(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085601
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】間仕切壁の構築方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240620BHJP
E04B 2/82 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
E04B2/74 561B
E04B2/82 501T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200196
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】小山 徹
(57)【要約】
【課題】間仕切壁の一部が垂れ壁部となっている構成において、その垂れ壁部の上下寸法が小さい場合でも、施工工数の増大を抑制しながら垂れ壁部を構築することができる間仕切壁の構築方法を提供する。
【解決手段】間仕切壁において、垂れ壁部を構成する垂れ壁パネル21を構築するにあたっては、垂れ壁フレーム25を2分割したうちの一方であって、上桟31と各縦桟33とを含む上側部分51と、2分割したうちの他方であって、下フレーム部32からなる下側部分52とをあらかじめ用意しておく。そして、施工の際にはまず、上側部分51の上桟31を天井部12にビス37により固定することで、上側部分51を天井部12に取り付ける。その後、下側部分52を上側部分51にビス43により固定することで、垂れ壁フレーム25を構築する。その後、垂れ壁フレーム25に各壁面材26を取り付けることで、垂れ壁パネル21を構築する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と天井部との間に複数の間仕切パネルが横並びに設けられることにより構成される間仕切壁を構築する構築方法であって、
前記間仕切パネルは、下地フレームと、前記下地フレームを挟んだ両側に設けられる一対の壁面材とを有して構成され、
前記間仕切壁には開口部が形成され、その開口部と前記天井部との間には前記間仕切壁の一部である垂れ壁部が設けられ、
前記複数の間仕切パネルには、前記垂れ壁部を構成する垂れ壁パネルが含まれており、
前記垂れ壁パネルの前記下地フレームである垂れ壁フレームは、壁幅方向に延び上下に対向する上フレーム部及び下フレーム部と、前記上フレーム部及び前記下フレーム部を連結する一対の縦フレーム部とを有する矩形枠状に形成され、
前記垂れ壁フレームを2分割したうちの一方であって前記上フレーム部を含む上側部分と、前記2分割したうちの他方であって前記下フレーム部を含む下側部分とがあらかじめ用意されており、
前記上側部分の前記上フレーム部を前記天井部に固定具により固定することで、前記上側部分を前記天井部に取り付ける上側部分取付工程と、
前記上側部分取付工程の後、前記下側部分を前記上側部分に固定具により固定することで、前記垂れ壁フレームを構築する下側部分取付工程と、
前記垂れ壁フレームに前記各壁面材を取り付けることで前記垂れ壁パネルを構築する壁面材取付工程とを備える、間仕切壁の構築方法。
【請求項2】
前記複数の間仕切パネルには、前記垂れ壁パネルに隣接し、前記床部と前記天井部とに跨って設けられる隣接パネルが含まれており、
前記上側部分は、前記上フレーム部に加え、前記縦フレーム部を含んで構成され、
前記上側部分取付工程は、前記床部と前記天井部との間に前記隣接パネルが設置された状態で行われ、
前記上側部分取付工程では、前記上側部分の前記縦フレーム部を前記隣接パネルの前記下地フレームに固定具により固定し、
前記壁面材取付工程の後、前記垂れ壁パネルの前記壁面材と前記隣接パネルの前記壁面材とに跨ってクロスを張り付けるクロス張り工程を備える、請求項1に記載の間仕切壁の構築方法。
【請求項3】
前記上側部分は、前記上フレーム部に加え、前記各縦フレーム部を含んで構成され、
前記下側部分は、前記下フレーム部であり、
前記下側部分取付工程では、前記下フレーム部を前記各縦フレーム部の下端面に重ねた状態で、前記下フレーム部を前記各縦フレーム部に固定具により固定する、請求項1又は2に記載の間仕切壁の構築方法。
【請求項4】
前記下フレーム部は、前記各縦フレーム部の下端面に跨って設けられる第1横材と、前記第1横材の上面に固定され前記各縦フレーム部の内側面に跨って設けられる第2横材とを有し、
前記下側部分取付工程では、前記第1横材を前記各縦フレーム部の下端面に重ね、かつ前記第2横材を前記各縦フレーム部の間に配置した状態で、前記第1横材を前記各縦フレーム部に固定具により固定する、請求項3に記載の間仕切壁の構築方法。
【請求項5】
前記第1横材は、前記第2横材に対して壁厚み方向の両側にそれぞれ延出した一対の延出部を有し、
前記壁面材取付工程では、前記壁面材を前記延出部と前記天井部との間に配置した状態で、前記壁面材を前記垂れ壁フレームに取り付ける、請求項4に記載の間仕切壁の構築方法。
【請求項6】
前記上フレーム部と前記下フレーム部との間隔が前記垂れ壁フレームの厚みよりも小さい、請求項1又は2に記載の間仕切壁の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切壁の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物における間仕切壁として、床部と天井部との間に複数の間仕切パネルが横並びに設けられることにより構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。間仕切パネルは、下地フレームと、下地フレームを挟んだ両側に設けられる一対の壁面材とを有して構成されている。下地フレームは、矩形枠状に形成され、上下に対向する上桟及び下桟と、それら上桟及び下桟を連結する一対の縦桟とを有している。
【0003】
間仕切壁に出入口等の開口部が形成されている場合、開口部の上方には垂れ壁部が形成される。この場合、垂れ壁部は、開口部と天井部との間に配置される上下寸法の短い間仕切パネル(以下、垂れ壁パネルという)により構成される。垂れ壁パネルは、天井部に対して取り付けられる。垂れ壁パネルを天井部に取り付ける際にはまず、垂れ壁パネルの下地フレーム(以下、垂れ壁フレームという)を天井部に取り付ける。この場合、垂れ壁フレームの上桟をビスにより天井部に固定する。詳しくは、この際、垂れ壁フレームの内側からドライバで上桟をビス固定する。その後、垂れ壁フレームの両側に壁面材を取り付ける。これにより、垂れ壁パネルひいては垂れ壁部が構築される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、間仕切壁に形成された開口部の上下寸法が大きい場合、例えば開口部の上端が天井部付近に位置している場合には、開口部上方に配置される垂れ壁パネルの上下寸法が小さくなる。その場合、垂れ壁フレームの上下寸法が小さくなり、それにより垂れ壁フレームの上桟と下桟との間隔が小さくなる。ここで、このような構成では、垂れ壁フレームの上桟をフレーム内側からドライバで天井部にビス固定する際に、ドライバが上桟と下桟との間に入らず、上桟をビス固定できないおそれがある。そのため、この場合には、垂れ壁フレーム、ひいては垂れ壁パネルを天井部に取り付けできないおそれがある。
【0006】
そこで、上記のような場合には、垂れ壁フレームを構成する各桟を個別に天井部側に取り付け、それにより垂れ壁フレームを構築することが考えられる。詳しくは、この場合、まず上桟を天井部にビス固定し、それから上桟に各縦桟をビス固定し、それから各縦桟に下桟をビス固定することで、垂れ壁フレームを構築するようにする。
【0007】
しかしながら、上記の手順で垂れ壁フレームを構築するとなると、垂れ壁パネル(垂れ壁部)を構築するに際し施工工数の増大を招くことになってしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、間仕切壁の一部が垂れ壁部となっている構成において、その垂れ壁部の上下寸法が小さい場合でも、施工工数の増大を抑制しながら垂れ壁部を構築することができる間仕切壁の構築方法を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の間仕切壁の構築方法は、床部と天井部との間に複数の間仕切パネルが横並びに設けられることにより構成される間仕切壁を構築する構築方法であって、前記間仕切パネルは、下地フレームと、前記下地フレームを挟んだ両側に設けられる一対の壁面材とを有して構成され、前記間仕切壁には開口部が形成され、その開口部と前記天井部との間には前記間仕切壁の一部である垂れ壁部が設けられ、前記複数の間仕切パネルには、前記垂れ壁部を構成する垂れ壁パネルが含まれており、前記垂れ壁パネルの前記下地フレームである垂れ壁フレームは、壁幅方向に延び上下に対向する上フレーム部及び下フレーム部と、前記上フレーム部及び前記下フレーム部を連結する一対の縦フレーム部とを有する矩形枠状に形成され、前記垂れ壁フレームを2分割したうちの一方であって前記上フレーム部を含む上側部分と、前記2分割したうちの他方であって前記下フレーム部を含む下側部分とがあらかじめ用意されており、前記上側部分の前記上フレーム部を前記天井部に固定具により固定することで、前記上側部分を前記天井部に取り付ける上側部分取付工程と、前記上側部分取付工程の後、前記下側部分を前記上側部分に固定具により固定することで、前記垂れ壁フレームを構築する下側部分取付工程と、前記垂れ壁フレームに前記各壁面材を取り付けることで前記垂れ壁パネルを構築する壁面材取付工程とを備える。
【0010】
第1の発明によれば、垂れ壁フレームを二分割したうちの一方である上側部分と、他方である下側部分とがあらかじめ用意されている。これら上側部分及び下側部分のうち、まず、上側部分の上フレーム部が天井部に固定具(ビスや釘、ボルトなど)により固定され、それにより上側部分が天井部に取り付けられる。この場合、下フレーム部が存在しない状態で、上フレーム部をドライバ等の工具を用いて固定具により固定することができる。そのため、上フレーム部を容易に天井部に固定することができる。
【0011】
その後、下側部分が上側部分に固定具により固定され、垂れ壁フレームが構築される。その後、垂れ壁フレームに各壁面材が取り付けられ、垂れ壁パネル(換言すると垂れ壁部)が構築される。かかる構成によれば、上側部分と下側部分とをそれぞれ取り付けるだけで垂れ壁フレームを構築することができる。そのため、垂れ壁フレームを構成する各フレーム部を個別に取り付けることで垂れ壁フレームを構築する場合と比べ、施工工数の増大を抑制することができる。
【0012】
よって、以上より、垂れ壁部の上下寸法が小さい場合であっても、施工工数の増大を抑制しながら、垂れ壁部を構築することができる。
【0013】
第2の発明の間仕切壁の構築方法は、第1の発明において、前記複数の間仕切パネルには、前記垂れ壁パネルに隣接し、前記床部と前記天井部とに跨って設けられる隣接パネルが含まれており、前記上側部分は、前記上フレーム部に加え、前記縦フレーム部を含んで構成され、前記上側部分取付工程は、前記床部と前記天井部との間に前記隣接パネルが設置された状態で行われ、前記上側部分取付工程では、前記上側部分の前記縦フレーム部を前記隣接パネルの前記下地フレームに固定具により固定し、前記壁面材取付工程の後、前記垂れ壁パネルの前記壁面材と前記隣接パネルの前記壁面材とに跨ってクロスを張り付けるクロス張り工程を備える。
【0014】
垂れ壁パネルに隣接する隣接パネルが床部と天井部とに跨って設けられている構成では、地震等で間仕切壁に揺れが生じた際に、垂れ壁パネルと隣接パネルとの境界部でずれが生じ易い。そのため、垂れ壁パネルと隣接パネルとに跨ってクロスが張り付けられている場合には、両パネルの境界部でクロス切れが生じ易いと考えられる。
【0015】
そこで、第2の発明では、このような点に鑑み、上側部分を縦フレーム部を含んで構成し、その縦フレーム部を隣接パネルの下地フレームに固定具により固定するようにしている。この場合、垂れ壁パネルと隣接パネルとを互いに連結することができるため、それら両パネルの境界部でずれが生じるのを抑制することができる。その結果、両パネルの境界部でクロス切れが生じるのを抑制することができる。
【0016】
また、縦フレーム部を隣接パネルの下地フレームに固定具により固定する際には、下フレーム部が存在していない。そのため、垂れ壁部の上下寸法が小さい場合(つまり、上フレーム部と下フレーム部との間隔が小さい場合)でも、縦フレーム部を隣接パネルの下地フレームに容易に固定することができる。
【0017】
第3の発明の間仕切壁の構築方法は、第1又は第2の発明において、前記上側部分は、前記上フレーム部に加え、前記各縦フレーム部を含んで構成され、前記下側部分は、前記下フレーム部であり、前記下側部分取付工程では、前記下フレーム部を前記各縦フレーム部の下端面に重ねた状態で、前記下フレーム部を前記各縦フレーム部に固定具により固定する。
【0018】
ところで、下側部分が下フレーム部に加え、各縦フレーム部を含んで構成されている場合には、下側部分を上側部分に固定する際、下側部分の各縦フレーム部を上フレーム部に固定具により固定することになる。しかしながら、その場合、固定具を上下に延びる縦フレーム部を介して上フレーム部にねじ込む(又は打ち込む)ことになるため、固定具のねじ込み長さ(又は打ち込み長さ)が長くなり、固定作業が大変になるおそれがある。
【0019】
その点、第3の発明では、上側部分が各縦フレーム部を含んで構成され、下側部分が下フレーム部のみにより構成されている。そして、下側部分(下フレーム部)を上側部分に固定する際には、下フレーム部を各縦フレーム部の下端面に重ねた状態で、下フレーム部を各縦フレーム部に固定具により固定するようにしている。この場合、固定具を壁幅方向に延びる下フレーム部を介して各縦フレーム部にねじ込む(又は打ち込む)ことになるため、固定具のねじ込み長さ(又は打ち込み長さ)を比較的短くすることができる。そのため、下側部分の固定作業をし易くすることができる。
【0020】
第4の発明の間仕切壁の構築方法は、第3の発明において、前記下フレーム部は、前記各縦フレーム部の下端面に跨って設けられる第1横材と、前記第1横材の上面に固定され前記各縦フレーム部の内側面に跨って設けられる第2横材とを有し、前記下側部分取付工程では、前記第1横材を前記各縦フレーム部の下端面に重ね、かつ前記第2横材を前記各縦フレーム部の間に配置した状態で、前記第1横材を前記各縦フレーム部に固定具により固定する。
【0021】
第4の発明によれば、下フレーム部の第2横材を各縦フレーム部の間に配置した状態で、第1横材を各縦フレーム部に固定具により固定するようになっている。この場合、第2横材が各縦フレーム部の間に入り込んでいることで、第1横材(ひいては下フレーム部)を固定する際に下フレーム部がずれるのを抑制することができる。そのため、下フレーム部(つまり下側部分)の固定作業をよりし易くすることができる。
【0022】
第5の発明の間仕切壁の構築方法は、第4の発明において、前記第1横材は、前記第2横材に対して壁厚み方向の両側にそれぞれ延出した一対の延出部を有し、前記壁面材取付工程では、前記壁面材を前記延出部と前記天井部との間に配置した状態で、前記壁面材を前記垂れ壁フレームに取り付ける。
【0023】
第5の発明によれば、壁面材が第1横材の延出部と天井部との間に配置された状態で垂れ壁フレームに取り付けられる。この場合、壁面材を延出部の上に支持させた状態で垂れ壁フレームに取り付けることができる。これにより、第1横材を上手く用いて、壁面材の取付作業をし易くすることができる。
【0024】
第6の発明の間仕切壁の構築方法は、第1又は第2の発明において、前記上フレーム部と前記下フレーム部との間隔が前記垂れ壁フレームの厚みよりも小さい。
【0025】
第6の発明では、垂れ壁フレームの上フレーム部と下フレーム部との間隔が著しく小さくなっている。その点、本発明では、こうした構成に上記第1の発明を適用しているため、かかる構成であっても施工工数の増大を抑制しながら垂れ壁部を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図4】垂れ壁パネルを構築する際の手順を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物が、複数の建物ユニットが組み合わせられて構成されるユニット式建物となっている。
図1は、その建物内に設けられた間仕切壁10を示す正面図であり、
図2は
図1のA-A線断面図である。
【0028】
図1及び
図2に示すように、住宅等の建物には、間仕切壁10が設けられている。間仕切壁10は、屋内の床部11と天井部12とに跨って設けられている。この間仕切壁10により、屋内が複数の屋内空間13,14に仕切られている。例えば、屋内空間13は居室であり、屋内空間14は収納室である。
【0029】
間仕切壁10には、開口部15が形成されている。この開口部15を介して各屋内空間13,14が連通されている。開口部15は、床部11から天井部12付近まで上下に延びている。開口部15は、人の出入りが可能な出入口となっている。この開口部15を通じて各屋内空間13,14の間で出入りが可能となっている。また、開口部15には折り戸16が設けられている。折り戸16により開口部15が開閉される。なお、折り戸16に代えて、引き戸や開き戸等、他の建具を設けてもよい。
【0030】
間仕切壁10は、開口部15の上方に設けられた垂れ壁部18を有している。垂れ壁部18は、開口部15と天井部12との間に設けられている。本間仕切壁10では、開口部15の上端が天井部12付近に位置しており、それにより、垂れ壁部18の上下寸法が著しく小さくなっている。詳しくは、垂れ壁部18の上下寸法は、垂れ壁部18の厚み寸法よりも小さくなっている。
【0031】
間仕切壁10は、横並びに設けられた複数の間仕切パネル20,21を有して構成されている。複数の間仕切パネル20,21には、床部11と天井部12とに跨がって設けられた間仕切パネル20と、開口部15と天井部12との間に設けられ垂れ壁部18を構成する間仕切パネル21(以下、垂れ壁パネル21という)とが含まれている。
【0032】
各間仕切パネル20には、横幅が他の間仕切パネル20よりも小さくされた間仕切パネル20Aが含まれている。この間仕切パネル20Aは袖壁パネルともいわれるものであり、垂れ壁パネル21に隣接して配置されている。また、垂れ壁パネル21を挟んで間仕切パネル20Aとは反対側には間仕切パネル20Bが設けられている。間仕切パネル20Bは、垂れ壁パネル21に隣接している。この場合、各間仕切パネル20A,20Bが「隣接パネル」に相当する。
【0033】
各間仕切パネル20は、下地フレーム22と、下地フレーム22を挟んだ両側に設けられた一対の壁面材23とを有して構成されている。下地フレーム22は、矩形枠状に形成され、上下方向に延びる一対の縦桟22aと、各縦桟22aを連結する一対の横桟22bとを有している。各横桟22bのうち、下側の横桟22bは床部11に固定され、上側の横桟22bは天井部12に固定されている。また、各壁面材23は、石膏ボードにより形成され、下地フレーム22にビスにより固定されている。
【0034】
垂れ壁パネル21は、間仕切壁10の壁幅方向(換言すると開口部15の幅方向)に延びる横長状に形成されている。垂れ壁パネル21は、下地フレーム25と、下地フレーム25を挟んだ両側に設けられた一対の壁面材26とを有して構成されている。各壁面材26は、石膏ボードにより形成され、下地フレーム25にビス27により固定されている。なお、以下の説明では、垂れ壁パネル21の下地フレーム25を垂れ壁フレーム25という。
【0035】
各間仕切パネル20,21の壁面材23,26の表面には、クロス28(壁紙)が張り付けられている。クロス28は、各間仕切パネル20,21の壁面材23,26に跨って張り付けられている。したがって、クロス28は、隣り合う間仕切パネル20,21の境界部を跨いで張り付けられている。なお、壁面材23,26は、クロス28の下地となる下地面材ということもできる。
【0036】
続いて、垂れ壁パネル21の構成について、
図2に加え
図3を用いながら詳しく説明する。
図3は、垂れ壁パネル21の構成を示す分解斜視図である。
【0037】
図2及び
図3に示すように、垂れ壁パネル21の垂れ壁フレーム25は、間仕切壁10の壁幅方向(以下では、単に「壁幅方向」という)に延びる矩形枠状に形成されている。垂れ壁フレーム25は、壁幅方向に延び上下に対向する上桟31及び下フレーム部32と、上桟31及び下フレーム部32を連結する一対の縦桟33とを有して構成されている。なお、上桟31が「上フレーム部」に相当し、各縦桟33が「縦フレーム部」に相当する。
【0038】
上桟31は、木製の長尺板材により形成されている。上桟31は、天井部12にビス37により固定されている。天井部12は、石膏ボードからなる天井面材35と、天井面材35の上面に重ねて設けられたバッキング材36とを有している。バッキング材36は、木製の板材からなり、垂れ壁パネル21の真上に配置されている。上桟31は、天井面材35を介してバッキング材36にビス37により固定されている。また、ビス37は、上桟31よりも下方から上桟31と天井面材35とを貫通してバッキング材36にねじ込まれている。なお、ビス37は、上桟31の長手方向に複数配置されている(
図4(c)参照)。
【0039】
下フレーム部32は、下桟38と、下桟38の下面に固定された下地板39とを有している。下桟38は、壁幅方向に延びる木製の長尺板材により形成されている。下桟38の幅(間仕切壁10の壁厚み方向の長さ)は、上桟31の幅と同じとされている。なお、以下の説明では、間仕切壁10の壁厚み方向を略して「壁厚み方向」という。また、下桟38が「第2横材」に相当し、下地板39が「第1横材」に相当する。
【0040】
下地板39は、壁幅方向に延びる長尺の合板からなり、下桟38の下面に接着材により固定されている。下地板39の長さは、下桟38の長さよりも長くなっている。下地板39は、下桟38に対して長手方向の両側にそれぞれ延出している。これら延出した各部分を、以下、延出部41という。また、下地板39の長さは、上桟31の長さと同じとなっている。
【0041】
下地板39の幅は、下桟38の幅よりも大きくなっている。下地板39は、下桟38に対して幅方向(換言すると、壁厚み方向)の両側にそれぞれ延出している。これら延出した各部分を、以下、延出部42という。なお、延出部42が、特許請求の範囲に記載の「延出部」に相当する。
【0042】
各縦桟33は、上下方向の長さが短い木製の短尺板材により形成されている。各縦桟33は、その上端部が上桟31の長手方向の両端部にそれぞれ固定されている。各縦桟33は、その上端面が上桟31の下面に重ねられ、その状態で縦桟33と上桟31とがタッカー(図示略)により固定されている。また、各縦桟33は、その下端部が下フレーム部32の下地板39の長手方向の両端部にそれぞれ固定されている。各縦桟33は、その下端面が下地板39の延出部41の上面に重ねられ、その状態で縦桟33と下地板39とがビス43(
図4(c)参照)により固定されている。ビス43は、下地板39よりも下方から下地板39を貫通して縦桟33にねじ込まれている。
【0043】
また、各縦桟33はそれぞれ各間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22に固定されている(
図4(b)参照)。各縦桟33は、下地フレーム22の縦桟22aにビス44により固定されている。ビス44は、縦桟33を貫通して下地フレーム22の縦桟22aにねじ込まれている。
【0044】
下フレーム部32の下桟38は、各縦桟33の間に配置されている。下桟38は、その両端部をそれぞれ縦桟33の内側面に当接させた状態で配置されている(
図4(c)参照)。下桟38は、上桟31に対して下方に離間した位置にある。下桟38と上桟31との間隔Hは、垂れ壁フレーム25の厚みTよりも小さくなっている。
【0045】
垂れ壁フレーム25には、上述したように、各壁面材26が取り付けられている。壁面材26は、下地板39の延出部42と天井部12の天井面材35との間に配置され、その配置状態で垂れ壁フレーム25の各桟31,33,38にビス27により固定されている。また、壁面材26の表面と下地板39の側面とは面一とされており、それら面一とされた両面に跨ってクロス28が張り付けられている。特に、屋内空間14側では、クロス28が下地板39の側面からさらに下面に巻き込まれ、当該下面にも張り付けられている。
【0046】
以上が、垂れ壁パネル21に関する説明である。その他の構成について説明すると、垂れ壁パネル21の下方には、折り戸16が設けられている。折り戸16は、開口部15の周縁部に配置された枠部45の内側に配置されている。枠部45は、一対の縦枠46と、各縦枠46の上端部を連結する上枠としての鴨居47とを有している。鴨居47の下面側には、折り戸16を吊り下げ支持する支持レール48が設けられている。折り戸16は、この支持レール48に沿って開閉されるようになっている。また、鴨居47は、垂れ壁フレーム25の下フレーム部32(詳しくは下地板39)の下面に重ねられ、その状態で支持レール48とともにねじ49により下フレーム部32に固定されている。
【0047】
続いて、間仕切壁10を構築する際の構築方法について、
図3に加え
図4を用いながら説明する。
図4は、垂れ壁パネル21を構築する際の手順を説明するための図である。
【0048】
まず、ユニット製造工場では、建物(ユニット式建物)を構成する各建物ユニットを製造する。建物ユニットを製造する際には、間仕切壁10を構成する各間仕切パネル20,21のうち、垂れ壁パネル21以外の各間仕切パネル20を床部11と天井部12との間に組み付ける。
【0049】
ユニット製造工場では、
図3に示すように、垂れ壁パネル21を構成する上側部分51及び下側部分52を準備する準備工程を行う。上側部分51及び下側部分52は、垂れ壁パネル21を上下に2分割した各部分となっている。上側部分51は、上桟31と各縦桟33とを含んで構成されている。本工程では、上桟31と各縦桟33とをタッカーを用いて連結することにより上側部分51を構成する。また、下側部分52は、下フレーム部32となっている。本工程では、下桟38と下地板39とを接着固定することにより下側部分52(下フレーム部32)を構成する。
【0050】
各建物ユニットを製造した後、製造した各建物ユニットを施工現場へトラックにより搬送する。この搬送の際、上側部分51及び下側部分52については建物ユニット内に収容しておく。これにより、上側部分51及び下側部分52は、建物ユニットとともに施工現場へ搬送される。
【0051】
施工現場ではまず、搬送された各建物ユニットを所定の設置位置に設置する作業を行う。建物ユニットの設置後、各間仕切パネル20A,20Bの間に垂れ壁パネル21(垂れ壁部18)を構築する作業を行う。垂れ壁パネル21を構築する際にはまず、
図4(a)に示すように、上側部分51の上桟31をビス37(固定具に相当)により天井部12に固定することで、上側部分51を天井部12に取り付ける上側部分取付工程を行う。この工程では、ビス37をドライバにより上桟31及び天井面材35を介してバッキング材36にねじ込む。
【0052】
また、上側部分取付工程では、
図4(b)に示すように、上側部分51の各縦桟33をそれぞれ間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22にビス44(固定具に相当)により固定する作業(工程)を行う。この作業では、ビス44をドライバにより縦桟33を介して下地フレーム22の縦桟22aにねじ込む。
【0053】
上記のように、上側部分取付工程では、上側部分51の上桟31をビス37により天井部12に固定する工程(以下、第1工程という)と、上側部分51の各縦桟33を各間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22にビス44により固定する工程(以下、第2工程という)とをそれぞれ行うようになっている。この場合、第1工程の後に第2工程を行ってもよいし、第1工程と第2工程とを並行して行ってもよい。
【0054】
次に、
図4(c)に示すように、下側部分52を上側部分51にビス43により固定することで、垂れ壁フレーム25を構築する下側部分取付工程を行う。この工程では、下側部分52(換言すると下フレーム部32)の下地板39の各延出部41をそれぞれ上側部分51の各縦桟33の下端面に重ね、かつ下桟38を各縦桟33の間に配置した状態で、下地板39の各延出部41をそれぞれビス43により縦桟33に固定する。この場合、ビス43をドライバにより延出部41を介して縦桟33にねじ込む。
【0055】
下側部分取付工程では、上述のように、下桟38を各縦桟33の間に入り込ませた状態で、下地板39(ひいては下フレーム部32)をビス43により各縦桟33に固定するようにしているため、下フレーム部32の固定作業に際し、下フレーム部32がずれるのを抑制することができる。そのため、下フレーム部32(下側部分52)の固定作業をし易くすることができる。
【0056】
次に、
図4(d)に示すように、垂れ壁フレーム25に各壁面材26を取り付けることで、垂れ壁パネル21を構築する壁面材取付工程を行う。この工程では、壁面材26を下地板39の延出部42と天井部12との間に配置した状態で、壁面材26を垂れ壁フレーム25の各桟31,33,38にビス27により固定する(
図2も参照)。この場合、壁面材26を延出部42の上に支持させた状態で、壁面材26を垂れ壁フレーム25にビス固定することができる。そのため、下地板39を上手く用いて、壁面材26の取付作業をし易くすることができる。以上により、垂れ壁部18が構築される。
【0057】
次に、各間仕切パネル20,21の壁面材23,26に跨がってクロス28を張り付けるクロス張り工程を行う。この工程では、クロス28を各壁面材23,26の表面に接着剤を用いて張り付ける。これにより、クロス28が垂れ壁パネル21と各間仕切パネル20A,20Bとに跨がって張り付けられる。以上により、間仕切壁10の構築作業が完了する。
【0058】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0059】
垂れ壁フレーム25が上下二分割された上側部分51及び下側部分52のうち、まず、上側部分51の上桟31が天井部12にビス37により固定され、それにより上側部分51が天井部12に取り付けられる。この場合、下フレーム部32が存在しない状態で、上桟31をドライバによりビス固定することができる。そのため、上桟31を容易に天井部12に固定することができる。
【0060】
その後、下側部分52が上側部分51にビス43により固定され、垂れ壁フレーム25が構築される。その後、垂れ壁フレーム25に各壁面材26が取り付けられ、垂れ壁パネル21(換言すると垂れ壁部18)が構築される。かかる構成によれば、上側部分51と下側部分52とをそれぞれ取り付けるだけで垂れ壁フレーム25を構築することができる。そのため、垂れ壁フレーム25を構成する各桟31,33,38及び下地板39を個別に取り付けることで垂れ壁フレーム25を構築する場合と比べ、施工工数の増大を抑制することができる。
【0061】
よって、以上より、垂れ壁部18の上下寸法が小さい場合であっても、施工工数の増大を抑制しながら、垂れ壁部18を構築することができる。
【0062】
上側部分51を各縦桟33を含んで構成し、それら各縦桟33を間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22にそれぞれビス44により固定するようにした。この場合、垂れ壁パネル21と間仕切パネル20A,20Bとを互いに連結することができるため、それら両パネル21,20A(21,20B)の境界部でずれが生じるのを抑制することができる。これにより、両パネル21,20A(21,20B)の境界部でクロス切れが生じるのを抑制することができる。
【0063】
また、縦桟33を間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22にビス固定する際には、下フレーム部32が存在していない。そのため、垂れ壁部18の上下寸法が小さい場合(つまり、上桟31と下フレーム部32との間隔が小さい場合)でも、縦桟33を間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22に容易に固定することができる。
【0064】
上側部分51が各縦桟33を含んで構成され、下側部分52が下フレーム部32のみにより構成されている。そして、下側部分52(下フレーム部32)を上側部分51に固定する際には、下フレーム部32を各縦桟33の下端面に重ねた状態で、下フレーム部32を各縦桟33にビス43により固定するようにしている。この場合、ビス43を壁幅方向に延びる下フレーム部32を介して各縦桟33にねじ込むことになるため、ビス43のねじ込み長さを比較的短くすることができる。そのため、下側部分52の固定作業をし易くすることができる。
【0065】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、垂れ壁フレーム25の上側部分51が各縦桟33を含む構成としたが、これを変更して、下側部分52が各縦桟33を含む構成としてもよい。この場合、上側部分が上桟31のみから構成され、下側部分が下フレーム部32と各縦桟33とを含んで構成される。かかる構成では、上側部分取付工程において、上桟31のみが天井部12に取り付けられる。そして、下側部分取付工程の際には、下側部分の各縦桟33をそれぞれ上桟31にビス固定するようにする。ただし、縦桟33を上桟31にビス固定する際には、ビスを下地板39及び縦桟33を介して上桟31にねじ込むことになるため、ビスのねじ込み長さが長くなり、固定作業が大変になるおそれがある。そのため、その点を鑑みると、上記実施形態のように、上側部分51が各縦桟33を含む構成とするのが望ましい。
【0067】
・上記実施形態では、下フレーム部32を下桟38と下地板39とを有して構成したが、これを変更して、下フレーム部32を下桟38のみから構成してもよい。この場合、下側部分52が下桟38(のみ)により構成されることになる。そして、下側部分取付工程では、下桟38を上側部分51の各縦桟33の下端面に重ねた状態でそれら各縦桟33にビス固定することになる。
【0068】
・上記実施形態では、上側部分51の上桟31を天井部12にビス37により固定し、上側部分51の縦桟33を間仕切パネル20A,20Bの下地フレーム22にビス44により固定し、下側部分52を上側部分51にビス43により固定したが、それらの固定のうち少なくともいずれかについては、ビス以外の固定具を用いて固定するようにしてもよい。この場合、固定具としては、例えば釘やボルト等を用いることが考えられる。
【0069】
・上記実施形態では、間仕切壁10を構成する各間仕切パネル20をユニット製造工場において床部11と天井部12との間に組み付けるようにしたが、施工現場において各建物ユニットを設置した後、各間仕切パネル20を床部11と天井部12との間に組み付けるようにしてもよい。その場合、各間仕切パネル20を設置した後、つまり、垂れ壁パネル21に隣接する両間仕切パネル20A,20Bが設置された状態で、垂れ壁パネル21を構築する各工程(上側部分取付工程、下側部分取付工程及び壁面材取付工程)を行うようにすればよい。
【0070】
・本発明の間仕切壁の構築方法は、必ずしもユニット式建物に設けられる間仕切壁に適用する必要はなく、例えば、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、その他の建物に設けられる間仕切壁に適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…間仕切壁、11…床部、12…天井部、15…開口部、18…垂れ壁部、20…間仕切パネル、20A,20B…隣接パネルとしての間仕切パネル、21…垂れ壁パネル、25…垂れ壁フレーム、26…壁面材、28…クロス、31…上フレーム部としての上桟、32…下フレーム部、33…縦フレーム部としての縦桟、38…第2横材としての下桟、39…第1横材としての下地板、42…延出部、51…上側部分、52…下側部分。