(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085498
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】電磁石装置
(51)【国際特許分類】
H01F 7/06 20060101AFI20240620BHJP
H01F 5/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01F7/06 G
H01F7/06 Q
H01F5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200025
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】田中 博之
(72)【発明者】
【氏名】早田 和也
(72)【発明者】
【氏名】田尻 さやか
(72)【発明者】
【氏名】小泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】野田 将之
(72)【発明者】
【氏名】西田 真聡
(72)【発明者】
【氏名】大迫 明弘
【テーマコード(参考)】
5E048
【Fターム(参考)】
5E048AB04
5E048CB03
(57)【要約】
【課題】電磁石装置の大型化を抑制しつつ、コイル端子間の絶縁距離を確保できる電磁石装置の提供。
【解決手段】電磁石装置は、コイルと、スプールと、第1コイル端子と、第2コイル端子と、第3コイル端子とを備える。スプールは、コイルが巻回された胴部と、胴部から張り出す鍔部とを含む。第1コイル端子は、鍔部から胴部の軸線方向に延びる第1絡げ部を含む。第2コイル端子は、鍔部から軸線方向に延びる第2絡げ部を含む。第3コイル端子は、第1コイル端子と第2コイル端子との間に配置される。第3コイル端子は、第3絡げ部を含む。第3絡げ部は、基端部と、基端部から第2絡げ部に近づく方向に延びる先端部とを含む。第3絡げ部の基端部は、胴部の軸線に対して第2コイル端子から第1コイル端子に向かう方向に偏心して配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
前記コイルが巻回された胴部と、前記胴部から張り出す鍔部とを含むスプールと、
前記鍔部から前記胴部の軸線方向に延びる第1絡げ部を含む第1コイル端子と、
前記鍔部から前記軸線方向に延びる第2絡げ部を含む第2コイル端子と、
基端部と、前記基端部から前記第2絡げ部に近づく方向に延びる先端部とを含む第3絡げ部を含み、前記第1コイル端子と前記第2コイル端子との間に配置される第3コイル端子と、
を備え、
前記第3絡げ部の前記基端部は、前記胴部の軸線に対して前記第2コイル端子から前記第1コイル端子に向かう方向に偏心して配置される、
電磁石装置。
【請求項2】
前記第3絡げ部は、前記第1絡げ部の長さ寸法及び前記第2絡げ部の長さ寸法と略同じ長さ寸法を有する、
請求項1に記載の電磁石装置。
【請求項3】
前記スプールの前記鍔部は、前記第3コイル端子を支持する端子支持部と、前記端子支持部と前記軸線方向に対向する突起とを含み、
前記第3コイル端子の前記第3絡げ部は、前記端子支持部と前記突起の間に配置される、
請求項1に記載の電磁石装置。
【請求項4】
前記第3絡げ部の前記基端部から前記第1絡げ部までの距離は、前記第3絡げ部の前記先端部の先端から前記第2絡げ部までの距離と略同じである、
請求項1に記載の電磁石装置。
【請求項5】
前記第1絡げ部と前記第3絡げ部との間、又は前記第2絡げ部と前記第3絡げ部との間の少なくとも一方に配置される絶縁壁をさらに備える、
請求項1に記載の電磁石装置。
【請求項6】
前記第2コイル端子は、前記第1コイル端子と同一形状の端子であり、
前記第3コイル端子は、前記第1コイル端子と同一形状の端子を折り曲げて形成された端子である、
請求項1に記載の電磁石装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2巻線ラッチング型の電磁継電器が開示されている。電磁継電器は、電磁石装置を備えている。電磁石装置は、同一方向に並んで配置される3つのコイル端子を含む。3つのコイル端子のそれぞれは、コイルの引き出し線が接続される絡げ部を含む。3つのコイル端子のうち、中央のコイル端子の絡げ部は、3つのコイル端子が並ぶ方向に折り曲げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている電磁石装置では、中央のコイル端子の絡げ部が3つのコイル端子が並ぶ方向に折り曲げられているので、中央のコイル端子と中央のコイル端子の絡げ部に近いコイル端子との間の絶縁距離が短くなる。中央のコイル端子と中央のコイル端子の絡げ部に近いコイル端子との間の絶縁距離を確保しようとした場合は、電磁石装置が大型化するおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、電磁石装置の大型化を抑制しつつ、コイル端子間の絶縁距離を確保できる電磁石装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁石装置は、コイルと、スプールと、第1コイル端子と、第2コイル端子と、第3コイル端子とを備える。スプールは、コイルが巻回された胴部と、胴部から張り出す鍔部とを含む。第1コイル端子は、鍔部から胴部の軸線方向に延びる第1絡げ部を含む。第2コイル端子は、鍔部から軸線方向に延びる第2絡げ部を含む。第3コイル端子は、第1コイル端子と第2コイル端子との間に配置される。第3コイル端子は、第3絡げ部を含む。第3絡げ部は、基端部と、基端部から第2絡げ部に近づく方向に延びる先端部とを含む。第3絡げ部の基端部は、胴部の軸線に対して第2コイル端子から第1コイル端子に向かう方向に偏心して配置される。
【0007】
この電磁石装置では、第3絡げ部の基端部は、胴部の軸線に対して第2コイル端子から第1コイル端子に向かう方向に偏心して配置されるので、第3コイル端子の第3絡げ部と第2コイル端子の第2絡げ部との間の絶縁距離を確保し易い。これにより、電磁石装置の大型化を抑制しつつ、コイル端子間の絶縁距離を確保できる。また、第1コイル端子と第2コイル端子と第3コイル端子とを共通の端子で構成することが可能になるので、端子部品の共通化を図ることができる。
【0008】
第3絡げ部は、第1絡げ部の長さ寸法及び第2絡げ部の長さ寸法と略同じ長さ寸法を有してもよい。この場合は、第1絡げ部71a、第2絡げ部72a及び第3絡げ部73aを治具で同時に半田付けすることが可能になる。
【0009】
スプールの鍔部は、第3コイル端子を支持する端子支持部と、端子支持部と軸線方向に対向し、コイルの引き出し線を係止可能な突起とを含んでもよい。第3コイル端子の第3絡げ部は、端子支持部と突起の間に配置されてもよい。この場合は、電磁石装置の組立時に、コイルの引き出し線を突起に係止させておくことで、第3絡げ部を半田付けしてから第3絡げ部を曲げ戻すときに、引き出し線に張力が発生して引き出し線が断線することを抑制できる。
【0010】
第3絡げ部の基端部から第1絡げ部までの距離は、第3絡げ部の先端部の先端から第2絡げ部までの距離と略同じであってもよい。この場合は、限られたスペースの中でコイル端子間の絶縁距離を効率的よく確保できる。
【0011】
電磁石装置は、第1絡げ部と第3絡げ部との間、又は第2絡げ部と第3絡げ部との間の少なくとも一方に配置される絶縁壁をさらに備えてもよい。この場合は、絶縁壁によってコイル端子間の絶縁性を高めることができる。
【0012】
第2コイル端子は、第1コイル端子と同一形状の端子であってもよい。第3コイル端子は、第1コイル端子と同一形状の端子を折り曲げて形成された端子であってもよい。この場合は、第1コイル端子と第2コイル端子と第3コイル端子とを共通の端子で構成できるので、部品の共通化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁石装置の大型化を抑制しつつ、コイル端子間の絶縁距離を確保できる電磁石装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】電磁石装置の動作状態を説明するための図である。
【
図4】電磁石装置の組立手順を説明するための図である。
【
図5】電磁石装置の組立手順を説明するための図である。
【
図6】電磁石装置の組立手順を説明するための図である。
【
図7】電磁石装置の組立手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一態様に係る電磁石装置を備える電磁継電器の実施形態について、図面を参照して説明する。図面を参照するときにおいて、説明を分かり易くするために
図1における上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」、紙面の手前側を「前」、紙面の奥側を「後」として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器の配置方向を限定するものではない。
【0016】
電磁継電器1は、ヒンジ型の電磁継電器である。電磁継電器1は、2巻線ラッチング型の電磁継電器である。
図1に示すように、電磁継電器1は、ベース2と、接点装置3と、電磁石装置4とを備えている。ベース2は、樹脂などの絶縁性を有する材料で形成されている。ベース2の上部には、図示しない箱型のカバー部材が配置される。接点装置3及び電磁石装置4は、ベース2とカバー部材とによって形成される内部空間に配置されている。
【0017】
接点装置3は、固定端子6と、可動接触片7と、可動機構8とを含む。固定端子6及び可動接触片7は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。固定端子6及び可動接触片7は、ベース2に支持されている。固定端子6及び可動接触片7は、ベース2から上方に延びている。
【0018】
固定端子6は、固定接点6aと、外部接続部6bとを含む。固定接点6aは、ベース2の上方に配置されている。固定接点6aは、固定端子6の右面に配置されている。
【0019】
外部接続部6bは、ベース2から下方に突出し、外部に露出している。外部接続部6bは、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0020】
可動接触片7は、弾性変形可能な板ばねで構成されており、固定端子6と左右方向に対向して配置されている。本実施形態では、可動接触片7は、固定端子6の左側に配置されている。
【0021】
可動接触片7は、可動接点7aと、外部接続部7bとを含む。可動接点7aは、固定接点6aと向かい合っており、固定接点6aに接触可能である7bは、図示しない外部機器と電気的に接続される。
【0022】
可動機構8は、可動接点7aが固定接点6aに近づく方向と可動接点7aが固定接点6aから離れる方向とに可動接触片7を移動させる。本実施形態における可動接触片7の移動方向は、左右方向と一致する。
【0023】
可動機構8は、カード10を含む。カード10は、ベース2に回動可能に支持されている。カード10は、カード10の下端を回動支点として左右方向に回動可能である。カード10は、可動接触片7と電磁石装置4との間に配置されている。カード10は、可動接触片7と電磁石装置4とに接続されている。
【0024】
電磁石装置4は、電磁力によって可動機構8を介して可動接触片7を移動させる。電磁石装置4は、電磁力によってカード10を回動させることによって、可動接触片7を左右方向に移動させる。
【0025】
図1から
図3に示すように、電磁石装置4は、コイル41と、スプール42と、鉄芯43と、ヨーク44と、補助ヨーク45と、永久磁石46と、可動鉄片47と、ヒンジばね48とを含む。
【0026】
コイル41は、スプール42の外周に巻回されている。スプール42は、上下方向に延びている。スプール42の軸線方向は、上下方向と一致する。スプール42は、
図4に示すように、第1フランジ51と、第2フランジ52(鍔部の一例)と、胴部53と、収容部54と、を含む。
【0027】
第1フランジ51及び第2フランジ52は、胴部53から張り出している。第1フランジ51は、胴部53の上端に接続されている。第2フランジ52は、胴部53の下端に接続されている。第1フランジ51及び第2フランジ52は、上下方向と交差する方向に延びている。第1フランジ51の外径及び第2フランジ52の外径は、胴部53の外径よりも大きい。
【0028】
第2フランジ52は、上面部52aと、側壁52bと、端子支持部52cと、突起52dとを含む。上面部52aは、コイル41の下方に配置されている。側壁52bは、上面部52aの左端から下方に延びている。側壁52bは、上面部52aと端子支持部52cとの間に配置されている。端子支持部52cは、側壁52bの下端から左方に突出している。端子支持部52cは、前後方向に延びている。
【0029】
突起52dは、端子支持部52cの上方に配置されている。突起52dは、端子支持部52cと上下方向に対向する。突起52dは、コイル41の引き出し線を係止可能である。突起52dは、側壁52bから左方に突出している。突起52dは、上面部52aと隣接している。突起52dは、左右方向から見て、胴部53の軸線Aと重なる位置に配置されている。
【0030】
突起52dは、第1面56と、第1面56に接続される傾斜面57とを含む。第1面56は、突起52dの前面である。第1面56は、胴部53の軸線Aよりも前方に位置する。傾斜面57は、第1面56の下端から後方かつ下方に延びている。
【0031】
胴部53は、円筒形状を有しており、外周にコイル41が巻き付けられる。胴部53は、上下方向に延びている。胴部53の軸線方向は、上下方向と一致する。
【0032】
収容部54は、胴部53に形成されている。収容部54は、上下方向から見て、円形の孔である。収容部54は、胴部53の中央部を上下方向に貫通して形成されている。
【0033】
鉄芯43は、スプール42内に配置されている。鉄芯43は、収容部54に収容されている。鉄芯43は、ヨーク44に接続されている。鉄芯43の軸心は、上下方向に延びている。
【0034】
ヨーク44は、
図3に示すように、鉄芯43と、補助ヨーク45と、永久磁石46とに接続されている。ヨーク44は、L字状に屈曲した形状を有している。ヨーク44は、可動鉄片47を回動可能に支持する。なお、
図3では、スプール42の図示が省略されている。
【0035】
ヨーク44は、底部61と、延伸部62とを含む。底部61は、第2フランジ52の下方に配置されている。底部61は、鉄芯43の下端に固定される。延伸部62は、底部61の右端から屈曲して上方に延びている。延伸部62は、コイル41の右側方に配置されている。
【0036】
補助ヨーク45は、ヨーク44の底部61の下方に配置されている。補助ヨーク45は、上下方向において、ヨーク44の底部61とベース2の間に配置されている。
【0037】
永久磁石46は、ヨーク44の底部61と補助ヨーク45の間に配置されている。永久磁石46の上面は、ヨーク44に接触している。永久磁石46の下面は、補助ヨーク45に接触している。
【0038】
可動鉄片47は、ヒンジばね48を介してヨーク44の延伸部62に回動可能に支持される。可動鉄片47は、
図1に示す第1位置と、
図3に示す第2位置との間で回動可能である。可動鉄片47は、第1位置において、鉄芯43から離れている。可動鉄片47は、第2位置において、鉄芯43と接触する。第2位置は、可動鉄片47の動作位置に対応する。
【0039】
ヒンジばね48は、ヨーク44の延伸部62に固定されている。ヒンジばね48は、ヨーク44の延伸部62において可動鉄片47を保持するために設けられる。
【0040】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。なお、電磁継電器1の動作は、従来と同様であるため、簡略に説明する。コイル41に電圧が印加されていない場合は、可動接触片7の弾性力によって可動鉄片47が第1位置に位置しており、可動接点7aが固定接点6aから開離している。このとき、永久磁石46の磁束によって、補助ヨーク45とヨーク44の底部61とを通る磁気回路M1と、鉄芯43と可動鉄片47とヨーク44と補助ヨーク45とを通る磁気回路M2とが形成される。
【0041】
コイル41に磁気回路M2に流れる磁束と同一方向の磁束が生じるように電圧を印加すると、コイル41に対する電圧の印加によって生じた磁束によって鉄芯43と可動鉄片47とヨーク44とを通る磁気回路が形成される。これにより、可動鉄片47に対する鉄芯43の吸引力が増大して、可動鉄片47が回動して第1位置から第2位置に移動する。可動鉄片47の第1位置から第2位置への移動に伴い、カード10が可動鉄片47に押圧されて、可動接点7aが固定接点6aに接触する。
【0042】
コイル41への電圧の印加が停止されても、磁気回路M2の磁力が可動接触片7の弾性力よりも大きいので、可動鉄片47が第2位置に維持される。
【0043】
磁気回路M2の磁力を打ち消すように、コイル41に印加電圧と逆方向の復帰電圧を印加すると、可動鉄片47が第2位置から第1位置に移動して、可動接点7aが固定接点6aから開離する。
【0044】
図2に示すように、電磁石装置4は、第1コイル端子71と、第2コイル端子72と、第3コイル端子73とを含む。第1~第3コイル端子71~73は、一方向(ここでは前後方向)に並んで配置されている。第1~第3コイル端子71~73は、端子支持部52cに支持されている。端子支持部52cには、第1~第3コイル端子71~73が挿入される孔が形成されている。
【0045】
第1コイル端子71は、端子支持部52cの後端付近に配置されている。第1コイル端子71は、胴部53の軸線Aよりも後方に配置されている。第1コイル端子71は、コイル41よりも後方に配置されている。第1コイル端子71は、上下方向に延びている。
【0046】
第1コイル端子71は、第1絡げ部71aと、第1外部接続部71bとを含む。第1絡げ部71aは、コイル41の引き出し線に接続される。第1絡げ部71aは、上下方向に延びている。第1絡げ部71aは、端子支持部52cから上方に突出している。第1外部接続部71bは、端子支持部52cから下方に突出し、外部に露出している。
【0047】
第2コイル端子72は、第1コイル端子71と同一形状の端子である。すなわち、第2コイル端子72は、第1コイル端子71と共通の端子によって構成されている。第2コイル端子72は、端子支持部52cの前端付近に配置されている。第2コイル端子72は、胴部53の軸線Aよりも前方に配置されている。第2コイル端子72は、コイル41よりも前方に配置されている。第2コイル端子72は、上下方向に延びている。
【0048】
第2コイル端子72は、第2絡げ部72aと、第2外部接続部72bとを含む。第2絡げ部72aは、コイル41の引き出し線に接続される。第2絡げ部72aは、上下方向に延びている。第2絡げ部72aは、端子支持部52cから上方に突出している。第2外部接続部72bは、端子支持部52cから下方に突出し、外部に露出している。
【0049】
第3コイル端子73は、第1コイル端子71と第2コイル端子72の間に配置されている。
図2に示すように、第3コイル端子73は、胴部53の軸線Aに対して、第2コイル端子72から第1コイル端子71に向かう方向(ここでは後方)に偏心して配置されている。第3コイル端子73は、左右方向から見て、第1コイル端子71と胴部53の軸線Aとの間に配置されている。
【0050】
第3コイル端子73は、第3絡げ部73aと、第3外部接続部73bとを含む。第3絡げ部73aは、コイル41の引き出し線に接続される。第3絡げ部73aは、端子支持部52cから上方に突出している。第3絡げ部73aは、屈曲した形状を有する。第3絡げ部73aは、第2コイル端子72の第2絡げ部72aに近づく方向(ここでは前方)に折り曲げられている。第3絡げ部73aは、端子支持部52cと突起52dとの間に配置される。本実施形態では、第3コイル端子73は、第1コイル端子71と同一形状の端子を折り曲げて形成されている。すなわち、第3コイル端子73は、第1コイル端子71と共通の端子を用いて構成されている。
【0051】
第3絡げ部73aは、基端部76と先端部77とを含む。基端部76は、端子支持部52cから上方に突出している。基端部76は、胴部53の軸線Aに対して第2コイル端子72から第1コイル端子71に向かう方向に偏心して配置されている。基端部76は、第2絡げ部72aよりも第1絡げ部71aに近い位置に配置されている。基端部76は、突起52dよりも後方に位置する。基端部76は、胴部53の軸線Aよりも後方に位置する。
【0052】
先端部77は、基端部76から第2絡げ部72aに近づく方向に延びている。先端部77は、第1絡げ部71aよりも第2絡げ部72aに近い位置に配置される。先端部77は、突起52dよりも前方に延びている。すなわち、先端部77の先端は、突起52dよりも前方に位置する。先端部77は、端子支持部52cと上下方向に離れている。先端部77は、基端部76よりも突起52dに近い位置に配置される。先端部77は、前方に向かって突起52dに近づく方向に傾斜している。第3外部接続部73bは、端子支持部52cから下方に突出し、外部に露出している。第3外部接続部73bは、胴部53の軸線Aに対して、第2コイル端子72から第1コイル端子71に向かう方向に偏心して配置されている。
【0053】
第3絡げ部73aは、第1絡げ部71aの長さ寸法及び第2絡げ部72aの長さ寸法と略同じ長さ寸法を有する。第1絡げ部71aの長さ寸法は、第1絡げ部71aが延びる方向の寸法であり、本実施形態では第1絡げ部71aの上下方向の寸法に対応する。第2絡げ部72aの長さ寸法は、第2絡げ部71aが延びる方向の寸法であり、本実施形態では第2絡げ部72aの上下方向の寸法に対応する。第1絡げ部71aの長さ寸法は、第2絡げ部71aの長さ寸法と同じである。第3絡げ部73aの長さ寸法は、基端部76から先端部77の先端までの寸法である。
【0054】
図2に示すように、本実施形態では、第3絡げ部73aの基端部76から第1絡げ部71aまでの距離D1は、第3絡げ部73aの先端部77の先端から第2絡げ部72aまでの距離D2と略同じである。なお、距離D1と距離D2は、必ずしも略同一でなくてもよい。例えば、距離D1は、距離D2よりも長くてもよい。
【0055】
次に、電磁石装置4の組立方法の一例について説明する。
図4に示すように、スプール42と同一形状の3つのコイル端子70を準備して、3つのコイル端子70を端子支持部52cに、例えば圧入固定する。左端のコイル端子70は、第1コイル端子71に対応し、右端のコイル端子70は、第2コイル端子72に対応し、中央のコイル端子70は、第3コイル端子73に対応する。このとき、第3コイル端子73の絡げ部73aは、第1絡げ部71a及び第2絡げ部72aと同じ方向に延びている。
【0056】
次に、
図5に示すように、3つのコイル端子70(第1~第3コイル端子71~73)のそれぞれの絡げ部(第1~第3絡げ部71a,72a,73a)を同じ方向に折り曲げる。ここでは、側壁52bと反対側に3つのコイル端子70のそれぞれの絡げ部を約90°折り曲げる。そして、コイル41の1巻線目(1点鎖線)の一方の引き出し線を第1絡げ部71aに絡げてから巻線を胴部53に時計回りに所定量巻回する。その後、1巻線目の他方の引き出し線を突起52dの前面に引っ掛かるように引き出してから、1巻線目の他方の引き出し線を第3絡げ部73aに接続する。
【0057】
次に、コイル41の2巻線目(2点鎖線)の一方の引き出し線を第3絡げ部73aに接続する。次に、2巻線目の他方の引き出し線を突起52dの前面に引っ掛かるように引き出してから巻線を胴部53に時計回りに所定量巻回する。そして、2巻線目の他方の引き出し線を第2絡げ部72aに接続する。
【0058】
次に、
図6に示すように、第1絡げ部71a、第2絡げ部72a及び第3絡げ部73aをそれぞれ半田付けする。
【0059】
次に、
図7に示すように、第1絡げ部71aと第2絡げ部72aを
図4に示す位置に曲げ戻す。第3絡げ部73aを水平方向に90°回転させて、第3絡げ部73aを突起52dと端子支持部52cの間に配置する。第3絡げ部73aに接続された引き出し線は、突起52dの前面に引っ掛かるように配置されるので、第3絡げ部73aを水平方向に90°回転させて第3絡げ部73aを突起52dと端子支持部52cの間に配置したときに、引き出し線に張力が発生することを抑制できるので、引き出し線の断線を防止できる。なお、
図6及び
図7では、引き出し線の図示が省略されている。
【0060】
上述した電磁継電器1の電磁石装置4では、第3コイル端子73の第3絡げ部73aの基端部76は、スプール42の胴部53の軸線Aに対して第2コイル端子72から第1コイル端子71に向かう方向に偏心して配置されるので、第3コイル端子73の第3絡げ部73aと第2コイル端子72の第2絡げ部72aとの間の絶縁距離を確保し易い。これにより、電磁石装置4の大型化を抑制しつつ、第1コイル端子71と第3コイル端子73の間の絶縁距離、並びに第2コイル端子72と第3コイル端子73との間の絶縁距離を確保できる。また、第1コイル端子71と第2コイル端子72と第3コイル端子73とを共通の端子で構成することが可能になるので、端子部品の共通化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0062】
前記実施形態では、第1コイル端子71を端子支持部52cの後端付近に配置され、第2コイル端子72を端子支持部52cの前端付近に配置されていた。しかしながら、第1コイル端子71と第2コイル端子72の配置が入れ替わってもよい。この場合、第3コイル端子73は、スプール42の胴部53の軸線Aに対して、前方に偏心して配置される。
【0063】
図8は、変形例に係る電磁石装置4の左側面図である。電磁石装置4は、絶縁壁80をさらに備えている。絶縁壁80は、第1絡げ部71aと第3絡げ部73aとの間に配置されている。絶縁壁80は、スプール42と一体に形成されている。絶縁壁80は、左右方向と交差する方向に延びている。絶縁壁80は、端子支持部52cから上方に突出して側壁52bに接続されている。絶縁壁80は、スプール42と別体であってもよい。絶縁壁80は、第2絡げ部72aと第3絡げ部73aとの間に配置されてもよい。
【0064】
スプール42の第2フランジ52の突起52dの形状は変更されてもよい。
図9~
図11は、突起52dの変形例を説明するための図である。
図9に示すように、突起52dの先端は、前方に向かって突出してもよい。突起52dは、第3絡げ部73aの基端部76から先端部77に向かう方向に突出してもよい。この場合は、突起52dに係止されたコイル41の引き出し線の移動を規制できる。
【0065】
図10及び
図11に示すように、突起52dの第1面56は、傾斜面56aを含んでもよい。傾斜面56aは、突起52dの先端から基端に向かって突起52dの後面に近づく方向に傾斜している。
【0066】
コイル41の引き出し線と、第1~第3絡げ部71a,72a,73aとの接続順序は、変更されてもよい。例えば、コイル41の1巻線目の一方の引き出し線を第3絡げ部73aに絡げてから巻線を胴部53に反時計回りに所定量巻回し、その後1巻線目の他方の引き出し線を第1絡げ部71aに絡げてもよい。コイル41の2巻線目の一方の引き出し線を第2絡げ部72aに絡げてから巻線を胴部53に時計回りに所定量巻回し、その後2巻線目の他方の引き出し線を第3絡げ部73aに絡げてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 電磁継電器
41 コイル
42 スプール
52 第2フランジ(鍔部の一例)
52c 端子支持部
52d 突起
53 胴部
71 第1コイル端子
71a 第1絡げ部
72 第2コイル端子
72a 第2絡げ部
73 第3コイル端子
73a 第3絡げ部
76 基端部
77 先端部
80 絶縁壁