IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー トラック エージーの特許一覧

<>
  • 特開-トラクタの乗降ステップ取付構造 図1
  • 特開-トラクタの乗降ステップ取付構造 図2
  • 特開-トラクタの乗降ステップ取付構造 図3
  • 特開-トラクタの乗降ステップ取付構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085588
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】トラクタの乗降ステップ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/00 20060101AFI20240620BHJP
   B60K 15/067 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B60R3/00
B60K15/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200178
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】西田 和隆
【テーマコード(参考)】
3D022
3D038
【Fターム(参考)】
3D022AA02
3D022AC07
3D022AD01
3D022AE10
3D022AE21
3D038CA15
3D038CB03
3D038CB06
3D038CD01
3D038CD10
(57)【要約】
【課題】シャシフレームに備えられた燃料タンクに乗降ステップを取り付け、シャシフレームへの乗降性を向上させたステップ取付構造を提供する。
【解決手段】ステップ取付構造1は、燃料タンクブラケット10と、第1ステップブラケット20と、第2ステップブラケット40と、第3ステップブラケット70と、乗降ステップ80とを備え、燃料タンクブラケット10は、第1支持部12aと第2支持部12bと第3支持部12cとを備える断面ハット状のハット部12を有し、第1ステップブラケット20は、一端が第2支持部12bに締結部材30により締結され、第2ステップブラケット40は、一端が第3支持部12cに締結部材50により締結され、第1ステップブラケット20及び第2ステップブラケット40のそれぞれの他端同士が締結部材60で締結され、乗降ステップ80は、燃料タンクTに対し水平方向外側に延出可能である。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラをけん引するトラクタの乗降ステップ取付構造であって、
燃料タンクを前記トラクタのシャシフレームに取り付けるための燃料タンクブラケットと、
前記燃料タンクブラケットに取り付けられる断面コの字状の第1ステップブラケットと、
前記燃料タンクブラケットに取り付けられる断面コの字状の第2ステップブラケットと、
前記第2ステップブラケットに取り付けられる第3ステップブラケットと、
前記第3ステップブラケットに取り付けられる乗降ステップとを備え、
前記燃料タンクブラケットは、前記燃料タンクを支持する第1支持部と前記第1支持部から下方に延びる第2支持部及び第3支持部とを備える断面ハット状のハット部を有し、
前記第1ステップブラケットは、一端が前記第2支持部に締結部材により締結され、
前記第2ステップブラケットは、一端が前記第3支持部に締結部材により締結され、
前記第1ステップブラケット及び前記第2ステップブラケットのそれぞれの他端同士が締結部材で締結され、
前記乗降ステップは、前記燃料タンクに対し水平方向外側に延出可能に前記第3ステップブラケットに取り付けられることを特徴とするトラクタの乗降ステップ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタの乗降ステップ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両後方にトレーラを牽引する所謂トラクタタイプのトラックがある。このトラクタは、例えば、下記特許文献1のように、トラクタ11のカプラ部材23に、トレーラ12のキングピンを結合させることで連結し、牽引している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-30382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなトラクタにおいて、トラクタとトレーラの接続時に運転手等の作業者がトラクタのシャシフレームに上がり接続作業を行うことがある。そこで、シャシフレームへの乗降性を考慮し、乗降ステップの設置が望まれるが、レイアウトの関係上シャシフレームに乗降ステップを設置することが難しい場合がある。一方、トラクタのシャシフレームには燃料タンクが備えられている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、シャシフレームに備えられた燃料タンクに乗降ステップを取り付け、シャシフレームへの乗降性を向上させたステップ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係るトラクタの乗降ステップ取付構造は、トレーラをけん引するトラクタの乗降ステップ取付構造であって、燃料タンクを前記トラクタのシャシフレームに取り付けるための燃料タンクブラケットと、前記燃料タンクブラケットに取り付けられる断面コの字状の第1ステップブラケットと、前記燃料タンクブラケットに取り付けられる断面コの字状の第2ステップブラケットと、前記第2ステップブラケットに取り付けられる第3ステップブラケットと、前記第3ステップブラケットに取り付けられる乗降ステップとを備え、前記燃料タンクブラケットは、前記燃料タンクを支持する第1支持部と前記第1支持部から下方に延びる第2支持部及び第3支持部とを備える断面ハット状のハット部を有し、前記第1ステップブラケットは、一端が前記第2支持部に締結部材により締結され、前記第2ステップブラケットは、一端が前記第3支持部に締結部材により締結され、前記第1ステップブラケット及び前記第2ステップブラケットのそれぞれの他端同士が締結部材で締結され、前記乗降ステップは、前記燃料タンクに対し水平方向外側に延出可能に前記第3ステップブラケットに取り付けられることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、燃料タンクブラケットのハット部における第2支持部に締結される第1ステップブラケットと、燃料タンクブラケットのハット部における第3支持部に締結される第2ステップブラケットとを締結するため、第1ステップブラケット及び第2ステップブラケットの燃料タンクへの取付状態を安定させることができる。その上で、第2ステップブラケットに第3ステップブラケットを取り付け、第3ステップブラケットに乗降ステップを取り付けるため、乗降ステップの取付状態を安定させることができる。そして、乗降ステップが燃料タンクに対して水平方向外側に延出可能となっていることから、トラクタの運転手は、トラクタとトレーラとの接続作業時において、乗降ステップに足をかけてトラクタのシャシフレームに容易に上がることができる。
【0009】
このように、本発明によれば、シャシフレームに備えられた燃料タンクに乗降ステップを取り付け、シャシフレームへの乗降性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るトラクタの乗降ステップ取付構造の一実施形態を適用したトラクタの概略図である。
図2図1に示す乗降ステップ取付構造における燃料タンクブラケットを取り付けた燃料タンクを示す左側面図である。
図3図2に示す部分Xに相当する箇所を拡大して示す部分拡大図である。
図4図3の視点Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図1図4を適宜参照しつつ、本発明に係るトラクタの乗降ステップ取付構造について説明する。
【0012】
(トラクタの乗降ステップ取付構造の構成)
図1は、本発明に係るトラクタの乗降ステップ取付構造の一実施形態を適用したトラクタの概略図である。図1に示すトラクタ1000は、トレーラをけん引するための車両である。図1に示すように、トラクタ1000においては、シャシフレームCが車両前後方向に延びており、燃料タンクTがシャシフレームCを構成する左側のサイドレールRに取り付けられている。トラクタの乗降ステップ取付構造1(以下、ステップ取付構造1という)はこの燃料タンクTに取り付けられている。
【0013】
なお、図1において、ステップ取付構造1は簡略化して示しており、燃料タンクT以外のシャシフレームCの搭載物を省略している。以下において、図1に示すトラクタ1000の前後方向を「車両前後方向」と言及し、図1に示すトラクタ1000の車幅方向を単に「車幅方向」と言及し、図1に示すトラクタ1000の車高方向を単に「車高方向」と言及する。
【0014】
図2は、図1に示すステップ取付構造1における燃料タンクブラケット10を取り付けた燃料タンクTを示す左側面図である。すなわち、図2に示されている側が図1に示すトラクタ1000の左側から見た図となる。図2に示すように、燃料タンクTは、燃料タンクブラケット10に支持されており、燃料タンクTの上面から左側面に亘って延びる前後一対のベルトBにより固定されている。
【0015】
燃料ブラケット10は前側ブラケット11Aと後側ブラケット11Bの前後一対からなるが、本実施形態のステップ取付構造1は主に後側タンクブラケット12に関係する。後側ブラケット11Bは、断面ハット状のハット部12を有している。
【0016】
図3は、図2に示す部分Xに相当する箇所を拡大して示す部分拡大図である。図3に示すように、ステップ取付構造1は、後側ブラケット11Bのハット部12と、第1ステップブラケット20と、第1締結部材30と、第2ステップブラケット40と、第2締結部材50と、第3締結部材60と、第3ステップブラケット70と、乗降ステップ80とを備えている。
【0017】
後側ブラケット11Bのハット部12は、第1支持部12aと第2支持部12bと第3支持部12cとを備えている。第1支持部12aは、燃料タンクTを燃料タンクTの下方から支持している。第2支持部12bは、車両前後方向における第1支持部12aの前方端部から下方に延びている延在部12b1と、延在部12b1の下方端部から前方に向かって延びている延在部12b2とを備えている。第3支持部12cは、車両前後方向における第1支持部12aの後方端部から下方に延びている延在部12c1と、延在部12c1の下方端部から後方に向かって延びている延在部12c2とを備えている。
【0018】
第1ステップブラケット20は、車両前後方向における縦断面がハット部12の延在部12b2を囲むように後方側に開口したコの字状に形成されたものであり、第1締結部材30を介して延在部12b2に取り付けられている。第1ステップブラケット20は、上辺部20a、側辺部20b、下辺部20cからなり、下辺部20cが長い。
【0019】
第1締結部材30は、アジャスターボルト31とナット32とを備えている。アジャスターボルト31は、下端が延在部12b2の上面に載置され、第1ステップブラケット20の上辺部20aにおける図示しない中空部(例えば切り欠き又は貫通孔)に挿入(好ましくは嵌合)されている。ナット32は、アジャスターボルト31に螺合され、上辺部20aを下方から支持している。つまりナット32を回してアジャスターボルト31の下端との間隔を広げていくことで、ハット部12の延在部12b2と第1締結部材20の下辺部20cとを圧接し、第1締結部材20を固定している。アジャスターボルト31において、延在部12b2の上面に接する下端箇所は例えばゴムで構成されている。
【0020】
第2ステップブラケット40は、車両前後方向における縦断面がハット部12の延在部12c2を囲むように前方側に開口したコの字状に形成されたものであり、第2締結部材50を介して延在部12c2に取り付けられている。第2ステップブラケット40は、上辺部40a、側辺部40b、下辺部40cからなり、下辺部40cが長い。
【0021】
第2締結部材50は、アジャスターボルト51とナット52とを備えている。アジャスターボルト51は、下端が延在部12c2の上面に載置され、第2ステップブラケット40の上辺部40aにおける図示しない中空部(例えば切り欠き又は貫通孔)に挿入(好ましくは嵌合)されている。ナット52は、アジャスターボルト51に螺合され、上辺部40aを下方から支持している。つまりナット52を回してアジャスターボルト51の下端との間隔を広げていくことで、ハット部12の延在部12c2と第2締結部材40の下辺部40cとを圧接し、第2締結部材40を固定している。アジャスターボルト51において、延在部12c2の上面に接する下端箇所は例えばゴムで構成されている。
【0022】
第3締結部材60は、ボルト61とナット62とを備えており、第1ステップブラケット20の下辺部20cにおける図示しない中空部(例えば切り欠き又は貫通孔)と、第2ステップブラケット40の下辺部40cにおける図示しない中空部(例えば切り欠き又は貫通孔)とに挿入(好ましくは嵌合)されている。第3締結部材60は、第1ステップブラケット20の他端と第2ステップブラケット40の他端とを上下に挟み込むことにより、これら下辺部20c、40c同士を圧接して締結している。
【0023】
第3ステップブラケット70は、第2ステップブラケット40の外側表面から車両前後方向に後方に延びた、車高方向に延在した板状をなしている。
【0024】
図4は、図3の視点Aを示す図である。図4に示すように、後側ブラケット11Bは、燃料タンクTの下面から側面に連なるL字状に形成されている。
【0025】
第3ステップブラケット70は、左側第3ステップブラケット70Aと右側第3ステップブラケット70Bの左右一対からなり、乗降ステップ80を挟み込んでいる。
【0026】
乗降ステップ80は、回転軸81とステップ部材82とストッパ83とを備えている。回転軸81は、車幅方向に延びている。回転軸81の両端は、一対の第3ステップブラケット70(70A、70B)に軸支されている。ステップ部材82は、回転軸81周りに回転可能な長方形状の板状部材である。回転軸81にはステップ部材82を跳ね上げる方向に付勢するバネが設けられている。また、回転軸81の下方には、ステップ部材82の回動を止めるストッパ83が設けられている。図3、4に示すように、不使用時においてはステップ部材82が車高方向に延びるように配置される。このとき、ステップ部材82は燃料タンクTの背面下部と当たる位置にある。使用時においてはステップ部材82をストッパ83に当たるまで回動させて水平方向外側に延出するように配置される。
【0027】
(トラクタの乗降ステップ取付構造の効果)
トラクタの乗降ステップ取付構造1によれば、後側ブラケット11Bのハット部12の一方の延在部12b2に締結される第1ステップブラケット20と、他方の延在部12c2に締結される第2ステップブラケット40とを第3締結部材60により締結して、後付けでも容易に第1ステップブラケット20及び第2ステップブラケット40を後側ブラケット11Bに取り付けることができる。そして第2ステップブラケット40と一体の第3ステップブラケット70を介して乗降ステップ80が設けられており、乗降ステップ80を燃料タンクTに対して水平方向外側に延出した状態とすることで、トラクタ1000の運転手等の作業者は、トラクタ1000とトレーラとの接続作業時において、ステップ部材82に足をかけてトラクタ1000のシャシフレームCに容易に上がることができる。
【0028】
このように、トラクタの乗降ステップ取付構造1によれば、シャシフレームCに備えられた燃料タンクTにステップ部材82を取り付け、シャシフレームCへの乗降性を向上させることができる。
【0029】
また、第1ステップブラケット20及び延在部12b2(燃料タンクブラケット10)の締結と、第2ステップブラケット40及び延在部12c2(燃料タンクブラケット10)の締結とを、延在部12b2、12c2の上面に載置されたアジャスターボルト31、51により実施するため、既存の燃料タンクブラケット10を何ら加工することなく第1ステップブラケット20と第2ステップブラケット40とを容易に燃料タンクブラケット10に取り付けることができる。
【0030】
さらに、本実施形態の乗降ステップ80は、乗降不使用時には、燃料タンクTの背面に当たる位置にあり、燃料タンクTの付け替え時には燃料タンクTの位置決め部材として機能することができる。
【0031】
また、燃料タンクTの車両前後方向両側において、車幅方向における所望の位置に第1ステップブラケット20、第2ステップブラケット40、第3ステップブラケット70及び乗降ステップ80を設置することができるため、これらの設置自由度を高めることができる。
【0032】
(その他)
上記一実施形態においては、第1締結部材30としてアジャスターボルト31及びナット32を使用しているが、延在部12b2に固定されたボルトとナットとを使用してもよい。同様に、上記一実施形態においては、第2締結部材50としてアジャスターボルト51及びナット52を使用しているが、延在部12c2に固定されたボルトとナットとを使用してもよい。
【0033】
上記一実施形態においては、第1ステップブラケット20と第2ステップブラケット40とを車高方向に圧接しているが、これらを車高方向に離隔するようにして配置することもできる。この場合には、第3締結部材60に代えてアジャスターボルト及びナットを使用することができる。
【0034】
上記一実施形態においては、乗降ステップとして、回動可能な乗降ステップ80を使用しているが、燃料タンクTに対し水平方向外側に延出された状態で固定されているものを使用してもよい。ステップ部材82の形状については、長方形以外の任意の形状を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 トラックのステップ取付構造
10 燃料タンクブラケット
11A 前側ブラケット
11B 後側ブラケット
12 ハット部
12a 第1支持部
12b 第2支持部
12b1、12b2 延在部
12c 第3支持部
12c1、12c2 延在部
20 第1ステップブラケット
30 第1締結部材
31 アジャスターボルト
32 ナット
40 第2ステップブラケット
50 第2締結部材
51 アジャスターボルト
52 ナット
60 第3締結部材
61 ボルト
62 ナット
70 第3ステップブラケット
70A 左側第3ステップブラケット
70B 右側第3ステップブラケット
80 乗降ステップ
81 回転軸
82 ステップ部材
83 ストッパ
1000 トラクタ
C シャシフレーム
R サイドレール
T 燃料タンク
図1
図2
図3
図4