(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085571
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ラッチ回路、それを用いた車両用灯具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20240620BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240620BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240620BHJP
H05B 45/50 20220101ALI20240620BHJP
H05B 47/20 20200101ALI20240620BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B47/105
H05B45/10
H05B45/50
H05B47/20
B60Q1/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200153
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 和也
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA20
3K273BA33
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA25
3K273EA36
3K273EA42
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA40
3K273GA06
3K273GA14
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA11
3K339BA25
3K339CA01
3K339GB01
3K339JA02
3K339JA11
3K339JA12
3K339JA16
3K339JA18
3K339JA21
3K339KA09
3K339KA18
3K339KA19
3K339KA38
3K339KA39
3K339LA06
3K339MC70
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】時間のばらつきを低減したラッチ回路を提供する。
【解決手段】第1キャパシタC1は、第1端が接地される。充電経路430は、第1キャパシタC1の第2端と接続され、第1キャパシタC1を充電する。入力回路410は、第1キャパシタC1の第2端と接続され、入力信号INがネゲートの状態において第1キャパシタC1から接地への放電経路を形成する。オペアンプOA1は、反転入力に基準電圧V
THを受ける。ダイオードD1は、第1キャパシタC1の第2端とオペアンプOA1の非反転入力の間に接続される。第1抵抗R1は、オペアンプOA1の非反転入力とオペアンプOA1の出力の間に接続される。出力回路420は、オペアンプOA1の出力の信号に応じた出力信号を出力ノードOUTに発生する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を受ける入力ノードと、
出力ノードと、
第1端が接地された第1キャパシタと、
前記第1キャパシタの第2端と接続され、前記第1キャパシタを充電する充電経路と、
前記第1キャパシタの前記第2端と接続され、前記入力信号がネゲートの状態において前記第1キャパシタから接地への放電経路を形成する入力回路と、
反転入力に基準電圧を受けるオペアンプと、
前記第1キャパシタの前記第2端と前記オペアンプの非反転入力の間に接続されたダイオードと、
前記オペアンプの前記非反転入力と前記オペアンプの出力の間に接続された第1抵抗と、
を備え、
前記オペアンプの前記出力の信号に応じた出力信号を前記出力ノードに発生する出力回路と、
を備えることを特徴とするラッチ回路。
【請求項2】
前記充電経路は、電源ラインと前記第1キャパシタの前記第2端の間に接続された第2抵抗を含むことを特徴とする請求項1に記載のラッチ回路。
【請求項3】
前記入力信号は、アサートがロー、ネゲートがオープン状態であり、
前記入力回路は、
前記第1キャパシタの前記第2端と接地の間に直列に設けられた第3抵抗および第1トランジスタと、
第1端が接地され、第2端が前記第1トランジスタの制御電極と接続された第2キャパシタと、
電源ラインと前記第2キャパシタの前記第2端の間に接続された第4抵抗と、
前記入力ノードと前記第2キャパシタの前記第2端の間に接続された第5抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のラッチ回路。
【請求項4】
前記入力信号は、アサートがオープン状態、ネゲートがローであり、
前記入力回路は、
前記入力ノードと前記第1キャパシタの前記第2端の間に接続された第3抵抗を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のラッチ回路。
【請求項5】
前記出力信号は、アサートがハイ、ネゲートがローであり、
前記出力回路は、
前記オペアンプの前記出力と接地の間に接続された第3キャパシタと、
電源ラインと前記オペアンプの前記出力の間に接続された第6抵抗と、
を含み、前記オペアンプの前記出力は前記出力ノードと接続されることを特徴とする請求項1または2に記載のラッチ回路。
【請求項6】
前記出力信号は、アサートがロー、ネゲートがハイであり、
前記出力回路は、
前記オペアンプの前記出力と接地の間に接続された第3キャパシタと、
電源ラインと前記オペアンプの前記出力の間に接続された第6抵抗と、
一端が接地され、他端が前記出力ノードと接続され、制御電極が前記オペアンプの前記出力と接続された第2トランジスタと、
電源ラインと前記出力ノードの間に接続された第7抵抗と、
前記出力ノードと接地の間に接続された第8抵抗と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のラッチ回路。
【請求項7】
前記入力回路は、複数の入力信号を受け、前記複数の入力信号のすべてがネゲートの状態において、前記第1キャパシタからの前記放電経路を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のラッチ回路。
【請求項8】
ディスクリート部品で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のラッチ回路。
【請求項9】
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を点灯するとともに、異常を検出すると、フォルト信号をアサートする点灯回路と、
前記フォルト信号がアサートされると、停止信号をアサートするラッチ回路と、
を備え、
前記ラッチ回路は、請求項1または2に記載のラッチ回路であることを特徴とする車両用灯具。
【請求項10】
ロービーム用の第1半導体発光素子と、
ロービーム用の第2半導体発光素子と、
前記第1半導体発光素子を点灯するとともに、異常を検出すると、第1フォルト信号をアサートする第1点灯回路と、
前記第2半導体発光素子を点灯するとともに、異常を検出すると、第2フォルト信号をアサートする第2点灯回路と、
前記第1フォルト信号と前記第2フォルト信号の少なくとも一方がアサートされると、停止信号をアサートするラッチ回路と、
を備え、
前記第1点灯回路および前記第2点灯回路は、前記停止信号のアサートに応答して、前記第1半導体発光素子および前記第2半導体発光素子を消灯し、
前記ラッチ回路は、請求項7に記載のラッチ回路であることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイマー付きのラッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
異常検出や回路保護のために、あるデジタル信号(フラグ)を監視し、当該デジタル信号がアサートされた状態が所定時間継続すると、出力をラッチするラッチ回路が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、時間のばらつきを低減したラッチ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある態様のラッチ回路は、入力信号を受ける入力ノードと、出力ノードと、第1端が接地された第1キャパシタと、第1キャパシタの第2端と接続され、第1キャパシタを充電する充電経路と、第1キャパシタの第2端と接続され、入力信号がネゲートの状態において第1キャパシタから接地への放電経路を形成する入力回路と、反転入力に基準電圧を受けるオペアンプと、第1キャパシタの第2端とオペアンプの非反転入力の間に接続されたダイオードと、オペアンプの非反転入力とオペアンプの出力の間に接続された第1抵抗と、を備える。オペアンプの出力の信号に応じた出力信号を出力ノードに発生する出力回路と、を備える。
【0006】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0007】
本開示のある態様によれば、入力信号がアサートされてから出力信号がアサートされるまでの時間のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図8】別の実施例に係る車両用灯具のブロック図である。
【
図9】
図8の車両用灯具のロービーム配光の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0010】
一実施形態に係るラッチ回路は、入力信号を受ける入力ノードと、出力ノードと、第1端が接地された第1キャパシタと、第1キャパシタの第2端と接続され、第1キャパシタを充電する充電経路と、第1キャパシタの第2端と接続され、入力信号がネゲートの状態において第1キャパシタから接地への放電経路を形成する入力回路と、第1キャパシタの第2端の電圧を受ける非反転入力、基準電圧を受ける反転入力を有するオペアンプと、オペアンプの非反転入力とオペアンプの出力の間に接続された第1抵抗と、を備える。オペアンプの出力の信号に応じた出力信号を出力ノードに発生する出力回路と、を備える。
【0011】
この構成によると、オペアンプを利用してラッチ回路を構成することで、温度特性や部品特性のばらつきによるラッチ時間のばらつきを低減できる。
【0012】
一実施形態において、充電経路は、電源ラインと第1キャパシタの第2端の間に接続された第2抵抗を含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、入力信号は、アサートがロー、ネゲートがオープン状態であってもよい。入力回路は、第1キャパシタの第2端と接地の間に直列に設けられた第3抵抗および第1トランジスタと、第1端が接地され、第2端が第1トランジスタの制御電極と接続された第2キャパシタと、電源ラインと第2キャパシタの第2端の間に接続された第4抵抗と、入力ノードと第2キャパシタの第2端の間に接続された第5抵抗と、を含んでもよい。
【0014】
一実施形態において、入力信号は、アサートがオープン状態、ネゲートがローであってもよい。入力回路は、入力ノードと第1キャパシタの第2端の間に接続された第3抵抗を含んでもよい。
【0015】
一実施形態において、出力信号は、アサートがハイ、ネゲートがローであってもよい。出力回路は、オペアンプの出力と接地の間に接続された第3キャパシタと、電源ラインとオペアンプの出力の間に接続された第6抵抗と、を含み、オペアンプの出力は出力ノードと接続されてもよい。
【0016】
一実施形態において、出力信号は、アサートがロー、ネゲートがハイであってもよい。出力回路は、オペアンプの出力と接地の間に接続された第3キャパシタと、電源ラインとオペアンプの出力の間に接続された第6抵抗と、一端が接地され、他端が出力ノードと接続され、制御電極がオペアンプの出力と接続された第2トランジスタと、電源ラインと出力ノードの間に接続された第7抵抗と、出力ノードと接地の間に接続された第8抵抗と、を含んでもよい。
【0017】
一実施形態において、入力回路は、複数の入力信号を受け、複数の入力信号のすべてがネゲートの状態において、第1キャパシタから接地への放電経路を形成してもよい。
【0018】
一実施形態に係る車両用灯具は、半導体発光素子と、半導体発光素子を点灯するとともに、異常を検出すると、フォルト信号をアサートする点灯回路と、フォルト信号がアサートされると、停止信号をアサートするラッチ回路と、を備える。上述のラッチ回路は、このような車両用灯具に利用できる。
【0019】
一実施形態に係る車両用灯具は、ロービーム用の第1半導体発光素子と、ロービーム用の第2半導体発光素子と、第1半導体発光素子を点灯するとともに、異常を検出すると、第1フォルト信号をアサートする第1点灯回路と、第2半導体発光素子を点灯するとともに、異常を検出すると、第2フォルト信号をアサートする第2点灯回路と、第1フォルト信号と第2フォルト信号の少なくとも一方がアサートされると、停止信号をアサートするラッチ回路と、を備えてもよい。第1点灯回路および第2点灯回路は、停止信号のアサートに応答して、第1半導体発光素子および第2半導体発光素子を消灯てもよい。上述のラッチ回路は、このような車両用灯具に利用できる。
【0020】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0022】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0023】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0024】
図1は、実施形態に係るラッチ回路400の回路図である。ラッチ回路400は、入力ノードINに、入力信号を受ける。入力信号は、アサート、ネゲートの2状態をとるフラグである。ラッチ回路400は、入力信号のアサートが所定のラッチ時間持続すると、出力ノードOUTの出力信号をアサートする。
【0025】
ラッチ回路400は、第1キャパシタC1、充電経路430、入力回路410、オペアンプOA1、第1抵抗R1、出力回路420を備え、ディスクリート部品で構成される。
【0026】
第1キャパシタC1は、第1端が接地される。充電経路430は、第1キャパシタC1の第2端と接続され、第1キャパシタC1を充電する。たとえば充電経路430は、電源ラインと第1キャパシタC1の第2端の間に接続された第2抵抗R2を含む。
【0027】
入力回路410は、第1キャパシタC1の第2端と接続される。入力回路410は、入力信号INがネゲートの状態において第1キャパシタC1から接地への放電経路を形成する。入力回路410は、入力信号INがアサートされるとオープン状態となる。
【0028】
オペアンプOA1の反転入力(-)には、基準電圧VTHが入力される。ダイオードD1は、第1キャパシタC1の第2端とオペアンプOA1の非反転入力の間に接続される。第1抵抗R1は、オペアンプOA1の非反転入力(+)とオペアンプOA1の出力の間に接続される。
【0029】
出力回路420は、オペアンプOA1の出力の信号に応じた出力信号を出力ノードOUTに発生する。
【0030】
以上がラッチ回路400の基本構成である。続いてラッチ回路400の動作を説明する。
【0031】
図2は、
図1のラッチ回路400の動作波形図である。
図2には上から順に、入力ノードINの状態、電圧信号、出力ノードOUTの状態が示される。V
C1は、第1キャパシタC1の電圧であり、V
AはオペアンプOA1の非反転入力の電圧であり、V
BはオペアンプOA1の出力の電圧である。
【0032】
時刻t0より前において、入力信号INはネゲートである。このとき、入力回路410によって第1キャパシタC1が放電されているため、電圧VC1は0Vである。
【0033】
時刻t0に入力信号INがアサートされる。入力信号INのアサートに応答して、入力回路410の放電経路が遮断されるため、第1キャパシタC1は、第2抵抗R2を介して充電され、電圧VC1が時間とともに上昇する。電圧VC1の上昇とともに、オペアンプOA1の非反転入力の電圧VAも、VA=VC1-Vfの関係を保ちながら上昇する。VfはダイオードD1の順方向電圧である。VA<VTHであるから、オペアンプOA1の出力の電圧VBはロー(0V)である。
【0034】
時刻t1に、入力信号INがネゲートされると、入力回路410によって第1キャパシタC1が放電されるため、電圧VC1は0Vにリセットされる。ダイオードD1の整流作用によって、オペアンプOA1の非反転入力の電荷は、第1キャパシタC1側には放電されない。ただし、オペアンプOA1の出力電圧VBは0Vであるから、オペアンプOA1の非反転入力の電荷は、第1抵抗R1を介して、オペアンプOA1の出力に向かって放電され、電圧VAも0Vに戻る。
【0035】
時刻t2に、入力信号INが再びアサートされると、入力回路410による放電が停止し、第1キャパシタC1の電圧VC1が時間とともに上昇する。電圧VC1の上昇とともに、オペアンプOA1の非反転入力の電圧VAも、VA=VC1-Vfの関係を保ちながら上昇する。
【0036】
時刻t3に、入力信号INのアサートが、所定のラッチ時間τ持続すると、VA>VTHとなり、オペアンプOA1の出力の電圧VBがハイ(Vcc)となる。オペアンプOA1の出力の電圧VBがハイ(Vcc)となると、出力回路420は、出力ノードOUTの信号をアサート状態とする。
【0037】
時刻t4に、入力信号INがネゲートされると、入力回路410によって第1キャパシタC1が放電されるため、電圧VC1は0Vにリセットされる。ただし、ダイオードD1の整流作用によって、電圧VC1は電圧VAには影響を与えない。したがって、オペアンプOA1の非反転入力の電圧VAは、第1抵抗R1を介して、オペアンプOA1のハイ電圧出力にプルアップされることとなり、VA=VB=Vccとなる。つまり、一旦、オペアンプOA1の出力の電圧VBがハイ(Vcc)となると、オペアンプOA1の出力は入力ノードINの影響を受けず、ラッチ状態となる。
【0038】
以上がラッチ回路400の動作である。このラッチ回路400によれば、ラッチ時間τを、第1キャパシタC1の容量、第2抵抗R2の抵抗値および基準電圧VTHの3つをパラメータとして正確に決定することができる。
【0039】
トランジスタのゲートソース間(ベースエミッタ間)のしきい値電圧を利用したラッチ回路では、ラッチ時間τが、トランジスタの素子ばらつきの影響や、温度変動の影響を受けやすい。これに対して、実施形態に係るラッチ回路400では、ラッチ時間τは温度の影響を受けにくく、またトランジスタのしきい値電圧の変動やばらつきの影響も受けにくいため、ラッチ時間τのばらつきや変動を抑制できる。
【0040】
本開示は、
図1のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本開示の範囲を狭めるためではなく、本開示や本発明の本質や動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例や実施例を説明する。
【0041】
(実施例1)
図3は、実施例1に係るラッチ回路400Aの回路図である。本実施例において、入力信号INは、アサートがロー、ネゲートがオープン状態に割り当てられている。
【0042】
入力回路410Aは、第3抵抗R3、第1トランジスタQ1、第2キャパシタC2、第4抵抗R4、第5抵抗R5を含む。第3抵抗R3および第1トランジスタQ1は、第1キャパシタC1の第2端と接地の間に直列に接続される。
【0043】
第2キャパシタC2は、第1端が接地される。第2キャパシタC2の第2端は、第1トランジスタQ1の制御電極(ベース)と接続される。第4抵抗R4は、電源ラインと第2キャパシタC2の第2端の間に接続される。第5抵抗R5は、入力ノードINと第2キャパシタC2の第2端の間に接続される。
【0044】
本実施例において、出力信号OUTは、アサートがロー、ネゲートがハイに割り当てられる。出力回路420Aは、第3キャパシタC3、第6抵抗R6、第2トランジスタQ2、第7抵抗R7、第8抵抗R8を含む。
【0045】
第3キャパシタC3は、オペアンプOA1の出力と接地の間に接続される。第6抵抗R6は、電源ラインとオペアンプOA1の出力の間に接続される。第2トランジスタQ2は、一端(エミッタ)が接地され、他端(コレクタ)が出力ノードOUTと接続され、制御電極(ベース)がオペアンプOA1の出力と接続される。第7抵抗R7は、電源ラインと出力ノードOUTの間に接続され、第8抵抗R8は、出力ノードOUTと接地の間に接続される。
【0046】
抵抗R11、R12は、電源電圧Vccを分圧し、しきい値電圧VTHを生成する。
【0047】
以上がラッチ回路400Aの構成である。
【0048】
(実施例2)
図4は、実施例2に係るラッチ回路400Bの回路図である。本実施例において、入力信号INは、実施例1と同様に、アサートがロー、ネゲートがオープン状態に割り当てられている。したがって入力回路410Bの構成は、
図3の入力回路410Aと同様である。
【0049】
本実施例では、出力信号OUTのアサート、ネゲートの割り当てが実施例1と異なっており、出力信号OUTは、アサートがハイ、ネゲートがローである。出力回路420Bは、第3キャパシタC3および第6抵抗R6を含む。第3キャパシタC3は、オペアンプOA1の出力と接地の間に接続される。第6抵抗R6は、電源ラインとオペアンプOA1の出力の間に接続される。
【0050】
(実施例3)
図5は、実施例3に係るラッチ回路400Cの回路図である。本実施例において、入力信号INは、アサートがオープン状態、ネゲートがローである。入力回路410Cは、第3抵抗R3を含む。第3抵抗R3は、入力ノードINと第1キャパシタC1の第2端の間に接続される。
【0051】
出力信号OUTは、実施例1と同様に、アサートがロー、ネゲートがハイに割り当てられ、出力回路420Cは、
図3の出力回路420Aと同じ構成を有する。
【0052】
(実施例4)
図6は、実施例4に係るラッチ回路400Dの回路図である。本実施例において、入力信号INは、実施例3と同様に、アサートがオープン状態、ネゲートがローであり、入力回路410Dは、
図5の入力回路410Cと同じ構成を有する。
【0053】
出力信号OUTは、実施例2と同様に、アサートがハイ、ネゲートがローであり、出力回路420Dは、
図4の出力回路420Bと同じ構成を有する。
【0054】
(変形例)
ラッチ回路400は、多入力とすることができる。この場合、ラッチ回路400は、複数の入力信号INのすべてがネゲートの状態において、第1キャパシタC1から接地への放電経路を形成し、複数の入力信号INの少なくともひとつがアサートされるときに、放電経路を遮断するように構成される。
【0055】
たとえば
図3の入力回路410Aや
図4の入力回路410Bの場合、第5抵抗R5を、入力信号の個数だけ増やせばよい。同様に、
図5の入力回路410Cや
図6の入力回路410Dの場合、第3抵抗R3を、入力信号の個数だけ増やせばよい。
【0056】
実施形態では、充電経路430を第2抵抗R2で構成してが本開示はそれに限定されず、トランジスタや電流源で構成してもよい。
【0057】
またバイポーラトランジスタはMOSトランジスタと置き換えることができ、ベースをゲート、ソースをエミッタ、コレクタをドレインと読み替えればよい。
【0058】
続いてラッチ回路400の用途を説明する。
【0059】
(用途)
図7は、車両用灯具100のブロック図である。車両用灯具100は、ロービームランプであり、発光ユニット110およびLED駆動モジュール(LDM)200を備える。
【0060】
発光ユニット110は、ロービーム用の第1半導体発光素子112を含む。第1半導体発光素子112の出射光は、図示しない光学系を通過し、車両前方にロービームの配光を形成する。
【0061】
駆動モジュール200の入力端子INは、ロービームスイッチSW1を介してバッテリ2と接続される。ロービームの点灯時には、ロービームスイッチSW1がオンとなり、入力端子INにバッテリ電圧VBATが供給される。駆動モジュール200は、入力端子INに供給されるバッテリ電圧VBATを電源電圧として動作する。つまり、入力電圧INに対するバッテリ電圧VBATの供給が、車両用灯具100に対するロービームの点灯指示である。
【0062】
第1点灯回路210は、ロービームの点灯指示に応答して動作を開始し、第1半導体発光素子112を点灯する。第1点灯回路210は、異常検出機能を備え、異常を検出すると、第1フォルト信号FLT1をアサートする。
【0063】
第1フォルト信号FLT1は、ラッチ回路230に入力される。ラッチ回路230は、第1フォルト信号FLT1がアサートされると、停止信号STOPをアサートする。
【0064】
好ましくはラッチ回路230はタイマーラッチ回路であり、第1フォルト信号FLT1のアサートが、所定の判定時間(ラッチ時間)にわたり持続すると、ラッチ信号LATCHをアサートし、固定する。車両用灯具100は、ラッチ信号LATCHのアサートに応答して第1半導体発光素子112を消灯してもよい。あるいは車両用灯具100は、ラッチ信号LATCHのアサートを、車両側のECUに通知してもよい。
【0065】
ラッチ回路230として、上述のラッチ回路400を好適に用いることができる。
【0066】
第1点灯回路210は、第1DC/DCコンバータ212および第1コンバータコントローラ214を含む。第1DC/DCコンバータ212は、第1コンバータコントローラ214から供給されるパルス変調信号SP1に応じてスイッチングし、第1半導体発光素子112に第1駆動電流IDRV1を供給する。たとえばパルス変調信号SP1は、パルス幅変調信号であってもよいし、パルス周波数変調信号であってもよい。
【0067】
第1DC/DCコンバータ212は、降圧コンバータであってもよいし、昇降圧コンバータであってもよいし、昇圧コンバータであってもよい。第1DC/DCコンバータ212の形式は、第1半導体発光素子112を構成するLEDの直列接続の個数に応じて選択することができる。
【0068】
第1コンバータコントローラ214は、第1DC/DCコンバータが生成する第1駆動電流IDRV1が、その目標量IREF1に近づくようにパルス変調信号SP1を生成し、第1DC/DCコンバータ212をフィードバック制御(定電流制御)する。
【0069】
また第1コンバータコントローラ214は、第1半導体発光素子112の異常を検出可能に構成される。異常の種類や検出方法は特に限定されないが、たとえば第1コンバータコントローラ214は、第1半導体発光素子112の両端間電圧を監視し、所定の範囲から逸脱すると、異常と判定してもよい。あるいは第1コンバータコントローラ214は、第1駆動電流IDRV1を監視し、目標量IREF1に収束しない場合に、異常と判定してもよい。第1コンバータコントローラ214は、地絡や天絡を異常として検出してもよい。
【0070】
第1コンバータコントローラ214は、市販のDC/DCコンバータのコントローラIC(Integrated Circuit)と、その周辺回路で構成することができる。
【0071】
たとえばコントローラICが、異常検出機能と、異常検出を外部に通知するためのフォルトピンを有していてもよい。
【0072】
たとえばコントローラICが、異常検出機能を有していない場合、コントローラICの外部に、ディスクリート部品で、異常検出回路を構成すればよい。
【0073】
この構成によると、第1点灯回路210、第2点灯回路220のいずれかにおいて故障が検出されると、すべてのLEDが消灯する。そのため、視覚テルテールが義務づけられる要件から外れるため、テルテールが不要となる。
【0074】
図8は、別の実施例に係る車両用灯具100のブロック図である。発光ユニット110は、ロービーム用の第1半導体発光素子112と、ロービーム用の第2半導体発光素子114と、を含む。第1半導体発光素子112と第2半導体発光素子114の出射光は、図示しない光学系を通過し、車両前方にロービームの配光を形成する。たとえば第1半導体発光素子112の出射光は、ロービーム照射領域のうちの、上側部分に向けられ、第2半導体発光素子114の出射光はロービーム照射領域のうちの、下側部分に向けられる。
【0075】
第1点灯回路210は、ロービームの点灯指示に応答して動作を開始し、第1半導体発光素子112を点灯する。第1点灯回路210は、異常検出機能を備え、異常を検出すると、第1フォルト信号FLT1をアサートする。
【0076】
第2点灯回路220は、ロービームの点灯指示に応答して動作を開始し、第2半導体発光素子114を点灯する。第2点灯回路220は、異常検出機能を備え、異常を検出すると、第2フォルト信号FLT2をアサートする。
【0077】
第2点灯回路220は、第2DC/DCコンバータ222および第2コンバータコントローラ224を含み、第1点灯回路210と同様に構成することができる。
【0078】
第1フォルト信号FLT1および第2フォルト信号FLT2は、ラッチ回路230に入力される。ラッチ回路230は、第1フォルト信号FLT1と第2フォルト信号FLT2の少なくとも一方がアサートされると、停止信号STOPをアサートする。
【0079】
好ましくはラッチ回路230はタイマーラッチ回路であり、第1フォルト信号FLT1および第2フォルト信号FLT2の少なくとも一方のアサートが、所定の判定時間にわたり持続すると、停止信号STOPをアサートし、停止信号STOPをアサート状態に固定する。
【0080】
停止信号STOPは、第1点灯回路210および第2点灯回路220に供給される。第1点灯回路210は、停止信号STOPのアサートに応答して、第1駆動電流IDRV1の生成を停止し、第1半導体発光素子112を消灯する。第2点灯回路220は、停止信号STOPのアサートに応答して、第2駆動電流IDRV2の生成を停止し、第2半導体発光素子114を消灯する。
【0081】
コントローラICは、PWM調光用のPWM端子を有しているものを使用してもよい。その場合、停止信号STOPのアサートに応答して、PWM端子をローに固定するように周辺回路を構成すればよい。あるいはイネーブル端子を有しているコントローラICを使用し、停止信号STOPのアサートに応答して、イネーブル端子をローに固定するように周辺回路を構成してもよい。
【0082】
図8の車両用灯具100においても、ラッチ回路230を、上述のラッチ回路400で構成することができる。
【0083】
図9は、
図8の車両用灯具100Aのロービーム配光800の一例を示す図である。ロービーム配光800は、メインロービーム部分802と、付加ロービーム部分804を含む。メインロービーム部分802は、第1半導体発光素子112の出射光によって形成され、付加ロービーム部分804は、メインロービーム部分802の下側および側方を広く照射する補助的な配光であり、第2半導体発光素子114の出射光によって形成される。
【0084】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものであり、したがって、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
2…バッテリ、SW1…ロービームスイッチ、100…車両用灯具、110…発光ユニット、112…第1半導体発光素子、114…第2半導体発光素子、200…駆動モジュール、210…第1点灯回路、212…第1DC/DCコンバータ、214…第1コンバータコントローラ、220…第2点灯回路、222…第2DC/DCコンバータ、224…第2コンバータコントローラ、230…ラッチ回路、FLT1…第1フォルト信号、FLT2…第2フォルト信号、STOP…停止信号、400…ラッチ回路、OA1…オペアンプ、D1…ダイオード、C1…第1キャパシタ、C2…第2キャパシタ、C3…第3キャパシタ、Q1…第1トランジスタ、Q2…第2トランジスタ、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、R3…第3抵抗、R4…第4抵抗、R5…第5抵抗、R6…第6抵抗、R7…第7抵抗、R8…第8抵抗、410…入力回路、420…出力回路、430…充電経路。