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特開2024-85639コンデンシングユニットの制御装置、これを備えた輸送用冷凍装置及びコンデンシングユニットの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085639
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】コンデンシングユニットの制御装置、これを備えた輸送用冷凍装置及びコンデンシングユニットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20240620BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240620BHJP
   F25B 41/40 20210101ALI20240620BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25B1/00 381D
F25B41/40 A
F25B49/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200260
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小森谷 太希
(72)【発明者】
【氏名】大畑 擁平
(72)【発明者】
【氏名】神野 弘樹
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA01
3L045LA10
3L045LA14
3L045LA15
3L045MA00
3L045NA05
3L045NA16
3L045PA02
3L045PA04
3L045PA05
3L045PA06
(57)【要約】
【課題】コンデンシングユニットの静音化、電装部品の放熱、輸送対象への冷却能力の維持を実現することができるコンデンシングユニットの制御装置を提供する。
【解決手段】コンデンシングユニットの制御装置は、輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータ62,63が設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両のコンデンシングユニットの制御装置において、コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又はコンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数のファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する制御部を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御装置において、
前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する制御部を備えるコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項2】
前記コンデンシングユニットは、
複数の前記ファン駆動用モータに電力を供給する電源と、
複数の前記ファン駆動用モータのそれぞれと、前記電源との接続状態を切替える複数の切替素子と
をさらに備え、
前記制御部は、前記静音化制御の実行時において、前記切替素子の接続状態を制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項3】
前記輸送用冷凍車両は、車両走行時のエネルギーを用いて発電を行うオルタネータと、前記オルタネータによって発電された電力によって充電される蓄電部とを備え、
前記第1条件には、前記蓄電部へ充電する場合を含み、
前記制御部は、前記蓄電部へ充電する場合に、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項4】
現在の時刻及び前記コンデンシングユニットに関する時間情報を計時する計時部と、
前記静音化制御を実行するための時間条件を記憶した記憶部と
を備え、
前記制御部は、前記時間情報と前記時間条件に基づいて、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項5】
輸送用冷凍車両の位置情報を遠隔地に存在する指令装置へ送信する送信部と、
前記指令装置から送信される前記位置情報に基づく前記コンデンシングユニットの制御指令を受信する受信部と
を備え、
前記制御部は、前記制御指令に基づいて、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置を備えた輸送用冷凍装置。
【請求項7】
輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御方法であって、
前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御するコンデンシングユニットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンシングユニットの制御装置、これを備えた輸送用冷凍装置及びコンデンシングユニットの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
輸送用冷凍車両に搭載される冷凍機ユニットは、車両のエンジン停止時においても、運転することが可能である。例えば、輸送対象(輸送物)の積込みや荷下ろしの際には、車両のエンジンを停止するが、収納庫及び輸送対象の温度管理は継続して行う必要があるため、冷凍機ユニットの運転は継続して行う。
また、温度管理のために冷凍機ユニットを運転する他に、冷凍機ユニットが備えるコンデンシングユニットの凝縮器(コンデンサ)の排熱を行うために、コンデンシングユニットのファンを運転する必要がある場合にも、冷凍機ユニットの運転を継続する。
【0003】
特許文献1には、冷凍機ユニットのケーシング内に設けられたエンジン等の駆動源によって発生する騒音を解消するために、駆動源収容部と圧縮機収容部の間に区画壁によって形成される絞り部を設けることにより、駆動源収容部から圧縮機収容部に流れる風の流路断面積を狭める構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-125891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された冷凍機ユニットの構造は、エンジン等の駆動源を原因とする騒音を抑制することができるが、冷凍機ユニットが備えるコンデンシングユニットのファンを原因とする騒音については抑制することができない。また、車両のエンジン停止時においては、コンデンシングユニットのファンの駆動音が騒音の主な原因である。そのため、コンデンシングユニットのファンの駆動音を抑制しない限り、作業者を初めとする輸送用冷凍車両の周囲の人間に不快感を与えてしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンデンシングユニットの静音化、電装部品の放熱、輸送対象への冷却能力の維持を実現することができるコンデンシングユニットの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係るコンデンシングユニットの制御装置は、輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御装置において、前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する制御部を備える。
【0008】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係る輸送用冷凍装置は、上記コンデンシングユニットの制御装置を備える。
【0009】
本開示の幾つかの実施形態における一態様に係るコンデンシングユニットの制御方法は、輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御方法であって、前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、コンデンシングユニットの静音化、電装部品の放熱、輸送対象への冷却能力の維持を実現することができる。また、輸送対象の品質維持を低負荷で行ことができるため、電力消費の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係る輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両の側面図である。
図2図1の輸送用冷凍機の冷凍サイクルを示した概略構成図である。
図3図1の輸送用冷凍機の制御装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図4図3の制御装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。
図5図1のコンデンシングユニットにおいて複数のファン駆動用モータが並列接続された状態を示した回路図である。
図6図1のコンデンシングユニットにおいて複数のファン駆動用モータが直列接続された状態を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る輸送用冷凍機を備えた輸送用冷凍車両1の概略構成である。輸送用冷凍車両1は、トラクタ(車両本体)2と、輸送対象である輸送物を格納する収納庫3と、トラクタ2の後方に接続されるとともに、収納庫3内の空間の温度を調整するための輸送用冷凍機5とを備えている。また、輸送用冷凍機5は、エバポレータユニット4と、コンデンシングユニット10とを備える。エバポレータユニット4とコンデンシングユニット10とを冷媒配管(不図示)で接続することで冷凍サイクルが構成される。
【0013】
収納庫3は、トラクタ2の荷台に積載され、輸送物を収納するために用いられる密閉可能な容器である。収納庫3には、エバポレータユニット4が設けられている。収納庫3内の空気は、エバポレータユニット4の蒸発器(エバポレータ)と収納庫3内の空気が熱交換されることにより、低温となる。
【0014】
エバポレータユニット4には、ケース内に、ファン(不図示)、ファンを回転させるファン駆動用モータ(不図示)、冷媒を絞る膨張弁(不図示)、膨張弁から導かれた冷媒を蒸発させる蒸発器などが収容されている。蒸発器は、例えば、内部に冷媒が流通する伝熱管と、伝熱管に取り付けられたフィンを有する熱交換器である。蒸発器と熱交換されることにより冷媒が蒸発することによって、庫内空気から熱を奪い、庫内空気を冷却する。
【0015】
コンデンシングユニット10は、輸送用冷凍車両1のシャーシに固定される箱状のケースにより外殻が形成され、ケース内に、ファン(不図示)、ファンを回転させるファン駆動用モータ(不図示)、冷媒を圧縮する圧縮機(コンプレッサ)、圧縮機から送られた高温高圧冷媒を凝縮する凝縮器(コンデンサ)、圧縮機を駆動するモータ(不図示)および/またはエンジン(不図示)などが収容されている。凝縮器は、例えば、内部に冷媒が流通する伝熱管と、伝熱管に取り付けられたフィンを有する熱交換器である。凝縮器で冷媒が凝縮することによって、外気へと排熱する。
【0016】
また、輸送用冷凍機5の筐体内部には、電力変換装置などの電気回路を備えた制御ボックス、エンジンおよびエンジンで駆動する発電機(オルタネータ)(不図示)等が収容されている。
【0017】
図2は、輸送用冷凍機の冷凍サイクルの冷媒回路が示されている。
輸送用冷凍機5の冷凍サイクルは、圧縮機11、凝縮器(コンデンサ)13、膨張弁14を備えるコンデンシングユニット10と、エバポレータユニットが備える蒸発器(エバポレータ)16によって構成される。収納庫3の庫内の空気と蒸発器16とが熱交換されることにより冷媒が蒸発し、庫内空気から熱が奪われることにより庫内空気が冷却される。
【0018】
図2に示すように、輸送用冷凍機5のコンデンシングユニット10は、冷媒を圧縮する圧縮機11、凝縮器13、膨張弁14を備えている。圧縮機11は、例えば、インバータモータ(図示略)によって駆動される回転数可変の圧縮機である。例えば、圧縮機11のインバータモータの周波数(回転数)が後述する制御部によって制御されることにより、輸送用冷凍機5の出力が制御される。なお、圧縮機11は、この例に限られず、例えば、回転数が固定の固定速圧縮機であってもよい。
【0019】
また、コンデンシングユニット10は、冷媒と外気とを熱交換させる凝縮器13、ファン17,18、冷媒を膨張させる膨張弁14などを備える。また、コンデンシングユニット10は、冷媒の気液分離等を目的として圧縮機11の吸入側配管に設けられたアキュムレータ15を備えている。
【0020】
図3は、本開示の実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。制御装置20は、図3に示すように、コンピュータ(計算機システム)を有し、例えば、CPU21、CPU21が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための補助記憶装置(ROM)22、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置(RAM)23、ネットワークに接続するための通信インターフェース24、及びキーボードやマウス等からの入力(ユーザ入力)や外部機器からの入力を受付けるとともに、制御装置20と通信可能な外部機器へ制御指令を出力する入出力部25等を備えている。これら各部は、例えば、バス30を介して接続されている。補助記憶装置22は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0021】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で補助記憶装置22に記憶されており、このプログラムをCPU21が主記憶装置23に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、補助記憶装置22に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0022】
図4は、本開示の実施形態に係る制御装置が有する機能の一例を示した機能ブロック図である。図4に示すように、制御装置20は、制御部26、計時部27、記憶部28、送信部29a及び受信部29bを備えている。なお、制御装置20が備えるこれらの構成要素は互いに電気通信可能である。
【0023】
制御部26は、輸送用冷凍車両の運転条件及び輸送用冷凍機の運転目標に基づいて、輸送用冷凍機が備える各電装部品の操作量を演算又は決定し、輸送用冷凍機が備える各電装部品を制御する。また、制御部26は、記憶部28に記憶されている後述の静音化制御を実行するための条件と輸送用冷凍車両及び輸送用冷凍機の現在の各運転条件に基づいて、静音化制御を実行するか否かを判断する。
なお、本実施形態においては、後述のメイン基板61が制御部26の機能を備えるものとして説明する。
【0024】
計時部27は、現在の時刻及びコンデンシングユニットに関する時間情報を計時する。コンデンシングユニットに関する時間情報とは、例えば、コンデンシングユニットの連続運転時間、累積運転時間等である。計時部27によって計時された現在時刻及びコンデンシングユニットの時間情報は記憶部28に記憶され、制御部26は後述の静音化制御を実行するか否かを判断する際にこれらの情報を利用する。
【0025】
記憶部28は、コンデンシングユニットの運転条件、例えば、コンデンシングユニットを制御するための冷媒温度の目標値、該目標値に対応した各電装部品の操作量を記憶している。また、輸送用冷凍車両の運転条件、輸送用冷凍機の連続運転時間等の時間情報及び輸送用冷凍車両の位置情報等を含む、後述の静音化制御を実行するための各条件(第1条件)を記憶している。
【0026】
送信部29aは、輸送用冷凍車両の位置情報を遠隔地に存在する指令装置(不図示)へ送信する。遠隔地に存在する指令装置は、例えば、輸送用冷凍車両の管理施設に備えられた遠隔監視装置や、GPS信号の送受信が可能な位置情報管理装置である。
また、送信部29aは、輸送用冷凍車両1の位置情報に限らず、上述のコンデンシングユニット10に関する時間情報等、輸送用冷凍機の制御に関するあらゆる情報を遠隔地に存在する指令装置へ送信可能であってもよい。なお、送信部29aが位置情報を送信する際の通信形態については、無線又は有線のいずれであってもよい。
【0027】
受信部29bは、遠隔地に存在する指令装置(不図示)から送信される、輸送用冷凍車両の位置情報に基づくコンデンシングユニットの制御指令を受信する。そして、制御部26は、指令装置から受信した制御指令に基づいて、後述の静音化制御を実行するか否かを判断する。なお、受信部29bが制御指令を受信する際の通信形態については、無線又は有線のいずれであってもよい。
【0028】
図5は、コンデンシングユニットにおいて複数のファン駆動用モータが並列接続された状態を示した回路図である。図5に示すように、輸送用冷凍機の通常運転時は、コンデンシングユニットが備える複数のファン(例えば、図2におけるファン17,18)を駆動する複数のファン駆動用モータ62,63が並列接続される。
【0029】
コンデンシングユニットにおいて複数のファン駆動用モータが並列接続された回路60は、例えば、メイン基板61、2つのファン駆動用モータ62,63、電源64、切替素子(例えば、リレー素子)65,66、接続切替部70によって構成される。また、接続切替部70は、切替素子(例えば、リレー素子)71,72、電路73、リレーコイル74によって構成される。
【0030】
メイン基板61は、例えば、FPGA(field-programmable gate array)を例とするPLD(programmable logic device)を搭載した回路基板である。メイン基板61は、輸送用冷凍機の各電装部品と電気的に接続されている。また、輸送用冷凍機の運転条件に対応して、輸送用冷凍機が備える各電装部品への制御指令を演算するとともに、各電装部品へ制御指令を出力する。
なお、本実施形態において、メイン基板61は、上述の制御部26の機能を備えるものとして説明する。
【0031】
ファン駆動用モータ62,63は、凝縮器へ送風するためのファンを回転するためのモータであり、熱交換器である凝縮器の近傍に設けられる。ファン駆動用モータ62,63が回転することにより、凝縮器へ送風され、輸送用冷凍機の外部から取り込まれた空気と凝縮器内の冷媒との熱交換が行われる。
【0032】
電源64は、メイン基板61、ファン駆動用モータ62,63等の電装部品へ電力供給を行うための電源である。なお、図示を省略するが、電源と各電装部品の間には、各電装部品に応じて供給電力を調整するための素子、回路又は装置が接続される。
切替素子65,66は、例えば、リレー素子であり、切替素子65は電源64とファン駆動用モータ62との間に設けられ、切替素子66は電源64とファン駆動用モータ63との間に設けられる。また、切替素子65,66は、メイン基板61の制御指令によってオン/オフが切替わる。
【0033】
切替素子65,66が、メイン基板61の制御指令に基づいてオフになると、ファン駆動用モータ62,63は電力供給が遮断され停止する。また、メイン基板61の制御指令に基づいて切替素子65,66がオンになると、図5に示すように、各ファン駆動用モータ62,63は電源64から電力供給されることにより駆動する。
【0034】
接続切替部70は、切替素子71,72、電路73、リレーコイル74によって構成される。切替素子71は、例えば、リレー素子であり、メイン基板61の制御指令に基づいてリレーコイル74が駆動されることにより、接点a又は接点cのいずれと接続されるかが切替わる。同様に、切替素子72は、例えば、リレー素子であり、メイン基板61の指令に基づいてリレーコイル74が駆動されることにより、接点b又は接点dのいずれと接続されるかが切替わる。
コンデンシングユニットが通常モードの時は、ファン駆動用モータ62,63を並列に接続するため、切替素子71は接点aと接続され、切替素子72は接点bと接続される。
【0035】
リレーコイル74は、電源64から電力供給され、メイン基板61の指令に応じて駆動する。また、各切替素子(リレー素子)71,72のそれぞれがいずれの接点と接続されるかは、リレーコイル74の駆動状態(例えば、リレーコイル74によって発生する磁場の強さ)によって切替わる。なお、リレーコイル74を用いて各切替素子71,72の接続状態を切替える構成については、この例に限らず公知の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0036】
図6は、コンデンシングユニットにおいて複数のファン駆動用モータが直列接続された状態を示した回路図である。メイン基板61は、静音化制御を実行する際に、コンデンシングユニット10が備える複数のファン駆動用モータ62,63、電源64が直列接続となるように切替素子71,72の接続状態を切替えるよう制御する。
【0037】
電路73は、一端が接点cであり、他端が接点dである電流路である。後述の静音化制御が実行され、コンデンシングユニットが静音モードで運転されると、切替素子71は、接点aとの接続している状態から電路73の一端である接点cと接続する状態に切替えられ、ファン駆動用モータ62は電路73と接続される。同様に、静音化制御が実行される際に、切替素子72は、接点bとの接続している状態から電路73の一端である接点dと接続される状態に切替えられ、ファン駆動用モータ62は電路73と接続される。
【0038】
図6に示すように、複数のファン駆動用モータ62,63が直列接続されることにより、電源から各ファン駆動用モータ62,63へ供給される電圧は、複数のファン駆動用モータ62,63が並列接続された場合の50%以下となる。したがって、複数のファン駆動用モータ62,63を直列接続とすることにより、複数のファン駆動用モータ62,63の出力能力を低減し、複数のファン駆動用モータ62,63の駆動音が低減される。
【0039】
(静音化制御の実行例)
輸送用冷凍車両が停車し、圧縮機が停止している場合において、輸送用冷凍車両から発生する騒音の主な原因は、コンデンシングユニットが備えるファン駆動用モータ62,63の駆動音である。しかしながら、輸送用冷凍車両が停車及び圧縮機が停止している場合においても、収納庫内の低温状態の維持、及びコンデンシングユニットの電装部品の放熱は、継続して行う必要があるため、ファン駆動用モータ62,63を停止することは好ましくない。
【0040】
そこで、制御装置が備えるメイン基板61は、輸送用冷凍車両の運転条件及び輸送用冷凍機の運転条件に基づいて、コンデンシングユニットの運転モードを、通常モードから静音モードに切替える静音化制御を行う。なお、静音化制御とは、具体的には、切替素子71、72の接続状態を切替えることにより、冷凍機が備える複数のファン駆動用モータ62,63と電源64との接続状態を切替え、ファン駆動用モータ62,63を低出力(例えば、最大出力の50%以下)で駆動する制御である。
【0041】
以下、図5及び図6を例として、静音化制御を説明する。
制御装置は、複数のファン駆動用モータ62,63の出力を高くしたい場合、収納庫内を冷却したい場合において、凝縮器を冷却するために複数のファン駆動用モータ62,63のそれぞれを高出力で運転する。このとき、コンデンシングユニットは通常モードで運転されるように制御する。
【0042】
通常モードにおいて、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64は、それぞれ並列接続で接続される。すなわち、通常モードにおいてファン駆動用モータ62,63を運転する場合、電源64の出力電圧に相当する電圧が、複数のファン駆動用モータ62,63のそれぞれに印加される。
【0043】
また、図5に示すように、メイン基板61は、通常モードにおいて、ファン駆動用モータ62と電源64を並列接続にするために、切替素子71が接点aと接続するように切替素子71の接続先を切替える。これにより、ファン駆動用モータ62と電源64は、並列接続となる。
【0044】
同様に、メイン基板61は、通常モードにおいて、ファン駆動用モータ63と電源64を並列接続にするために、切替素子72が接点bと接続するように切替素子72の接続先を切替える。これにより、ファン駆動用モータ63と電源64は、並列接続となる。
以上より、コンデンシングユニットは、通常モードで運転する場合、図5に示ように、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64が並列接続された状態で運転される。
【0045】
なお、切替素子71、72の接続状態は互いに同期するものとしてもよく、例えば、切替素子71が接点aと接続される場合には、切替素子72が必ず接点bと接続されるプログラムが予め制御装置20が備える記憶部28に記憶されていてもよい。
【0046】
次に、メイン基板61は、静音モードにおいて、複数のファン駆動用モータ62,63の出力を低くしたい場合、例えば、収納庫内の温度を維持する場合には、蒸発器を冷却するために複数のファン駆動用モータ62,63の各出力が、収納庫内の温度を下げる場合よりも低くなるように制御する。この場合には、コンデンシングユニットから発生する音を低減することを優先し、コンデンシングユニットを静音モードで運転するように制御する。
【0047】
静音モードにおいて、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64は、それぞれ直列接続で接続される。すなわち、静音モードにおいてファン駆動用モータ62,63を運転する場合、1つのファン駆動用モータに印加される電圧は、電源64の出力電圧と静音モードにおいて運転するファン駆動用モータの数によって決定される。このように、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64とを直列接続に切替えることにより、各ファン駆動用モータに印加される電圧を低減することでき、その結果、各ファン駆動用モータ62,63の出力能力を低減することができる。
【0048】
また、図6に示すように、メイン基板61は、静音モードにおいて、ファン駆動用モータ62と電源64を直列接続にするために、切替素子71が電路73の一端である接点cと接続するように切替素子71の接続先を切替える。これにより、ファン駆動用モータ62と電源64は、直列接続となる。
【0049】
同様に、メイン基板61は、静音モードにおいて、ファン駆動用モータ63と電源64を直列接続にするために、切替素子72が電路73の接点dと接続するように切替素子72の接続先を切替える。これにより、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64は、図6に示すように直列接続された状態で、コンデンシングユニットが運転する。
【0050】
このように、静音化制御が実行され、コンデンシングユニットが通常モードから静音モードに切替わると、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64の接続状態は、並列接続から直列接続へと切替わる。
そして、コンデンシングユニットを静音モードで運転することにより、すなわち、複数のファン駆動用モータ62,63と電源64の接続状態を直列接続に切替えることにより、例えば、コンデンシングユニットが備えるファン駆動用モータの数が2つである場合には、各ファン駆動用モータの印加電圧を通常モードの印加電圧に対して50%の値に制限することができる。
【0051】
また、本実施形態における切替素子71,72は、互いに他方の接続状態に対応して、いずれの節点と接続されるかが決められていてもよい。例えば、図5に示すように、切替素子71が接点aと接続される場合は、切替素子72は接点bと接続される。また、図6に示すように、切替素子71が電路73の一端である接点cと接続される場合は、切替素子72は電路73の一端である接点dと接続される。
【0052】
(蓄電部の充電時に実行される場合)
以下に、静音化制御が実行される他の条件を説明する。
輸送用冷凍車両1の停車時において、輸送用冷凍車両1のエンジンは停止しているが、収納庫3内の冷却は継続して行う必要があるため輸送用冷凍機5は運転し続ける。この際、輸送用冷凍機5は、輸送用冷凍車両1が備える蓄電部(不図示)から供給される電力によって運転する。
【0053】
そこで、輸送用冷凍車両1の走行時において、蓄電部は、輸送用冷凍車両1が備えるオルタネータによって発電される電力によって充分に充電されることが求められる。冷却対象を輸送する場合において、収納庫3内及びコンデンシングユニット10が備える電装部品を冷却するためにファン駆動用モータ62,63の運転も継続する必要がある。しかしながら、外気温が低い季節や時間帯においては、ファン駆動用モータ62,63の出力能力を高くせずとも、収納庫3内及びコンデンシングユニット10が備える電装部品を冷却することができる場合がある。
【0054】
このような場合、制御部26は、収納庫3内及びコンデンシングユニット10が備える電装部品の冷却よりも、輸送用冷凍車両1が備える蓄電部の充電を優先的に行うために静音化制御を実行する。静音化制御を実行することにより、ファン駆動用モータ62,63の出力能力が制限されるため、輸送用冷凍車両1が備えるオルタネータによって発電された電力のうち、ファン駆動用モータ62,63を駆動するための電力量を低減し、蓄電部を充電するための電力量を増加することができる。
【0055】
このように、静音化制御を行うことにより、ファン駆動用モータ62,63を駆動するために必要な電力量が低減されるため、収納庫3内及びコンデンシングユニット10が備える電装部品を冷却するとともに、ファン駆動用モータ62,63へ供給する必要がなくなった電力によって蓄電部を充電することができる。
【0056】
(デフロスト運転時に実行される場合)
上述の静音化制御は、例えば、デフロスト運転時に実行される。
輸送用冷凍機5が長時間に亘って冷却運転を行うと、凝縮器13にフロストが発生し、輸送用冷凍機5の運転効率が低下してしまう。そのため、凝縮器13に発生したフロストを除去するために、デフロスト制御を行う必要がある。デフロスト制御では、凝縮器13を冷却することを一時的に停止する。すなわち、複数のファン駆動用モータ62,63の各出力能力を通常モードよりも低減することができる。
【0057】
このような場合に、制御部26は、静音化制御を実行し、切替素子71、72の接続状態を切替えることにより、複数のファン駆動用モータ62,63の出力能力を通常モード時よりも低減するように制御する。これにより、収納庫3内の輸送対象の温度及び品質を維持するとともに、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0058】
(収納庫内の暖房時に実行される場合)
上述の静音化制御は、例えば、収納庫3内の暖房時(加温制御時)に実行される。
例えば、収納庫3内の温度を冷却する必要がない場合、又は、収納庫3内の温度を上昇させたい場合には、凝縮器13を冷却する必要がないため、複数のファン駆動用モータ62,63の各出力能力を低減することができる。
【0059】
このような場合に、制御部26は、静音化制御を実行し、切替素子71、72の接続状態を切替えることにより、複数のファン駆動用モータ62,63の出力能力を通常モード時よりも低減するように制御する。これにより、収納庫3内の輸送対象の温度及び品質を維持するとともに、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0060】
(低負荷冷却運転時に実行される場合)
上述の静音化制御は、例えば、低負荷冷却運転時に実行される。
例えば、収納庫内の温度を維持するだけの場合には、凝縮器13を冷却するための複数のファン駆動用モータ62,63の出力能力は、収納庫内の温度を下げる場合よりも低くてもよい。
【0061】
このような場合に、制御部26は、静音化制御を実行し、切替素子71、72の接続状態を切替えることにより、複数のファン駆動用モータ62,63の出力能力を通常モード時よりも低減するように制御する。これにより、収納庫3内の輸送対象の温度及び品質を維持するとともに、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0062】
(時間条件に基づいて実行される場合)
上述の静音化制御は、例えば、時間条件に基づいて実行される。
制御装置20は、現在の時刻、コンデンシングユニットの連続運転時間、累積運転時間等の時間情報を計時する計時部27と、静音化制御を実行するための時間条件が記憶されている記憶部28とを備えていてもよい。
そして、制御部26は、計時部27によって計時された時間情報が記憶部28に記憶された時間条件に該当する場合に、静音化制御を実行する。
【0063】
例えば、記憶部28に記憶される時間条件は、時刻19:00~翌日7:00の間の夜間の時間帯において輸送用冷凍車両1を停車する場合に静音化制御を実行することを条件とする。そして、計時部27によって計時された現在の時刻が時間条件の該時間帯の範囲内であれば、制御部26は、輸送用冷凍車両1の停車時において静音化制御を実行する。
【0064】
このように、制御部26は、静音化制御を実行すべき時間条件が予め記憶部28に記憶されていることにより、計時部27によって計時された時間情報が時間条件に該当する場合に、静音化制御を実行する。これにより、静音化制御をより適切なタイミングで実行し、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0065】
(位置条件に基づいて実行される場合)
上述の静音化制御は、例えば、位置条件に基づいて実行される。
例えば、制御部26は、輸送用冷凍車両の位置情報を遠隔地に存在する指令装置へ送信する送信部29aと、指令装置から送信される輸送用冷凍車両の位置情報に基づくコンデンシングユニット10の制御指令を受信する受信部29bとを備えていてもよい。
そして、制御部26は、指令装置からの制御指令に基づいて、静音化制御を実行するか否かを決定する。
【0066】
例えば、指令装置は、制御装置20の送信部29aから送信された輸送用冷凍車両1の位置情報に基づいて輸送用冷凍車両1が住宅街を走行又は停車していると判断した場合、静音化制御を実行する指令を含む制御指令を制御装置20の受信部29bへ送信する。そして、制御部26は、該制御指令に基づいて静音化制御を実行する。
【0067】
このように、制御部26は、コンデンシングユニットの静音化がより求められる環境下において輸送用冷凍車両1が走行又は停車する場合に、遠隔地に存在する指令装置へ送信された輸送用冷凍車両1の位置情報に基づく制御指令に基づいて、静音化制御を実行する。これにより、静音化制御をより適切なタイミングで実行し、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0068】
上述の例の他に、ユーザの入力指令に応じて、上述の静音化制御を実行してもよい。また、静音化制御を実行するための時間条件や位置条件は、ユーザによって適宜設定されてもよい。
【0069】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
制御部26(メイン基板61)は、輸送用冷凍車両1の運転条件及び輸送用冷凍機5の運転条件に基づいて、輸送用冷凍機5が備えるコンデンシングユニット10のファン駆動用モータ62,63を低出力で駆動しても問題が生じない場合には、静音化制御を実行する。静音化制御が実行されることにより、ファン駆動用モータ62,63と電源64の接続状態が、並列接続(通常モード)から直列接続(静音モード)へと変更される。すなわち、静音化制御が実行された静音モードにおいては、ファン駆動用モータ62,63の出力能力を最大出力の50%以下で駆動するように制限することができる。これにより、コンデンシングユニット10の静音化、電装部品の放熱、輸送対象への冷却能力の維持を実現することができる。
【0070】
また、制御部26は、輸送用冷凍車両1が備える蓄電部の充電時において、静音化制御を実行することができる。この場合、輸送用冷凍車両1の走行時においてオルタネータによって発電される電力のうち、コンデンシングユニット10の運転に使用される電力を減し、蓄電部の充電を優先的に行うことができる。これにより、電力消費の効率化を図ることができる。
【0071】
また、制御装置20は、計時部27と、記憶部28を備えていてもよい。この場合、制御部26は、現在の時刻と輸送用冷凍機5に関連する時間情報に基づいて、静音化制御を実行することができる。制御部26は、計時部27によって計時された時間情報が、記憶部28に記憶されている静音化制御を実行するための条件(例えば、夜間の時間帯)に該当する場合に、静音化制御を実行する。これにより、制御部は、静音化制御をより適切なタイミングで実行し、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0072】
また、制御装置20は、輸送用冷凍車両1の位置情報を遠隔地の指令装置へ送信する送信部29aと、指令装置から送信される輸送用冷凍車両1の位置情報に基づくコンデンシングユニット10の制御指令を受信する受信部29bを備えていてもよい。この場合、制御部26は、指令装置から送信されるコンデンシングユニット10の制御指令(例えば、住宅街に位置する場合は静音化制御を実行する指令)に基づいて、静音化制御を実行することができる。これにより、制御部は、静音化制御をより適切なタイミングで実行し、コンデンシングユニット10から発生する音を低減することができる。
【0073】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0074】
上述した実施形態に記載のコンデンシングユニットの制御装置、これを備えた輸送用冷凍装置及びコンデンシングユニットの制御方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るコンデンシングユニット(10)の制御装置(20)は、輸送用冷凍装置(5)で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサ(11)と、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器(13)を有するとともに、該凝縮器に送風する複数のファン駆動用モータ(62,63)が設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両(1)に用いられるコンデンシングユニットの制御装置において、前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫(3)内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する制御部(26,61)を備える。
【0075】
本開示に係るコンデンシングユニットの制御装置によれば、制御部は、コンプレッサの停止時、デフロスト運転時、収納庫内の加温運転時又はコンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合において、複数のファン駆動用モータの出力を最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する。例えば、輸送用冷凍車両が目的地に到着し、輸送用冷凍車両のエンジンを停止する場合、輸送用冷凍車両を原因とする音の発生を低減することが求められる。一方、このような状況においても、輸送対象の品質を維持するために輸送対象の冷却を継続する必要がある。このような場合に、制御部が、複数のファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御することにより、コンデンシングユニットの静音化、電装部品の放熱、輸送対象への冷却能力の維持を実現することができる。また、輸送対象の品質維持を低負荷で行ことができるため、電力消費の効率化を図ることができる。
【0076】
本開示の第2態様に係るコンデンシングユニット(10)の制御装置(20)は、前記第1態様において、前記コンデンシングユニットは、複数の前記ファン駆動用モータに電力を供給する電源(64)と、複数の前記ファン駆動用モータのそれぞれと、前記電源との接続状態を切替える複数の切替素子(71,72)とをさらに備え、前記制御部は、前記静音化制御の実行時において、前記切替素子の接続状態を制御する。
【0077】
本開示に係るコンデンシングユニットの制御装置によれば、コンデンシングユニットは、ファン駆動用モータの他に、電源と、各ファン駆動用モータの接続状態を切替える複数の切替素子をさらに備え、制御部は、各切替素子を制御することにより、静音化制御の実行時にファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転することができる。例えば、切替素子は、リレー素子であり、複数のファン駆動用モータのそれぞれと電源との各接続状態を並列接続又は直列接続のいずれかに切替える。例えば、制御部は、静音化制御を実行しない場合には、複数のファン駆動用モータのそれぞれと電源とが並列接続となるように各切替素子を制御する。また、制御部は、静音化制御を実行する場合には、複数のファン駆動用モータのそれぞれと電源とが直列接続となるように各切替素子を制御することにより、複数のファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する。このように、制御部が各切替素子の接続状態を制御することにより、静音化制御を実行する場合において、各ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転することを簡便に行うことができる。これにより、コンデンシングユニットの静音化、電装部品の放熱、輸送対象への冷却能力の維持を実現することができる。また、輸送対象の品質維持を低負荷な制御で行ことができるため、電力消費の効率化を図ることができる。
【0078】
本開示の第3態様に係るコンデンシングユニット(10)の制御装置(20)は、前記第1態様又は前記第2態様において、前記輸送用冷凍車両は、車両走行時のエネルギーを用いて発電を行うオルタネータと、前記オルタネータによって発電された電力によって充電される蓄電部とを備え、前記第1条件には、前記蓄電部へ充電する場合を含み、前記制御部は、前記蓄電部へ充電する場合に、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する。
【0079】
本開示に係るコンデンシングユニットの制御装置によれば、第1条件には、蓄電部を充電する場合を含み、制御部は、蓄電部へ充電する場合において、静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する。これにより、輸送用冷凍車両の走行時においてオルタネータによって発電される電力のうち、コンデンシングユニットの運転に使用される電力を低減し、蓄電部の充電を優先的に行うことができる。これにより、電力消費の効率化を図ることができる。
【0080】
本開示の第4態様に係るコンデンシングユニット(10)の制御装置(20)は、前記第1態様から前記第3態様のいずれかにおいて、現在の時刻及び前記コンデンシングユニットに関する時間情報を計時する計時部(26)と、前記静音化制御を実行するための時間条件を記憶した記憶部(27)とを備え、前記制御部は、前記時間情報と前記時間条件に基づいて、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する。
【0081】
本開示に係るコンデンシングユニットの制御装置によれば、制御部は、計時部によって計時された時間情報と記憶部に予め記憶された静音化制御を実行するための時間条件に基づいて、静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する。ここで、時間情報とは、例えば、コンデンシングユニットの連続運転時間、累積運転時間等である。また、時間条件は、例えば、時刻19:00~翌日7:00の間は夜間であると予め設定されている条件である。そして、制御部は、計時部によって計時された時刻が時間条件に設定された該時間帯である場合において輸送用冷凍車両を停止する際に、静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する。これにより、制御部は、静音化制御をより適切なタイミングで実行し、コンデンシングユニットから発生する音を低減することができる。
【0082】
本開示の第5態様に係るコンデンシングユニット(10)の制御装置(20)は、前記第1態様から前記第4態様のいずれかにおいて、輸送用冷凍車両の位置情報を遠隔地に存在する指令装置へ送信する送信部(28)と、前記指令装置から送信される前記位置情報に基づく前記コンデンシングユニットの制御指令を受信する受信部(29)とを備え、前記制御部は、前記制御指令に基づいて、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する。
【0083】
本開示に係るコンデンシングユニットの制御装置によれば、制御部は、遠隔地に存在する指令装置へ輸送用冷凍車両の位置情報を送信する。さらに、制御部は、指令装置から送信される輸送用冷凍車両の位置情報に基づく制御指令によって、静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する。例えば、制御部は、輸送用冷凍車両の位置情報を指令装置に送信し、指令装置は、輸送用冷凍車両の位置情報に基づいて輸送用冷凍車両が住宅街を走行していると判断した場合、該判断結果に対応した制御指令を制御装置へ送信する。そして、該制御指令を受信した制御部は、輸送用冷凍車両を住宅街で停止する際に、静音化制御を実行するようにコンデンシングユニットを制御する。これにより、制御部は、静音化制御をより適切なタイミングで実行し、コンデンシングユニットから発生する音を低減することができる。
【0084】
本開示の第6態様に係る輸送用冷凍装置は、前記第1態様から前記第5態様のいずれかのコンデンシングユニットの制御装置を備える。
【0085】
本開示の第7態様に係るコンデンシングユニットの制御方法は、輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風する複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御方法であって、前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する。
【符号の説明】
【0086】
1 輸送用冷凍車両
2 トラクタ
3 収納庫
4 エバポレータユニット
5 輸送用冷凍機
10 コンデンシングユニット
11 圧縮機
13 凝縮器
14 膨張弁
15 アキュムレータ
16 蒸発器
17,18 ファン
20 制御装置
21 CPU
22 補助記憶装置
23 主記憶装置
24 通信インターフェース
25 入出力部
26 制御部
27 計時部
28 記憶部
29a 送信部
29b 受信部
30 バス
60 回路
61 メイン基板
62,63 ファン駆動用モータ
64 電源
70 接続切替部
71,72 切替素子
73 電路
74 リレーコイル
a,b,c,d 接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御装置において、
輸送用冷凍車両の位置情報を遠隔地に存在する指令装置へ送信する送信部と、
前記指令装置から送信される前記位置情報に基づく前記コンデンシングユニットの制御指令を受信する受信部と
前記制御指令に基づいて、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する制御部と、
を備えるコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コンプレッサを停止する場合、デフロスト運転をする場合、収納庫内の加温運転をする場合又は前記コンデンシングユニットの出力を所定値以下で運転する場合のいずれかの条件である第1条件に該当する場合に、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項3】
前記コンデンシングユニットは、
複数の前記ファン駆動用モータに電力を供給する電源と、
複数の前記ファン駆動用モータのそれぞれと、前記電源との接続状態を切替える複数の切替素子と
をさらに備え、
前記制御部は、前記静音化制御の実行時において、前記切替素子の接続状態を制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項4】
前記輸送用冷凍車両は、車両走行時のエネルギーを用いて発電を行うオルタネータと、前記オルタネータによって発電された電力によって充電される蓄電部と
を備え、
前記制御部は、前記蓄電部へ充電する場合に、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項5】
現在の時刻及び前記コンデンシングユニットに関する時間情報を計時する計時部と、
前記静音化制御を実行するための時間条件を記憶した記憶部と
を備え、
前記制御部は、前記時間情報と前記時間条件に基づいて、前記静音化制御を実行するように前記コンデンシングユニットを制御する請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載のコンデンシングユニットの制御装置を備えた輸送用冷凍装置。
【請求項7】
輸送用冷凍装置で用いられる冷媒を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有するとともに、該凝縮器に送風するための複数のファン駆動用モータが設けられたコンデンシングユニットとを備えた輸送用冷凍車両に用いられるコンデンシングユニットの制御方法であって、
輸送用冷凍車両の位置情報を遠隔地に存在する指令装置へコンピュータが送信する送信工程と、
前記指令装置から送信される前記位置情報に基づく前記コンデンシングユニットの制御指令を前記コンピュータが受信する受信工程と、
前記制御指令に基づいて、複数の前記ファン駆動用モータを最大出力の50%以下で運転する静音化制御を実行するように前記コンピュータが前記コンデンシングユニットを制御する制御工程と
を有するコンデンシングユニットの制御方法。