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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008558
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】エゼクタ
(51)【国際特許分類】
   F04F 5/46 20060101AFI20240112BHJP
   F04F 5/16 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F04F5/46 B
F04F5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110528
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 定嗣
【テーマコード(参考)】
3H079
【Fターム(参考)】
3H079AA18
3H079AA23
3H079CC03
3H079DD03
3H079DD16
(57)【要約】
【課題】内側ノズルと外側ノズルの位置関係を所望の位置関係に維持できるエゼクタを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、内側ノズル25と、内側ノズル25を内側に備える外側ノズル26と、を有し、内側ノズル25と外側ノズル26との間には外側噴射孔32が設けられており、内側ノズル25の内側または/および外側噴射孔32から噴射される作動流体により発生する負圧によって目的流体を吸引し、目的流体を作動流体と合流させて放出するエゼクタ1において、内側ノズル25と外側ノズル26との間の隙間に設けられ外側噴射孔32の間隔を規制するノズルガイド51を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側ノズルと、
前記内側ノズルを内側に備える外側ノズルと、
を有し、
前記内側ノズルと前記外側ノズルとの間には隙間が設けられており、
前記内側ノズルの内側または/および前記隙間から噴射される作動流体により発生する負圧によって目的流体を吸引し、前記目的流体を前記作動流体と合流させて放出するエゼクタにおいて、
前記隙間に設けられ当該隙間の間隔を規制する間隔規制部を有すること、
を特徴とするエゼクタ。
【請求項2】
請求項1のエゼクタにおいて、
前記外側ノズルの先端部の内側に外側噴射孔が設けられ、
前記間隔規制部は、前記外側噴射孔よりも前記作動流体の流れ方向の上流側の位置に配置されていること、
を特徴とするエゼクタ。
【請求項3】
請求項1または2のエゼクタにおいて、
前記間隔規制部における前記作動流体の流れ方向の上流側の端部は、前記上流側に向かって収束する形状に形成されていること、
を特徴とするエゼクタ。
【請求項4】
請求項1または2のエゼクタにおいて、
前記間隔規制部における前記作動流体の流れ方向の下流側の端部は、前記下流側に向かって収束する形状に形成されていること、
を特徴とするエゼクタ。
【請求項5】
請求項1または2のエゼクタにおいて、
前記目的流体が供給される目的流体供給口を有し、
前記内側ノズルの軸線方向から見た前記隙間の断面積は、前記目的流体供給口に近いほど大きいこと、
を特徴とするエゼクタ。
【請求項6】
請求項1または2のエゼクタにおいて、
前記間隔規制部は、当該間隔規制部における前記作動流体の流れ方向の上流側の端部と下流側の端部とを繋ぐ軸線が前記作動流体の流れ方向に対して傾くようにして配置されていること、
を特徴とするエゼクタ。
【請求項7】
請求項1または2のエゼクタにおいて、
前記目的流体が供給される目的流体供給口と、
前記作動流体により発生する負圧によって前記目的流体を吸引し、前記目的流体を前記作動流体と合流させて放出口へ送出するディフューザと、を有し、
前記ディフューザの吸引口は、前記目的流体供給口側の開口面積が広くなるように楕円状に形成されていること、
を特徴とするエゼクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作動流体を流すことにより負圧を発生させ、その負圧の作用により目的流体を流すエゼクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作動流体を噴射するノズルとして、内側のノズルである第1ノズルと、この第1ノズルを内側に備える外側のノズルである第2ノズルとを有するエゼクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-56869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるエゼクタにおいて、第1ノズルと第2ノズルの位置関係として、第1ノズルと第2ノズルを同軸とする位置関係にしている。しかしながら、第1ノズルと第2ノズルの組付け時や組付け後において、第2ノズルに対して第1ノズルが偏心して、第1ノズルと第2ノズルの位置関係を所望の位置関係(すなわち、同軸とする位置関係)に維持できないおそれがある。そうすると、第1ノズルと第2ノズルとの間から安定して作動流体を噴射できず、作動流体の作用により流れる目的流体の流量が安定しないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、内側ノズルと外側ノズルの位置関係を所望の位置関係に維持できるエゼクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、内側ノズルと、前記内側ノズルを内側に備える外側ノズルと、を有し、前記内側ノズルと前記外側ノズルとの間には隙間が設けられており、前記内側ノズルの内側または/および前記隙間から噴射される作動流体により発生する負圧によって目的流体を吸引し、前記目的流体を前記作動流体と合流させて放出するエゼクタにおいて、前記隙間に設けられ当該隙間の間隔を規制する間隔規制部を有すること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、間隔規制部により内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間の間隔が規制されるので、内側ノズルと外側ノズルの位置関係を、所望の位置関係に維持できる。そして、これにより、内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間から噴射される作動流体の流量が安定するので、作動流体の作用により流れる目的流体の流量が安定し、所望の流量の目的流体を流すことができる。
【0008】
上記の態様においては、前記外側ノズルの先端部の内側に外側噴射孔が設けられ、前記間隔規制部は、前記外側噴射孔よりも前記作動流体の流れ方向の上流側の位置に配置されていること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、外側噴射孔から噴射される作動流体の流量が低下することなく、内側ノズルと外側ノズルの位置関係を、所望の位置関係に維持できる。
【0010】
上記の態様においては、前記間隔規制部における前記作動流体の流れ方向の上流側の端部は、前記上流側に向かって収束する形状に形成されていること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、間隔規制部が作動流体の流れの抵抗となることを抑制できる。そのため、内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間から噴射される作動流体の流量が間隔規制部により低下することを抑制できる。
【0012】
上記の態様においては、前記間隔規制部における前記作動流体の流れ方向の下流側の端部は、前記下流側に向かって収束する形状に形成されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、間隔規制部によって作動流体の流れが整流される。そのため、整流された作動流体の作用により安定して目的流体を流すことができるので、目的流体の流量が安定する。
【0014】
上記の態様においては、前記目的流体が供給される目的流体供給口を有し、前記内側ノズルの軸線方向から見た前記隙間の断面積は、前記目的流体供給口に近いほど大きいこと、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間のうち目的流体供給口に近い部分から噴射される作動流体の流量を増やすことができる。そのため、内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間から噴射される作動流体の流量が目的流体供給口からの目的流体の流れ込みによる影響を受けて低減することを抑制できる。したがって、作動流体の作用によって流す目的流体の流量を維持できる。
【0016】
上記の態様においては、前記間隔規制部は、当該間隔規制部における前記作動流体の流れ方向の上流側の端部と下流側の端部とを繋ぐ軸線が前記作動流体の流れ方向に対して傾くようにして配置されていること、が好ましい。
【0017】
この態様によれば、間隔規制部の軸線が作動流体の流れ方向に対して傾いているので、作動流体を、内側ノズルや外側ノズルの周方向に旋回させながら流して、内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間から噴射させることができる。そのため、内側ノズルと外側ノズルとの間の隙間から噴射される作動流体の作用によって目的流体が流れ易くなるので、目的流体の吸引量を増やすことができる。
【0018】
上記の態様においては、前記目的流体が供給される目的流体供給口と、前記作動流体により発生する負圧によって前記目的流体を吸引し、前記目的流体を前記作動流体と合流させて放出口へ送出するディフューザと、を有し、前記ディフューザの吸引口は、前記目的流体供給口側の開口面積が広くなるように楕円状に形成されていること、が好ましい。
【0019】
この態様によれば、ディフューザの吸引口における目的流体供給口側の部分から目的流体が吸引され易くなる。そのため、ディフューザへの目的流体の吸引量を増やすことができるので、目的流体の流量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示のエゼクタによれば、内側ノズルと外側ノズルの位置関係を所望の位置関係に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態のエゼクタの断面図である。
図2】内側ノズルと外側ノズルの先端部周辺の拡大図である。
図3】第1実施例における図2のA-A断面図である。なお、説明の便宜上、本体ケーシングの断面部分の図示は省略している。
図4】ノズルガイドを外側ノズルの内側から見た図である。
図5】第2実施例の外側ノズルの内周面を平面状に展開して表した図である。
図6】第3実施例における図2のA-A断面図に相当する図である。なお、説明の便宜上、本体ケーシングの断面部分の図示は省略している。
図7】第4実施例における図2のA-A断面図に相当する図である。なお、説明の便宜上、本体ケーシングの断面部分の図示は省略している。
図8】変形例におけるディフューザの吸引口の形状を示す図である。
図9】従来技術における内側ノズルと外側ノズルの先端部周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の実施形態であるエゼクタ1について説明する。
【0023】
<エゼクタの全体の概要説明>
まず、エゼクタ1の全体の概要について説明する。
【0024】
図1に示すように、エゼクタ1は、本体ケーシング11を有する。この本体ケーシング11は、作動流体(例えば、水素ガス)と目的流体(例えば、水素オフガス)を流すために管状に形成されている。
【0025】
本体ケーシング11には、第1作動流体供給口21と、第2作動流体供給口22と、目的流体供給口23と、負圧発生室24と、内側ノズル25と、外側ノズル26と、ディフューザ27と、放出口28が設けられている。
【0026】
第1作動流体供給口21は、作動流体が供給される供給口であり、内側ノズル25の内側の流路である内側噴射孔31(図2参照)に連通している。第2作動流体供給口22は、作動流体が供給される供給口であり、内側ノズル25と外側ノズル26の間の隙間の流路である外側噴射孔32(図2参照)に連通している。
【0027】
目的流体供給口23は、目的流体が供給される供給口であり、負圧発生室24に連通している。負圧発生室24は、作動流体により負圧を発生させるための空間部である。
【0028】
内側ノズル25と外側ノズル26は、それぞれ、第1作動流体供給口21と第2作動流体供給口22から供給される作動流体を噴射するためのノズルである。内側ノズル25と外側ノズル26は、それぞれ、略円筒状に形成されており、ステンレスや樹脂などで形成されている。外側ノズル26の内側に内側ノズル25が設けられている。なお、内側ノズル25は、例えば、外側ノズル26に対して圧入されて固定されている。また、内側ノズル25の先端部41と外側ノズル26の先端部42は、負圧発生室24に配置されている。また、先端部41と先端部42は、それぞれ、内側ノズル25と外側ノズル26における作動流体の流れ方向の下流側(以下、単に「下流側」という。図2の左側)の端部であり、内径が最小に絞られている部分である。
【0029】
ここでは、一例として、図1図3に示すように、内側ノズル25と外側ノズル26は、同軸の位置関係(すなわち、内側ノズル25の軸線L2と外側ノズル26の軸線L3とが一致している位置関係)で配置されている。また、図3に示すように、内側ノズル25の軸線L2と外側ノズル26の軸線L3は、ディフューザ27の軸線L1と一致している。
【0030】
図2に示すように、内側ノズル25の先端部41の内側には、作動流体が流れる内側噴射孔31が設けられている。また、外側ノズル26の先端部42の内側には(請求項2)、詳しくは、内側ノズル25の先端部41の外周面41aと外側ノズル26の先端部42の内周面42aとの間には、その隙間として、作動流体が流れる断面が環状をなす外側噴射孔32が設けられている。
【0031】
本実施形態では、図2図3に示すように、外側噴射孔32よりも作動流体の流れ方向の上流側(以下、単に「上流側」という。図2の右側)の位置に、すなわち、先端部42に対して上流側に隣接した位置であって外側ノズル26の内径を先端部42よりも大きくした位置、さらに言い換えると、外側ノズル26の内径を最小よりも一段大きくした位置に、ノズルガイド51が設けられている。このノズルガイド51の詳細については後述する。なお、ノズルガイド51は、本開示の「間隔規制部」の一例である。
【0032】
ディフューザ27は、負圧発生室24に連通し、作動流体により発生する負圧によって目的流体を吸引し、目的流体を作動流体と合流させて放出口28へ送出する流路である。放出口28は、ディフューザ27を流れた作動流体と目的流体を外部へ放出する部分である。
【0033】
このように構成されるエゼクタ1は、第1作動流体供給口21と第2作動流体供給口22から供給されて内側ノズル25と外側ノズル26から噴射される作動流体により負圧発生室24に負圧を発生させ、その負圧により目的流体供給口23から負圧発生室24へ目的流体を吸入させる。そして、エゼクタ1は、目的流体を作動流体と共にディフューザ27へ流して放出口28から供給先(不図示)へ向けて放出させる。
【0034】
より詳しくは、第1作動流体供給口21に供給される作動流体は、内側ノズル25へ流れてその内側噴射孔31から負圧発生室24へ噴射され、ディフューザ27を流れて放出口28から放出される。また、第2作動流体供給口22に供給される作動流体は、外側ノズル26へ流れてその外側噴射孔32から負圧発生室24へ噴射され、ディフューザ27を流れて放出口28から放出される。
【0035】
そして、このような作動流体の流れにより負圧発生室24では負圧が発生し、目的流体供給口23に供給される目的流体が、その負圧により負圧発生室24に吸引され、作動流体と共にディフューザ27を流れて作動流体と混合され、放出口28から放出される。
【0036】
<ノズルガイドの説明>
次に、ノズルガイド51について説明する。
【0037】
従来、図9に示すように、内側ノズル25と外側ノズル26との間の隙間には何も設けられていなかったので、内側ノズル25と外側ノズル26の組付け時や組付け後において、外側ノズル26に対して内側ノズル25が傾いて偏心するおそれがあった。そして、このように内側ノズル25が偏心すると、外側噴射孔32の大きさが内側ノズル25や外側ノズル26の周方向について不均等になる。そうすると、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が低下したり、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が内側ノズル25や外側ノズル26の周方向についてばらついてしまう。そして、このように外側噴射孔32から安定して作動流体を噴射できないと、作動流体の作用により流れる目的流体の流量が安定せず、所望の流量の目的流体を流すことができないおそれがある。
【0038】
(第1実施例)
そこで、まず、第1実施例について説明する。
【0039】
本実施例では、図2図3に示すように、内側ノズル25と外側ノズル26との間の隙間であって外側噴射孔32よりも上流側の位置にノズルガイド51を設け、このノズルガイド51が内側ノズル25の外周面25aに接することにより外側噴射孔32の間隔を規制している。なお、外側噴射孔32の間隔とは、外側噴射孔32における内側ノズル25や外側ノズル26の径方向の間隔である。
【0040】
具体的には、ノズルガイド51は、図2図3に示すように、外側ノズル26における先端部42よりも上流側の位置の内周面26aにて、外側ノズル26の周方向について等間隔を空けて配置されるようにして、3個設けられている。なお、ノズルガイド51が設けられる数は、3個に限定されず、2個以上であればよい。また、ノズルガイド51は、内側ノズル25の先端部41よりも上流側の位置の外周面25aに設けられていてもよい。また、ノズルガイド51は、内側ノズル25や外側ノズル26とは別部品であってもよい。
【0041】
このようにして、ノズルガイド51によって外側噴射孔32の間隔を規制することにより、内側ノズル25や外側ノズル26の径方向について、内側ノズル25の位置が案内される。そのため、外側噴射孔32の間隔(すなわち、内側ノズル25の先端部41の外周面41aと外側ノズル26の先端部42の内周面42aとの間の隙間の間隔)を一定に保つことができる。したがって、内側ノズル25と外側ノズル26の組付け時や組付け後にて、ノズルガイド51により外側噴射孔32の間隔を一定に保って、外側ノズル26に対して内側ノズル25が傾いて偏心することを抑制できる。
【0042】
すなわち、内側ノズル25と外側ノズル26の径方向の位置関係を、所望の位置関係、(すなわち、ここでは、同軸の位置関係)に維持できる。そのため、内側ノズル25や外側ノズル26の周方向について外側噴射孔32の大きさを均等に保つことができる。したがって、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が低下することを抑制でき、また、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が内側ノズル25や外側ノズル26の周方向についてばらつくことを抑制できる。そして、このようにして外側噴射孔32から安定して作動流体を噴射できるので、作動流体の作用により流れる目的流体の流量が安定し、所望の流量の目的流体を流すことができる。ゆえに、放出口28から放出される作動流体と目的流体の混合流体の流量を、所望の流量とすることができる。
【0043】
また、外側ノズル26に対して内側ノズル25が傾いて偏心することを抑制するために、内側ノズル25と外側ノズル26との固定部を長くしたり、内側ノズル25と外側ノズル26の径を大きくするなどする必要がない。そのため、エゼクタ1の体格が大きくなることを抑制できる。
【0044】
また、図4に示すように、ノズルガイド51は、外側ノズル26の内側から見たときに、菱形に形成されている。そして、ノズルガイド51は、外側ノズル26における外側噴射孔32(先端部42)よりも上流側の位置の内周面26aにて、菱形の長軸の対角線の方向が作動流体の流れ方向(すなわち、外側ノズル26の軸線L3方向)と平行となるようにして、配置されている。このようにして、ノズルガイド51における上流側(すなわち、図4の右側)の端部61が、上流側に向かって収束する形状に形成されている。また、ノズルガイド51における作動流体の流れ方向の下流側(図4の左側)の端部62が、下流側に向かって収束する形状に形成されている。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、エゼクタ1は、外側噴射孔32の間隔を規制するノズルガイド51を有する。
【0046】
このようにして、ノズルガイド51により外側噴射孔32の間隔(すなわち、内側ノズル25の先端部41の外周面41aと外側ノズル26の先端部42の内周面42aとの間の間隔)が規制されるので、内側ノズル25と外側ノズル26の径方向の位置関係を、所望の位置関係(すなわち、同軸の位置関係)に維持できる。そして、これにより、外側噴射孔32から安定して作動流体を噴射できるので、作動流体の作用により流れる目的流体の流量が安定し、所望の流量の目的流体を流すことができる。
【0047】
また、ノズルガイド51は、外側噴射孔32よりも上流側の位置に設けられている。
【0048】
このようにして、外側ノズル26の最小絞り部である先端部42に位置する外側噴射孔32の位置にはノズルガイド51が設けられていないので、外側噴射孔32の流路の断面積が低下しない。また、ノズルガイド51を外側噴射孔32の位置に設ける場合よりも、内側ノズル25と外側ノズル26との間の流路の断面積を大きくすることができる。また、作動流体の流れについて、仮にノズルガイド51が作動流体の流れの抵抗となって乱れが生じても、ノズルガイド51よりも下流側の位置に設けられる外側噴射孔32にて安定(整流)させることができる。そのため、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が低下することなく、内側ノズル25と外側ノズル26の位置関係を、所望の位置関係に維持できる。
【0049】
また、ノズルガイド51における上流側の端部61は、上流側に向かって収束する形状に形成されている。
【0050】
これにより、ノズルガイド51が作動流体の流れの抵抗となることを抑制できる。そのため、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量がノズルガイド51により低下することを抑制できる。
【0051】
また、ノズルガイド51における下流側の端部62は、下流側に向かって収束する形状に形成されている。
【0052】
これにより、ノズルガイド51によって作動流体の流れが整流される。そのため、整流された作動流体の作用により安定して目的流体を流すことができるので、目的流体の流量が安定する。
【0053】
なお、変形例として、ノズルガイド51における上流側の端部61および下流側の端部62のいずれか一方のみ、上流側または下流側に向かって収束する形状に形成されていてもよい。
【0054】
(第2実施例)
次に、第2実施例について説明するが、第1実施例と異なる点を説明し、第1実施例と
共通する点の説明は省略する。
【0055】
本実施例では、図5に示すように、ノズルガイド51は、当該ノズルガイド51の軸線Lgが作動流体の流れ方向(すなわち、外側ノズル26の軸線L3の方向、図5の左右方向)に対して傾くようにして配置されている。ここで、軸線Lgは、図5に示すように、ノズルガイド51における上流側の端部61と下流側の端部62とを繋ぐ線である。
【0056】
このようにして、本実施例ではノズルガイド51の軸線Lgが作動流体の流れ方向に対して傾いているので、作動流体を内側ノズル25や外側ノズル26の周方向(図5の上下方向)に旋回させながら流して外側噴射孔32から噴射させることができる。そのため、外側噴射孔32から噴射される作動流体の作用によって目的流体が流れ易くなるので、ディフューザ27への目的流体の吸引量を増やすことができる。したがって、放出口28から目的流体と作動流体の混合流体を効率よく放出させることができる。
【0057】
(第3実施例)
次に、第3実施例について説明するが、第1,2実施例と異なる点を説明し、第1,2
実施例と共通する点の説明は省略する。
【0058】
本実施例では、図6に示すように、ノズルガイド51の高さHgを目的流体供給口23に近い(すなわち、図6の下側の)ノズルガイド51ほど大きくしている。なお、ここでいう高さHgは、言い換えると、ノズルガイド51における内側ノズル25や外側ノズル26の径方向の幅である。
【0059】
このようにして、ノズルガイド51の高さHgを目的流体供給口23に近いノズルガイド51ほど大きくすることにより、図6に示すように、外側ノズル26に対して内側ノズル25を目的流体供給口23とは反対側(すなわち、図6の上側)に偏心させる。そして、このようにして、外側ノズル26に対して内側ノズル25を偏心させることにより、内側ノズル25の軸線L2(または、外側ノズル26の軸線L3)方向から見た外側噴射孔32の断面積は、目的流体供給口23に近い(すなわち、図6の下側)ほど大きくなる。
【0060】
具体的には、3個のノズルガイド51の高さHgについて、(第1ノズルガイド51-1の高さHg)<(第2ノズルガイド51-2の高さHg、および、第3ノズルガイド51-3の高さHg)とする。そして、これにより、ノズルガイド51により3つの孔に分けられた流路33について、第1流路33-1と第3流路33-3の断面積よりも、目的流体供給口23に近い第2流路33-2の断面積の方が大きくなる。なお、流路33は、内側ノズル25の外周面25aと外側ノズル26の内周面26aとの間に形成される流路であって、外側噴射孔32に繋がる流路である。
【0061】
このようにして、図6に示すように、内側ノズル25の軸線L2を外側ノズル26の軸線L3よりも目的流体供給口23から遠い側(図6の上側)にずらすようにして、外側ノズル26に対して内側ノズル25を強制的に偏心させる。これにより、外側噴射孔32のうち目的流体供給口23に近い部分から噴射される作動流体の流量を増やすことができる。そのため、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が目的流体供給口23からの目的流体の流れ込みによる影響を受けて低減することを抑制できる。したがって、作動流体の作用によって流す目的流体の流量を維持できる。
【0062】
(第4実施例)
次に、第4実施例について説明するが、第1~3実施例と異なる点を説明し、第1~3実施例と共通する点の説明は省略する。
【0063】
本実施例では、図7に示すように、内側ノズル25や外側ノズル26の周方向について隣り合うノズルガイド51の間隔Inを、目的流体供給口23に近いほど大きくしている。これにより、内側ノズル25の軸線L2(または、外側ノズル26の軸線L3)方向から見た外側噴射孔32の断面積が、目的流体供給口23に近いほど大きくなる。
【0064】
具体的には、3個のノズルガイド51について、第1ノズルガイド51-1と第2ノズルガイド51-2の間隔Inや第1ノズルガイド51-1と第3ノズルガイド51-3の間隔Inよりも、目的流体供給口23に近い第2ノズルガイド51-2と第3ノズルガイド51-3の間隔Inの方が大きくなっている。そして、これにより、3個のノズルガイド51により3個に分けられた(外側噴射孔32に繋がる)流路33について、第1流路33-1と第3流路33-3の断面積よりも、目的流体供給口23に近い第2流路33-2の断面積の方が大きくなる。
【0065】
これにより、第3実施例と同様に、外側噴射孔32から噴射される作動流体の流量が目的流体の流れ込みによる影響を受けて低減することを抑制できる。そのため、作動流体の作用によって流す目的流体の流量を維持できる。
【0066】
(変形例)
変形例として、第1実施例~第4実施例において、図8に示すように、ディフューザ27の吸引口71は、目的流体供給口23側の開口面積が広くなるように楕円状に形成されていてもよい。
【0067】
これにより、ディフューザ27の吸引口71における目的流体供給口23側の部分から目的流体が吸引され易くなる。そのため、ディフューザ27への目的流体の吸引量を増やすことができるので、目的流体の流量を増加させることができる。
【0068】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0069】
例えば、ノズルガイド51の形状は、上面と下面が菱形の四角柱の形状や、直方体、立方体、円柱、他の角柱などの形状であってもよい。
【0070】
また、上記の説明では内側ノズル25と外側ノズル26による二重管のノズルとしたが、三重管以上のノズルとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 エゼクタ
11 本体ケーシング
25 内側ノズル
26 外側ノズル
27 ディフューザ
28 放出口
31 内側噴射孔
32 外側噴射孔
33 流路
41 (内側ノズルの)先端部
42 (外側ノズルの)先端部
51 ノズルガイド
61 上流側の端部
62 下流側の端部
71 吸引口
Lg (ノズルガイドの)軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9