IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特開-浮遊物観測装置 図1
  • 特開-浮遊物観測装置 図2
  • 特開-浮遊物観測装置 図3
  • 特開-浮遊物観測装置 図4
  • 特開-浮遊物観測装置 図5
  • 特開-浮遊物観測装置 図6
  • 特開-浮遊物観測装置 図7
  • 特開-浮遊物観測装置 図8
  • 特開-浮遊物観測装置 図9
  • 特開-浮遊物観測装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085495
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】浮遊物観測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/0227 20240101AFI20240620BHJP
   G01N 21/51 20060101ALI20240620BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240620BHJP
【FI】
G01N15/02 B
G01N21/51
C02F1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200022
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ティタントゥイ
(72)【発明者】
【氏名】松永 晃
(72)【発明者】
【氏名】権 大維
(72)【発明者】
【氏名】上中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】布 光昭
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059EE02
2G059FF01
2G059GG01
2G059KK04
(57)【要約】
【課題】外光の影響を排除して観測対象液中の浮遊物を観測することができる浮遊物観測装置を提供する。
【解決手段】観測光15を液面14の上方から液面14下の浮遊物11に照射する光源16と、観測光15で照射された浮遊物11を液面14下の撮像範囲17において液面14の上方から撮像する撮像装置18と、撮像範囲17の周りを取り囲んで液面14の波を遮る波除け部材28とを有し、撮像範囲17は波除け部材28の内側に形成され、波除け部材28は、観測対象液10の流れ方向における上流側に開口する流入口と、観測対象液10の流れ方向における下流側に開口する流出口とを有し、流入口は液面14下に没しており、流出口は液面14が通る高さに形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測対象液中の浮遊物を観測する浮遊物観測装置であって、
観測光を液面の上方から液面下の浮遊物に照射する光源と、観測光で照射された浮遊物を液面下の撮像範囲において液面の上方から撮像する撮像装置と、撮像範囲の周りを取り囲んで液面の波を遮る波除け部材とを有し、
撮像範囲は波除け部材の内側に形成され、
波除け部材は、観測対象液の流れ方向における上流側に開口する流入口と、観測対象液の流れ方向における下流側に開口する流出口とを有し、
流入口は液面下に没しており、
流出口は液面が通る高さに形成されていることを特徴とする浮遊物観測装置。
【請求項2】
波除け部材は下端に向かって先細りになるテーパー部を有し、
テーパー部の下端に、液面下において開口する下部排出口が形成されていることを特徴とする請求項1記載の浮遊物観測装置。
【請求項3】
下部排出口は撮像装置の視野の外側に位置していることを特徴とする請求項2記載の浮遊物観測装置。
【請求項4】
波除け部材の外側から下部排出口を通って波除け部材の内側に入射する光を抑制する遮光部材が、波除け部材の下端部に設けられていることを特徴とする請求項2記載の浮遊物観測装置。
【請求項5】
流入口の上部に、観測対象液の流れ方向において対向する波減衰部材が設けられ、
波減衰部材は、観測対象液の流れ方向における下流側の端部が上流側の端部よりも斜め上方に向くように、傾斜しており、
波減衰部材の下部が液面下に没していることを特徴とする請求項1記載の浮遊物観測装置。
【請求項6】
光源と撮像装置とはケース部材内に収容され、
波除け部材はケース部材の下部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の浮遊物観測装置。
【請求項7】
観測光は横方向へ拡がるシートレーザ光であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の浮遊物観測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観測対象液中の浮遊物を観測する浮遊物観測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浮遊物観測装置としては、例えば、図10に示すように、原水105中のフロック106を観測する浮遊物観測装置101がある。浮遊物観測装置101は、シートレーザ光102を水面103に照射するレーザ光源104と、水面103から入射したシートレーザ光102で照射された原水105中のフロック106を撮像するカメラ107とが水面103の上方に設けられている。
【0003】
レーザ光源104とカメラ107とはケース108内に収容されている。ケース108の下端部には、水面103下において開口する下端開口部109が形成されている。
【0004】
シートレーザ光102で照射されるフロック106をカメラ107で撮像する撮像範囲110が下端開口部109よりも下方の領域に設定されている。シートレーザ光102はケース108内から下端開口部109を通って撮像範囲110に達する。そして、シートレーザ光102が原水105中のフロック106に当たって反射したレーザ反射光111は、撮像範囲110から下端開口部109を通ってケース108内に進入し、カメラ107に届く。
【0005】
これによると、撮像範囲110が水面103下において下端開口部109よりも下方の領域に設定されているため、フロック106が下端開口部109からケース108の内部に流入し難い場合であっても、下端開口部109よりも下方の領域におけるフロック106をカメラ107で確実に撮像することができる。
【0006】
また、浮遊物観測装置101を屋外に設置した場合、太陽光等の外光112(シートレーザ光102以外の光)はケース108で遮られるため、外光112がカメラ107に入射するのを防止することができる。
【0007】
上記のような浮遊物観測装置101は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-94367
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、原水105の透明度が高い場合(例えば浄水等の場合)、外光112がケース108の外側から水面103に入射して原水105中のフロック106や槽の壁面又は底面(図示省略)等に反射し、反射した外光113が下端開口部109からケース108内に入ってカメラ107に届くと、フロック106の観測精度に悪影響を及ぼす虞があった。
【0010】
本発明は、外光の影響を排除して観測対象液中の浮遊物を観測することができる浮遊物観測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、観測対象液中の浮遊物を観測する浮遊物観測装置であって、
観測光を液面の上方から液面下の浮遊物に照射する光源と、観測光で照射された浮遊物を液面下の撮像範囲において液面の上方から撮像する撮像装置と、撮像範囲の周りを取り囲んで液面の波を遮る波除け部材とを有し、
撮像範囲は波除け部材の内側に形成され、
波除け部材は、観測対象液の流れ方向における上流側に開口する流入口と、観測対象液の流れ方向における下流側に開口する流出口とを有し、
流入口は液面下に没しており、
流出口は液面が通る高さに形成されているものである。
【0012】
これによると、浮遊物を含んだ観測対象液は流入口から波除け部材の内側に流入し、流出口から波除け部材の外側に流出する。この際、液面の波は波除け部材によって遮られるため、撮像範囲の周囲における波の発生を抑制することができ、波の影響を排除した状態で、浮遊物を撮像装置で撮像することができる。これにより、浮遊物の鮮明な画像を得ることができる。
【0013】
また、液面に浮遊しているスカムが観測対象液と共に流入口から波除け部材の内側に流入しても、流出口は液面が通る高さに形成されているため、スカムは波除け部材の内側から流出口を通って波除け部材の外側へ容易に排出される。これにより、波除け部材の内側にスカムが滞留するのを防止することができる。
【0014】
また、撮像範囲は波除け部材の内側に形成されているため、外光(観測光以外の光)が波除け部材の外側の液面に入射して観測対象液中の浮遊物等に反射しても、反射した外光(反射光)は、液面下において波除け部材により遮られるので、撮像装置に届かない。これにより、外光の影響を排除して観測対象液中の浮遊物を観測することができる。
【0015】
本第2発明における浮遊物観測装置は、波除け部材は下端に向かって先細りになるテーパー部を有し、
テーパー部の下端に、液面下において開口する下部排出口が形成されているものである。
【0016】
これによると、観測対象液と共に流入口から波除け部材の内側に流入した浮遊物が沈降した場合、沈降した浮遊物は波除け部材の内側から下部排出口を通って波除け部材の外側へ排出される。これにより、浮遊物が波除け部材の内側に沈殿して滞留してしまうのを防止することができる。
【0017】
本第3発明における浮遊物観測装置は、下部排出口は撮像装置の視野の外側に位置しているものである。
【0018】
これによると、浮遊物を撮像装置で撮像して得られた画像に、下部排出口から波除け部材の内側に入射した反射光(すなわち観測対象液中の浮遊物等に反射した外光)が写り込んでしまうのを防止することができる。
【0019】
本第4発明における浮遊物観測装置は、波除け部材の外側から下部排出口を通って波除け部材の内側に入射する光を抑制する遮光部材が、波除け部材の下端部に設けられているものである。
【0020】
これによると、波除け部材の外側で観測対象液中の浮遊物等に反射した光(反射光)が遮光部材によって遮られるため、下部排出口から波除け部材の内側に入射する反射光の量を大幅に低減することができる。これにより、浮遊物を撮像装置で撮像して得られた画像に、反射光が写り込んでしまうのを防止することができる。
【0021】
本第5発明における浮遊物観測装置は、流入口の上部に、観測対象液の流れ方向において対向する波減衰部材が設けられ、
波減衰部材は、観測対象液の流れ方向における下流側の端部が上流側の端部よりも斜め上方に向くように、傾斜しており、
波減衰部材の下部が液面下に没しているものである。
【0022】
これによると、観測対象液が流入口から波除け部材の内側に流入する際、観測対象液の流れ方向に進む波は波除け部材の外側から波減衰部材に当たることによって減衰する。これにより、波除け部材の内側の波が外側の波と比べて小さくなり、波の影響を排除した状態で、浮遊物を撮像装置で撮像することができる。
【0023】
また、波減衰部材が傾斜しているため、波減衰部材の背後(流れ方向における下流側)に渦流が発生し難くなる。これにより、液面に浮遊しているスカムが渦流に巻き込まれて波減衰部材の背後に滞留するのを防止することができる。
【0024】
本第6発明における浮遊物観測装置は、光源と撮像装置とはケース部材内に収容され、
波除け部材はケース部材の下部に設けられているものである。
【0025】
これによると、外光はケース部材で遮られるため、外光が撮像装置に入射するのを防止することができる。
【0026】
本第7発明における浮遊物観測装置は、観測光は横方向へ拡がるシートレーザ光である。
【発明の効果】
【0027】
以上のように本発明によると、外光の影響を排除して観測対象液中の浮遊物を観測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施の形態における浮遊物観測装置の要部の断面図である。
図2】同、浮遊物観測装置の平面図である。
図3】同、浮遊物観測装置の波除け部材の正面図である。
図4図3におけるX-X矢視図である。
図5図3におけるY-Y断面図である。
図6図3におけるZ-Z矢視図である。
図7】同、浮遊物観測装置の波除け部材の断面図であり、波減衰板によって波が減衰する様子および波除け部材内における原水の流れの様子を示す。
図8】本発明の第2の実施の形態における浮遊物観測装置の波除け部材の正面図である。
図9図8におけるX-X断面図である。
図10】従来の浮遊物観測装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1図2に示すように、浄水場等のフロック形成池には原水10(観測対象液の一例)が貯留されており、原水10中には多数のフロック11(浮遊物の一例)が生成されている。
【0031】
フロック形成池には、原水10中のフロック11を観測する浮遊物観測装置12が設置されている。浮遊物観測装置12は、水面14(液面の一例)に浮かんだ状態で屋外に設置されており、シートレーザ光15(観測光の一例)を水面14の上方から水面下のフロック11に照射する光源16と、シートレーザ光15で照射されたフロック11を水面下の撮像範囲17において水面14の上方から撮像するカメラ18(撮像装置の一例)と、光源16およびカメラ18を収容するケース19と、浮力を確保する浮体20(フロート)とを有している。
【0032】
シートレーザ光15は、図6の仮想線で示すように平面視において光源16から横方向(例えば原水10の流れ方向30)へ扇状に拡がっているとともに、図1の実線で示すように側面視においてほぼ線状になっている。シートレーザ光15が水面14の上方から水面14に斜め下方へ入射する箇所を水面入射箇所22とする。また、シートレーザ光15がフロック11に当たって反射したレーザ反射光のうちのカメラ18のレンズ23に入射するレーザ反射光24(反射光の一例)が水面14を下方から斜め上方へ通過する箇所を水面通過箇所25とする。
【0033】
また、撮像範囲17とはシートレーザ光15で照射されたフロック11をカメラ18で撮像するときの範囲であり、カメラ18の焦点は撮像範囲17に合わせられている。撮像範囲17は水面14付近に設定されている。
【0034】
ケース19は、水面14上に露出したケース部材27と、ケース部材27の下部に設けられた波除け部材28とを有している。波除け部材28は、撮像範囲17と水面入射箇所22と水面通過箇所25との周りを取り囲んで水面14の波を遮るものである。撮像範囲17と水面入射箇所22と水面通過箇所25とは波除け部材28の内側に形成されている。
【0035】
フロック形成池では原水10は一方向へ流れている。図3図6に示すように、波除け部材28は、原水10の流れ方向30(前後方向)における上流側に設けられた前板32と、流れ方向30における下流側に設けられた後板33と、左右一対の側板34,35と、原水10の流れ方向30において対向する波減衰板36(波減衰部材の一例)と、流れ方向30における上流側に開口する流入口37と、流れ方向30における下流側に開口する流出口38とを有している。
【0036】
図3に示すように、前板32と後板33とはそれぞれ、正面視において逆三角形状に形成されている。また、図4に示すように、側板34,35はそれぞれ、側面視において台形状に形成されている。
【0037】
波減衰板36は、図3に示すように、正面視において台形状に形成されて、前板32の上方に設けられているとともに、図5に示すように、流れ方向30における下流側の端部(波減衰板36の上端部)が上流側の端部(波減衰板36の下端部)よりも斜め上方に向くように傾斜している。波減衰板36の下端部は水面14下に没しており、波減衰板36の上端部は水面14から上方へ突出している。波減衰板36は、水平面を基準として0°よりも大きく且つ90°よりも小さい所定の傾斜角度Aで、上端部が下流側に傾斜している。
【0038】
流入口37は、前板32と波減衰板36との間に形成されており、水面14下に没している。流出口38は後板33の上方で且つ水面14が通る高さに形成されている。後板33の上端は水面14下に没している。
【0039】
図5に示すように、前板32と後板33とは、下部ほど水平方向における間隔Bが縮小するように、傾斜している。同様に、図1図3に示すように、一方の側板34と他方の側板35とは、下部ほど水平方向における間隔Cが縮小するように、V形状に傾斜している。これにより、波除け部材28は、上部が開放された箱状の部材であり、下端に向かって先細りになるテーパー部40を有している。
【0040】
テーパー部40の下端には、水面14下において開口する下部排出口41が形成されている。下部排出口41は、原水10の流れ方向30(前後方向)に細長いスリット状に形成されており、波除け部材28の内側と外側下方とに開通し、カメラ18の視野の外側に位置している。
【0041】
図1図3図4に示すように、波除け部材28の下端部には遮光板35a(遮光部材の一例)が設けられている。遮光板35aは、原水10中のフロック11等に反射した外光54が波除け部材28の外側から下部排出口41を通って波除け部材28の内側に入射するのを抑制するものであり、他方の側板35を下部排出口41の下方まで延ばすことによって形成されている。
【0042】
尚、上記のように遮光板35aは、他方の側板35を下部排出口41の下方まで延ばすことによって形成されているが、一方の側板34を下部排出口41の下方まで延ばすことによって形成してもよい。或いは、両側板34,35とは別に、遮光板を波除け部材28の下端部に設けてもよい。
【0043】
両方の側板34,35の上端にはフランジ部42が設けられている。
【0044】
図1図2に示すように、光源16とカメラ18とはケース部材27内に収容されている。ケース部材27は、下部が開放された箱状の部材であり、下端部にフランジ部43を有している。ケース部材27の天井には、上向きに突出した山部50と、下向きに凹んだ谷部51とが形成されている。
【0045】
ケース部材27内には、透明な窓ガラス48,49と、これら窓ガラス48,49が曇るのを防止するヒーター(図示省略)とが設けられている。尚、シートレーザ光15は光源16から窓ガラス48を透過して水面14に入射し、シートレーザ光15が反射したレーザ反射光24は窓ガラス49を透過してカメラ18のレンズ23に届く。
【0046】
波除け部材28は、フランジ部42,43を介して、ケース部材27の下端部に取り付けられている。フランジ部42,43同士はボルトおよびナット等の連結部材(図示省略)によって接合されており、連結部材を外すことにより、ケース19をケース部材27と波除け部材28とに上下に分割することができる。
【0047】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0048】
図5に示すように、フロック11を含んだ原水10は、流入口37から波除け部材28の内側に流入し、波除け部材28の内側を流れ方向30へ流れ、流出口38から波除け部材28の外側に流出する。
【0049】
この状態で、図1に示すように、光源16からシートレーザ光15を照射し、カメラ18で撮像範囲17内のフロック11を撮像する。この際、水面14の波は波除け部材28によって遮られるため、水面入射箇所22と水面通過箇所25および撮像範囲17の周囲における波の発生を抑制することができ、波の影響を排除した状態で、フロック11をカメラ18で撮像することができる。これにより、フロック11の鮮明な画像を得ることができる。
【0050】
また、水面14に浮遊しているスカムが原水10と共に流入口37から波除け部材28の内側に流入しても、図5に示すように、流出口38は水面14が通る高さに形成されているため、スカムは波除け部材28の内側から流出口38を通って波除け部材28の外側へ容易に排出される。これにより、波除け部材28の内側にスカムが滞留するのを防止することができる。
【0051】
また、図1に示すように、撮像範囲17は波除け部材28の内側に形成されているため、外光53(光源16から照射される観測光以外の光であって例えば太陽光等)が波除け部材28の外側から水面14に入射して原水10中のフロック11に反射しても、反射した外光54(反射光54)は、水面14下において波除け部材28により遮られるので、カメラ18のレンズ23に届かない。これにより、外光53,54の影響を排除して原水10中のフロック11を観測することができる。
【0052】
また、原水10と共に流入口37から波除け部材28の内側に流入したフロック11が沈降した場合、沈降したフロック11は波除け部材28の内側から下部排出口41を通って波除け部材28の下方へ排出される。これにより、フロック11が波除け部材28の内側に沈殿して滞留してしまうのを防止することができる。
【0053】
また、図7に示すように、水面14に波29が発生した状態で原水10が流入口37から波除け部材28の内側に流入する場合、波29は、流れ方向30に進みながら、波除け部材28の上流側から波減衰板36に当たることによって減衰する。これにより、波除け部材28の内側の波55が外側の波29と比べて大幅に小さくなり、波29の影響を排除した状態で、フロック11をカメラ18で撮像することができる。
【0054】
また、波減衰板36は上端部が下流側に傾斜しているため、波減衰板36の背後(流れ方向30における下流側)に渦流が発生し難くなり、図7の矢印で示すように、原水10は波減衰板36の背後をスムーズに流出口38に向かって流れる。これにより、水面14に浮遊しているスカムが渦流に巻き込まれて波減衰板36の背後に滞留するのを防止することができる。
【0055】
また、下部排出口41はカメラ18の視野の外側に位置しているため、フロック11をカメラ18で撮像して得られた画像に、下部排出口41から波除け部材28の内側に入射した反射光54(すなわち原水10中のフロック11等に反射した外光54)が写り込んでしまうのを防止することができる。
【0056】
また、図1に示すように、原水10中のフロック11等に反射した外光54(反射光54)が遮光板35aによって遮られるため、下部排出口41から波除け部材28の内側に入射する反射光54の量を大幅に低減することができる。これにより、フロック11をカメラ18で撮像して得られた画像に、反射光54が写り込んでしまうのをさらに防止することができる。
【0057】
また、図1に示すように、太陽光等の外光53はケース部材27によって遮られるため、外光53がカメラ18のレンズ23に入射するのを防止することができる。
【0058】
このように、外光53の影響を排除して原水10中のフロック11を観測することができるため、例えば透明度の高い原水10(浄水等)であっても、精度の高い観測を行うことができる。
【0059】
また、ケース部材27の天井に山部50と谷部51とが形成されているため、雨がケース部材27の天井から流れ落ち易くなる。
【0060】
上記第1の実施の形態では、図7に示すように、波減衰板36が波除け部材28の外側の波29を減衰させているが、前板32を水面14上まで上方へ延長し、前板32に流入口37を形成してもよい。これによると、延長した前板32によって、波除け部材28の外側の波29を減衰させることができる。この場合、波減衰板36は、延長した前板32の下流側(背後)に位置し、流入口37付近での渦流の発生を防止できればよい。このため、波減衰板36の上端は水面14下に没していてもよい。
【0061】
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、図3図5に示すように、波除け部材28は前板32を有するとともに、側板34,35が両方共V形状に傾斜しているが、以下に説明する第2の実施の形態では、図8図9に示すように、波除け部材28は前板32を有しておらず、さらに、いずれか一方の側板34は傾斜せずに鉛直方向に配置されており、他方の側板35のみが傾斜している。流入口37は波減衰板36の下端と下部排出口41との間にわたって形成されている。
【0062】
これによると、第1の実施の形態と同様の作用および効果が得られる。
【0063】
上記各実施の形態では、図1図2に示すように、浮遊物観測装置12は、浮体20を有し、水面14に浮かんだ状態で設置されているが、このような浮上式の浮遊物観測装置12に限定されるものではなく、浮体20を備えておらず、フロック形成池に固定される固定式の浮遊物観測装置12であってもよい。
【0064】
上記各実施の形態では、図5に示すように、波減衰板36として平板を使用しているが、平板に限定されるものではなく、円弧状に湾曲した板や或いは「く」の字状に屈曲した板等を使用してもよい。
【0065】
上記各実施の形態では、浮遊物観測装置12をフロック形成池に設置しているが、フロック形成池以外、例えば沈殿池等に設けてもよい。また、浮遊物の一例であるフロック11を浮遊物観測装置12で観測しているが、フロック11以外の粒子を観測してもよい。
【0066】
上記各実施の形態では、観測光の一例としてシートレーザ光15を用いたが、シートレーザ光15に限定されるものではなく、レーザ光や可視光等を用いてもよい。
【0067】
上記各実施の形態では、図6に示すようにシートレーザ光15の入射方向およびカメラ18による撮像方向は原水10の流れ方向30に対して直交しており、また、図5図9に示すように下部排出口41の長手方向は原水10の流れ方向30に対して平行に配置されているが、これらの配置に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
10 原水(観測対象液)
11 フロック(浮遊物)
12 浮遊物観測装置
14 水面(液面)
15 シートレーザ光(観測光)
16 光源
17 撮像範囲
18 カメラ(撮像装置)
27 ケース部材
28 波除け部材
29 波
30 流れ方向
35a 遮光板(遮光部材)
36 波減衰板(波減衰部材)
37 流入口
38 流出口
40 テーパー部
41 下部排出口
54 反射した外光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10