(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085460
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】生体情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240620BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199926
(22)【出願日】2022-12-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】515299944
【氏名又は名称】日本アルテミス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 賢司
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】装着型端末装置によって取得した生体情報と医療機器から取得される生体情報との誤差を補正する生体情報管理システムを提供する。
【解決手段】 人が身に着けてその人の生体情報を取得する装着型端末装置と、装着型端末装置により取得した端末取得生体情報を受け取って管理する生体情報管理装置とを有する生体情報管理システムであって、生体情報管理システムは、医療機器により機器取得生体情報を取得し、機器取得生体情報を取得したときの機器取得条件に関連して機器取得生体情報を記憶管理する機器取得生体情報管理部と、装着型端末装置により取得したときの端末取得条件に関連して端末取得生体情報を記憶管理する端末取得生体情報管理部とを有し、端末取得生体情報を、少なくとも端末取得条件と機器取得条件とに基づいて補正し、補正端末取得生体情報を求めて記憶管理する生体情報補正部を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が身に着けてその人の生体情報を取得する装着型端末装置と、
前記装着型端末装置により取得した端末取得生体情報を受け取って管理する生体情報管理装置とを有する生体情報管理システムであって、
前記生体情報管理装置は、
医療機器により検査して機器取得生体情報を取得し、前記機器取得生体情報を取得したときの条件を機器取得条件として前記機器取得条件に関連して前記機器取得生体情報を記憶管理する機器取得生体情報管理部と、
前記装着型端末装置により取得したときの条件を端末取得条件として前記端末取得条件に関連して前記端末取得生体情報を記憶管理する端末取得生体情報管理部とを有し、
前記生体情報管理装置は、前記端末取得生体情報を、少なくとも前記端末取得条件と前記機器取得条件とに基づいて補正し、補正端末取得生体情報を求めて記憶管理する生体情報補正部を有することを特徴とする生体情報管理システム。
【請求項2】
前記生体情報補正部は、前記機器取得生体情報を前記機器取得条件に関連して記憶させる収集工程と、前記収集工程において記憶された前記機器取得生体情報と前記機器取得条件とによって前記機器取得条件に対する前記機器取得生体情報の関係を学習させる学習工程とを経ることによって得られる学習結果を少なくとも有し、前記学習結果を用いて前記補正が行われることを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型端末装置から取得される生体情報を管理する生体情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身に着けながらユーザの心拍数や脈拍、血圧、体温など様々な生体情報を取得することのできる生体センサを搭載したウェアラブルデバイスが登場している。また、医療施設や介護施設等では、これらの生体情報を取得する作業人員の不足や作業時間等が問題になっている。そこで、これまで医療機器を用いて行っていた生体情報の取得作業にウェアラブルデバイスを利用することで、遠隔から生体情報を取得することを可能にすることが提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、作業の負担を軽減することができると期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ウェアラブルデバイスで取得した生体情報は、医療機器から取得される生体情報とは様々な要因により生じる誤差があるという課題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ウェアラブルデバイスによって取得した生体情報と医療機器から取得される生体情報との誤差を補正する生体情報管理システムを提供することを目的とする。これにより、ウェアラブルデバイスから取得される生体情報の正確性、信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る生体情報管理システムは、人が身に着けてその人の生体情報を取得する装着型端末装置(例えば実施形態におけるウェアラブルデバイスWD)と、装着型端末装置により取得した端末取得生体情報(実施形態における「生体情報」)を受け取って管理する生体情報管理装置(例えば実施形態における認証装置20もしくはサーバ装置30)とを有する生体情報管理システムであって、生体情報管理装置は、医療機器(例えば実施形態における検査装置45)により検査して機器取得生体情報を取得し、機器取得生体情報を取得したときの条件を機器取得条件として機器取得条件に関連して機器取得生体情報を記憶管理する機器取得生体情報管理部(例えば実施形態における認証監視装置20もしくはサーバ装置30)と、装着型端末装置により取得したときの条件を端末取得条件として端末取得条件に関連して端末取得生体情報を記憶管理する端末取得生体情報管理部(例えば実施形態における認証監視装置20もしくはサーバ装置30)とを有し、生体情報管理装置は、端末取得生体情報を、少なくとも端末取得条件と機器取得条件とに基づいて補正し、補正端末取得生体情報を求めて記憶管理する生体情報補正部(例えば実施形態の生体情報システムSYS(3)における端末情報補正装置40)を有することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る生体情報管理システムにおいて、好ましくは、生体情報補正部は、機器取得生体情報を機器取得条件に関連して記憶させる収集工程と、収集工程において記憶された機器取得生体情報と機器取得条件とによって機器取得条件に対する機器取得生体情報の
関係を学習させる学習工程とを経ることによって得られる学習結果を少なくとも有し、学習結果を用いて補正が行われる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る生体情報管理システムによれば、装着型端末装置から取得される端末取得生体情報と、医療機器から取得される機器取得生体情報とが、それぞれの生体情報を取得した際の取得条件と関連して記憶されるように構成される。さらに、装着型端末装置から取得した端末取得生体情報を、少なくとも端末取得生体情報を取得した際の端末取得条件と、医療機器によって機器取得生体情報を取得した際の機器取得条件とに基づいて補正する生体情報補正部を有して構成される。このような構成とすれば、装着型端末装置により取得される端末取得生体情報を医療機器から取得される機器取得生体情報によって補正することができる。このことにより、装着型端末装置から取得される端末取得生体情報の精度を高めることができる。
【0009】
本発明に係る生体情報管理システムにおいて、生体情報補正部は、少なくとも、機器取得生体情報と機器取得条件とを収集し学習させることによって得られる学習結果を有するように構成される。そして、この学習結果を用いて補正が行われるように構成される。このような構成とすれば、端末取得生体情報を、収集した多くの機器取得生体情報に基づいて補正することができる。このことにより、端末取得生体情報の補正の精度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る生体情報管理システムSYS(1)を医療施設に採用した一例を示す医療施設内の平面図である。
【
図2】本発明に係る生体情報管理システムSYS(1)の全体構成を示す模式図である。
【
図3】本発明に係る生体情報管理システムSYS(1)の全体構成を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る生体情報管理システムSYS(2)を医療施設に採用した一例を示す医療施設内の平面図である。
【
図5】本発明に係る生体情報管理システムSYS(2)の全体構成を示す模式図である。
【
図6】本発明に係る生体情報管理システムSYS(3)の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図6を用いて説明する。なお、生体情報管理システムSYS(1)、(2)では生体情報管理システムの基本構成を説明している。また、生体情報管理システムSYS(3)は生体情報管理システムSYS(1)、(2)に生体情報補正部としての端末情報補正装置40を組み込んだ実施例を示している。
【0012】
以下、本発明に係る生体情報管理システムについて説明する前に、基本構成となる実施形態について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(1)をある医療施設に採用した一例を示す医療施設内を示す平面図である。本発明は医療施設において検査機器により検査して得られた生体情報と、装着型端末装置としてのウェアラブルデバイスにより得られた生体情報とを集中的に管理するシステムに関するものであるが、このシステムを適用する前提となる医療施設の一例を説明する。医療施設は、大きな総合病院、中小規模の病院、小規模のクリニックから医療検査機関など種々のものがあるが、
図1ではその一例としての医療施設を簡略化して模式的に示している。
【0013】
図1に示す医療施設MFは、受付室Aと、病室B~Dと、診察室Eと、検査室Fの各部屋を有して構成されている。この医療施設MFには、
図2に示す第1の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(1)が設けられており、以下、
図1および
図2を併用して説明する。
【0014】
まず、この医療施設MFを入口ENTから訪れた患者の受付が受付室Aで行われ、その際、各患者にそれぞれ固有の患者IDが発効され、それと同時にウェアラブルデバイスWDが貸与されるようになっている。病室BおよびDには、Bluetooth通信方式によってウェアラブルデバイスWDからの無線通信情報を受け取る第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)がそれぞれ設置されている。受付室Aには、Wi-Fi通信方式を用いる無線LAN100により第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)からの無線通信情報を受け取る第2アクセスポイント装置AP2と、第2アクセスポイント装置AP2と繋がる認証監視装置20が設置されている。検査室Fには検査装置45が設けられており、検査装置45により得られた患者の検査生体情報はWi-Fi通信方式を用いる無線LAN100により第2アクセスポイント装置AP2に送られる。外部にサーバ装置30が設けられており、第2アクセスポイント装置AP2は広域通信網200を介してサーバ装置30と接続されており、無線LAN100により第2アクセスポイント装置AP2に送られてくる情報は広域通信網200を用いてサーバ装置30に送られて、ここで管理される。
【0015】
第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)はそれぞれ、Bluetooth通信方式で受信したウェアラブルデバイスWDからの信号をWi-Fi通信方式に変換して無線LAN100による通信を可能とする通信方式変換装置(10A、10B)を有している。第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)は互いにBluetooth通信可能な距離範囲以上に離れないように距離を保って設置されており、それぞれの装置からBluetooth通信可能な距離範囲内にあるウェアラブルデバイスWDの信号を受け取るように構成されている。なお、
図1では、第1アクセスポイント装置AP1(1)によりBluetooth通信方式で受信可能なエリアを第1の受信可能エリアAREA1(1)として二点鎖線の円で示し、第1アクセスポイント装置AP1(2)によりBluetooth通信方式で受信可能なエリアを第1の受信可能エリアAREA1(2)として二点鎖線の円で示している。
【0016】
以上のように構成された医療施設MFにおいては、上述のように、ここを訪れた患者の受付が受付室Aで行われ、その際、入力端末15により、各患者にそれぞれ固有の患者IDが発効され、それと同時にウェアラブルデバイスWDが貸与される。このとき、患者の個人の情報(名前、生年月日、年齢、性別など)と、患者IDと、割り当てられたウェアラブルデバイスWDの機器情報とが入力端末15から入力され、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を用いてサーバ装置30に送られて記憶され、管理される。また、ここで貸与されるウェアラブルデバイスWDの機器情報やネットワーク情報は、あらかじめ認証監視装置20にも入力されて記憶される。
【0017】
受付室Aで受付を済ませてウェアラブルデバイスWDを付与された患者は、付与されたウェアラブルデバイスWDを身に着けて入り医療施設MF内を移動するが、この状態を
図1に示している。本実施例では、ウェアラブルデバイスWD1~5が通信方式としてBluetooth通信を採用している例を
図1および
図2に示している。病室B内には、ウェアラブルデバイスWD1を身に着けた患者P1、ウェアラブルデバイスWD2を身に着けた患者P2が居り、病室C内には、ウェアラブルデバイスWD3を身に着けた患者P3が居り、病室D内には、ウェアラブルデバイスWD4を身に着けた患者P4が居り、通路には、ウェアラブルデバイスWD5を身に着けた患者P5が居る。この状態では、第1の
受信可能エリアAREA1(1)内に患者P1~P3およびP5が位置しており、これら患者がそれぞれ身に着けているウェアラブルデバイスWD1~WD3、WD5からBluetooth通信方式で送られてくる無線信号を第1アクセスポイント装置AP1(1)により受信可能である。また、第1の受信可能エリアAREA1(2)内に患者P4およびP5が位置しており、これら患者がそれぞれ身に着けているウェアラブルデバイスWD4、WD5からBluetooth通信方式で送られてくる無線信号を第1アクセスポイント装置AP1(2)により受信可能である。第1アクセスポイント装置AP1(1)により受信した信号および第1アクセスポイント装置AP1(2)により受信した信号は、それぞれ第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)における通信方式変換装置(10A、10B)によってWi-Fi通信方式に変換され、Wi-Fi通信方式を用いる無線LAN100により第2アクセスポイント装置AP2に送られる。そして、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を介してサーバ装置30に送られる。なお、患者が複数の第1アクセスポイント装置から受信可能なエリアにいる場合(この実施例では患者P5はAP1(1)、AP1(2)のどちらでも受信可能である)には、使用するアクセスポイント装置に優先順位をつけるようにしてもよい。
【0018】
第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200へ接続する前に、第2アクセスポイント装置AP2と繋げられている認証監視装置20によって認証処理が行われる。この認証処理は、認証監視装置20にあらかじめ登録されている機器情報やネットワーク情報と、これから広域通信網200へ接続しようとしているウェアラブルデバイスWDのそれらの情報との照合を行い、接続の可否を判断し、接続が可能であると判断された場合にはウェアラブルデバイスの有している生体情報や機器情報などをサーバ装置30に送信する処理を行うものである。なお、機器情報とは、例えばMACアドレス等の機器情報や、IPアドレス等のネットワーク情報である。
【0019】
認証監視装置20において認証処理され、接続を許可されたウェアラブルデバイスWDは、広域通信網200を介してサーバ装置30に接続し、このウェアラブルデバイスの生体情報がサーバ装置30に記憶される。なお、このとき、受付の際に記憶した患者IDや生体情報、ウェアラブルデバイスの機器情報などを照らし合わせて生体情報を患者IDごとに整理して記憶されることにより、生体情報の集中管理がしやすくなる。
【0020】
認証監視装置20は、
図1あるいは
図2のほかに、
図3に示すように、第1アクセスポイント装置AP1(1)、AP1(2)にそれぞれ認証監視装置20が繋げられて構成することも考えられる。この場合は、第2アクセスポイント装置AP2へ接続する前に上述した認証処理が行われる。なお、検査室Fにおける検査装置45からの通信の流れは
図2と同様であり図示していない。
【0021】
次に、
図4、
図5を併用して本発明の第2の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(2)について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る生体情報管理システムSYS(2)を医療施設MFに採用した一例を示す医療施設内を示す平面図を示している。
【0022】
図4において、医療施設MF内の各部屋の構成は第1の実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。医療施設MF内には、施設全体をカバーするように無線LAN100が設けられている。認証監視装置20と繋がる第2アクセスポイント装置AP2が廊下に設置されており、第2アクセスポイント装置AP2によりWi-Fi通信方式で受信可能な第2の受信可能エリアAREA2に位置する患者のウェアラブルデバイスWDからのWi-Fi信号を受信可能である。また、受付室Aには、第2アクセスポイント装置AP2により広域通信網200を介して接続されるサーバ装置30が設置されている。なお、
図4では、第2の受信可能エリアAREA2として二点鎖線の円で示している。
【0023】
以上のように構成された医療施設MFにおいて、受付室Aで受付を済ませてウェアラブルデバイスWDを付与された患者は、付与されたウェアラブルデバイスWDを身に着けて医療施設MF内を移動するが、この状態を
図4に示している。このとき、第1の実施形態と同様に、入力端末15により、各患者にそれぞれ固有の患者IDが発効され、患者の個人の情報(名前、生年月日、年齢、性別など)と、患者IDと、割り当てられたウェアラブルデバイスWDの機器情報とが入力端末15から入力され、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を用いてサーバ装置30に送られて記憶され、管理される。また、ここで貸与されるウェアラブルデバイスWDの機器情報やネットワーク情報は、あらかじめ認証監視装置20にも入力されて記憶される。患者の配置は第1の実施形態と同様であり説明は省略する。第2の受信可能エリアAREA2内に、患者P1~P5が位置している。これら患者がそれぞれ患者P1がWD1を、P2がWD2を、P3がWD3を、P4がWD4を、P5がWD5を身に着けている。このウェアラブルデバイスWD1~5はWi-Fi通信が可能であり、ウェアラブルデバイスWD1~WD5からWi-Fi通信方式によって送られてくる無線信号を第2アクセスポイント装置AP2により受信可能である。そして、第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200を介してサーバ装置30に接続される。この通信の流れは
図5に示している。なお、検査室Fにおける検査装置45からの通信の流れは
図2と同様であり
図5には図示していない。
【0024】
このとき、すなわち第2アクセスポイント装置AP2から広域通信網200へ接続する前に、第2アクセスポイント装置AP2と繋がる認証監視装置20によって認証処理が行われる。認証処理については第1の実施形態と同様であり説明は省略する。このように、認証監視装置20において接続の許可されたウェアラブルデバイスWDの生体情報がサーバ装置30に記憶される。
【0025】
なお、第1および第2の実施形態において、ウェアラブルデバイスWDとしては、ユーザが身に着けながら心拍数や脈拍、血圧、体温などの生体情報を取得する生体センサを有し、外部と第2無線通信方式を用いて通信をスマートウォッチやスマートバンドなどが考えられるがこれに限らない。生体情報とは、例えば心拍数、脈拍、血圧、体温、血中酸素濃度、睡眠状況、行動状況等をあらわす数値などが挙げられるが、これに限らない。また、生体情報の他に、生体センサにより取得可能な生体情報を取得する際の気象条件(気温や湿度、気圧など)等も一緒に送信してもよい。
【0026】
以上のように生体情報管理システムの第1および第2の実施形態について述べたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0027】
第1の実施形態および第2の実施形態における生体情報管理システムにおいて、ウェアラブルデバイスWDにより取得される生体情報の精度を高めることを目的とした補正処理を行う本発明の生体情報補正部としての端末情報補正装置40を有してもよい。この補正処理は、検査装置45などの医療機器として認証された機器から取得される検査生体情報を用いることによって、ウェアラブルデバイスWDから取得される生体情報を補正する処理である。
図6は第2の実施形態において端末情報補正装置40を有して構成された生体情報管理システムSYS(3)の通信の流れを示している。生体情報管理システムSYS(3)については後ほど述べる。
【0028】
端末情報補正装置40は、図示していないが認証監視装置20の内部に組み込まれることも考えられる。また、サーバ装置30に端末情報補正装置40を組み込むことも考えられる。端末情報補正装置40によって、ウェアラブルデバイスの精度を高め、検査装置により取得される生体情報に近似させることができる。
【0029】
また、第1の実施形態および第2の実施形態における生体情報管理システムにおいて、
生体情報管理システムは情報処理を行う情報処理装置を有しても良い。情報処理の内容としては、例えばデータ容量を小さくするデータ圧縮や、統計処理により情報をまとめる処理などが挙げられる。情報処理装置においてこれらの情報処理を行うことにより、サーバ装置30に情報を送信する際のネットワークへの負荷を軽減することができる。情報処理装置は、認証監視装置20と繋げられて構成されることが考えられる。情報処理装置は認証監視装置20の内部に組み込まれることも考えられる。
【0030】
次に、以下より生体情報管理システムSYS(3)について
図6を用いて詳細を説明する。
【0031】
生体情報管理システムSYS(3)は、第1および第2の実施形態と同様に検査装置45を有しており、検査装置45はWi-Fi通信方式により第2アクセスポイント装置AP2に接続している。また、端末情報補正装置40が、第2アクセスポイント装置AP2と繋がる認証監視装置20に繋げられて構成されている。その他の構成は第2の実施形態と同様であり、詳しい説明は省略する。
【0032】
次に、ウェアラブルデバイスWDの生体情報に対して上述した補正を行う流れについて
図6を用いて説明する。ウェアラブルデバイスWDの生体情報に対して補正を行う前に、以下の作業を事前に行う。検査装置45によって取得した生体情報(機器取得生体情報)が、この生体情報取得時の条件(機器取得条件)と関連づけられてサーバ装置30に記憶される。機器取得生体情報を大量に収集して記憶し、機器取得生体情報と機器取得条件をもとに、機器取得条件に対する機器取得生体情報の関係を求める学習を行う。その学習結果が端末情報補正装置40に保存される。このときの学習の場所は、サーバ装置30においてコンピュータを用いてなされもよいし、保存された情報をもとに外部で学習を行っても良い。以上のような作業をあらかじめ行っておく。
【0033】
次に、ウェアラブルデバイスWDの生体情報を補正する流れについて説明する。ウェアラブルデバイスWDによってそれぞれの患者から取得した生体情報(端末取得生体情報)とともに、この生体情報を取得した時の条件(端末取得条件)が第1および第2の実施形態で説明した流れによって認証監視装置20に接続した後に、認証監視装置20に繋げられた端末情報補正装置40に保存される。そして、すでに端末情報補正装置40に保存されている学習結果と照らし合わせて補正が行われる。すなわち、端末取得条件と機器取得条件とを照らし合わせ、その条件に対応する関係性を示す学習結果を適用することによって補正が行われる。なお、学習の方法としては、統計的な分析や、コンピュータを用いた機械学習、AIによって行われても良い。このようにしてウェアラブルデバイスWDの生体情報に対して補正が行われることによって補正端末生体情報が得られる。補正端末生体情報は、第2アクセスポイント装置AP2を通って広域通信網200を介してサーバ装置30に送信される。なお、端末取得条件および機器取得条件とは、それぞれの生体情報を取得したときの気温や気圧、湿度などの外的条件や、取得する対象となる人の年齢や性別などの個人情報など、ウェアラブルデバイスWDの精度に影響を与えうる要因となるものを指しており、ここで挙げたものに限らない。この個人情報は、受付に際してサーバ装置30に記憶された情報を用いてもよく、受付時に最初から端末情報補正装置40に患者IDやウェアラブルデバイスWDの機器情報とともに記憶しておいてもよい。また、端末取得条件として、ウェアラブルデバイスWDのバッテリー残量や経年劣化なども考えられる。この端末取得条件を用いて、これらの条件に対するウェアラブルデバイスWDの生体情報の関係を求め、補正端末取得情報に対して付加的に補正を行うことも考えられる。
【0034】
以上のような実施形態によれば、無線通信ネットワークを介し、複数の装着型端末装置(ウェアラブルデバイス)の認証を行い、取得した生体情報を安全に管理するシステムを提供することができる。これにより、医療従事者や介護者等の作業を軽減することができ
る。
【0035】
上述の実施形態では、無線通信網が配置される領域を医療施設としたが、これに限られない。介護施設や、ショッピングモール等の商業施設、学校や図書館などの公共施設等であってもよい。
【0036】
また、検査装置45によって取得した生体情報(機器取得生体情報)が、この生体情報取得時の条件(機器取得条件)と関連づけられてサーバ装置30に記憶されるとしたが、認証監視装置20あるいは端末情報補正装置40に記憶されてもよい。また、端末情報補正装置40は認証監視装置20に繋げられるとしたが、サーバ装置30に繋げられてもよい。
【0037】
以上のような実施形態によれば、ウェアラブルデバイスによって取得した生体情報を医療機器(検査装置)から取得される生体情報によって補正し、医療機器との誤差を補正する生体情報管理システムを提供することができる。これにより、ウェアラブルデバイスで取得した生体情報を医療機器から取得される生体情報へ近似させることができ、生体情報の正確性、信頼性を向上させることをができる。
【符号の説明】
【0038】
SYS(1)~(3) 生体情報管理システム
100 無線LAN
200 広域通信網
AP1 第1アクセスポイント装置
AP2 第2アクセスポイント装置
10A、10B 通信方式変換装置
20 認証監視装置
30 サーバ装置
40 端末情報補正装置
45 検査装置
WD1~5 ウェアラブルデバイス
P1~P5 患者