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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085536
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】貼付型通信デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20240620BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G06K19/077 224
G06K19/077 144
G06K19/077 280
G06K19/077 296
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200100
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠子
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AA14
5J046AB07
5J046PA07
5J046PA10
(57)【要約】
【課題】伸縮性を有していてもICチップとアンテナとの接続部分の断線を抑制することが可能な貼付型通信デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の貼付型通信デバイス1は、伸縮性を有する伸縮性シート2と、伸縮性を有し、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられる通信用アンテナ3と、第一主面2aに設けられ、通信用アンテナ3に接続されるICチップ4と、伸縮性シート2に重ねて接着され、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、少なくともICチップ4及びICチップ4から延びる通信用アンテナ3のうちICチップ4側に位置する端部と重なる非伸縮性シート5と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する伸縮性シートと、
伸縮性を有し、前記伸縮性シートの第一主面に設けられる通信用アンテナと、
前記第一主面に設けられ、前記通信用アンテナに接続されるICチップと、
前記伸縮性シートに重ねて接着され、前記伸縮性シートの厚さ方向から見て、少なくとも前記ICチップ及び前記ICチップから延びる前記通信用アンテナのうち前記ICチップ側に位置する端部と重なる非伸縮性シートと、
を備える貼付型通信デバイス。
【請求項2】
前記通信用アンテナは、前記ICチップから延びるアンテナ本体と、前記アンテナ本体に接続されるマッチング回路と、を有し、
前記非伸縮性シートは、前記伸縮性シートの厚さ方向から見て、前記マッチング回路と重なる請求項1に記載の貼付型通信デバイス。
【請求項3】
前記通信用アンテナは、前記ICチップに接続される第一アンテナと、前記第一アンテナに対して間隔をあけて配置され、かつ、前記第一アンテナの一部と電磁界結合される部位を有する第二アンテナと、を有し、
前記非伸縮性シートは、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち電磁界結合された部位と重なる請求項1又は請求項2に記載の貼付型通信デバイス。
【請求項4】
前記伸縮性シートには、前記第一主面に沿って伸縮しやすい第一伸縮方向と、前記第一主面に沿って前記第一伸縮方向と直交し、前記第一伸縮方向よりも伸縮し難い第二伸縮方向と、があり、
前記伸縮性シートは、当該伸縮性シートの厚さ方向から見て、前記非伸縮性シートが重なる積層領域と、前記非伸縮性シートが重ならない非積層領域と、を有し、
前記通信用アンテナは、前記非積層領域のうち前記第二伸縮方向において前記積層領域に隣接する伸縮低減領域と、前記積層領域と、の境界線に対して交差するように延びる請求項1又は請求項2に記載の貼付型通信デバイス。
【請求項5】
前記伸縮性シートは、当該伸縮性シートの厚さ方向から見て、前記非伸縮性シートが重なる積層領域と、前記非伸縮性シートが重ならない非積層領域と、を有し、
前記通信用アンテナは、前記積層領域と前記非積層領域との境界線に対して交差するように延び、
前記境界線と交差する前記通信用アンテナの長さは、前記非積層領域に位置する前記通信用アンテナの幅寸法よりも大きい請求項1又は請求項2に記載の貼付型通信デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付型通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ICチップ(集積回路)とこれに接続されたアンテナ(伸縮性配線)を備え、所定の対象物に貼り付けた状態で、対象物の各種情報を外部機器に送信することで対象物を管理する貼付型通信デバイス(貼付タグ)が開示されている。特許文献1の貼付型通信デバイスでは、ICチップ及びアンテナが伸縮性基板に設けられている。これにより、貼付型通信デバイスを貼り付ける対象物が人体の皮膚であっても、伸縮性基板が皮膚の伸縮に追従することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-32733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の貼付型通信デバイスでは、伸縮性基板のうちICチップが搭載された部分も伸縮する。このため、伸縮性基板の伸縮に伴ってICチップとアンテナとの接続部分において断線してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、伸縮性を有していてもICチップとアンテナとの接続部分の断線を抑制することが可能な貼付型通信デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、伸縮性を有する伸縮性シートと、伸縮性を有し、前記伸縮性シートの第一主面に設けられる通信用アンテナと、前記第一主面に設けられ、前記通信用アンテナに接続されるICチップと、前記伸縮性シートに重ねて接着され、前記伸縮性シートの厚さ方向から見て、少なくとも前記ICチップ及び前記ICチップから延びる前記通信用アンテナのうち前記ICチップ側に位置する端部と重なる非伸縮性シートと、を備える貼付型通信デバイスである。
【0007】
前記貼付型通信デバイスにおいて、前記通信用アンテナは、前記ICチップから延びるアンテナ本体と、前記アンテナ本体に接続されるマッチング回路と、を有し、前記非伸縮性シートは、前記伸縮性シートの厚さ方向から見て、前記マッチング回路と重なってもよい。
【0008】
前記貼付型通信デバイスにおいて、前記通信用アンテナは、前記ICチップに接続される第一アンテナと、前記第一アンテナに対して間隔をあけて配置され、かつ、前記第一アンテナの一部と電磁界結合される部位を有する第二アンテナと、を有し、前記非伸縮性シートは、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち電磁界結合された部位と重なってもよい。
【0009】
前記貼付型通信デバイスにおいて、前記伸縮性シートには、前記第一主面に沿って伸縮しやすい第一伸縮方向と、前記第一主面に沿って前記第一伸縮方向と直交し、前記第一伸縮方向よりも伸縮し難い第二伸縮方向と、があり、前記伸縮性シートは、当該伸縮性シートの厚さ方向から見て、前記非伸縮性シートが重なる積層領域と、前記非伸縮性シートが重ならない非積層領域と、を有し、前記通信用アンテナは、前記非積層領域のうち前記第二伸縮方向において前記積層領域に隣接する伸縮低減領域と、前記積層領域と、の境界線に対して交差するように延びてもよい。
【0010】
前記貼付型通信デバイスにおいて、前記伸縮性シートは、当該伸縮性シートの厚さ方向から見て、前記非伸縮性シートが重なる積層領域と、前記非伸縮性シートが重ならない非積層領域と、を有し、前記通信用アンテナは、前記積層領域と前記非積層領域との境界線に対して交差するように延び、前記境界線と交差する前記通信用アンテナの長さは、前記非積層領域に位置する前記通信用アンテナの幅寸法よりも大きくてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、伸縮性を有していてもICチップとアンテナとの接続部分の断線を抑制することが可能な貼付型通信デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係る貼付型通信デバイスを伸縮性シートの第一主面側から見た平面図である。
図2図1に示すII-II線矢印方向に見た断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る貼付型通信デバイスの変形例を示す断面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る貼付型通信デバイスを、非伸縮性シートを透過した状態で示す平面図である。
図5図4に示すV-V線矢印方向に見た断面図である。
図6】本発明の第三実施形態に係る貼付型通信デバイスを、非伸縮性シートを透過した状態で示す平面図である。
図7図6に示すVII-VII線矢印方向に見た断面図である。
図8】本発明の第四実施形態に係る貼付型通信デバイスを、非伸縮性シートを透過した状態で示す平面図である。
図9】本発明の第五実施形態に係る貼付型通信デバイスの第一例の要部を、非伸縮性シートを透過した状態で示す平面図である。
図10】本発明の第五実施形態に係る貼付型通信デバイスの第二例の要部を、非伸縮性シートを透過した状態で示す平面図である。
図11】本発明の第五実施形態に係る貼付型通信デバイスの第三例の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第一実施形態>
以下、図1図2を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
図1図2に示す貼付型通信デバイス1は、人体の皮膚など、任意の対象物の表面に貼り付けられるものである。貼付型通信デバイス1は、伸縮性シート2と、通信用アンテナ3と、ICチップ4と、非伸縮性シート5と、第一接着層6と、第二接着層7と、を備える。
【0014】
伸縮性シート2は、伸縮性を有するシート状の部材である。伸縮性シート2は、その厚さ方向において互いに反対側に向く第一主面2a及び第二主面2bを有する。伸縮性シート2は、第一主面2a、第二主面2bに沿う方向に伸縮しやすい。
【0015】
通信用アンテナ3及びICチップ4は、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられている。通信用アンテナ3は、伸縮性を有しており、伸縮性シート2の伸縮に追従することができる。通信用アンテナ3は、2つのアンテナ本体31を有する。各アンテナ本体31は、導電性を有する直線状の配線によって構成されている。2つのアンテナ本体31は、それぞれICチップ4に接続され、ICチップ4から互いに逆向きに延びている。
なお、伸縮性シート2に設けられるアンテナ本体31の数は、例えば1つであってもよい。また、アンテナ本体31は、例えばミアンダ配線あるいはループ状の配線によって構成されてもよい。
【0016】
通信用アンテナ3及びICチップ4は、RFIDアンテナを構成している。図示しないが、ICチップ4は、各種情報を記憶する記憶部、各種情報を送受信するための制御部などを有してよい。各種情報には、例えば、貼付型通信デバイス1が貼付された対象物を識別するための識別情報、対象物の温度などの取得情報などがある。ICチップ4は、例えば、取得情報を取得するためのセンサ(例えば温度センサ)を有してよい。
【0017】
非伸縮性シート5は、伸縮性を有さない、あるいは、伸縮性シート2よりも伸縮し難いシート状の部材である。厚さ方向から見た非伸縮性シート5の大きさは、伸縮性シート2よりも小さい(特に図1参照)。非伸縮性シート5は、伸縮性シート2に重ねて接着される。この状態において、非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、ICチップ4及びICチップ4側に位置するアンテナ本体31(通信用アンテナ3)の端部(基端部)と重なる。本実施形態において、非伸縮性シート5は、第一接着層6を介して伸縮性シート2の第一主面2aに接着される。このため、非伸縮性シート5は、ICチップ4及びアンテナ本体31の基端部を覆う。
【0018】
アンテナ本体31は、ICチップ4から上記した非伸縮性シート5の外側まで延びている。すなわち、基端部を除くアンテナ本体31は、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、非伸縮性シート5と重ならず、また、非伸縮性シート5によって覆われない。また、アンテナ本体31は、伸縮性シート2のうち非伸縮性シート5が重なる積層領域21と、伸縮性シート2のうち非伸縮性シート5が重ならない非積層領域22との境界線に対して交差するように延びる。
【0019】
第二接着層7は、貼付型通信デバイス1(特に伸縮性シート2)を対象物の表面に貼り付けるための粘着性を有する層である。図2において、第二接着層7は、伸縮性シート2の第二主面2bに設けられている。これにより、伸縮性シート2の第二主面2bが対象物の表面に対向するように、貼付型通信デバイス1を対象物の表面に貼り付けることができる。
【0020】
図示しないが、本実施形態の貼付型通信デバイス1は、例えば伸縮性を有する保護シートをさらに備えてもよい。保護シートは、伸縮性シート2の第一主面2aのうち非伸縮性シート5によって覆われない領域に設けられる。保護シートは、通信用アンテナ3のうち非伸縮性シート5によって覆われない部位を覆うことで、当該通信用アンテナ3を保護する。
【0021】
以上のように構成される本実施形態の貼付型通信デバイス1は、第二接着層7により、伸縮性を有する対象物の表面(例えば人体の皮膚)に好適に貼り付けることができる。伸縮性を有する対象物の表面に貼付型通信デバイス1を貼り付けた状態では、伸縮性シート2が対象物の表面の伸縮に追従することができる。
【0022】
第一実施形態の貼付型通信デバイス1において、伸縮性シート2のうち非伸縮性シート5が重なる積層領域21の伸縮は、非伸縮性シート5によって妨げられる。一方、伸縮性シート2のうち非伸縮性シート5が重ならない非積層領域22は、伸縮することができる。そして、ICチップ4と通信用アンテナ3との接続部分は、非伸縮性シート5によって伸縮性シート2の伸縮が抑制又は防止された積層領域21に位置する。これにより、伸縮性シート2が伸縮しても、ICチップ4と通信用アンテナ3との接続部分の断線を抑制又は防止することができる。
【0023】
第一実施形態において、第二接着層7は、例えば伸縮性シート2の第一主面2aのうち非伸縮性シート5によって覆われない領域(非積層領域22)に設けられてもよいし、さらに、伸縮性シート2の第一主面2aと同じ方向に向く非伸縮性シート5の面に設けられてもよい。第二接着層7が伸縮性シート2の第一主面2aに設けられる場合、第二接着層7は、通信用アンテナ3のうち非伸縮性シート5によって覆われない部位を覆うことで、当該通信用アンテナ3を保護してもよい。
【0024】
第一実施形態において、非伸縮性シート5は、例えば図3に示すように、第一接着層6を介して伸縮性シート2の第二主面2bに接着されてもよい。このような構成であっても、前述した第一実施形態と同じ効果を奏する。
【0025】
なお、図3に例示する貼付型通信デバイス1Cでは、第二接着層7が、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられ、第一主面2aに設けられたICチップ4及び通信用アンテナ3を保護している。
また、図3に例示する貼付型通信デバイス1Cでは、ICチップ4が非伸縮性シート5によって覆われないため、ICチップ4を対象物の表面により近づけて配置することができる。このため、例えば、ICチップ4が温度センサを含む場合には、対象物の温度をより高い精度で測定することが可能となる。
【0026】
なお、図3に例示する貼付型通信デバイス1Cにおいては、例えばICチップ4が第二接着層7によって保護されなくてもよい。言い換えれば、第二接着層7が、ICチップ4の設置領域を除く伸縮性シート2の第一主面2aの領域に設けられてもよい。この場合、第二接着層7などを介さずに、ICチップ4が対象物に接することができる、あるいは、ICチップ4が空隙を介して対象物に対向することができる。これにより、例えば、ICチップ4によって、対象物の温度をさらに高い精度で測定することができる。
【0027】
<第二実施形態>
次に、図4図5を参照して本発明の第二実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
図4図5に示すように、第二実施形態の貼付型通信デバイス1Dにおいて、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられた通信用アンテナ3は、ICチップ4から延びるアンテナ本体31と、アンテナ本体31に接続されるマッチング回路32と、を有する。
図4図5に例示するアンテナ本体31の数は、第一実施形態と同様に2つであり、2つのアンテナ本体31は、ICチップ4から互いに逆向きに延びている。各アンテナ本体31は、ミアンダ配線となっているが、例えば直線状の配線であってもよい。また、例えば、通信用アンテナ3を構成するアンテナ本体31の数が1つであり、当該1つのアンテナ本体31は、その両端がICチップ4に接続されるループ状の配線であってもよい。
【0029】
マッチング回路32は、ICチップ4の両側においてアンテナ本体31に接続されるループ状の配線である。マッチング回路32は、通信用アンテナ3におけるインピーダンスを調整する。
【0030】
伸縮性シート2に重ねて接着される非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、ICチップ4、アンテナ本体31の基端部、及び、マッチング回路32の全体と重なる。本実施形態において、非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の第一主面2aに接着され、ICチップ4、アンテナ本体31の基端部、及び、マッチング回路32の全体を覆う。
【0031】
第二実施形態の貼付型通信デバイス1Dによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第二実施形態の貼付型通信デバイス1Dにおいて、マッチング回路32は、非伸縮性シート5によって伸縮性シート2の伸縮が抑制又は防止された伸縮性シート2の積層領域21に位置する。このため、マッチング回路32が、伸縮性シート2の伸縮に伴って変形することを抑制又は防止することができる。これにより、貼付型通信デバイス1Dの通信特性の低下を抑制又は防止することができる。
【0032】
第二実施形態においても、第二接着層7は、例えば、伸縮性シート2の第一主面2a側に設けられて、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられた通信用アンテナ3を保護してもよい。また、非伸縮性シート5が伸縮性シート2の第二主面2bに接着されてもよい。
【0033】
<第三実施形態>
次に、図6図7を参照して本発明の第三実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0034】
図6図7に示すように、第三実施形態の貼付型通信デバイス1Eにおいて、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられた通信用アンテナ3は、ICチップ4に接続される第一アンテナ34と、第一アンテナ34に対して間隔をあけて配置される第二アンテナ35と、を有する。第一アンテナ34及び第二アンテナ35は、それぞれ導電性を有する配線によって構成されている。第一アンテナ34の一部と、第二アンテナ35の一部とは、電磁界結合されるように、互いに近くに位置し、かつ、互いに平行するように配置される。
【0035】
本実施形態において、第一アンテナ34は、両端がICチップ4に接続されるループ状の配線によって構成されている。図6に例示する第一アンテナ34は、矩形状に形成されており、矩形の一辺にICチップ4が位置している。なお、第一アンテナ34は、例えば円形状など任意の形状に形成されてよい。
【0036】
第二アンテナ35は、ミアンダ配線によって構成されている。第二アンテナ35は、第一アンテナ34の周囲から第一アンテナ34の両側に延びるように設けられている。第二アンテナ35のうち、第一アンテナ34の周囲に位置する部分は、ICチップ4が位置しない第一アンテナ34の矩形の三辺に沿うように配置され、第一アンテナ34の当該部分と電磁界結合される。以下の説明では、第一アンテナ34及び第二アンテナ35のうち電磁界結合される部位を、電磁界結合部位36と呼ぶ。
なお、第二アンテナ35は、例えば直線状の配線によって構成されてよい。また、第二アンテナ35は、例えば第一アンテナ34の矩形の一辺又は二辺に沿うように配置されてよい。なお、第一アンテナ34が円形状の配線である場合、第二アンテナ35は、当該第一アンテナ34の一部に沿うように配置されてよい。
【0037】
伸縮性シート2に重ねて接着される非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、第一実施形態と同様に、ICチップ4、及び、第一アンテナ34のうちICチップ4に接続される端部と重なる。さらに、非伸縮性シート5は、第一アンテナ34及び第二アンテナ35のうち電磁界結合部位36の全体と重なる。本実施形態において、非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の第一主面2aに接着され、ICチップ4、ICチップ4に接続される第一アンテナ34の端部、及び、電磁界結合部位36の全体を覆う。
【0038】
第三実施形態の貼付型通信デバイス1Eによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第三実施形態の貼付型通信デバイス1Eにおいて、第一アンテナ34及び第二アンテナ35のうち電磁界結合された電磁界結合部位36は、非伸縮性シート5によって伸縮性シート2の伸縮が抑制又は防止された積層領域21に位置する。このため、伸縮性シート2が伸縮しても、電磁界結合部位36における第一アンテナ34と第二アンテナ35との相対的な位置関係に変化が生じることを抑制又は防止できる。これにより、貼付型通信デバイス1Eの通信特性の低下を抑制又は防止することができる。
【0039】
また、第三実施形態の貼付型通信デバイス1Eによれば、仮に第二アンテナ35の断線などによって電磁界結合の効果が生じなくなっても、通信特性(通信距離)が低減するものの、第一アンテナ34及びICチップ4の構成を、RFIDとして機能させることが可能である。例えば、第一アンテナ34及びICチップ4の構成により、ICチップ4に記憶された各種情報を外部機器に取得させることができる。
【0040】
第三実施形態の貼付型通信デバイス1Eにおいては、少なくとも電磁界結合の効力を発揮する領域に位置する第一アンテナ34、第二アンテナ35の部位の伸縮が抑制されればよい。このため、非伸縮性シート5は、電磁界結合部位36の全体に限らず、電磁界結合部位36の少なくとも一部と重なればよい。電磁界結合部位36のうち非伸縮性シート5が重なる範囲は、貼付型通信デバイス1Eを貼付する対象物の伸縮の程度や、当該伸縮による通信特性の変化の許容範囲などに応じて適宜設定されてよい。
【0041】
第三実施形態の貼付型通信デバイス1Eには、例えば第二実施形態のマッチング回路32が適用されてもよい。例えば、マッチング回路32を構成するループ状の配線が、ICチップ4の両側において第一アンテナ34に接続されてよい。
【0042】
第三実施形態においても、第二接着層7は、例えば、伸縮性シート2の第一主面2a側に設けられて、伸縮性シート2の第一主面2aに設けられた通信用アンテナ3を保護してもよい。また、非伸縮性シート5が伸縮性シート2の第二主面2bに接着されてもよい。
【0043】
<第四実施形態>
次に、図8を参照して本発明の第四実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
図8に示すように、第四実施形態の貼付型通信デバイス1Fにおいて、伸縮性シート2には、第一、第二主面2a,2bに沿って伸縮しやすい第一伸縮方向Xと、第一、第二主面2a,2bに沿って第一伸縮方向Xと直交し、第一伸縮方向Xよりも伸縮し難い第二伸縮方向Yとがある。すなわち、伸縮性シート2では、第一伸縮方向Xにおける伸縮量が、第二伸縮方向Yにおける伸縮量よりも大きい。本実施形態において、伸縮性シート2は、その厚さ方向から見て、第一伸縮方向Xにおける長さが、第二伸縮方向Yにおける長さよりも長い形状に形成されている。図8において、伸縮性シート2は、長方形状に形成されているが、これに限ることはない。
【0045】
通信用アンテナ3は、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、積層領域21と伸縮低減領域221との境界線BL1に対して交差するように延びる。ここで、伸縮低減領域221は、非積層領域22のうち第二伸縮方向Yにおいて積層領域21に隣接する領域である。図8において、伸縮低減領域221はドット状のハッチングで示されている。伸縮低減領域221では、非積層領域22の他の領域と比較して、非伸縮性シート5によって第一伸縮方向Xへの伸縮が規制される、すなわち、第一伸縮方向Xへの伸縮量が小さい。
【0046】
本実施形態において、非伸縮性シート5は、第一伸縮方向Xに延びる辺と第二伸縮方向Yに延びる辺とを有する矩形状に形成されている。このため、積層領域21と伸縮低減領域221との境界線BL1は、第一伸縮方向Xに直線状に延びている。
通信用アンテナ3は、第一実施形態と同様に、導電性の配線からなり、ICチップ4にそれぞれ接続された2つのアンテナ本体31を有する。そして、各アンテナ本体31のうち積層領域21と伸縮低減領域221とに跨る部分が、第二伸縮方向Yに延びて境界線BL1と直交している。図8において、各アンテナ本体31のうち非積層領域22に位置する他の部分は、第一伸縮方向Xに延びているが、これに限ることはない。
【0047】
第四実施形態の貼付型通信デバイス1Fによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第四実施形態の貼付型通信デバイス1Fにおいて、伸縮性シート2の伸縮低減領域221では、非積層領域22の他の領域と比較して、伸縮性シート2の第一伸縮方向Xへの伸縮量が小さい。このため、伸縮性シート2が第一伸縮方向Xに伸縮しても、通信用アンテナ3のうち伸縮性シート2の積層領域21と伸縮低減領域221との境界線BL1に位置する部位に作用するストレスを軽減することができる。したがって、通信用アンテナ3が、当該境界線BL1において断線することを抑制又は防止することができる。
【0048】
なお、通信用アンテナ3が第一伸縮方向Xに並ぶ積層領域21と非積層領域22との境界線に対して交差するように延びる場合には、通信用アンテナ3のうち、非積層領域22に位置する部位が第一伸縮方向Xに大きく伸縮するが、積層領域21に位置する部位は伸縮しない、あるいは、伸縮し難い。このため、通信用アンテナ3のうち、第一伸縮方向Xに並ぶ積層領域21と非積層領域22との境界線に位置する部位に作用するストレスは大きくなる。すなわち、通信用アンテナ3が当該境界線において断線する可能性がある。
【0049】
第四実施形態の貼付型通信デバイス1Fには、例えば第二、第三実施形態の構成(例えば第二実施形態のマッチング回路32、第三実施形態の電磁界結合部位36が非伸縮性シート5と重なる構成)が適用されてもよい。
【0050】
第四実施形態において、非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の第一主面2a、第二主面2bのいずれに接着されてもよい。また、第二接着層7(図1図3等参照)も、伸縮性シート2の第一主面2a側、第二主面2b側のいずれに設けられてよい。
【0051】
<第五実施形態>
次に、図9図11を参照して本発明の第五実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
図9~11に示すように、第五実施形態の貼付型通信デバイス1G,1H,1Iでは、第一~第四実施形態で示した貼付型通信デバイス1,1C,1D,1E,1Fと同様に、導電性を有する配線からなる通信用アンテナ3が、伸縮性シート2の積層領域21と非積層領域22との境界線BL2に対して交差するように延びている。そして、第五実施形態では、境界線BL2と交差する通信用アンテナ3の長さD1(以下、交差長さD1と呼ぶ。)が、非積層領域22に位置する通信用アンテナ3の幅寸法W2よりも大きい。通信用アンテナ3の幅寸法W2は、伸縮性シート2の厚さ方向から見て、通信用アンテナ3の長手方向に直交する方向(幅方向)における通信用アンテナ3の長さである。通信用アンテナ3の交差長さD1は、境界線BL2上において境界線BL2に沿う方向における通信用アンテナ3の長さである。
【0053】
図9に示す第一例の貼付型通信デバイス1Gでは、通信用アンテナ3のうち境界線BL2と交差する部位37(交差部位37)における幅寸法W1が、交差部位37から離れて位置する通信用アンテナ3の幅寸法W2よりも大きい。これにより、通信用アンテナ3の交差長さD1が、非積層領域22に位置する通信用アンテナ3の幅寸法W2よりも大きくなっている。なお、通信用アンテナ3の交差部位37は、通信用アンテナ3のうち境界線BL2と交差する部位のみであってもよいが、本実施形態では、通信用アンテナ3のうち境界線BL2の両側において境界線BL2の近傍に位置する部位も含む。
【0054】
図9において、通信用アンテナ3の交差部位37は、通信用アンテナ3の他の部位の幅寸法よりも大きい径寸法の円形状に形成されている。なお、通信用アンテナ3の交差部位37の形状は、例えば矩形状など任意であってよい。また、通信用アンテナ3の交差部位37は、図9に例示するように通信用アンテナ3の他の部位の幅方向両端から張り出すように形成されてもよいが、例えば通信用アンテナ3の他の部位の幅方向の一方の端から張り出すように形成されてもよい。また、積層領域21に位置する通信用アンテナ3の幅寸法は、例えば交差部位37における幅寸法以上であってもよい。
【0055】
図10に示す第二例の貼付型通信デバイス1Hでは、通信用アンテナ3の幅寸法W2が、通信用アンテナ3の長手方向において一定である。ただし、通信用アンテナ3のうち境界線BL2と交差する交差部位37は、境界線BL2に対して傾斜するように延びている。これにより、境界線BL2と交差する通信用アンテナ3の交差長さD1が、非積層領域22に位置する通信用アンテナ3の幅寸法W2よりも大きくなっている。
【0056】
図11に示す第三例の貼付型通信デバイス1Iでは、境界線BL2のうち通信用アンテナ3と交差する線分BL21(交差線分BL21)が、屈曲あるいは湾曲している。これにより、境界線BL2の交差線分BL21が、屈曲あるいは湾曲せずに直線状に延びる場合と比較して、境界線BL2と交差する通信用アンテナ3の交差長さD1が長くなる。屈曲あるいは湾曲する境界線BL2の交差線分BL21は、非伸縮性シート5の縁の一部を屈曲させたり湾曲させたりすることで形成することができる。
図11において、境界線BL2の交差線分BL21は、積層領域21側に突出するように屈曲しているが、例えば非積層領域22側に突出するように屈曲してよい。また、境界線BL2の交差線分BL21は、V字状に屈曲しているが、これに限ることはない。境界線BL2の交差線分BL21は、例えばU字状に湾曲してもよいし、S字状に蛇行してもよい。
【0057】
図9図11に示した第一~第三例の構成は、適宜組み合わされてよい。例えば、境界線BL2と交差する通信用アンテナ3の交差部位37は、その幅寸法W1が非積層領域22に位置する通信用アンテナ3の幅寸法W2よりも大きく、かつ、境界線BL2に対して傾斜するように交差してもよい。また、例えば、通信用アンテナ3の交差部位37が境界線BL2に対して傾斜するように交差し、かつ、通信用アンテナ3と交差する境界線BL2の交差線分BL21が屈曲あるいは湾曲してもよい。
【0058】
第五実施形態の貼付型通信デバイス1G,1H,1Iでは、境界線BL2と交差する通信用アンテナ3の交差長さD1が、非積層領域22に位置する通信用アンテナ3の幅寸法W2よりも大きい。これにより、伸縮性シート2が伸縮しても、通信用アンテナ3のうち伸縮性シート2の積層領域21と非積層領域22との境界線BL2に位置する部位に作用するストレスを軽減することができる。したがって、通信用アンテナ3が、当該境界線BL2において断線することを抑制又は防止することができる。
【0059】
第五実施形態において示した構成は、第一~第四実施形態の貼付型通信デバイス1,1C,1D,1E,1Fのいずれにも適用可能である。
【0060】
第五実施形態においても、非伸縮性シート5は、伸縮性シート2の第一主面2a、第二主面2bのいずれに接着されてもよい。また、第二接着層7(図1図3等参照)も、伸縮性シート2の第一主面2a側、第二主面2b側のいずれに設けられてよい。
【0061】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I 貼付型通信デバイス
2 伸縮性シート
2a 第一主面
3 通信用アンテナ
4 ICチップ
5 非伸縮性シート
21 積層領域
22 非積層領域
31 アンテナ本体
32 マッチング回路
34 第一アンテナ
35 第二アンテナ
36 電磁界結合部位
37 交差部位
221 伸縮低減領域
BL1,BL2 境界線
BL21 交差線分
X 第一伸縮方向
Y 第二伸縮方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11