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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085634
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】消音器
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20240620BHJP
   F01N 1/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
F01N1/02 K
F01N1/02 L
F01N1/02 Z
F01N1/06 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200251
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 暢仁
(72)【発明者】
【氏名】清水 正道
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健太
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004BA00
3G004CA06
3G004CA11
3G004FA04
3G004GA01
(57)【要約】
【課題】製造工程の簡素化を可能とする。
【解決手段】消音器10は、共鳴室としての第六拡張室60を有する消音器10である。消音器10は、第六拡張室60に挿入され、一端18aがインレット管14と連通する内管18を備える。内管18は、内管18の長手方向に沿った仕切板114で内部が第一空間110と第二空間112とに仕切られた構成を有する。内管18は、第一空間110と第六拡張室60を連通させる第一開口120と、第二空間112と第六拡張室60を連通させる第二開口122と、を有する。一端18aから第一開口120までの第一空間110の容積は、一端18aから第二開口122までの第二空間112の容積よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共鳴室を有する消音器であって、
前記共鳴室に挿入され、一端がインレット管と連通する内管を備え、
前記内管は、前記内管の長手方向に沿った仕切板で内部が第一空間と第二空間とに仕切られた構成、又は、第一空間を有する第一管と第二空間を有する第二管とが長手方向に沿って隣接する構成を有し、
前記内管は、前記第一空間と前記共鳴室を連通させる第一開口と、前記第二空間と前記共鳴室を連通させる第二開口と、を有し、
前記一端から前記第一開口までの前記第一空間の容積は、前記一端から前記第二開口までの前記第二空間の容積よりも小さい、
消音器。
【請求項2】
請求項1に記載の消音器であって、
前記内管の他端は封止され、
前記他端から前記第一開口までの長さは、前記他端から前記第二開口までの長さよりも長い、
消音器。
【請求項3】
請求項1に記載の消音器であって、
前記仕切板は、前記内管の横断面において前記第一空間の断面積と前記第二空間の断面積とが同等となるように前記内管の内部を仕切っており、
前記一端から前記第一開口までの距離は、前記一端から前記第二開口までの距離よりも短い、
消音器。
【請求項4】
請求項3に記載の消音器であって、
前記内管の他端は封止され、
前記一端から前記第一開口までの距離は、前記他端から前記第一開口までの距離よりも長い、
消音器。
【請求項5】
請求項1に記載の消音器であって、
前記内管に設けられた前記第一開口と前記第二開口とは、前記内管の長手方向において略同位置に配置され、
前記仕切板は、前記第一空間の容積が前記第二空間の容積よりも小さくなるように前記内管の内部を仕切っている、
消音器。
【請求項6】
請求項1に記載の消音器であって、
前記第一開口の開口面積は、前記第一空間の流路断面積以上であり、前記第二開口の開口面積は、前記第二空間の流路断面積以上である、
消音器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消音器であって、
前記内管は、前記インレット管の延長線上に配置されている、
消音器。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の消音器であって、
前記内管は、前記インレット管と接続されている、
消音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、消音構造が示されている。この消音構造は、消音効果を高めるために、排気ガスを導入する排気管が分岐されており、異なる長さの流路が形成されている。各流路は、密閉された共鳴室内に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第103277171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この消音器にあっては、排気管を分岐するために、排気管と分岐管とのそれぞれに連通穴を形成し、排気管の連通穴と分岐管の連通穴とを連結管で連結する必要がある。また、排気管及び分岐管のそれぞれを、共鳴室を区画する区画壁に挿通する必要がある。さらに、例えば排気管及び分岐管を区画壁に固定するためには、排気管及び分岐管のそれぞれを区画壁に溶接する必要がある。
【0005】
このように、この消音器は、製造工程が複雑化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、製造工程の簡素化を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の消音器は、共鳴室を有する消音器であって、前記共鳴室に挿入され、一端がインレット管と連通する内管を備え、前記内管は、前記内管の長手方向に沿った仕切板で内部が第一空間と第二空間とに仕切られた構成、又は、第一空間を有する第一管と第二空間を有する第二管とが長手方向に沿って隣接する構成を有し、前記内管は、前記第一空間と前記共鳴室を連通させる第一開口と、前記第二空間と前記共鳴室を連通させる第二開口と、を有し、前記一端から前記第一開口までの前記第一空間の容積は、前記一端から前記第二開口までの前記第二空間の容積よりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
上記態様において、第一空間と第二空間とを有する内管を共鳴室に挿入することで、消音器を製造できるので、製造工程の簡素化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る消音器を上方から見た一部透明図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は、バッフルプレートを示す図である。
図4図4は、他のバッフルプレートを示す図である。
図5図5は、図1の要部を示す拡大図である。
図6図6は、内管を示す背面図である。
図7図7は、内管の構造を示す説明図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9A図9Aは、比較例の消音器を示す説明図である。
図9B図9Bは、比較例の消音器の効果を示す線図である。
図10A図10Aは、第一実施形態にかかる消音器を示す説明図である。
図10B図10Bは、第一実施形態にかかる消音器の効果を示す線図である。
図11図11は、第一変形例を示す平面図である。
図12図12は、第二変形例を示す背面図である。
図13図13は、第三変形例を示す平面図である。
図14図14は、図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。
図15図15は、本発明の第二実施形態に係る消音器を上方から見た一部透明図である。
図16図16は、図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
図17図17は、本発明の第三実施形態に係る消音器を上方から見た一部透明図である。
図18図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。
図19図19は、本発明の第三実施形態に係る内管の断面図である。
図20図20は、本発明の第四実施形態に係る消音器を上方から見た一部透明図である。
図21図21は、図20のXXI-XXI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態に係る消音器10について説明する。
【0011】
まず、図1から図4を参照して、消音器10の構成について説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る消音器10を上方から見た一部透明図である。図1では、説明を分かり易くするために、後述する第四バッフルプレート36、第五バッフルプレート38、及び第六バッフルプレート40の一部を省略して記載した。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図3は、バッフルプレート(30、32)を示す図である。図4は、他のバッフルプレート(34、36)を示す図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、消音器10は、例えば、自動車の排気経路に設けられ、内燃機関から出力される音を低減させる装置である。
【0013】
消音器10は、金属で構成され、筐体12を備える。筐体12の内部には、インレット管14、拡散管16、内管18、連通管20、及びアウトレット管22が設けられている。
【0014】
筐体12は、断面が楕円形の筒状に形成されており、筐体12の両端は、端部壁24で閉鎖されている。筐体12の内部には、第一バッフルプレート30、第二バッフルプレート32、第三バッフルプレート34、第四バッフルプレート36、第五バッフルプレート38、及び第六バッフルプレート40が筐体12の長さ方向に間隔をおいて設けられている。これにより、筐体12の内部空間は、第一拡張室50、第二拡張室52、第三拡張室54、第四拡張室56、第五拡張室58、共鳴室を構成する第六拡張室60、及び第七拡張室62に区画されている。
【0015】
図3に示すように、第一バッフルプレート30及び第二バッフルプレート32は、楕円形状に形成されており、周縁部が筐体12の内周面に接続される。第一バッフルプレート30及び第二バッフルプレート32は、楕円の長径の一端部側に開放穴70が形成されており、中央部には、アウトレット管22が挿通する円形の第一アウトレット管挿通穴72が形成されている。第一アウトレット管挿通穴72の他端部には、連通管20が挿通する円形の連通管挿通穴74が形成されている。
【0016】
図4に示すように、第三バッフルプレート34及び第四バッフルプレート36は、楕円形状に形成されており、周縁部が筐体12の内周面に接続される。第三バッフルプレート34及び第四バッフルプレート36は、楕円の長径の一端部側の部位にインレット管14又は内管18が挿通する円形の導入管挿通穴80が形成されている。第三バッフルプレート34及び第四バッフルプレート36の中央部には、アウトレット管22が挿通する円形の第二アウトレット管挿通穴82が形成されている。第二アウトレット管挿通穴82の下部には、連通管20が挿通するとともに、挿通する連通管20の外周部に連通空間を形成する連通穴84が形成されている。
【0017】
第五バッフルプレート38及び第六バッフルプレート40は、一部を除いて第三バッフルプレート34及び第四バッフルプレート36と同形状に形成されている。
【0018】
図1に示すように、第三拡張室54の側壁には、インレット管14の一端部が固定されており、インレット管14の一端14aの開口部は、筐体12の外部に開口する。筐体12の外部に開口するインレット管14の一端14aには、内燃機関から延在する排気管88が接続されるように構成されており、インレット管14は、内燃機関からの排気ガス及び内燃機関で発生した消音対象となる音波を消音器10に導入する。
【0019】
インレット管14は、L字状に湾曲しており、インレット管14は、筐体12の側部から導入した排気ガス及び音波を、筐体12の長さ方向へ向けて案内する。本実施形態では、L字状に湾曲したインレット管14を例に挙げて説明するが、インレット管14は、この形状に限定されるものではなく、インレット管14は、他の形状であってもよい。インレット管14の他端部は、第三バッフルプレート34を挿通して第四拡張室56へ延びる。インレット管14の他端部の延長上には、拡散管16が設けられており、拡散管16の一端16aは、インレット管14の他端14bに接続されている。
【0020】
拡散管16は、真っすぐに延びる直管で構成されており、拡散管16の周面には、複数の小孔90が全周にわたって形成されている。拡散管16は、導入された排気ガスを、小孔90を介して第四拡張室56に拡散させる。
【0021】
筐体12の長さ方向に延在する拡散管16の延長上には、内管18が設けられている。これにより、内管18は、インレット管14の延長線上に配置される。
【0022】
内管18の一端18aは、拡散管16の他端16bに接続されている。これにより、内管18は、拡散管16を介して、インレット管14に接続されており、内管18の一端18aは、インレット管14と連通する。
【0023】
ここで、内管18を、拡散管16を介して、インレット管14に接続する場合について説明するが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、インレット管14と内管18との間に設けられた拡散管16を省略しても、第四拡張室56を介して、内管18の一端18aをインレット管14に連通することができる。
【0024】
また、インレット管14と内管18との間に設けられた拡散管16を省略した状態であっても、内管18は、インレット管14の延長線上に配置された状態が維持される。
【0025】
次に、図5から図8を合わせて参照して、内管18について具体的に説明する。図5は、図1の要部を示す拡大図である。図5は、図1に合わせて、第四バッフルプレート36、第五バッフルプレート38、及び第六バッフルプレート40の一部を省略して記載した。図6は、内管18を示す背面図である。図7は、内管18の構造を示す説明図である。図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【0026】
図5に示すように、内管18は、真っすぐに延びる直管で構成される。内管18の他端18bは、封止板100によって封止されている。本実施形態では、内管18の他端18bを封止板100で封止した場合について説明したが、本実施形態は、この構造に限定されるものでなない。内管18の他端18bは、封止されていればよく、例えば、内管18は、他端18bを封止する壁が当該内管18に一体形成された一体構造であってもよい。
【0027】
内管18は、筐体12の長さ方向に延在する。内管18は、第四バッフルプレート36、第五バッフルプレート38、及び第六バッフルプレート40を挿通する。内管18の他端部は、共鳴室を構成する第六拡張室60を挿通して第七拡張室62に達する(図1参照)。
【0028】
図6から図8に示すように、内管18は、円筒状に形成されている。内管18は、当該内管18の長手方向に沿って延在し、内管18の内部を第一空間110と第二空間112に仕切る仕切板114を備える。
【0029】
図7及び図8に示すように、仕切板114は、長方形状の板材で構成されており、仕切板114の長辺には、内管18の内周面に沿って屈曲された第一フランジ114a及び第二フランジ114bが設けられている。仕切板114は、各フランジ114a、114bが内管18の内周面に接合される。
【0030】
第一フランジ114aと第二フランジ114bとは、仕切板114に対する屈曲方向が異なる。これにより、当該仕切板114を内管18内に安定して配置できるように構成されている。
【0031】
仕切板114は、内管18の中心Cを横切るように配置されており、仕切板114は、内管18の横断面において、第一空間110の断面積と第二空間112の断面積とが同等となるように内管18の内部を仕切る。
【0032】
図5に示すように、内管18の周面には、第一空間110を、共鳴室を構成する第六拡張室60に連通させる第一開口120と、第二空間112を第六拡張室60に連通させる第二開口122とが形成されている。第一開口120及び第二開口122は、円形穴で構成されており、第一開口120及び第二開口122の開口面積は略同一である(図6参照)。
【0033】
そして、第一開口120の開口面積は、内管18を横断する断面において第一空間110の断面積を示す第一空間110の流路断面積以上である。また、第二開口の開口面積は、内管18を横断する断面において第二空間112の断面積を示す第二空間112の流路断面積以上である。
【0034】
なお、第一開口120及び第二開口122の開口面積は、第一空間110及び第二空間112の断面積と略同一であってもよい。また、第一開口120及び第二開口122の形状は、円形穴に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0035】
ここで、共鳴室としての第六拡張室60は、内管18、アウトレット管22、及び連通管20を挿通する穴以外の穴を有しない第五バッフルプレート38及び第六バッフルプレート40と筐体12の周壁とによって包囲されている。これにより、第六拡張室60は、密閉空間とされている。
【0036】
(ヘルムホルツ共鳴)
図7に示すように、内管18の一端18aから第一開口120までの距離L1aは、内管18の一端18aから第二開口122までの距離L2aよりも短い。
【0037】
ここで、仕切板114の一端114cと内管18の一端18aとを合致させることは製造上難しい。しかし、仕切板114の一端114cの位置と内管18の一端18aの位置とが大きくずれることはない。このため、仕切板114の一端114cの位置と内管18の一端18aの位置とは同位置とみなすことができるので、仕切板114の一端114cの位置を内管18の一端18aとして説明する。
【0038】
また、「内管18の一端18aから第一開口120まで」とは、内管18の一端18aから第一開口120の中心120aの位置までを示す。また、「内管18の一端18aから第二開口122まで」とは、内管18の一端18aから第二開口122の中心122aの位置までを示す。
【0039】
本実施形態において、第一空間110の断面積と第二空間112の断面積とは同等となるように設定されている。このため、内管18の一端18aから第一開口120までの第一空間110の容積は、内管18の一端18aから第二開口122までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0040】
図1において一点鎖線矢印H1で示すように、インレット管14からの音波を内管18の第一空間110を介して、共鳴室としての第六拡張室60に入力することで、ヘルムホルツ共鳴を起こすことができる。これにより、このヘルムホルツ共鳴で生ずる共振周波数の音波を減衰することが可能となる。
【0041】
また、図1において一点鎖線矢印H2で示すように、インレット管14からの音波を内管18の第二空間112を介して、共鳴室としての第六拡張室60に入力することで、ヘルムホルツ共鳴を起こすことができる。これにより、このヘルムホルツ共鳴で生ずる共振周波数の音波を減衰することが可能となる。
【0042】
なお、ヘルムホルツ共鳴で生ずる共振周波数f0の演算式を(式1)に示す。
【0043】
【数1】
【0044】
この(式1)において、f0は、共振周波数を示す。cは、音速を示す。πは、円周率を示す。Sには、第一空間110の断面積又は第二空間112の断面積が代入される。Lには、内管18の一端18aから第一開口120までの距離L1a又は第二開口122までの距離L2aが代入される。Vは、共鳴室としての第六拡張室60の容積を示す。
【0045】
内管18の一端18aから第一開口120までの距離L1aと、内管18の一端18aから第二開口122までの距離L2aとは異なる。このため、内管18の一端18aから第一開口120までの第一空間110の容積と、内管18の一端18aから第二開口122までの第二空間112の容積とは異なる大きさとなる。これにより、第一空間110と第二空間112とにおいて、異なる周波数の音波の減衰が可能となる。
【0046】
(気柱共鳴)
また、内管18の他端18bから第一開口120までの長さを示す距離L1bは、内管18の他端18bから第二開口122までの長さを示す距離L2bよりも長い。
【0047】
ここで、「内管18の他端18bから第一開口120まで」とは、内管18の他端18bから第一開口120の中心120aの位置までを示す。また、「内管18の他端18bから第二開口122まで」とは、内管18の他端18bから第二開口122の中心122aの位置までを示す。
【0048】
本実施形態において、第一空間110の断面積と第二空間112の断面積とは同等となるように設定されている。このため、内管18の他端18bから第一開口120までの第一空間110の容積は、内管18の他端18bから第二開口122までの第二空間112の容積よりも大きい。
【0049】
図1において一点鎖線矢印K1で示すように、インレット管14から第一空間110に入力された音波を内管18の他端18bの封止板100で反射させて気柱共鳴(ブランチ管による共鳴)を生じさせることができる。これにより、第一開口120と封止板100との間で生ずる気柱共鳴の周波数の音波を減衰することが可能となる。
【0050】
また、図1において一点鎖線矢印K2で示すように、インレット管14から第二空間112に入力された音波を内管18の他端18bの封止板100で反射させて気柱共鳴を生じさせることができる。これにより、第二開口122と封止板100との間で生ずる気柱共鳴の周波数の音波を減衰することが可能となる。
【0051】
なお、気柱共鳴で生ずる周波数fの演算式を(式2)に示す。
【0052】
【数2】
【0053】
この(式2)において、fは、気柱共鳴で生ずる周波数を示す。cは、音速を示す。Lには、内管18の他端18bから第一開口120までの距離L1b又は第二開口122までの距離L2bが代入される。
【0054】
内管18の他端18bから第一開口120までの距離L1bと、内管18の他端18bから第二開口122までの距離L2bとは異なる。これにより、第一空間110と第二空間112とにおいて、異なる周波数の音波の減衰が可能となる。
【0055】
そして、内管18の一端18aから第一開口120までの距離L1aは、内管18の他端18bから第一開口120までの距離L1bよりも長くなるように設定されている。そして、ヘルムホルツ共鳴によって減衰する音波の周波数と、気柱共鳴によって減衰する音波の周波数とは異なるように設定される。
【0056】
これにより、内管18の一端18aから第一開口120までの第一空間110の容積及び内管18の一端18aから第二開口122までの第二空間112の容積に応じて生ずるヘルムホルツ共鳴による共振周波数f0の音波を大きく減衰することができる。また、内管18の他端18bから第一開口120まで距離L1b及び内管18の他端18bから第二開口122までの距離L2bに応じて生ずる気柱共鳴による周波数fの音波を大きく減衰することができる。
【0057】
図1に示すように、連通管20は、真っすぐに延びる直管で構成されている。連通管20は、各バッフルプレート30、32、34、36、38、40を挿通し、第一拡張室50と第七拡張室62とを連通する。
【0058】
アウトレット管22は、真っすぐに延びる直管で構成されている。アウトレット管22は、各バッフルプレート30、32、34、36、38、40を挿通するとともに一端22aが筐体12の端面に開口する。アウトレット管22の一端22aには、パイプ140が接続され、アウトレット管22から排出される排気ガスを、パイプ140を介して排出できるように構成されている。また、アウトレット管22の他端22bは、第七拡張室62に開口する。
【0059】
図2に示したように、アウトレット管22は、内管18の第二開口122と重ならいない位置に配置されており、第二開口122から音波の伝達を妨げないように構成されている。
【0060】
これにより、インレット管14から導入された排気ガスは、図1において実線の矢印で示すように、拡散管16の小孔90を介して、第四拡張室56に拡散される。第四拡張室56に拡散された排気ガスは、第三バッフルプレート34、第二バッフルプレート32、第一バッフルプレート30の開放穴70及び連通穴84を介して第一拡張室50に流れる。第一拡張室50に流れた排気ガスは、連通管20を介して、第七拡張室62へ流れる。第七拡張室62に流れた排気ガスは、アウトレット管22及びアウトレット管22に接続されるパイプ140を介して外部へ排出される。
【0061】
各管16、20、22を流れる排気ガスは、各拡張室50、52、54、56、58、60、62で拡張されることによって、排気ガスと共に入力された音波が消音される。
【0062】
ここで、本実施形態の消音器10の効果を、比較例と比較して説明する。
【0063】
図9Aは、比較例の消音器を示す説明図である。図9Bは、比較例の消音器の効果を示す線図である。図10Aは、第一実施形態にかかる消音器を示す説明図である。図10Bは、第一実施形態にかかる消音器の効果を示す線図である。
【0064】
図9Aに示すように、インレット管14の他端14bが第四拡張室56に開口するとともに、第四拡張室56と第六拡張室60とを連通する長さの異なる第一分岐管152及び第二分岐管154を備えた消音器150を比較例として用意した。なお、第一分岐管152の長さは、本実施形態における内管18の一端18aから第一開口120までの長さと実質的に等しくしている。また、第二分岐管154の長さは、本実施形態における一端18aから第二開口122までの長さと実質的に等しくしている。また、第一分岐管152の断面積(長手方向に対して直交する方向の断面の面積)は、本実施形態の第一空間110と実質的に等しく、第二分岐管154の断面積は、第二空間112と実質的に等しい構成である。
【0065】
この比較例の消音器150において、内燃機関の排気ガスをインレット管14から導入し、その際の内燃機関の回転速度[rpm]と消音器150の外部で計測される音の大きさ(dB)を測定し、その測定結果をグラフにおいて実線160で示した(図9B)。
【0066】
また、比較例の消音器150に対して第一分岐管152及び第二分岐管154を備えないベースとなる基準消音器を用意した(図示省略)。そして、基準消音器において、内燃機関の排気ガスをインレット管14から導入し、その際の内燃機関の回転速度[rpm]と基準消音器の外部で計測される音の大きさ(dB)を測定し、その測定結果をグラフにおいて一点鎖線162で示した(図9B)。
【0067】
その結果、比較例の消音器150では、基準消音器と比較して、同図中において回転速度が3000[rpm]以下の領域で消音効果が大きかった。
【0068】
図10Aに示すように、本実施形態の消音器10において、内燃機関の排気ガスをインレット管14から導入し、その際の内燃機関の回転速度[rpm]と消音器10の外部で計測される音の大きさ(dB)を測定した。そして、その測定結果をグラフにおいて実線170で示した。また、前述した基準消音器で得られた測定結果をグラフにおいて一点鎖線162で示した(図10B)。
【0069】
その結果、本実施形態の消音器10は、基準消音器と比較して、同図中において回転速度が約3500[rpm]以下の領域で消音効果がさらに大きく、図9に示した比較例の消音器150よりも、消音効果が高いことを確認することができた。また、4000[rpm]以上5000[rpm]以下の間の領域でも消音効果が発揮される回転速度の領域がみられる。
【0070】
(作用及び効果)
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0071】
本実施形態の消音器10は、共鳴室としての第六拡張室60を有する消音器10である。消音器10は、第六拡張室60に挿入され、一端18aがインレット管14と連通する内管18を備える。内管18は、内管18の長手方向に沿った仕切板114で内部が第一空間110と第二空間112とに仕切られた構成を有する。内管18は、第一空間110と第六拡張室60を連通させる第一開口120と、第二空間112と第六拡張室60を連通させる第二開口122と、を有する。一端18aから第一開口120までの第一空間110の容積は、一端18aから第二開口122までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0072】
この構成によれば、インレット管14に連通する内管18は、長手方向に延在する仕切板114によって内部が第一空間110と第二空間112とに仕切られている。このため、インレット管14から内管18の一端18aに送られる音波を、連結管等を用いることなく、第一空間110と第二空間112とに送ることが可能となる。
【0073】
また、内管18は、第一空間110を第六拡張室60に連通させる第一開口120と、第二空間112を第六拡張室60に連通させる第二開口122とを有する。このため、第六拡張室60の壁面に内管18を挿通することで、第一空間110及び第二空間112を第六拡張室60に連通することが可能となる。また、第一空間110が排気管で構成され第二空間112が分岐管で構成される場合と比較して、第一空間110及び第二空間112と第六拡張室60との連通構造及び連通工程の簡素化が可能となる。
【0074】
そして、例えば第一空間110及び第二空間112を第六拡張室60に接続する際には、内管18を第六拡張室60の壁面を構成する第五バッフルプレート38に溶接するだけで、第一空間110及び第二空間112を第六拡張室60に接続することができる。このため、第一空間110を形成する排気管と第二空間112を形成する分岐管とのそれぞれを、第六拡張室60の壁面に溶接しなければならない場合と比較して、結合工程の簡素化が可能となる。
【0075】
したがって、本実施形態に係る消音器10は、製造工程の簡素化が可能となる。
【0076】
そして、本実施形態の消音器10は、第一空間110を排気管で構成するとともに第二空間112を分岐管で構成する場合と比較して、分岐構造が不要となる。このため、分岐構造が必要となる場合と比較して、消音器10の内部スペースの有効利用が可能となり、余ったスペースでその他の周波数を低減するための構造を構成することが可能となる。
【0077】
さらに、分岐構造によって第一空間110と第二空間112とに分割する構造上、分岐部で圧力損失が生ずる場合と比較して、ヘルムホルツ共鳴を用いた消音構造に入力される音圧の低減を抑制することができる。これにより、ヘルムホルツ共鳴を用いた消音構造による消音効果の低下を抑制することが可能となる。
【0078】
また、内管18の一端18aから第一開口120までの第一空間110の容積は、内管18の一端18aから第二開口122までの第二空間112の容積よりも小さい。このため、ヘルムホルツ共鳴を用いた消音構造において、第一空間110に送られる音波と第二空間112に送られる音波とを、異なる周波数において減衰することができ、消音効果を高めることが可能となる。
【0079】
また、本実施形態の消音器10において、内管18の他端18bは封止され、他端18bから第一開口120までの長さ(距離L1b)は、他端18bから第二開口122までの長さ(距離L2b)よりも長い。
【0080】
この構成によれば、封止板100によって封止された内管18の他端18bから各開口120、122までの各空間110、112で構成される気柱共鳴を用いた消音構造によっても、入力された音波を減衰することが可能となる。
【0081】
そして、内管18の他端18bから第一開口120までの第一空間110の長さ(距離L1b)は、内管18の他端18bから第二開口122までの第二空間112の長さ(距離L2b)よりも長い。このため、気柱共鳴を用いた消音構造において、第一空間110に送られる音波と第二空間112に送られる音波とを、異なる周波数において減衰することができ、消音効果を高めることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態の消音器10において、仕切板114は、内管18の横断面において第一空間110の断面積と第二空間112の断面積とが同等となるように内管18の内部を仕切っている。また、一端18aから第一開口120までの距離L1aは、一端18aから第二開口122までの距離L2aよりも短い。
【0083】
この構成によれば、内管18の横断面において、第一空間110の断面積と第二空間112の断面積とは同等である。このため、内管18の一端18aから各開口120、122までの距離に基づいて、内管18の一端18aから各開口120、122まで各空間110、112の容積が設定可能となる。これにより、減衰目的とする周波数の設定が容易となる。
【0084】
そして、内管18の一端18aから第一開口120までの距離L1aを、内管18の一端18aから第二開口122までの距離L2aよりも短く設定することで、ヘルムホルツ共鳴を用いた消音構造において、異なる周波数の音波の減衰が可能となる。
【0085】
また、本実施形態の消音器10において、内管18の他端18bは封止され、一端18aから第一開口120までの距離L1aは、他端18bから第一開口120までの距離L1bよりも長い。
【0086】
この構成によれば、第一空間110において、ヘルムホルツ共鳴を用いた消音構造で減衰する音波の周波数と、気柱共鳴を用いた消音構造で減衰する音波の周波数とを異なる周波数に設定可能となる。
【0087】
これにより、より多くの周波数において、音波の減衰が可能となる。
【0088】
また、本実施形態の消音器10において、第一開口120の開口面積は、第一空間110の流路断面積以上であり、第二開口122の開口面積は、第二空間112の流路断面積以上である。
【0089】
この構成によれば、第一開口120の開口面積が第一空間110の流路断面積未満であり、第二開口122の開口面積が第二空間112の流路断面積未満である場合と比較して、ヘルムホルツ共鳴を利用した音波の減衰を効率的に行うことが可能となる。
【0090】
また、本実施形態の消音器10において、内管18は、インレット管14の延長線上に配置されている。
【0091】
この構成によれば、インレット管14で導入される音波の伝達経路の下流に、内管18で形成される第一空間110及び第二空間112を配置することができる。
【0092】
このため、インレット管14で導入される音波の伝達経路の下流に、第一空間110又は第二空間112のいずれか一方しか配置できない場合と比較して、両空間110、112によって構成される消音構造による消音効果を効率的に得ることが可能となる。
【0093】
また、本実施形態の消音器10において、内管18は、インレット管14と接続されている。
【0094】
この構成によれば、インレット管14で導入される音波を、確実に内管18に導入することができるので、両空間110、112によって構成される消音構造による消音効果を確実に得ることが可能となる。
【0095】
次に、図11から図14を参照して変形例について説明する。
【0096】
(第一変形例)
図11は、第一変形例を示す平面図である。第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0097】
図11には、第一変形例に係る内管180が示されており、他の構成は、第一実施形態と同様とする。第一変形例に係る内管180は、第一実施形態の内管18と比較して、中途部が屈曲している。
【0098】
このような第一変形例に係る内管180を用いた消音器10であっても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0099】
(第二変形例)
図12は、第二変形例を示す背面図である。第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0100】
図12には、第二変形例に係る内管190が示されており、他の構成は、第一実施形態と同様とする。第二変形例に係る内管190は、各開口120、122の形状が異なり、第二変形例に係る内管190は、各開口120、122が矩形状に形成されている。
【0101】
このような第二変形例に係る内管190を用いた消音器10であっても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0102】
(第三変形例)
図13は、第三変形例を示す平面図である。図14は、図13のXIV-XIV線に沿った断面図である。第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0103】
図13及び図14には、第三変形例に係る内管200が示されており、他の構成は、第一実施形態と同様とする。
【0104】
第三変形例に係る内管200において、内管200に設けられた第一開口120と第二開口122とは、内管200の長手方向において略同位置に配置されている。また、仕切板202は、第一空間110の容積が第二空間112の容積よりも小さくなるように内管200の内部を仕切っている。
【0105】
具体的に説明すると、仕切板202は、内管200の内周面に接合される第一フランジ202a及び第二フランジ202bを有する。第一フランジ202aと第二フランジ202bとは、仕切板202に対する屈曲方向が同方向に設定されている。
【0106】
この仕切板202は、内管18の中心Cから偏った位置に配置されており、仕切板202は、中心Cよりも第一開口120に近い位置に配置されている(図14参照)。これにより、仕切板202は、内管200の横断面において、第一開口120に連通する第一空間110の断面積が、第二開口122に連通する第二空間112の断面積よりも小さくなるような位置に配置されている。
【0107】
このような第三変形例に係る内管200を用いた消音器10であっても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0108】
そして、第三変形例に係る内管200を用いた消音器10において、内管200に設けられた第一開口120と第二開口122とは、内管200の長手方向において略同位置に配置されている。仕切板202は、第一空間110の容積が第二空間112の容積よりも小さくなるように内管200の内部を仕切っている。
【0109】
この構成において、例えば内管200の長さに制限があり、第一開口120の位置と第二開口122の位置とを大きく異ならせることができない場合がある。このような場合であっても、内管200の一端200aから第一開口120までの第一空間110の容積と、内管200の一端200aから第二開口122までの第二空間112の容積とを異ならせることができる。
【0110】
これにより、第一空間110と第二空間112とにおいて、異なる周波数の減衰が可能となる。
【0111】
<第二実施形態>
次に、図15及び図16を参照して、本発明の第二実施形態に係る消音器210について、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0112】
図15は、本発明の第二実施形態に係る消音器210を上方から見た一部透明図である。図16は、図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。
【0113】
図15及び図16に示すように、本実施形態に係る消音器210は、第一実施形態と比較して、内管220の形状が異なる。
【0114】
第二実施形態に係る内管220に設けられた仕切板222は、内管220の中心Cから偏った位置に配置されており、仕切板222は、断面が楕円形状に形成された消音器210において、当該楕円形状の長径の一端側(図16中の上側)に配置されている。
【0115】
これにより、仕切板114で区画された第一空間110の断面積は、仕切板114で区画された第二空間112の断面積よりも小さくなるように設定されている。また、仕切板114は、第一空間110の容積が第二空間112の容積よりも小さくなるように内管220の内部を仕切っている。
【0116】
そして、内管220の他端220bは開放されており、内管220の他端220bには、第一空間110に連通する第一開口230と、第二空間112に連通する第二開口232とが開口する(図16参照)。
【0117】
この内管220の他端部は、共鳴室を構成する第六拡張室60に達しており、第一空間110は、第一開口230を介して、第六拡張室60に連通する。また、第二空間112は、第二開口232を介して、第六拡張室60に連通する。
【0118】
(作用及び効果)
本実施形態の消音器210は、共鳴室としての第六拡張室60を有する消音器210である。消音器210は、第六拡張室60に挿入され、一端220aがインレット管14と連通する内管220を備える。内管220は、内管220の長手方向に沿った仕切板222で内部が第一空間110と第二空間112とに仕切られた構成を有する。内管220は、第一空間110と第六拡張室60を連通させる第一開口230と、第二空間112と第六拡張室60を連通させる第二開口232と、を有する。内管220の一端から第一開口230までの第一空間110の容積は、内管220の一端から第二開口232までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0119】
この構成において、インレット管14からの音波を内管220の第一空間110を介して、共鳴室としての第六拡張室60に入力することで、ヘルムホルツ共鳴を起こすことができる。これにより、第一空間110に応じてヘルムホルツ共鳴で生ずる共振周波数の音波を減衰することができる。
【0120】
また、インレット管14からの音波を内管220の第二空間112を介して、共鳴室としての第六拡張室60に入力することで、ヘルムホルツ共鳴を起こすことができる。これにより、第二空間112に応じて、ヘルムホルツ共鳴で生ずる共振周波数の音波を減衰することができる。
【0121】
したがって、本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0122】
<第三実施形態>
次に、図17から図19を参照して、本発明の第三実施形態に係る消音器300について、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第一実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0123】
図17は、本発明の第三実施形態に係る消音器300を上方から見た一部透明図である。図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿った断面図である。図19は、本発明の第三実施形態に係る内管310の断面図である。
【0124】
図17から図19に示すように、本実施形態に係る消音器300は、第一実施形態と比較して、内管310の構成が異なる。
【0125】
図18に示すように、第三実施形態に係る内管310は、第一空間110を有する断面D字状の第一管312と、第二空間112を有する断面D字状の第二管314とが長手方向に沿って隣接して構成されている。第一管312の断面積である第一空間110の流路断面積は、第二管314の断面積である第二空間112の流路断面積と略同じである。
【0126】
第一管312の周面は、湾曲した第一曲面312cと平坦な第一平坦面312dとで構成されている。第二管314の周面は、湾曲した第二曲面314cと平坦な第二平坦面314dとで構成されている。そして、第一管312と第二管314とは、第一平坦面312dと第二平坦面314dとが面接触した状態で配置されている。
【0127】
図17に示すように、内管310の一端を構成する第一管312の一端312a及び第二管314の一端314aは、拡散管16を介してインレット管14に連通する。内管310の他端を構成する第一管312の他端312b及び第二管314の他端314bは、封止板320、322によって封止されている。
【0128】
図19に示すように、内管310の第一管312は、第一空間110を共鳴室としての第六拡張室60に連通させる第一開口120を有する。内管310の第二管314は、第二空間112を第六拡張室60に連通させる第二開口122を有する。第一管312の一端312aから第一開口120までの第一空間110の容積は、第二管314の一端314aから第二開口122までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0129】
(作用及び効果)
本実施形態の消音器300は、共鳴室としての第六拡張室60を有する消音器300である。消音器300は、第六拡張室60に挿入され、一端がインレット管14と連通する内管310を備える。内管310は、第一空間110を有する第一管312と、第二空間112を有する第二管314とが長手方向に沿って隣接する構成を有する。内管310は、第一空間110と第六拡張室60を連通させる第一開口120と、第二空間112と第六拡張室60を連通させる第二開口122と、を有する。内管310の一端から第一開口120までの第一空間110の容積は、内管310の一端から第二開口122までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0130】
この構成においても、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0131】
また、本実施形態では、内管310が長手方向に沿って隣接する第一管312及び第二管314で構成される。このため、内管の長手方向に沿った仕切板で内管の内部を第一空間と第二空間に仕切る場合と比較して、製造が容易となる。
【0132】
<第四実施形態>
次に、図20及び図21を参照して、本発明の第四実施形態に係る消音器400について、第一実施形態及び第三実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第一実施形態及び第三実施形態と同一又は同等部分については、同符号を付して説明を割愛する。
【0133】
図20は、本発明の第四実施形態に係る消音器400を上方から見た一部透明図である。図21は、図20のXXI-XXI線に沿った断面図である。
【0134】
図20及び図21に示すように、本実施形態に係る消音器400は、第一実施形態及び第三実施形態と比較して、内管410の構成が異なる。
【0135】
図20に示すように、第四実施形態に係る内管410は、第一空間110を有する断面D字状の第一管412と、第二空間112を有する断面D字状の第二管414とが長手方向に沿って隣接して構成されている。
【0136】
第一管412の周面は、湾曲した第一曲面412cと平坦な第一平坦面412dとで構成されている。第二管414の周面は、湾曲した第二曲面414cと平坦な第二平坦面414dとで構成されている。そして、第一管412と第二管414とは、第一平坦面412dと第二平坦面414dとが面接触した状態で配置されている。
【0137】
内管410の一端を構成する第一管412の一端412a及び第二管414の一端414aは、拡散管16を介してインレット管14に連通する。
【0138】
内管410の他端を構成する第一管412の他端412bは、開放されており、第一管412の他端412bは、第一空間110に連通する第一開口230を構成する。内管410の他端を構成する第二管414の他端414bは、開放されており、第二管414の他端414bは、第二空間112に連通する第二開口232を構成する。
【0139】
この内管410の他端部は、共鳴室を構成する第六拡張室60に達しており、第一空間110は、第一開口230を介して、第六拡張室60に連通する。また、第二空間112は、第二開口232を介して、第六拡張室60に連通する。
【0140】
第一管412の一端412aから他端412bまでの長さは、第二管414の一端414aから他端414bまでの長さよりも短い。第一管412の断面積である第一空間110の流路断面積は、第二管414の断面積である第二空間112の流路断面積と略同じである。このため、第一管412の一端412aから第一開口230までの第一空間110の容積は、第二管414の一端414aから第二開口232までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0141】
(作用及び効果)
本実施形態の消音器400は、共鳴室としての第六拡張室60を有する消音器400である。消音器400は、第六拡張室60に挿入され、一端がインレット管14と連通する内管410を備える。内管410は、第一空間110を有する第一管412と、第二空間112を有する第二管414とが長手方向に沿って隣接する構成を有する。内管410は、第一空間110と第六拡張室60を連通させる第一開口230と、第二空間112と第六拡張室60を連通させる第二開口232と、を有する。内管410の一端から第一開口230までの第一空間110の容積は、内管410の一端から第二開口232までの第二空間112の容積よりも小さい。
【0142】
この構成においても、第一実施形態又は第三実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態又は第三実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0144】
10、210、300、400 消音器
14 インレット管
18、180、190、200、220、310、410 内管
18a、200a 一端
18b、220b 他端
60 第六拡張室
100 封止板
110 第一空間
112 第二空間
114、202、222 仕切板
120、230 第一開口
122、232 第二開口
312、412 第一管
314、424 第二管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21