(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085566
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフィー装置、溶液管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240620BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 C
G01N30/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200145
(22)【出願日】2022-12-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】太平 博暁
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GA14
2G058GD05
2G058GD07
2G058GE01
2G058GE08
(57)【要約】
【課題】分析以外の動作を実行する場合であっても、溶液の経路内に空気が入り込む状態を防止する。
【解決手段】溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、
前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、
を有する液体クロマトグラフィー装置。
【請求項2】
前記分析を実施可能な残りの回数を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記第1残量が前記測定のn(但しnは1以上の整数)回分に該当する場合に前記残りの回数が当該n回であることを表示し、
前記実行部は、前記指示された動作に必要な溶離液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行し、
前記表示部は、前記残りの回数が0回になった場合に、当該0回に応じた表示をする
請求項1に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記溶離液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示する
請求項2に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項4】
前記実行部は、前記指示された第2用途の動作を実行すると、前記収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない
請求項3に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項5】
前記第3液量は、前記第1用途を1回実行するために必要な液量と前記第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項6】
溶液の種類が2種類以上であって、それぞれの溶液に対して記憶部と実行部が設けられる請求項5に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項7】
前記溶液は、2種類以上の溶離液であり、前記液体クロマトグラフィー装置は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行う
請求項6に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項8】
前記溶液は、2種類の溶離液、溶血洗浄溶解液の3種類であり、それぞれ異なる収容部に収容される請求項5に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項9】
前記それぞれ異なる収容部は、1つの収容ユニットに収容されており、当該収容ユニットを一式として交換可能である
請求項8に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項10】
溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置における溶液管理方法であって、
記憶部が、前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶し、
実行部が、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する
溶液管理方法。
【請求項11】
溶液を用いて分析を行うコンピュータに、
前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶させ、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィー装置、溶液管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体中の成分の量や濃度、割合を測定する方法としてHPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)があり、種々の液体クロマトグラフィー装置が販売されている。例えば、血液検体中のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を分析する液体クロマトグラフィー装置は、1種類以上の溶離液や洗浄液等が当該装置内にセットされ、これらの溶液を用いて検体を測定する。溶離液等は、例えば「100回測定用」等と特定の回数分をパックやボトル等に充填して販売されることが多い。そして、液体クロマトグラフィー装置は、検体を測定可能な残りの回数を、溶離液等の使用量に基づいて演算し、試薬カウンタの値として表示画面に表示する。試薬カウンタが0になると、分析不能である旨が画面に表示され(特許文献1)、使用者は溶離液等のパックを交換する。
【0003】
HPLC法では、検体の測定以外でも様々な用途で溶離液等を使用する。例えば、溶離液パックを交換した際の初期プライム(パージ)、カラムを交換した際の平衡化、キャリブレーションや精度管理用の測定等である。これらの操作には、通常の検体測定よりも多くの溶離液を使用する場合が多い。そこで溶離液パックには、通常の検体測定用途(以下、メジャーという)の他に、通常の検体測定以外の動作を行う場合に利用可能な溶液の量を余分として用意し、メジャーに対して追加することが考えられる。
【0004】
ここで、試薬カウンタの値が「1」である場合、検体をあと1回測定可能であることが示される。この場合において、余分の残量が十分である場合であって、カラム交換が行われる場合には、余分の残量から溶液が割り当てられ、カラム交換を終了することができる。すなわち、余分の残量の範囲内においてカラム交換に対して対応することができる。ここでは、メジャーとして割り当てられた溶液を使用しない状態でカラム交換を行うことができるため、試薬カウンタの値が示すように、残り「1」回の分析を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、動作として既にカラム交換を1回、初期プライムを1回実施した等、ある程度余分が使用された段階において、カラム交換等をしてしまうと、カラム交換等に必要な溶液の量が、余分の残量のみでは不足する場合がある。このとき、余分を使い切った上で、不足分をメジャーの残量から補填することでカラム交換等を実施することができる。しかし、メジャーの残量として測定1回分が残っていたとしても、余分の残量によっては、メジャーから補填したとしても、カラム交換を完了できる残量としては不足する場合がある。そうすると、余分及びメジャーを用いてカラム交換を行ったとしても、溶液が不足するため、液体クロマトグラフィー装置における溶液の経路内に空気が入り込む状態を引きおこしてしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、分析以外の動作を実行する場合であっても、溶液の経路内に空気が入り込む状態を防止することができる液体クロマトグラフィー装置、溶液管理方法、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、
前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、
を有する液体クロマトグラフィー装置。
[2]前記分析を実施可能な残りの回数を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記第1残量が前記測定のn回分に該当する場合に前記残りの回数が当該n回であることを表示し(但しnは1以上の整数)、
前記実行部は、前記指示された動作に必要な溶離液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行し、
前記表示部は、前記残りの回数が0回になった場合に、それに応じた表示をする、[1]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[3]
前記表示部は、前記溶離液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示する、[2]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【0009】
[4]
前記実行部は、前記指示された第2用途の動作を実行すると、前記収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない、[3]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[5]
前記第3液量は、前記第1用途を1回実行するために必要な液量と前記第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である、[1]から[4]のうちいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[6]
溶液の種類が2種類以上であって、それぞれの溶液に対して記憶部と実行部が設けられる、[5]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[7]
前記溶液は、2種類以上の溶離液であり、前記液体クロマトグラフィー装置は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行う、[6]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[8]
前記溶液は、2種類の溶離液、溶血洗浄溶解液の3種類であり、それぞれ異なる収容部に収容される、[5]記載の液体クロマトグラフィー装置。
[9]
前記それぞれ異なる収容部は、1つの収容ユニットに収容されており、当該収容ユニットを一式として交換可能である、[8]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【0010】
[10]
溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置における溶液管理方法であって、
記憶部が、前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶し、
実行部が、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する
溶液管理方法。
[11]
溶液を用いて分析を行うコンピュータに、
前記溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶させ、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行させる
プログラム。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、この発明によれば、分析以外の動作を実行する場合であっても、溶液の経路内に空気が入り込む状態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態による液体クロマトグラフィー装置1の外観を表す斜視図である。
【
図3】タッチパネル13に表示された表示画面130の一例を示す図である。
【
図4】液体クロマトグラフィー装置1の機能を示す概略ブロック図である。
【
図5】記憶部101に記憶される残量データの一例を示す図である。
【
図7】液体クロマトグラフィー装置1の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】液体クロマトグラフィー装置1の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による液体クロマトグラフィー装置について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による液体クロマトグラフィー装置1の外観を表す斜視図である。
液体クロマトグラフィー装置1は、HPLC法(高速液体クロマトグラフィー法)を用いたHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)分析装置である。
液体クロマトグラフィー装置1の上面のうち背面側には、蓋11が設けられている。蓋11を開けると、試薬キット(収容ユニット)を液体クロマトグラフィー装置1にセットすることが可能な収容部があり、試薬キットをセットすることができる。
液体クロマトグラフィー装置1の正面右下には、サンプルトレー12が設けられている。サンプルトレー12を引き出すことによって、検体をサンプルトレー12にセットすることができる。検体とは、検査対象として被験者から採取された試料である。検体が血液の場合、検体は、採血管に採取された状態でセットしてもよく、採血管等を用いて採取された後にサンプルカップ等に移してセットしてもよく、検体採取デバイスを用いて採取された検体をセットしてもよい。また、採取した血液に対して、別途前処理液や希釈液を添加したものを検体としてセットしてもよい。検体をサンプルトレー12にセットした後、サンプルトレー12を液体クロマトグラフィー装置1の本体に対して押し込むことで、検体の測定が可能な状態とすることができる。
【0014】
液体クロマトグラフィー装置1の正面上部には、タッチパネル13が設けられている。タッチパネル13は、液体クロマトグラフィー装置1の稼働に関する各種情報を表示する。また、タッチパネル13は、ユーザからのタッチ入力を受け付ける。
液体クロマトグラフィー装置1の上面のうち正面側には、排出口14が設けられる。排出口14は、測定が行われた結果が印字された印刷媒体を排出する。
【0015】
図2は、試薬キット15の構成を示す斜視図である。
試薬キット15は、溶液を収容する収容部を有する収容ユニットである。ここでは、試薬キット15は、第1収容部151、第2収容部152、第3収容部153の3つの収容部を有する。
第1収容部151は、第1溶液を収容する。第1溶液は、例えば、溶離液である。
第2収容部152は、第1溶液とは異なる種類の第2溶液を収容する。第2溶液は、例えば、第1溶液である溶離液とは異なる種類の溶離液である。
第3収容部153は、第1溶液及び第2溶液とは異なる溶液を収容する。第3溶液は、例えば、検体前処理液、洗浄液、検体前処理液と洗浄液を兼ねた溶血洗浄溶解液である。
液体クロマトグラフィー装置1は、この試薬キット15に収容された3種類の溶液を用いて、被験者から採取された検体を検査対象として分析を行う。
例えば、溶液は2種類以上の溶離液であってもよく、この場合、液体クロマトグラフィー装置1は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行うようにしてもよい。
なお、本明細書において、溶離液とは液体クロマトグラフィーで用いる移動相を示す。溶離液は、水や水に緩衝剤や塩類、防腐剤、界面活性剤やその他成分を溶解した水溶液や、メタノール、アセトニトリル等の有機溶媒を単独あるいは混合して用いることができる。溶離液は、成分の濃度やpHの異なる2種類以上を組み合わせて用いることができる。その場合、第1の溶離液を第1収容部151に、第2の溶離液を第2収容部152に収容できる。2種類の溶離液の混合方式は、ステップワイズでもよく、グラジエントでもよい。
検体前処理液とは、検体をカラムで分離する前にあらかじめ処理するための溶液を示し、検体希釈液ともいう。例えば測定対象がHbA1c等のヘモグロビン類である場合、血液試料に低張液を添加して溶血させる必要があり、検体前処理液として低張液を使用する。検体前処理液は、水や水に緩衝剤や塩類、防腐剤を溶解した水溶液に、界面活性剤、カオトロピックイオン等の溶血剤を溶解した水溶液を用いることができる。
洗浄液とは、検体が通過する流路やカラム、検出器等を洗浄するための溶液を示す。
検体前処理液と洗浄液は、組成が同一である場合がある。特に、HbA1c等のヘモグロビン類を測定する場合であって、溶血成分を含む検体前処理液が洗浄液を兼ねる場合、本明細書では当該溶液を溶血洗浄溶解液と呼称する。
【0016】
液体クロマトグラフィー装置1は、検体の希釈、検体の測定、溶液が通過する経路の洗浄等を行うことにより、試薬キット15の溶液を使用する。試薬キット15の溶液の残量が一定以下となった場合には、測定や洗浄等を行うことができなくなるため、新たな試薬キット15と交換することで、検査等を行うことができる。ここでは、試薬キット15を交換する場合、第1収容部151、第2収容部152、第3収容部153を一式(一体)として交換可能である。試薬キット15を交換する際、キット内部に残存する試薬を排出させる動作を組み込んでもよい。
【0017】
図3は、タッチパネル13に表示された表示画面130の一例を示す図である。
表示画面130において、表示領域131には、現在日時が表示される。表示領域132には、液体クロマトグラフィー装置1のステータスが表示される。ステータスには、例えば、液体クロマトグラフィー装置1が測定(分析)可能な状態であることを示す「測定できます」、試薬キット15の交換を促す「試薬を交換して下さい」、試薬キット15の残量に基づく残りの測定回数を示す「あと○回測定できます。」等のメッセージがある。
【0018】
表示領域133には、カウンタの値が表示される。カウンタの値としては、試薬カウンタの値と、カラムカウンタの値とがある。試薬カウンタの値は、測定を行うことができる残りの回数(測定可能残数)を表す。残りの回数は、例えばn(但しnは1以上の整数)回である。また、残りの回数が0回となって場合に0を表示してもよい。試薬カウンタの値は、試薬キット15の試薬の残量に応じて決まる。カラムカウンタの値は、カラムを交換することが必要なタイミングまでの残りの測定回数を表す。カラムは、測定回数がある程度の数に到達した場合に交換が必要であるため、カラムカウンタによって、カラムを交換するまでにあと何回の測定が可能であるかを把握することができる。
【0019】
試薬カウンタの値が基準値を以下となった場合には、ステータスの表示内容も更新される。例えば、試薬カウンタの値が第1基準値「10」以下となった場合には、「試薬が少なくなっています」のメッセージが表示され、試薬カウンタの値が第2基準値「0」に到達すると「試薬を交換して下さい」のメッセージが表示される。
また、カラムカウンタの値が第3基準値「20」以下となった場合には、「カラムカウンタが少なくなっています」のメッセージが表示され、カラムカウンタの値が第4基準値「0」に到達すると、「カラムを交換して下さい」のメッセージが表示される。
【0020】
試薬カウンタの値が第1基準値または第2基準値以下となり、かつ、カラムカウンタの値が第3基準値または第4基準値以下となった場合には、それぞれのメッセージが併記されてもよい。例えば、「試薬を交換して下さい」、「カラムカウンタが少なくなっています」のメッセージが2行に並べて表示されてもよい。また、「試薬を交換して下さい」のメッセージを表示し、試薬の交換がなされると、「カラムを交換して下さい」のメッセージが表示されるように、段階的に表示されてもよい。
【0021】
また、表示画面130には、ボタン134とボタン135とが表示される。
ボタン134は、「メニュー」ボタンであり、ユーザによってタッチ操作されたことに応じて各種メニューを呼び出して表示画面130に表示させるためのボタンである。
ボタン135は、「START」ボタンであり、ユーザによってタッチ操作されたことに応じて、検体を検査対象とした測定を開始させるボタンである。
【0022】
図4は、液体クロマトグラフィー装置1の機能を示す概略ブロック図である。
液体クロマトグラフィー装置1は、記憶部101、入力部102、表示部103、実行部104、印字部105、制御部106を含み、これらの各機能がバス110の信号線によって接続されており、信号の出力または入力が可能となっている。
【0023】
液体クロマトグラフィー装置1は、試薬キット15に収容された各溶液の液量をそれぞれ、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類に分けて管理し、試薬カウンタの自動制御を行う。
【0024】
メジャーは、溶液のうち分析対象の測定(分析処理)である第1用途に割り当てられる第1液量である。液体クロマトグラフィー装置1は、メジャーとして割り当てられた液量を用いて、検体を検査対象として測定を行う処理を実行する。メジャーとしては、1つの試薬キット15が液体クロマトグラフィー装置1にセットされた段階では、例えば、100テスト(100回の測定)をできる程度の量が割り当てられる。
また、メジャーは、後述する第2用途に応じた処理が実行される場合に、その処理を実行する分のワークの残量が不足する場合に、その不足分を補うために当該メジャーから使用される場合がある。
【0025】
ワークは、溶液のうち分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量である。分析以外の動作としては、例えば、初期プライム、カラム交換、試薬キットの交換時における操作等がある。初期プライムは、液体クロマトグラフィー装置1内において溶液が通る経路の各部に溶液を満たす操作である。カラム交換は、カラムを交換した際に行われる操作であり、カラムの内部や、カラムが接続される経路に、溶液を流すことによって溶液を満たす操作である。試薬キットの交換時における操作は、試薬キット15が交換された際に試薬キット15に接続されていた接続経路に溶液を満たす操作である。また、ワークには、キャリブレータやコントロールの測定に使用される溶液としても利用される場合がある。
液体クロマトグラフィー装置1は、初期プライムや、カラム交換が行われた際にワークとして割り当てられた液量を用いて、装置内の各部に溶液を満たす処理を実行する。
【0026】
ギャランティーは、溶液のうち第1液量と第2液量とは別に定められる第3液量である。
より具体的には、第2用途に係る動作が実行される際に、ワークとして割り当てられた残量が不足し、かつ、メジャーから補填しても溶液が不足する場合に、ギャランティーから第2用途を実行するために溶液を割り当てることができる。ギャランティーは、第2用途に基づく処理を実行する場合に、ワークの残量が不足し、メジャーの残量から割り当てることで第2用途を実行できる場合には、ギャランティーを使用することはせず、ワークの残量が不足し、メジャーの残量から割り当てても不足分を補うことができない場合に、ギャランティーが用いられる。
【0027】
例えば、溶液の一部を予めギャランティーとして割り当てておくことで、メジャーの残量に基づく試薬カウンタの値が「1」の状態において、第2用途の動作を実施しようとしたときにワークの残量が当該第2用途の動作に必要な残量がなかった場合に、メジャーから溶液を割り当てる。このとき、メジャーから割り当てることで第2用途の動作を実行できる場合には、ワークの残量とメジャーの残量とを使用することで第2用途の動作が実行され、その後、試薬カウンタの値が「0」となり、試薬キット15の交換を促すメッセージが表示される。
一方、ワークの残量が不足するためメジャーの残量から溶液を割り当てたとしても、第2用途の動作を実行ために必要な液量を確保できない場合には、ワークの残量とメジャーの残量とを使用した上で、ギャランティーから不足分を割り当てることで、当該不足分を補う。これにより、第2用途の動作を完了するために必要な液量を、ワークの残量とメジャーの残量とから確保できない場合であっても、ギャランティーを用いることで必要な溶液を確保することができる。この場合、第2用途が実行されると、ワークの残量が表示され「1」回分の残量についても使用されるため、試薬カウンタの値が「0」となり、試薬キット15の交換を促すメッセージが表示される。このように、試薬カウンタの値が「1」を指している場合に第2用途を実行しようとしても、溶液が不足してしまうことがないように、ギャランティーとして割り当てられた溶液を利用することで、第2用途の実行を保証することができる。
ギャランティーの量は、測定に必要な量と、第2用途において最も使用量が多い動作における使用量とを合計した値に応じて決まるようにしてもよい。例えば、ギャランティーの量は、第1用途(測定)を1回実行するために必要な液量と第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である。例えば、ギャランティーの量は、1回の測定に必要な量と、第2用途において最も使用量が多い動作における使用量とを合計した値よりも大きな値とすることができる。
【0028】
記憶部101は、各種情報を記憶する。
記憶部101は、溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、溶液のうち分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、溶液のうち第1液量と第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される。
【0029】
また、記憶部101は、試薬キット15の残量を表す残量データを記憶する。
図5は、記憶部101に記憶される残量データの一例を示す図である。残量データは、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類の種別について、それぞれ記憶される。ここでは、記憶部101は、試薬キット15に組み込まれている第1収容部151に収容された第1溶液に対して割り当てられたメジャー、ワーク、ギャランティー(符号141a)と、第2収容部152に収容された第1溶液に対して割り当てられたメジャー、ワーク、ギャランティー(符号141b)と、第3収容部153に収容された第1溶液に対して割り当てられたメジャー、ワーク、ギャランティー(符号141c)について記憶する。
このように、記憶部101は、試薬キット15に収容された3種類の溶液に対して、メジャー、ワーク、ギャランティーのそれぞれについて残量が記憶されていることで、現在の残量を把握できるようになっている。
【0030】
また、記憶部101は、第1用途、第2用途の1回当たりの動作について必要な溶液の量を表す必要量データを記憶する。
図6は、必要量データの一例を示す図である。必要量データは、動作と必要量が対応付けられたデータである。ここでは第1溶液、第2溶液、第3溶液について、それぞれ、各動作についての必要量が記憶される。
記憶部101が必要量データを記憶していることで、第1用途または第2用途が実施される場合には、その実施される動作に応じて、残量データから引く値を特定することができるようになっている。
【0031】
記憶部101は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この記憶部101は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0032】
入力部102は、ユーザからの各種操作入力を受け付ける。
表示部103は、各種情報を表示する。例えば表示部103は、分析を実施可能な残りの回数を表示する。また、表示部103は、第1残量が測定の1回分に該当する場合に残りの回数が1回であることを表示する場合がある。
また、表示部103は、残りの回数が0回に応じた表示をする。0回に応じた表示は、「0回」という数字そのものであってもよいし、「試薬容器を交換して下さい」という試薬キット15の交換を促すメッセージ、「残量がありません」という残量がないことを表すメッセージでもよい。表示部103が、溶液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示することによって、収容容器(試薬キット15)を交換してもらうように促すことで、それ以上の動作は実施できないことをユーザに把握してもらうことができる。
【0033】
ここでは、入力部102と表示部103の機能が組み合わされ、タッチパネル13として設けられている。
【0034】
実行部104は、第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶離液の量が、第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、合計値を超えた分について第3残量から割り当て、指示された第2用途の動作を実行する。
これにより、第2残量が不足し、第1残量から補填してもなお不足する場合に、第3残量から補填することができるため、第2用途の動作の途中で残量が不足することを防止することができ、装置の経路内に空気が混入しないように第2用途を完了させることが可能となる。
【0035】
実行部104は、第2用途の動作を行う指示された動作に必要な溶離液の量が、第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、合計値を超えた分について第3残量から割り当て、指示された第2用途の動作を実行する。
これにより、試薬カウンタの値が「1」を表していた場合であっても、分析以外の動作については、いずれの動作であっても実施(正常に終了)することができる。
【0036】
また、実行部104は、指示された第2用途の動作を実行すると、収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない。
これにより、第3残量が使用された後においては、溶液が収容された収容容器(試薬キット15)を交換してもらうまでは、分析またはそれ以外の動作の指示がなされた場合でも、動作を実行しないようにすることできる。これにより、交換前に誤って第2用途の動作が実行されてしまうことを防止することができる。
【0037】
実行部104は、溶液としての第1溶液を収容する第1収容部と、当該第1溶液とは異なる種類の第2溶液を収容する第2収容部と、当該第1溶液及び第2溶液とは異なる種類の第3溶液を収容する第3収容部とを含む収容ユニットから溶液を利用することを対象として、第1用途及び第2用途の動作を実行する。
このような実行部104と記憶部101が、液体クロマトグラフィー装置1に搭載されている場合について説明するが、実行部104と記憶部101が試薬キット15に搭載されるようにしてもよい。この場合、試薬キット15が交換されることによって、交換後の試薬キット15に搭載された記憶部101と実行部104と、制御部106とが通信を行うことで試薬キット15が交換されたことを認識し、制御部106の制御下において、実行部104が各種処理を実行するようにしてもよい。
【0038】
印字部105は、実行部104によって測定が行われた場合に、その測定結果を、印刷媒体に印刷し、印刷後の印刷媒体を排出部から排出する。
【0039】
制御部106は、液体クロマトグラフィー装置1内の各部を制御する。
また、制御部106は、試薬キット15が液体クロマトグラフィー装置1にセットされると、試薬キット15がセットされたことを認識し、試薬キット15の残量を認識し、記憶部101に書き込む。
【0040】
バス110は、液体クロマトグラフィー装置1の各部(記憶部101、入力部102、表示部103、実行部104、印字部105、制御部106)の間におけるデータを伝送する。
【0041】
実行部104、制御部106は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0042】
次に、上述した液体クロマトグラフィー装置1の動作を説明する。
図7、
図8は、液体クロマトグラフィー装置1の動作を説明するフローチャートである。ここでは、新たな試薬キット15が液体クロマトグラフィー装置1にセットされ、測定が可能な状態となっている場合について説明する。
液体クロマトグラフィー装置1の実行部104は、入力部102からユーザの操作入力がなされたか否かを判定する(
図7ステップS101)。操作入力がない場合(ステップS101-NO)、実行部104は、一定のウエイト時間が経過した後、ステップS101の動作を再度実行する。
一方、実行部104は、操作入力があった場合(
図7ステップS101-YES)、操作入力の内容が測定であるか否かを判定する(
図7ステップS102)。操作入力の内容が測定である場合(
図7ステップS102-YES)、実行部104は、実行する対象の動作が第1用途であり、メジャーから溶液を使用すること検知し、メジャーの残量から溶液を使用して測定を実行し、測定結果を印字部105によって印字させることで出力する。そして実行部104は、メジャーの残量から測定に必要な溶液の量を引き(
図7ステップS103)、その計算結果に基づいて、残量カウンタの更新を行う(
図7ステップS104)。例えば実行部104は、メジャーの残量が、1回の測定に必要な溶液の量以上であるか否かを判定し、1回の測定に必要な溶液の量以上である場合には、メジャーの残量を、1回の測定に必要な溶液の量で割ることによって回数を求め、得られた回数をカウンタ値として表示部103に表示させる。
【0043】
一方、実行部104は、メジャーの残量が、1回の測定に必要な溶液の量未満である場合には、1回の測定に必要な溶液の量が残っていないため、カウンタ値を「0」として表示部103に表示させる。
【0044】
そして実行部104は、残量カウンタが「0」であるか否かを判定し(
図7ステップS105)、残量カウンタが「0」であれば(
図7ステップS105-YES)、「試薬を交換して下さい」等のような、試薬キット15の交換を促すためのメッセージを表示部103に表示させ(
図7ステップS106)、処理を終了する。一方、実行部104は、残量カウンタが「0」ではない、すなわち「1」以上である場合には(
図7ステップS105-NO)、処理をステップS101に移行する。
【0045】
次に、ステップS102において測定ではない場合(
図7ステップS102-NO)、実行する対象の動作が第2用途であり、ワークから溶液を使用することを検出する。そして実行部104は、ワークの残量が、操作入力された動作に必要な量以上であるか否かを判定する。実行部104は、ワークの残量が、操作入力された動作(第2用途)に必要な量以上である場合には(
図7ステップS111-YES)、ワークの残量から溶液を使用することで、操作入力された動作を実行する。ここで操作入力される動作としては、例えば、カラム交換、キャリブレータ等がある。
実行部104は、操作入力された動作を実行すると、ワークの残量から、今回実行した動作に必要な溶液の量を引き(
図7ステップS112)、処理をステップS101に移行する。
【0046】
一方、ステップS111において、実行部104は、ワークの残量が、操作入力された動作に必要な量未満である場合(
図7ステップS111-NO)、ワークの残量とメジャーの残量の合計値が、今回実行する対象の操作に必要な量より小さいか否かを判定する(
図8ステップS121)。
実行部104は、ワークの残量とメジャーの残量の合計値が、今回実行する対象の操作に必要な溶液の量より小さい場合には、ワークの残量とメジャーの残量とを使用するとともに不足分をギャランティーから使用することで、今回実行する対象の操作を実行する。そして実行部104は、ワークの残量とメジャーの残量とから、今回実行する対象の操作に必要な量を引くとともに、不足分をギャランティーの残量から引く(
図8ステップS122)。
【0047】
そして、実行部104は、試薬カウンタの値を更新する(
図8ステップS123)。ここでは、ワークの残量とメジャーの残量とが両方とも使用された上でギャランティーが使用されるため、メジャーの残量としては、測定を行うことが可能な残量が残っていない。そのため、実行部104は、残量カウンタを「0」に更新し、表示部103に表示させる。
このステップS121、ステップS122を経由した処理においては、試薬カウンタの値は、少なくとも「1」が表示された状態である。このため、液体クロマトグラフィー装置1を利用するユーザは、測定をあと(少なくとも)1回行うことが可能な状態であることを把握することを認識可能な状態であり、この状態において、第2用途を実施する場合がある。この場合、第2用途を実施する場合には、試薬キット15の残量がある程度あるかのように見えるため、第2用途も問題無く実施できるようにユーザに理解される場合がある。
【0048】
そして、いずれかの第2用途を実施するための操作入力に応じて第2用途の動作が実行されると、ワークの残量とメジャーの残量とが両方とも使用された上でギャランティーが使用されることにより、メジャーの残量としては、測定を行うことが可能な残量が使用されることで、「1」回分の測定にかかる残量についても使用されてしまうため、実行部104は、残量カウンタを「0」に更新し、表示部103に表示させる。
ここで、ステップS123の段階においては、試薬カウンタの値が「0」となり、ワークの残量とメジャーの残量とがいずれも残量がなくなるように使用されるが、カラム交換、キャリブレータ等の第2用途について実行途中において溶液が不足して液体クロマトグラフィー装置1の経路内に空気が入り込んでしまわないように、ギャランティーから溶液が供給されつつ、第2用途の動作を完了することができる。これにより、キャリブレータ等の第2用途について実行途中において、ワーク及びメジャーの両方からの溶液が不足して液体クロマトグラフィー装置1の経路内に空気が入り込んでしまうことを防止することができる。
【0049】
ここで、仮に、ステップS122において、従来技術のようにギャランティーを用いない場合には、第2用途を実施するための操作入力に応じて第2用途の動作が実行されると、必要な溶液の量が、ワークの残量だけでは不足するため、メジャーの残量からも溶液が使用される。そうすると、試薬カウンタの値が「1」であったとしても、カラム交換や初期プライム等の第2用途の動作が行われると、その動作の実行途中において溶液が不足するため、動作を正常に完了することができず、溶液の経路に空気が入り込んでしまう場合もある。また、ワークの残量とメジャーの残量を合わせても、第2用途を実行するために必要な残量が確保されないため、第2用途を実行する指示が入力されたとしても、試薬カウンタの値が「1」であるにもかかわらず、実行をせずにエラー表示等がされる場合も考えられる。このような場合には、試薬カウンタの値が「1」を指しているが、試薬キットを交換しなければならい。
また、従来の液体クロマトグラフィー装置において、溶離液が0になったことを検知する機能が搭載されていない場合には、操作に応じた動作の途中で装置が停止してしまい、動作を完了することができず、試薬パックを交換してから動作をやり直す必要があるため、ユーザにとって無駄な時間が生じる。
【0050】
これに対し、上述した実施形態によれば、メジャーの残量とワークの残量とを合わせたとしても、第2用途を実行するために必要な溶液の量に到達しない場合には、不足分をギャランティーから割り当てるようにしたので、残量カウンタが「1」であるにも関わらず第2用途が実行できないことを回避し、第2用途を実行することができる。そして、その上で、残量カウンタを「0」にした上で、試薬キット15の交換を促すことができる。
よって、液体クロマトグラフィー装置1の経路内に空気が入り込んでしまうことを防止することができ、また、操作に応じた動作を完了することができるため、動作の途中で装置が停止し試薬パックを交換してから動作をやり直すような時間が発生しないようにすることができる。
【0051】
このステップS123の後、実行部104は、試薬カウンタの値が「0」になったことに応じて、「試薬を交換して下さい」等のような、試薬キット15の交換を促すためのメッセージを表示部103に表示させ(
図8ステップS124)、処理を終了する。
【0052】
一方、ステップS121において、実行部104は、ワークの残量とメジャーの残量の合計値が、今回実行する対象の操作に必要な量を超えている場合には(
図8ステップS121-NO)、まずワークの残量を使用し、不足分をメジャーの残量から使用することで、今回実行する対象の操作を実行する。そして実行部104は、ワークの残量から今回実行する対象の操作に必要な量を引くとともに、その不足分をメジャーの残量から引く(
図8ステップS125)。
【0053】
そして、実行部104は、試薬カウンタの値を更新する(
図8ステップS126)。ここでは、ワークの残量が使用された上で、不足分がメジャーの残量から使用される。そのため、実行部104は、不足分をメジャーの残量から使用した後の残量が、測定を行うことが可能な残量以上である場合には、その残量について、測定を1回実施するために必要な量で割ることにより残量カウンタ値を求め、表示部103に表示させる。
一方、実行部104は、不足分をメジャーの残量から使用した後の残量が、測定を行うことが可能な残量未満である場合には、測定を1回実施するための残量が残っていないため、残量カウンタを「0」に更新し、表示部103に表示させる。
【0054】
そして実行部104は、残量カウンタが「0」であるか否かを判定し(
図8ステップS127)、残量カウンタが「0」でなければ、処理をステップS101に移行し(
図8ステップS127-NO)、残量カウンタが「0」である場合には(
図8ステップS127-YES)、ステップS124に移行し、「試薬を交換して下さい」等のような、試薬キット15の交換を促すメッセージを表示部103に表示させる。
【0055】
《実施例1》
1回の測定を実行するために必要な溶液の量が「3.2mL」であり、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量が「16.6mL」であり、ワークの残量が「13.1mL」であり、メジャーの残量が「3.3mL」である場合、試薬カウンタの値が「1」として表示される。ここでは、試薬カウンタの値が「1」であり、「0」ではないため、表示部103には、「試薬が少なくなっています」等のメッセージが表示される。ここでは、交換を促す内容ではなく、試薬の残量が少なくなっていることを通知する内容となっているため、ユーザが試薬キット15の交換はまだ行わずに、試薬カウンタの値が「0」になってから交換する、という判断をすることがある。
その上で、ギャランティーとしては予め「18.5mL」が割り当てられている場合において、第2用途としてカラム交換を実施する指示が入力された場合には、メジャーの残量「3.3mL」とワークの残量「13.1mL」を合わせても、「16.4mL」であり、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量「16.6mL」には到達しないため、「0.2mL」不足分する。この場合、ギャランティーとして確保された「18.5mL」から不足分「0.2mL」が補填され、メジャーの残量とワークの残量とを使用した上で、ギャランティーの「0.2mL」を使用する。これにより、ワークの残量が「1」の場合であっても、カラム交換を、実行途中において溶液がなくなってしまうことを回避しつつ、実行することができる。
ここでは、測定に必要な量「3.2mL」と、第2用途において最も使用量が多い動作が初期プライムの「21.5mL」である場合、ギャランティーの量を、「24.7mL」としてもよいし、「50mL」のように、その合計値よりも大きな値としてもよい。
【0056】
《比較例》
1回の測定を実行するために必要な溶液の量が「3.2mL」であり、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量が「16.6mL」であり、ワークの残量が「13.1mL」であり、メジャーの残量が「3.3mL」である場合、試薬カウンタの値が「1」として表示される。ここでは、試薬カウンタの値が「1」であり、「0」ではないため、表示部103には、「試薬が少なくなっています」等のメッセージが表示される。ここでは、交換を促す内容ではなく、試薬の残量が少なくなっていることを通知する内容となっているため、ユーザが試薬キット15の交換はまだ行わずに、試薬カウンタの値が「0」になってから交換する、という判断をすることがある。
ここで、従来のようにギャランティーが割り当てられていない場合には、第2用途としてカラム交換を実施する指示が入力された場合には、ワークの残量「13.1mL」を使用した上で、メジャーの残量「3.3mL」を使用する。この場合には、溶液を「16.4mL」しか確保できないため、1回のカラム交換を実行するために必要な溶液の量「16.6mL」には到達せず、仮にカラム交換の動作を実行したとしても、「0.2mL」不足分するため、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、正常にカラム交換を終了することができない。
【0057】
《他の例について》
次に、他の例について説明する。ここでは、利用される液体クロマトグラフィー装置と、必要な液量が下記の場合であること前提として説明する。
液体クロマトグラフィー装置:RC20(積水メディカル株式会社製)
(1)初期プライムに必要な溶離液量:21.5mL
(2)カラム交換に必要な溶離液量:17.5mL
(3)試薬交換に必要な溶離液量:7.0mL
(4)測定中止後の復帰動作に必要な溶離液量:6.0mL
(5)通常検体測定に必要な溶離液量:3.2mL
(6)精度管理検体測定に必要な溶離液量:3.2mL
【0058】
《比較例A1》
この比較例A1では、液体クロマトグラフィー装置が第1残量を管理する構成であり、第2、第3残量を管理しない場合について説明する。そして、この比較例A1は、第1残量の残りカウンタが5回の場合に分析以外の操作をすると溶液が不足する場合があることについて示す。
第1液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を100回、(6)を4回実施可能な量として、必要量にデッドボリュームとして5.0mLを加えた389.8mLと設定した。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を95回、(6)を4回実施した後、液体クロマトグラフィー装置の表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が5回と表示されている。
この時の第1残量は21.0mLである。
その後、(1)を1回実施しようとすると、第1残量が21.0mLに対して(1)に必要な溶離液量は21.5mLのため、「0.5mL」不足分し、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、正常に(1)である初期プライムを終了することができない。
【0059】
《比較例A2》
この比較例A2では、液体クロマトグラフィー装置が第1残量と第2残量を管理する構成であり、第3残量を管理しない場合について説明する。そして、この比較例A2は、第1残量の残りカウンタが1回の場合に分析以外の操作をすると溶液が不足する場合があることについて示す。
第1液量を、(5)を100回実施可能な量として320.0mLと設定し、第2液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(6)を4回実施可能な量にデッドボリュームとして5.0mLを加えた69.8mLと設定した。
このため、試薬パックには、第1液量と第2液量の合計389.8mLが充填されている。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を95回、(6)を4回実施した後、表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が5回と表示されている。
この時の第1残量は16.0mL、第2残量はデッドボリューム分の5.0mLである。
その後、(1)を1回実施しようとすると、第1残量と第2残量の合計が21.0mLに対して(1)に必要な溶離液量は21.5mLのため、「0.5mL」不足分し、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、正常に(1)である初期プライムを終了することができない。
【0060】
《比較例A3》
この比較例A3では、液体クロマトグラフィー装置が第1残量、第2残量および第3残量を管理する構成について説明する。そして、この比較例A3は、第1残量の残りカウンタが2回の場合であって、カラム交換をしようとした際に、第2残量、第3残量の順に溶液を割り当てた場合に、不具合が発生する場合があることを示す。
第1液量を、(5)を100回実施可能な量として320.0mLと設定し、第2液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(6)を4回実施可能な量として、64.8mL、第3液量を、(1)~(6)の中で最も必要液量の多い(1)を1回実施可能な量として21.5mLと設定した。
このため、試薬パックには、第1液量、第2液量、第3液量の合計406.3mLが充填されている。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を98回、(6)を4回実施した後、表示部には、測定可能残数が2回と表示されている。
この時の第1残量は6.4mL、第2残量は0.0mL、第3液量は21.5mLである。
その後、(1)を1回実施しようとした際、第2残量からの割り当て、第3残量からの割り当て、第1残量からの割り当ての順に溶液を使用すると、第2残量と第3残量の合計21.5mLを使用し、(1)を1回実施することができる。そして実施後の残液量は、第1液量は6.4mL、第2液量と及び第3液量は0.0mLである。表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が2回と表示されている。
ここで、試薬カウンタが0ではないため、使用者がいかなる操作も可能であると考え、さらに(1)~(3)のいずれかの操作を実施した場合、第1残量を超えた分の液量が不足するため、動作の途中において空気が溶液の経路内に取り込まれることになり、実施された(1)~(3)のいずれかの操作に対する動作を正常に終了することができない。
【0061】
《実施例B1》
この実施例B1では、液体クロマトグラフィー装置が、上述した実施形態における液体クロマトグラフィー装置1であり、第1残量、第2残量、第3残量を管理する構成である場合について説明する。そして、この実施例B1は、第1残量の残りカウンタが5回の場合であって、カラム交換をしようとした際に、第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、合計値を超えた分について第3残量から溶液を割り当て、指示された第2用途の動作を実行すると、第2用途の動作を正常に終了する場合を示す。この場合、第1残量の残りカウンタは必ず0回になる。
第1液量を、(5)を100回実施可能な量として320.0mLと設定し、第2液量を、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(6)を4回実施可能な量として、64.8mLと設定し、第3液量を、(1)~(6)の中で最も必要液量の多い(1)を1回実施可能な量として21.5mLと設定した。
このため、試薬パックには、第1、第2、第3液量の合計406.3mLが充填されている。
そして、(1)を1回、(2)を1回、(3)を1回、(4)を1回、(5)を98回、(6)を4回実施した後、表示部には、測定可能残数が2回と表示されている。
この時の第1残量は6.4mL、第2残量は0.0mL、第3液量は21.5mLである。
その後、(1)を1回実施しようとした際、第2残量からの割り当て、第1残量からの割り当て、第3残量からの割り当て、の順に溶液を使用すると、第1残量6.4mLをまず使用し、さらに第3残量から不足分を充当し、(1)を1回実施する。ここでは、(1)を実施するにあたり、第1残量が0.0mLになるまで使用した後、第3残量から割り当てて使用しても、第1残量と第3残量の合計が27.9mLであり、(1)に必要な溶液の量が21.5mLであるため、(1)の操作を正常に完了することができる。実施後の残液量は、第1液は0.0mL、第2液は0.0mL、第3液は6.4mLである。表示部には、試薬カウンタが示す測定可能残数が0回と表示され、「試薬を交換してください」とメッセージが表示されるので、使用者は、(1)の操作を正常に完了させた上で、試薬を交換することができる。
【0062】
《実施例B2》
この実施例B2では、液体クロマトグラフィー装置が、上述の実施例B1と同様の液体クロマトグラフィー装置1である場合について説明する。第1残量の残りカウンタが1回の場合であって、キャリブレーション(キャリブレータのレベル1とレベル2をn=2測定)をおこなう場合、必要な溶液の量は第1残量及び第2残量の合計値を超える。ここで合計値を超えた分については、第3残量から割り当てることで、指示された動作を実行することができる。かつ表示部には、測定可能残数が0回となり、「試薬を交換してください」とメッセージが表示されるので、使用者は試薬を交換することができる。
【0063】
<考察>
残量データを、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類の種別についてそれぞれ記憶することで、試薬キット(試薬パック)に溶液を必要以上に多く充填する必要がなくなり、試薬カウンタが0になった時点での溶液の廃棄量を最小限としつつ、ユーザは試薬カウンタが0になっていなければ、いかなる操作も可能となる。
また、試薬キットに余分量として溶液を多めに充填しておく場合、どれくらいの量を余分量として充填すべきかについては、ユーザの使用状況に依存するため予測することは困難である。しかし、残量データを、メジャー、ワーク、ギャランティーの3種類の種別についてそれぞれ記憶すれば、ユーザの使用状況に依らず、試薬カウンタが0になっていなければ、いかなる操作も可能となる。
【0064】
以上説明した実施形態において、液体クロマトグラフィー装置1には、記憶部101と実行部104が1つずつ設けられる場合について説明したが、試薬キット15の各溶液に対して、記憶部101と実行部104がそれぞれ設けられるようにしてもよい。
【0065】
なお、上記実施形態においては、液体クロマトグラフィー装置1が、1種類の溶液の残量を管理する場合について説明したが、グラジエント分析を行う場合であっても、上述した実施形態と同様に、2種類以上の溶離液について、残量を管理することもできる。
また、上述した実施形態において、液体クロマトグラフィー装置1は、溶離液以外の検体前処理液や流路の洗浄液、検体前処理液と流路の洗浄を兼ねる溶血洗浄溶解液の残量についても、上述した実施形態と同様に管理することができる。
以上説明した実施形態において、記憶部101、実行部104を液体クロマトグラフィー装置に設ける場合について説明したが、液体クロマトグラフィー装置以外の装置において、使用される材料の一部を、ギャランティーとして割り当てておき、ワークとメジャーとの残量との両方を使用することで所定の動作を実施する場合に、ワークとメジャーの残量が不足する場合に、ギャランティーから不足分を供給することで、所定の動作を実行することもできる。すなわち、
図4に示す各機能のうち少なくとも記憶部101と実行部104との機能を、液体クロマトグラフィー装置以外の装置に適用するようにしてもよい。
【0066】
上述した実施形態における実行部104、制御部106をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0067】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…液体クロマトグラフィー装置
11…蓋
12…サンプルトレー
13…タッチパネル
14…排出口
15…試薬キット
101…記憶部
102…入力部
103…表示部
104…実行部
105…印字部
106…制御部
110…バス
130…表示画面
131,132,133…表示領域
134,135…ボタン
151…第1収容部
152…第2収容部
153…第3収容部
【手続補正書】
【提出日】2023-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、
を有する液体クロマトグラフィー装置。
【請求項2】
前記分析を実施可能な残りの回数を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記第1残量が前記測定のn(但しnは1以上の整数)回分に該当する場合に前記残りの回数が当該n回であることを表示し、
前記実行部は、前記指示された動作に必要な溶離液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行し、
前記表示部は、前記残りの回数が0回になった場合に、当該0回に応じた表示をする
請求項1に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記溶離液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示する
請求項2に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項4】
前記実行部は、前記指示された第2用途の動作を実行すると、前記収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない
請求項3に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項5】
前記第3液量は、前記第1用途を1回実行するために必要な液量と前記第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項6】
溶液の種類が2種類以上であって、それぞれ異なる収容部に収容され、それぞれの溶液に対して記憶部と実行部が設けられる請求項5に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項7】
前記溶液は、2種類以上の溶離液であり、前記液体クロマトグラフィー装置は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行う
請求項6に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項8】
前記溶液は、2種類の溶離液、溶血洗浄溶解液の3種類であり、それぞれ異なる収容部に収容される請求項5に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項9】
前記それぞれ異なる収容部は、1つの収容ユニットに収容されており、当該収容ユニットを一式として交換可能である
請求項8に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【請求項10】
収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置における溶液管理方法であって、
記憶部が、前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶し、
実行部が、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する
溶液管理方法。
【請求項11】
収容部に収容された溶液を用いて分析を行うコンピュータに、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶させ、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行させる
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置であり、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量とが記憶される記憶部と、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する実行部と、
を有する液体クロマトグラフィー装置。
[2]前記分析を実施可能な残りの回数を表示する表示部を有し、
前記表示部は、前記第1残量が前記測定のn回分に該当する場合に前記残りの回数が当該n回であることを表示し(但しnは1以上の整数)、
前記実行部は、前記指示された動作に必要な溶離液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行し、
前記表示部は、前記残りの回数が0回になった場合に、それに応じた表示をする、[1]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[3]
前記表示部は、前記溶離液が収容された収容容器を交換することを促すメッセージを表示する、[2]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
[4]
前記実行部は、前記指示された第2用途の動作を実行すると、前記収容容器が交換されるまで第1用途と第2用途の動作については実行しない、[3]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[5]
前記第3液量は、前記第1用途を1回実行するために必要な液量と前記第2用途を1回実行するために必要な液量との合計以上である、[1]から[4]のうちいずれか1項に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[6]
溶液の種類が2種類以上であって、それぞれ異なる収容部に収容され、それぞれの溶液に対して記憶部と実行部が設けられる、[5]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[7]
前記溶液は、2種類以上の溶離液であり、前記液体クロマトグラフィー装置は、当該2種類以上の溶離液を用いてグラジエント分析を行う、[6]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
[8]
前記溶液は、2種類の溶離液、溶血洗浄溶解液の3種類であり、それぞれ異なる収容部に収容される、[5]記載の液体クロマトグラフィー装置。
[9]
前記それぞれ異なる収容部は、1つの収容ユニットに収容されており、当該収容ユニットを一式として交換可能である、[8]に記載の液体クロマトグラフィー装置。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
[10]
収容部に収容された溶液を用いて分析を行う液体クロマトグラフィー装置における溶液管理方法であって、
記憶部が、前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶し、
実行部が、前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行する
溶液管理方法。
[11]
収容部に収容された溶液を用いて分析を行うコンピュータに、
前記収容部に収容された溶液のうち分析対象の測定である第1用途に割り当てられる第1液量に基づく第1残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記分析以外の動作である第2用途に割り当てられる第2液量に基づく第2残量と、前記収容部に収容された溶液のうち前記第1液量と前記第2液量とは別に定められる第3液量に基づく第3残量を記憶させ、
前記第2用途の動作を行う指示が入力された場合に、当該指示された動作に必要な溶液の量が、前記第1残量及び第2残量の合計値を超える場合に、前記合計値を超えた分について前記収容部に収容された溶液の前記第3残量から割り当て、前記指示された第2用途の動作を実行させる
プログラム。