(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085491
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240620BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240620BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240620BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240620BHJP
F21V 7/10 20060101ALI20240620BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240620BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240620BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 340
F21V9/40 400
F21V7/10 100
F21V5/04 650
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200018
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】安松 航
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA02
2K203FA22
2K203FA32
2K203FA44
2K203FA52
2K203GA22
2K203GA36
2K203GA40
2K203HA08
2K203HA63
2K203HA74
2K203HA88
2K203HA92
2K203MA32
(57)【要約】
【課題】単板式のプロジェクターにおいて、装置の大型化を抑える。
【解決手段】本発明のプロジェクターは、光を射出する光源と、光が入射する入射部、入射部から入射した光が射出される射出部、及び入射部と射出部との間に配置され、光を反射する反射部を有する集光器と、を備える光源装置と、光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、光変調装置から射出された画像光を投射する投射光学装置と、を備える。光源は、第1光を射出する第1光源と、第2光を射出する第2光源と、を有する。集光器は、逆テーパー状に形成され、第1集光器と、第2集光器と、を有する。第1集光器と第2集光器とは、光源装置における第1光及び第2光の光軸に平行な中心軸に直交する面内で並んで配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する光源と、前記光が入射する入射部、前記入射部から入射した前記光が射出される射出部、及び前記入射部と前記射出部との間に配置され、前記光を反射する反射部を有する集光器と、
を備える光源装置と、
前記光源装置から射出された前記光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置から射出された画像光を投射する投射光学装置と、
を備え、
前記光源は、
第1光を射出する第1光源と、
第2光を射出する第2光源と、
を有し、
前記集光器は、前記入射部の中心から前記射出部の中心に向かう方向に対して逆テーパー状に形成され、
第1集光器と、
第2集光器と、
を有し、
前記第1集光器は、
前記第1光が入射する第1入射部と、
前記第1光が射出される第1射出部と、
前記第1入射部と前記第1射出部との間に配置され、前記第1光を反射する第1反射部と、
を有し、
前記第2集光器は、
前記第2光が入射する第2入射部と、
前記第2光が射出される第2射出部と、
前記第2入射部と前記第2射出部との間に配置され、前記第2光を反射する第2反射部と、
を有し、
前記第1集光器と前記第2集光器とは、前記光源装置における前記第1光及び前記第2光の光軸に平行な中心軸に直交する面内で並んで配置されている、
プロジェクター。
【請求項2】
前記第1射出部と前記第2射出部とは、前記中心軸に直交する面内で互いに離間している、
請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記射出部の前記中心軸に直交する面内面積は、前記光変調装置の変調面の面積よりも大きい、
請求項1又は2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記光源は、前記中心軸に直交する面内で前記第1光源及び前記第2光源と離間して配置され、第3光を射出する第3光源をさらに有し、
前記集光器は、第3集光器をさらに有し、
前記第3集光器は、
前記第3光が入射する第3入射部と、
前記第3光が射出される第3射出部と、
前記第3入射部と前記第3射出部との間に配置され、前記第3光を反射する第3反射部と、
を有し、
前記第3集光器は、前記中心軸に直交する面内で前記第1集光器又は前記第2集光器に並んで配置されている、
請求項1又は2に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第2集光器及び前記第3集光器は、前記中心軸に直交する面内で前記第1集光器を中心として回転対称な位置に配置されている、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記光源装置と前記光変調装置との間の前記光を光路上に、前記光源装置から射出された前記光を平行化する平行化レンズと、前記平行化レンズから射出された前記光を拡大する拡大レンズが配置されている、
請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記平行化レンズと前記拡大レンズとの間の前記光を光路上に、前記平行化レンズから射出された前記光を拡散する拡散素子が配置されている、
請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記拡大レンズと前記光変調装置との間の前記光を光路上に、前記拡大レンズから射出された前記光を平行化するフレネルレンズが配置されている、
請求項6に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、色光から当該色の画像光を生成する光変調装置として1枚の液晶パネルを備えるプロジェクター、すなわち単板式のプロジェクターが知られている。例えば、特許文献1に開示されている単板式のプロジェクターでは、液晶パネルの変調面よりも小さい発光面を有する光源から射出された光を光入射側から見て逆テーパー状のロッド部材を用いて拡大し、液晶パネルの変調面に照射する。液晶パネルによって変調されて生成された画像光は、集光レンズを通り、反射ミラーによって反射される。反射されて光路を折り返された画像光は、イメージングレンズを通り、投射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第212515320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単板式のプロジェクターの液晶パネルの変調面は、光の3原色の各色の画像光を個別に生成した後に3色の画像光を重ね合わせる3板式のプロジェクターの液晶パネルの変調面よりも大きい。上述の特許文献1に開示されているプロジェクターでは、光源から射出された光を1個のロッド部材によって拡大するため、液晶パネルの変調面の大きさに応じて、大型のロッド部材を必要とする。仮に、光源から射出される光の進行方向におけるロッド部材の大きさを抑えるために、光源と液晶パネルとの離間距離を縮小すると、ロッド部材のテーパー角度が大きくなる。その場合、光源から射出された光のうちロッド部材の側面に照射される量が減少し、光源から射出された光がロッド部材の側面によって反射される回数が減少するため、光軸に直交する面内での光強度分布の均一性が十分に得られない。そのことによって、液晶パネルの変調面に均一性の低い光が入射し、画像光の光強度分布のばらつきや色ムラが顕著に発生する。すなわち、単板式のプロジェクターにおいて、装置の大型化を抑える対策が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様のプロジェクターは、光を射出する光源と、光が入射する入射部、入射部から入射した光が射出される射出部、及び入射部と射出部との間に配置され、光を反射する反射部を有する集光器と、を備える光源装置と、光源装置から射出された光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、光変調装置から射出された画像光を投射する投射光学装置と、を備える。光源は、第1光を射出する第1光源と、第2光を射出する第2光源と、を有する。集光器は、入射部の中心から射出部の中心に向かう方向に対して逆テーパー状に形成され、第1集光器と、第2集光器と、を有する。第1集光器は、第1光が入射する第1入射部と、第1光が射出される第1射出部と、第1入射部と第1射出部との間に配置され、第1光を反射する第1反射部と、を有する。第2集光器は、第2光が入射する第2入射部と、第2光が射出される第2射出部と、第2入射部と第2射出部との間に配置され、第2光を反射する第2反射部と、を有する。第1集光器と第2集光器とは、光源装置における第1光及び第2光の光軸に平行な中心軸に直交する面内で並んで配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの構成を示す概略図である。
【
図2】
図1のプロジェクターの光源装置の第1集光器及び第2集光器から射出される光のふるまいを説明するための模式図である。
【
図3】
図1のプロジェクターの光源装置の第1集光器及び第2集光器から射出される光のふるまいを説明するための模式図である。
【
図4】
図1のプロジェクターの光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図5】
図1のプロジェクターの光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図6】
図1のプロジェクターの光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図7】
図1のプロジェクターの光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図8】
図1のプロジェクターの光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図9】第2実施形態のプロジェクターの構成を示す概略図である。
【
図11】
図9のプロジェクターの光源装置の斜視図である。
【
図12】
図9及び
図10のプロジェクターの光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図13】参考例の光源装置から射出された白色光が光変調装置の変調面に到達したときの照射分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す図である。
【
図14】
図9のプロジェクターの変形例の要部の正面図である。
【
図15】
図9のプロジェクターの変形例の要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。
【0008】
[第1実施形態]
先ず、本発明の第1実施形態について、
図1から
図6を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のプロジェクター501の構成を示す概略図である。プロジェクター501は、光変調装置として1枚の液晶パネルを備える画像表示装置であり、所謂単板式のプロジェクターである。
図1に示すように、プロジェクター501は、少なくとも光源装置50と、光変調装置70と、投射光学装置100と、を備え、入射側偏光素子60と、射出側偏光素子80と、集光素子90と、をさらに備える。
【0009】
光源装置50は、光源20と、集光器30と、を備える。光源20は、第1光源20Aと、第2光源20Bと、を有する。第1光源20A及び第2光源20Bは、互いに同様の構成を備え、発光体5と、蛍光体10と、を有する。第1光源20A及び第2光源20Bは、白色光WLを射出する。
【0010】
発光体5は、射出面5sを有し、射出面5sから青色光を射出する。発光体5は、略直方体状に形成され、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)である。射出面5sは、矩形状を有する。発光体5の発光波長帯、すなわち青色光の波長帯は、例えば440nm~480nmであるが、前述の波長帯に限定されず、次に説明する蛍光体10の励起波長を含む波長帯であればよい。
【0011】
蛍光体10は、発光体5の射出面5sに設けられ、具体的には射出面5sに接し、発光体5に積層されている。蛍光体10は、発光体5と同様の形状を有し、略直方体状に形成されている。蛍光体10は、発光体5の射出面5sに接する面とは反対側に射出面10sを有する。射出面10sは、例えば矩形状を有する。
【0012】
発光体5の射出面5sから射出された青色光は、蛍光体10に入射する。蛍光体10は、入射した青色光のうちの少なくとも一部の青色光によって励起され、射出面10sから蛍光として黄色光を射出する。一方、蛍光体10に入射した青色光のうちの残りの少なくとも一部の青色光は、蛍光体10を透過し、射出面10sから射出される。
【0013】
蛍光体10の射出面10sから射出される青色光と黄色光は合成され、白色光WLが生成される。すなわち、蛍光体10の射出面10sから白色光WLが射出される。白色光WLのうち少なくとも黄色光は、蛍光体10の射出面10sの中心を通り、射出面10sに直交する軸を光軸として略全方位に且つ放射状に射出される。第1光源20A及び第2光源20Bを含む光源20は、例えば前述の発光体5及び蛍光体10を有する白色LEDであるが、白色光WLを発光可能な光源であればよい。光源20から射出される白色光WLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「光」に該当する。第1光源20Aから射出される白色光WLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「第1光」に該当する。第2光源20Bから射出される白色光WLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「第2光」に該当する。
【0014】
以下の説明及び図面では、蛍光体10の射出面10sから射出された直後の白色光WLの光軸に平行な方向であって、白色光WLの進む方向をZ方向とする。Z方向に直交し、蛍光体10の射出面10sに平行な一方向をX方向とする。X方向及びZ方向に直交し、射出面10sに平行な方向をY方向とする。
【0015】
第2光源20Bは、第1光源20AよりもX方向の後方に配置されている。第2光源20Bの発光体5の射出面5sは、第1光源20Aの発光体5の射出面5sと平行に配置され、Z方向で重なっている。同様に、第2光源20Bの蛍光体10の射出面10sは、第1光源20Aの蛍光体10の射出面10sと平行に配置され、Z方向で重なっている。第1光源20Aと第2光源20BとのX方向での離間距離は、後述する集光器30の第1集光器30Aと第2集光器30Bの大きさ及び離間距離Gによって決まる。
【0016】
集光器30は、第1集光器30Aと、第2集光器30Bと、を有する。第1集光器30A及び第2集光器30Bは、互いに同様の構成を備え、互いに同様の大きさ及び形状を有する。集光器30は、入射部31と、射出部32と、反射部34と、を有する。入射部31には、光源20から射出された白色光WLが入射する。反射部34は、入射部31から集光器30に入射した白色光WLを射出部32に向けて反射する。入射部31から入射し、反射部34によって反射された白色光WLは、射出部32から射出される。第1集光器30Aは、第1入射部31Aと、第1射出部32Aと、第1反射部34Aと、を有する。第2集光器30Bは、第2入射部31Bと、第2射出部32Bと、第2反射部34Bと、を有する。
【0017】
集光器30は、例えば白色光WLが入射する方を基端又は根元としたときに逆テーパー状に形成されたロッドレンズによって構成されている。集光器30は、入射側の端面30aと、射出側の端面30sと、側面30dと、を有する。
【0018】
端面30aは、蛍光体10の射出面10sと同様の大きさ及び形状を有し、具体的には矩形状を有し、射出面10sに接している。端面30sは、後述する光変調装置70の変調面72aのZ方向に沿って見たときのXY平面での大きさ及び形状に応じた大きさ及び形状を有し、具体的には矩形状を有し、入射側偏光素子60の入射面60aに接している。端面30sは、端面30aよりも大きい。
【0019】
側面30dは、端面30aの4辺の各辺とその各辺と平行な端面30sの各辺とをZ方向で連結する面によって構成されている。側面30dは、Z方向に沿って端面30aの各辺を基端として基端から端面30sにおいて対応する各辺を先端として先端に進むに従って、XY平面において軸JXから離れる。すなわち、集光器30は、Z方向に平行な軸JXに対して逆テーパー状に形成されている。軸JXは、端面30aの中心と端面30sの中心とを通る。
【0020】
集光器30は、前述のように逆テーパー状のロッドレンズであり、空気よりも高い屈折率を有する素材で製造された中実部材である。前述の素材としては、空気よりも高い屈折率を有し、白色光WLに対して透光性を有する素材であり、例えば光学ガラス、透明樹脂等が挙げられる。
【0021】
光源20の蛍光体10の射出面10sから射出された白色光WLは、射出面10sに接する端面30aから集光器30に入射する。端面30aは、光源20から射出された白色光WLが集光器30に入射する入射部31に相当する。
【0022】
集光器30に入射した白色光WLのうち、軸JXに凡そ沿って進行する白色光WLは、集光器30の端面30sに直接到達し、端面30sからZ方向に射出される。軸JXに凡そ沿って進行する白色光WLとは、蛍光体10の射出面10sから軸JXに対して側面30dの軸JXに対する勾配角度θよりも小さい角度をなして射出される白色光WLを表す。
【0023】
一方、集光器30に入射した白色光WLのうち、軸JXに対して拡散するように進行する白色光WLは、集光器30の側面30dに照射され、側面30dによって反射され、端面30sからZ方向に射出される。軸JXに対して拡散するように進行する白色光WLとは、蛍光体10の射出面10sから軸JXに対して側面30dの勾配角度θよりも大きい角度をなして射出される白色光WLを表す。端面30sは、集光器30に入射した白色光WLを射出する射出部32に相当する。
【0024】
軸JXに対して拡散するように進行する白色光WLが端面30aから端面30sに到達するまでの間に側面30dによって反射される回数は、蛍光体10の射出面10sから射出されたときの白色光WLの進行方向を表す線と軸JXとがなす狭角によって決まる。狭角が大きい程、白色光WLが側面30dによって反射される回数は多い。
図1には、第1光源20Aの蛍光体10の射出面10sから射出される白色光WLのうち、軸JXに対して拡散するように進行する白色光WLの典型的な2つの進路PH1,PH2が例示されている。例えば、進路PH1で表される白色光WLは、蛍光体10の射出面10sから射出された後に、側面30dで1回反射され、端面30sに到達する。進路PH2で表される白色光WLは、蛍光体10の射出面10sから進路PH1で表される白色光WLよりも広角に射出された後に、側面30dで2回反射され、端面30sに到達する。
【0025】
側面30dで反射されることによって、進路すなわち進行方向を表す線が軸JXと略平行になると、当該進路を進む白色光WLは、蛍光体10の射出面10sから軸JXに凡そ沿って進行する白色光WLと同様に、端面30sに直接照射される。結果として、蛍光体10の射出面10sから軸JXに凡そ沿って進行する白色光WLと、軸JXに対して拡散するように進行する白色光WLは、双方ともに、軸JXと略平行な方向から集光器30の端面30sに到達する。軸JXと略平行であるとは、軸JXとのなす狭角が例えば8°以内であり、好ましくは5°以内であることを意味する。側面30dは、端面30aと端面30sとの間に配置され、集光器30に入射した白色光WLを反射する反射部34に相当する。
【0026】
集光器30は、光源20の蛍光体10の射出面10sから軸JXを基準として多種広角に拡散して射出される白色光WLを、Z方向に進むに従って軸JXに直交するXY平面内で拡げるが、白色光WLの進路を軸JXに略平行にし、軸JXに対する白色光WLの拡散度を減じる。したがって、集光器30は、白色光WLを軸JXに沿って勾配角度θの所定の範囲と同等の所定の角度範囲内の進行方向に集め、集光する。上述した軸JXに凡そ沿って進行する白色光WLの進路、或いは軸JXに略平行な白色光WLの進路と軸JXとの狭角の上限値は、勾配角度θの所定の範囲内に含まれ、勾配角度θと同等である。
【0027】
集光器30の側面30dの勾配角度θ及びテーパー角度2θは、上述のように端面30aから軸JXに対して拡散するように進行する白色光WLが側面30dで反射されることによって軸JXと略平行に進み、端面30sに到達するように所定の範囲内に設定されている。勾配角度θの所定の範囲は、例えば8°~12°であり、好ましくは9°~11°である。
【0028】
光源装置50の大型化を抑える目的から、集光器30の好ましいZ方向の長さTは、例えば150mm~180mmである。言い換えれば、長さTは、プロジェクター501の全体構成及び仕様やプロジェクター501における制約等から決まる光源装置50のZ方向の許容範囲に合わせて決まる。光源20の蛍光体10の射出面10sのX方向及びY方向の大きさ、すなわち集光器30の端面30aのX方向及びY方向の大きさに対して、先ず集光器30の側面30dの勾配角度θが適切な所定の範囲内に設定され、次いで集光器30の長さTが上述のように適切に設定されることによって、集光器30の端面30sのX方向及びY方向の大きさが決まる。
【0029】
集光器30を構成する逆テーパー状のロッドレンズの屈折率は、側面30dに照射された白色光WLの反射率ができる限り高くなるように設定されている。好ましくは、集光器30のロッドレンズの屈折率は、側面30dに照射された白色光WLが全反射されるように設定されている。例えば、集光器30のロッドレンズが光学ガラスで構成されている場合には、ロッドレンズの屈折率は、例えば1.53~1.88の範囲内で、例えば前述のように側面30dに照射された白色光WLが全反射される値、且つ逆テーパー状の加工に適する任意の種類の光学ガラスの屈折率に設定されている。
【0030】
集光器30の端面30aのX方向及びY方向の大きさに対して上述のように勾配角度θが満たされ、長さTが決まると、端面30sのX方向及びY方向の大きさが決まる。集光器30の端面30sのX方向及びY方向の大きさと光変調装置70の変調面72aのX方向及びY方向の大きさとの比に応じて、光源装置50が備える集光器30の数が決まる。
【0031】
図1に示すように、プロジェクター501では、光変調装置70の変調面72aのX方向の大きさは、光源の蛍光体10の射出面10sのX方向の大きさ、集光器30の側面30dの勾配角度θ及び長さTが上述のように適切に設定された集光器30の端面30sのX方向の大きさの約2倍と離間距離Gとの和よりも小さい。離間距離Gは、端面30sのX方向の大きさよりも極めて小さい。そのため、変調面72aのX方向の大きさは、1つの集光器30の端面30sのX方向の大きさよりも大きく、2つの集光器30の端面30sのX方向の大きさ、すなわち端面30sのX方向の大きさの2倍よりも小さい。このことから、光源装置50は、2つの光源20すなわち第1光源20A及び第2光源20Bと、2つの集光器30すなわち第1集光器30A及び第2集光器30Bと、を備える。
【0032】
第1集光器30Aの端面30aは、第1光源20Aから射出された白色光WLが入射する第1入射部31Aに相当する。第2集光器30Bの端面30aは、第2光源20Bから射出された白色光WLが入射する第2入射部31Bに相当する。第1集光器30Aの端面30sは、第1集光器30Aに入射した白色光WLを射出する第1射出部32Aに相当する。第2集光器30Bの端面30sは、第2集光器30Bに入射した白色光WLを射出する第2射出部32Bに相当する。
【0033】
第1集光器30Aの側面30dは、第1集光器30Aの端面30aの各辺と端面30sの各辺とを連結し、第1集光器30Aの端面30aと端面30sとの間に配置され、第1集光器30Aに入射した白色光WLを反射する第1反射部34Aに相当する。第2集光器30Bの側面30dは、第2集光器30Bの端面30aの各辺と端面30sの各辺とを連結し、第2集光器30Bの端面30aと端面30sとの間に配置され、第2集光器30Bに入射した白色光WLを反射する第2反射部34Bに相当する。
【0034】
第2集光器30Bの端面30aは、第1集光器30Aの端面30aと平行に配置され、Z方向で重なっている。同様に、第2集光器30Bの端面30sは、第1集光器30Aの端面30sと平行に配置され、Z方向で重なっている。第1集光器30Aと第2集光器30Bは、光源装置50の中心軸CXに直交する面内で並んで配置されている。中心軸CXは、第1光源20A、第2光源20B、第1集光器30A及び第2集光器30Bが占める空間と同等の光源装置50の領域のX方向及びY方向の中心を通る軸であり、Z方向に平行である。光源装置50の中心軸CXは、X方向において第1集光器30Aの後端と第2集光器30Bの前端との中間位置と重なり、Y方向において第1集光器30Aの中心及び第2集光器30Bの中心と重なっている。
【0035】
第1集光器30Aと第2集光器30BのようにXY平面で互いに隣り合う2個の集光器30は、離間距離Gをあけて配置されている。具体的には、第2集光器30Bは、第1集光器30AよりもX方向の後方に配置されている。第2集光器30BのX方向の前端は、第1集光器30AのX方向の後端に対して離間距離GをあけてX方向の後方に配置されている。
【0036】
図2は、第1集光器30AのX方向の後端と第2集光器30BのX方向の前端が仮にX方向で互いに接する場合における白色光WLのふるまいを説明するための概略図である。この場合では、
図2に示すように、第1集光器30AのX方向の後端と第2集光器30BのX方向の前端とが互いに重なる位置、及び当該位置の近傍に接する入射側偏光素子60の領域Cでは、第1集光器30AのX方向の後側の端面30sから射出された白色光WLと第2集光器30BのX方向の前側の端面30sから射出された白色光WLが互いに重なる。そのため、領域Cにおける白色光WLの照度が周囲の領域における白色光WLの照度よりも著しく高まる場合がある。
【0037】
図3は、プロジェクター501のように第1集光器30AのX方向の後端と第2集光器30BのX方向の前端がX方向で互いに離間距離Gだけ離れている場合における白色光WLのふるまいを説明するための概略図である。この場合では、
図3に示すように、第1集光器30AのX方向の後側の端に近い端面30sから射出された白色光WLであっても、光源20の蛍光体10の射出面10sから射出される際のX方向での相対位置等によって、領域Cに照射される白色光WLと、領域CよりもX方向の外側の領域に照射される白色光WLに分かれる。このことによって、領域Cにおける白色光WLの照度と領域Cに接し且つ領域Cよりも外側の領域の白色光WLの照度との差が減少する。その結果、領域Cにおける白色光WLの照度分布の不均一性が抑えられ、白色光WLのぎらつきの発生が抑えられる。
【0038】
光源装置50の第1集光器30A及び第2集光器30Bの各々から射出される白色光WLは、後述する入射側偏光素子60を通り、所定の偏光の白色光WLに変換され、光変調装置70の入射面70aのうちの変調面72aから変調領域72に入射する。
図4から
図8は、光変調装置70の変調領域72に入射する白色光WLの照度分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す。本計算では、第1集光器30A及び第2集光器30Bの側面30dの勾配角度θ=10°、長さT=162mm、端面30sのX方向及びY方向の大きさが60mmであると想定した。
【0039】
図4は、光源装置50の第1集光器30Aと第2集光器30Bとの離間距離Gが設けられていない場合、すなわちG=0[mm]である場合の白色光WLの照度分布である。
図5は、G=1.0[mm]である場合の白色光WLの照度分布である。
図6は、G=1.4[mm]である場合の白色光WLの照度分布である。
図7は、G=2.0[mm]である場合の白色光WLの照度分布である。
図8は、G=3.0[mm]である場合の白色光WLの照度分布である。なお、白色光WLの照度分布のX方向の算出範囲を-55[mm]~+55[mm]とし、白色光WLの照度分布のY方向の算出範囲を-30[mm]~+30[mm]とした。
【0040】
図4から
図8までの各図の横軸は、光変調装置70の変調領域72のX方向に対応している。
図4から
図8までの各図の縦軸は、変調領域72のY方向に対応している。X=0[mm]及びY=0[mm]は、光源装置50の中心軸CXの延長線上の変調領域72内の位置すなわち中心を表す。
図4に示すように、離間距離Gが設けられていない場合には、変調領域72におけるX=0[mm]及びその近傍のX方向の中心領域に、第1集光器30AのX方向の後端部から射出された白色光WL及び第2集光器30BのX方向の前端部から射出された白色光WLが重なり合う。そのため、変調領域72のX方向の中心領域に照射される白色光WLの照度が周囲の領域よりも顕著に高い。中心領域は、例えばX=0±0.7[mm]からX=0±1.0[mm]の領域であり、
図2及び
図3に例示した領域Cと同様の意味を持つ。
【0041】
図5に示すように、G=1.0[mm]である場合には、X=0[mm]及びその近傍のX方向の中心領域と周囲の領域での白色光WLの照度の差は多少低減されるが、依然としてX方向の中心領域における白色光WLの照度が周囲の領域に比べて高い。
【0042】
図4及び
図5の結果から、上述の寸法の第1集光器30A及び第2集光器30Bに対して、G=0[mm],1.0[mm]である場合では、離間距離Gが不足し、X方向の中心領域の白色光WLの照度が過度に高く、光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLのX方向における照度分布が不均一であることがわかる。
【0043】
図6に示すように、G=1.4[mm]である場合には、変調領域72におけるX方向の中心領域と当該領域の周囲の領域での白色光WLの照度の差が著しく低減され、X方向の白色光WLの均一性が高い。この結果から、上述の寸法の第1集光器30A及び第2集光器30Bに対して、G=1.4[mm]である場合では、離間距離Gが適度に設定され、光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLのX方向における照度分布が均一であることがわかる。
【0044】
図7に示すように、G=2.0[mm]である場合には、変調領域72のX方向の中心領域の少なくとも一部では、第1集光器30AのX方向の後端部から射出された白色光WL及び第2集光器30BのX方向の前端部から射出された白色光WLの略一方が照射されている。そのため、変調領域72のX方向の中心領域に照射される白色光WLの照度が周囲の領域よりも低い。
【0045】
図8に示すように、G=3.0[mm]である場合には、変調領域72のX方向の中心領域の少なくとも一部に、第1集光器30AのX方向の後端部から射出された白色光WL及び第2集光器30BのX方向の前端部から射出された白色光WLの何れも略照射されない。そのため、変調領域72のX方向の中心領域に照射される白色光WLの照度が周囲の領域よりも顕著に低い。
【0046】
図7及び
図8の結果から、上述の寸法の第1集光器30A及び第2集光器30Bに対して、G=2.0[mm],3.0[mm]である場合では、離間距離Gが大き過ぎて、X方向の中心領域の白色光WLの照度が低く、光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLのX方向における照度分布が不均一であることがわかる。
【0047】
図1に示すように、入射側偏光素子60は、光源装置50よりもZ方向の前方に設けられ、光源装置50の第1集光器30A及び第2集光器30Bから射出される白色光WLの光路上に配置されている。入射側偏光素子60は、例えば可視波長帯に感度を有する吸収型の偏光板である。入射側偏光素子60は、板状に形成され、入射面60aと、射出面60bと、を有する。入射面60a及び射出面60bは、XY平面に平行である。入射面60a及び射出面60bの中心は、光源装置50の中心軸CXをZ方向と平行に延長した延長線上にある。入射面60aは、光源装置50の第1集光器30Aの端面30sと第2集光器30Bの端面30sに接している。
【0048】
光源装置50の第1集光器30A及び第2集光器30Bの各々から射出される白色光WLは、例えばランダム偏光或いは非偏光であり、入射面60aから入射側偏光素子60に入射する。入射側偏光素子60は、入射した白色光WLのうちの所定の偏光の白色光WLを透過し、射出面60bから射出する。所定の偏光は、例えばP偏光であるが、光変調装置70の変調領域72を構成する液晶素子の特性等に応じて適宜選択される。
【0049】
光変調装置70は、入射側偏光素子60から射出される白色光WLの光路上に配置されている。光変調装置70は、略板状に形成され、入射面70aと、射出面70bと、を有する。入射面70a及び射出面70bは、XY平面に平行である。入射面70a及び射出面70bの中心は、光源装置50の中心軸CXの延長線上にある。入射面70aは、Z方向で入射側偏光素子60の射出面60bと間隔をあけて配置されている。なお、光変調装置70の入射面70aは、入射側偏光素子60の射出面60bに接していてもよい。
【0050】
Z方向から見たときに、光変調装置70の周端部よりも内側に、変調領域72が設けられている。変調領域72は、入射側偏光素子60から射出されて光変調装置70に入射する白色光WLの光路及び照射領域と重なっている。変調面72aは、変調領域72の入射側の面である。変調領域72では、白色光WLがプロジェクター501によって投射する画像情報に応じて変調され、フルカラーの画像光IMが生成される。
【0051】
変調領域72は、光の3原色である赤色、緑色及び青色のカラーフィルターと、液晶素子等によって構成されている。液晶素子は、複数の画素を有する。各々の画素は、赤色、緑色及び青色に対応するサブ画素を有する。各々のサブ画素は、例えばポリシリコン薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)で構成されるスイッチング素子を備える。3色のカラーフィルターは、液晶素子において白色光WLが入射する面に設けられている。Z方向から見たときに、赤色のカラーフィルターは、液晶素子の各画素の赤色のサブ画素と重なるように配置されている。緑色のカラーフィルターは、液晶素子の各画素の緑色のサブ画素と重なるように配置されている。青色のカラーフィルターは、液晶素子の各画素の青色のサブ画素と重なるように配置されている。
【0052】
液晶素子の各画素の赤色のサブ画素は、赤色のカラーフィルターを透過した赤色光の偏光方向をスイッチング素子の動作によって変調し、赤色の画像光を生成する。液晶素子の各画素の緑色のサブ画素は、緑色のカラーフィルターを透過した緑色光の偏光方向をスイッチング素子の動作によって変調し、緑色の画像光を生成する。液晶素子の各画素の青色のサブ画素は、青色のカラーフィルターを透過した青色光の偏光方向をスイッチング素子の動作によって変調し、青色の画像光を生成する。液晶素子の複数の画素から射出される赤色、緑色及び青色の画像光は、互いに合成される。光変調装置70の射出面70bのうちの変調領域72の射出面72bから、フルカラーの画像光IMが射出される。
【0053】
射出側偏光素子80は、光変調装置70よりもZ方向の前方に設けられ、光変調装置70から射出された画像光IMの光路上に配置されている。射出側偏光素子80は、例えば可視波長帯に感度を有する吸収型の偏光板である。射出側偏光素子80は、板状に形成され、入射面80aと、射出面80bと、を有する。入射面80a及び射出面80bは、XY平面に平行である。入射面80a及び射出面80bの中心は、光源装置50の中心軸CXの延長線上にある。入射面80aは、Z方向で光変調装置70の射出面70bと間隔をあけて配置されている。なお、射出側偏光素子80の入射面80aは、光変調装置70の射出面70bに接していてもよい。
【0054】
光変調装置70の変調領域72から射出される画像光IMは、入射面80aから射出側偏光素子80に入射する。射出側偏光素子80は、入射した画像光IMのうちの適切な偏光を透過し、適切な偏光以外の画像光IMを吸収する。すなわち、射出側偏光素子80の射出面60bから、所定の偏光に応じた適切な偏光である画像光IMが射出される。
【0055】
集光素子90は、射出側偏光素子80よりもZ方向の前方に設けられ、射出側偏光素子80から射出された画像光IMの光路上に配置されている。集光素子90は、射出側偏光素子80から射出される画像光IMをZ方向の前方で光源装置50の中心軸CXの延長線上に集光する。集光素子90は、例えば光変調装置70の変調領域72のX方向及びY方向の大きさと略同等の径を有する両凸レンズである。
【0056】
投射光学装置100は、少なくとも光変調装置70よりもZ方向の先方に設けられ、具体的には集光素子90よりもZ方向の前方に設けられている。投射光学装置100は、光変調装置70から射出されて射出側偏光素子80を通り、集光素子90によって集光された画像光IMをZ方向の前方に投射し、不図示のスクリーン等に表示する。投射光学装置100は、例えば複数の光学レンズによって構成されている。光学レンズには、例えば平凸レンズ、平凹レンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、メニスカスレンズ、非球面レンズ、自由曲面レンズ等が含まれる。なお、投射光学装置100を構成する光学レンズの種類及び数は、特に限定されず、投射光学装置100とスクリーンの表示面との距離等に応じて適宜選択或いは設定される。
【0057】
以上説明した第1実施形態のプロジェクター501は、光源装置50と、光変調装置70と、投射光学装置100と、を備える。光源装置50は、白色光WLを射出する光源20と、集光器30と、を備える。集光器30は、白色光WLが入射する入射部31と、入射部31から入射した白色光WLが射出される射出部32と、白色光WLを反射する反射部34と、を有する。反射部34は、入射部31と射出部32との間に配置されている。光変調装置70は、光源装置50から射出された白色光WLを画像情報に応じて変調する。投射光学装置100は、光変調装置70から射出された画像光IMを投射する。第1実施形態のプロジェクター501では、光源20は、白色光WLを射出する第1光源20Aと、白色光WLを射出する第2光源20Bと、を有する。集光器30は、入射部31の中心から射出部32の中心に向かうZ方向に対して逆テーパー状に形成されている。集光器30は、第1集光器30Aと、第2集光器30Bと、を有する。第1集光器30Aは、第1光源20Aから射出された白色光WLが入射する第1入射部31Aと、第1入射部31Aに入射した白色光WLが射出される第1射出部32Aと、第1入射部31Aに入射した白色光WLを第1射出部32Aに向けて反射する第1反射部34Aと、を有する。第1反射部34Aは、第1入射部31Aと第1射出部32Aとの間に配置されている。第2集光器30Bは、第2光源20Bから射出された白色光WLが入射する第2入射部31Bと、第2入射部31Bに入射した白色光WLが射出される第2射出部32Bと、第2入射部31Bに入射した白色光WLを第2射出部32Bに向けて反射する第2反射部34Bと、を有する。第2反射部34Bは、第2入射部31Bと第2射出部32Bとの間に配置されている。第1集光器30Aと第2集光器30Bとは、光源装置50の中心軸CXに直交するXY平面内で並んで配置されている。中心軸CXは、光源装置50において第1光源20Aから射出される白色光WLの光軸すなわち第1集光器30Aの軸JXに平行であり、第2光源20Bから射出される白色光WLの光軸すなわち第2集光器30Bの軸JXに平行である。なお、XY平面は、後述する特許請求の範囲に記載されている「光源装置における第1光及び第2光の光軸に平行な中心軸に直交する面」に該当する。
【0058】
第1実施形態のプロジェクター501では、第1光源20Aから射出される白色光WLすなわち第1光をZ方向に集光する第1集光器30Aと、第2光源20Bから射出される白色光WLすなわち第2光をZ方向に集光する第2集光器30Bと、をXY平面内で並べて配置させる。このことによって、光変調装置の変調領域に対して白色光WLを射出する1つの光源と1つの光源から射出された白色光WLをZ方向に集光して変調領域に就社する1つの集光器とを備える従来のプロジェクターに比べて、集光器30の入射部31から射出部32までの長さTを短くすることができる。その結果、単板式のプロジェクターである第1実施形態のプロジェクター501において、白色光WLの伝搬距離を短くし、大型化を抑えることができる。また、第1実施形態のプロジェクター501によれば、集光器30の側面30dの勾配角度θを、反射部34によって反射される白色光WLがZ方向と略平行に射出部32に到達して射出部32から射出されるように、適度な範囲内に設定することができる。言い換えれば、第1実施形態のプロジェクター501では、勾配角度θを適度な範囲内に設定したうえで、2つの集光器30、つまり第1集光器30A及び第2集光器30BをXY平面内で並べて配置し、光源装置50の長さTを抑え、光源装置50の大型化、ひいては装置全体の大型化を抑えることができる。
【0059】
第1実施形態のプロジェクター501では、集光器30が入射部31を基端として逆テーパー状に形成されているため、射出部32から射出される白色光WLと光軸すなわち第1集光器30Aの軸JXとのなす角度が小さく、光源装置50よりも後段の各種装置や光学素子における光学的な負担が抑えられる。また、入射部31よりも射出部32の面積が大きいので、射出部32から射出される白色光WLの光束幅すなわちXY平面での照射領域を拡げることができる。
【0060】
また、第1実施形態のプロジェクター501では、第1集光器30Aと第2集光器30Bとは、XY平面内で互いに離間している。第1実施形態のプロジェクター501によれば、第1集光器30Aと第2集光器30Bの各々から射出された白色光WLが第1集光器30Aと第2集光器30Bとの間の領域で略重なり合わない。そのため、光源装置50よりも後段で、XY平面において第1集光器30Aと第2集光器30Bとの間の領域に対応する領域おける白色光WLの照度が周囲の領域よりも顕著に高まることを防ぎ、第1集光器30A及び第2集光器30Bから射出される白色光WLの光強度分布のムラを低減することができる。
【0061】
また、第1実施形態のプロジェクター501では、集光器30の射出部32のXY平面内での面積は、光変調装置70の有効面積、すなわち変調領域72のXY平面内での面積よりも大きい。ここで、集光器30の射出部32のXY平面内での大きさとは、第1集光器30Aの第1射出部32Aすなわち端面30sのX方向又はY方向の大きさと第1集光器30Aの第1射出部32Aすなわち端面30sのX方向又はY方向の大きさとの和を意味する。第1実施形態のプロジェクター501によれば、第1集光器30Aと第2集光器30Bとの位置合わせのずれが生じても、第1集光器30A及び第2集光器30Bと光変調装置70とのXY平面上での位置合わせを容易に行うことができる。
【0062】
なお、第1実施形態のプロジェクター501では、第1集光器30Aと第2集光器30Bとは互いに同じ形状及び大きさを備え、Z方向において互いに揃って配置されているが、例えば第1集光器30Aの形状及び大きさと第2集光器30Bの形状及び大きさが互いに異なっていてもよい。一例として、光変調装置70の変調領域72のXY平面での大きさが集光器30の端面30sよりも大きく、且つ端面30sの2倍よりも小さく、端面30sの1.2倍程度である場合を想定する。その場合、第1集光器30A及び第2集光器30Bの側面30dの勾配角度θは互いに同等であって、第2集光器30Bの長さTが第1集光器30Aの長さTよりも小さくてもよい。その場合、第2集光器30Bの端面30sは、第1集光器30Aの端面30sよりも小さい。第2集光器30Bの端面30sが上述説明したように入射側偏光素子60の入射面60aに接していれば、第2光源20Bの蛍光体10の射出面10sは第1光源20Aの蛍光体10の射出面10sよりもZ方向の前方に配置される。このときの第2集光器30Bの端面30sのXY平面での大きさすなわち面積、及び第1光源20Aに対する第2光源20BのZ方向の相対位置は、前述の光変調装置70の変調領域72のXY平面での大きさすなわち面積に合わせて適宜設定され、第1実施形態のプロジェクター501と同様に第1集光器30Aの端面30s及び第2集光器30Bの端面30sの双方から射出される白色光WLが均一に光変調装置70の変調領域72に照射されるように設定されればよい。
【0063】
また、第1実施形態のプロジェクター501について、集光器30が逆テーパー状のロッドレンズであって、空気よりも高い屈折率を有する素材で形成された中実部材である旨を説明したが、変形例として集光器30は中空部材であってもよい。図示していないが、集光器30が中空部材である場合は、集光器30は、光源20から射出された白色光WLが入射する入射部と、透過面から入射した白色光WLが射出される射出部と、透過面からZ方向及び軸JXに対して勾配角度θよりも広角に入射する白色光WLを射出部に向けて反射する反射部と、を有する。入射部及び射出部は、例えば白色光WLに対して透光性を有する光学ガラスや石英等からなる板状部材によって構成される。または、入射部及び出射部は、縁部分が反射部で囲われた空洞であってもよい。反射部は、例えば白色光WLを鏡面反射するステンレスやアルミニウム等の金属からなる板状部材、又は内壁面に白色光WLを反射する反射膜が設けられた任意の板状部材によって構成される。
【0064】
また、第1実施形態のプロジェクター501では、光源装置50の射出面すなわち第1集光器30A及び第2集光器30Bを占める面と入射側偏光素子60の入射面60aとの間に、不図示の拡散素子が配置されていてもよい。上述のように、第1集光器30A及び第2集光器30Bの各々に反射部34すなわち側面30dが設けられているため、各々の射出部32すなわち端面30sから射出される白色光WLの照度分布の均一性は高められている。また、離間距離Gが適切な範囲内で設定されることによって、第1集光器30A及び第2集光器30Bから射出される白色光WLの全体の照度分布の均一性も高められている。したがって、光源装置50の射出面入射側偏光素子60の入射面60aとの間に拡散素子が設けられることによって、光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLの均一性がさらに高まる。
【0065】
また、第1実施形態のプロジェクター501について、光源装置50よりも後段の構成要素、すなわち入射側偏光素子60、光変調装置70、射出側偏光素子80及び投射光学装置100が光源装置50の中心軸CXの延長線と重なる光軸AX1上に配置されている旨を説明した。つまり、第1実施形態のプロジェクター501の全ての構成要素が中心軸CX及び光軸AX1に沿って略一直線状に配置されている。しかしながら、設置場所の制約や使用目的等に応じて、光源装置50よりも後段の構成要素が中心軸CXの延長上で中心軸CXに交差する光軸AX1に沿って配置されていてもよい。変形例として、例えば光源装置50の射出面と入射側偏光素子60の入射面60aとが互いに離間しており、光源装置50の射出面と入射側偏光素子60の入射面60aとの間の白色光WLの光路上に不図示の反射ミラーが配置されてもよい。その場合、反射ミラーの反射面は、例えばXY平面とY方向及びZ方向を含むYZ平面との両平面に対して45°の角度をなして傾斜している。このような構成では、第1実施形態のプロジェクター501の光源装置50よりも後段で光軸AX1が略直角に屈折し、折り返し以降の光軸AX1はX方向に平行である。このような構成については、上述説明した光源装置50よりも後段の各構成要素の構造及び作用における説明中のXY平面をYZ平面に読み替えることができる。
【0066】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について、
図9から
図11を用いて説明する。
なお、第2実施形態及び変形例において、第1実施形態と共通する構成には対応する第1実施形態の構成と同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明を省略する。第2実施形態及び変形例では、第1実施形態とは異なる構成や内容について説明する。
【0067】
図9は、本発明の第2実施形態のプロジェクター502の構成を示す概略図である。
図10は、第2実施形態のプロジェクター502の斜視図である。
図11は、第2実施形態のプロジェクター502の光源装置52の斜視図である。プロジェクター502は、光変調装置として1枚の液晶パネルを備える画像表示装置であり、単板式のプロジェクターである。
図9から
図11に示すように、プロジェクター502は、光源装置52と、入射側偏光素子60と、光変調装置70と、射出側偏光素子80と、集光素子90と、投射光学装置100と、を備え、平行化レンズ40と、拡散素子42と、拡大レンズ45と、フレネルレンズ55と、をさらに備える。
【0068】
光源装置52は、第1実施形態で説明した光源装置50と同様に、光源20と集光器30と、を備える。光源装置52は、光源20として、第1光源20A、第2光源20Bに加えて、第3光源20C,20D,20Eを備える。第3光源20C,20D,20Eの各々は、第1光源20A及び第2光源20Bと同様に、発光体5と、蛍光体10と、を有し、例えば白色LEDである。第3光源20C,20D,20Eの各々から射出される白色光WLは、後述する特許請求の範囲に記載されている「第3光」に該当する。
【0069】
光源装置52は、集光器30として、第1集光器30A、第2集光器30Bに加えて、第3集光器30C,30D,30Eを備える。第3集光器30C,30D,30Eの各々は、第1集光器30A及び第2集光器30Bと同様の大きさ及び形状を有する。第3集光器30C,30D,30Eの各々は、第1集光器30A及び第2集光器30Bと同様に、入射側の端面30aと、射出側の端面30sと、側面30dと、を有する。第3集光器30C,30D,30Eの各々は、逆テーパー状のロッドレンズであり、第1実施形態で説明したように空気よりも高い適切な屈折率を有する素材で製造された中実部材である。
【0070】
第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30aは、第3光源20C,20D,20Eの各々から射出された白色光WLが入射する第3入射部31C,31D,31Eの各々に相当する。第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30sは、第3集光器30C,30D,30Eの各々に入射した白色光WLを射出する第3射出部32C,32D,32Eの各々に相当する。
【0071】
第3集光器30C,30D,30Eの各々の側面30dは、第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30aの各辺と端面30sの各辺とを連結し、第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30aと端面30sとの間に配置されている。第3集光器30C,30D,30Eの各々の側面30dは、第3集光器30C,30D,30Eの各々に入射した白色光WLを反射する第3反射部34C,34D,34Eに相当する。
【0072】
プロジェクター502においても、集光器30の側面30dの好適な勾配角度θの範囲及び集光器30の好適な長さTの範囲は、第1実施形態のプロジェクター501で説明した勾配角度θ及び長さTの各範囲と同様である。プロジェクター502では、光変調装置70の変調面72aのX方向及びY方向の大きさは、勾配角度θ及び長さTが適切に設定された集光器30の端面30sのX方向及びY方向の大きさの約3倍よりも大きい。このことと後述する平行化レンズ40及び拡散素子42の光学的機能と作用をふまえ、光源装置52は、5つの光源20すなわち第1光源20A、第2光源20B及び第3光源20C,20D,20Eと、5つの集光器30すなわち第1集光器30A、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eと、を備える。
【0073】
プロジェクター502では、第1集光器30A及び第2集光器30Bは、互いに同様の構成を備え、互いに同様の大きさ及び形状を有する。Z方向に沿って見たときに、第1光源20A及び第1集光器30Aが光源装置52の中心に配置されている。すなわち、XY平面内において、第1光源20Aの中心及び第1集光器30Aの軸JXは、光源装置52の中心と重なり、中心軸CX上に重なっている。
【0074】
第1光源20Aと第2光源20B及び第3光源20C,20D,20Eとは、XY平面で互いに並び、間隔をあけて配置されている。このことに伴い、第1集光器30Aと第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eとは、XY平面で互いに並び、間隔をあけて配置されている。具体的には、第2光源20B及び第2集光器30Bは、第1光源20A及び第1集光器30Aに対してX方向の前方及びY方向の前方に配置されている。第3光源20C及び第3集光器30Cは、第1光源20A及び第1集光器30Aに対してX方向の前方及びY方向の後方に配置されている。第3光源20D及び第3集光器30Dは、第1光源20A及び第1集光器30Aに対してX方向の後方及びY方向の前方に配置されている。第3光源20E及び第3集光器30Eは、第1光源20A及び第1集光器30Aに対してX方向の後方及びY方向の後方に配置されている。
【0075】
XY平面内において、第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20E及び第3集光器30Eとは、第1集光器30Aを挟んで互いに反対側に配置されている。第2集光器30B、第1集光器30A及び第3集光器30Eは、XY平面で中心軸CXを通る光源装置52の対角線上に並んで配置されている。また、XY平面内において、第3集光器30Cと第3集光器30Dとは、第1集光器30Aを挟んで互いに反対側に配置されている。第3集光器30C、第1集光器30A及び第3集光器30Dは、XY平面で中心軸CXを通る光源装置52のもう1つの対角線上に並んで配置されている。
【0076】
第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXと第3光源20Cの中心及び第3集光器30Cの軸JXは、X方向で互いに重なっている。第3光源20Dの中心及び第3集光器30Dの軸JXと第3光源20Eの中心及び第3集光器30Eの軸JXは、X方向で互いに重なっている。第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXと第3光源20Cの中心及び第3集光器30Cの軸JXとのY方向の離間距離は、第3光源20Dの中心及び第3集光器30Dの軸JXと第3光源20Eの中心及び第3集光器30Eの軸JXとのY方向の離間距離と同等である。また、第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXと第3光源20Dの中心及び第3集光器30Dの軸JXは、Y方向で互いに重なっている。第3光源20Cの中心及び第3集光器30Cの軸JXと第3光源20Eの中心及び第3集光器30Eの軸JXは、Y方向で互いに重なっている。第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXと第3光源20Dの中心及び第3集光器30Dの軸JXとのX方向の離間距離は、第3光源20Cの中心及び第3集光器30Cの軸JXと第3光源20Eの中心及び第3集光器30Eの軸JXとのX方向の離間距離と同等である。
【0077】
XY平面において、第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXと、第3光源20C,20D,20Eの各中心及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の軸JXとは、第1光源20A及び第1集光器30Aの軸JXに対して互いに同等の離間距離をおいて配置されている。前述したXY平面における合計5つの光源20及び集光器30の相対位置関係及び離間距離の関係から、第2光源20B及び第3光源20C,20D,20Eは、XY平面内で第1光源20Aを中心として回転対称な位置に配置されている。すなわち、第2光源20Bの中心及び第3光源20C,20D,20Eの各々の各中心は、XY平面内で第1光源20Aの中心を中心とする仮想円上で互いに等間隔に配置されている。また、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eは、XY平面内で第1集光器30Aを中心として4回回転対称な位置に配置されている。すなわち、第2集光器30Bの軸JX及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の軸JXは、XY平面内で第1集光器30Aの軸JXを中心とする仮想円上で互いに等間隔に配置されている。
【0078】
光源装置52の中心軸CXは、第1光源20A、第2光源20B、第3光源20C,20D,20E、第1集光器30A、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eが占める空間と同等の光源装置52の領域のX方向及びY方向の中心を通る軸であり、Z方向に平行である。
【0079】
第2光源20Bの蛍光体10の射出面10s及び第3光源20C,20D,20Eの各々の蛍光体10の射出面10sは、第1光源20Aの蛍光体10の射出面10sと平行に配置され、Z方向で重なっている。第2集光器30Bの端面30a及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30aは、第1集光器30Aの端面30aと平行に配置され、Z方向で重なっている。同様に、第2集光器30Bの端面30s及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30sは、第1集光器30Aの端面30sと平行に配置され、Z方向で重なっている。
【0080】
平行化レンズ40は、光源装置52よりもZ方向の前方に設けられ、光源装置52から射出される白色光WLの光路上に配置されている。平行化レンズ40は、光源20及び集光器30と同数のレンズによって構成され、平行化レンズ40A,40B,40C,40D,40Eを有する。平行化レンズ40A,40B,40C,40D,40Eの各々の径は、互いに同等である。平行化レンズ40AのX方向及びY方向の中心は、XY平面内で第1集光器30Aの軸JXと重なり、軸JXの延長線上にある。平行化レンズ40BのX方向及びY方向の中心は、XY平面内で第2集光器30Bの軸JXと重なり、軸JXの延長線上にある。平行化レンズ40C,40D,40Eの各々におけるX方向及びY方向の中心は、XY平面内で第3集光器30C,30D,30Eの各々の軸JXと重なり、各々の軸JXの延長線上にある。
【0081】
平行化レンズ40A,40B,40C,40D,40Eの入射面は、Z方向で互いに同じ位置に配置され、第1集光器30Aの端面30s、第2集光器30Bの端面30s、及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30sとはZ方向で間隔をあけて配置されている。
【0082】
5つの光源20からZ方向を基準に放射状に射出されて集光器30に入射する白色光WLのうち、Z方向に対して集光器30の側面30dの勾配角度θ以下の角度を有する白色光WLは、凡そ直進し、端面30sから射出される。集光器30に入射する白色光WLのうち、Z方向に対して集光器30の側面30dの勾配角度θよりも大きい角度を有する白色光WLは、側面30dによって反射され、Z方向に対して勾配角度θ以下の角度になってから端面30sから射出される。その結果、第1集光器30A、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の端面30sから、Z方向に対して勾配角度θ以下の角度を有する白色光WLが発散光として射出される。
【0083】
平行化レンズ40Aは、第1集光器30Aの端面30sから射出される白色光WLを平行化する。平行化レンズ40Bは、第2集光器30Bの端面30sから射出される白色光WLを平行化する。平行化レンズ40C,40D,40Eの各々は、第3集光器30C,30D,30Eの各端面30sから射出される白色光WLを平行化する。平行化レンズ40A,40B,40C,40D,40Eの各々は、例えば平凸レンズであるが、前述のように対応する集光器30から射出される白色光WLを平行化することが可能な任意の光学レンズや接合レンズであってもよい。
【0084】
拡散素子42は、平行化レンズ40よりもZ方向の前方に設けられ、平行化レンズ40から射出される白色光WLの光路上に配置されている。拡散素子42は、XY平面に平行な入射面及び射出面を有する。Z方向に沿って見たときに、拡散素子42の入射面及び射出面は、平行化レンズ40A,40B,40C,40D,40Eの各々から射出される白色光WLの照射領域を全て含む面積よりも大きい。拡散素子42の中心は、光源装置52の中心軸CXをZ方向の前方に延長した延長線上にあり、Z方向から見て平行化レンズ40Aの中心と重なっている。
【0085】
平行化レンズ40A,40B,40C,40D,40Eの各々から射出される白色光WLは、拡散素子42の入射面に照射され、拡散素子42によってXY平面内で拡散される。拡散素子42に入射した白色光WLの光強度分布は、XY平面内で拡散素子42に入射する前の白色光WLに比べて均一化される。拡散素子42は、XY平面内で拡散させた白色光WLを射出面から射出する。拡散素子42は、例えば白色光WLに対して透光性を有する樹脂材料を基材として入射面に微小且つランダムな大きさのレンズアレイが形成された光拡散シート或いは光拡散フィルム、或いは光学ガラスや石英等の素材で形成され、入射側の板面に微細且つランダムな構造が設けられた拡散板である。
【0086】
拡大レンズ45は、拡散素子42よりもZ方向の前方に設けられ、拡散素子42から射出される白色光WLの光路上に配置されている。拡大レンズ45は、入射面及び射出面を有する。拡大レンズ45の入射面は、拡散素子42の射出面に接している。拡大レンズ45のXY平面での大きさは、拡散素子42と略同等である。
【0087】
拡大レンズ45は、拡散素子42から射出された白色光WLのXY平面内でのビーム径を拡げ、射出面から白色光WLを発散光として射出する。拡大レンズ45は、例えばZ方向に平行な軸芯を有し、軸芯に直交する面すなわちXY平面において軸芯から離れるに従って非線形的に屈折率が高くなる屈折率分布型レンズであり、XY平面に平行な入射面及び射出面と、Z方向に所定の厚みを有する。なお、拡大レンズ45は、拡散素子42から射出される白色光WLのビーム径を拡げることが可能な任意の光学素子であってもよい。また、拡大レンズ45の入射面は、拡散素子42の射出面とZ方向で間隔をあけて配置されてもよい。
【0088】
光源装置52では、5つの集光器30の各々から射出される白色光WLが平行化レンズ40、拡散素子42及び拡大レンズ45を介して互いに重畳され、重畳された白色光WLの光強度分布の均一化が図られるという作用をふまえ、第1光源20Aの中心及び第1集光器30Aの軸JXと第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXとのXY平面内での離間距離が設定されている。例えば、5つの集光器30の各々の端面30sから勾配角度θに応じて発散してZ方向の前方に射出された白色光WLが5つの平行化レンズ40によって平行化される際に、XY平面内で平行化レンズ40Aから射出される白色光WLの照射範囲と平行化レンズ40B,40C,40D,40Eの各々から射出される白色光WLの照射範囲との間に白色光WLが全く照射されない範囲が生じないようにする。そのようにするために、平行化レンズ40B,40A,40Eは、XY平面内でX方向及びY方向に対して45°をなす不図示の第1の対角線に沿って互いに接し、順次並んで配置されている。また、平行化レンズ40C,40A,40Eは、XY平面内でX方向及びY方向に対して45°をなして第1の対角線に直交する不図示の第2の対角線に沿って互いに接し、順次並んで配置されている。5つの光源20及び集光器30は、XY平面内で5つの平行化レンズ40の配置に合わせて配置されている。また、XY平面内で隣接する平行化レンズ40の各々から射出される白色光WLの照射範囲との間に白色光WLが全く照射されない範囲が生じないように、5つの集光器30の各々の端面30sと5つの平行化レンズ40の入射面との間の距離が設定されている。
【0089】
5つの平行化レンズ40の各々から射出された白色光WLの光強度及び照度は、XY平面内で5つの集光器30の軸JXの延長線上の位置を中心として相対的に高く、周囲に向かう程、相対的に低い。5つの平行化レンズ40の各々から射出される白色光WLが拡散素子42によって拡散されることによって、拡散素子42から射出される白色光WLの光強度及び照度のXY平面内での相対的な差が低減される。上述のようにXY平面内で隣接する平行化レンズ40の各々から射出される白色光WLの照射範囲との間に白色光WLが全く照射されない範囲が生じないように設定されていることによって、拡散素子42から射出される白色光WLの光強度及び照度のXY平面内での均一性が高まる。その結果、拡大レンズ45、フレネルレンズ55及び入射側偏光素子60を介して光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLの光強度及び照度のXY平面内での均一性が高まる。
【0090】
フレネルレンズ55は、拡大レンズ45よりもZ方向の前方に設けられ、拡大レンズ45から射出される白色光WLの光路上に配置されている。フレネルレンズ55において白色光WLが入射する入射面に、複数の略鋸状のパターンを有するレンズ面が形成されている。略鋸状のパターンは、レンズの曲面分布が厚み方向すなわちZ方向で白色光WLの波長に基づく所定の厚みに分割されたフレネルレンズ55の射出面は、XY平面に平行な平坦面である。フレネルレンズ55のXY平面での大きさは、拡大レンズ45から射出されてフレネルレンズ55に到達する白色光WLのビーム径よりも大きい。
【0091】
フレネルレンズ55は、拡大レンズ45から発散光として射出される白色光WLを平行化する。フレネルレンズ55から射出される白色光WLは、平行化されており、入射面60aから入射側偏光素子60に入射する。プロジェクター502における入射側偏光素子60、光変調装置70、射出側偏光素子80、集光素子90及び投射光学装置100の配置及び各々における白色光WLや画像光IMのふるまいは、プロジェクター501と同様である。なお、
図10では、投射光学装置100は省略されている。プロジェクター501と同様に、プロジェクター502の投射光学装置100から射出されるフルカラーの画像光IMは、不図示のスクリーン等に投射され、光変調装置70に入力される画像信号に応じた画像を形成する。
【0092】
図12及び
図13は、光変調装置70の変調領域72に入射する白色光WLの照度分布を数値シミュレーションによって算出した結果を示す。本計算では、第1集光器30A、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の側面30dの勾配角度θ=10°、長さT=162mm、端面30sのX方向及びY方向の大きさが60mmであると想定した。白色光WLの照度分布のX方向の算出範囲を-55[mm]~+55[mm]とし、白色光WLの照度分布のY方向の算出範囲を-30[mm]~+30[mm]とした。
【0093】
図12は、上述のように光源装置52が5つの光源20及び集光器30を備え、XY平面内で第2光源20Bの中心及び第2集光器30Bの軸JXと第3光源20C,20D,20Eの各中心及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の軸JXが第1光源20Aの中心及び第1集光器30Aの軸JXを中心に回転対称に配置されている場合の白色光WLの照度分布である。
図13は、光源装置52において仮に第1光源20A及び第1集光器30Aが設けられていない場合を想定した場合の白色光WLの照度分布であり、参考例である。
図12及び
図13の横軸は、光変調装置70の変調領域72のX方向に対応している。
図12及び
図13の縦軸は、変調領域72のY方向に対応している。X=0[mm]及びY=0[mm]は、光源装置52の中心軸CXの延長線上の変調領域72内の位置すなわち中心を表す。
【0094】
図12に示すように、光源装置52から射出されて光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLの照度分布は、略均一である。この結果は、第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20C,20D,20E及び第3集光器30C,30D,30EがXY平面内で第1光源20A及び第1集光器30Aを中心として回転対称に配置されていることに基づく。また、
図12に示す結果には、上述のように5つの光源20、集光器30、平行化レンズ40と、1つの拡散素子42及び拡大レンズ45が互いの作用に応じて適切な相対位置に配置されていることも寄与している。
【0095】
一方、
図13に示すように、第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20C,20D,20E及び第3集光器30C,30D,30Eに対して第1光源20A及び第1集光器30Aが設けられていない参考例の場合には、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eの各々の軸JXの延長線上の位置を中心とする範囲の照度が周囲に比べて相対的に高く、X=0[mm]及びY=0[mm]を中心とする範囲の照度が周囲よりも低い。そのため、光変調装置70の変調領域72に入射する白色光WLの照度分布の均一性は、第1光源20A及び第1集光器30Aをさらに備える光源装置52の場合に比べて低下した。
【0096】
以上説明した第2実施形態のプロジェクター502は、少なくとも光源装置52と、光変調装置70と、投射光学装置100と、を備える。光源装置52は、光源20と、集光器30と、を備える。第1実施形態のプロジェクター502では、光源20は、第1光源20A及び第2光源20Bを有する。集光器30は、Z方向に対して逆テーパー状に形成され、第1集光器30A及び第2集光器30Bを有する。第1集光器30Aと第2集光器30Bとは、光源装置52の中心軸CXに直交するXY平面内で並んで配置されている。中心軸CXは、光源装置52において第1光源20Aから射出される白色光WLの光軸すなわち第1集光器30Aの軸JXに平行であり、第2光源20Bから射出される白色光WLの光軸すなわち第2集光器30Bの軸JXに平行である。したがって、第2実施形態のプロジェクター502によれば、第1実施形態のプロジェクター501と同様に、集光器30の側面30dの勾配角度θを適度な範囲内に設定し、光源装置52における白色光WLの伝搬距離を短くすることによって、光源装置52の大型化、ひいては装置全体の大型化を抑えることができる。
【0097】
第2実施形態のプロジェクター502では、光源20は、白色光WLを射出する第3光源20C,20D,20Eをさらに有する。第3光源20C,20D,20Eは、光源装置52の中心軸CXに直交するXY平面内で第1光源20A及び第2光源20Bと離間して配置されている。第2実施形態のプロジェクター502では、集光器30は、第3集光器30C,30D,30Eをさらに備える。第3集光器30C,30D,30Eの各々は、白色光WLが入射する第3入射部31C,31D,31Eと、白色光WLが射出される第3射出部32C,32D,32Eと、白色光WLを反射する第3反射部34C,34D,34Eと、を有する。第3反射部34C,34D,34Eの各々は、第3入射部31C,31D、31Eの各々と第3射出部32C,32D,32Eの各々と間に配置されている。第3反射部34C,34D,34Eの各々は、第3入射部31C,31D、31Eの各々から入射した白色光WLを第3射出部32C,32D,32Eに向けて反射する。第3集光器30C,30D,30Eは、XY平面内で第1集光器30Aに並んで配置されている。
【0098】
第2実施形態のプロジェクター502では、第3光源20C,20D,20E及び第3集光器30C,30D,30Eを第2光源20B及び第2集光器30Bとともに第1光源20A及び第1集光器30Aに並べて配置し、変調領域72に照射される白色光WL全体のビーム径を拡げ、第1光源20A及び第1集光器30Aと第2光源20B及び第2集光器30Bのみを備える光源装置に比べて白色光WLの照射領域を広く確保することができる。したがって、第2実施形態のプロジェクター502によれば、集光器30の勾配角度θ及び長さTを所定の範囲内に設定し、光変調装置70の変調領域72のX方向及びY方向の大きさが集光器30の端面30sの2倍よりも大きい場合であっても、大型化を抑えることができる。
【0099】
なお、光源装置52では、第3光源20E及び第3集光器30Eは、XY平面内で第1光源20A及び第1集光器30Aに加えて第2光源20B及び第2集光器30Bに並んで配置されている。つまり、第3集光器30C,30D,30Eは、XY平面内で第1集光器30A又は第2集光器30Bに並んで配置されている。第2実施形態のプロジェクター502の変形例として、例えば第1光源20A及び第1集光器30Aの位置と第2光源20B及び第2集光器30Bの位置が交換され、第1光源20A及び第1集光器30Aと第3光源20C,20D,20E及び第3集光器30C,30D,30Eが第2光源20B及び第2集光器30Bを中心として回転対称に配置されていてもよい。その場合、第3集光器30C,30D,30EはXY平面内で第2集光器30Bに並んで配置され、第3集光器30EはXY平面内で第2集光器30B及び第1集光器30Aに並んで配置される。
【0100】
第2実施形態のプロジェクター502の別の変形例として、光変調装置70の変調領域72の形状及び大きさに応じて、例えば第1光源20A及び第1集光器30Aと第2光源20B及び第2集光器30BがX方向に沿って適切な間隔をあけて配置され、第3光源20C,20D,20E及び第3集光器30C,30D,30Eを含む任意の数の第3光源及び第3集光器が第1光源20A及び第1集光器30Aと第2光源20B及び第2集光器30Bの各々とY方向に沿って適切な間隔をあけて配置されてもよい。第2実施形態のプロジェクター502の各変形例の構成においても、光源装置及びプロジェクター全体の大型化を抑えることができる。
【0101】
また、第2実施形態のプロジェクター502では、第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20C,20D,20E及び第3集光器30C,30D,30Eは、XY平面内で第1光源20A及び第1集光器30Aを中心として回転対称な位置に配置されている。第2実施形態のプロジェクター502において、第1光源20A及び第1集光器30Aが光源装置52の中心に配置されることによって、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eで囲まれる光源装置52のXY平面内での中心部とその周囲の部分との照度の差が縮小される。したがって、第2実施形態のプロジェクター502によれば、光源装置52から射出される白色光WL及び光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLの照度ムラを低減することができる。
【0102】
また、第2実施形態のプロジェクター502では、光源装置52と光変調装置70との間の白色光WLの光路上に、平行化レンズ40と、拡大レンズ45が配置されている。平行化レンズ40は、光源装置52から射出された白色光WLを平行化する。拡大レンズ45は、平行化レンズ40から射出された白色光WLをXY平面内で拡大する。第2実施形態のプロジェクター502において、第1集光器30A、第2集光器30B及び第3集光器30C,30D,30Eの各々から射出された白色光WLは、集光器30と同数の平行化レンズ40の各々によって平行化された後に重畳され、拡大レンズ45を用いてXY平面での白色光WLのビーム径が拡大される。このことによって、第2実施形態のプロジェクター502によれば、拡大レンズ45によって白色光WLのビーム径が拡大される分、光源装置52の射出面すなわち複数の集光器30の端面30sにおける白色光WLの全体のビーム径を適切な範囲に抑えることができる。その結果、光源装置52の集光器30の長さTを適度に短くすることができる。
【0103】
また、第2実施形態のプロジェクター502では、平行化レンズ40と拡大レンズ45との間の白色光WLの光路上に拡散素子42が配置されている。光源装置52において、X方向における第2集光器30Bの後端と第3集光器30Dの前端との間隔、或いはY方向における第2集光器30Bの後端と第3集光器30Cの前端との間隔は、例えば第1実施形態で説明した離間距離G等よりも大きく、集光器30の端面30sのX方向或いはY方向の大きさの半分程度にあく。そのため、光源装置52から射出されて重畳される前の白色光WLにおいて、光強度及び照度が相対的に低い部分が生じる。第2実施形態のプロジェクター502によれば、光源装置52から射出されて重畳される前の白色光WLにおいて照度が相対的に低い部分と周囲の部分の各光をXY平面内で拡散素子42によって拡散し、光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLの光強度分布及び照度分布の均一化を図ることができる。
【0104】
なお、上述のように光源装置52から射出されて重畳される白色光WLの光強度分布及び照度分布の均一化を良好に図るためには、拡散素子42が平行化レンズ40と拡大レンズ45との間の白色光WLの光路上、すなわち平行化された白色光WLの光路上に配置されていることが好ましい。但し、拡散素子42は、例えば拡大レンズ45とフレネルレンズ55との間の白色光WLの光路上に配置されてもよく、少なくとも光源装置52と入射側偏光素子60との間の白色光WLの光路上に配置されている。
【0105】
また、第2実施形態のプロジェクター502では、拡大レンズ45と光変調装置70との間の白色光WLの光路上にフレネルレンズ55が配置されている。フレネルレンズ55は、拡大レンズ45から射出された白色光WLを平行化する。第2実施形態のプロジェクター502によれば、光変調装置70の変調領域72に平行化された白色光WLを照射し、光変調装置70における白色光WLの変調の精度を安定化させることができる。フレネルレンズ55は、光変調装置70の前段に、詳しくは光変調装置70の直前に配置されているため、XY平面内で光変調装置70の変調領域72と少なくとも同等と大きさを有し、好ましくは変調領域72よりも適度に大きい。第2実施形態のプロジェクター502によれば、フレネルレンズ55の径が単板式のプロジェクター502の光変調装置70の変調領域72と同等に大きい場合でも、厚みを抑え、装置全体の大型化を抑えることができる。
【0106】
<変形例>
続いて、第2実施形態のプロジェクター502の光源装置52の変形例について説明する。
図14は、第2実施形態のプロジェクター502の変形例の要部の正面図であり、光源装置54、平行化レンズ40、拡散素子42及び拡大レンズ45をZ方向に沿って見たときの図である。
図15は、本変形例の要部の平面図であり、光源装置54、平行化レンズ40、拡散素子42及び拡大レンズ45をX方向に沿って見たときの図である。
【0107】
図14及び
図15に示すように、光源装置54は、光源20として、第1光源20Aと、第2光源20Bと、第3光源20C,20Dと、を有する。光源装置54は、集光器30として、第1集光器30Aと、第2集光器30Bと、第3集光器30C,30Dと、を有する。
【0108】
図14に示すように、光源装置54では、第2光源20Bの中心及び第3光源20C,20Dの各々の各中心は、XY平面内で第1光源20Aの中心を中心とする仮想円上で互いに等間隔に配置されている。第2集光器30B及び第3集光器30C,30Dは、XY平面内で第1集光器30Aを中心として3回回転対称な位置に配置されている。第2光源20B及び第2集光器30Bは、第1光源20A及び第1集光器30AよりもX方向の前方に配置され、Y方向で重なっている。第3光源20C及び第3集光器30Cは、第1光源20A及び第1集光器30AよりもX方向の後方且つY方向の前方に配置されている。第3光源20D及び第3集光器30Dは、第1光源20A及び第1集光器30AよりもX方向の後方且つY方向の後方に配置されている。
【0109】
本変形例では、平行化レンズ40は、4つの平行化レンズ40A,40B,40C,40Dで構成されている。XY平面内において、4つの平行化レンズ40A,40B,40C,40Dの各々の中心は、上述の第1光源20A、第2光源20B、第3光源20C,20Dの各々の中心と重なり、第1集光器30A、第2集光器30B、第3集光器30C,30Dの各々の軸JXと重なっている。
【0110】
光源装置54では、第1光源20A及び第1集光器30Aに対して第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20C,20D及び第3集光器30C,30Dが3回回転対称な位置に配置されていることをふまえ、第1集光器30A、第2集光器30B、第3集光器30C,30Dの各々の図示略の勾配角度θ及び長さTが設定されている。すなわち、第1集光器30A、第2集光器30B、第3集光器30C,30Dの各々の勾配角度θ及び長さTは、これらの集光器30から射出され、平行化レンズ40、拡散素子42、拡大レンズ45、図示略のフレネルレンズ55及び入射側偏光素子60を通って光変調装置70の変調領域72に均一な光強度分布及び照度分布を有する白色光WLが照射されるように、設定されている。
【0111】
図15に示すように、例えば、第1集光器30A、第2集光器30B、第3集光器30C,30Dの各々の勾配角度θは、略共通で約10°に設定されている。第1集光器30AのZ方向の長さT1は、第2集光器30B、第3集光器30C,30Dに共通するZ方向の長さT2よりも短く設定されている。第1集光器30Aの端面30sの大きさ、すなわち面積は、第2集光器30B、第3集光器30C,30Dの端面30sよりも小さい。このことから、第1光源20Aの蛍光体10の射出面10sは、第2光源20B及び第3光源20C,20Dの各々の蛍光体10の射出面10sとZ方向で略同等の位置、又はZ方向のやや前方に配置されている。一方、第1集光器30Aの端面30sは、第2集光器30B及び第3集光器30C,30Dの各々の端面30sよりもZ方向の後方に配置されている。
【0112】
平行化レンズ40Aの径は、平行化レンズ40B,40C,40Dよりも小さい。平行化レンズ40Aの入射面は、平行化レンズ40B,40C,40Dの各々の入射面よりもZ方向の方向に配置されている。
図14に示すように、Z方向に沿って見たときに、平行化レンズ40Aの周縁部の3つの部分は、平行化レンズ40B,40C,40Dの周縁部と重なっている。
【0113】
以上説明した第2実施形態のプロジェクター502の変形例は、第2実施形態のプロジェクター502と同様の構成を備えるので、第2実施形態のプロジェクター502と同様の効果を奏する。第2実施形態のプロジェクター502の変形例では、第1光源20A及び第1集光器30Aを中心として第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20C,20D及び第3集光器30C,30Dが3回回転対称の位置に配置されている。第2実施形態のプロジェクター502では、第1光源20A及び第1集光器30Aを中心として第2光源20B及び第2集光器30Bと第3光源20C,20D及び第3集光器30C,30Dが4回回転対称の位置に配置されており、第2実施形態のプロジェクター502の変形例とは回転対称の回数が異なる。しかしながら、第2実施形態のプロジェクター502の変形例においても、第2集光器30B及び第3集光器30C,30Dで囲まれる光源装置54のXY平面内での中心部とその周囲の部分との照度の差が第1集光器30Aによって縮小される。したがって、第2実施形態のプロジェクター502の変形例によれば、光源装置54から射出される白色光WL及び光変調装置70の変調領域72に照射される白色光WLの照度ムラを低減することができる。
【0114】
第2実施形態のプロジェクター502の変形例では、例えば第1集光器30Aの長さT1及び端面30sのXY平面での面積が第2集光器30B及び第3集光器30C,30Dの各々の長さT2及び端面30sのXY平面での面積よりも小さい。本変形例を含めて、光源装置54から射出されて平行化レンズ40、拡散素子42、拡大レンズ45及びフレネルレンズ55を通った白色光WLの光強度分布及び照度分布の均一性が高まるように、複数の集光器30の数、相対配置、各々の集光器30の勾配角度θ及び長さTが設定される。
【0115】
例えば、光変調装置70の変調領域72のXY平面での大きさに合わせて、変調領域72に入射する白色光WLの光強度分布及び照度分布の均一性が高まるように、光源装置52又は光源装置54において、XY平面内で1つの光源20及び1つの集光器30を中心として3つ又は4つ以外の任意の数の光源20及び集光器30が回転対称な位置に配置されてもよく、非回転対称な位置に配置されてもよい。例えば、光変調装置70の変調領域72の変調面72aに平行なXY平面での集光器30の配置としては、互いに間隔をあけて隣り合うように配置されている2つの集光器30の各々の軸JX同士を結ぶ仮想線の中間位置を通って仮想線に直交し且つXY平面に平行な線上に別の集光器30の軸JXが配置されることが好ましい。
【0116】
また、光源装置52又は光源装置54において、XY平面内で相対的に中心に配置されている集光器30の端面30sが周囲に配置されている集光器30の端面30sよりも大きくなるように、勾配角度θ及び長さT1,T2が設定されてもよい。また、XY平面内で相対的に中心に配置されている集光器30の端面30sの大きさと周囲に配置されている集光器30の各々の端面30sの大きさが個別且つ好適に確保されるように、勾配角度θ及び長さT1,T2が設定されてもよい。
【0117】
さらに、光変調装置70の変調領域72のXY平面での大きさに合わせて、変調領域72に入射する白色光WLの光強度分布及び照度分布の均一性が高まるように、XY平面内で複数の光源20の中心同士、及び複数の集光器30の軸JX同士が互いに重ならない状態で、複数の光源20及び複数の光源20に対応する集光器30の各々のZ方向の位置が個別且つ好適に設定されてもよい。
【0118】
なお、第2実施形態のプロジェクター502についても、第1実施形態のプロジェクター501に関して説明した変形例を適用可能である。すなわち、第2実施形態のプロジェクター502の別の変形例として、集光器30は、中実部材に替えて中空部材であってもよい。また、第2実施形態のプロジェクター502のさらに別の変形例として、光源装置52の中心軸CXのZ方向の前方への延長線上にて反射ミラーによって光軸AX1が屈折していてもよく、光源装置52よりも後段の構成要素が屈折した光軸AX1に沿って配置されてもよい。
【0119】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0120】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)光を射出する光源と、前記光が入射する入射部、前記入射部から入射した前記光が射出される射出部、及び前記入射部と前記射出部との間に配置され、前記光を反射する反射部を有する集光器と、を備える光源装置と、前記光源装置から射出された前記光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置から射出された画像光を投射する投射光学装置と、を備え、前記光源は、第1光を射出する第1光源と、第2光を射出する第2光源と、を有し、前記集光器は、前記入射部の中心から前記射出部の中心に向かう方向に対して逆テーパー状に形成され、第1集光器と、第2集光器と、を有し、前記第1集光器は、前記第1光が入射する第1入射部と、前記第1光が射出される第1射出部と、前記第1入射部と前記第1射出部との間に配置され、前記第1光を反射する第1反射部と、を有し、前記第2集光器は、前記第2光が入射する第2入射部と、前記第2光が射出される第2射出部と、前記第2入射部と前記第2射出部との間に配置され、前記第2光を反射する第2反射部と、を有し、前記第1集光器と前記第2集光器とは、前記光源装置における前記第1光及び前記第2光の光軸に平行な中心軸に直交する面内で並んで配置されている、プロジェクター。
【0121】
付記1の構成により、第1光源から射出される第1光を集光する第1集光器と、第2光源から射出される第2光を集光する第2集光器が光源装置の中心軸に直交する面内で並んで配置されるため、集光器の入射部から射出部までの長さを短くすることができ、光源装置の大きさを抑え、プロジェクターにおける光路を短くすることができる。また、集光器は逆テーパー状に形成されているため、射出部から射出される光と光軸とのなす角度が小さく、光源装置よりも後段の光学的な負荷を小さくすることができる。
【0122】
(付記2)前記第1射出部と前記第2射出部とは、前記中心軸に直交する面内で互いに離間している、付記1のプロジェクター。
【0123】
付記2の構成により、第1射出部及び第2射出部において互いに隣り合う部分を離間させることで、各々の集光器から射出された光束の光強度分布のムラを低減することができる。
【0124】
(付記3)前記射出部の前記中心軸に直交する面内面積は、前記光変調装置の変調面の面積よりも大きい、付記2のプロジェクター。
【0125】
付記3の構成により、第1集光器と第2集光器との位置合わせのずれが生じても、光変調装置の有効面積、すなわち光変調装置の変調領域の面積に対して集光器の射出部の面積が大きいため、集光器と光変調装置との位置合わせを容易に行うことができる。
【0126】
(付記4)前記光源は、前記中心軸に直交する面内で前記第1光源及び前記第2光源と離間して配置され、第3光を射出する第3光源をさらに有し、前記集光器は、第3集光器をさらに有し、前記第3集光器は、前記第3光が入射する第3入射部と、前記第3光が射出される第3射出部と、前記第3入射部と前記第3射出部との間に配置され、前記第3光を反射する第3反射部と、を有し、前記第3集光器は、前記中心軸に直交する面内で前記第1集光器又は前記第2集光器に並んで配置されている、付記1から3の何れか1つのプロジェクター。
【0127】
付記4の構成により、第1集光器、第2集光器及び第3集光器の各々の大きさが略共通であれば、集光器が第1集光器及び第2集光器のみを有する構成に比べて光変調装置に照射される光の照射領域を広く確保することができる。
【0128】
(付記5)前記第2集光器及び前記第3集光器は、前記中心軸に直交する面内で前記第1集光器を中心として回転対称な位置に配置されている、付記4のプロジェクター。
【0129】
付記5の構成により、第2集光器及び第3集光器で囲まれる領域内の中心に第1集光器が配置されるため、中心における光強度及び照度のムラを低減することができる。また、光変調装置の変調領域に照射される光の光強度分布及び照度分布のムラを低減することができる。
【0130】
(付記6)前記光源装置と前記光変調装置との間の前記光を光路上に、前記光源装置から射出された前記光を平行化する平行化レンズと、前記平行化レンズから射出された前記光を拡大する拡大レンズが配置されている、付記4又は5のプロジェクター。
【0131】
付記6の構成により、ある面積の変調領域を有する光変調装置に光を照射するために、上述の平行化レンズ及び拡大レンズが配置されていない構成に比べて集光器及び光源装置の全長を短くすることができる。
【0132】
(付記7)前記平行化レンズと前記拡大レンズとの間の前記光を光路上に、前記平行化レンズから射出された前記光を拡散する拡散素子が配置されている、付記6のプロジェクター。
【0133】
付記7の構成により、光変調装置の変調領域に照射される光の光強度分布の均一性を高めることができる。
【0134】
(付記8)前記拡大レンズと前記光変調装置との間の前記光を光路上に、前記拡大レンズから射出された前記光を平行化するフレネルレンズが配置されている、付記6又は7に記載のプロジェクター。
【0135】
付記8の構成により、拡大レンズから射出される光束を平行化するフレネルレンズが配置されるため、光変調装置における光から画像光への変調の精度が安定し、且つ光源装置から光変調装置までの光路の全長を短くすることができる。
【符号の説明】
【0136】
20…光源、20A…第1光源、20B…第2光源、30…集光器、30A…第1集光器、30B…第2集光器、30C,30D,30E…第3集光器、31…入射部、32…射出部、34…反射部、40…平行化レンズ、42…拡散素子、45…拡大レンズ、50,52,54…光源装置、55…フレネルレンズ、70…光変調装置、100…投射光学装置、501,502…プロジェクター、WL…白色光(光,第1光,第2光)。