該焼結用パレット50上に図示しない床敷層が形成される。
【0034】
床敷ホッパ22の下流側には、原料装入ホッパ24が設けられている。この原料装入ホッパ24から、各焼結用パレット50の床敷層上に原料Rが供給される。原料装入ホッパ24の下流側には、点火炉30が設けられている。この点火炉30によって、焼結用パレット50上に層状に積載された原料Rの上層に点火される。
【0035】
無端状レール16の往路部16Aの下方には、吸引装置32が設けられている。吸引装置32は、往路部16Aに沿って、かつ、点火炉30から他方のスプロケット14に亘って設けられており、焼結用パレット50の下から下方へ空気を吸引する。
【0036】
これにより、上層に点火された原料R内に空気が供給されるため、上層から下層へ向けて原料Rの燃焼が促進される。この結果、各焼結用パレット50上の原料Rが焼結し、シンターケーキSが形成される。シンターケーキSは、直列に連結された複数の焼結用パレット50に亘って形成される。
【0037】
他方のスプロケット14側は、焼結用パレット50上の原料Rを焼結させたシンターケーキSを排鉱させる排鉱部40とされている。この排鉱部40では、焼結用パレット50が他方のスプロケット14の外周に沿って降下する。この際、隣り合う焼結用パレット50の間隔が広くなり、これらの焼結用パレット50に亘るシンターケーキSが分断される。
【0038】
その後、焼結用パレット50上のシンターケーキSの端部が、他方のスプロケット14の斜め下方に配置されたクラッシングガイド42の上部に干渉する。これにより、焼結用パレット50からシンターケーキSが剥ぎ取られ、当該シンターケーキSがクラッシングガイド42上に落下する。
【0039】
クラッシングガイド42上に落下したシンターケーキSは、クラッシングガイド42の傾斜部に沿って落下し、クラッシャー46へ案内される。クラッシャー46へ案内されたシンターケーキSは、クラッシャー46によって粉砕される。これにより、焼結鉱が形成される。
【0040】
ここで、焼結用パレット50には、後述する複数のスタンド80が設けられている。複数のスタンド80は、シンターケーキSに埋設されている。そのため、図2に示されるように、クラッシングガイド42の上部には、複数のスタンド80がそれぞれ通過する複数のスリット44が形成されている。
【0041】
(焼結用パレット)
次に、焼結用パレットの構成について詳説する。
【0042】
図3及び図4に示されるように、焼結用パレット(焼結用パレット台車)50は、基台52と、グレート60と、一対のサイドウォール70と、複数のスタンド80を備えている。
【0043】
なお、各図に適宜示される矢印Xは、焼結用パレット50の搬送方向を示している。また、矢印Yは、焼結用パレット50の横幅方向を示し、矢印Zは、焼結用パレット50の上下方向(高さ方向)を示している。
【0044】
図4に示されるように、基台52は、平面視にて矩形状に形成されている。この基台52は、複数の支持梁(フレーム)54を有している。複数(本実施形態では、4本)の支持梁54は、鋳鋼等によって形成されている。
【0045】
複数の支持梁54は、焼結用パレット50の横幅方向(矢印Y方向)に沿って配置されるとともに、焼結用パレット50の搬送方向(矢印X方向)に間隔を空けて配置されている。また、隣り合う支持梁54は、図示しないリブによって連結されている。これらの支持梁54によって、グレート60が支持されている。
【0046】
グレート60は、床状に配列された複数のグレートバー62を有している。複数のグレートバー62は、鋳鋼等によって棒状に形成されており、焼結用パレット50の搬送方向に沿って配置されている。これらのグレートバー62は、隣り合う支持梁54の上端部に架け渡されるとともに、支持梁54の長手方向(矢印Y方向)に配列されている。
【0047】
グレート60の上面は、原料Rが層状に積載される積載面60Aとされている。また、支持梁54の長手方向に隣り合うグレートバー62の間には、隙間が形成されている。これらの隙間を介して、原料R内の空気が吸引装置32(図1参照)に吸引される。
【0048】
一対のサイドウォール70は、鋳鋼等によって板状に形成されており、焼結用パレット50の搬送方向に沿って配置されている。この一対のサイドウォール70は、基台52の横幅方向の両側に設けられており、複数の支持梁54の端部に連結されている。
【0049】
図3に示されるように、一対のサイドウォール70は、焼結用パレット50の横幅方向に互いに対向するとともに、グレート60の積載面60Aよりも上方へ延出している。この一対のサイドウォール70によって、グレート60の積載面60A上に積載された原料Rの落下が抑制されている。
【0050】
一対のサイドウォール70の外側には、複数の車輪72が設けられている。複数の車輪72は、無端状レール16(図1参照)上を走行可能に構成されている。
【0051】
複数のスタンド80は、耐熱鋳鋼等によって板状に形成されており、焼結用パレット50の搬送方向の中央部及び後部に設けられている。また、複数のスタンド80は、焼結用パレット50の横幅方向に間隔を空けて配置されている。
【0052】
図4に示されるように、各スタンド80は、焼結用パレット50の搬送方向に沿って配置されており、隣り合う支持梁54の上端部に架け渡されている。また、スタンド80は、焼結用パレット50の搬送方向に複数(本実施形態では、2つ)配列されている。
【0053】
なお、スタンド80の配置や数は、適宜変更可能である。
【0054】
図5に示されるように、各スタンド80は、本体部80Aと、本体部80Aの下部に一体に設けられた取付部80Bとを有している。本体部80Aは、厚み方向から見て、例えば、矩形状に形成されている。
【0055】
図3に示されるように、本体部80Aは、グレート60の積載面60Aよりも上方へ突出し、積載面60Aに積載される原料Rに埋設される。また、本体部80Aは、一対のサイドウォール70よりも低くされている。この本体部80Aの上端部によって、原料Rの焼結時に、原料Rの上層に形成されたシンターケーキSの上部が支持される。
【0056】
これにより、シンターケーキSの上部の重量(自重)によって、その下の原料Rの下層が圧密されることが抑制される。この結果、原料Rの下層の通気性が確保されるため、当該下層の燃焼効率が高められる。
【0057】
図5に示されるように、取付部80Bは、隣り合う支持梁54の上端部に取り付けられている。具体的には、隣り合う支持梁54の上端部は、断面T字形状に形成されている。この隣り合う支持梁54の上端部には、互いに相手側へ向けて突出する係合部56が設けられている。
【0058】
より具体的には、焼結用パレット50の搬送方向の前側の支持梁54の上端部には、焼結用パレット50の搬送方向の後側へ突出する係合部56が設けられている。一方、焼結用パレット50の搬送方向の後側の支持梁54の上端部には、焼結用パレット50の搬送方向の前側へ突出する係合部56が設けられている。係合部56は、支持梁54の上端部に、当該支持梁54の長手方向(矢印Y方向)に沿って設けられている。
【0059】
取付部80Bには、一対の被係合部82が設けられている。一対の被係合部82は、取付部80Bにおける焼結用パレット50の搬送方向(矢印X方向)の前端部及び後端部に形成されている。被係合部(凹状部)82は、スタンド80を厚み方向から見て、互いに反対側が開口された凹状に形成されている。
【0060】
より具体的には、取付部80Bの前端部に形成された被係合部82は、焼結用パレット50の搬送方向の前側が開口された凹状に形成されている。一方、取付部80Bの後端部に形成された被係合部82は、焼結用パレット50の搬送方向の後側が開口された凹状に形成されている。
【0061】
一対の被係合部82には、隣り合う支持梁54の係合部56が、上下方向に係合可能に挿入されている。この一対の被係合部82は、後述するカバー部材90を介して、隣り合う支持梁54の係合部56をそれぞれ保持している。
【0062】
図6に示されるように、被係合部82における上側の上側内壁面82Uは、係合部56の上面56Uと上下方向に対向している。この上側内壁面82Uと係合部56の上面56Uとの間には、上側隙間G1が形成されている。
【0063】
被係合部82における下側の下側内壁面82Lは、係合部56の下面56Lと上下方向に対向している。この下側内壁面82Lと係合部56の下面56Lとの間には、下側隙間G2が形成されている。
【0064】
被係合部82における底側の底側内壁面82Tは、係合部56の突出方向(矢印X方向)の先端面56Tと、焼結用パレット50の搬送方向に対向している。この底側内壁面82Tと係合部56の先端面56Tとの間には、先端側隙間G3が形成されている。これらの上側隙間G1、下側隙間G2、及び先端側隙間G3に、カバー部材90が配置されている。
【0065】
なお、底側内壁面82Tは、上側内壁面82Uと下側内壁面82Lとを接続している。また、スタンド80を厚み方向から見て、下側内壁面82Lは、上側内壁面82Uよりも短くされている。また、本実施形態では、係合部56と被係合部82との間には、スタンド80から支持梁54への熱伝達を抑制するインシュレーションピースが介在していない。
【0066】
(カバー部材)
カバー部材90は、支持梁54の係合部56における上面56U及び下面56Lの摩耗を抑制する部材とされる。このカバー部材90は、一般構造用圧延鋼板(例えば、SS400)等の鋼板によって形成されている。なお、カバー部材90は、耐熱性を有し、かつ、支持梁54の係合部56を形成する鋼材よりも柔らかい鋼材で形成することが好ましい。
【0067】
カバー部材90は、カバー本体部92及びフランジ部96を有している。カバー本体部92は、スタンド80の厚み方向から見て、U字形状とされている。このカバー本体部92は、係合部56と被係合部82との間に形成された上側隙間G1、下側隙間G2、先端側隙間G3に配置されており、係合部56の上面56U、下面56L、及び先端面56Tを覆っている。
【0068】
図7に示されるように、カバー本体部92は、上側カバー部92Aと、下側カバー部92Bと、先端側カバー部92Cとを有している。上側カバー部92A及び下側カバー部92Bは、平板状に形成されており、互いに対向して配置されている。これらの上側カバー部92A及び下側カバー部92Bの一端部の間には、開口94が形成されている。
【0069】
なお、上側カバー部92Aの一端部における両側の角部には、面取り部93がそれぞれ形成されている。
【0070】
上側カバー部92A及び下側カバー部92Bの他端部同士は、先端側カバー部92Cを介して接続されている。先端側カバー部92Cは、開口94と反対側へ凸状を成すように湾曲している。
【0071】
図6に示されるように、上側カバー部92Aは、上側隙間G1に嵌め込まれており、係合部56の上面56Uを覆っている。これと同様に、下側カバー部92Bは、下側隙間G2に嵌め込まれており、係合部56の下面56Lを覆っている。また、先端側カバー部92Cは、先端側隙間G3に配置されており、係合部56の突出方向(矢印X方向)の先端側を跨いで、上側カバー部92A及び下側カバー部92Bの他端部同士を接続している。
【0072】
図8に示されるように、下側カバー部92Bには、フランジ部96が設けられている。フランジ部96は、平板状に形成されており、厚み方向をスタンド80の厚み方向(矢印Y方向)として配置されている。また、フランジ部96は、下側カバー部92Bの横幅方向(矢印Y方向)の一端部から下方へ張り出している。このフランジ部96は、下側カバー部92Bが下側隙間G2に嵌め込まれた状態で、スタンド80の側面80Sに沿って配置される。
【0073】
ここで、隣り合う支持梁54にスタンド80を取り付ける際には、隣り合う支持梁54の長手方向の一端側において、各々の係合部56を、スタンド80の一対の被係合部82に挿入する。この状態で、隣り合う支持梁54の係合部56に沿ってスタンド80をスライドさせ、隣り合う支持梁54の長手方向(矢印Y方向)の所定位置にスタンド80を配置する。
【0074】
次に、スタンド80の厚み方向(矢印Y方向)の一方側から、支持梁54の係合部56とスタンド80の被係合部82との間の上側隙間G1、下側隙間G2、及び先端側隙間G3(図6参照)にカバー部材90を挿入する。この際、例えば、スタンド80の側面80Sにフランジ部96が接触するまで、図示しないハンマー等によってフランジ部96を叩く。これにより、カバー本体部92の上側カバー部92A及び下側カバー部92Bが、上側隙間G1及び下側隙間G2に嵌め込まれる(打ち込まれる)とともに、フランジ部96がスタンド80の側面80Sに沿って配置される。
【0075】
なお、図4及び図5に示されるように、隣り合う支持梁54の係合部56には、スタンド80だけでなく、グレートバー62も取り付けられる。そのため、スタンド80の厚み方向(矢印Y方向)の両側には、グレートバー62が配置されている。グレートバー62には、スタンド80と同様に被係合部が設けられているが、グレートバー62の被係合部と支持梁54の係合部56との間には、カバー部材90は介在していない。
【0076】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0077】
図6に示されるように、スタンド80の取付部80Bには、一対の被係合部82が設けられている。一対の被係合部82には、隣り合う支持梁54の係合部56が、上下方向に係合可能に挿入されている。
【0078】
ここで、係合部56の上面56U及び下面56Lに対して、被係合部82の上側内壁面82U及び下側内壁面82Lが直接的に係合すると、係合部56の上面56U及び下面56Lが摩耗する可能性がある。
【0079】
特に、本実施形態では、焼結用パレット50上に形成されたシンターケーキSをクラッシングガイド42(図1参照)上へ排鉱する際に、シンターケーキSの端部にクラッシングガイド42の上端部が干渉する。この干渉に伴って、係合部56の上面56U及び下面56Lに対し、被係合部82の上側内壁面82U及び下側内壁面82Lがそれぞれ衝突するため、係合部56の上面56U及び下面56Lが摩耗し易くなる。
【0080】
係合部56の上面56U及び下面56Lが摩耗し、係合部56と被係合部82との間の上側隙間G1及び下側隙間G2が所定値以上になると、支持梁54に対してスタンド80が傾き、又は支持梁54に対するスタンド80の傾きが大きくなり、支持梁54に対してスタンド80が位置ずれする可能性がある。そして、支持梁54に対してスタンド80が位置ずれすると、スタンド80がクラッシングガイド42のスリット44(図2参照)を通過せず、クラッシングガイド42に干渉する可能性がある。
【0081】
さらに、係合部56の上面56U及び下面56Lの摩耗が進むと、係合部56が被係合部82から抜け出し、支持梁54からスタンド80が脱落する可能性がある。
【0082】
これに対して本実施形態では、係合部56と被係合部82との隙間に、カバー部材90が配置されている。より具体的には、係合部56と被係合部82との間の上側隙間G1、下側隙間G2、及び先端側隙間G3に、カバー部材90のカバー本体部92が配置されている。カバー本体部92は、スタンド80の厚み方向から見て、U字形状とされ、係合部56に被せられている。
【0083】
このカバー本体部92によって、係合部56の上面56Uに被係合部82の上側内壁面82Uが直接的に干渉することが抑制されるとともに、係合部56の下面56Lに、被係合部82の下側内壁面82Lが直接的に干渉することが抑制される。
【0084】
この結果、係合部56の上面56U及び下面56Lの摩耗が抑制されるため、係合部56の摩耗によるスタンド80の傾き等の位置ずれが抑制される。したがって、スタンド80がクラッシングガイド42に干渉することが抑制されるとともに、支持梁54からのスタンド80の脱落も抑制される。
【0085】
また、カバー本体部92の上側カバー部92A及び下側カバー部92Bは、上側隙間G1及び下側隙間G2に嵌め込まれている。これにより、係合部56と被係合部82とのガタツキが抑制される。したがって、スタンド80の傾き等の位置ずれがさらに抑制される。
【0086】
なお、係合部56及び被係合部82の熱膨張は、上側カバー部92A及び下側カバー部92Bが変形(塑性変形)することにより吸収される。したがって、熱膨張に伴う係合部56及び被係合部82の破損が抑制される。
【0087】
さらに、カバー本体部92は、係合部56の突出方向の先端側を跨いで上側隙間G1と下側隙間G2とに亘って配置されている。これにより、本実施形態では、上側隙間G1及び下側隙間G2に別々のカバー部材を配置する場合と比較して、カバー部材90の取付作業の手間が低減される。
【0088】
また、カバー部材90は、フランジ部96を有している。フランジ部96は、カバー本体部92の下側カバー部92Bから張り出し、スタンド80の側面80Sに沿って配置されている。これにより、上側隙間G1及び下側隙間G2にカバー本体部92を嵌め込む際に、ハンマー等によってフランジ部96を叩くことにより、上側隙間G1及び下側隙間G2にカバー本体部92を容易に嵌め込むことができる。
【0089】
さらに、フランジ部96は、カバー本体部92の下側カバー部92Bから下方へ張り出している。これにより、本実施形態では、フランジ部96が上側カバー部92Aから上方へ張り出す場合と比較して、フランジ部96とグレート60との干渉が抑制されるとともに、ハンマー等でフランジ部96を叩く際に、グレート60にハンマー等が干渉することが抑制される。
【0090】
したがって、上側隙間G1及び下側隙間G2にカバー本体部92をさらに容易に嵌め込むことができる。
【0091】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0092】
上記実施形態では、フランジ部96が、カバー本体部92の下側カバー部92Bに設けられている。しかし、フランジ部96は、下側カバー部92Bに限らず、例えば、先端側カバー部92C又は上側カバー部92Aに設けられても良い。
【0093】
また、上記実施形態では、カバー部材90に1つのフランジ部96が設けられている。しかし、カバー部材90には、複数のフランジ部96が設けられても良い。さらに、フランジ部96は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、係合部56と被係合部82との間の上側隙間G1及び下側隙間G2に、カバー本体部92が嵌め込まれている。しかし、カバー本体部92は、上側隙間G1及び下側隙間G2の少なくとも一方に、嵌め込むことができる。
【0095】
また、上側隙間G1及び下側隙間G2に、カバー本体部92を嵌め込まず、例えば、カバー本体部92と被係合部82の上側内壁面82U及び下側内壁面82Lとの間に隙間があっても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、係合部56と被係合部82との隙間に、1つのカバー部材90が配置されている。しかし、例えば、係合部56と被係合部82との間の上側隙間G1及び下側隙間G2に、別々のカバー部材を配置することも可能である。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0098】
50 焼結用パレット
54 支持梁
56 係合部
56U 上面(係合部の上面)
56L 下面(係合部の下面)
60 グレート
80 スタンド
80S 側面(スタンドの側面)
82 被係合部
90 カバー部材
92 カバー本体部
92A 上側カバー部
92B 下側カバー部
96 フランジ部
G1 上側隙間
G2 下側隙間
R 原料
矢印X 焼結用パレットの搬送方向
矢印Y スタンドの厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8