(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085528
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】分析システム、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G01N35/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200082
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】川上 雅之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 大作
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058EA14
2G058GA06
(57)【要約】
【課題】より精密な検出を容易に行う。
【解決手段】バルブ30と、液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替えるポンプ20と、ポンプ20が液体を送液する送液方向およびバルブ30の開閉状態を制御する制御装置10とを有し、制御装置10は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を第1の方向に制御する場合、バルブ30の開閉状態を、ポンプ20と液体を分析する検出器60との間の経路を開とし、試薬液41が貯留された槽40とポンプ20との間の経路を閉とするように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路制御弁と、
液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替えるポンプと、
前記ポンプが前記液体を送液する送液方向および前記経路制御弁の開閉状態を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に制御する場合、前記経路制御弁の開閉状態を、前記ポンプと前記液体を分析する検出器との間の経路を開とし、試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を閉とするように制御する分析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の分析システムにおいて、
前記制御装置は、前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第2の方向に制御する場合、前記経路制御弁の開閉状態を、前記試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を開とするように制御する分析システム。
【請求項3】
請求項2に記載の分析システムにおいて、
前記経路制御弁と前記検出器との間に、前記液体と前記試薬液とを混合する混合コイルを有する分析システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、
前記制御装置は、前記検出器へ所定の物理性状を有する液体が送液されるように、前記ポンプの前記送液方向および前記液体の送液量を制御する分析システム。
【請求項5】
請求項4に記載の分析システムにおいて、
前記ポンプは、モータの回転を用いて前記液体を送液し、
前記制御装置は、前記モータの回転数または回転時間を制御して、前記送液量を制御する分析システム。
【請求項6】
請求項5に記載の分析システムにおいて、
前記ポンプは、ペリスタルティックポンプである分析システム。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、
前記経路制御弁は、三方弁である分析システム。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の分析システムにおいて、
前記経路制御弁は、前記ポンプから前記検出器への送液を制御する第1の弁と、前記槽から前記ポンプへの送液を制御する第2の弁とを有し、
前記制御装置は、前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に制御する場合、前記第1の弁を開状態とし、前記第2の弁を閉状態とし、前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第2の方向に制御する場合、前記第1の弁を閉状態とし、前記第2の弁を開状態とする分析システム。
【請求項9】
請求項1に記載の分析システムにおいて、
前記検出器は、フローインジェクション分析を行う分析システム。
【請求項10】
ポンプが液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替える制御を行う方向制御部と、
前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に制御する場合、制御弁の開閉状態を、前記ポンプと前記液体を分析する検出器との間の経路を開とし、試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を閉とするように制御するバルブ制御部とを有する制御装置。
【請求項11】
ポンプが液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替える処理と、
前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に切り替える場合、制御弁の開閉状態を、前記ポンプと前記液体を分析する検出器との間の経路を開とし、試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を閉とするように制御する処理とを行う制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析システム、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象となる液体の物理性状を判定する方法として、当該液体と試薬液とを混合させ、混合した混合液の状態(例えば、発色の度合い)に基づいて、当該液体の物理性状を判定する方法が用いられている。例えば、第1の分注器を用いてサンプル液とキャリアー液とを混合させ、キャリアー液と混合したサンプル液と、第2の分注器を用いて混合層へ供給された試薬液とを混合層で混合させて、混合した液体の反応を検出する装置が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。このとき、第1の分注器からの供給を制御する三方弁の開閉と、第2の分注器からの供給を制御する三方弁の開閉とが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置は、分注器を用いるため、構成が複雑化して装置が高価となってしまう。また、複数の分注器を用いるため、分注器間の性能のバラつきの影響を受けてしまうおそれがある。このように、上述した技術においては、精密な検出を容易に行うことができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、より精密な検出を容易に行うことができる分析システム、制御装置および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分析システムは、
経路制御弁と、
液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替えるポンプと、
前記ポンプが前記液体を送液する送液方向および前記経路制御弁の開閉状態を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に制御する場合、前記経路制御弁の開閉状態を、前記ポンプと前記液体を分析する検出器との間の経路を開とし、試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を閉とするように制御する。
【0007】
また、本発明の制御装置は、
ポンプが液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替える制御を行う方向制御部と、
前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に制御する場合、制御弁の開閉状態を、前記ポンプと前記液体を分析する検出器との間の経路を開とし、試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を閉とするように制御するバルブ制御部とを有する。
【0008】
また、本発明の制御方法は、
ポンプが液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向と第2の方向とのいずれか一方へ切り替える処理と、
前記ポンプが前記液体を送液する送液方向を前記第1の方向に切り替える場合、制御弁の開閉状態を、前記ポンプと前記液体を分析する検出器との間の経路を開とし、試薬液が貯留された槽と前記ポンプとの間の経路を閉とするように制御する処理とを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、より精密な検出を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の分析システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図1に示した制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図2に示した方向制御部の制御とバルブ制御部の制御との組み合わせの一例を示す図である。
【
図5】
図1に示した検出器が検出した結果の一例を表に示した図である。
【
図6】
図1に示した検出器が検出した結果の一例をグラフに示した図である。
【
図7】本発明の分析システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図8】
図7に示した制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図9A】
図7に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9B】
図7に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図8に示した方向制御部の制御とバルブ制御部の制御との組み合わせの一例を示す図である。
【
図11】本発明の分析システムの第3の実施の形態を示す図である。
【
図12】
図11に示した制御装置に具備された構成要素の一例を示す図である。
【
図13】
図11に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図12に示した方向制御部の制御とバルブ制御部の制御との組み合わせの一例を示す図である。
【
図15】本発明の分析システムの第4の実施の形態を示す図である。
【
図16A】
図15に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図16B】
図15に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図17】第4の実施の形態における方向制御部の制御とバルブ制御部の制御との組み合わせの一例を示す図である。
【
図18】本発明の分析システムの第5の実施の形態を示す図である。
【
図19A】
図18に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図19B】
図18に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図20】第5の実施の形態における方向制御部の制御とバルブ制御部の制御との組み合わせの一例を示す図である。
【
図21】本発明の分析システムの第6の実施の形態を示す図である。
【
図22A】
図21に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図22B】
図21に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図23】第6の実施の形態における方向制御部の制御とバルブ制御部の制御との組み合わせの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0012】
図1は、本発明の分析システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態は
図1に示すように、制御装置10と、ポンプ20と、バルブ30と、試薬液41が貯留された槽40と、混合コイル50と、検出器60とを有する。ポンプ20、バルブ30、槽40、混合コイル50および検出器60は、試料液や試薬液、混合液等の液体が送られる細管を介して互いに接続されている。
【0013】
ポンプ20は、分析対象の液体である試料液をバルブ30への方向(順方向:第1の方向)へ連続して送液する機能と、バルブ30からの液体を順方向と対向する方向(逆方向:第2の方向)へ連続して送液する機能を有する双方向ポンプである。ポンプ20は、制御装置10からの指示信号に従って、送液方向を順方向と逆方向とのいずれか一方へ切り替える。ポンプ20は、モータの回転を用いて送液するものでも良い。モータは、任意の回転数で回転するものであり、例えば、ステッピングモーターまたはサーボモーターであることが好ましい。モータは、自身の回転数を検知する機能を具備していても良い。ポンプ20は、例えば、構造が単純であり、安価であるペリスタルティックポンプが好ましい。
【0014】
バルブ30は、aとbとの間の経路の開閉およびaとcとの間の経路の開閉を制御する経路制御弁である。本形態におけるバルブ30は、三方弁である。バルブ30は、制御装置10からの指示信号に従って、経路の開閉を行う。
【0015】
槽40には、試薬液41が貯留されている。試薬液41は、試料液に混合させて、試料液に発色等の反応を起こさせる試薬である。試薬液41として、例えば、SBT(Sulfo-benzyl-tolidine)試薬が挙げられる。
【0016】
混合コイル50は、試料液と試薬液41とを混合する。混合コイル50は、細管がループ状に形成されたものでも良い。混合コイル50が混合した混合液は検出器60へ供給される。
【0017】
検出器60は、混合液の反応を分析する。検出器60は、例えば、混合液の物理性状を検出するフローインジェクション分析を行う。例えば、試料液に所定の量の試薬液を混合させることで、試料液中の残留塩素が発色し、その発色度合いを検出器60が分析するものでも良い。検出器60にて分析された混合液は廃棄される。
【0018】
制御装置10は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を制御する。制御装置10は、バルブ30の経路の開閉を制御する。
図2は、
図1に示した制御装置10に具備された構成要素の一例を示す図である。
図1に示した制御装置10は
図2に示すように、方向制御部110と、バルブ制御部120とを有する。なお、
図2には、
図1に示した制御装置10が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0019】
方向制御部110は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を、互いに対向する第1の方向(順方向)と第2の方向(逆方向)とのいずれか一方へ切り替える制御を行う。方向制御部110は、検出器60へ所定の物理性状を有する液体が送液されるように、ポンプ20の送液方向および液体の送液量を制御する。こうすることで、方向制御部110は、試料液の物理性状を検出するために当該試料液の量と添加する試薬液の量とを調整する。ポンプ20がモータの回転を用いて送液するものである場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転時間を制御して、送液量を制御する。
【0020】
バルブ制御部120は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が順方向に制御する場合、バルブ30の開閉状態を、ポンプ20からバルブ30へ送液された液体を、バルブ30から検出器60へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部120は、バルブ30のaとcとの間の経路を開状態とする。また、バルブ制御部120は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が逆方向に制御する場合、バルブ30の開閉状態を、槽40からバルブ30へ送液された液体を、バルブ30からポンプ20へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部120は、バルブ30のaとbとの間の経路を開状態とする。
【0021】
以下に、
図1に示した分析システムにおける制御方法について説明する。
図3は、
図1に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ポンプ20がモータの回転を用いて送液し、方向制御部110がモータの回転時間を制御する場合を例に挙げて説明する。なお、方向制御部110がモータの回転数または回転角度を制御しても良い。
【0022】
まず、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS1)。方向制御部110は、分析を行う所定のタイミングになったかどうかを判定する(ステップS2)。分析を行う所定のタイミングになると、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS3)。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS4)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0023】
その後、方向制御部110は、ステップS4の時間の測定の開始から所定の時間(第1の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS5)。この第1の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第1の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS4の時間の測定の開始から第1の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS6)。方向制御部110がステップS4にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第1の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第1の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS7)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0024】
その後、方向制御部110は、ステップS7の時間の測定の開始から所定の時間(第2の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS8)。この第2の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第2の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS7の時間の測定の開始から第2の時間が経過したと判定した場合、検出器60が混合液について分析を行う(ステップS9)。方向制御部110がステップS7にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第2の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、検出器60が混合液について分析を行う。
【0025】
図4は、
図2に示した方向制御部110の制御とバルブ制御部120の制御との組み合わせの一例を示す図である。
図4に示すように、本形態においては、ポンプ20の送液方向とバルブ30の開閉状態との組み合わせとして、2つの状態が存在する。状態1は、ポンプ20の送液方向が順方向であり、バルブ30の開閉状態がaとcとの間の経路が開となる状態である。この状態1とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部120がバルブ30の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御する。状態1は、
図3に示したフローチャートを用いて説明したステップS1の処理とステップS5の処理を行うことで実現される。また、状態2は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ30の開閉状態がaとbとの間の経路が開となる状態である。この状態2とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部120がバルブ30の開閉状態をaとbとの間の経路が開となるように制御する。状態2は、
図3に示したフローチャートを用いて説明したステップS2の処理を行うことで実現される。
【0026】
図5は、
図1に示した検出器60が検出した結果の一例を表に示した図である。
図5に示すように、7種類の試薬液A~Gについて検出器60を用いて試料液の分析を行った。分析方法は、
図1に示した構成で、
図3に示したフローチャートを用いて説明した制御方法で制御装置10がポンプ20およびバルブ30を制御して行う方法である。
図5に示した遊離残留塩素濃度は、試薬液A~Gそれぞれについて従来のDPD(N,N-Diethylphenylene-diamine)法を用いて検出した遊離残留塩素濃度を示す。吸光反応の吸光度ピーク値は、混合液から検出器60が検出した吸光度のピーク値を示す。以下に分析の条件を示す。
・装置の構成:
図1に示した構成。
(・細管プロファイル:内径0.5mm、長さ750mm)
・検出器60:フローセル型吸光光度検出器(検出波長624nm付近)。
・試薬液41:SBT試薬をpH6.0に調整したもの。
(SBT試薬:試料水中の遊離塩素と反応して青色を呈する発色試薬)
・試料液:次亜塩素酸ナトリウム溶液を混合し、残留塩素濃度を調整した水。
・検量方法:手分析によるDPD法(残留塩素濃度の公定法)。
【0027】
図6は、
図1に示した検出器60が検出した結果の一例をグラフに示した図である。
図6は、
図5に示した遊離残留塩素濃度を横軸として、吸光度ピーク値を縦軸として、それぞれの値をプロットしたグラフである。
図6に示すように、遊離残留塩素濃度対吸光度ピーク値について、遊離残留塩素濃度が0.2~2.2mg/Lの範囲で線形の関係が得られ、従来のDPD法で検出された値が本形態で得られることが判明した。
【0028】
このように本形態においては、順方向と逆方向とに送液可能なポンプ20と、試薬液41側と検出器60導入側とを切替える三方弁であるバルブ30とを備え、制御装置10が、ポンプ20が順方向に送液する際に試料液を導入し、ポンプ20が逆方向に送液する際に試薬液41を導入するようにバルブ30の開閉を制御する。制御装置10は、バルブ30のaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液を細管内に導入する。続いて、制御装置10は、バルブ30のaとbとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液41を細管内に導入する。さらに、制御装置10は、バルブ30のaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液と試薬液41とを細管内に連続的に導入し、混合コイル50がこれらを混合させ、その混合液を検出器60まで導く。検出器60が、目的に応じた検出を行い、分析値を得る。このため、簡易な構成であっても、細管に、既知の量の試料液および反応試薬を導入することができ、その結果、より精密な検出を容易に行うことができる。
(第2の実施の形態)
【0029】
図7は、本発明の分析システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態は
図7に示すように、制御装置11と、ポンプ20と、バルブ31,32と、試薬液43が貯留された槽42と、試薬液45が貯留された槽44と、混合コイル50と、検出器60とを有する。ポンプ20、バルブ31,32、槽42,44、混合コイル50および検出器60は、試料液や試薬液、混合液等の液体が送られる細管を介して互いに接続されている。ポンプ20、混合コイル50および検出器60のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0030】
バルブ31,32それぞれは、aとbとの間の経路の開閉およびaとcとの間の経路の開閉を制御する経路制御弁である。本形態におけるバルブ31,32それぞれは、三方弁である。バルブ31,32それぞれは、制御装置11からの指示信号に従って、経路の開閉を行う。
【0031】
槽42,44にはそれぞれ、試薬液43,45が貯留されている。試薬液43,45は、種類が互いに異なる試薬液である。例えば、検出器60が試料液を分析する際に、1種類の試薬液だけでは所望の分析ができず、2種類の試薬液を試料液と混合させる必要がある場合に、
図7に示した形態を利用する。
【0032】
制御装置11は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を制御する。制御装置11は、バルブ31,32の経路の開閉を制御する。
図8は、
図7に示した制御装置11に具備された構成要素の一例を示す図である。
図7に示した制御装置11は
図8に示すように、方向制御部110と、バルブ制御部121,122とを有する。なお、
図8には、
図7に示した制御装置11が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。方向制御部110は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0033】
バルブ制御部121は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が順方向に制御する場合、バルブ31の開閉状態を、ポンプ20からバルブ31へ送液された液体を、バルブ31から検出器60の方向へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部121は、バルブ31のaとcとの間の経路を開状態とする。また、バルブ制御部122は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が順方向に制御する場合、バルブ32の開閉状態を、バルブ31からバルブ32へ送液された液体を、バルブ32から検出器60の方向へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部122は、バルブ32のaとcとの間の経路を開状態とする。
【0034】
また、バルブ制御部121は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が逆方向に制御する場合、バルブ31の開閉状態を、バルブ32からバルブ31へ送液された液体を、バルブ31からポンプ20へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部121は、バルブ31のaとcとの間の経路を開状態とする。または、バルブ制御部121は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が逆方向に制御する場合、槽42からバルブ31へ送液された液体を、バルブ31からポンプ20へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部121は、バルブ31のaとbとの間の経路を開状態とする。また、バルブ制御部122は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が逆方向に制御する場合、バルブ32の開閉状態を、槽44からバルブ32へ送液された液体を、バルブ32からバルブ31の方向へ送液するように制御する。つまり、この場合、バルブ制御部122は、バルブ32のaとbとの間の経路を開状態とする。
【0035】
以下に、
図7に示した分析システムにおける制御方法について説明する。
図9Aおよび
図9Bは、
図7に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ポンプ20がモータの回転を用いて送液し、方向制御部110がモータの回転時間を制御する場合を例に挙げて説明する。なお、方向制御部110がモータの回転数または回転角度を制御しても良い。
【0036】
まず、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121,122それぞれは、バルブ31,32それぞれの開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS11)。方向制御部110は、分析を行う所定のタイミングになったかどうかを判定する(ステップS12)。分析を行う所定のタイミングになると、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121は、バルブ31の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS13)。このとき、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御しても良いし、aとcとの間の経路が開状態となるように制御しても良い。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS14)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0037】
その後、方向制御部110は、ステップS14の時間の測定の開始から所定の時間(第1の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS15)。この第1の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液43とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第1の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液43の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS14の時間の測定の開始から第1の時間が経過したと判定した場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121は、バルブ31の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS16)。方向制御部110がステップS14にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第1の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第1の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121は、バルブ31の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS17)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0038】
その後、方向制御部110は、ステップS17の時間の測定の開始から所定の時間(第2の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS18)。この第2の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液43とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第2の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液43の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS17の時間の測定の開始から第2の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS19)。方向制御部110がステップS17にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第2の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS20)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0039】
その後、方向制御部110は、ステップS20の時間の測定の開始から所定の時間(第3の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS21)。この第3の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液45とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第3の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液45の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS20の時間の測定の開始から第3の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS22)。方向制御部110がステップS20にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第3の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第3の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS23)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0040】
その後、方向制御部110は、ステップS23の時間の測定の開始から所定の時間(第4の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS24)。この第4の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液45とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第4の時間は、試薬液45を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS23の時間の測定の開始から第4の時間が経過したと判定した場合、検出器60が混合液について分析を行う(ステップS25)。方向制御部110がステップS20にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第4の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第4の回転数または回転角度になった場合、検出器60が混合液について分析を行う。
【0041】
図10は、
図8に示した方向制御部110の制御とバルブ制御部121,122の制御との組み合わせの一例を示す図である。
図10に示すように、本形態においては、ポンプ20の送液方向とバルブ31,32の開閉状態との組み合わせとして、3つの状態が存在する。状態1は、ポンプ20の送液方向が順方向であり、バルブ31,32それぞれの開閉状態がaとcとの間の経路が開となる状態である。この状態1とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121,122それぞれがバルブ31,32それぞれの開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御する。状態1は、
図9に示したフローチャートを用いて説明したステップS11の処理とステップS17の処理を行うことで実現される。また、状態2は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ31の開閉状態がaとbとの間の経路が開となる状態である。状態2では、バルブ32の開閉状態は問わない。この状態2とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121がバルブ31の開閉状態をaとbとの間の経路が開となるように制御する。状態2は、
図9に示したフローチャートを用いて説明したステップS12の処理を行うことで実現される。また、状態3は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ31の開閉状態がaとcとの間の経路が開となり、バルブ32の開閉状態がaとbとの間の経路が開となる状態である。この状態3とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121がバルブ31の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御し、バルブ制御部122がバルブ32の開閉状態をaとbとの間の経路が開となるように制御する。状態3は、
図9に示したフローチャートを用いて説明したステップS15の処理を行うことで実現される。
【0042】
このように本形態においては、順方向と逆方向とに送液可能なポンプ20と、試薬液43側と検出器60導入側とを切替える三方弁であるバルブ31と、試薬液45側と検出器60導入側とを切替える三方弁であるバルブ32とを備え、制御装置11が、ポンプ20が順方向に送液する際に試料液を導入し、ポンプ20が逆方向に送液する際に試薬液43または試薬液45を導入するようにバルブ31,32それぞれの開閉を制御する。制御装置11は、バルブ31,32それぞれのaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液を細管内に導入する。続いて、制御装置11は、バルブ31のaとbとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液43を細管内に導入する。所定の時間が経過後、制御装置11は、バルブ31のaとcとの間の経路を開状態とするとともにバルブ32のaとbとの間の経路を開状態として試薬液45を細管内に導入する。さらに、制御装置11は、バルブ31,32それぞれのaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液と試薬液43,45とを細管内に連続的に導入し、混合コイル50がこれらを混合させ、その混合液を検出器60まで導く。検出器60が、目的に応じた検出を行い、分析値を得る。このため、簡易な構成であっても、細管に、既知の量の試料液および反応試薬を導入することができ、その結果、より精密な検出を容易に行うことができる。
(第3の実施の形態)
【0043】
図11は、本発明の分析システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態は
図11に示すように、制御装置12と、ポンプ20と、バルブ33,34と、試薬液41が貯留された槽40と、混合コイル50と、検出器60とを有する。ポンプ20、バルブ33,34、槽40、混合コイル50および検出器60は、試料液や試薬液、混合液等の液体が送られる細管を介して互いに接続されている。ポンプ20、槽40、試薬液41、混合コイル50および検出器60のそれぞれは、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0044】
バルブ33とバルブ34とから、経路の開閉を制御する経路制御弁を構成する。バルブ33は、ポンプ20から検出器60への送液を制御する第1の弁である。バルブ34は、槽40からポンプ20への送液を制御する第2の弁である。バルブ33,34それぞれは、制御装置12からの指示信号に従って開閉を行う。
【0045】
制御装置12は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を制御する。制御装置12は、バルブ33,34それぞれの開閉を制御する。
図12は、
図11に示した制御装置12に具備された構成要素の一例を示す図である。
図11に示した制御装置12は
図12に示すように、方向制御部110と、バルブ制御部123,124とを有する。なお、
図12には、
図11に示した制御装置12が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。方向制御部110は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0046】
バルブ制御部123は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が順方向に制御する場合、バルブ33の開閉状態を開状態とする。また、バルブ制御部123は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が逆方向に制御する場合、バルブ33の開閉状態を閉状態とする。
【0047】
バルブ制御部124は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が順方向に制御する場合、バルブ34の開閉状態を閉状態とする。また、バルブ制御部124は、ポンプ20が液体を送液する送液方向を方向制御部110が逆方向に制御する場合、バルブ34の開閉状態を開状態とする。
【0048】
以下に、
図11に示した分析システムにおける制御方法について説明する。
図13は、
図11に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ポンプ20がモータの回転を用いて送液し、方向制御部110がモータの回転時間を制御する場合を例に挙げて説明する。なお、方向制御部110がモータの回転数または回転角度を制御しても良い。
【0049】
まず、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する(ステップS31)。方向制御部110は、分析を行う所定のタイミングになったかどうかを判定する(ステップS32)。分析を行う所定のタイミングになると、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を閉状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を開状態となるように制御する(ステップS33)。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS34)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0050】
その後、方向制御部110は、ステップS34の時間の測定の開始から所定の時間(第1の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS35)。この第1の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第1の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS34の時間の測定の開始から第1の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する(ステップS36)。方向制御部110がステップS34にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第1の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第1の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS37)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0051】
その後、方向制御部110は、ステップS37の時間の測定の開始から所定の時間(第2の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS38)。この第2の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第2の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS37の時間の測定の開始から第2の時間が経過したと判定した場合、検出器60が混合液について分析を行う(ステップS39)。方向制御部110がステップS37にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第2の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、検出器60が混合液について分析を行う。
【0052】
図14は、
図12に示した方向制御部110の制御とバルブ制御部123,124の制御との組み合わせの一例を示す図である。
図14に示すように、本形態においては、ポンプ20の送液方向とバルブ33,34の開閉状態との組み合わせとして、2つの状態が存在する。状態1は、ポンプ20の送液方向が順方向であり、バルブ33の開閉状態が開となる状態であり、バルブ34の開閉状態が閉となる状態である。この状態1とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123がバルブ33の開閉状態が開となるように制御し、かつ、バルブ制御部124がバルブ34の開閉状態が閉となるように制御する。状態1は、
図13に示したフローチャートを用いて説明したステップS21の処理とステップS25の処理を行うことで実現される。また、状態2は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ33の開閉状態が閉となる状態であり、バルブ34の開閉状態が開となる状態である。この状態2とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部123がバルブ33の開閉状態が閉となるように制御し、かつ、バルブ制御部124がバルブ34の開閉状態が開となるように制御する。状態2は、
図3に示したフローチャートを用いて説明したステップS22の処理を行うことで実現される。
【0053】
このように本形態においては、順方向と逆方向とに送液可能なポンプ20と、検出器60導入側の経路を開閉するバルブ33と、試薬液41側の経路を開閉するバルブ34とを備え、制御装置12が、ポンプ20が順方向に送液する際に試料液を導入し、ポンプ20が逆方向に送液する際に試薬液41を導入するようにバルブ33,34それぞれの開閉を制御する。制御装置12は、バルブ33の開閉状態を開とし、バルブ34の開閉状態を閉とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液を細管内に導入する。続いて、制御装置12は、バルブ33の開閉状態を閉とし、バルブ34の開閉状態を開とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液41を細管内に導入する。さらに、制御装置12は、バルブ33の開閉状態を開とし、バルブ34の開閉状態を閉とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液と試薬液41とを細管内に連続的に導入し、混合コイル50がこれらを混合させ、その混合液を検出器60まで導く。検出器60が、目的に応じた検出を行い、分析値を得る。このため、簡易な構成であっても、細管に、既知の量の試料液および反応試薬を導入することができ、その結果、より精密な検出を容易に行うことができる。
(第4の実施の形態)
【0054】
図15は、本発明の分析システムの第4の実施の形態を示す図である。本形態において、第1の実施の形態においてバルブ30と検出器60との間に設けられていた混合コイル50が、ポンプ20とバルブ30との間に設けられている。制御装置10が具備する構成要素は、第1の実施の形態におけるものと同じである。以下に、
図15に示した分析システムにおける制御方法について説明する。
図16Aおよび
図16Bは、
図15に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ポンプ20がモータの回転を用いて送液し、方向制御部110がモータの回転時間を制御する場合を例に挙げて説明する。なお、方向制御部110がモータの回転数または回転角度を制御しても良い。
【0055】
まず、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS41)。方向制御部110は、分析を行う所定のタイミングになったかどうかを判定する(ステップS42)。分析を行う所定のタイミングになると、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS43)。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS44)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0056】
その後、方向制御部110は、ステップS44の時間の測定の開始から所定の時間(第1の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS45)。この第1の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第1の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS44の時間の測定の開始から第1の時間が経過したと判定した場合、バルブ制御部120は、バルブ30の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS46)。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS47)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0057】
その後、方向制御部110は、ステップS47の時間の測定の開始から所定の時間(第2の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS48)。この第2の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第2の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS47の時間の測定の開始から第2の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御する(ステップS49)。方向制御部110がステップS47にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第2の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS50)。方向制御部110は、制御装置10が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0058】
その後、方向制御部110は、ステップS50の時間の測定の開始から所定の時間(第3の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS51)。この第3の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第3の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS50の時間の測定の開始から第3の時間が経過したと判定した場合、検出器60が混合液について分析を行う(ステップS52)。方向制御部110がステップS50にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第3の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、検出器60が混合液について分析を行う。
【0059】
図17は、第4の実施の形態における方向制御部110の制御とバルブ制御部120の制御との組み合わせの一例を示す図である。
図17に示すように、本形態においては、ポンプ20の送液方向とバルブ30の開閉状態との組み合わせとして、3つの状態が存在する。状態1は、ポンプ20の送液方向が順方向であり、バルブ30の開閉状態がaとcとの間の経路が開となる状態である。この状態1とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部120がバルブ30の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御する。状態1は、
図16Aおよび
図16Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS41の処理とステップS49の処理を行うことで実現される。また、状態2は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ30の開閉状態がaとbとの間の経路が開となる状態である。この状態2とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部120がバルブ30の開閉状態をaとbとの間の経路が開となるように制御する。状態2は、
図16Aおよび
図16Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS43の処理を行うことで実現される。また、状態3は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ30の開閉状態がaとcとの間の経路が開となる状態である。この状態3とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部120がバルブ30の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御する。状態3は、
図16Aおよび
図16Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS46の処理を行うことで実現される。
【0060】
このように本形態においては、順方向と逆方向とに送液可能なポンプ20と、試薬液41側と検出器60導入側とを切替える三方弁であるバルブ30とを備え、制御装置10が、ポンプ20が順方向に送液する際に試料液を導入し、ポンプ20が逆方向に送液する際に試薬液41を導入、混合するようにバルブ30の開閉を制御する。制御装置10は、バルブ30のaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液を細管内に導入する。続いて、制御装置10は、バルブ30のaとbとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液41を細管内に導入する。その後、バルブ30のaとcとの間の経路を開状態として試料液と試薬液41とを混合する。さらに、制御装置10は、バルブ30のaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて混合液を検出器60まで導く。検出器60が、目的に応じた検出を行い、分析値を得る。このため、簡易な構成であっても、細管に、既知の量の試料液および反応試薬を導入することができ、その結果、より精密な検出を容易に行うことができる。
(第5の実施の形態)
【0061】
図18は、本発明の分析システムの第5の実施の形態を示す図である。本形態において、第2の実施の形態においてバルブ32と検出器60との間に設けられていた混合コイル50が、ポンプ20とバルブ31との間に設けられている。制御装置11が具備する構成要素は、第2の実施の形態におけるものと同じである。以下に、
図18に示した分析システムにおける制御方法について説明する。
図19Aおよび
図19Bは、
図18に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ポンプ20がモータの回転を用いて送液し、方向制御部110がモータの回転時間を制御する場合を例に挙げて説明する。なお、方向制御部110がモータの回転数または回転角度を制御しても良い。
【0062】
まず、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121,122それぞれは、バルブ31,32それぞれの開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS61)。方向制御部110は、分析を行う所定のタイミングになったかどうかを判定する(ステップS62)。分析を行う所定のタイミングになると、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121は、バルブ31の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS63)。このとき、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御しても良いし、aとcとの間の経路が開状態となるように制御しても良い。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS64)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0063】
その後、方向制御部110は、ステップS64の時間の測定の開始から所定の時間(第1の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS65)。この第1の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液43とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第1の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液43の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS64の時間の測定の開始から第1の時間が経過したと判定した場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121は、バルブ31の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS66)。方向制御部110がステップS64にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第1の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第1の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121は、バルブ31の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS67)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0064】
その後、方向制御部110は、ステップS67の時間の測定の開始から所定の時間(第2の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS68)。この第2の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液43とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第2の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液43の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS67の時間の測定の開始から第2の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS69)。方向制御部110がステップS67にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第2の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとbとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS70)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0065】
その後、方向制御部110は、ステップS70の時間の測定の開始から所定の時間(第3の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS71)。この第3の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液45とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第3の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液45の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS70の時間の測定の開始から第3の時間が経過したと判定した場合、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する(ステップS72)。方向制御部110がステップS70にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第3の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第3の回転数または回転角度になった場合、バルブ制御部122は、バルブ32の開閉状態を、aとcとの間の経路が開状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS73)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0066】
その後、方向制御部110は、ステップS73の時間の測定の開始から所定の時間(第4の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS74)。この第4の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液45とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第4の時間は、試料液の反応を検出するために試料液に混合させる試薬液45の適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS73の時間の測定の開始から第4の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御する(ステップS75)。方向制御部110がステップS73にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第4の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第4の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS76)。方向制御部110は、制御装置11が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0067】
その後、方向制御部110は、ステップS76の時間の測定の開始から所定の時間(第5の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS77)。この第5の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液45とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第5の時間は、試薬液45を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS76の時間の測定の開始から第5の時間が経過したと判定した場合、検出器60が混合液について分析を行う(ステップS78)。方向制御部110がステップS76にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第5の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第5の回転数または回転角度になった場合、検出器60が混合液について分析を行う。
【0068】
図20は、第5の実施の形態における方向制御部110の制御とバルブ制御部121,122の制御との組み合わせの一例を示す図である。
図20に示すように、本形態においては、ポンプ20の送液方向とバルブ31,32の開閉状態との組み合わせとして、4つの状態が存在する。状態1は、ポンプ20の送液方向が順方向であり、バルブ31,32それぞれの開閉状態がaとcとの間の経路が開となる状態である。この状態1とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部121,122それぞれがバルブ31,32それぞれの開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御する。状態1は、
図19Aおよび
図19Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS61の処理、ステップS66の処理およびステップS75の処理を行うことで実現される。また、状態2は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ31の開閉状態がaとbとの間の経路が開となる状態である。状態2では、バルブ32の開閉状態は問わない。この状態2とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121がバルブ31の開閉状態をaとbとの間の経路が開となるように制御する。状態2は、
図19Aおよび
図19Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS63の処理を行うことで実現される。また、状態3は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ31の開閉状態がaとcとの間の経路が開となり、バルブ32の開閉状態がaとbとの間の経路が開となる状態である。この状態3とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121がバルブ31の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御し、バルブ制御部122がバルブ32の開閉状態をaとbとの間の経路が開となるように制御する。状態3は、
図19Aおよび
図19Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS69の処理を行うことで実現される。また、状態4は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ31の開閉状態がaとcとの間の経路が開となり、バルブ32の開閉状態がaとcとの間の経路が開となる状態である。この状態4とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部121がバルブ31の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御し、バルブ制御部122がバルブ32の開閉状態をaとcとの間の経路が開となるように制御する。状態4は、
図19Aおよび
図19Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS72の処理を行うことで実現される
【0069】
このように本形態においては、順方向と逆方向とに送液可能なポンプ20と、試薬液43側と検出器60導入側とを切替える三方弁であるバルブ31と、試薬液45側と検出器60導入側とを切替える三方弁であるバルブ32とを備え、制御装置11が、ポンプ20が順方向に送液する際に試料液を導入し、ポンプ20が逆方向に送液する際に試薬液43または試薬液45を導入するようにバルブ31,32それぞれの開閉を制御する。制御装置11は、バルブ31,32それぞれのaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液を細管内に導入する。続いて、制御装置11は、バルブ31のaとbとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液43を細管内に導入する。所定の時間が経過後、制御装置11は、バルブ31,32それぞれのaとcとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液と試薬液43とを混合する。その後、制御装置11は、バルブ32のaとbとの間の経路を開状態とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液45を細管内に導入する。そして、制御装置11は、バルブ31,32それぞれのaとcとの間の経路を開状態として試料液と試薬液45とを混合する。さらに、制御装置11は、ポンプ20を順方向に送液させて試料液と試薬液43,45との混合液を検出器60まで導く。検出器60が、目的に応じた検出を行い、分析値を得る。このため、簡易な構成であっても、細管に、既知の量の試料液および反応試薬を導入することができ、その結果、より精密な検出を容易に行うことができる。
(第6の実施の形態)
【0070】
図21は、本発明の分析システムの第6の実施の形態を示す図である。本形態において、第3の実施の形態においてバルブ33と検出器60との間に設けられていた混合コイル50が、ポンプ20とバルブ33,34との間に設けられている。制御装置12が具備する構成要素は、第3の実施の形態におけるものと同じである。以下に、
図21に示した分析システムにおける制御方法について説明する。
図22Aおよび
図22Bは、
図21に示した分析システムにおける制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。ここでは、ポンプ20がモータの回転を用いて送液し、方向制御部110がモータの回転時間を制御する場合を例に挙げて説明する。なお、方向制御部110がモータの回転数または回転角度を制御しても良い。
【0071】
まず、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する(ステップS81)。方向制御部110は、分析を行う所定のタイミングになったかどうかを判定する(ステップS82)。分析を行う所定のタイミングになると、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を閉状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を開状態となるように制御する(ステップS83)。また、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS84)。方向制御部110は、制御装置12が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0072】
その後、方向制御部110は、ステップS84の時間の測定の開始から所定の時間(第1の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS85)。この第1の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第1の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS84の時間の測定の開始から第1の時間が経過したと判定した場合、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する(ステップS86)。方向制御部110がステップS84にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第1の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第1の回転数または回転角度になった場合、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS87)。方向制御部110は、制御装置12が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0073】
その後、方向制御部110は、ステップS87の時間の測定の開始から所定の時間(第2の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS88)。この第2の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第2の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS87の時間の測定の開始から第2の時間が経過したと判定した場合、方向制御部110は、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する(ステップS89)。方向制御部110がステップS87にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第2の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第2の回転数または回転角度になった場合、ポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123は、バルブ33の開閉状態を開状態とし、かつ、バルブ制御部124は、バルブ34の開閉状態を閉状態となるように制御する。続いて、方向制御部110は、時間の測定を開始する(ステップS90)。方向制御部110は、制御装置12が具備するタイマを用いて時間を測定しても良い。また、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度の測定を開始しても良い。
【0074】
その後、方向制御部110は、ステップS90の時間の測定の開始から所定の時間(第3の時間)が経過したかどうかを判定する(ステップS91)。この第3の時間は、ポンプ20の単位時間の回転数(単位時間の送液量)と、試料液と試薬液41とを混合するそれぞれの割合とに基づいて、あらかじめ設定されている。つまり、第3の時間は、試薬液41を混合することで試料液の反応を検出するためのそれぞれの適した量(割合)に応じた時間である。方向制御部110が、ステップS90の時間の測定の開始から第3の時間が経過したと判定した場合、検出器60が混合液について分析を行う(ステップS92)。方向制御部110がステップS90にて、モータの回転数または回転角度の測定を開始した場合、方向制御部110は、モータの回転数または回転角度が所定の回転数または回転角度(第3の回転数または回転角度)になったかどうかを判定し、モータの回転数または回転角度が第3の回転数または回転角度になった場合、検出器60が混合液について分析を行う。
【0075】
図23は、第6の実施の形態における方向制御部110の制御とバルブ制御部123,124の制御との組み合わせの一例を示す図である。
図23に示すように、本形態においては、ポンプ20の送液方向とバルブ33,34の開閉状態との組み合わせとして、3つの状態が存在する。状態1は、ポンプ20の送液方向が順方向であり、バルブ33の開閉状態が開となる状態であり、バルブ34の開閉状態が閉となる状態である。この状態1とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を順方向に制御し、かつ、バルブ制御部123がバルブ33の開閉状態が開となるように制御し、かつ、バルブ制御部124がバルブ34の開閉状態が閉となるように制御する。状態1は、
図22Aおよび
図22Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS81の処理とステップS89の処理を行うことで実現される。また、状態2は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ33の開閉状態が閉となる状態であり、バルブ34の開閉状態が開となる状態である。この状態2とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部123がバルブ33の開閉状態が閉となるように制御し、かつ、バルブ制御部124がバルブ34の開閉状態が開となるように制御する。状態2は、
図22Aおよび
図22Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS83の処理を行うことで実現される。また、状態3は、ポンプ20の送液方向が逆方向であり、バルブ33の開閉状態が開となる状態であり、バルブ34の開閉状態が閉となる状態である。この状態3とするには、方向制御部110がポンプ20の送液方向を逆方向に制御し、かつ、バルブ制御部123がバルブ33の開閉状態が開となるように制御し、かつ、バルブ制御部124がバルブ34の開閉状態が閉となるように制御する。状態3は、
図22Aおよび
図22Bに示したフローチャートを用いて説明したステップS86の処理を行うことで実現される。
【0076】
このように本形態においては、順方向と逆方向とに送液可能なポンプ20と、検出器60導入側の経路を開閉するバルブ33と、試薬液41側の経路を開閉するバルブ34とを備え、制御装置12が、ポンプ20が順方向に送液する際に試料液を導入し、ポンプ20が逆方向に送液する際に試薬液41を導入するようにバルブ33,34それぞれの開閉を制御する。制御装置12は、バルブ33の開閉状態を開とし、バルブ34の開閉状態を閉とするとともにポンプ20を順方向に送液させて試料液を細管内に導入する。続いて、制御装置12は、バルブ33の開閉状態を閉とし、バルブ34の開閉状態を開とするとともにポンプ20を逆方向に送液させて試薬液41を細管内に導入する。所定の時間が経過後、制御装置12は、バルブ33の開閉状態を開とし、バルブ34の開閉状態を閉として試料液と試薬液43とを混合する。その後、制御装置12は、ポンプ20を順方向に送液させて混合液を検出器60まで導く。検出器60が、目的に応じた検出を行い、分析値を得る。このため、簡易な構成であっても、細管に、既知の量の試料液および反応試薬を導入することができ、その結果、より精密な検出を容易に行うことができる。
【0077】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【符号の説明】
【0078】
10,11,12 制御装置
20 ポンプ
30~34 バルブ
40,42,44 槽
41,43,45 試薬液
50 混合コイル
60 検出器
110 方向制御部
120~124 バルブ制御部