(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085602
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01H 3/00 20060101AFI20240620BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240620BHJP
G01M 99/00 20110101ALN20240620BHJP
【FI】
G01H3/00 A
G05B23/02 302Y
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200199
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 実
【テーマコード(参考)】
2G024
2G064
3C223
【Fターム(参考)】
2G024AD27
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA28
2G024EA11
2G024FA04
2G024FA06
2G064AA12
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064AB22
2G064CC29
2G064CC43
2G064CC52
2G064DD08
2G064DD14
3C223AA19
3C223BA01
3C223BB09
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF04
3C223FF08
3C223GG01
(57)【要約】
【課題】所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理装置、処理方法、及び処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】印刷部12は、所用時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行し、音センサ16は、印刷に関連して発生する動作音を採取し、プロセッサ18は、印刷部12の動作音の採取結果を表すデータを取得し、取得したデータを動作条件に応じて周波数解析する場合のデータ数を導出し、導出したデータ数が次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように、周波数解析後のデータを縮小し、縮小したデータを用いて異常音を検知する処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、
動作条件から前記データを周波数解析する場合のデータ数を導出し、
導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、
縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を行う処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記動作音として印刷に関連して発生する動作音の採取結果を表すデータを取得する請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記周波数解析後の前記解析結果データを間引くことにより前記解析結果データを縮小する請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記周波数解析後の複数の解析結果データを平均化することにより前記解析結果データを縮小する請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記周波数解析後の2つの前記解析結果データを比較し、大きい値の方の前記データを採用することにより、前記解析結果データを縮小する請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、
動作条件から前記データを周波数解析した場合のデータ数を導出し、
導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、
縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を行う処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、
動作条件から前記データを周波数解析した場合のデータ数を導出し、
導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、
縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を実行させるための処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、処理方法、及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置内部の音を電気信号に変換する音変換部と、この音変換部が変換した電気信号を解析して周波数ごとの成分を求める音解析部と、この音解析部が求めた周波数ごとの成分を出力する出力部とを備えた画像処理装置が提案されている。
【0003】
特許文献2には、異常判断部が、画像形成装置が低速動作したときに集音マイクが集音した音データが周波数解析されたスペクトログラムと正常に低速動作したときの正常スペクトログラムとを比較し、異音が発生したと判断した場合、画像形成装置が低速動作したときの動作体のタイミングチャートと周波数解析部が出力したスペクトログラムを比較して異音の発生源である動作体を特定することが提案されている。
【0004】
特許文献3には、風車に用いられるブレードから発生する時系列の音データを周波数分析した画像データから風車の一回転分の時間間隔で連続的に画像データを切り出し、切り出した連続した画像データのうち基準となる画像データに対して、切り出した画像データの時間軸方向の幅が同じになるように拡縮して重ね合わせた画像データを生成し、生成した画像データを学習する異常判別装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4929049号
【特許文献2】特開2021-163387号公報
【特許文献3】特開2020-172861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音を採取して異常音を検知する場合、処理対象の動作条件に応じて、1回の異常音の解析に要する解析時間が異なるため、生産性が低下する場合がある。例えば、画像形成装置で処理対象の1枚目の用紙に画像形成を行い、その後1枚目より小さいサイズの用紙に画像形成を行う場合、2枚目を搬送する際の動作音を採取する時間、すなわち、2枚目の搬送時間よりも、1枚目の搬送時の異常音の解析に要する解析時間が長い可能性がある。ここで、1枚目の解析時間が終わらないと、メモリを解放できず、2枚目の解析には移れない。2枚目の解析に移れないと、3枚目の画像形成等の処理には移れない。このように、搬送対象に対する処理に移れない時間が発生すると、処理ができない分だけ、生産性が低下してしまう。
【0007】
そこで、本開示は、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理装置、処理方法、及び処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1態様に係る処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、動作条件から前記データを周波数解析する場合のデータ数を導出し、導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を行う。
【0009】
第2態様に係る処理装置は、第1態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記動作音として印刷に関連して発生する動作音の採取結果を表すデータを取得する。
【0010】
第3態様に係る処理装置は、第1態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記周波数解析後の前記解析結果データを間引くことにより前記解析結果データを縮小する。
【0011】
第4態様に係る処理装置は、第1態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記周波数解析後の複数の解析結果データを平均化することにより前記解析結果データを縮小する。
【0012】
第5態様に係る処理装置は、第1態様に係る処理装置において、前記プロセッサは、前記周波数解析後の2つの前記解析結果データを比較し、大きい値の方の前記データを採用することにより、前記解析結果データを縮小する。
【0013】
第6態様に係る処理方法は、コンピュータが、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、動作条件から前記データを周波数解析した場合のデータ数を導出し、導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を行う。
【0014】
第7態様に係る処理プログラムは、コンピュータに、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、動作条件から前記データを周波数解析した場合のデータ数を導出し、導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様によれば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理装置を提供できる。
【0016】
第2態様によれば、印刷に関連する異常音を検知することが可能となる。
【0017】
第3態様によれば、間引かれた分のデータ数を削減してデータを縮小することが可能となる。
【0018】
第4態様によれば、平均化された分のデータ数を削減してデータを縮小することが可能となる。
【0019】
第5態様によれば、採用されないデータ分のデータ数を削減してデータを縮小することが可能となる。
【0020】
第6態様によれば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理方法を提供できる。
【0021】
第7態様によれば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】周波数解析を実行する回数の算出例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成装置のプロセッサが異音検知制御部として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る画像形成装置のプロセッサが音センサ制御部として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る画像形成装置のプロセッサが周波数解析部として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る画像形成装置のプロセッサが縮小処理部として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る画像形成装置のプロセッサが異音判定部として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る画像形成装置のプロセッサが異音検知制御部として行う異音発生が通知された場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態を実施しない場合1、本実施形態を実施しない場合2、及び本実施形態を実施する場合のそれぞれを比較した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施形態では、処理装置の一例として画像形成装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
本実施形態に係る画像形成装置10は、
図1に示すように、印刷部12、印刷制御部14、音センサ16、及びプロセッサ18を備える。
【0025】
印刷部12は、所用時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する。複数の処理の一例として、記録用紙を印刷部12へ搬送する処理、印刷する処理、及び印刷された記録用紙を排出する処理等がある。印刷部12は、具体的には、電子写真式の印刷機構、及び記録用紙の搬送機構などを有し、印刷制御部14から印刷すべき画像を示す画像データ及び各種の動作指令が入力されると、記録用紙の片面又は両面への印刷を行って外部の排紙トレイに排出する。
【0026】
印刷制御部14は、画像データ及び各種の動作指令を印刷部12に出力し、印刷部12の動作の制御などを行う。
【0027】
音センサ16は、印刷に関連して発生する動作音を採取する。すなわち、印刷部12の印刷機構や搬送機構などの印刷の際に画像形成装置10で発生する動作音を採取する。
【0028】
プロセッサ18は、印刷部12の動作音の採取結果を表すデータを取得し、取得したデータを動作条件に応じて周波数解析する場合のデータ数を導出し、導出したデータ数が次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように、周波数解析後のデータを縮小し、縮小したデータを用いて異常音を検知する処理を行う。本実施形態では、プロセッサ18は、異音検知部18として機能し、異音検知部18は、異音を判定する処理時間を一定にするために、処理に使用する異音判定用データのサイズを一定にする。異音判定用データのサイズを一定にするために、音センサ16からの音データの周波数解析を行った結果のデータを一定サイズに縮小し、異音を判定する。
【0029】
具体的には、異音検知部18は、異音検知制御部20、音センサ制御部22、周波数解析部24、縮小処理部26、異音判定部28、及び記憶部30の機能を有する。
【0030】
異音検知制御部20は、採取した動作音のデータを、動作条件に応じて周波数解析した場合のデータ数を算出する。具体的には、異音検知制御部20は、印刷処理として指示された印刷条件に含まれる用紙サイズや用紙搬送速度等の動作条件が印刷制御部14から通知されると、動作条件から周波数解析を実行する回数を算出する。例えば、
図2に示すように、3ms毎に周波数解析を実行するよう規定されているとき、記録用紙がA4サイズの場合、用紙が搬送されて印刷される時間が900msとなるので、周波数解析を実行する回数は、900ms/3ms=300回となる。周波数解析を実行する回数は記録用紙1枚当たりの印刷処理に要する時間から定められる。記録用紙サイズA4の印刷で周波数解析を実行する回数を300とした場合、用紙サイズA3の印刷では用紙の長さがA4の2倍となるため、用紙が搬送されて印刷される時間が1800msであり、印刷の処理時間が2倍となり、周波数解析を実行する回数が600となる。このように動作条件によって周波数解析を実行する回数を決定できる。異音検知制御部20は、縮小処理部26に周波数解析を実行する回数と異音判定用データとして規定されたデータサイズに対応した回数を通知し、音センサ制御部22に周波数解析を実行する回数を設定し、音センサ制御部22に音データの採取開始を通知する。
【0031】
音センサ制御部22は、異音検知制御部20から音データの採取開始が通知されると、周波数解析部24へ周波数解析要求を通知した回数をカウントする出力カウンタを0にする。そして、音センサ16からの音データを取得して記憶部30の音データ格納領域30Aに書き込む。記憶部30の音データ格納領域30Aに周波数解析1回分の音データを書き込むと、周波数解析部24に周波数解析要求を通知し、出力カウンタをカウントアップする。これを出力カウンタの値が周波数解析を実行する回数と一致するまで繰り返す。
【0032】
周波数解析部24は、音センサ制御部22から周波数解析要求が通知されると、音データを記憶部30の音データ格納領域30Aからリードし、周波数解析を行い、解析結果データを縮小処理部26に出力し、縮小処理部26に音データの縮小要求を通知する。この解析結果データは、一例としては周波数毎の音圧を示すデータである。
【0033】
縮小処理部26は、周波数解析部24で解析された解析結果データを取得し、異音判定用データのデータサイズを一定サイズにするために縮小する処理を行う。例えば、用紙サイズA3の印刷処理の場合、600個の解析結果データを取得するが、これを300個の解析結果データにデータサイズを縮小する処理を行う。解析結果データの群を縮小したデータを異音判定用データとして記憶部30の異音判定用データ格納領域30Cに格納し、異音判定部28に異音判定要求を通知する。縮小処理部26によるデータの縮小方法は、600個を300個にする場合に2つのデータを1つのデータにすることを例にした場合、以下の何れかにより縮小する。
・間引き:奇数個目の解析結果、または、偶数個目の解析結果を異音判定用データとして採用する。
・平均化:2つの解析結果の平均値を異音判定用データとする。
・比較:2つの解析結果のうち大きい値の方を異音判定用データとして採用する。
【0034】
なお、縮小処理部26の縮小処理方法として、平均化または比較を適用する場合には、比較対象の音データや、平均化対象の音データを中間データとして記憶部30の中間データ格納領域30Bに格納して平均化や比較を行う。また、ここでは、縮小処理部26の縮小方法として2つのデータを1つのデータにする例を示すが、これに限るものではなく、3つ以上のデータを1つのデータにしてもよい。また、縮小対象のデータサイズと異音判定用データとして規定されたデータサイズとの比率に応じて縮小するようにしてもよい。また、本実施形態では、データ数が少ない記録用紙サイズに合わせてデータ数を縮小するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、A4サイズ等のように最も多く印刷されるサイズに合わせてデータサイズを縮小してもよい。
【0035】
異音判定部28は、縮小処理部26から異音判定要求が通知されると、異音判定用データを記憶部30の異音判定用データ格納領域30Cから読み出す。縮小処理部26から異音判定要求に付加された動作条件と異音判定用データから異音の有無を判定し、異音有りの場合は、異音検知制御部20に異音発生を通知する。
【0036】
異音検知制御部20は、異音判定部28から異音発生が通知されると、印刷制御部14に異音発生を通知する。また、異音の原因を特定するために、異音判定用データを記憶部30の異音判定用データ格納領域30Cから読み出して印刷制御部14に出力する。
【0037】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18で行われる具体的な処理について説明する。
【0038】
まず、異音検知制御部20の処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18が異音検知制御部20として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図3の処理は、印刷制御部14から動作条件と記録用紙の位置情報が通知された場合に開始する。
【0039】
ステップ100では、異音検知制御部20が、印刷制御部14から通知された動作条件から周波数解析を実行する回数を算出してステップ102へ移行する。例えば、
図2に示すように、3ms毎に周波数解析を実行すると、記録用紙がA4サイズの場合、用紙が搬送されて印刷される時間が900msとなるので、周波数解析を実行する回数は、900ms/3ms=300回となる。
【0040】
ステップ102では、異音検知制御部20が、縮小処理部26に周波数解析を実行する回数と異音判定用データとして規定されたデータサイズに対応した回数とを設定してステップ104へ移行する。
【0041】
ステップ104では、異音検知制御部20が、音センサ制御部22に周波数解析する実行回数を設定してステップ106へ移行する。
【0042】
ステップ106では、異音検知制御部20が、音センサ制御部22に音データの採取開始を通知して一連の異音検知制御部20の処理を終了する。
【0043】
次に、音センサ制御部22の処理について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18が音センサ制御部22として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4の処理は、異音検知制御部20から音データの採取開始が通知された場合に開始する。
【0044】
ステップ200では、音センサ制御部22が、出力カウンタを0にしてステップ202へ移行する。
【0045】
ステップ202では、音センサ制御部22が、音センサ16からの音データを記憶部30の音データ格納領域30Aに書き込んでステップ204へ移行する。
【0046】
ステップ204では、音センサ制御部22が、周波数解析1回分の音データを書き込んだか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ202に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ206へ移行する。
【0047】
ステップ206では、音センサ制御部22が、周波数解析部24に周波数解析要求を通知してステップ208へ移行する。
【0048】
ステップ208では、音センサ制御部22が、出力カウンタをカウントアップ(+1)してステップ210へ移行する。
【0049】
ステップ210では、音センサ制御部22が、周波数解析を実行する回数=出力カウンタになったか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ202に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合には音センサ制御部22の処理を終了する。
【0050】
次に、周波数解析部24の処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18が周波数解析部24として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図5の処理は、音センサ制御部22から周波数解析要求が通知された場合に開始する。
【0051】
ステップ300では、周波数解析部24が、音データを記憶部30の音データ格納領域30Aから読み出してステップ302へ移行する。
【0052】
ステップ302では、周波数解析部24が、音データの周波数解析を行ってステップ304へ移行する。
【0053】
ステップ304では、周波数解析部24が、周波数解析結果である解析結果データを縮小処理部26に出力して一連の周波数解析部24の処理を終了する。
【0054】
次に、縮小処理部26の処理について説明する。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18が縮小処理部26として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図6の処理は、縮小処方法として比較を適用した場合を一例として説明する。また、
図6の処理は、異音検知制御部20が異音判定用データとして規定されたデータサイズに対応した回数と解析を実行する回数とを設定した場合に開始する。
【0055】
ステップ400では、縮小処理部26が、記憶部30の中間データ格納領域30B、入力カウンタ、及び出力カウンタを0にしてステップ402へ移行する。
【0056】
ステップ402では、縮小処理部26が、周波数解析部24から周波数解析結果である周波数毎の音圧データからなる解析結果データを入力してステップ404へ移行する。
【0057】
ステップ404では、縮小処理部26が、中間データを記憶部30の中間データ格納領域30Bから読み出してステップ406へ移行する。
【0058】
ステップ406では、縮小処理部26が、周波数毎に解析結果データと中間データを比較してステップ408へ移行する。例えば、2つの解析結果のうち大きい値の方を異音判定用データとする。
【0059】
ステップ408では、縮小処理部26が、出力回数、解析結果を実行する回数、入力カウンタ、及び出力カウンタから出力先を決定してステップ410へ移行する。
【0060】
ステップ410では、縮小処理部26が、出力先=異音判定用データ格納領域30Cであるか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ412へ移行し、肯定された場合にはステップ416へ移行する。
【0061】
ステップ412では、縮小処理部26が、比較結果を記憶部30の中間データ格納領域30Bに書き込んでステップ414へ移行する。
【0062】
ステップ414では、縮小処理部26が、入力カウンタをカウントアップ(+1)してステップ402へ移行する。
【0063】
一方、ステップ416では、縮小処理部26が、比較結果を記憶部30の異音判定用データ格納領域30Cに書き込んでステップ418へ移行する。
【0064】
ステップ418では、縮小処理部26が、中間データを0にしてステップ420へ移行する。
【0065】
ステップ420では、縮小処理部26が、入力カウンタと出力カウンタをカウントアップ(+1)してステップ422へ移行する。
【0066】
ステップ422では、縮小処理部26が、出力回数=出力カウンタになったか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ402に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ424へ移行する。
【0067】
ステップ424では、縮小処理部26が、異音判定部28に動作条件を付加した異音判定要求を通知して一連の縮小処理部26の処理を終了する。
【0068】
次に、異音判定部28の処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18が異音判定部28として行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図7の処理は、縮小処理部26から異音判定要求が通知された場合に開始する。
【0069】
ステップ500では、異音判定部28が、異音判定用データを記憶部30の異音判定用データ格納領域から読み出してステップ502へ移行する。
【0070】
ステップ502では、異音判定部28が、動作条件と異音判定用データを使用し、異音の有無を判定してステップ504へ移行する。なお、異音の有無の判定は、周知技術を用いて判定する。例えば、ショートタイムフーリエ変換等のフーリエ変換を行って周波数特性を画像化し、予め用意した基準の画像と比較することにより異音の発生を判定してもよいし、周波数特性を画像化した正常データで機械学習を行って異音判定モデルを作成して作成した異音判定モデルを用いて異音の発生の有無を判定してもよい。
【0071】
ステップ504では、異音判定部28が、異音が有りであるか否かを判定する。異音が有り判定が肯定された場合にはステップ506へ移行し、判定が否定された場合には一連の異音判定部28の処理を終了する。
【0072】
ステップ506では、異音判定部28が、異音検知制御部20に異音発生を通知して一連の異音判定部28の処理を終了する。
【0073】
次に、異音検知制御部20の処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る画像形成装置10のプロセッサ18が異音検知制御部20として行う異音発生が通知された場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図8の処理は、異音判定部28から異音発生が通知された場合に開始する。
【0074】
ステップ600では、異音検知制御部20が、印刷制御部14に異音発生を通知してステップ602へ移行する。
【0075】
ステップ602では、異音検知制御部20が、異音判定用データを記憶部30の異音判定用データ格納領域30Cから読み出してステップ604へ移行する。
【0076】
ステップ604では、異音検知制御部20が、異音判定用データを印刷制御部14に出力して一連の異音検知制御部20の処理を終了する。
【0077】
図9に、本実施形態を実施しない場合1、本実施形態を実施しない場合2、及び本実施形態を実施する場合のそれぞれを比較した結果を示す。
図9の例では、記録用紙サイズA3、A4、A4の順に印刷する場合を示す。
【0078】
本実施形態を実施しない場合1では、縮小処理を実施しない場合であり、この場合には、A3の周波数解析の結果は600で、A4の周波数解析の結果は300であるので、
図9に示すように、A3の判定処理が終了していないため、次の処理ができなくなってしまい、待機時間が発生する。
【0079】
また、本実施形態を実施しない場合2は、縮小処理をまとめて行う場合であり、この場合も、同様に、A3の判定処理が終了していないため、次の処理ができなくなってしまい、待機時間が発生する。
【0080】
これに対して、本実施形態を実施する場合には、縮小処理を順次行って異音判定処理を行うので、待機時間がなくなる。
【0081】
なお、上記の実施形態では、画像形成装置10を処理装置の一例として説明したが、処理装置は画像形成装置10に限定されるものではない。例えば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する装置であれば、画像処理装置でもよいし、各種の搬送対象を搬送する搬送装置でもよいし、他の処理装置でもよい。
【0082】
また、上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0083】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0084】
また、上記の実施形態に係るプロセッサ18で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、プロセッサ18で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0085】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0086】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、
動作条件から前記データを周波数解析する場合のデータ数を導出し、
導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、
縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を行う処理装置。
【0087】
(((2)))
前記プロセッサは、前記動作音として印刷に関連して発生する動作音の採取結果を表すデータを取得する(((1)))に記載の処理装置。
【0088】
(((3)))
前記プロセッサは、前記周波数解析後の前記解析結果データを間引くことにより前記解析結果データを縮小する(((1)))又は(((2)))に記載の処理装置。
【0089】
(((4)))
前記プロセッサは、前記周波数解析後の複数の解析結果データを平均化することにより前記解析結果データを縮小する(((1)))又は(((2)))に記載の処理装置。
【0090】
(((5)))
前記プロセッサは、前記周波数解析後の2つの前記解析結果データを比較し、大きい値の方の前記データを採用することにより、前記解析結果データを縮小する(((1)))又は(((2)))に記載の処理装置。
【0091】
(((6)))
コンピュータが、
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、
動作条件から前記データを周波数解析した場合のデータ数を導出し、
導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、
縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を行う処理方法。
【0092】
(((7)))
コンピュータに、
所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際の動作音の採取結果を表すデータを取得し、
動作条件から前記データを周波数解析した場合のデータ数を導出し、
導出したデータ数の前記周波数解析後の解析結果データを、次の処理対象を処理する処理時間内で異常音の検知処理が可能なデータ数になるように縮小し、
縮小した前記解析結果データを用いて異常音を検知する処理を実行させるための処理プログラム。
【0093】
(((1)))によれば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理装置を提供できる。
【0094】
(((2)))によれば、印刷に関連する異常音を検知することが可能となる。
【0095】
(((3)))によれば、間引かれた分のデータ数を削減してデータを縮小することが可能となる。
【0096】
(((4)))によれば、平均化された分のデータ数を削減してデータを縮小することが可能となる。
【0097】
(((5)))によれば、採用されないデータ分のデータ数を削減してデータを縮小することが可能となる。
【0098】
(((6)))によれば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理方法を提供できる。
【0099】
(((7)))によれば、所要時間が異なり、かつ動作音を伴う複数の処理を連続的に実行する際に、生産性を落とすことなく異常音の検知が可能な処理プログラムを提供できる。
【符号の説明】
【0100】
10 画像形成装置
16 音センサ
18 異音検知部(プロセッサ)
20 異音検知制御部
22 音センサ制御部
24 周波数解析部
26 縮小処理部
28 異音判定部
30 記憶部