(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085641
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ボルト軸力の推定システム
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20240620BHJP
F16B 31/02 20060101ALI20240620BHJP
F16B 35/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01L5/00 103B
F16B31/02 Z
F16B35/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200264
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】川下 道宏
(72)【発明者】
【氏名】澤田 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 行平
(72)【発明者】
【氏名】白濱 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】小村 昭義
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA06
2F051AB03
(57)【要約】
【課題】簡便で高精度にボルト締結部のボルト軸力を推定することができるシステムを提供する。
【解決手段】本発明によるボルト軸力の推定システムは、第1の撮影距離Dでマスターボルト15の頭頂面を撮影した第1の画像と、第2の撮影距離(D+ΔD)でマスターボルト15の頭頂面を撮影した第2の画像を用いて、マスターボルト15の見かけひずみの分布を取得する第1分析部と、第1の撮影距離Dで推定対象ボルト17の頭頂面を撮影した第3の画像と、第2の撮影距離(D+ΔD)で推定対象ボルト17の頭頂面を撮影した第4の画像を用いて、推定対象ボルト17の見かけひずみの分布を取得する第2分析部と、これらの見かけひずみの分布の差分から、推定対象ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布を取得する第3分析部と、このたわみ量の変化δiの分布を用いて、推定対象ボルト17のボルト軸力を推定する第4分析部とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮影距離でマスターボルトの頭頂面をカメラで撮影した第1の画像と、前記第1の撮影距離と異なる第2の撮影距離で前記マスターボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第2の画像を用いて、前記マスターボルトの見かけひずみの分布を取得する第1分析部と、
前記第1の撮影距離で推定対象ボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第3の画像と、前記第2の撮影距離で前記推定対象ボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第4の画像を用いて、前記推定対象ボルトの前記見かけひずみの分布を取得する第2分析部と、
前記マスターボルトの前記見かけひずみの分布と、前記推定対象ボルトの前記見かけひずみの分布との差分から、前記推定対象ボルトの頭頂面でのたわみ量の変化の分布を取得する第3分析部と、
前記推定対象ボルトの頭頂面での前記たわみ量の変化の分布を用いて、前記推定対象ボルトのボルト軸力を推定する第4分析部と、
を有するボルト軸力の推定システム。
【請求項2】
前記マスターボルト及び前記推定対象ボルトは、被締結体を締結するボルトであり、
前記第1の撮影距離は、前記カメラから前記被締結体の表面までの距離である請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項3】
前記第1の画像、前記第2の画像、前記第3の画像及び前記第4の画像は、ボルトの頭頂面の真上に配置された前記カメラで撮影されたものである請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項4】
前記第1の画像、前記第2の画像、前記第3の画像及び前記第4の画像は、ボルトの頭頂面の斜め上方に配置された前記カメラで撮影されたものである請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項5】
前記マスターボルト及び前記推定対象ボルトの頭頂面に、輝度が変化するように描かれた不規則な模様であるランダムパターンを有する請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項6】
前記第1の撮影距離と前記第2の撮影距離を変えて複数回の撮影を行い、
複数の前記第3の画像と前記第4の画像から求めた、前記たわみ量の変化の平均値を用いて前記推定対象ボルトのボルト軸力を推定する請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項7】
第1分析部及び第2分析部は、デジタル画像相関法を用いた画像分析により、前記見かけひずみの分布を取得する請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項8】
前記第1の撮影距離をDとし、
前記第2の撮影距離を(D+ΔD)とすると、
前記見かけひずみεは、下記の式(1)で表される、
請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【数1】
【請求項9】
前記推定対象ボルトの頭頂面での位置をiで表し、
前記第1の撮影距離をDiとし、
前記第2の撮影距離を(Di+ΔD)とし、
前記マスターボルトに対する前記見かけひずみ分布と前記推定対象ボルトに対する前記見かけひずみ分布との差分をΔεとすると、
前記たわみ量の変化δiは、下記の式(2)で表される、
請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【数2】
【請求項10】
前記第4分析部は、前記推定対象ボルトの頭頂面に発生する単位軸力あたりの前記たわみ量の分布を、前記推定対象ボルトの頭頂面での前記たわみ量の変化の分布にフィッティングし、前記推定対象ボルトの軸力の変化求めることで、前記推定対象ボルトのボルト軸力を推定する請求項1に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項11】
前記推定対象ボルトの頭頂面に発生する単位軸力あたりの前記たわみ量の分布は、前記マスターボルトについて有限要素法による応力解析を実施して得られるものである請求項10に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項12】
第1の撮影距離で推定対象ボルトの頭頂面をカメラで撮影した第1の画像と、前記第1の撮影距離と異なる第2の撮影距離で前記推定対象ボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第2の画像を用いて、前記推定対象ボルトの見かけひずみの分布を取得する見かけひずみ分布取得部と、
前記推定対象ボルトの前記見かけひずみの分布と、マスターボルトの前記見かけひずみの分布と、前記マスターボルトの軸力情報に基づいて、前記推定対象ボルトの軸力を推定する軸力推定部と、
を有するボルト軸力の推定システム。
【請求項13】
前記マスターボルトの前記見かけひずみの分布を予め記憶する記憶部を有し、
前記軸力推定部は、前記記憶部から前記マスターボルトの前記見かけひずみの分布を読み込んで取得する、
請求項12に記載のボルト軸力の推定システム。
【請求項14】
前記軸力推定部は、前記推定対象ボルトの前記見かけひずみの分布と、前記マスターボルトの前記見かけひずみの分布との差分から取得する前記推定対象ボルトの頭頂面でのたわみ量の変化の分布を用いて、前記推定対象ボルトのボルト軸力を推定する
請求項13に記載のボルト軸力の推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトの軸力を推定するシステムに関し、特に機械構造物のボルト締結部でのボルト軸力を推定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械構造物の主要な接合技術の1つであるボルト締結は、溶接など他の接合技術よりも接合コストを抑えることができ、分解が容易でメンテナンス性に優れるといった特徴がある。一般に、ボルトの軸力は、ボルトの締結後に時間とともに変化する。近年では、機械構造物の信頼性を高めることを目的として、製造や保守のタイミングで、ボルト軸力をボルトごとに管理する必要性が増している。
【0003】
ボルト軸力を管理する方法として、ボルトのサイズや強度区分に合わせて締付けトルクを管理するトルク管理法が一般的である。しかし、トルク管理法では、締付けトルクと軸力の関係に摩擦が影響するため、軸力の推定誤差が30%程度と比較的大きい。ボルト軸力の変動を定量化する方法には、ひずみゲージをボルトに埋め込んだボルトゲージで軸力を測定する方法や、ボルトの伸び量を超音波で測定して軸力を計算する方法がある。しかし、これらの方法が量産製品のボルトの軸力管理に適用された事例は多くない。この理由として、測定に必要な機材や作業コストの増大が見込まれることが挙げられる。このため、簡便な方法で高精度にボルトの軸力を推定する技術の開発が望まれてきた。
【0004】
このような技術開発のニーズから、例えば特許文献1に記載されているように、デジタル画像相関法(DIC:Digital Image Correlation)を用いた画像分析によるボルト軸力の推定技術が提案されている。この技術では、ボルトの締付け前後のボルト頭頂面の画像を取得し、画像分析によってボルト頭頂面のひずみ分布を求めてボルト軸力を推定する。DICを用いた画像分析を利用すると、一般的な2次元カメラでボルト頭頂面を撮影するだけでボルト軸力を推定でき、簡便で高精度に軸力を推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1に記載されている技術など、DICを用いた従来のボルト軸力の推定技術では、ボルト軸力を推定するためには、ボルトの締付け前のボルト頭頂面の画像を取得しておく必要がある。このため、ボルトの締付け前の画像が存在しない場合には、ボルト軸力を推定することができないという課題がある。特に、締付け前の画像を撮影せずにボルトが締結された既設のボルトに対しては、ボルト軸力を推定できず、ボルトの軸力管理が困難である。そこで、ボルトの締付け前のボルト頭頂面の画像を使わずに、DICを用いて簡便で高精度にボルト締結部のボルト軸力を推定できる技術が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、簡便で高精度にボルト締結部のボルト軸力を推定することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるボルト軸力の推定システムは、第1の撮影距離でマスターボルトの頭頂面をカメラで撮影した第1の画像と、前記第1の撮影距離と異なる第2の撮影距離で前記マスターボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第2の画像を用いて、前記マスターボルトの見かけひずみの分布を取得する第1分析部と、前記第1の撮影距離で推定対象ボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第3の画像と、前記第2の撮影距離で前記推定対象ボルトの頭頂面を前記カメラで撮影した第4の画像を用いて、前記推定対象ボルトの前記見かけひずみの分布を取得する第2分析部と、前記マスターボルトの前記見かけひずみの分布と、前記推定対象ボルトの前記見かけひずみの分布との差分から、前記推定対象ボルトの頭頂面でのたわみ量の変化の分布を取得する第3分析部と、前記推定対象ボルトの頭頂面での前記たわみ量の変化の分布を用いて、前記推定対象ボルトのボルト軸力を推定する第4分析部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、簡便で高精度にボルト締結部のボルト軸力を推定することができるシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】被写体の真上からカメラで被写体を撮影する状況を示す、正面から見た模式図である。
【
図2】真上からカメラで撮影される被写体を示す、上面から見た模式図である。
【
図3】被写体の斜め上方からカメラで被写体を撮影する状況を示す、正面から見た模式図である。
【
図4】本発明の実施例1によるボルト軸力の推定システムが実行する処理を示すブロック図である。
【
図5】カメラで撮影されるマスターボルトを示す模式図である。
【
図6】マスターボルトの頭頂面での見かけひずみの分布の例を示す模式図である。
【
図7】カメラで撮影される既設ボルトを示す模式図である。
【
図8】既設ボルトの頭頂面での見かけひずみの分布の例を示す模式図である。
【
図9】既設ボルトの頭頂面でのたわみ量の変化の分布の例を示す模式図である。
【
図10】計算装置が実施する応力解析の解析モデルの例を示す図である。
【
図11】単位軸力を与えた応力解析で得られた、ボルトの頭頂面でのたわみ量の分布と、規定軸力を与えた応力解析で得られた、ボルトの頭頂面でのたわみ量の分布の例を示す模式図である。
【
図12】単位軸力あたりのたわみ量の分布を、既設ボルトの頭頂面でのたわみ量の変化の分布に一致させるフィッティングを示す図である。
【
図13】本発明の実施例2によるボルト軸力の推定システムが実行する処理を示すブロック図である。
【
図14】計算装置が実施する応力解析の解析モデルの例を示す図である。
【
図15】マスターボルトの頭頂面での見かけひずみの分布の例を示す模式図である。
【
図16】本発明の実施例1によるボルト軸力の推定システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるボルト軸力の推定システムは、例えば風車タワーなどの機械構造物において、デジタル画像相関法(DIC:Digital Image Correlation)を用いて、ボルト締結部のボルトの軸力を簡便で高精度に推定する。本発明によると、ボルトの締付け前のボルト頭頂面の画像を使わずに、DICを用いた画像分析によってボルト締結部のボルト軸力を推定することができる。このため、例えば、締付け前の画像を撮影せずにボルトが締結された既設のボルトなど、締付け前の画像が存在しないボルトに対しても、DICを用いてボルト軸力を推定することができる。
【0012】
はじめに、本発明において重要な「見かけひずみ」について説明する。
【0013】
図1と
図2は、カメラ1で被写体4を撮影する状況を示した模式図であり、カメラ1から被写体4までの撮影距離を変化させて撮影する状況を示している。
図1は、被写体4の真上からカメラ1で被写体4を撮影する状況を示す、正面から見た模式図である。
図2は、真上からカメラ1で撮影される被写体4を示す、上面から見た模式図である。
【0014】
図1と
図2には、カメラ1からの撮影距離がDの位置にある被写体4が、カメラ1から離れるように距離ΔDだけ移動した状況を示している。すなわち、被写体4は、移動してカメラ1からの撮影距離が変化し、撮影距離Dが変化量ΔDだけ長くなっている。なお、
図1と
図2において、撮影距離が変化する前の被写体4を符号4aで示し、撮影距離が変化した後の被写体4を符号4bで示している。
図2の左側の図は、撮影距離が変化する前の被写体4aを撮影した画像に対応し、
図2の右側の図は、撮影距離が変化した後の被写体4bを撮影した画像に対応する。
【0015】
カメラ1は、2次元画像を撮影する一般的なカメラ(2次元カメラ)である。
図1と
図2には、一例として、板状の被写体4を示している。被写体4の表面には、被写体4に対してDICを用いた画像分析が実行できるように、ランダムパターンが形成されている。なお、被写体4の大きさとは、例えば、被写体4の一辺の長さや径である。
【0016】
なお、カメラ1から被写体4までの撮影距離は、被写体4とカメラ1の一方又は両方を移動させることで、変化させることができる。また、カメラ1から被写体4までの撮影距離は、長くなるように変化させても、短くなるように変化させてもよい。以下の説明では、被写体4が移動し、カメラ1から被写体4までの撮影距離が長くなるように変化した例を説明する。
【0017】
図1に示すように、カメラ1から被写体4までの撮影距離Dが変化量ΔDだけ長くなったとする。(撮影距離Dが短くなった場合には、変化量ΔDが負の値を持つ。)
すると、
図2に示すように上面から見ると、すなわちカメラ1が撮影した画像では、撮影距離の変化にともなって、撮影距離が変化した後の被写体4bは、撮影距離が変化する前の被写体4aよりも大きさが小さくなったように見える。(撮影距離Dが短くなった場合には、被写体4bは、被写体4aよりも大きさが大きくなったように見える。)
撮影距離が変化する前の被写体4aと変化した後の被写体4bをカメラ1で撮影してDICを用いた画像分析を行うと、この画像分析では、被写体4aが圧縮されて被写体4bになった(すなわち、圧縮ひずみにより被写体4の大きさが小さくなった)と判断されて、ひずみ5が出力される。このひずみ5は、被写体4の変形を伴わない見かけ上のひずみであるため、本明細書では「見かけひずみ」と呼ぶ。なお、ひずみ5は、撮影距離Dが長くなった場合は圧縮ひずみであり、撮影距離Dが短くなった場合は引張ひずみである。
【0018】
図1と
図2を用いて、撮影距離と見かけひずみの関係を導出する。見かけのひずみは、上述したように、カメラ1の撮影距離がDから(D+ΔD)に変化したことにより、撮影距離Dで撮影した画像と撮影距離(D+ΔD)で撮影した画像とで、被写体4の大きさが変化したことを表す量である。
【0019】
撮影距離Dが変化量ΔDだけ変化したとき、すなわち撮影距離が(D+ΔD)のときに撮影した画像(
図2の右側の図)では、撮影距離がDの位置に被写体4aがあるとすると、この被写体4a(すなわち、撮影距離が変化する前の被写体4a)は、被写体6のように見える(
図1、
図2)。以下では、この被写体6を、見かけ上の被写体6と呼ぶ。
【0020】
図1に示す幾何学的な関係から、撮影距離Dと被写体4の大きさ(例えば、被写体4の一辺の長さ)で決まる定数aを用いると、撮影距離が変化した後の被写体4bの位置では(すなわち、撮影距離が変化した後にカメラ1が撮影した画像では)、見かけ上の被写体6の大きさは、a(D+ΔD)となり、撮影距離が変化した後の被写体4bの大きさは、aDとなる。これらの大きさをひずみの定義式に代入すると、見かけひずみεは、式(1)によって求められる。
【0021】
【0022】
以上の説明では、被写体4の真上からカメラ1で被写体4を撮影する例(
図1)について説明した。被写体4は、斜め上方から撮影してもよい。以下では、被写体4の斜め上方からカメラ1で被写体4を撮影する例について説明する。
【0023】
図3は、被写体4の斜め上方からカメラ1で被写体4を撮影する状況において、
図1と同様に、カメラ1から被写体4までの撮影距離を変化させて撮影する状況を示す、正面から見た模式図である。
【0024】
図3に示すように、カメラ1の撮影軸から被写体4の両端部までの角度をα、βとすると、
図3に示す幾何学的な関係から、撮影距離が変化した後の被写体4bの位置では(すなわち、撮影距離が変化した後にカメラ1が撮影した画像では)、見かけ上の被写体6の大きさは、(D+ΔD)(tan(α+β)-tanβ)となり、撮影距離が変化した後の被写体4bの大きさは、D(tan(α+β)-tanβ)となる。これらの大きさをひずみの定義式に代入すると、見かけひずみεは、式(2)によって求められる。
【0025】
【0026】
式(1)と式(2)より、カメラ1が被写体4の真上に位置しても斜め上方に位置しても、見かけひずみεは、撮影距離Dと撮影距離の変化量ΔDを用いて求めることができる。
【0027】
本発明では、このようにして求めた見かけひずみεを用いて、ボルト軸力を推定する。
【0028】
以下、本発明の実施例によるボルト軸力の推定システムを、図面を参照して説明する。
【実施例0029】
本発明の実施例1によるボルト軸力の推定システムを、図面を参照して説明する。
【0030】
図16は、本実施例によるボルト軸力の推定システム10の構成を示す模式図である。本実施例によるボルト軸力の推定システム10は、カメラ1と、計算装置2を備える。カメラ1は、2次元画像を撮影するカメラ(2次元カメラ)である。作業員は、例えば、カメラ1を三脚などの撮影治具で固定して、被写体4を撮影する。計算装置2は、コンピュータなどの計算機で構成することができ、演算処理部と記憶部を備える。計算装置2は、本実施例によるボルト軸力の推定システム10が実行する処理を実行し、ボルト軸力を推定する対象となるボルト(対象ボルト)の軸力を推定する。
【0031】
図4は、本実施例によるボルト軸力の推定システム10が実行する処理を示すブロック図である。
図4において、ボルト軸力を推定する主要な工程(S3~S5、S7~S8)が左側の列に記載されており、ボルト軸力を推定するまでに完了しておく工程(S1~S2、S6)が右側の列に記載されている。本実施例による推定システム10は、S1~S2とS6の工程を、ボルト軸力を初めて推定する前に実行しておけば、次回以降にボルト軸力を推定するときには実行しなくてもよい。
【0032】
以下、本実施例によるボルト軸力の推定システム10がボルト軸力を推定する処理について、
図4を参照して説明する。
図4に示す処理において、カメラ1は、2次元画像を撮影し、計算装置2の演算処理部は、演算処理と画像処理を行い、計算装置2の記憶部は、カメラ1が撮影した画像、演算処理部の計算結果、及び演算処理部の計算に必要なデータなどを記憶する。演算処理部は、後述する、第1分析部と第2分析部と第3分析部と第4分析部を備える。第1分析部と第2分析部は、見かけひずみεの分布を取得する見かけひずみ分布取得部であり、第3分析部と第4分析部は、ボルト軸力を推定する対象となるボルト(推定対象ボルト)の軸力を推定する軸力推定部である。
【0033】
本実施例による推定システム10は、ボルト軸力を推定する前に、マスターボルトの頭頂面での見かけひずみεの分布を導出する(工程S1~S2)。以下では、見かけひずみεの分布のことを「見かけひずみ分布」とも呼ぶ。
【0034】
マスターボルトとは、基準となる軸力を持つボルトのことであり、例えば、締結後の軸力が計測や解析などにより既知のボルトのことである。例えば、ボルトの首下に90度間隔で4枚のひずみゲージを貼り、これら4枚のひずみゲージの計測値を平均化して曲げ成分をキャンセルすることにより、ボルトの軸力を求めることができる。
【0035】
図5を用いて、工程S1を説明する。
図5は、カメラ1で撮影されるマスターボルト15を示す模式図である。カメラ1の被写体4は、マスターボルト15である。マスターボルト15は、被締結体20を締付けているとする。
【0036】
マスターボルト15の頭頂面には、ランダムパターンが描かれている。ランダムパターンとは、被写体の輝度を変えて、被写体の表面の位置を正確に把握できる画像が撮影できるように描かれた不規則な模様である。マスターボルト15の頭頂面に描かれたランダムパターンは、頭頂面の内部で輝度が変化するように描かれた任意の不規則な模様であり、例えば白地に黒点がランダムに描かれた模様である。ランダムパターンは、マスターボルト15の頭頂面に塗装などで描くことができ、例えば、頭頂面に黒色の塗料を噴射して塗布することで描くことができる。
【0037】
図4の工程S1は、マスターボルト15の頭頂面をカメラ1で撮影する工程である。まず、カメラ1は、被締結体20の表面から撮影距離D(
図5)の位置で、マスターボルト15の頭頂面を撮影し、マスターボルト15の頭頂面の画像を取得する。次に、カメラ1は、撮影距離をDから変化量ΔDだけ変化させた撮影距離(D+ΔD)の位置で、マスターボルト15の頭頂面を撮影し、マスターボルト15の頭頂面の画像を取得する。これら2回の撮影は、マスターボルト15の状態が変化しないうちに連続して行い、これら2回の撮影の間に、例えば振動や熱の影響を受けてボルト軸力が変化しないようにするのが好ましい。例えば、これら2回の撮影の間に、増し締め等のマスターボルト15に外力を与える作業は実施しない。
【0038】
撮影距離Dと撮影距離(D+ΔD)は、任意の距離に予め定めることができる。但し、撮影するときには、実際の撮影距離が予め定めた撮影距離D、(D+ΔD)と正確に一致する必要がある。このため、カメラ1は、マスターボルト15を撮影するときには、例えば撮影治具で固定されているのが好ましい。また、既に述べたように、カメラ1の位置は、マスターボルト15の頭頂面の真上であっても斜め上方であってもよい。
【0039】
図4の工程S2は、カメラ1が取得したマスターボルト15の頭頂面の画像から、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみ分布を導出する工程である。工程S2は、演算処理部の第1分析部が実行する。記憶部は、工程S2で導出した、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみ分布を記憶する。
【0040】
図5に示すように、マスターボルト15の頭頂面は、ボルト軸力によって中央部が最もたわむように変形している。このため、撮影距離は、頭頂面での位置によって異なる。本実施例では、マスターボルト15の頭頂面でのn個の位置iにおける撮影距離をDi(1≦i≦n)と表す。このn個の位置iは、例えば、マスターボルト15の頭頂面の中心を通る直線上である。
図5には、撮影距離D1、D2、D3、…Dnを示している。
【0041】
この撮影距離Diを用いると、DICを用いた画像分析によってマスターボルト15の頭頂面に発生する見かけひずみεbaseの分布は、式(1)に示した見かけひずみεを求める式から、式(3)で表すことができる。
【0042】
【0043】
ボルト頭頂面でのn個の位置iにおける撮影距離Di(1≦i≦n)は、有限要素法(FEM:Finite Element Method)による応力解析で求めることができる。応力解析では、例えば、マスターボルト15の軸力を与えて、マスターボルト15の頭頂面でのn個の位置iにおける頭頂面のたわみ量を求めることで、撮影距離Diを求めることができる。
【0044】
このようにして求めた撮影距離Di(1≦i≦n)と、撮影に用いた撮影距離の変化量ΔDを式(3)に代入することにより、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布を得ることができる。
【0045】
図6は、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布16の例を示す模式図である。
【0046】
なお、上述したように、本実施例による推定システム10は、工程S1とS2を一度だけ実施すればよく、このときに求めたマスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布16を、以後にボルト軸力を推定するときに使用することができる。
【0047】
次に、本実施例による推定システム10は、ボルト軸力を推定するボルトの頭頂面での見かけひずみ分布を導出する(
図4の工程S3~S4)。本実施例では、一例として、ボルト軸力を推定する対象となるボルト(推定対象ボルト)が、締付け前の画像を撮影せずに締結された既設のボルト(既設ボルト)であるとする。
【0048】
図7を用いて、工程S3を説明する。
図7は、カメラ1で撮影される既設ボルト17を示す模式図である。カメラ1の被写体4は、既設ボルト17である。既設ボルト17は、被締結体20を締付けているとする。既設ボルト17の頭頂面には、ランダムパターンが描かれている。既設ボルト17は、マスターボルト15と同一規格のボルトである。マスターボルト15は、被締結体20を締結した直後の既設ボルト17に対応する。
【0049】
図4の工程S3は、既設ボルト17の頭頂面をカメラ1で撮影する工程である。まず、カメラ1は、被締結体20の表面から撮影距離D(
図7)の位置で、既設ボルト17の頭頂面を撮影し、既設ボルト17の頭頂面の画像を取得する。次に、カメラ1は、撮影距離をDから変化量ΔDだけ変化させた撮影距離(D+ΔD)の位置で、既設ボルト17の頭頂面を撮影し、既設ボルト17の頭頂面の画像を取得する。これら2回の撮影は、既設ボルト17の状態が変化しないうちに連続して行い、これら2回の撮影の間に、例えば振動や熱の影響を受けてボルト軸力が変化しないようにするのが好ましい。例えば、これら2回の撮影の間に、増し締め等の既設ボルト17に外力を与える作業は実施しない。
【0050】
なお、このときの撮影距離Dと変化量ΔDは、マスターボルト15を撮影したときの撮影距離Dと変化量ΔDと同じであり、実際の撮影距離も、マスターボルト15を撮影したときの実際の撮影距離と一致させる必要がある。このため、カメラ1は、既設ボルト17を撮影するときには、例えば、マスターボルト15の撮影で使用した撮影治具で固定されているのが好ましい。また、既に述べたように、カメラ1の位置は、既設ボルト17の頭頂面の真上であっても斜め上方であってもよい。
【0051】
図4の工程S4は、カメラ1が取得した既設ボルト17の頭頂面の画像から、既設ボルト17の頭頂面での見かけひずみ分布を導出する工程である。工程S4は、演算処理部の第2分析部が実行する。
【0052】
図7に示すように、既設ボルト17の頭頂面は、ボルト軸力によって中央部が最もたわむように変形している。このため、撮影距離は、頭頂面での位置によって異なる。本実施例では、既設ボルト17の頭頂面でのn個の位置iにおける撮影距離をDiと表す(1≦i≦n)。
図7には、撮影距離D1、D2、D3、…Dnを示している。このn個の位置iは、マスターボルト15の頭頂面でのn個の位置と同じであり、撮影距離Diも、マスターボルト15での撮影距離Diと等しい。
【0053】
但し、既設ボルト17での実際の撮影距離は、後述するように、ボルトの頭頂面でたわみ量が変化した分だけ、この撮影距離Diと異なる。
【0054】
この撮影距離Diを用いると、DICを用いた画像分析によって既設ボルト17の頭頂面に発生する見かけひずみεrealの分布は、式(1)に示した見かけひずみεを求める式を用いて、式(4)で表すことができる。
【0055】
【0056】
式(4)において、δiは、ボルトの頭頂面でのn個の位置iにおけるたわみ量の変化である(1≦i≦n)。ボルト軸力とボルトのたわみ量は、比例関係にあることが知られている。一般に、ボルトの締結後、ボルト軸力が時間とともに変化し、ボルトの頭頂面におけるたわみ量も時間とともに変化する。このため、既設ボルト17の頭頂面におけるたわみ量は、マスターボルト15の頭頂面におけるたわみ量から変化している。そこで、ボルト軸力が低下した既設ボルト17は、マスターボルト15(
図5)に比べて、たわみ量がδiだけ減少したとする。たわみ量がδiだけ減少すると、カメラ1の実際の撮影距離は、撮影距離Diからたわみ量の変化δiの分だけ短くなる。式(4)には、このたわみ量の変化δiが反映されている。
【0057】
この結果、既設ボルト17の頭頂面での見かけひずみεrealの分布は、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布16と異なる。
【0058】
図8は、既設ボルト17の頭頂面での見かけひずみεrealの分布18の例を示す模式図である。
図8には、
図6に示した、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布16も示している。
【0059】
図4の工程S5は、既設ボルト17の頭頂面での見かけひずみεrealの分布18と、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布16との差分から、既設ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布を算出する工程である。工程S5は、演算処理部の第3分析部が実行する。
【0060】
はじめに、見かけひずみ分布の差分Δεを取得する。式(4)に示した既設ボルト17の頭頂面に発生する見かけひずみεrealの分布18と、式(3)に示したマスターボルト15の頭頂面に発生する見かけひずみεbaseの分布16との差分Δεは、式(5)のように表される。
【0061】
【0062】
式(5)を変形すると、既設ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布は、式(6)のように表される。式(6)によって得られるたわみ量の変化δiは、DICを用いた画像分析によって求めた、ボルトの頭頂面でのたわみ量の変化である。
【0063】
【0064】
図9は、式(6)で表される、既設ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布19の例を示す模式図である。
【0065】
図4の工程S6について説明する。工程S6は、単位軸力あたりの、ボルトの頭頂面のたわみ量を求める工程である。本実施例による推定システム10は、式(6)を用いてボルト軸力を推定するために、ボルトの頭頂面に発生する、単位軸力あたりのたわみ量の分布を求める。記憶部は、工程S6で求めた、ボルトの頭頂面におけるたわみ量の分布を記憶する。
【0066】
本実施例による推定システム10は、ボルト軸力を推定する前に工程S6を実施し、既設ボルト17又は同一規格のボルトであるマスターボルト15について、単位軸力あたりの、ボルトの頭頂面におけるたわみ量の分布を求めておく。計算装置2は、有限要素法による応力解析を実施し、単位軸力あたりの、ボルトの頭頂面におけるたわみ量の分布を求める。この応力解析は、既存の技術を用いて実施できる。
【0067】
図10は、計算装置2が実施する応力解析の解析モデルの例を示す図である。解析モデルには、ボルト30と、ボルト30が締付けている被締結体20が、モデル化されて含まれている。また、ボルト締結部の構成に合わせて、モデル化されたナット21やワッシャーなども解析モデルに含まれる。
【0068】
計算装置2は、ボルト30に単位軸力(例えば1kN)を与えて応力解析を実施することで、ボルトの頭頂面に発生する、単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布を求めることができる。
【0069】
なお、応力解析においてボルト30に与える軸力は、単位軸力に限らず、例えば、規定トルクによって理論上発生する規定軸力でもよい。規定トルクは、例えば、ボルト30の強度区分やサイズに合わせて定められる。応力解析においてボルト30に規定軸力を与える場合には、ボルト軸力とボルトの頭頂面でのたわみ量が比例関係にあることを利用して、単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布を求める。すなわち、規定軸力を与えた応力解析で得られた、ボルトの頭頂面でのたわみ量dFEMを規定軸力の大きさで割ることにより、ボルトの頭頂面に発生する、単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布を求めることができる。
【0070】
図11は、単位軸力を与えた応力解析で得られた、ボルトの頭頂面でのたわみ量dFEM(unit)の分布22と、規定軸力を与えた応力解析で得られた、ボルトの頭頂面でのたわみ量dFEMの分布23の例を示す模式図である。
【0071】
図4の工程S7とS8について説明する。工程S7とS8は、演算処理部の第4分析部が実行する。
【0072】
工程S7は、既設ボルト17の軸力の変化を推定する工程である。既設ボルト17の軸力は、既設ボルト17が被締結体20を締結した直後ではマスターボルト15の軸力と等しいが、時間の経過とともにマスターボルト15の軸力から変化する。工程S7は、この軸力の変化を推定する。
【0073】
図12は、単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布22を、既設ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布19に一致させるフィッティングを示す図である。
【0074】
上述したように、ボルト軸力とボルトの頭頂面でのたわみ量は、比例する。そこで、
図12に示すように、単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布22を、ボルト軸力を変化させることで、既設ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布19に一致させるフィッティングを行う。単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布22は、ボルト軸力を単位軸力から変化させると、たわみ量が全体的に増加又は減少するように(
図12の分布22が上又は下に平行移動するように)変化する。ボルト軸力を変化させていき、単位軸力あたりのたわみ量dFEM(unit)の分布22が、既設ボルト17の頭頂面でのたわみ量の変化δiの分布19に一致したときのボルト軸力を求め、このボルト軸力を既設ボルト17の軸力の変化と推定する。
【0075】
図4の工程S8は、既設ボルト17の軸力を推定する工程である。工程S8では、マスターボルト15の軸力から工程S7で推定した軸力の変化を引いて差分を求め、得られた差分の値を既設ボルト17の軸力と推定する。既に述べたように、マスターボルト15の軸力は求められている。
【0076】
なお、本実施例において、マスターボルト15の頭頂面の撮影と既設ボルト17の頭頂面の撮影は、1回ずつでなくてもよい。例えば、カメラ1は、撮影距離Dや変化量ΔDを変えて複数回の撮影を行い、計算装置2は、工程S5にて、それぞれの撮影で得られた画像から求めたたわみ量の変化δiの平均を求めることで、たわみ量の変化δiの分布19をより高精度に取得することができる。また、計算装置2は、工程S8にて、それぞれの撮影で得られた画像から求めた既設ボルト17の軸力の平均を求めることで、既設ボルト17の軸力をより高精度に推測することができる。
【0077】
本実施例によるボルト軸力の推定システム10は、このようにして見かけひずみεを用いることで、簡便で高精度にボルト締結部のボルト軸力を推定することができる。
工程S11は、マスターボルト15の締付けを模擬する工程である。計算装置2は、マスターボルト15の締付けを模擬した解析モデルに対し、工程S12で応力解析を実施する。マスターボルト15は、規定トルクによって締付けられているとする。
工程S12では、規定トルクによってマスターボルト15に発生する理論上の軸力を荷重条件として与えて、有限要素法(FEM)による応力解析を実施する。すなわち、マスターボルト15の軸力には、理論的な値を用いる。カメラ1と被締結体20との撮影距離Dを工程S3で既設ボルト17の頭頂面をカメラ1で撮影するときと同じ値にし、マスターボルト15の頭頂面でのn個の位置iにおける頭頂面のたわみ量を求めることで、n個の位置iにおける撮影距離Di(1≦i≦n)を求める。
このようにして求めた撮影距離Di(1≦i≦n)と、工程S3で既設ボルト17の頭頂面をカメラ1で撮影するときと同じ値の撮影距離の変化量ΔDを式(3)に代入することにより、マスターボルト15の頭頂面での見かけひずみεbaseの分布を得ることができる。
本実施例によるボルト軸力の推定システム10は、実施例1によるボルト軸力の推定システム10と同様に、見かけひずみεを用いることで、簡便で高精度にボルト締結部のボルト軸力を推定することができる
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。