(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085551
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】かご内制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240620BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B66B3/00 L
B66B11/02 P
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200122
(22)【出願日】2022-12-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 英嗣
【テーマコード(参考)】
3F303
3F306
【Fターム(参考)】
3F303BA05
3F303CB24
3F303DA07
3F303DB03
3F303DC25
3F306AA08
3F306AA11
3F306CB05
3F306CB17
3F306CB32
3F306CB50
(57)【要約】
【課題】車いすユーザーが背後を確認しやすくするためのかご内制御システムを提供する。
【解決手段】かご内制御システム100は、報知指示開始信号12を生成する報知指示開始タイミング生成部5、報知指示終了信号11を生成する報知指示終了タイミング生成部4、及び、エレベータのかごに設けられ、報知指示開始信号12を受けるとかごの側面に設置された鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を開始し、報知指示終了信号11を受けると報知を停止する報知装置6を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知指示開始信号を生成する報知指示開始タイミング生成部、
報知指示終了信号を生成する報知指示終了タイミング生成部、及び、
エレベータのかごに設けられ、前記報知指示開始信号を受けると前記かごの内部の側面に設置される鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を開始し、前記報知指示終了信号を受けると前記報知を停止する報知装置を備えるかご内制御システム。
【請求項2】
前記かごの行先階を登録し、その行先階を示す行先階登録情報を生成するかご内操作盤、及び、
前記かごの位置及び前記かごの移動する方向を検出し、前記かごの位置及び前記かごの移動する方向をそれぞれ示すかご位置情報及びかご方向情報を生成するかご位置/方向検出器を備え、
前記報知指示開始タイミング生成部は、前記行先階登録情報、前記かご位置情報及び前記かご方向情報に基づいて前記報知指示開始信号を生成する、請求項1記載のかご内制御システム。
【請求項3】
前記かごのドアの開閉を制御し、前記ドアが閉じられたことを示すドア閉完了信号を出力するドア制御部を備え、
前記報知指示終了タイミング生成部は、前記行先階登録情報、前記かご位置情報及び前記ドア閉完了信号に基づいて前記報知指示終了信号を生成する、請求項2記載のかご内制御システム。
【請求項4】
前記報知装置は、前記鏡の前方の下にある前記かごの床の一部であり前記かごの乗降口よりも前記鏡に近い位置にある領域に設けられ、その床の領域に振動を与える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項5】
前記報知装置は前記かごの天井に設けられ、直立する乗客の顔の付近と等しい高さに位置する前記鏡の領域に光を照射する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項6】
前記かごの内部を撮影するかご内カメラ、及び、
前記かご内カメラにより撮影された映像である映像情報を解析し、車いすユーザー及び前記鏡の前に立つ乗客の双方を検出したとき以外には報知キャンセル指示を出力する映像解析部を備え、
前記映像解析部から前記報知キャンセル指示が出力されると、前記報知装置は前記報知を行わない、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項7】
前記報知指示開始信号を受けると前記鏡の前に立つ乗客の移動先に誘導する誘導表示を前記かごの内部の床面に投影し、前記報知指示終了信号を受けると前記誘導表示の投影を停止する誘導装置を備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項8】
前記報知装置は、乗降口がある前記かごの内部の側面であって前記乗降口より上に設けられ、前記鏡の前に立つ乗客に移動を促すメッセージを表示する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項9】
乗降口を有するかご本体、
前記乗降口と向かい合う前記かご本体の内部の側面に設けられた鏡、
エレベータのかごの内部の天井に設けられ、前記乗降口を含む映像を撮影するかご内カメラ、及び、
前記側面において前記鏡より上に設けられ、前記かご内カメラにより撮影された映像を表示する表示器、
を備えるエレベータのかご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、かご内制御システム及びエレベータのかごに関する。
【背景技術】
【0002】
車いすユーザーに配慮した車いす兼用エレベータでは、エレベータのかごの内部に鏡が設置される。鏡は乗降口と向かい合うかごの内部の側面に設置される。車いすユーザーは、前進してかごに乗車し、後退して降車する。降車する際、車いすユーザーは、鏡を使って、かごのドアが開いているかどうか、他の乗客がいないかどうか等、自身の背後を確認することができる。特許文献1では、鏡として機能するビームスプリッタがその背後に設置された表示装置から表示される情報を透過し、エレベータの乗客に提供する技術が開示されている。かごが移動しているときは表示装置を表示状態にしてエレベータの乗客に情報を提供する。かごが停止し、ドアが開いてから閉じるまでは表示装置が非表示状態となり、車いすユーザーは鏡で背後を確認しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車いすユーザーがかごから降車する際に、鏡の前に他の乗客が立っていると、車いすユーザーは鏡を使って背後を確認しにくい。背後を直接確認するために着座して後ろを振り向くことは車いすユーザーにとって容易ではない。従って本開示は、車いすユーザーが背後を確認しやすくするためのかご内制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るかご内制御システムは、報知指示開始信号を生成する報知指示開始タイミング生成部、報知指示終了信号を生成する報知指示終了タイミング生成部、及び、エレベータのかごに設けられ、報知指示開始信号を受けるとかごの側面に設置された鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を開始し、報知指示終了信号を受けるとその報知を停止する報知装置を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係るかご内制御システムによれば、報知により乗客を鏡の前から移動させることができる。従って車いすユーザーは鏡で背後を確認しやくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係るかご内制御システム100の構成を示すブロック図である。
【
図2】車いすユーザーがかごに乗車した様子を示す概要図である。
【
図4】かごの動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】報知指示終了タイミング生成部4及び報知指示開始タイミング生成部5のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態2に係るかご内制御システム200の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態3に係るかご内制御システム300の構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態5に係るかご内制御システム500の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。図面及び以下の説明において、同一のもの及び実質的に同一のものには同一の符号を付し、同一の符号を付したものの説明は繰り返さない。
【0009】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るかご内制御システム100の構成を示すブロック図である。かご内制御システム100はかごの内部の側面に鏡が設置された車いす兼用エレベータに適用され、かごの内部の動作を制御するためのシステムである。かご内制御システム100は、報知指示終了タイミング生成部4、報知指示開始タイミング生成部5及び報知装置6を備える。報知装置6はかごに設けられ、鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を行う。鏡は、乗客が乗り降りするかごの乗降口と向かい合うかごの内部の側面に設けられるもので、車いすに乗るエレベータの乗客である車いすユーザーが背後を確認するためのものである。なお、かご内制御システムはかご内制御装置と言い換えてもよい。
【0010】
報知指示開始タイミング生成部5は報知指示開始信号12を生成し、報知装置6は報知指示開始信号12を報知指示開始タイミング生成部5から受けると報知を開始する。報知指示終了タイミング生成部4は報知指示終了信号11を生成し、報知装置6は報知指示終了信号11を報知指示終了タイミング生成部4から受けると報知を停止する。具体的には、報知指示開始タイミング生成部5及び報知指示終了タイミング生成部4は、かごのドアが開いている期間に報知装置6が報知を行うように報知指示開始信号12及び報知指示終了信号11をそれぞれ生成する。
【0011】
かご内制御システム100は、ドア制御部1、かご位置/方向検出器2及びかご内操作盤3をさらに備える。ドア制御部1はかごのドアの開閉を制御し、かごのドアを閉じるとドア閉完了信号7を生成する。かご位置/方向検出器2はかごの位置及びかごの移動する方向を検出してかご位置情報8及びかご方向情報9を生成する。かご位置/方向検出器2はセンサ等で構成される。かご位置情報8は、検出されたかごの位置を示すものであり、かごが停止中又は移動中の階で表される。かご方向情報9は、検出されたかごの移動する方向を示すものであり、上り方向又は下り方向で表される。
【0012】
かご内操作盤3は、乗客により操作されて行先階を登録し、その登録された行先階を示す行先階登録情報10を生成する。かご内操作盤3は例えば、車いすユーザーが操作しやすい箇所に設置されるかご内車いす専用操作盤である。ただしかご内車いす専用操作盤は車いすユーザー以外の者が操作することを妨げるものではない。
【0013】
報知指示開始タイミング生成部5は、かご位置/方向検出器2から出力されるかご位置情報8及びかご方向情報9並びにかご内操作盤3から出力される行先階登録情報10に基づいて報知指示開始信号12を生成する。報知指示終了タイミング生成部4は、ドア制御部1から出力されるドア閉完了信号7、かご位置/方向検出器2から出力されるかご位置情報8、及びかご内操作盤3から出力される行先階登録情報10に基づいて報知指示終了信号11を生成する。かごのドアが開いている期間に報知を行うための例として、このように構成される報知指示開始タイミング生成部5及び報知指示終了タイミング生成部4によれば、報知装置6は、かごが登録された行先階に到着する前の段階で報知を開始し、車いすユーザーの降車後ドアが閉じると報知を停止することができる。詳細は後述する。
【0014】
かご内制御システム100が適用されるエレベータのかごについて説明する。
図2及び
図3は乗降口から内部を見たエレベータのかごの概略図である。かごは、乗降口を有するかご本体30と、乗降口と向かい合うかご本体30の内部の側面に設けられた鏡31と、乗降口に設けられて乗降口を開閉する不図示のドアとを備える。車いすユーザーは前進してかごに乗車し、かごが行先階に到着して降車するまで
図2(a)に示すように乗降口を背にしたまま待つことが多い。そして車いすユーザーが鏡31を使って背後を確認しながら後退し、かごを降車する。しかし車いすユーザーが降車しようとする際に、
図2(b)のように鏡31の前に他の乗客が立っていると鏡31が塞がれ、車いすユーザーは背後を確認することが容易ではない。
【0015】
そこで
図3に示すように、実施の形態1に係るかごは、かご本体30、鏡31及びドアと共に上述の報知装置6を備える。報知装置6が鏡の前に立つ乗客に移動を促すための報知を行うことによって乗客が鏡の前から移動すると、車いすユーザーは鏡31を見て背後を確認することができる。
【0016】
図3(a)は報知装置6の第1の例を示しており、報知装置6はかごの内部の床、すなわちかご本体30の内部の床に設けられ、その領域に振動を与えるものである。報知装置6の設けられる領域は、鏡31の前方の下にある床の一部であり、乗降口よりも鏡31に近い位置にある領域である。報知装置6は床に埋め込まれる振動子61で構成される。報知装置6の上に乗客が立つと車いすユーザーから見て鏡31は塞がれる。そこで報知装置6が床に振動を発生させることにより、鏡の前に乗客が立っている場合にはその乗客に移動を促すことができる。
【0017】
図3(b)は報知装置6の第2の例を示しており、報知装置6は直立する乗客の顔の付近と等しい高さに位置する鏡の領域62に光を照射するものである。鏡31の上下方向の幅の中点を通る左右方向の仮想上の中心線を想定すると、領域62はその中心線よりも鏡31の上辺に近い位置にある。報知装置6は例えば、かごの内部の天井、すなわちかご本体30の天井に設けられた複数の光源63で構成される。報知装置6が鏡に向けて光を照射することにより、鏡の前に乗客が立っている場合にはその乗客に移動を促すことができる。なお照射される光は、乗客の顔に照射されても視力等に影響を与えるような強度を有するものでない。
【0018】
報知装置6は、第1の例及び第2の例のいずれか一方でよいが、双方を備えるものであっても構わない。また報知装置6は、鏡の前で立つ乗客に移動を促すメッセ―ジを音声で発する装置でも構わないが、鏡の前で立つ乗客にのみ報知できる点で第1の例及び第2の例の少なくともいずれか一方で構成されるのが望ましい。
【0019】
図3では図示されないが、ドア制御部1、かご内操作盤3、報知指示終了タイミング生成部4及び報知指示開始タイミング生成部5はかごに設けられている。かご位置/方向検出器2もかごに設けられるが、かごの外部に設けられる場合もある。かご内操作盤3は、かご本体30の内部の互いに向かい合う二つの側面であって鏡31に向かって左右にある二つの側面の一方又は双方に設置され、車いすユーザーの手が届く高さに設置されている。
【0020】
図4は、車いすユーザーの行動及びかごの動作を示すタイミングチャートである。まず、車いすユーザーが乗場に設置される車いす専用操作盤で呼び登録を行う(ステップST1)。かごが車いすユーザーの乗車する乗車階に到着して停車する(ステップST2)。ドア制御部1がかごのドアを開けると(ステップST3)、車いすユーザーはかごに乗車し(ステップST4)、かご内でかご内操作盤3の行先階釦を押下する(ステップST5)。この操作によりかご内操作盤3は行先階登録情報10を生成して報知指示開始タイミング生成部5に出力する。次いでドア制御部1がかごのドアを閉めると(ステップST6)、ドア閉完了信号7を生成して報知指示終了タイミング生成部4に出力する。その後、かごが運転を開始する。
【0021】
かごが移動中、かご位置/方向検出器2はかごの位置及びかごの移動方向を検出しており、かご位置情報8及びかご方向情報9を生成して報知指示開始タイミング生成部5に出力する。かご位置情報8は報知指示終了タイミング生成部4にも出力される。報知指示開始タイミング生成部5は、かご方向情報9及び行先階登録情報10から行先階の一つ手前の階を算出する。そして報知指示開始タイミング生成部5は、かご位置情報8がその行先階の一つ手前の階と一致したとき報知指示開始信号12を生成する。従ってかごが行先階の一つ手前の階を通過すると(ステップST7)、報知指示開始タイミング生成部5は報知指示開始信号12を報知装置6に出力し、報知装置6は報知を開始する。
【0022】
例えば、車いすユーザーの乗車階が4階、かご内操作盤3により登録された行先階が7階であるとすると、かごは上方向に移動し始め、報知指示開始タイミング生成部5は、行先階の一つ手前の階が6階であると算出する。かごが6階を通過するときに報知指示開始タイミング生成部5は報知指示開始信号12を生成し、報知装置6は報知を開始する。
【0023】
次いでかごは、登録された行先階に到着して停車する(ステップST8)。ドア制御部1がかごのドアを開けると(ステップST9)、車いすユーザーはかごから降車する(ステップST10)。その後、ドア制御部1がかごのドアを閉める(ステップST11)。
【0024】
かご位置情報8はステップST8~ST11の間は停止中の行先階を示している。よって報知指示開始タイミング生成部5はステップST8で報知指示開始信号12の出力を停止する。しかし報知装置6は報知指示終了信号11を受けるまでは作動し続ける。ドア制御部1は、ステップST9でドア閉完了信号7の出力を停止し、ステップST11で再びドア閉完了信号7を出力する。報知指示終了タイミング生成部4は、かご位置情報8が行先階登録情報10と一致している状態でドア閉完了信号7を受けると報知指示終了信号11を生成する。よって報知装置6はステップST11で報知を停止する。すなわちステップST7からST11の間に報知装置6は作動する。なおドア閉完了信号7を受けている状態においてかご位置情報8が行先階登録情報10と一致したときは、報知指示終了タイミング生成部4は報知指示終了信号11を生成しない。従ってステップST8においてかご位置情報8は行先階登録情報10と一致するが、報知装置6は報知を停止しない。
【0025】
ステップST11の後、かごが移動し始め、かご位置情報8が行先階登録情報10で示される行先階と一致しなくなると、報知指示終了タイミング生成部4は報知指示終了信号11の出力を停止する。報知装置6は次の報知指示開始信号12を受けるまで報知は行わない。
【0026】
図示されないが、かご内操作盤3の他、かごには車いすユーザー以外の乗客向けに別のかご内操作盤も設けられる。この別のかご内操作盤は、乗降口の設けられたかご本体30の側面等、車いすユーザーが操作することが難しい箇所に設けられている。この別のかご内操作盤から行先階が登録された場合には報知装置6は作動しないようにするとよい。
【0027】
図5は、報知指示終了タイミング生成部4及び報知指示開始タイミング生成部5のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5(a)に示されるように、報知指示終了タイミング生成部4及び報知指示開始タイミング生成部5は、プロセッサ70、メモリ71及びバス72により構成される。プロセッサ70はプログラムに従って処理を行い、報知指示終了信号11及び報知指示開始信号12を生成する。当該プログラムはメモリ71に記憶されており、バス72を介してプロセッサ70に与えられる。プロセッサ70は例えば中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)であり、メモリ71はRAM(Randam Access Memory)等の揮発性メモリ、及びROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む記憶装置である。
【0028】
ドア閉完了信号7、かご位置情報8、かご方向情報9及び行先階登録情報10は、図示されないインターフェース回路で受信され、バス72を介してメモリ71に記憶される。プロセッサ70は、これら情報をメモリ71から読み込んで処理を行う。プロセッサ70により生成された報知指示終了信号11及び報知指示開始信号12はバス72を介して図示されない別のインターフェース回路に送信され、さらに報知装置6に送信される。報知指示終了信号11及び報知指示開始信号12は、別々の信号線を介して報知装置6に送信されてもよい。または、報知指示終了信号11及び報知指示開始信号12は、報知装置6によって区別可能なものであれば共通の信号線で報知装置6へ送信されてもよい。
【0029】
図5(a)のようにプロセッサ70及びメモリ71を有する構成は、他の電気機器又は電子機器の制御にも使用可能なマイクロコンピュータ等で実現される。しかしこれに限らず、報知指示終了タイミング生成部4及び報知指示開始タイミング生成部5は、
図5(b)のように、専用の処理回路73で実現することもできる。
【0030】
実施の形態1に係るかご内制御システム100には次の効果がある。
【0031】
かご内制御システム100は、エレベータのかごに設けられる報知装置6を備える。報知装置6は鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を行う。報知装置6は、報知指示開始タイミング生成部5から報知指示開始信号12を受けると報知を開始し、報知指示終了タイミング生成部4から報知指示終了信号11を受けるとその報知を停止する。報知装置6の報知により乗客が鏡の前から移動させることができるので、車いすユーザーは鏡で背後を確認することができる。
【0032】
報知指示開始タイミング生成部5及び報知指示終了タイミング生成部4は、かごのドアが開いている期間に報知装置6が報知を行うようにそれぞれ報知指示開始信号12及び報知指示終了信号11を生成する。車いすユーザーがかごから降車する際に、報知装置6が鏡の前に立つ乗客の移動を促すので、鏡の前から乗客を移動させることができる。従って車いすユーザーは容易に降車することができる。
【0033】
報知指示開始タイミング生成部5は特に、行先階登録情報10、かご位置情報8及びかご方向情報9に基づいて報知指示開始信号12を生成する。報知装置6はかごが行先階に到着する前の行先階に近づいたときに報知を開始することができる。よってかごが行先階に到着して車いすユーザーが降車するときには鏡の前から乗客がすでに移動していることが期待できる。従って車いすユーザーはかごのドアが開くと速やかに降車することができる。
【0034】
報知指示終了タイミング生成部4は特に、行先階登録情報10、かご位置情報8及びドア閉完了信号7に基づいて報知指示終了信号11を生成する。車いすユーザーが降車した後にドアが閉じるときに報知装置6は報知を停止することができる。よって不必要に報知装置6は報知を続けることがなく、車いすユーザーの降車後に乗客が鏡の前に立つことを妨げない。
【0035】
実施の形態2.
図6は実施の形態2に係るかご内制御システム200の構成を示すブロック図である。かご内制御システム200は、かご内カメラ13、映像解析部14及び報知指示キャンセル部17を備える。かご内カメラ13はかご(かご本体30)の内部に設けられ、かごの内部を撮影する。かご内カメラ13は撮影した映像を示す映像情報15を出力する。映像解析部14は映像情報を解析する。映像解析部14は、映像内に車いすユーザー及び鏡の前に立つ乗客の双方を検出したとき以外には報知キャンセル指示16を出力する。報知指示キャンセル部17は、報知キャンセル指示16がないときに報知指示終了信号11及び報知指示開始信号12をそれぞれ報知指示終了信号18及び報知指示開始信号19として報知装置6へ出力する。報知装置6は報知指示開始信号19を受けると報知を開始し、報知指示終了信号18を受けると報知を停止する。
【0036】
しかし報知指示キャンセル部17は、映像解析部14から報知キャンセル指示16を受けると、報知指示終了信号11及び報知指示開始信号12に拘わらず報知指示終了信号18及び報知指示開始信号19をそれぞれ無効化する。従って、映像解析部14から報知キャンセル指示16が出力されると報知装置6は作動しない。つまり、映像解析部14が車いすユーザー及び鏡の前に立つ乗客の双方を映像内に検出しない限り、報知装置6は鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を行わない。映像解析部14及び報知指示キャンセル部17はかごに設けられ、
図5に示されるハードウェアにより実現される。
【0037】
かご内制御システム200のその他の構成はかご内制御システム100と同じであるのでその説明を繰り返さない。
【0038】
実施の形態2に係るかご内制御システム200によれば、映像解析部14がかご内カメラ13により撮影された映像である映像情報を解析し、車いすユーザー及び前記鏡の前に立つ乗客の双方を検出しない限り報知装置6は報知を行わない。従って、報知装置6は不必要なときに報知を行わずに済む。例えば、かご内操作盤3から行先階が登録されたが車いすユーザーが乗車していない場合、報知装置6は作動しない。よって乗客が鏡の前に立っている状態でかごが登録された行先階に到着しても、乗客は移動を促されない。
【0039】
報知キャンセル指示16によって報知装置6に報知を行わせない制御は、
図6以外の構成でも可能であり、例えば、報知指示キャンセル部17の機能が報知指示開始タイミング生成部5及び報知指示終了タイミング生成部4に組み込まれる構成でも実現される。このとき報知指示キャンセル部17は削除され、映像解析部14から出力される報知キャンセル指示16は報知指示開始タイミング生成部5及び報知指示終了タイミング生成部4に送信される。報知装置6は、報知指示開始信号12及び報知指示終了信号11を受ける。報知指示開始タイミング生成部5は、報知キャンセル指示16を受けている場合には、かご位置情報8、かご方向情報9及び行先階登録情報10に拘わらず報知指示開始信号12を生成しないようにする。報知指示終了タイミング生成部4は、報知キャンセル指示16を受けている場合には、ドア閉完了信号7、かご位置情報8及び行先階登録情報10に拘わらず報知指示終了信号11を生成しないようにする。
【0040】
また報知装置6が報知指示開始信号12、報知指示終了信号11及び報知キャンセル指示16を受ける構成でもよい。このとき報知指示キャンセル部17が削除され、報知装置6は、報知キャンセル指示16を受けている場合には、報知指示開始信号12及び報知指示終了信号11に拘わらず作動しないようにする。
【0041】
なお、かご内カメラ13はかご内を監視しその映像情報を管理室に送信する或いは記憶装置に記憶する監視カメラとしても使用することができる。
【0042】
実施の形態3.
図7は実施の形態3に係るかご内制御システム300の構成を示すブロック図である。かご内制御システム300は誘導装置20を備える。誘導装置20は報知指示終了信号11を受けるとかご(かご本体30)の内部の床面に誘導表示を投影する。誘導装置20は例えば、かごの天井に設けられる。誘導表示は、鏡の前に立っている乗客を移動先に案内するもので、一例として、その移動先の場所に投影される「移動先」の文字表示である。誘導装置20は報知指示終了信号11を受けると、誘導表示の投影を停止する。つまり誘導装置20は報知装置6に連動して誘導表示の投影を行う。かご内制御システム300のその他の構成はかご内制御システム100と同じであるのでその説明を繰り返さない。
【0043】
誘導装置20は実施の形態2に係るかご内制御システム200にも適用されてもよい。このとき、誘導装置20は報知指示開始信号19を受けるとかごの床面に誘導表示を投影し、報知指示終了信号18を受けるとその投影を停止するように構成される。そして報知キャンセル指示16が出力されている間は、誘導装置20は誘導表示に投影を行わない。
【0044】
実施の形態3に係るかご内制御システム300によれば、誘導装置20は鏡の前に立つ乗客の移動先に誘導する誘導表示をかごの床面に投影する。従って乗客に移動を促しつつ鏡の前に立つ乗客を鏡の前から円滑に移動させることができる。
【0045】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係るかごを示す概要図であり、内部から乗降口を見たかごの概要図である。かごは、乗降口40を有するかご本体30、乗降口40に設けられるドア41と、乗降口40と向かい合うかご本体30の側面に設けられた鏡(不図示である)と、報知装置6としての表示器64とを備える。表示器64は乗降口40が設けれたかご本体30の内部の側面であって乗降口40より上に設けられる。表示器64は「鏡の前から移動してください」等の鏡の前に立つ乗客に移動を促すメッセージを表示する。
【0046】
実施の形態4に係るかご内制御システムは、報知装置6が表示器64であることを除きかご内制御システム100と同一であるので、そのブロック図は
図1を援用できる。報知装置6である表示器64は、報知指示開始信号12を受けるとメッセージを表示し、報知指示終了信号11を受けるとメッセージの表示を停止する。表示器64に表示されるメッセージは、乗降口40を向いて立つ乗客に視認される。
【0047】
前述した第1の例、第2の例、或いは、音声により移動を促す報知装置では、鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知が車いすユーザーにも認知されるので、車いすユーザーが周囲の乗客に対して恐縮してしまうことが考えられる。実施の形態4に係るかご内制御システム400は、乗降口40のあるかごの内部の側面であって乗降口40より上に設けられ、鏡の前に立つ乗客に移動を促すメッセージを表示する表示器64を備える。表示器64は車いすユーザーに視認されにくいので、車いすユーザーに気付かれることなく、鏡の前に立つ乗客に移動を促すことができる。
【0048】
なお表示器64は、実施の形態2及び実施の形態3のそれぞれ報知装置6として適用されてもよい。実施の形態2に適用された場合、報知キャンセル指示16が出力されている間は、表示器64は報知指示開始信号12及び報知指示終了信号11に拘わらずメッセージの表示は行わない。
【0049】
実施の形態5.
図9は、実施の形態5に係るかごを示す概略図であり、乗降口から内部を見たかごの概略図である。実施の形態5に係るかごは、かご本体30、鏡31及び乗降口を開閉する不図示のドアと共に、かご内カメラ66及び表示器65を備える。かご内カメラ66は、かご本体30の内部の天井に設けられる。かご内カメラ66は、乗降口に向けて配置され、乗降口を含んだ映像を撮影する。表示器65は、乗降口と向かい合うかご本体30の内部の側面においてその側面に設置された鏡31より上に設けられる。表示器65は、かご内カメラ66から映像情報67を受け、かご内カメラ66により撮影された映像を表示する。表示器55は例えば、LCD(Liquid Crystal Display)表示器である。なお、かご内カメラ66及び表示器65はかご内制御システムに備えられる要素でもある。
【0050】
かご内カメラ66及び表示器65はともに、エレベータが稼働している間、常に作動させておいてもよく、または、ともにかごが停止している間に作動させ、それ以外では映像の表示を停止するよう制御されてもよい。または、かご内カメラ66はエレベータが稼働している間、常に作動させ、表示器65は、かごが停止している間は映像を表示しそれ以外では映像の表示を停止するよう制御されてもよい。かご内カメラ66はエレベータが稼働している間、常に作動させておけば監視カメラと兼用することができる。
【0051】
さらに、かご内カメラ66及び表示器65は、
図10に示されるかご内制御システム500に備えられてもよい。かご内カメラ66は報知指示開始信号12を受けると撮影を開始し、報知指示終了信号11を受けると撮影を停止する。表示器65は報知指示開始信号12を受けると表示を開始し、報知指示終了信号11を受けると表示を停止する。かご内制御システム500のその他の構成は報知装置6以外のかご内制御システム100と同じであるので説明を繰り返さない。
【0052】
実施の形態5に係るエレベータのかごにおいて、かご内カメラ66が乗降口を含む映像を撮影し、その映像を表示する表示器65が、乗降口と向かい合うかごの内部の側面であって鏡より上に設けられる。表示器65は、鏡より高い位置に設けられるので鏡の前で立つ乗客の頭よりも高い位置で映像を表示することができる。よって鏡31の前に乗客が立っていても、車いすユーザーは表示器65を見て背後を確認することができる。
【0053】
また、かごのドアが開いているときに表示器65が表示を行うので、車いすユーザーがかごから降車する際に、鏡の前に立つ乗客により鏡が塞がれても車いすユーザーは表示器65を見て背後を確認することができる。従って車いすユーザーは容易に降車することができる。
【0054】
今回開示された実施の形態は例示的なものであり、特許請求の範囲の記載から逸脱しない範囲で、各実施の形態において構成要素の変形、省略又は追加が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 ドア制御部、2 かご位置/方向検出器、3 かご内操作盤、4 報知指示終了タイミング生成部、5 報知指示開始タイミング生成部、6 報知装置、7 ドア閉完了信号、8 かご位置情報、9 かご方向情報、10 行先階登録情報、11、18 報知指示終了信号、12、19 報知指示開始信号、13、66 かご内カメラ、14 映像解析部、15、67 映像情報、16 報知キャンセル指示、20 誘導装置、30 かご本体、31 鏡、40 乗降口、41 ドア、61 振動子、63 光源、64、65 表示器、100、200、300、400、500 かご内制御システム
【手続補正書】
【提出日】2023-05-30
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、かご内制御システムに関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
報知指示開始信号を生成する報知指示開始タイミング生成部、
報知指示終了信号を生成する報知指示終了タイミング生成部、及び、
エレベータのかごに設けられ、前記報知指示開始信号を受けると前記かごの内部の側面に設置される鏡の前に立つ乗客に移動を促す報知を開始し、前記報知指示終了信号を受けると前記報知を停止する報知装置を備えるかご内制御システム。
【請求項2】
前記かごの行先階を登録し、その行先階を示す行先階登録情報を生成するかご内操作盤、及び、
前記かごの位置及び前記かごの移動する方向を検出し、前記かごの位置及び前記かごの移動する方向をそれぞれ示すかご位置情報及びかご方向情報を生成するかご位置/方向検出器を備え、
前記報知指示開始タイミング生成部は、前記行先階登録情報、前記かご位置情報及び前記かご方向情報に基づいて前記報知指示開始信号を生成する、請求項1記載のかご内制御システム。
【請求項3】
前記かごのドアの開閉を制御し、前記ドアが閉じられたことを示すドア閉完了信号を出力するドア制御部を備え、
前記報知指示終了タイミング生成部は、前記行先階登録情報、前記かご位置情報及び前記ドア閉完了信号に基づいて前記報知指示終了信号を生成する、請求項2記載のかご内制御システム。
【請求項4】
前記報知装置は、前記鏡の前方の下にある前記かごの床の一部であり前記かごの乗降口よりも前記鏡に近い位置にある領域に設けられ、その床の領域に振動を与える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項5】
前記報知装置は前記かごの天井に設けられ、直立する乗客の顔の付近と等しい高さに位置する前記鏡の領域に光を照射する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項6】
前記かごの内部を撮影するかご内カメラ、及び、
前記かご内カメラにより撮影された映像である映像情報を解析し、車いすユーザー及び前記鏡の前に立つ乗客の双方を検出したとき以外には報知キャンセル指示を出力する映像解析部を備え、
前記映像解析部から前記報知キャンセル指示が出力されると、前記報知装置は前記報知を行わない、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項7】
前記報知指示開始信号を受けると前記鏡の前に立つ乗客の移動先に誘導する誘導表示を前記かごの内部の床面に投影し、前記報知指示終了信号を受けると前記誘導表示の投影を停止する誘導装置を備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。
【請求項8】
前記報知装置は、乗降口がある前記かごの内部の側面であって前記乗降口より上に設けられ、前記鏡の前に立つ乗客に移動を促すメッセージを表示する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のかご内制御システム。