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特開2024-85502鞍乗型電動車両の制御システム及び鞍乗型電動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085502
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】鞍乗型電動車両の制御システム及び鞍乗型電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20240620BHJP
   B62K 23/04 20060101ALI20240620BHJP
   B62K 23/06 20060101ALI20240620BHJP
   B60T 7/10 20060101ALI20240620BHJP
   B60T 7/08 20060101ALI20240620BHJP
   B60L 7/18 20060101ALI20240620BHJP
   B60L 15/00 20060101ALI20240620BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B62J45/00
B62K23/04
B62K23/06
B60T7/10 F
B60T7/08 A
B60L7/18
B60L15/00 J
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200030
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】宮代 幣彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 良典
【テーマコード(参考)】
3D013
3D124
5H125
【Fターム(参考)】
3D013CH01
3D013CH05
3D013CJ01
3D124AA02
3D124AA13
3D124BB06
3D124BB17
3D124CC31
3D124DD14
3D124DD20
3D124DD42
3D124DD56
3D124DD68
5H125AA01
5H125AB03
5H125AC12
5H125BA00
5H125CA01
5H125CD04
5H125EE42
5H125EE44
5H125FF28
(57)【要約】
【課題】、電動モータの駆動力を制御するための操作部材の操作性を高めることができる鞍乗型電動車両の制御システムの提供。
【解決手段】鞍乗型電動車両の制御システムは、第1操作部材と、第2操作部材と、制御装置と、荷重調整装置とを備える。第1操作部材は、電動モータの駆動力を制御するための操作部材である。第2操作部材は、電動モータの駆動力または回生制動力を低減させるための操作部材である。制御装置は、第1操作部材の操作に応じてモータの駆動力を制御し、第2操作部材の操作に応じてモータの駆動力または回生制動力を低減させる。荷重調整装置は、第2操作部材の操作量に基づくモータの駆動力または回生制動力の低減量に応じて第2操作部材の操作荷重を変化させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動するための電動モータを備える鞍乗型電動車両の制御システムであって、
前記電動モータの駆動力を制御するための第1操作部材と、
前記電動モータの駆動力または回生制動力を低減させるための第2操作部材と、
前記第1操作部材の操作に応じて前記電動モータの駆動力を制御し、前記第2操作部材の操作に応じて前記電動モータの駆動力または回生制動力を低減させる制御装置と、
前記第2操作部材の操作量に基づく前記電動モータの駆動力または回生制動力の低減量に応じて前記第2操作部材の操作荷重を変化させる荷重調整装置と、
を備える、
鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項2】
前記第2操作部材は、初期位置である第1位置と、前記第1位置から最も離れた第2位置との間の操作領域で操作可能であり、
前記操作領域は、前記第1位置と前記第2位置との間の漸減領域を含み、
前記制御装置は、前記漸減領域において、前記第2操作部材が前記第2位置に近いほど前記電動モータの駆動力または回生制動力を低減させ、
前記荷重調整装置は、前記漸減領域において、前記第2操作部材が前記第2位置に近いほど前記第2操作部材の操作荷重を大きくする、
請求項1に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項3】
前記操作領域は、前記漸減領域と前記第2位置との間の遮断領域を含み、
前記制御装置は、前記第2操作部材の操作量が前記遮断領域にあるとき、前記電動モータの駆動力または回生制動力を遮断し、
前記荷重調整装置は、前記遮断領域における前記第2操作部材の操作荷重を前記漸減領域における前記第2操作部材の最大荷重よりも小さくする、
請求項2に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項4】
前記荷重調整装置は、前記遮断領域において、前記第2操作部材が前記第2位置に近いほど前記第2操作部材の操作荷重を小さくする、
請求項3に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項5】
前記操作領域は、前記第1位置と前記漸減領域との間の遊び領域をさらに含み、
前記制御装置は、前記第2操作部材の操作量が前記遊び領域にあるとき、前記電動モータの駆動力または回生制動力を低減しない、
請求項2に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項6】
前記荷重調整装置は、前記漸減領域において、前記第2操作部材の操作荷重の増加率が前記遊び領域における前記第2操作部材の操作荷重の増加率よりも大きくなるように前記第2操作部材の操作荷重を変化させる
請求項5に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項7】
前記第2操作部材は、初期位置である第1位置と、前記第1位置から最も離れた第2位置との間の操作領域で操作可能であり、
前記操作領域は、前記第1位置と前記第2位置との間の遊び領域と、前記遊び領域と前記第2位置との間の漸減領域を含み、
前記制御装置は、前記第2操作部材の操作量が前記遊び領域にあるときは、前記電動モータの駆動力または回生制動力を低減せずに、前記第2操作部材の操作量が前記漸減領域にあるときは、前記電動モータの駆動力または回生制動力を低減させ、
前記荷重調整装置は、前記漸減領域において、前記第2操作部材の操作荷重の増加率が前記遊び領域における前記第2操作部材の操作荷重の増加率よりも大きくなるように前記第2操作部材の操作荷重を変化させる、
請求項1に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項8】
前記第1操作部材が配置される第1ハンドルグリップと、車幅方向の中心に対して前記第1ハンドルグリップと反対側の第2ハンドルグリップと、前記第2ハンドルグリップの前方に配置されるブレーキレバーとを含むステアリング装置をさらに備え、
前記第2操作部材は、前記ブレーキレバーに配置されている、
請求項1に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項9】
前記第2操作部材は、レバー状の操作部材である、
請求項1に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第1操作部材が操作されており、且つ前記第2操作部材が前記遮断領域又は前記漸減領域から前記第1位置まで操作されたときの前記第2操作部材の操作速度が所定の閾値以上の場合、前記電動モータの駆動力が前記第1操作部材の操作量に応じて設定された駆動力よりも大きくなるように前記電動モータの駆動力を制御する、
請求項3に記載の鞍乗型電動車両の制御システム。
【請求項11】
車両を駆動するための電動モータと、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の制御システムと、
を備える、鞍乗型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型電動車両の制御システム及び鞍乗型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源として電動モータを有する鞍乗型電動車両において、レバー状の操作部材を介して電動モータの駆動力を制御することが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6946549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型電動車両における電動モータの駆動力を制御するための操作部材において、操作性の向上が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、電動モータの駆動力を制御するための操作部材の操作性を高めることができる鞍乗型電動車両の制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型電動車両の制御システムは、車両を駆動するための電動モータを備える鞍乗型電動車両の制御システムである。鞍乗型電動車両の制御システムは、第1操作部材と、第2操作部材と、制御装置と、荷重調整装置とを備える。第1操作部材は、電動モータの駆動力を制御するための操作部材である。第2操作部材は、電動モータの駆動力または回生制動力を低減させるための操作部材である。制御装置は、第1操作部材の操作に応じて電動モータの駆動力を制御し、第2操作部材の操作に応じて電動モータの駆動力または回生制動力を低減させる。荷重調整装置は、第2操作部材の操作量に基づく電動 モータの駆動力または回生制動力の低減量に応じて第2操作部材の操作荷重を変化させる。
【0007】
本態様に係る鞍乗型電動車両の制御システムでは、荷重調整装置は、第2操作部材の操作量に基づく電動モータの駆動力または回生制動力の低減量に応じて第2操作部材の操作荷重を変化させる。すなわち、第2操作部材の操作量に対応する第2操作部材の操作荷重が電動モータの駆動力または回生制動力の低減量に応じて変化するので、例えば操作荷重が一定の場合と比べて、操作者は、第2操作部材を操作している感覚を得やすくなる。この結果、第2操作部材の操作性を高めることができる。
【0008】
第2操作部材は、初期位置である第1位置と、第1位置から最も離れた第2位置との間の操作領域で操作可能であってもよい。操作領域は、第1位置と第2位置との間の漸減領域を含んでもよい。制御装置は、漸減領域において、第2操作部材が第2位置に近いほど電動モータの駆動力または回生制動力を低減させてもよい。荷重調整装置は、漸減領域において、第2操作部材が第2位置に近いほど第2操作部材の操作荷重を大きくしてもよい。この場合は、操作荷重が大きくなるほど電動モータの駆動力または回生制動力の低減量が大きくなるので、第2操作部材の操作性がさらに高まる。
【0009】
操作領域は、漸減領域と第2位置との間の遮断領域を含んでもよい。制御装置は、第2操作部材の操作量が遮断領域にあるとき、電動モータの駆動力または回生制動力を遮断してもよい。荷重調整装置は、遮断領域における第2操作部材の操作荷重を漸減領域における第2操作部材の最大荷重よりも小さくしてもよい。この場合は、第2操作部材の操作領域が漸減領域から遮断領域に変化したことを操作者が感覚で感じることができるので、第2操作部材の操作性がさらに高まる。
【0010】
荷重調整装置は、遮断領域において、第2操作部材が第2位置に近いほど第2操作部材の操作荷重を小さくしてもよい。この場合は、第2操作部材の操作領域が漸減領域から遮断領域に変化したことを操作者が感覚で感じることがさらに容易になる。
【0011】
操作領域は、第1位置と漸減領域との間の遊び領域をさらに含んでもよい。制御装置は、第2操作部材の操作量が遊び領域にあるとき、電動モータの駆動力または回生制動力を低減しなくてもよい。この場合は、遊び領域によって第2操作部材の誤操作を抑制できる。
【0012】
荷重調整装置は、漸減領域において、第2操作部材の操作荷重の増加率が遊び領域における第2操作部材の操作荷重の増加率よりも大きくなるように第2操作部材の操作荷重を変化させてもよい。この場合は、第2操作部材の操作領域が遊び領域から遮断領域に変化したことを操作者が感覚で感じることができるので、第2操作部材の操作性がさらに高まる。
【0013】
鞍乗型電動車両の制御システムは、ステアリング装置をさらに備えてもよい。ステアリング装置は、第1操作部材が配置される第1ハンドルグリップと、車幅方向の中心に対して前記第1ハンドルグリップと反対側の第2ハンドルグリップと、前記第2ハンドルグリップの前方に配置されるブレーキレバーとを含んでもよい。第2操作部材は、ブレーキレバーに配置されてもよい。この場合は、第2操作部材を操作する手の親指が第2ハンドルグリップから離れることを抑制できる。すなわち、第2ハンドルグリップを握った状態で、ブレーキレバーに第1指を掛けて、第1指とは異なる第2指を第2操作部材に掛けることが可能になる。また、第2操作部材をブレーキレバーとともに操作することが可能になる。
【0014】
第2操作部材は、レバー状の操作部材であってもよい。この場合は、第2操作部材の操作性を高めることができる。
【0015】
制御装置は、第1操作部材が操作されており、且つ第2操作部材が遮断領域又は漸減領域から第1位置まで操作されたときの第2操作部材の操作速度が所定の閾値以上の場合、電動モータの駆動力が第1操作部材の操作量に応じて設定された駆動力よりも大きくなるように電動モータの駆動力を制御してもよい。この場合は、例えば、第2操作部材を遮断領域から瞬時に第1位置に戻したときに、瞬時的に大きな駆動力を得ることができるので、鞍乗型電動車両の多様な走行態様を実現できる。
【0016】
本発明の他の態様に係る鞍乗型電動車両は、車両を駆動するための電動モータと、上記の制御システムとを備える。これにより、上記の制御システムを備える鞍乗型電動車両を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、鞍乗型電動車両の制御システムにおいて、電動モータの駆動力を制御するための操作部材の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】鞍乗型電動車両の側面図である。
図2】ステアリング装置の部分平面図である。
図3】制御システムのブロック図である。
図4】第2操作部材の操作量と第2操作部材の操作荷重との関係の一例を示すグラフである。
図5】駆動力または回生制動力と第2操作部材の操作量との関係の一例を示すグラフである。
図6】駆動力と第2操作部材の操作速度との関係の一例を示すグラフである。
図7】荷重調整装置を説明するための模式図である。
図8】荷重調整装置を説明するための模式図である。
図9】荷重調整装置を説明するための模式図である。
図10】第2操作部材を操作するときの手の状態を模式的に示す図である。
図11】第2操作部材を操作するときの手の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施形態に係る鞍乗型電動車両の制御システムについて説明する。図1は、実施形態に係る制御システム10を備える鞍乗型電動車両1の側面図である。鞍乗型電動車両1は、電動二輪車である。鞍乗型電動車両1は、例えば、電動四輪車、電動三輪車、電動雪上車などの他の形態の電動車両であってもよい。
【0020】
鞍乗型電動車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置3と、シート4と、前輪5と、後輪6と、電動モータ7と、バッテリ8とを備えている。
【0021】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12とを含む。ヘッドパイプ11は、車幅方向における車両中央に配置されている。メインフレーム12は、ヘッドパイプ11に接続されている。メインフレーム12は、ヘッドパイプ11から後方に延びている。
【0022】
ステアリング装置3は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持されている。ステアリング装置3は、前輪5を回転可能に支持している。ステアリング装置3は、図1及び図2に示すように、ステアリングシャフト13と、フロントフォーク14と、ハンドルバー15と、第1ハンドルグリップ16と、第2ハンドルグリップ17と、第1ブレーキレバー18と、第2ブレーキレバー19とを含む。
【0023】
ステアリングシャフト13は、ヘッドパイプ11に挿入されている。フロントフォーク14は、ステアリングシャフト13に接続されており、前輪5を回転可能に支持している。
【0024】
ハンドルバー15は、車幅方向に延びている。ハンドルバー15は、ステアリングシャフト13に固定されている。第1ハンドルグリップ16は、車幅方向の中心に対して右側に配置されている。第2ハンドルグリップ17は、車幅方向の中心に対して第1ハンドルグリップ16と反対側に配置されている。すなわち、第2ハンドルグリップ17は、車幅方向の中心に対して左側に配置されている。
【0025】
第1ブレーキレバー18は、第1ハンドルグリップ16の前方に配置されている。第1ブレーキレバー18は、前輪5のブレーキを操作するための操作部材である。第2ブレーキレバー19は、第2ハンドルグリップ17の前方に配置されている。第2ブレーキレバー19は、後輪6のブレーキを操作するための操作部材である。
【0026】
シート4は、ヘッドパイプ11の後方に配置されている。前輪5は、フロントフォーク14に回転可能に支持されている。後輪6は、スイングアームを介して、メインフレーム12に回転可能に支持されている。後輪6は、電動モータ7からの駆動力によって回転する。
【0027】
電動モータ7は、車体フレーム2に取り付けられている。電動モータ7は、例えば、減速機及びチェーンなどで構成される動力伝達経路を介して、後輪6に接続されている。電動モータ7は、バッテリ8から供給される電力によって駆動される。電動モータ7は、例えば三相交流モータである。電動モータ7は、車両の減速時において、後輪6の回転力により発電する発電機として機能する。
【0028】
バッテリ8は、電動モータ7の上方に配置されている。バッテリ8は、電動モータ7に電力を供給する。
【0029】
図3は、制御システム10のブロック図である。制御システム10は、第1操作部材21と、第2操作部材22と、アクセルポジションセンサ23と、レバーポジションセンサ24と、車速センサ25と、制御装置26と、モータ駆動装置27と、荷重調整装置28とを含む。
【0030】
第1操作部材21は、第1ハンドルグリップ16に配置されている。第1操作部材21は、電動モータ7の駆動力(電動モータ7が出力するトルク)を制御するための操作部材である。第1操作部材21は、ハンドルバー15対して回動可能なアクセルグリップである。第1操作部材21は、第1ハンドルグリップ16と一体的に回動可能である。
【0031】
第2操作部材22は、電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減させるための操作部材である。第2操作部材22は、レバー状の操作部材である。第2操作部材22は、第2ブレーキレバー19に配置されている。第2操作部材22は、第2ブレーキレバー19の上方に配置されている。第2操作部材22は、略車両上下方向に延びる回動軸29に回動可能に支持されている。
【0032】
第2操作部材22は、初期位置である第1位置(図2の実線で示す位置)と、第1位置から最も離れた第2位置(図2の破線で示す位置)との間の操作領域で操作可能である。第2操作部材22は、第1位置と第2位置との間で回動操作可能である。第2操作部材22は、例えば、捩りばね30(図7参照)によって第1位置に向けて付勢されている。
【0033】
図4は、第2操作部材22の操作量と第2操作部材22の操作荷重との関係の一例を示すグラフである。図4に示すように、本実施形態では、第2操作部材22の操作領域は、3つの領域に分割されている。詳細には、第2操作部材22の操作領域は、遊び領域と、漸減領域と、遮断領域とを含む。
【0034】
遊び領域は、第1位置と漸減位置との間の領域である。漸減領域は、遊び領域と遮断領域との間の領域である。遮断領域は、漸減領域と第2位置との間の領域である。第2操作部材22の操作量は、第2位置に近づくほど大きくなる。漸減領域に対応する第2操作部材22の操作量は、遊び領域に対応する第2操作部材22の操作量よりも大きい。遮断領域に対応する第2操作部材22の操作量は、漸減領域に対応する第2操作部材22の操作量よりも大きい。
【0035】
アクセルポジションセンサ23は、第1操作部材21の操作量(回転位置)を検知して、操作量に応じた信号を制御装置26に出力する。アクセルポジションセンサ23は、例えば、ポテンショメータである。
【0036】
レバーポジションセンサ24は、第2操作部材22の操作量(位置)を検知して、操作量に応じた信号を制御装置26に出力する。レバーポジションセンサ24は、例えば、ポテンショメータである。
【0037】
車速センサ25は、車速を検出して車速に応じた信号を制御装置26に出力する。
【0038】
制御装置26は、第1操作部材21の操作に応じて電動モータ7の駆動力を制御する。制御装置26は、車両の減速時において、電動モータ7を回生制御する。制御装置26は、第2操作部材22の操作に応じて電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減させる。制御装置26は、アクセルポジションセンサ23から出力される信号に応じて電動モータ7の駆動力を制御する。制御装置26は、レバーポジションセンサ24から出力される信号に応じて電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減させる。
【0039】
制御装置26は、第1操作部材21の操作に応じて電動モータ7の駆動力を制御しているときに第2操作部材22が操作されると、第2操作部材22の操作量に応じて電動モータ7の駆動力を低減させる。
【0040】
制御装置26は、第1操作部材21の操作が止められて車両が減速しているときに第2操作部材22が操作されると、第2操作部材22の操作量に応じて電動モータ7の回生制動力を低減させる。
【0041】
図5は、第2操作部材22の操作量と電動モータ7の駆動力または回生制動力との関係の一例を示すグラフである。図5に示すように、制御装置26は、第2操作部材22の操作量が遊び領域にあるとき、電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減しない。制御装置26は、第2操作部材22の操作量が漸減領域にあるとき、電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減させる。制御装置26は、漸減領域において、第2操作部材22が第2位置に近いほど電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減させる。すなわち、制御装置26は、漸減領域において、第2操作部材22の操作量が大きいほど電動モータ7の駆動力または回生制動力を低減させる。制御装置26は、第2操作部材22の操作量が遮断領域にあるとき、電動モータ7の駆動力または回生制動力を遮断する。
【0042】
図6は、第2操作部材22の操作速度と電動モータ7の駆動力との関係の一例を示すグラフである。制御装置26は、第1操作部材21が操作されており、且つ第2操作部材22が遮断領域又は漸減領域から第1位置まで操作されたときの第2操作部材22の操作速度が所定の閾値以上の場合、電動モータ7の駆動力が第1操作部材21の操作量に応じて設定された駆動力(目標駆動力)よりも大きくなるように電動モータ7の駆動力を制御する。例えば、走行中に第1操作部材21が操作されており、且つ第2操作部材22の操作量が遮断領域にある時は、第1操作部材21の操作量に応じて設定された電動モータ7の駆動力は、後輪6に伝達されない。このとき、第2操作部材22が瞬時に第1位置まで戻された場合、制御装置26は、一定時間の間、電動モータ7の駆動力が目標駆動力よりも大きくなるように電動モータ7の駆動力を制御する。例えば、走行中に第1操作部材21が操作されており、且つ第2操作部材22の操作量が漸減領域にあるときに、第2操作部材22が瞬時に第1位置まで戻された場合、制御装置26は、一定時間の間、電動モータ7の駆動力が目標駆動力よりも大きくなるように電動モータ7の駆動力を制御する。第2操作部材22が瞬時に第1位置まで戻された場合とは、例えば、第2操作部材22を遮断領域又は漸減領域まで操作している手の指(図10参照)を第2操作部材22から離したときに、第2操作部材22が捩りばね30の付勢力によって第1位置まで戻る場合である。
【0043】
モータ駆動装置27は、バッテリ8に蓄積されている電力を利用して、制御装置26から入力される指令値に応じた電力を電動モータ7に供給する。モータ駆動装置27は図示しないインバータを含む。モータ駆動装置27は、バッテリ8から供給される直流電流を交流電流に変換して、電動モータ7に供給する。モータ駆動装置27は、車両の減速時に電動モータ7に発電をさせて、制御装置26からの指令値に応じた電力をバッテリ8や他の電装品に供給する。モータ駆動装置27は、コンバータを含み、車両の減速時には、電動モータ7から得られた直流電流を交流電流に変換して、バッテリ8や他の電装品に供給する。
【0044】
荷重調整装置28は、第2操作部材22の操作量に基づく電動モータ7の駆動力または回生制動力の低減量に応じて第2操作部材22の操作荷重を変化させる。なお、以下の説明において、第2操作部材22の操作荷重を単に操作荷重と称する。本実施形態における操作荷重は、捩りばね30の付勢力と荷重調整装置28が第2操作部材22に作用させるモーメントの合算に対応する。
【0045】
図4に示すように、荷重調整装置28は、遊び領域において、第2位置に近いほど操作荷重を大きくする。すなわち、荷重調整装置28は、遊び領域において、第2操作部材22の操作量が大きいほど操作荷重を大きくする。
【0046】
荷重調整装置28は、漸減領域において、第2操作部材22が第2位置に近いほど操作荷重を大きくする。すなわち、荷重調整装置28は、漸減領域において、第2操作部材22の操作量が大きいほど操作荷重を大きくする。図4に示すように、荷重調整装置28は、漸減領域において、操作荷重の増加率が遊び領域における操作荷重の増加率よりも大きくなるように操作荷重を変化させる。詳細には、荷重調整装置28は、漸減領域における第2操作部材22の操作量の増加量に対する操作荷重の増加量が、遊び領域における第2操作部材22の操作量の増加量に対する操作荷重の増加量よりも大きくなるように操作荷重を変化させる。
【0047】
荷重調整装置28は、遮断領域における操作荷重を漸減領域における最大操作荷重よりも小さくする。すなわち、荷重調整装置28は、第2操作部材22の操作量が漸減領域を超えると、操作荷重を小さくする。本実施形態では、荷重調整装置28は、遮断領域において、第2操作部材22が第2位置に近いほど第2操作部材22の操作荷重を小さくする。
【0048】
図7から図9は、荷重調整装置28を説明するための模式図である。図7では、第2操作部材22が遊び領域にあるときを示し、図8では、第2操作部材22が漸減領域にあるときを示し、図9では、第2操作部材22が遮断位置にあるときを示している。
【0049】
荷重調整装置28は、収容部31と、ボール32と、コイルばね33と、カム34とを含む。収容部31、ボール32及びコイルばね33は、第2操作部材22と一体的に移動する。収容部31は、第2操作部材22に固定されている。ボール32は、一部が収容部31に収容されている。ボール32は、カム34に接触する。コイルばね33は、収容部31に収容されている。コイルばね33は、ボール32をカム34に向けて付勢する。
【0050】
カム34は、第2操作部材22の回動に応じて、ボール32を押圧する押圧力が変化するように構成されている。カム34がボール32を押圧する押圧力は、第2操作部材22の操作荷重を増加させる方向に作用する。詳細には、カム34がボール32を押圧する押圧力は、第2操作部材22を図7から図9において時計回りに回転させるモーメントとして作用する。
【0051】
カム34は、第1カム面34aと、第2カム面34bとを含む。第1カム面34aは、第2操作部材22が第1位置から遮断領域に近づくほど、操作荷重を増加させるように構成されている。第2カム面34bは、第1カム面34aに隣接して配置されている。ボール32は、第2操作部材22が遊び領域及び漸減領域にあるときに第1カム面34aに接触する。ボール32は、第2操作部材22が遮断領域にあるときに第2カム面34bに接触する。
【0052】
図7及び図8に示すように、漸減領域において荷重調整装置28が第2操作部材22を時計回りに回転させるモーメントM2は、遊び領域において荷重調整装置28が第2操作部材22を時計回りに回転させるモーメントM1よりも大きい。モーメントM2は、第2操作部材22が第2位置に近いほど大きくなる。
【0053】
図9に示すように、ボール32が第1カム面34aから第2カム面34bに移動したとき、すなわち第2操作部材22が漸減位置から遮断位置に移動したときの荷重調整装置28が第2操作部材22を時計回りに回転させるモーメントM3は、モーメントM2よりも小さい。なお、遮断領域における操作荷重は、操作者が第2操作部材22の操作を止めたときに第2操作部材22が瞬時に第1位置に戻ることが可能な荷重に設定されている。また、操作者が第2操作部材22から手を離して、第2操作部材22が遮断領域から第1位置に瞬時に戻った場合、制御装置26は、第1操作部材21の操作量及び電動モータ7の回転数でのトルク指令値に対応する目標駆動力よりも大きい駆動力を一定時間出力するように電動モータ7の駆動力を制御する。
【0054】
本態様に係る制御システム10では、荷重調整装置28は、第2操作部材22の操作量に基づく電動モータ7の駆動力または回生制動力の低減量に応じて第2操作部材22の操作荷重を変化させる。すなわち、第2操作部材22の操作量に対応する第2操作部材22の操作荷重が電動モータ7の駆動力または回生制動力の低減量に応じて変化するので、例えば、操作荷重が一定の場合と比べて、操作者は、第2操作部材22を操作している感覚を得やすくなる。この結果、第2操作部材22の操作性を高めることができる。
【0055】
荷重調整装置28は、遮断領域における操作荷重を漸減領域における最大操作荷重よりも小さくするので、第2操作部材22の操作領域が漸減領域から遮断領域に変化したことを操作者が感覚で感じることができる。
【0056】
荷重調整装置28は、漸減領域において、操作荷重の増加率が遊び領域における操作荷重の増加率よりも大きくなるように操作荷重を変化させるので、第2操作部材22の操作領域が遊び領域から遮断領域に変化したことを操作者が感覚で感じることができる。
【0057】
第2操作部材22は、レバー状の操作部材であり、第2ブレーキレバー19に配置されている。このため、図10及び図11に示すように、左手の親指で第2ハンドルグリップ17を握った状態で、第2ブレーキレバー19に中指を掛けて、第2操作部材22に人差し指を掛けて第2操作部材22を操作することが可能になる。また、第2操作部材22を第2ブレーキレバー19とともに操作することが可能になる。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
第1操作部材21は、レバー形状やボタン、アクセルペダルなどの形態であってもよい。第2操作部材22は、ボタン、回転可能なグリップ、操作者の足で操作可能なフットレバーなどの形態であってもよい。
【0060】
荷重調整装置28は、構成が変更されてもよい。カム34の配置や形状は変更されてもよい。荷重調整装置28は、電気的な構成によって第2操作部材22の操作荷重を変化させ構成であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 鞍乗型電動車両
3 ステアリング装置
16 第1ハンドルグリップ
17 第2ハンドルグリップ
19 第2ブレーキレバー(ブレーキレバーの一例)
21 第1操作部材
22 第2操作部材
26 制御装置
28 荷重調整装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11