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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085589
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20240620BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200181
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】吉田 加津也
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA03
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CA12
5H622CB03
5H622CB05
(57)【要約】
【課題】複数の極数のロータを有する回転電機において、低速回転領域では高トルクを出力可能な一方、高速回転領域では低トルクを出力可能な構成を、効率低下を抑制しつつ実現する。
【解決手段】モータ1は、軸線方向に延びる円筒状のステータ2と、ステータ2の径方向内方に位置するロータ3と、を有する。ロータ3は、円筒状のロータコア31と、ロータ3の2極を構成するように、異なる磁石挿入孔31b内に挿入された磁石32をそれぞれ複数含む第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34と、を有する。第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34にそれぞれ含まれる複数の磁石32は、ロータ3を前記軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる円筒状のステータと、
前記ステータの径方向内方に位置する円柱状のロータと、
を有する回転電機であって、
前記ロータは、
複数の磁石挿入孔を有する円筒状のロータコアと、
前記ロータの複数の磁極を構成するように、異なる前記磁石挿入孔内に挿入された磁石をそれぞれ複数含む複数の磁石群と、
を有し、
前記各磁石群に含まれる前記複数の磁石は、前記ロータを前記軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいる、
回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記各磁石群は、少なくとも4個の磁石を含む、
回転電機。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機において、
前記ロータコアにおいて、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法は、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向外側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法よりも大きい、
回転電機。
【請求項4】
請求項2に記載の回転電機において、
前記ロータコアは、前記各磁石群に含まれる各磁石の周方向外方に、前記ロータコアを前記軸線方向に貫通する空隙部を有し、
前記ロータを前記軸線方向に見て、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向外側に位置する磁石に対して周方向外方に位置する空隙部の面積は、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石に対して周方向外方に位置する空隙部の面積よりも大きい、
回転電機。
【請求項5】
請求項2に記載の回転電機において、
前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石は、前記ロータを軸線方向に見て、前記ロータの径方向と90度以外の角度で交差するように配置されている、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状のロータコアの磁石挿入孔内に複数の磁石が挿入されたロータを有する回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状のステータと、前記ステータの径方向内方に位置するロータとを有する回転電機として、例えば特許文献1に開示されるような永久磁石型回転電機が知られている。前記永久磁石型回転電機の永久磁石型ロータは、隣接する極性が異なるように配置された4個以上の永久磁石を有する。
【0003】
前記特許文献1には、前記永久磁石型ロータのロータコア内に、複数の磁石が位置する点が開示されている。すなわち、前記特許文献1に開示されている永久磁石型回転電機は、ロータコア内に磁石が位置するIPM(Interior Permanent Magnet)モータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-252941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなIPMモータにおいて、低速回転領域では高トルクを出力可能な一方、高速回転領域では低トルクを出力可能な構成が求められる場合がある。この場合、低速回転領域に比べてステータの電圧が高い高速回転領域では、磁束を弱めるために、弱め界磁制御を行う必要がある。この弱め界磁制御によって、ステータに流れる電流値が増えるため、銅損が増加して、モータの効率が悪化する。
【0006】
また、前記IPMモータを高速回転領域で駆動させる際にインバータの出力(出力周波数など)に制限がある場合には、ロータの極数を少なくする必要があり、モータ出力が低下する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、複数の極数のロータを有する回転電機において、低速回転領域では高トルクを出力可能な一方、高速回転領域では低トルクを出力可能な構成を、効率低下を抑制しつつ実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る回転電機は、軸線方向に延びる円筒状のステータと、前記ステータの径方向内方に位置するロータと、を有する回転電機である。前記ロータは、複数の磁石挿入孔を有する円筒状のロータコアと、前記ロータの複数の磁極を構成するように、異なる前記磁石挿入孔内に挿入された磁石をそれぞれ複数含む複数の磁石群と、を有する。前記各磁石群に含まれる前記複数の磁石は、前記ロータを前記軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいる(第1の構成)。
【0009】
このように、複数の極数のロータを有するIPMモータにおいて、前記ロータの複数の磁極をそれぞれ構成する複数の磁石が、前記ロータを軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように、ロータコア内に周方向に並ぶことにより、ロータコアにおける複数の磁石に対して径方向内方でq軸の磁束が通過しやすくなり、モータのq軸インダクタンスが大きくなる。
【0010】
このように、モータ1のq軸インダクタンスが増加することにより、ロータに生じるリラクタンストルクを大きくすることができ、出力トルクを増大できる。よって、上述の構成により、特に低速回転領域で高トルクを出力することができる。
【0011】
前記第1の構成において、前記各磁石群は、少なくとも4個の磁石を含む(第2の構成)。
【0012】
これにより、モータが、各磁石群に含まれる複数の磁石と同等の磁束を生じる1個の磁石を有する構成に比べて、ロータが回転した際に1個の磁石に生じる遠心力を分散することにより低減できる。よって、前記ロータが回転した際に、ロータコアが前記磁石の遠心力によって損傷を受けるのを抑制できる。また、各磁石群が少なくとも4個の磁石を含むことにより、ロータコアにおける径方向内方にq軸の磁束が通過しやすくなってモータのq軸インダクタンスが大きくなるだけでなく、d軸の磁束が通過しやすくなってモータのd軸インダクタンスも大きくなる。よって、弱め界磁制御を行う際のd軸電流を減少させることができる。したがって、特に高速回転領域でも低トルクを出力可能な構成を、効率低下を抑制しつつ実現できる。
【0013】
前記第2の構成において、前記ロータコアにおいて、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法は、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向外側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法よりも大きい(第3の構成)。
【0014】
これにより、磁石群によってロータに生じるd軸の磁束よりも、前記磁石群によって前記ロータに生じるq軸の磁束を大きくすることができる。よって、ロータに生じるリラクタンストルクを大きくすることができ、回転電機の出力トルクを増大できる。
【0015】
しかも、上述の構成により、前記ロータコアにおいて、前記磁石群の周方向中央側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法が大きいため、前記ロータの回転により前記磁石に生じる遠心力によって、ロータコアが損傷を受けるのを抑制できる。
【0016】
前記第2の構成において、前記ロータコアは、前記各磁石群に含まれる各磁石の周方向外方に、前記ロータコアを前記軸線方向に貫通する空隙部を有する。前記ロータを前記軸線方向に見て、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向外側に位置する磁石に対して周方向外方に位置する空隙部の面積は、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石に対して周方向外方に位置する空隙部の面積よりも大きい(第4の構成)。
【0017】
これにより、ロータコアにおいて、各磁石群の周方向外側に位置する磁石に対してより周方向外方に磁束を流すことができる。よって、前記磁石の周方向外方で磁束がショートカットして流れるのを防止して、前記磁石に生じるd軸の磁束の方向及びq軸の磁束の方向を、それぞれ、他の磁石で生じるd軸の磁束の方向及びq軸の磁束の方向に合わせることができる。したがって、ロータに、より大きい磁束を有するd軸の磁束及びq軸の磁束を生成することができる。
【0018】
前記第2の構成において、前記各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石は、前記ロータを軸線方向に見て、前記ロータの径方向と90度以外の角度で交差するように配置されている(第5の構成)。
【0019】
これにより、ロータを軸線方向に見て磁石がロータの径方向と90度の角度で交差するように配置されている構成に比べて、ロータコアにおいて、各磁石群に含まれる複数の磁石のうち周方向中央側に位置する磁石に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法を、大きくすることができる。よって、ロータが回転した際に、磁石群の周方向中央側に位置する磁石に生じる遠心力によって、ロータコアが損傷を受けるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態に係る回転電機によれば、ロータは、複数の磁石挿入孔を有する円筒状のロータコアと、前記ロータの複数の磁極をそれぞれ構成するように、異なる前記磁石挿入孔内に挿入された磁石をそれぞれ複数含む複数の磁石群と、を有する。前記各磁石群に含まれる前記複数の磁石は、前記ロータを前記軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいる。
【0021】
これにより、低速回転領域では高トルクを出力しつつ、高速回転領域では弱め界磁制御を行っても効率低下を抑制することができる。したがって、複数の極数のロータを有する回転電機において、低速回転領域では高トルクを出力可能な一方、高速回転領域では低トルクを出力可能な構成を、効率低下を抑制しつつ実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係るモータの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、ロータを軸線方向に見た図である。
図3図3は、本実施形態の4つの磁石によってロータに生じる磁束を模式的に示す図である。
図4図4は、ロータを軸線方向に見て、ロータコア内に該ロータコアの径方向に交差するようにV字状に磁石を配置した2極のモータにおいて、磁石によって生じる磁束を模式的に示す図である。
図5図5は、図3に示すロータを有するモータ(図5では比較例)及び図4に示すロータを有するモータ(図5では本発明)において、それぞれ生じるリラクタンストルク及び合成トルクの一例を示す図である。
図6図6は、ロータを軸線方向に見て、ロータコア内に該ロータコアの径方向に直交する方向に延びるように磁石を配置した2極のモータにおいて、磁石によって生じる磁束を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。以下の説明において、ロータ3の軸線Pが延びる方向を、軸線方向と呼び、ロータ3の周方向を、単に周方向と呼び、ロータ3の径方向を、単に径方向と呼ぶ。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るモータ1の構成を模式的に示す図である。モータ1は、軸線Pに沿って延びる円筒状のステータ2と、ステータ2の径方向内方に位置するロータ3とを有する。モータ1が、本発明の回転電機に対応する。
【0025】
ステータ2は、円筒状のステータコア21と、ステータコイル22とを有する。ステータコア21は、例えば、複数の鋼板を厚み方向に積層することにより構成されている。ステータコア21は、内周側に複数のティース21aを有する。複数のティース21aは、周方向に等間隔に並んでいる。隣り合うティース21aの間には、スロット21bが形成されている。ステータコイル22は、複数のティース21aにそれぞれ巻回されている。
【0026】
ステータ2の径方向内方には、ロータ3が回転可能に配置されている。ロータ3は、円筒状のロータコア31と、磁石32とを有する。ロータコア31は、例えば、複数の鋼板を厚み方向に積層することにより構成されている。ロータコア31は、図示しないシャフトが貫通するシャフト貫通孔31aと、磁石32がそれぞれ挿入される複数の磁石挿入孔31bとを有する。複数の磁石挿入孔31bは、ロータコア31を軸線方向に見て、長方形状である。複数の磁石挿入孔31bは、ロータコア31を軸線方向に貫通している。
【0027】
本実施形態では、ロータコア31は、ロータコア31を軸線方向に見て、軸線Pに対して径方向一方に4つの磁石挿入孔31bを有し、軸線Pに対して径方向他方に4つの磁石挿入孔31bを有する。ロータコア31において前記径方向一方に位置する4つの磁石挿入孔31bは、第1磁石挿入孔群33(磁石群)を構成する。ロータコア31において前記径方向他方に位置する4つの磁石挿入孔31bは、第2磁石挿入孔群34(磁石群)を構成する。第1磁石挿入孔群33と第2磁石挿入孔群34とは、ロータコア31を軸線方向に見て、軸線Pを挟んで径方向の反対に位置する。
【0028】
第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34の磁石挿入孔31b内に磁石32がそれぞれ挿入されることにより、2極のロータ3が構成される。すなわち、ロータ3は、2極のIPM(Interior Permanent Magnet)モータである。第1磁石挿入孔群33内に挿入された複数の磁石32は、第1磁石群35を構成する。第2磁石挿入孔群34内に挿入された複数の磁石32は、第2磁石群36を構成する。すなわち、ロータ3は、一対の磁石群を有する。第1磁石群35及び第2磁石群36は、ロータ3の磁極を構成する。第1磁石群35の複数の磁石32において、ロータ3の外周側の極性はN極であり、ロータ3の内周側の極性はS極である。第2磁石群36の複数の磁石32において、ロータ3の外周側の極性はS極であり、ロータ3の内周側の極性はN極である。
【0029】
磁石32は、直方体状の永久磁石である。本実施形態では、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34の磁石挿入孔31b内にそれぞれ挿入される磁石32は、いずれも同じ大きさ及び形状を有する。
【0030】
図2は、ロータ3を軸線方向に見た図である。図2に示すように、第1磁石挿入孔群33と第2磁石挿入孔群34とは、ロータ3を軸線方向に見て、軸線Pを中心として対称に配置されている点を除いて、同じ構成を有する。よって、以下では、第1磁石挿入孔群33についてのみ説明する。
【0031】
第1磁石挿入孔群33は、複数の磁石挿入孔31bを含む。本実施形態では、第1磁石挿入孔群33は、4つの磁石挿入孔31bを含む。4つの磁石挿入孔31bは、ロータコア31を軸線方向に見て、ロータコア31の径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいる。また、4つの磁石挿入孔31bは、ロータコア31を軸線方向に見て、線対称に配置されている。詳しくは、ロータコア31を軸線方向に見て、4つの磁石挿入孔31bのうち、周方向内側に位置する2つの磁石挿入孔31b(以下、中央側磁石挿入孔41という)は、それらの長手方向にほぼ直線状に並んでいる一方、周方向外側に位置する2つの磁石挿入孔31b(以下、外側磁石挿入孔42という)の長手方向は、2つの中央側磁石挿入孔41の長手方向(図2における紙面左右方向)に対して傾斜している。
【0032】
なお、2つの中央側磁石挿入孔41は、それらの長手方向が交差するように、周方向に並んでいる。これにより、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法が小さくなりすぎるのを防止できる。よって、ロータコア31の強度低下を抑制できる。
【0033】
2つの中央側磁石挿入孔41は、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法が、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法よりも大きくなるように設けられている。すなわち、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法X1は、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法Y1よりも大きく、且つ、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法X2は、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法Y2よりも大きい。
【0034】
また、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石挿入孔42に近い側よりも、もう一方の中央側磁石挿入孔41に近い側の方が大きい。さらに、ロータコア31において、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、中央側磁石挿入孔41から遠い側よりも、中央側磁石挿入孔41に近い側の方が大きい。すなわち、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法X2は、最小径方向寸法X1よりも大きく、且つ、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法Y2は、最小径方向寸法Y1よりも大きい。
【0035】
また、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41と外側磁石挿入孔42とが対向する部分の径方向寸法は、外側磁石挿入孔42側よりも中央側磁石挿入孔41側の方が大きい。すなわち、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41の径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法X1は、外側磁石挿入孔42の径方向外方に位置する最大径方向寸法Y2よりも大きい。
【0036】
中央側磁石挿入孔41は、磁石32が挿入された状態で、磁石32に対して長手方向の両側に空隙部41a,41bを有する。空隙部41aは、中央側磁石挿入孔41において、外側磁石挿入孔42に近い側に位置する。空隙部41aは、ロータコア31を軸線方向に見て、略台形状である。空隙部41bは、中央側磁石挿入孔41において、もう一方の中央側磁石挿入孔41に近い側に位置する。空隙部41bは、ロータコア31を軸線方向に見て、略T字状である。
【0037】
同様に、外側磁石挿入孔42は、磁石32が挿入された状態で、磁石32に対して長手方向の両側に空隙部42a,42bを有する。空隙部42aは、外側磁石挿入孔42において、中央側磁石挿入孔41とは反対側に位置する。空隙部42aは、ロータコア31を軸線方向に見て、略L字状である。空隙部42bは、外側磁石挿入孔42において、中央側磁石挿入孔41に近い側に位置する。空隙部42bは、ロータコア31を軸線方向に見て、矩形状である。
【0038】
空隙部41a,41b,42a,42bは、それぞれ、中央側磁石挿入孔41及び外側磁石挿入孔42の周りを、磁石32によって生じる磁束がショートカットして流れるのを防止する。よって、ロータコア31に空隙部41a,41b,42a,42bを設けることにより、モータ1のd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスが大きくなる。よって、ロータ3のq軸の磁束(ロータ3の磁石32の磁束方向における磁束をd軸の磁束とした場合に、d軸の磁束に直交する方向の磁束)が増加する。
【0039】
ロータ3を軸線方向に見て、空隙部42a,42bの面積は、空隙部41a,41bの面積よりも大きい。空隙部42b及び空隙部41aの間には、ロータコア31を軸線方向に見て径方向に延びるブリッジ部31cが形成されており、空隙部41b同士の間には、ブリッジ部31dが形成されている。これにより、ブリッジ部31cに応力集中が生じるのを抑制することができ、ブリッジ部31cの強度向上を図れる。
【0040】
上述の構成により、中央側磁石挿入孔41及び外側磁石挿入孔42内に挿入された磁石32の配置も、中央側磁石挿入孔41及び外側磁石挿入孔42の配置と同様である。すなわち、ロータ3を軸線方向に見て、2つの中央側磁石挿入孔41内に挿入された2つの磁石32(以下、中央側磁石51という)は、それらの長手方向にほぼ直線状に並んでいる一方、2つの外側磁石挿入孔42に挿入された2つの磁石32(以下、外側磁石52という)の長手方向は、2つの中央側磁石51の長手方向に対して傾斜している。4つの磁石32は、ロータ3を軸線方向に見て、線対称に配置されている。
【0041】
また、ロータ3を軸線方向に見て、2つの中央側磁石51は、それらの長手方向が交差するように、周方向に並んでいる。
【0042】
2つの中央側磁石51は、ロータコア31において、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法が、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法よりも大きくなるように配置されている。すなわち、ロータコア31において、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法V1は、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法W1よりも大きく、且つ、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法V2は、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法W2よりも大きい。
【0043】
また、ロータコア31において、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石52に近い側よりも、もう一方の中央側磁石51に近い側の方が大きい。さらに、ロータコア31において、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、中央側磁石51から遠い側よりも、中央側磁石51に近い側の方が大きい。すなわち、ロータコア31において、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法V2は、最小径方向寸法V1よりも大きく、且つ、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法W2は、最小径方向寸法W1よりも大きい。
【0044】
また、ロータコア31において、中央側磁石51と外側磁石52とが対向する部分の径方向寸法は、外側磁石52側よりも中央側磁石51側の方が大きい。すなわち、ロータコア31において、中央側磁石51の径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法V1は、外側磁石52の径方向外方に位置する最大径方向寸法W2よりも大きい。
【0045】
これにより、ロータ3を軸線方向に見て、4つの磁石32は、径方向外方に凸状となるように周方向に並んでいる。このような4つの磁石32の配置により、ロータ3には、図3に示すような磁束が流れる。図3は、本実施形態の4つの磁石32によってロータ3に生じる磁束を模式的に示す図である。図3では、q軸の磁束を実線で模式的に示し、d軸の磁束を破線で模式的に示す。
【0046】
図4は、比較のために、ロータ103を軸線方向に見て、ロータコア131内にロータコア131の径方向に交差するようにV字状に磁石132が配置された2極のモータ101において、磁石132によって生じる磁束を模式的に示す図である。図4でも、q軸の磁束を実線で模式的に示し、d軸の磁束を破線で模式的に示す。
【0047】
なお、モータのTN特性やモータサイズの諸条件が同等であると仮定して磁石の数量が異なるモータを検討する際、d軸の磁束は、磁石の総使用量に依存する。図3に示す本実施形態のロータ3に生じるd軸の磁束と図4に示すロータ103に生じるd軸の磁束とは、同等とする。
【0048】
図3に示すように、本実施形態の構成を有するロータ3は、4つの磁石32に対して径方向内方に、q軸の磁束が生じる。既述のとおり、ロータ3の4つの磁石32は、ロータ3を軸線方向に見て、径方向に凸状となるように周方向に並んでいる。そのため、ロータ3に生じるq軸の磁束は、磁石132がロータ103の径方向に直交する方向に延びるように配置されている図4に示すロータ103に生じるq軸の磁束よりも大きい。
【0049】
本実施形態の構成を有するロータ3は、空隙部41a,42b間に形成されているブリッジ部31c及び空隙部41b同士の間に形成されているブリッジ部31dにより、図4に示すロータ103よりもq軸インダクタンスが大きいため、q軸の磁束が通過しやすい。また、上述のように、ロータ3のd軸の磁束とロータ103のd軸の磁束とが同等であるとすると、ロータ3のd軸インダクタンスとロータ103のd軸インダクタンスも同等になる。
【0050】
これらの点を考慮すると、ロータ3の突極比は、ロータ103の突極比よりも大きい。
【0051】
また、一般的に、モータに生じるリラクタンストルクは、下式(1)によって表される。
Tr = p×(Ld-Lq)×id×iq (1)
ここで、Trはリラクタンストルク、pは極対数、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、idはd軸電流、iqはq軸電流を、それぞれ示す。
【0052】
これにより、ロータ3に生じるリラクタンストルクは、ロータ103の場合よりも大きくなり、合成トルクを増大できる。
【0053】
図5は、図3に示すモータ1(図5では本発明)及び図4に示すモータ101(図5では比較例)において、それぞれ生じるリラクタンストルク及び合成トルクの一例を示す図である。図5に示すように、図3に示す本発明に係るモータ1では、図4に示す比較例に係るモータ101で生じるリラクタンストルクよりも大きいリラクタンストルクが生じる。よって、リラクタンストルクとマグネットトルクとを合成して得られる合成トルクも、図4に示す本発明に係るモータ1の方が、図3に示す比較例に係るモータに比べて大きい。
【0054】
なお、ロータ3のd軸の磁束とロータ103のd軸の磁束も同等であることから、図3に示す本発明に係るモータ1で生じる前記マグネットトルクと図4に示す比較例に係るモータ101で生じる前記マグネットトルクについても、同等となる。
【0055】
また、図6は、図3との比較のために、ロータ203を軸線方向に見て、ロータコア231の径方向に直交する方向に延びるように磁石232を配置した2極のモータ201において、磁石232によって生じる磁束を模式的に示す図である。図6でも、q軸の磁束を実線で模式的に示し、d軸の磁束を破線で模式的に示す。
【0056】
なお、図4と同様、図3に示すロータ3に生じるd軸の磁束と図6に示すロータ203に生じるd軸の磁束とは、同等とする。
【0057】
図6に示すロータ203には、図4に示すロータ103よりもq軸の磁束が通過しやすい。よって、ロータ203のq軸インダクタンスは、ロータ103のq軸インダクタンスよりも大きい。よって、ロータ203の突極比は、ロータ103の突極比よりも大きい。しかし、ロータ203の回転が高速になるにつれ、ロータ203が回転した際に磁石232に生じる遠心力は大きくなる。
【0058】
一般的に、モータに生じる遠心力は、下式(2)によって表される。
F = m×r×ω(2)
ここで、Fは遠心力、mは磁石の質量、rはロータ中心から磁石までのロータ径方向の距離(以降、配置距離とする)、ωはロータの回転速度(回転数)を、それぞれ示す。
【0059】
これにより、ロータ3で生じるd軸の磁束とロータ103で生じるd軸の磁束とを同等(磁石の総使用量を同等)とした場合、ロータ203の磁石232に生じる遠心力は、ロータ203の回転が高速になるにつれ、ロータ3の各磁石32に生じる遠心力よりも大きくなる。そのため、磁石同士の距離を小さくして磁石をロータ中心側に配置しつつ、磁気飽和の発生を抑制するために磁石232に対して長手方向の両側に位置する空隙部を大きくする必要がある。これにより、ロータ203にはq軸の磁束が通過しにくいため、ロータ203のq軸インダクタンスは小さい。よって、図3に示すモータ1に生じるリラクタンストルクは、図4に示すモータ101と同様に、図6に示すロータ203に生じるリラクタンストルクよりも大きい。したがって、モータ1の合成トルクを増大できる。
【0060】
以上の構成により、本実施形態に係るモータ1は、軸線方向に延びる円筒状のステータ2と、ステータ2の径方向内方に位置するロータ3と、を有する。ロータ3は、円筒状のロータコア31と、ロータ3の2極を構成するように、異なる磁石挿入孔31b内に挿入された磁石32をそれぞれ複数含む第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34と、を有する。第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34にそれぞれ含まれる複数の磁石32は、ロータ3を前記軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいる。
【0061】
このように、2極のロータ3を有するIPMモータであるモータ1において、ロータ3を構成する複数の磁石32が、ロータ3を軸線方向に見て径方向外方に凸状になるように周方向に並ぶことにより、ロータコア31における複数の磁石32に対して径方向内方でq軸の磁束が通過しやすくなり、モータ1のq軸インダクタンスが大きくなる。
【0062】
このように、モータ1のq軸インダクタンスが増加することにより、ロータ3に生じるリラクタンストルクを大きくすることができ、出力トルクを増大できる。よって、上述の構成により、特に低速回転領域で高トルクを出力可能である。
【0063】
また、本実施形態では、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34は、少なくとも4個の磁石32を含む。これにより、モータが、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34にそれぞれ含まれる複数の磁石32による磁束と同等の磁束を生じる1個の磁石を有する構成に比べて、ロータ3が回転した際に1個の磁石に生じる遠心力を分散することにより低減できる。よって、ロータ3が回転した際に、ロータコア31が磁石32の遠心力によって損傷を受けるのを抑制できる。
【0064】
また、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34が少なくとも4個の磁石32を含むことにより、ロータコア31における径方向内方にq軸の磁束が通過しやすくなってモータ1のq軸インダクタンスが大きくなるだけでなく、d軸の磁束が通過しやすくなってモータ1のd軸インダクタンスも大きくなる。
【0065】
よって、弱め界磁制御を行う際のd軸電流を減少させることができる。したがって、特に高速回転領域でも低トルクを出力可能な構成を、効率低下を抑制しつつ実現できる。
【0066】
また、本実施形態では、ロータコア31において、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34に含まれる複数の磁石32のうち周方向中央側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法X2は、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34に含まれる複数の磁石32のうち周方向外側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法Y2よりも大きい。
【0067】
これにより、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34とロータ3の外周との間に生じるq軸の磁束を大きくすることができる。よって、ロータ3に生じるリラクタンストルクを大きくすることができ、モータ1の出力トルクを増大できる。
【0068】
しかも、上述の構成により、ロータコア31において、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34の周方向中央側に位置する磁石に対して径方向外側に位置する部分の最大径方向寸法が大きいため、ロータ3の回転により磁石32に生じる遠心力によって、ロータコア31が損傷を受けるのを抑制できる。
【0069】
また、本実施形態では、ロータコア31は、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34に含まれる各磁石32の周方向外方に、ロータコア31を前記軸線方向に貫通する空隙部41a,42aを有する。ロータ3を前記軸線方向に見て、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34に含まれる複数の磁石32のうち周方向外側に位置する外側磁石52に対して周方向外方に位置する空隙部42aの面積は、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34に含まれる複数の磁石32のうち周方向中央側に位置する中央側磁石51に対して周方向外方に位置する空隙部41aの面積よりも大きい。
【0070】
これにより、ロータコア31において、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34の周方向外側に位置する外側磁石52に対してより周方向外方に磁束を流すことができる。よって、外側磁石52の周方向外方で磁束がショートカットするのを防止して、外側磁石52によって生じるd軸の磁束の方向及びq軸の磁束の方向を、それぞれ、他の磁石32によって生じるd軸の磁束の方向及びq軸の磁束の方向に合わせることができる。したがって、ロータ3により大きなd軸の磁束及びq軸の磁束を生成することができる。
【0071】
また、本実施形態では、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34の周方向中央側に位置する中央側磁石51は、ロータ3を軸線方向に見て、ロータ3の径方向と90度以外の角度で交差するように配置されている。
【0072】
これにより、ロータを軸線方向に見て磁石がロータの径方向と90度の角度で交差するように配置されている構成に比べて、ロータコア31において、第1磁石群35及び第2磁石群36の周方向中央側に位置する中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法を、大きくすることができる。よって、ロータ3が回転した際に、第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34の周方向中央側に位置する中央側磁石51に生じる遠心力によって、ロータコア31が損傷を受けるのを抑制できる。
【0073】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0074】
前記実施形態では、回転電機の一例としてモータ1が挙げられている。しかしながら、回転電機は、発電機などのように、円筒状の部品とその径方向内方に位置する部品とを有する機器であれば、どのような機器であってもよい。
【0075】
前記実施形態では、ロータコア31は、厚み方向に積層された複数の鋼板によって構成されている。しかしながら、ロータコアは、金属材料によって一体で構成されていてもよい。
【0076】
前記実施形態では、ロータ3の極数は、2極である。しかしながら、ロータの極数は複数であれば、2極以外の極数であってもよい。なお、ロータの極数は、q軸インダクタンスを増加させる観点から、2極または4極が好ましい。
【0077】
前記実施形態では、ロータコア31の第1磁石挿入孔群33及び第2磁石挿入孔群34は、それぞれ、4つの磁石挿入孔31bを含む。しかしながら、ロータコアの磁石挿入孔群は、複数の磁石挿入孔を含んでいれば、3つ以下の磁石挿入孔を含んでいてもよいし、5つ以上の磁石挿入孔を含んでいてもよい。第1磁石挿入孔群に含まれる磁石挿入孔の数と、第2磁石挿入孔群に含まれる磁石挿入孔の数とが異なっていてもよい。
【0078】
前記実施形態では、ロータ3の第1磁石群35及び第2磁石群36は、それぞれ、4つの磁石32を含む。しかしながら、ロータの磁石群は、複数の磁石を含んでいれば、3つ以下の磁石を含んでいてもよいし、5つ以上の磁石を含んでいてもよい。第1磁石群に含まれる磁石の数と、第2磁石群に含まれる磁石の数とが異なっていてもよい。
【0079】
前記実施形態では、ロータ3の複数の磁石32は、いずれも同じ大きさ及び形状を有する。しかしながら、ロータの複数の磁石は、磁石群ごとに異なる形状または大きさを有していてもよいし、それぞれ、異なる形状または大きさを有していてもよい。
【0080】
前記実施形態では、ロータ3の4つの磁石挿入孔31b及び磁石32は、ロータ3を軸線方向に見て、線対称に配置されている。しかしながら、ロータの4つの磁石挿入孔及び磁石は、ロータコアを軸線方向に見て、ロータコアの径方向外方に凸状になるように周方向に並んでいれば、線対称以外の配置で配置されていてもよい。また、ロータコアを軸線方向に見て、第1磁石挿入孔群と第2磁石挿入孔群とで、磁石挿入孔の配置が異なっていてもよい。ロータコアを軸線方向に見て、第1磁石群と第2磁石群とで、磁石の配置が異なっていてもよい。
【0081】
前記実施形態では、磁石挿入孔31bは、ロータコア31を軸線方向に見て、長方形状である。しかしながら、磁石挿入孔は、磁石を挿入可能な形状であれば、ロータコアを軸線方向に見て長方形状以外の形状を有していてもよい。
【0082】
前記実施形態では、ロータコア31を軸線方向に見て、2つの中央側磁石挿入孔41は、それらの長手方向が交差するように、周方向に並んでいる。しかしながら、ロータコアを軸線方向に見て、2つの中央側磁石挿入孔は、それらの長手方向が一致または平行になるように周方向に並んでいてもよい。
【0083】
前記実施形態では、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法X1は、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法Y1よりも大きく、且つ、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法X2は、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法Y2よりも大きい。しかしながら、ロータコアにおいて、中央側磁石挿入孔に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法は、外側磁石挿入孔に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法と同じか、それよりも小さくてもよい。また、ロータコアにおいて、中央側磁石挿入孔に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法は、外側磁石挿入孔に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法と同じか、それよりも小さくてもよい。
【0084】
前記実施形態では、ロータコア31において、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石挿入孔42に近い側よりも、もう一方の中央側磁石挿入孔41に近い側の方が大きい。しかしながら、ロータコアにおいて、中央側磁石挿入孔に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石挿入孔に近い側と、もう一方の中央側磁石挿入孔に近い側とで同じであってもよいし、外側磁石挿入孔に近い側がもう一方の中央側磁石挿入孔に近い側よりも大きくてもよい。
【0085】
前記実施形態では、ロータコア31において、外側磁石挿入孔42に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、中央側磁石挿入孔41から遠い側よりも、中央側磁石挿入孔41に近い側の方が大きい。しかしながら、ロータコアにおいて、中央側磁石挿入孔に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石挿入孔から遠い側と、中央側磁石挿入孔に近い側とで同じであってもよいし、外側磁石挿入孔から遠い側が中央側磁石挿入孔に近い側よりも大きくてもよい。
【0086】
前記実施形態では、中央側磁石挿入孔41は、磁石32が挿入された状態で、磁石32に対して長手方向の両側に空隙部41a,41bを有する。しかしながら、中央側磁石挿入孔は、磁石が挿入された状態で、前記磁石に対して長手方向の一方のみに空隙部を有していてもよいし、前記磁石に対して長手方向に空隙部を有していなくてもよい。また、中央側磁石挿入孔が有する空隙部の形状は、前記実施形態に記載されている形状に限らず、他の形状であってもよい。
【0087】
前記実施形態では、外側磁石挿入孔42は、磁石32が挿入された状態で、磁石32に対して長手方向の両側に空隙部42a,42bを有する。しかしながら、外側磁石挿入孔は、磁石が挿入された状態で、前記磁石に対して長手方向の一方のみに空隙部を有していてもよいし、前記磁石に対して長手方向に空隙部を有していなくてもよい。また、外側磁石挿入孔が有する空隙部の形状は、前記実施形態に記載されている形状に限らず、他の形状であってもよい。
【0088】
前記実施形態では、ロータ3を軸線方向に見て、外側磁石挿入孔42の長手方向の両端部に位置する空隙部42a,42bの面積は、中央側磁石挿入孔41の長手方向の両端部に位置する空隙部41a,41bの面積よりも大きい。しかしながら、外側磁石挿入孔の長手方向の両端部に位置する空隙部の面積は、中央側磁石挿入孔の長手方向の両端部に位置する空隙部の面積以下であってもよい。
【0089】
前記実施形態では、磁石32は、ロータ3を軸線方向に見て、長方形状である。しかしながら、磁石は、磁石挿入孔に挿入可能な形状であれば、ロータを軸線方向に見て長方形状以外の形状を有していてもよい。
【0090】
前記実施形態では、ロータ3を軸線方向に見て、2つの中央側磁石51は、それらの長手方向が交差するように、周方向に並んでいる。しかしながら、ロータを軸線方向に見て、2つの中央側磁石は、それらの長手方向が平行になるように周方向に並んでいてもよい。
【0091】
前記実施形態では、ロータコア31において、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法V1は、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法W1よりも大きく、且つ、中央側磁石挿入孔41に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法V2は、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法W2よりも大きい。しかしながら、ロータコアにおいて、中央側磁石に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法は、外側磁石に対して径方向外方に位置する部分の最小径方向寸法と同じか、それよりも小さくてもよい。また、ロータコアにおいて、中央側磁石に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法は、外側磁石に対して径方向外方に位置する部分の最大径方向寸法と同じか、それよりも小さくてもよい。
【0092】
前記実施形態では、ロータコア31において、中央側磁石51に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石52に近い側よりも、もう一方の中央側磁石51に近い側の方が大きい。しかしながら、ロータコアにおいて、中央側磁石に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石に近い側と、もう一方の中央側磁石に近い側とで同じであってもよいし、外側磁石に近い側がもう一方の中央側磁石に近い側よりも大きくてもよい。
【0093】
前記実施形態では、ロータコア31において、外側磁石52に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、中央側磁石51から遠い側よりも、中央側磁石51に近い側の方が大きい。しかしながら、ロータコアにおいて、中央側磁石に対して径方向外方に位置する部分の径方向寸法は、外側磁石から遠い側と、中央側磁石に近い側とで同じであってもよいし、外側磁石から遠い側が中央側磁石に近い側よりも大きくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、円筒状のステータと、前記ステータの径方向内方に位置する円柱状のロータとを有する回転電機に利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1、101、201 モータ(回転電機)
2 ステータ
3、103、203 ロータ
21 ステータコア
21a ティース
21b スロット
22 ステータコイル
31、131、231 ロータコア
31a シャフト貫通孔
31b 磁石挿入孔
31c、31d ブリッジ部
32、132、232 磁石
33 第1磁石挿入孔群
34 第2磁石挿入孔群
35 第1磁石群(磁石群)
36 第2磁石群(磁石群)
41 中央側磁石挿入孔
41a、41b 空隙部
42 外側磁石挿入孔
42a、42b 空隙部
51 中央側磁石
52 外側磁石
P 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6