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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085494
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/10 20060101AFI20240620BHJP
   H03H 9/19 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
H03H9/10
H03H9/19 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200021
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】白木 学
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108FF09
5J108FF14
5J108GG03
(57)【要約】
【課題】延伸電極が小さくなると、導電性接着剤を介した接合では導通状態が不安定になりやすい。
【解決手段】圧電基板を収容するケースの内壁は、接続電極が位置する角部で交差する第1内壁と第2内壁とを含み、圧電基板は、ケースの底面に対向する第1面と、第1面の反対の面である第2面と、第1内壁に対向する第1側面と、第2内壁に対向する第2側面とを含み、圧電基板に形成された延伸電極は、第1側面に重なる第1側面電極と、第2側面に重なる第2側面電極とを含み、導電性接着剤が、ケースに形成された接続電極から圧電基板の第1側面電極及び第2側面電極に達しており、さらに第1側面電極と第1内壁との間を接合し、且つ第2側面電極と第2内壁との間を接合する、振動デバイス。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板に形成された励振電極と、
前記圧電基板に形成され、前記励振電極から延伸する延伸電極と、
前記圧電基板を収容するケースと、
前記ケースの内部に形成された接続電極と、
前記延伸電極と前記接続電極とを接合する導電性接着剤と、を備え、
前記ケースは、底面と、前記底面から突出し、且つ前記底面を枠状に囲む内壁と、を有し、
前記底面を平面視したとき、前記内壁によって囲まれる領域が四辺形であり、前記四辺形の角部に前記接続電極が位置し、
前記内壁は、前記角部で互いにつながる第1内壁と第2内壁とを含み、
前記圧電基板は、前記底面に対向する第1面と、前記第1面の反対の面である第2面と、前記第1面及び前記第2面をつなぐ側面と、を有し、
前記側面は、前記第1内壁に対向する第1側面と、前記第2内壁に対向する第2側面と、を含み、
前記延伸電極は、前記第1面で前記接続電極に対向し、且つ前記第1面から前記第1側面と前記第2側面とに延伸し、
前記延伸電極のうち、前記第1側面に重なる部分を第1側面電極とし、前記第2側面に重なる部分を第2側面電極とし、
前記導電性接着剤が、前記接続電極から前記第1側面電極及び前記第2側面電極に達しており、さらに前記第1側面電極と前記第1内壁との間を接合し、且つ前記第2側面電極と前記第2内壁との間を接合する、
振動デバイス。
【請求項2】
前記第1側面及び前記第2側面は、それぞれ、前記第1面に対して傾斜する第1傾斜面及び第2傾斜面を含み、
前記第1傾斜面は、前記第1内壁に向かって前記第1面からの垂直距離が短くなる方向に傾斜し、
前記第2傾斜面は、前記第2内壁に向かって前記第1面からの垂直距離が短くなる方向に傾斜し、
前記導電性接着剤が、前記第1傾斜面に位置する前記第1側面電極と、前記第2傾斜面に位置する前記第2側面電極とに達する、
請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記延伸電極は、前記第1側面電極及び前記第2側面電極のそれぞれから前記第2面に延伸し、
前記導電性接着剤が、前記第1側面電極及び前記第2側面電極のそれぞれから、前記第2面に位置する前記延伸電極に達する、
請求項1又は2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記内壁は、前記底面から突出する第1部分と、前記第1部分の前記底面側とは反対側に位置する第2部分とを含み、
前記ケースを前記底面に直交する面で切断した断面を見たとき、前記底面に平行な距離において、前記第2部分と前記圧電基板との間の距離が、前記第1部分と前記圧電基板との間の距離よりも短く、
前記第2部分は、前記接続電極の前記底面側とは反対側に位置する、
請求項1に記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パッケージ内に振動素子が実装された振動デバイスが知られている。特許文献1は、パッケージのキャビティー内に振動素子を導電性接着剤によって実装する技術を開示する。振動素子は、水晶基板に形成された励振電極と、励振電極から延伸するリード電極とを有する。振動素子のリード電極とパッケージ底面のパッドとが導電性接着剤によって互いに接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-244090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動デバイスの小型化の要望によって、振動素子の小型化、ひいてはリード電極の小型化も要求される。リード電極が小さくなると、導電性接着剤を介した接合では導通状態が不安定になりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
振動デバイスは、圧電基板と、前記圧電基板に形成された励振電極と、前記圧電基板に形成され、前記励振電極から延伸する延伸電極と、前記圧電基板を収容するケースと、前記ケースの内部に形成された接続電極と、前記延伸電極と前記接続電極とを接合する導電性接着剤と、を備え、前記ケースは、底面と、前記底面から突出し、且つ前記底面を枠状に囲む内壁と、を有し、前記底面を平面視したとき、前記内壁によって囲まれる領域が四辺形であり、前記四辺形の角部に前記接続電極が位置し、前記内壁は、前記角部で互いにつながる第1内壁と第2内壁とを含み、前記圧電基板は、前記底面に対向する第1面と、前記第1面の反対の面である第2面と、前記第1面及び前記第2面をつなぐ側面と、を有し、前記側面は、前記第1内壁に対向する第1側面と、前記第2内壁に対向する第2側面と、を含み、前記延伸電極は、前記第1面で前記接続電極に対向し、且つ前記第1面から前記第1側面と前記第2側面とに延伸し、前記延伸電極のうち、前記第1側面に重なる部分を第1側面電極とし、前記第2側面に重なる部分を第2側面電極とし、前記導電性接着剤が、前記接続電極から前記第1側面電極及び前記第2側面電極に達しており、さらに前記第1側面電極と前記第1内壁との間を接合し、且つ前記第2側面電極と前記第2内壁との間を接合する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】振動デバイスを示す斜視図。
図2図1中のA-A線における断面図。
図3】ケースを示す平面図。
図4】ケースとケースに収容された振動素子と導電性接着剤とを示す平面図。
図5】振動素子を示す底面図。
図6図4中のB-B線における断面図。
図7図6中のC-C線における断面図。
図8図4中のD-D線における断面図。
図9】実施形態2の振動デバイスを図1中のA-A線で切断したときの断面図。
図10図9中のE-E線における断面図。
図11】実施形態3の振動デバイスを図1中のA-A線で切断したときの断面図。
図12】実施形態3の振動デバイスを図4中のD-D線で切断したときの断面図。
図13図11中のF-F線における断面図。
図14】実施形態4の振動デバイスを図1中のA-A線で切断したときの断面図。
図15図14中のG-G線における断面図。
図16】実施形態5の振動デバイスを図1中のA-A線で切断したときの断面図。
図17図16中のH-H線における断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態の振動デバイス1は、図1に示すように、ケース2と、リッド3とを有する。リッド3は、ケース2に重ねられている。図1には、X軸、Y軸及びZ軸が付されている。X軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する座標軸である。図1以降に示す図についても必要に応じてX軸、Y軸及びZ軸が付される。この場合、各図におけるX軸、Y軸及びZ軸は、図1におけるX軸、Y軸及びZ軸に対応する。図1は、X軸とY軸とによって規定されるXY平面に振動デバイス1を載置した状態を示す。さらに、図1では、ケース2の辺2Aの延在方向がX軸に沿っている。
【0008】
以下において、振動デバイス1の構成部品やユニットを示す図や説明にX軸、Y軸及びZ軸が表記されている場合には、その構成部品やユニットを振動デバイス1に組み込んだ状態でのX軸、Y軸及びZ軸を意味する。X軸、Y軸及びZ軸には、それぞれ、矢印が付される。X軸、Y軸及びZ軸のそれぞれにおいて、矢印の向きが+(正)の方向を示し、矢印の向きとは反対の向きが-(負)の方向を示す。Z軸は、XY平面に直交する軸である。振動デバイス1を+Y方向に見たときの図が正面図である。
【0009】
図1中のA-A線における断面図である図2に示すように、ケース2に凹状のキャビティー4が形成されている。ケース2は、底面5と、底面5から突出する内壁6とを有する。キャビティー4は、リッド3によって塞がれる。キャビティー4は、底面5と、内壁6と、リッド3とによって区画される。
【0010】
振動デバイス1は、振動素子11と、導電性接着剤12とを有する。振動素子11は、圧電基板13と、第1励振電極15と、第2励振電極16とを含む。振動素子11及び導電性接着剤12は、キャビティー4に収容される。圧電基板13は、第1面17と、第2面18と、側面19とを有する。第1面17は、キャビティー4の底面5に対向する。第2面18は、第1面17の反対の面であり、リッド3に対向する。側面19は、第1面17と第2面18とをつなぐ面である。
【0011】
圧電基板13は、水晶基板の他、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの基板も適用することができる。本実施形態では、圧電基板13は、ATカットされた水晶基板である。第1励振電極15は、圧電基板13の第1面17に形成されている。第2励振電極16は、圧電基板13の第2面18に形成されている。なお、図1に付記されるX軸、Y軸及びZ軸は、水晶の結晶軸とは関連がない。
【0012】
ケース2は、図3に示すように、内壁6によって囲まれる底面5の領域が四辺形である。四辺形を構成する4つの辺は、第1辺21、第2辺22、第3辺23及び第4辺24を含む。四辺形が第1辺21、第2辺22、第3辺23及び第4辺24の4つの辺を含んでいれば、四辺形が4つの辺の他に曲線や直線を含んでいてもよい。第1辺21と第4辺24とが互いに対辺である。第2辺22と第3辺23とが互いに対辺である。内壁6のうち第1辺21に対応する部分は、第1内壁26である。内壁6のうち第2辺22に対応する部分は、第2内壁27である。内壁6のうち第3辺23に対応する部分は、第3内壁28である。内壁6のうち第4辺24に対応する部分は、第4内壁29である。ケース2は、セラミック基板で構成される。
【0013】
ケース2の底面5に、第1パッド電極31と第2パッド電極32とが形成されている。第1パッド電極31と第2パッド電極32とは、互いに隙間を空けた状態で第1辺21に沿って並ぶ。第1パッド電極31は、四辺形の角部33に位置する。角部33は、第1内壁26と第2内壁27とがつながっている部分である。角部33で第1内壁26と第2内壁27とが互いにつながっている。第1内壁26と第2内壁27とがつながっているということは、第1内壁26と第2内壁27とが直接接している場合と、第1内壁26と第2内壁27とが他の曲面や平面などを介してつながっている場合との両方を含む。第1パッド電極31は、接続電極の一例である。
【0014】
第2パッド電極32は、四辺形の角部34に位置する。角部34は、第1内壁26と第3内壁28とがつながっている部分である。角部34で第1内壁26と第3内壁28とが互いにつながっている。第1内壁26と第3内壁28とがつながっているということは、第1内壁26と第3内壁28とが直接接している場合と、第1内壁26と第3内壁28とが他の曲面や平面などを介してつながっている場合との両方を含む。
【0015】
振動素子11の圧電基板13は、図4に示すように、第1側面36と、第2側面37と、第3側面38と、第4側面39とを有する。第1側面36は、ケース2の第1内壁26に対向する。第2側面37は、ケース2の第2内壁27に対向する。第3側面38は、ケース2の第3内壁28に対向する。第4側面39は、ケース2の第4内壁29に対向する。第1側面36と、第2側面37と、第3側面38と、第4側面39とは、圧電基板13の側面19を構成する。第1側面36と、第2側面37と、第3側面38と、第4側面39とは、相互に異なる部分である。第1側面36と第4側面39とは、互いに反対方向を向いている。第2側面37と第3側面38とは、互いに反対方向を向いている。
【0016】
図5は、振動素子11を示す底面図である。振動素子11の底面図は、振動素子11を+Z方向に見た図である。+Z方向は、圧電基板13の第1面17から第2面18に向かう方向である。つまり、振動素子11の底面図は、圧電基板13の第1面17に対面する向きに振動素子11を見た図である。図5に示すように、第1励振電極15は、第1面17の外縁よりも内側の領域内に形成されている。振動素子11では、第1励振電極15から第1リード電極41が延伸している。第1リード電極41は、圧電基板13に形成されている。第1励振電極15と第1リード電極41とは、一連している。第1リード電極41は、延伸電極の一例である。
【0017】
第1リード電極41は、圧電基板13の第1側面36の一部と、圧電基板13の第2側面37の一部とに達する。第1リード電極41は、第1励振電極15から第1側面36と第2側面37とに延伸する。第1側面36の一部と第2側面37の一部とに延伸する第1リード電極41は、図4に示すように、さらに第2面18に延伸する。第1リード電極41は、圧電基板13の第1側面36の一部と、圧電基板13の第2側面37の一部とを覆う。第1面17に位置する第1励振電極15から延伸する第1リード電極41は、第1側面36及び第2側面37を経て第2面18に達する。
【0018】
図4に示すように、第2励振電極16は、第2面18の外縁よりも内側の領域内に形成されている。振動素子11では、第2励振電極16から第2リード電極42が延伸している。第2リード電極42は、圧電基板13に形成されている。第2励振電極16と第2リード電極42とは、一連している。第2リード電極42は、圧電基板13の第1側面36の一部と、圧電基板13の第3側面38の一部とに達する。第2リード電極42は、第2励振電極16から第1側面36と第3側面38とに延伸する。第1側面36の一部と第3側面38の一部とに延伸する第2リード電極42は、図5に示すように、さらに第1面17に延伸する。第2リード電極42は、圧電基板13の第1側面36の一部と、圧電基板13の第3側面38の一部とを覆う。第2面18に位置する第2励振電極16から延伸する第2リード電極42は、第1側面36及び第3側面38を経て第1面17に達する。
【0019】
本実施形態では、図5の底面図で見る第1励振電極15及び第1リード電極41のパターンと、図4の平面図で見る第2励振電極16及び第2リード電極42のパターンとが互いに同じである。つまり、第1面17及び第2面18ともに、同じパターンの電極層が形成されている。このため、振動素子11の表裏を区別することなく振動素子11をケース2に実装することができる。なお、第1励振電極15と第2励振電極16とは互いに重なっている部分を指す。
【0020】
図4に示すように、圧電基板13の第1側面36の一部と第2側面37の一部とが、平面視で、第1パッド電極31の領域に位置する。圧電基板13の第1側面36の一部と第3側面38の一部とが、平面視で、第2パッド電極32の領域に位置する。第1リード電極41は、平面視で、第1パッド電極31の領域に重なる。第1リード電極41は、平面視で、第1パッド電極31に重なる領域内で圧電基板13の第2面18から第1側面36と第2側面37とに達する。第2リード電極42は、平面視で、第2パッド電極32の領域に重なる。第2リード電極42は、平面視で、第2パッド電極32に重なる領域内で圧電基板13の第2面18から第1側面36と第3側面38とに達する。
【0021】
第1リード電極41は、第2面18から第1側面36と第2側面37とを通ってから、第1パッド電極31に重なる領域内で第1面17に延伸する。よって、図4中のB-B線における断面図である図6に示すように、第1リード電極41は、第1面17で第1パッド電極31に対向する。第1リード電極41のうち、第1側面36に重なる部分を第1側部電極43とする。第1側部電極43は、第1側面電極の一例である。導電性接着剤12は、第1パッド電極31と第1リード電極41とを接合する。導電性接着剤12は、第1パッド電極31から第1側部電極43に達する。さらに、導電性接着剤12は、第1側部電極43と第1内壁26との間を接合する。なお、図1中のA-A線の位置は、図4中のB-B線の位置と同一である。つまり、図6は、図2に示すリッド3が省略された図に相当する。
【0022】
図6中のC-C線における断面図である図7に示すように、第1リード電極41は、第2面18から第2側面37を通ってから、第1パッド電極31に重なる領域内で第1面17に延伸する。第1リード電極41のうち、第2側面37に重なる部分を第2側部電極44とする。第2側部電極44は、第2側面電極の一例である。導電性接着剤12は、第1パッド電極31から第2側部電極44に達する。さらに、導電性接着剤12は、第2側部電極44と第2内壁27との間を接合する。なお、ケース2への振動素子11の実装方法は、種々の方法を適用することができる。例えば、ケース2の第1パッド電極31及び第2パッド電極32に導電性接着剤12を塗布した状態で、ケース2に振動素子11を配置する方法を適用することができる。
【0023】
図6及び図7では、第1側面36及び第2側面37が平坦な面として図示されているが、第1側面36及び第2側面37は、平坦面に限定されない。第1側面36及び第2側面37は、曲面であってもよく、複数の平面を含んでいてもよい。振動デバイス1では、第1リード電極41が第1パッド電極31に対向する第1面17から第1側面36と第2側面37とに延伸している。第1リード電極41と第1パッド電極31とを接合する導電性接着剤12が、第1パッド電極31から第1側面36の第1側部電極43及び第2側面37の第2側部電極44に達する。これにより、導電性接着剤12と第1リード電極41との接触面積が増大するので、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通を高めることができる。よって、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を安定させやすい。さらに、導電性接着剤12は、第1側部電極43と第1内壁26との間を接合し、且つ第2側部電極44と第2内壁27との間を接合する。このため、ケース2と第1リード電極41との接合強度を高めることができる。
【0024】
前述したように、第2リード電極42は、第2面18から第1側面36と第3側面38とを通ってから、第2パッド電極32に重なる領域内で第1面17に延伸する。よって、図4中のD-D線における断面図である図8に示すように、第2リード電極42は、第1面17で第2パッド電極32に対向する。第2リード電極42のうち、第1側面36に重なる部分を第3側部電極45とする。導電性接着剤12は、第2パッド電極32と第2リード電極42とを接合する。導電性接着剤12は、第2パッド電極32から第3側部電極45に達する。さらに、導電性接着剤12は、第3側部電極45と第1内壁26との間を接合する。
【0025】
図7に示すように、第2リード電極42は、第2面18から第3側面38を通ってから、第2パッド電極32に重なる領域内で第1面17に延伸する。第2リード電極42のうち、第3側面38に重なる部分を第4側部電極46とする。導電性接着剤12は、第2パッド電極32から第4側部電極46に達する。さらに、導電性接着剤12は、第4側部電極46と第3内壁28との間を接合する。図7では、第3側面38が平坦な面として図示されているが、第3側面38は、平坦面に限定されない。第3側面38は、曲面であってもよく、複数の平面を含んでいてもよい。
【0026】
振動デバイス1では、第2リード電極42が第2パッド電極32に対向する第1面17から第1側面36と第3側面38とに延伸している。第2リード電極42と第2パッド電極32とを接合する導電性接着剤12が、第2パッド電極32から第1側面36の第3側部電極45及び第3側面38の第4側部電極46に達する。これにより、導電性接着剤12と第2リード電極42との接触面積が増大するので、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通を高めることができる。よって、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態を安定させやすい。さらに、導電性接着剤12は、第3側部電極45と第1内壁26との間を接合し、且つ第4側部電極46と第3内壁28との間を接合する。このため、ケース2と第2リード電極42との接合強度を高めることができる。
【0027】
振動デバイス1では、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を安定させやすく、且つ第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態も安定させやすい。この結果、振動デバイス1では、振動素子11と第1パッド電極31及び第2パッド電極32との電気的な接続に関して信頼性を高めることができる。さらに、導電性接着剤12は、第1側部電極43と第1内壁26との間を接合し、且つ第2側部電極44と第2内壁27との間を接合する。また、振動デバイス1では、ケース2と第1リード電極41との接合強度を高めることができ、且つケース2と第2リード電極42との接合強度を高めることができる。このため、ケース2と振動素子11との接合強度が高まるので、振動デバイス1の信頼性を高めることができる。
【0028】
上述した実施形態を実施形態1として、以下に、実施形態2について説明する。
上記の実施形態1に対して、導電性接着剤12を第2面18に位置する第1リード電極41に延伸させた構成も採用することができる。導電性接着剤12を第2面18に位置する第1リード電極41に延伸させた構成を実施形態2として説明する。図9は、実施形態2の振動デバイス1を図1中のA-A線で切断したときの断面図である。実施形態2では、図9に示すように、導電性接着剤12が第1側部電極43から、第2面18に位置する第1リード電極41に延伸している。さらに、実施形態2では、図9中のE-E線における断面図である図10に示すように、導電性接着剤12が第2側部電極44から、第2面18に位置する第1リード電極41に延伸している。
【0029】
実施形態2によれば、第1パッド電極31と第1リード電極41とを接合する導電性接着剤12が、第1側部電極43及び第2側部電極44から第2面18に位置する第1リード電極41に達する。これにより、実施形態1に比較して、導電性接着剤12と第1リード電極41との接触面積が増大するので、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通を一層高めることができる。よって、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすい。また、導電性接着剤12が、第1面17から第1側部電極43及び第2側部電極44を通って第2面18に回り込む。このため、実施形態1に比較して、第1パッド電極31と第1リード電極41との接合強度を一層高めやすい。
【0030】
さらに、実施形態2では、導電性接着剤12が第3側部電極45から、第2面18に位置する第2リード電極42に延伸している。また、実施形態2では、図10に示すように、導電性接着剤12が第4側部電極46から、第2面18に位置する第2リード電極42に延伸している。このため、第2パッド電極32と第2リード電極42とを接合する導電性接着剤12が、第3側部電極45及び第4側部電極46から第2面18に位置する第2リード電極42に達する。これにより、実施形態1に比較して、導電性接着剤12と第2リード電極42との接触面積が増大するので、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通を一層高めることができる。よって、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすい。また、導電性接着剤12が、第1面17から第3側部電極45及び第4側部電極46を通って第2面18に回り込む。このため、実施形態1に比較して、第2パッド電極32と第2リード電極42との接合強度を一層高めやすい。
【0031】
実施形態2の振動デバイス1では、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすく、且つ第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態も一層安定させやすい。この結果、実施形態2では、振動素子11と第1パッド電極31及び第2パッド電極32との電気的な接続に関して信頼性を一層高めることができる。さらに、導電性接着剤12が第1面17から側面19を通って第2面18に回り込むので、ケース2と振動素子11との接合強度が一層高まる。この結果、振動デバイス1の信頼性を一層高めることができる。
【0032】
実施形態3について説明する。
実施形態3の振動デバイス1は、圧電基板13の側面19の形状が異なることを除いて、実施形態1の振動デバイス1と同一の構成を有する。以下の説明では、実施形態3の構成のうち実施形態1と同じ構成については、実施形態1と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。
【0033】
図11は、実施形態3の振動デバイス1を図1中のA-A線で切断したときの断面図である。実施形態3では、圧電基板13の側面19が上側斜面48と下側斜面49とを含む。上側斜面48及び下側斜面49は、それぞれ、第1面17に対して傾斜する。上側斜面48及び下側斜面49は、例えば、水晶基板にエッチング加工を施すことによって形成される。本実施形態では、水晶基板にエッチング加工を施すことによって圧電基板13の外形を切り出すときに上側斜面48及び下側斜面49を形成することができる。上側斜面48のうち第1側面36に位置する部分を第1上側斜面51とする。第1上側斜面51は、第1傾斜面の一例である。第1上側斜面51は、第1内壁26に向かって第1面17からの垂直距離が短くなる方向に傾斜する。つまり、第1上側斜面51は、-X方向に向かって-Z方向に向かう方向に傾斜する。第1側面36において、下側斜面49は、-X方向に向かって+Z方向に向かう方向に傾斜する。導電性接着剤12は、第1リード電極41の第1側部電極43のうち第1上側斜面51に位置する部分に達する。さらに導電性接着剤12は、第1側部電極43と第1内壁26とを接合している。
【0034】
図12は、実施形態3の振動デバイス1を図4中のD-D線で切断したときの断面図である。導電性接着剤12は、第2リード電極42の第3側部電極45のうち第1上側斜面51に位置する部分に達する。さらに導電性接着剤12は、第3側部電極45と第1内壁26とを接合している。
【0035】
図11中のF-F線における断面図である図13に示すように、上側斜面48のうち第2側面37に位置する部分を第2上側斜面52とする。第2上側斜面52は、第2傾斜面の一例である。第2上側斜面52は、第2内壁27に向かって第1面17からの垂直距離が短くなる方向に傾斜する。つまり、第2上側斜面52は、+Y方向に向かって-Z方向に向かう方向に傾斜する。第2側面37において、下側斜面49は、+Y方向に向かって+Z方向に向かう方向に傾斜する。導電性接着剤12は、第1リード電極41の第2側部電極44のうち第2上側斜面52に位置する部分に達する。さらに導電性接着剤12は、第2側部電極44と第2内壁27とを接合している。
【0036】
実施形態3では、導電性接着剤12が第1面17から第1上側斜面51及び第2上側斜面52に回り込んだ形状なので、圧電基板13とケース2との接合強度を実施形態1よりさらに高めやすい。さらに、実施形態3では、上側斜面48と下側斜面49とによって、第1側部電極43の面積と第2側部電極44の面積とを実施形態1よりも大きくすることができる。このため、実施形態1に比較して、導電性接着剤12と第1リード電極41との接触面積が増大するので、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通を高めることができる。よって、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすい。
【0037】
上側斜面48のうち第3側面38に位置する部分を第3上側斜面53とする。第3上側斜面53は、第3内壁28に向かって第1面17からの垂直距離が短くなる方向に傾斜する。つまり、第3上側斜面53は、-Y方向に向かって-Z方向に向かう方向に傾斜する。第3側面38において、下側斜面49は、-Y方向に向かって+Z方向に向かう方向に傾斜する。導電性接着剤12は、第2リード電極42の第4側部電極46のうち第3上側斜面53に位置する部分に達する。さらに導電性接着剤12は、第4側部電極46と第3内壁28とを接合している。
【0038】
実施形態3では、導電性接着剤12が第1面17から第1上側斜面51及び第3上側斜面53に回り込んだ形状なので、圧電基板13とケース2との接合強度を実施形態1よりさらに高めやすい。さらに、実施形態3では、上側斜面48と下側斜面49とによって、第3側部電極45の面積と第4側部電極46の面積とを実施形態1よりも大きくすることができる。このため、実施形態1に比較して、導電性接着剤12と第2リード電極42との接触面積が増大するので、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通を高めることができる。よって、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすい。
【0039】
実施形態3では、導電性接着剤12が第1面17から第1上側斜面51及び第2上側斜面52に回り込んだ形状であり、且つ、導電性接着剤12が第1面17から第1上側斜面51及び第3上側斜面53に回り込んだ形状である。よって、実施形態3では、圧電基板13とケース2との接合強度を実施形態1よりさらに高めやすい。また、実施形態3では、上側斜面48と下側斜面49とによって、第1側部電極43の面積と第2側部電極44の面積とを実施形態1よりも大きくすることができる。且つ、実施形態3では、上側斜面48と下側斜面49とによって、第3側部電極45の面積と第4側部電極46の面積とを実施形態1よりも大きくすることができる。このため、実施形態1よりもさらに、導電性接着剤12と第1リード電極41との接触面積が増大し、且つ、導電性接着剤12と第2リード電極42との接触面積が増大する。よって、実施形態3では、実施形態1に比較して、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させることができる。且つ、実施形態3では、実施形態1に比較して、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させることができる。この結果、実施形態3では、振動素子11と第1パッド電極31及び第2パッド電極32との電気的な接続に関して信頼性を一層高めることができる。
【0040】
実施形態4について説明する。
上記の実施形態3に対して、導電性接着剤12を第2面18に位置する第1リード電極41に延伸させた構成も採用することができる。導電性接着剤12を第2面18に位置する第1リード電極41に延伸させた構成を実施形態4として説明する。図14は、実施形態4の振動デバイス1を図1中のA-A線で切断したときの断面図である。実施形態4では、図14に示すように、導電性接着剤12が第1側部電極43から、第2面18に位置する第1リード電極41に延伸している。さらに、実施形態4では、図14中のG-G線における断面図である図15に示すように、導電性接着剤12が第2側部電極44から、第2面18に位置する第1リード電極41に延伸している。
【0041】
実施形態4によれば、第1パッド電極31と第1リード電極41とを接合する導電性接着剤12が、第1側部電極43及び第2側部電極44から第2面18に位置する第1リード電極41に達する。これにより、実施形態3に比較して、導電性接着剤12と第1リード電極41との接触面積が増大するので、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通を一層高めることができる。よって、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすい。また、導電性接着剤12が、第1面17から第1側部電極43及び第2側部電極44を通って第2面18に回り込む。このため、実施形態3に比較して、第1パッド電極31と第1リード電極41との接合強度を一層高めやすい。
【0042】
さらに、実施形態4では、導電性接着剤12が第3側部電極45から、第2面18に位置する第2リード電極42に延伸している。また、実施形態4では、図15に示すように、導電性接着剤12が第4側部電極46から、第2面18に位置する第2リード電極42に延伸している。このため、第2パッド電極32と第2リード電極42とを接合する導電性接着剤12が、第3側部電極45及び第4側部電極46から第2面18に位置する第2リード電極42に達する。これにより、実施形態3に比較して、導電性接着剤12と第2リード電極42との接触面積が増大するので、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通を一層高めることができる。よって、第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすい。また、導電性接着剤12が、第1面17から第3側部電極45及び第4側部電極46を通って第2面18に回り込む。このため、実施形態3に比較して、第2パッド電極32と第2リード電極42との接合強度を一層高めやすい。
【0043】
実施形態4の振動デバイス1では、実施形態3に比較して、第1リード電極41と導電性接着剤12との導通状態を一層安定させやすく、且つ第2リード電極42と導電性接着剤12との導通状態も一層安定させやすい。この結果、実施形態4では、振動素子11と第1パッド電極31及び第2パッド電極32との電気的な接続に関して信頼性を一層高めることができる。さらに、導電性接着剤12が第1面17から側面19を通って第2面18に回り込むので、実施形態3に比較して、ケース2と振動素子11との接合強度が一層高まる。この結果、振動デバイス1の信頼性を一層高めることができる。
【0044】
実施形態5について説明する。
図16は、実施形態5の振動デバイス1を図1中のA-A線で切断したときの断面図である。実施形態5では、図16に示すように、ケース2の内壁6が第1部分55と第2部分56とを含む。実施形態5は、ケース2の内壁6が第1部分55と第2部分56とを含むことを除いて、実施形態1~実施形態4のそれぞれと同様の構成を有する。従って、実施形態5の構成のうち実施形態1~実施形態4のそれぞれと同じ構成については、実施形態1~実施形態4のそれぞれと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
第1部分55は、底面5から突出する。第2部分56は、第1部分55の底面5側とは反対側に位置する。第2部分56は、第1部分55の+Z方向に位置する。ケース2を底面5に直交する面で切断した断面を見たとき、底面5に平行な距離において、第2部分56と圧電基板13との間の距離L1が、第1部分55と圧電基板13との間の距離L2よりも短い。つまり、内壁6の第2部分56は、第1部分55よりも内側に張り出している。このため、第1部分55と第2部分56との間に段差が発生する。第2部分56は、ケース2を平面視したときに、環状に形成されている。平面視で、第2部分56は、振動素子11を環状に囲む。ケース2のうち第1部分55よりも内側に張り出す部位は張り出し部とも呼ばれる。張り出し部の内壁6が第2部分56である。
【0046】
図16中のH-H線における断面図である図17に示すように、第2部分56は、第1パッド電極31及び第2パッド電極32の底面5側とは反対側に位置する。換言すれば、底面5を基準としたときの第1パッド電極31及び第2パッド電極32の突出量は、底面5を基準としたときの第1部分55の突出量よりも小さい。よって、第1パッド電極31と第2部分56との間に隙間が確保される。同様に、第2パッド電極32と第2部分56との間に隙間が確保される。上記の構成により、実施形態5では、第1部分55と第2部分56との間の段差によって、導電性接着剤12が第1部分55から第2部分56に広がることを抑制しやすい。
【0047】
例えば、リッド3が金属で構成される場合、導電性接着剤12が内壁6を伝ってリッド3に接触すると、振動素子11とリッド3とが電気的に短絡してしまう。実施形態5によれば、導電性接着剤12が内壁6を伝ってリッド3に達することを防止しやすい。よって、振動デバイス1の信頼性を向上させやすい。
【0048】
なお、実施形態1~実施形態5のそれぞれにおいて、第2内壁27の呼称と第3内壁28の呼称とを入れ替えてもよい。それに応じて、圧電基板13の第2側面37の呼称と第3側面38の呼称とが互いに入れ替わる。且つ、第1側部電極43の呼称と第3側部電極45の呼称とが互いに入れ替わる。さらに、第2側部電極44の呼称と第4側部電極46の呼称とが互いに入れ替わる。この場合、第2リード電極42が延伸電極に対応し、第2パッド電極32が接続電極に対応する。
【符号の説明】
【0049】
1…振動デバイス、2…ケース、3…リッド、4…キャビティー、5…底面、6…内壁、11…振動素子、12…導電性接着剤、13…圧電基板、15…第1励振電極、16…第2励振電極、17…第1面、18…第2面、19…側面、26…第1内壁、27…第2内壁、28…第3内壁、29…第4内壁、31…第1パッド電極、32…第2パッド電極、33…角部、34…角部、36…第1側面、37…第2側面、38…第3側面、39…第4側面、41…第1リード電極、42…第2リード電極、43…第1側部電極、44…第2側部電極、45…第3側部電極、46…第4側部電極、48…上側斜面、49…下側斜面、51…第1上側斜面、52…第2上側斜面、53…第3上側斜面、55…第1部分、56…第2部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17