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  • 特開-自動車 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085563
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】自動車
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/24 20060101AFI20240620BHJP
   B62D 31/02 20060101ALI20240620BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20240620BHJP
   B60K 8/00 20060101ALI20240620BHJP
   B60K 15/063 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B62D25/24 Z
B62D31/02 B
B62D33/04 C
B60K8/00
B60K15/063 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200141
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 鴻平
【テーマコード(参考)】
3D038
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D038CB02
3D038CB03
3D038CC18
3D038CD01
3D038CD19
3D203AA12
3D203AA21
3D203AA34
3D203BA02
3D203CB29
3D203CB34
3D203DB05
3D203DB07
3D203DB11
3D235AA05
3D235AA06
3D235BB57
3D235CC12
3D235CC15
3D235CC24
3D235DD13
3D235DD32
3D235FF02
3D235FF12
3D235FF13
3D235HH61
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業の効率性を向上させることができる自動車を提供すること。
【解決手段】自動車は、人または物を収容するスペースと、スペースの構成部の外側に設置されたメンテナンス対象物と、を有する自動車であって、スペースの構成部において、メンテナンス対象物の設置位置に対応する位置に形成された開口部と、開口部を開閉自在にする扉部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人または物を収容するスペースと、前記スペースの構成部の外側に設置されたメンテナンス対象物と、を有する自動車であって、
前記スペースの構成部において、前記メンテナンス対象物の設置位置に対応する位置に形成された開口部と、
前記開口部を開閉自在にする扉部と、を有する、
自動車。
【請求項2】
前記自動車は、
キャブと、前記スペースとしての荷室とがシャシフレームに固定的に設けられたトラックであり、
前記スペースの構成部は、
前記荷室の床部、側壁部、および天井部のうち少なくとも1つである、
請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記側壁部の外側に設置された前記メンテナンス対象物は、
燃料電池システムにおいて電力の生成に用いられる燃料を貯留するタンクまたは各種装置を冷却する冷却水を貯留するタンクである、
請求項2に記載の自動車。
【請求項4】
前記床部の外側に設置された前記メンテナンス対象物は、
前記シャシフレームに設けられたドライブユニットまたはバッテリである、
請求項2に記載の自動車。
【請求項5】
前記自動車は、
前記スペースとしての室内空間を有するバスであり、
前記スペースの構成部は、
前記室内空間の床部、側壁部、および天井部のうち少なくとも1つである、
請求項1に記載の自動車。
【請求項6】
前記自動車は、
キャブと、作業用機器とが設けられた架装車であり、
前記スペースの構成部は、
前記作業用機器が設置された床部である、
請求項1に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、人または物を収容するスペース(例えば、バスの室内空間やトラックの荷室等)を備えた商用車では、上記スペースの構成部(例えば、床部、側壁部、天井部等)の外部に、メンテナンスを要する部品、装置、機器等(以下、メンテナンス対象物という)が搭載されている。
【0003】
例えば特許文献1には、燃料電池自動車であるトラックにおいて、荷室の下方に配置されたシャシフレームに、水素タンク、モータ、およびバッテリといったメンテナンス対象物が固定される例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-165028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した商用車では、メンテナンス作業の効率性の向上が望まれている。
【0006】
本開示の一態様の目的は、メンテナンス作業の効率性を向上させることができる自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る自動車は、人または物を収容するスペースと、前記スペースの構成部の外側に設置されたメンテナンス対象物と、を有する自動車であって、前記スペースの構成部において、前記メンテナンス対象物の設置位置に対応する位置に形成された開口部と、前記開口部を開閉自在にする扉部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、メンテナンス作業の効率性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態の一態様に係るトラックの一例を示す模式図
図2】本開示の変形例の一態様に係るバスの一例を示す模式図
図3】本開示の変形例の一態様に係るバスの一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0011】
図1を用いて、本実施の形態のトラック1(自動車の一例)について説明する。図1は、本実施の形態のトラック1の一例を示す模式図である。図1において、図の左側はトラック1の前方であり、図の右側はトラック1の後方である。
【0012】
ここでは、トラック1が燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)である場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。
【0013】
図1に示すように、トラック1は、キャブ2、水素タンク室3、荷室4(スペースの一例)、車輪5を有する。また、図示は省略するが、キャブ2の下方には、燃料電池システム(FCS:Fuel cell system)が設けられている。
【0014】
キャブ2、水素タンク室3、および荷室4は、それらの下方に配置されたシャシフレーム(符号略)に固定的に設けられている。また、そのシャシフレームには、モータ、ギヤ、制御装置等(いずれも図示略)を含むドライブユニット9や、バッテリ(図示略)等が設けられている。
【0015】
水素タンク室3は、例えば、箱型の筐体である。水素タンク室3には、各種装置を冷却する冷却水を貯留する冷却水タンク20が配置されている。また、水素タンク室3には、複数の水素タンク8が横向きに(言い換えると、車幅方向に沿って)配置されている。
【0016】
各水素タンク8には、水素(燃料の一例)が貯留されている。図示は省略するが、各水素タンク8と燃料電池システムとは、配管(継手を含んでもよい)を介して接続されている。これにより、各水素タンク8の水素は燃料電池システムへ供給される。
【0017】
燃料電池システムは、水素タンク8から供給された水素を用いて電力を生成する。図示は省略するが、燃料電池システムには、燃料電池スタックや補機類(例えば、空気コンプレッサやDC-DCコンバータ等)が含まれている。ドライブユニット9に含まれるモータは、燃料電池システムから供給された電力を用いて駆動する。このモータの駆動により、トラック1は走行する。
【0018】
以上が基本的な構成であるが、本実施の形態のトラック1は、図1に示すように、荷室4の床部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置されたドライブユニット9(メンテナンス対象物の一例)またはバッテリの設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、その開口部を開閉自在にする扉部6と、を設けたことを特徴とする。なお、対応する位置とは、メンテナンス対象物全体を視認できる位置であってもよく、その一部を視認できる位置であってもよい(以下、同様)。
【0019】
また、本実施の形態のトラック1は、図1に示すように、荷室4の側壁部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置された水素タンク室3内の水素タンク8および冷却水タンク20(いずれもメンテナンス対象物の一例)の設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、その開口部を開閉自在にする扉部7と、を設けたことを特徴とする。
【0020】
扉部6、7は、例えば、内開きタイプであってもよいし、引き戸タイプであってもよい。または、扉部6、7は、開口部に対して着脱自在であってもよい。
【0021】
また、水素タンク室3において、扉部7と対向する位置には開口部が設けられているとする。
【0022】
このように、本実施の形態のトラック1では、開口部および扉部6、7の設置により、作業者が荷室4の内部から、手の届きにくい位置に設置されたメンテナンス対象物(例えば、水素タンク8、冷却水タンク20、ドライブユニット9、バッテリ等)を、容易に触ることができる。これにより、メンテナンス作業の効率性を向上させることができる。
【0023】
以上、本実施の形態のトラック1について説明した。
【0024】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0025】
[変形例1]
開口部および扉部の形状、設置位置、および設置数は、図1の図示に限定されない。それらは、作業者がメンテナンス対象物に触りやすいように、適宜決定されればよい。
【0026】
[変形例2]
実施の形態では、水素タンク8が箱型の筐体である水素タンク室3に配置される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、複数の水素タンク8は、平台の上に設けられたラック等に配置されてもよい。
【0027】
[変形例3]
実施の形態では、本開示の自動車がトラックである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0028】
以下、本開示の自動車がバスである場合について、図2図3を用いて説明する。図2図3は、それぞれ、バス10における第1、第2の構成例を示す上面図および側面図である。図2図3において、図1と共通する構成要素には、同一符号を付している。また、図2図3において、図の左側はバス10の前方であり、図の右側はバス10の後方である。
【0029】
まず、図2を用いて、バス10における第1の構成例について説明する。
【0030】
バス10は、運転席や客席等が設けられた室内空間11を有する。この室内空間11の上方および後部下方には、室外空間12が設けられている。
【0031】
上方の室外空間12には、複数の水素タンク8、エアコン14、および燃料電池システム13が設置されている。各水素タンク8は、横向きに設置されている。また、後部下方の室外空間12には、ドライブユニット15が設置されている。
【0032】
本変形例のバス10は、図2に示すように、室内空間11の天井部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置された水素タンク8および燃料電池システム13(いずれもメンテナンス対象物の一例)それぞれの設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、各開口部を開閉自在にする扉部17、18と、を設けたことを特徴とする。
【0033】
また、本変形例のバス10は、図2に示すように、室内空間11の床部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置されたドライブユニット15(メンテナンス対象物の一例)の設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、その開口部を開閉自在にする扉部16と、を設けたことを特徴とする。
【0034】
なお、扉部16~18は、例えば、内開きタイプであってもよいし、引き戸タイプであってもよい。または、扉部16~18は、開口部に対して着脱自在であってもよい。
【0035】
次に、図3を用いて、バス10における第2の構成例について説明する。図3において、図2と共通する構成要素には、同一符号を付している。
【0036】
本例では、複数の水素タンク8が室外空間12の後端部に縦向きに設置されている点が、上述した第1の構成例(図2参照)と異なる。
【0037】
本変形例のバス10は、図3に示すように、室内空間11の天井部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置された燃料電池システム13(いずれもメンテナンス対象物の一例)の設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、その開口部を開閉自在にする扉部18と、を設けたことを特徴とする。
【0038】
また、本変形例のバス10は、図3に示すように、室内空間11の床部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置されたドライブユニット15(メンテナンス対象物の一例)の設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、その開口部を開閉自在にする扉部16と、を設けたことを特徴とする。
【0039】
また、本変形例のバス10は、図3に示すように、室内空間11の側壁部(スペースの構成部の一例)において、その外側に配置された水素タンク8(メンテナンス対象物の一例)の設置位置に対応する位置に形成された開口部(符号略)と、その開口部を開閉自在にする扉部19と、を設けたことを特徴とする。
【0040】
なお、扉部19は、例えば、内開きタイプであってもよいし、引き戸タイプや、スライドタイプであってもよい。または、扉部19は、開口部に対して着脱自在であってもよい。
【0041】
以上説明したように、本変形例のバス10では、開口部および扉部16~19の設置により、作業者が室内空間11の内部から、手の届きにくい位置に設置されたメンテナンス対象物(例えば、水素タンク8、燃料電池システム13、ドライブユニット15等)を、容易に触ることができる。これにより、メンテナンス作業の効率性を向上させることができる。
【0042】
[変形例4]
実施の形態および変形例3では、本開示の自動車がトラックまたはバスである場合を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。また、本開示の自動車は、燃料電池自動車に限定されない。
【0043】
例えば、本開示の自動車は、キャブと荷台を有し、荷台に作業用機械(例えば、クレーン、はしご等)が載置された架装車であってもよい。その場合、開口部および扉部は、例えば、作業用機械が載置された床部(台座部と言ってもよい)に設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示の自動車は、メンテナンス対象物に対するメンテナンス作業の効率性の向上に有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 トラック
2 キャブ
3 水素タンク室
4 荷室
5 車輪
6、7、16、17、18、19 扉部
8 水素タンク
9 ドライブユニット
10 バス
11 室内空間
12 室外空間
13 燃料電池システム
14 エアコン
15 ドライブユニット
20 冷却水タンク
図1
図2
図3