(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085642
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】資材供給ロボット及びそれを用いた資材供給システム
(51)【国際特許分類】
B65B 43/16 20060101AFI20240620BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65B43/16
B25J15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200265
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 伸之介
【テーマコード(参考)】
3C707
3E030
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707DS02
3C707ES03
3C707ET08
3C707NS02
3C707NS19
3E030AA02
3E030BA02
3E030BB01
3E030BC04
3E030DA01
3E030GA01
3E030GA05
(57)【要約】
【課題】 段ボール箱内に平積みされた状態で収納されているカートン束を取り出し、包装機にセットすることができる資材供給ロボットを提供すること
【構成】 ロボットアーム21と、ロボットアームに取り付けられたハンドツール22を備える。ハンドツールは、段ボール箱1内に進入し、カートン束3を受け取る第1のハンド部23と、その受け取った前記カートン束を第1のハンド部から仮置きテーブル30に移し替えた状態のカートン束を挟み込んで保持する第2のハンド部24を備える。第2ハンド部は、所定の力で保持するため、先端側が下方傾斜状になってもカートン束を保持でき、カートナーのホッパーに供給することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱に複数のカートンが平積み状態で収納されるカートン束を、前記箱から取り出し、その取り出した前記カートン束を包装機に供給する資材供給ロボットであって、
ロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられたハンドツールを備え、
前記ハンドツールは、前記箱内に進入し、前記カートン束を受け取る第1のハンド部と、
その受け取った前記カートン束を前記第1のハンド部から仮置き箇所に移し替えた状態の前記カートン束を挟み込んで保持する第2のハンド部を備える資材供給ロボット。
【請求項2】
前記第1のハンド部は、前記箱内に進入し得る複数のフレーム部材を備え、
その複数の前記フレーム部材のうちの少なくとも一部のフレーム部材の外面側に長手方向に延びる溝部を設け、
前記溝部に前記箱のフラップの先端側を引っかけ、前記フラップを開くように構成する請求項1に記載の資材供給ロボット。
【請求項3】
前記第1のハンド部は、前記箱内に進入し得る複数のフレーム部材を備え、
その複数の前記フレーム部材のうちの少なくとも一部のフレーム部材の先端に凸部を設け、
前記凸部に前記箱のフラップの先端側を引っかけ、前記フラップを開くように構成する請求項1に記載の資材供給ロボット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の資材供給ロボットと、
前記カートン束が収納された前記箱を保持するとともに前記箱を起こし、前記箱の開口部位を下方に向け得る起こし装置と、
前記第1のハンド部が受け取った前記カートン束を起立状態で仮置きする仮置き部と、を備えた資材供給システム。
【請求項5】
前記仮置き部は、仮置きされた前記カートン束の起立姿勢の傾斜角度を変更する機能を備え、
前記第2のハンド部は、奥側に位置する前記カートン束を受ける背もたれ部位が、前記仮置き部で変更される傾斜角度に応じた角度で構成される
請求項4に記載の資材供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資材供給ロボット及びそれを用いた資材供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱に複数集積して収納された複数のカートンを取り出し、カートナーのホッパーに供給する装置として、例えば特許文献1に開示された装置がある。この特許文献1に開示された装置は、起立した姿勢で段ボール箱内に収納された多数のカートンの束を、重ね方向の両側から押し込んで段ボール箱の内側面とカートンの束との間に隙間を生じさせ、その隙間内にカートン把持具を挿入するとともに当該カートンの束を挟み込んで保持する。その状態でカートン把持具を所定方向に移動させ把持したカートンの束を段ボール箱から取り出し、ホッパーにセットするように構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のカートンが段ボール箱に平積みされた状態で準備されている場合、外側から側面を押して段ボール箱の内側面とカートンとの間に所定の空間を形成することができず、特許文献1に開示された装置では段ボール箱からカートンの束を取り出することができない。そのため作業者が段ボール箱の中から手作業でカートンを取り出しカートナーのホッパーに供給する必要があり、作業負荷が大きい問題がある。
【0005】
また、仮に段ボール箱からカートンの束を取り出すことができたとしても、段ボール箱とカートンの間に隙間があまりないと、開閉機構を備えてしっかりと挟み込んで保持するような構成の把持具を挿入できず、ホッパー位置までの移動中や、ホッパーの供給作業中にカートンが落下してしまうおそれがある。
【0006】
また、段ボール箱内に収納されたカートンの表裏の向きと、ホッパーにカートンをセットする際の表裏の向きの関係、段ボール箱内に収納されたカートンの束の姿勢とホッパーにセットする際の姿勢の関係などから、仮に挟み込んでカートンの束を保持する機能を備えたカートン把持具などを用いて段ボール箱からカートンを取り出せたとしても、その取り出した状態のままホッパーにセットすることができない場合がある。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の資材供給ロボットは、(1)箱に複数のカートンが平積み状態で収納されるカートン束を、前記箱から取り出し、その取り出した前記カートン束を包装機に供給する資材供給ロボットであって、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられたハンドツールを備え、前記ハンドツールは、前記箱内に進入し、前記カートン束を受け取る第1のハンド部と、その受け取った前記カートン束を前記第1のハンド部から仮置き箇所に移し替えた状態の前記カートン束を挟み込んで保持する第2のハンド部を備えるようにした。
【0009】
ロボットアームによりハンドツールの位置や姿勢を調整し、第1のハンド部を箱内に進入させ、受け取ったカートン束を仮置き箇所に移し替える。第1のハンド部は、例えば先端側が下向きにならない姿勢のまま移動し、仮置き箇所に移し替えるようにすることで、第1のハンド部は、カートン束を挟み込んで保持する機能を備えなくてもよくなる。その結果、箱内に進入する部位も固定式の部材でよく、平積み状態のカートンで、箱の内周面との間の隙間が少なくても挿入が可能となる。第2のハンド部は、挟み込んで保持する機能を備えており、仮置きされたカートン束をしっかりと保持することができ、安定して包装機の供給位置まで移動し、供給箇所に供給できる。また、挟み込んで保持することから、例えば第2のハンド部の先端側が斜め下方を向くような姿勢でもカートン束が落下しないように構成できると、より任意の姿勢で包装機にセットが可能となる。
【0010】
(2)前記第1のハンド部は、前記箱内に進入し得る複数のフレーム部材を備え、その複数の前記フレーム部材のうちの少なくとも一部のフレーム部材の外面側に長手方向に延びる溝部を設け、前記溝部に前記箱のフラップの先端側を引っかけ、前記フラップを開くように構成するとよい。このようにすると、箱の開口部位がフラップで塞がれている場合でも、ロボットアームによりハンドツールの位置や姿勢を調整することでフラップを開き、開口部位からカートン束を露出し取り出し可能となる。
【0011】
(3)前記第1のハンド部は、前記箱内に進入し得る複数のフレーム部材を備え、その複数の前記フレーム部材のうちの少なくとも一部のフレーム部材の先端に凸部を設け、前記凸部に前記箱のフラップの先端側を引っかけ、前記フラップを開くように構成するとよい。このようにすると、箱の開口部位がフラップで塞がれている場合でも、ロボットアームによりハンドツールの位置や姿勢を調整することでフラップを開き、開口部位からカートン束を露出し取り出し可能となる。
【0012】
(4)本発明に係る資材供給システムは、(1)から(3)のいずれかに記載の資材供給ロボットと、前記カートン束が収納された前記箱を保持するとともに前記箱を起こし、前記箱の開口部位を下方に向け得る起こし装置と、前記第1のハンド部が受け取った前記カートン束を起立状態で仮置きする仮置き部と、を備えた。このようにすると、平積み状態のカートン束を箱から取り出し、包装機に供給することができる。
【0013】
(5)前記仮置き部は、仮置きされた前記カートン束の起立姿勢の傾斜角度を変更する機能を備え、前記第2のハンド部は、奥側に位置する前記カートン束を受ける背もたれ部位が、前記仮置き部で変更される傾斜角度に応じた角度で構成されるとよい。このようにすると、例えば包装機におけるカートン束を受け取る箇所でのカートン束の姿勢が、箱内に収納されているときの姿態と異なり、例えば側面視で平行四辺形などのように傾斜しているものに対しての供給も可能となる。
【0014】
また、上述した(1)から(5)に示す構成は、適宜組み合わせて構成することができ、そのように組み合わせた構成を前提として、実施形態や図面に記載の構成要素を組み合わせるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、箱内に平積みされた状態で収納されているカートン束を取り出し、包装機にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る資材供給ロボット及びそれを用いた資材供給システムの好適な一実施形態を示す概略斜視図である。
【
図5】カートン束並びに段ボール箱を示す図である。
【
図6】起こしテーブル装置の一例を示す図(その1)である。
【
図7】起こしテーブル装置の一例を示す図(その2)である。
【
図8】起こしテーブル装置の作用を説明する図である。
【
図9】ハンドツールを示す斜視図(その1)である。
【
図10】ハンドツールを示す斜視図(その2)である。
【
図11】ハンドツールを示す斜視図(その3)である。
【
図15】外フラップの開封機能を説明する図である。
【
図16】内フラップの開封機能を説明する図である。
【
図17】起こしテーブル装置の設置位置におけるカートン束の取り出し機能を説明する図である。
【
図18】仮置きテーブルを示す斜視図(その1)である。
【
図19】仮置きテーブルを示す斜視図(その2)である。
【
図20】仮置きテーブルを示す斜視図(その3)である。
【
図21】仮置きテーブルにおけるカートン束の仮置き作用を説明する図である。
【
図22】仮置きテーブルにおけるカートン束の仮置き作用を説明する図である。
【
図23】別の実施形態を示すハンドツールを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1~
図4は、本実施形態の資材供給システム10の全体構成を示している。資材供給システム10は、上流側の搬送コンベア11で搬送される段ボール箱1内に収納された多数のカートン2からなるカートン束3を取り出すとともに、その取り出したカートン束3を、下流側の包装機の一例であるカートナー14のホッパー15に供給するように構成する。係るカートン束3の取り出し及び供給は、資材供給ロボット20が行う。資材供給ロボット20は、6軸の多関節ロボットであり、ロボットアーム21と、ロボットアーム21の先端側に取り付けたハンドツール22等を備え、ハンドツール22にてカートン束3を保持し、ロボットアーム21の動きによりハンドツール22を所定位置や所定の向き・姿勢になるように制御する。また、カートン束3が取り出されて空になった段ボール箱1は、搬出コンベア19により搬送され、排出される。
【0019】
このように本実施形態の資材供給システム10は、カートン束3が収納された段ボール箱1を搬送ラインにセットすると、その段ボール箱1を搬送コンベア11で搬送し、資材供給ロボット20を用いて段ボール箱1からカートン束3を自動的に取り出すとともに、カートナー14のホッパー15に供給し、さらに、カートン束3を取り出して空になった段ボール箱1の排出に至る工程を自動的に行うフルライン自動化のシステムである。
【0020】
なお、
図1~
図4では、複数の作業工程における資材供給ロボット20を同一図上に描画するとともに、各作業工程においてロボットアーム21とハンドツール22の一方の図示を省略している。例えば、ロボットアーム21は、段ボール箱1からカートン束3を取り出す位置にあり、その先端に取り付けるハンドツール22の図示を省略している。また、カートナー14のホッパー15にカートン束3を供給する位置並びにそこに至る中間位置にあるハンドツール22は、カートン束3を支持した状態をそれぞれ示しているが、ロボットアーム21の図示を省略している。
【0021】
図5(a)に示すように、カートン2は、矩形状の底部2aと、その底部2aの4辺に隣接して配置される側壁部2bと、4つの側壁部2bの内の一つの上辺に隣接して配置される蓋部2cと、隣接する側壁同士を接着するための糊代部2d等とを備え、それらが展開状態の一枚のシート状に形成される。係る形状のカートン2は、平積み状態で積層されてカートン束3となる。このカートン束3は、
図5(b)に示すような上方開口する段ボール箱1に対し、
図5(c)に示すように帯などで結束されることなく収納される。そして、カートン束3が段ボール箱1内に収納された状態では、平面視で段ボール箱1の内部の四隅に、カートン束3の四隅との間で隙間が形成される。
【0022】
さらに本実施形態では、段ボール箱1の上方の開口側が、カートン2の印刷面、すなわちカートン2を組み立てた際の外面になるように収納されている。また、
図5では段ボール箱1の長辺に繋がる一対の外フラップ4と短辺に繋がる一対の内フラップ5は、それぞれ外に開いた状態となり段ボール箱1が開口した姿勢としているが、搬送コンベア11上に供給され搬送される際には、
図1等に示すように外フラップ4及び内フラップ5は閉じた姿勢となる。
【0023】
搬送コンベア11は、平行に配置される2つのプレートコンベアを備え、
図1中奥側のプレートコンベアは、図中、右側から左側に向かって搬送する搬送路を備え、
図1中手前側のプレートコンベアは、図中、左側から右側に向かって搬送する搬送路を備える。図示省略するが、奥側のプレートコンベアにはさらに上流側の搬送経路があり、その搬送経路上を搬送されてくる段ボール箱1が順次移し替えられる。また手前側のプレートコンベアは、搬送経路が短い設定となり、その下流側の搬出端に、起こしテーブル装置12を備える。
【0024】
起こしテーブル装置12は、
図6,
図7等に拡大して示すように、昇降するベース部材16の一辺側を回転中心として正逆回転可能に連結する箱保持部材17と、箱保持部材17を正逆回転させる駆動機構18等を備える。
図7等に示すように、箱保持部材17は、平面視で略コ字状のフレーム17aに回転自在に連結される複数のローラ17bを備え、その複数のローラ17bが、段ボール箱1の底面を受けるように構成する。ローラ17bの回転軸は、搬送コンベア11の搬送方向に対して直交する方向に延びるように配置され、フリー状態で回転自在に軸受け支持される。フレーム17aは、搬送コンベア11の搬送方向に沿った方向に延び、ローラ17bを軸受け支持する左右一対の軸受部材A,Bと、その軸受部材A,Bを連結する連結部材Cを備える。そして、フレーム17aを構成する軸受け支持する左右一対の軸受部材A,Bの内の一方(ここでは、搬送方向右側の軸受部材A)に、上方に向けて起立する側壁ガイド板17cを連結する。また、フレーム17aの連結する部位に、ローラ17bの上方側でローラ17bの軸方向に延びるストッパー部材17dを設ける。これら側壁ガイド板17cとストッパー部材17dは、
図6等に示すように、ローラ17b上に配置される段ボール箱1の側面に接触可能に構成される。さらに、箱保持部材17は、複数のローラ17bの隣接する隙間に吸盤17eを備え、ローラ17b上に載置される段ボール箱1の底面を吸着保持可能に構成される。
【0025】
駆動機構18は、ベース部材16の上面所定位置に設けた一対の軸受け板部材18aと、その一対の軸受け板部材18aに対して回転可能に軸受け支持させる回転軸18bと、回転軸18bの一端に取り付けた第1プーリ18cと、サーボモータ等の駆動源に連携され正逆回転する駆動軸18fと、その駆動軸18fに取り付ける第2プーリ18eと、第1プーリ18cと第2プーリ18eに掛け渡されるエンドレスベルト18d等を備える。そして、箱保持部材17は、回転軸18bに連結され、一体となって回転するように構成する。
【0026】
これにより、駆動源の動作により駆動軸18fが正逆回転すると、その回転力が回転軸18bに伝わり正逆回転し、これに伴い箱保持部材17が回転軸18bを回転中心として正逆回転する。そして本実施形態では、係る正逆回転により、
図7等に示すように箱保持部材17が水平状態すなわちローラ17bが水平面に位置するとともに側壁ガイド板17cが垂直面に起立する第1姿勢と、その第1姿勢から所定角度回転して箱保持部材17を起こした状態の第2姿勢との間を変位する。そして、所定角度は、90度以上、より好ましくは90度よりも大きく、例えば105度とするとよい。90度とすると、ローラ17bは垂直面内に起立するとともに側壁ガイド板17cが水平面に位置した姿勢となり、90度よりも大きくすると、ローラ17bは前方傾斜状に傾いた姿勢となる。さらに本実施形態では、第1姿勢と第2姿勢の中間の所定角度の第3姿勢で停止するように制御する。この第3姿勢となる所定角度は、90度未満で比較的大きい角度がよく、例えば60~80度の適宜の角度とするとよい。
【0027】
そして、
図6等に示すように、第1姿勢の箱保持部材17に対し段ボール箱1が供給されると、段ボール箱1の底面はローラ17bに支持されるとともに吸盤17eにて吸着保持され、段ボール箱1の側面は側壁ガイド板17c及びストッパー部材17dに接触して所定位置に留まる。
【0028】
その状態から箱保持部材17が立ち上がり第2姿勢に変位すると、段ボール箱1も立ち上がり、底面が90度起立してから更に回転して前方傾斜状になり、段ボール箱1の開口部位斜め下向きの姿勢になる。すなわち箱保持部材17に吸着保持された段ボール箱1は、箱保持部材17の姿勢ひいては複数のローラ17bで形成される保持面の角度と等しい姿勢で変位する。具体的には、箱保持部材17が第1姿勢の状態では、段ボール箱1は
図8中実線で示すように水平状態で開口面は上向きとなり、第3姿勢の状態では段ボール箱1は二点鎖線で示すように第1姿勢の時から起き上がり開口面は斜め上方を向いた姿勢となり、第2姿勢の状態では段ボール箱1は破線で示すように開口面は斜め下方を向いた姿勢となる。
【0029】
さらに本実施形態では、ベース部材16は昇降機構に連携され、上下方向の位置を変位可能にしている。そして、ベース部材16の昇降に伴い箱保持部材17並びに駆動機構18も一体となって昇降する。そして、
図6,
図7等では、箱保持部材17のローラ17bの上下方向の位置は、搬送コンベア11の搬送面よりも一段低い位置にあるが、搬送コンベア11から段ボール箱1が搬出されてローラ17b上に移り変わる際には、その前の適宜のタイミングでベース部材16ひいては箱保持部材17を上昇させ、ローラ17bによる搬送面(保持面)と、搬送コンベア11の搬送面の高さを合わせるように制御する。これにより、搬送コンベア11から搬出されてくる段ボール箱1は、段差無くスムーズに起こしテーブル装置12の箱保持部材17上に移り変わる。そして、段ボール箱1の搬送方向の前方側の側面が、ストッパー部材17dに接触してそれ以上の前進が抑止され前後方向の位置決めがなされる。また、搬送方向に対する左右方向の位置は、側壁ガイド板17cにより案内され位置決めされるとよい。
【0030】
後述するように資材供給ロボット20は、第2姿勢になった段ボール箱1からカートン束3を取り出す。そして、そのようにカートン束3の取り出しが完了すると、駆動機構18が動作し、箱保持部材17は第1姿勢に復帰する。これにともない、カートン束3が取り出されて空になった段ボール箱1も上面の開口部位が上に位置する姿勢に復帰する。その後、ベース部材16は上昇し、ローラ17bで構成される搬送面の位置が、搬出コンベア19の搬送面と一致するように制御する。これにより、空の段ボール箱1も上昇移動し、図示省略のプッシャー機構等で段ボール箱1を搬出コンベア19に横移載でずらして移し替えるように構成する。そして、空の段ボール箱1は、搬出コンベア19にて下流側に搬出される。
【0031】
また、本実施形態では、箱保持部材17を起こす際に、ローラ17bを含めてその全体が正逆回転して起立するようにしたが、例えばフレーム17a及びローラ17b等は水平状態のまま起き上がらず、吸盤17e及びそれを支える部位と側壁ガイド板17cが正逆回転して起立するように構成してもよく、起こしテーブル装置12に供給された段ボール箱1が所定角度回転して起き上がるように構成するとよい。
【0032】
資材供給ロボット20が備えるハンドツール22は、
図9~
図14等に示すように、段ボール箱1に入った結束されていないカートン束3を取り出す第1のハンド部23と、取り出したカートン束3をカートナー14のホッパー15に供給する第2のハンド部24とを有する。第1のハンド部23と第2のハンド部24は、背中合わせで反対向きに配置されるように上下開口する矩形箱状のベース本体25に取り付けられて一体化する。このベース本体25がロボットアーム21の先端側に取り付けられることで、ロボットアーム21の動作に伴いハンドツール22が適宜の位置に移動する。ベース本体25は、前壁部25aと、左右の側壁部25bと、後壁部25cを備え、内部に所定の空間が形成される。
【0033】
第1のハンド部23は、下側に設ける左右一対の第1フレーム26と、上側に設ける左右一対の第2フレーム27を備える。それら4つのフレームが、仮想の矩形状の4つ角に位置するように配置する。左側に配置する第1フレーム26と第2フレーム27、並びに右側に配置する第1フレーム26と第2フレーム27は、それぞれ上下に延びる連結部28により繋がり一体化してベース本体25に連結される。そしてこれら第1フレーム26、第2フレーム27並びに連結部28は、略平板状のプレートを用いて一体に形成している。
【0034】
また、本実施形態では、一体となった第1フレーム26、第2フレーム27及び連結部28は、ベース本体25に対して接近離反移動可能に構成する。これにより、カートンのサイズ変更に対応可能となる。
【0035】
ベース本体25の前壁部25aは、第1のハンド部23で取り出したカートン束3の表面に接触し、背もたれとなるように構成する。また、この背もたれが構成される面と、第1フレーム26及び第2フレーム27の長手方向のなす角は、90度にしている。
【0036】
第1フレーム26は、縦断面が略L字型に形成され、一対の第1フレーム26はその内面(一対の第1フレーム26同士の対向面:第1のハンド部23の内面側)の下方を第1のハンド部23の中央側に向けて突出する幅広部位26aとなる。また、第1フレーム26の外面には、奥側から先端に向けて伸びる溝部26bを備える。
【0037】
第2フレーム27は、その内面の先端側が外に広がるテーパ面27aを備え、対向する左右一対の第2フレーム27の距離は、テーパ面27aの形成領域で先端に行くほど徐々に広くなる。第2フレーム27の先端には、その上下にそれぞれ突出する凸部27bを備える。凸部27bは略三角形状で、上下の凸部27bの先端面は面一に形成される。
【0038】
図1等に示すように、搬送コンベア11で搬送されてくる段ボール箱1は、外フラップ4及び内フラップ5は閉じた姿勢となっているため、起こしテーブル装置12に供給された際も、段ボール箱1の外フラップ4及び内フラップ5は閉じたままとなる。より具体的には、前工程で外フラップ4を閉じるテープをカットし、外フラップ4が半開きの状態で搬送される。但し、半開きのため、外フラップ4並びに内フラップ5にて段ボール箱1の上方の開口部位が覆われているため、その半開きの状態では第1のハンド部23を段ボール箱1内に挿入することはできない。そこで、本実施形態では、第1フレーム26及び第2フレーム27を用いて外フラップ4及び内フラップ5を開き、段ボール箱1を開封する機能を備える。
【0039】
図15に示すように、第1姿勢の箱保持部材17上に保持され、水平に置かれた段ボール箱1に対し、ロボットアーム21を動作させ、第1フレーム26の溝部26bを半開きの外フラップ4の先端に引っかけ(
図15(a)参照)、その引っかけた状態で第1フレーム26を所定方向に移動させ、外フラップ4が段ボール箱1の上方開口部位の外に位置するように開いた姿勢に変位するように制御する。左右の第1フレーム26をそれぞれ動作させることで、2つの外フラップ4をそれぞれ開く(
図15(b)参照)。これにより、内フラップ5が露出する。
【0040】
次に、
図16に示すように、箱保持部材17を第3姿勢にすることで、段ボール箱1を60~80度傾けた状態にし、その状態の段ボール箱1に対し、ロボットアーム21を動作させ、第2フレーム27の凸部27bを内フラップ5の先端に引っかけ(
図16(a)参照)、その引っかけた状態で第2フレーム27を斜め上方或いは下方に移動させ、内フラップ5が段ボール箱1の上方開口部位の外に位置するように開いた姿勢に変位するように制御する(
図16(b)参照)。
【0041】
これにより、段ボール箱1の外フラップ4及び内フラップ5が開き、段ボール箱1が開放され、開口部位からカートン束3が露出する。そこで、ロボットアーム21を動作させ、第1のハンド部23の第1フレーム26及び第2フレーム27を段ボール箱1内に挿入する(
図17(a)参照)。起こしテーブル装置12の箱保持部材17の回転動作と、ロボットアーム21の動作による第1のハンド部23の移動の同期を取り、箱保持部材17が第3姿勢から第2姿勢に変位する間、第1フレーム26及び第2フレーム27が段ボール箱1内に挿入された状態を維持する。これにより、第2姿勢に至った際には、箱保持部材17ひいては段ボール箱1の開口部位が前傾姿勢になり、段ボール箱1内のカートン束3が第1のハンド部23に受け渡す(
図17(b)参照)。次いで、ロボットアーム21を動作させ、第1のハンド部23の第1フレーム26及び第2フレーム27を段ボール箱1から抜き出すと、カートン束3も第1のハンド部23とともに移動し、段ボール箱1から取り出すことができる。
【0042】
この取り出した状態では、第1のハンド部23は、斜め上向きの姿勢となり、カートン束3を構成する各カートン2は、糊代部2dが第1フレーム26の幅広部位26aの上面に接触して支持され、所定の側壁部2bは第1フレーム26の上面に接触して支持される。また、カートン2の左右がそれぞれ第1フレーム26及び第2フレーム27の内面に接触して横方向の移動が抑止される(
図18等参照)。さらに、斜め上向きの姿勢からカートン束3は、全体が第1のハンド部23の奥側に移動しようとする力が働き、カートン束3の奥側が背もたれに接触した状態となる。よって、第1のハンド部23は、吸着や挟み込みなどにより積極的にカートン束3を保持はしないものの安定して支持した状態となる。そして、第1のハンド部23をこの斜め上向きの状態を維持しながら移動することで、取り出したカートン束3を所定の位置に移動することができる。
【0043】
また、上述したように第1のハンド部23の背もたれが構成される面(前壁部25a)と、第1フレーム26及び第2フレーム27の長手方向のなす角を90度にしているため、カートン束3の奥側が背もたれに接触した状態では、各カートン2は第1フレーム26に対して直交する姿勢をとり、カートン束3は段ボール箱1内に収納されていたときと同様の外形状で第1のハンド部23に支持される。
【0044】
本実施形態では、段ボール箱1からカートン束3を取り出す位置となる起こしテーブル装置12と、取り出したカートン束3を最終的に供給するカートナー14のホッパー15に至る移動経路の途中に、仮置きテーブル30を設ける。そして、第1のハンド部23で取り出したカートン束3は、立たせた状態でその仮置きテーブル30に仮置きし、第2のハンド部24で仮置きしたカートン束3を掴み、その掴んだ状態のまま第2のハンド部24で移動し、ホッパー15にカートン束3を供給する。第2のハンド部24は、カートン束3を掴んで保持する機能を備えることで、例えば第2のハンド部24の先端側が下方傾斜状になってもカートン束3が落下しないため、ホッパー15に対して安定して供給が可能となる。
【0045】
第2のハンド部24は、カートン束3の上方側を保持する3本の第3フレーム31と、カートン束3の下端面を保持する2本の第4フレーム32を備える。3本の第3フレーム31のうちの1つは、カートン束3の上端面に接触可能に構成し、残りの2つはカートン束3の左右の側面に接触可能に構成する。そして、この3つの第3フレーム31は、それぞれその基端側を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転可能にベース本体25に取り付けられる。3つの第3フレーム31は、ベース本体25内に設けられたトグルクランプ等のリンク機構35に連携される。このリンク機構35は、シリンダ36の駆動に基づき動作し、3つの第3フレーム31を一体に開閉する。左右の第3フレーム31は横方向に旋回し、上の第3フレーム31は垂直面内で旋回する。
【0046】
そして、開いた状態では3つの第3フレーム31は、それぞれその先端側が外を向いて開き、第2のハンド部24内にカートン束3をスムーズに案内し得る。一方、そのように第2のハンド部24にカートン束3を位置させた状態で第3フレーム31を閉じると、3つの第3フレーム31で、カートン束3を上方及び左右の3方向から挟み込むとともに、シリンダ36の駆動を受けてしっかりと保持することが可能となる。
【0047】
さらに第3フレーム31の先端側にはそれぞれ第1爪部33を固定設置する。第1爪部33は、その先端が第2のハンド部24の内側に向けて突出した部位を有する。このようにすると、3本の第3フレーム31が、それぞれカートン束3の表面に接触して抑えた状態では、各第1爪部33の先端はそれぞれ第3フレーム31よりも中央側に向けて突出する部位を有し、その突出する部位によりカートン束3の先端側への離脱を抑止する。
【0048】
また、このように突出する部位を設けることなく、或いは設けることに加えて第1爪部33を第3フレーム31の長手方向に対し所定角度傾斜方向に延びるようにし、その延びる方向は第2のハンド部24の中央側に向けた内向きに構成してもよい。すなわち、上端面に接触可能な第3フレーム31に取り付ける第1爪部33は、その第3フレーム31の長手方向に対して下に傾ける。左側面に接触可能な第3フレーム31に取り付ける第1爪部33は、その第3フレーム31の長手方向に対して右に傾ける。そして、右側面に接触可能な第3フレーム31に取り付ける第1爪部33は、その第3フレーム31の長手方向に対して左に傾ける。このようにすると、3本の第3フレーム31が、それぞれカートン束3の表面に接触して抑えた状態では、各第1爪部33は中央側に向けて傾斜するため、その3つの第1爪部33はカートン束3の先端側への離脱を抑止する。
【0049】
一方、第4フレーム32は、所定の間隔をおいて2本がベース本体25に対して固定設置される。第4フレーム32は、第1フレーム26や第2フレーム27と平行に配置される。そして第4フレーム32の先端に上向き突出する部位を有する第2爪部38を固定設置し、その第2爪部38の突出する部位に引っかかることでカートン束3の前面を押さえ、前方へ離脱を抑制する。第4フレーム32は開閉せずにベース本体25に固定されている。そこで、ロボットアーム21の動作により、第3フレーム31が開いた姿勢の第2のハンド部24をカートン束3に接近させ、さらに第4フレーム32がカートン束3の下側に接触するように位置させる。そして、シリンダ36駆動により上側の3本の第3フレーム31を閉じることで、特に上方の第3フレーム31と第4フレーム32との間でカートン束3を上下に挟み込んで保持する。
【0050】
仮置きテーブル30は、
図18~
図20等に示すように、扁平な矩形状の取付台40の上面中央に、所定の間隔をおいて2本の支持レール41を設け、その支持レール41の外側にそれぞれサイドガイド部材42を取り付ける。さらに、各支持レール41の一端側には上方に延びる背もたれ部材43を備える。支持レール41と背もたれ部材43のなす角は90度とし、第1のハンド部23で搬送され供給されるカートン束3の外形状を崩すことなく仮置きすることができる。
【0051】
図18に示すように、仮置きテーブル30にカートン束3を仮置きした状態では、支持レール41は、カートン束3の下面の中央部位を支え、サイドガイド部材42はカートン2の側壁部2bに接触して横ずれを抑止する。さらに、
図19に示すように、支持レール41は、背もたれ部材43側に向けて下方傾斜状になるように取付台40ごと全体が傾斜させており、仮置きされたカートン束3は、その傾斜に案内されその表面が背もたれ部材43に接触し、起立した姿勢を保持する。
【0052】
また、本実施形態では、サイドガイド部材42は、取付台40に対して長手方向に移動可能に装着したスライダー44の上に連結し、操作ハンドル部45を正逆回転すると、一対のスライダー44ひいてはそれに連結された一対のサイドガイド部材42が、接近離反移動するように構成する。これにより、カートン2のサイズ変更に対応可能となる。
【0053】
仮置きテーブル30を利用したカートン束3の第1のハンド部23から第2のハンド部24への切り替えは、以下のように行う。段ボール箱1からカートン束3を取り出した第1のハンド部23は、先端側が斜め上向きの姿勢で第1フレーム26と第2フレーム27並びに背もたれとなるベース本体25の前壁部25aでカートン束3を支持した状態のまま、ロボットアーム21の動作に基づき第1のハンド部23を仮置きテーブル30の上方所定位置に位置させる(
図21(a)参照)。
【0054】
次いで、ハンドツール22が下降移動し、第1のハンド部23が仮置きテーブル30のサイドガイド部材42間の空間内に進入し、第1フレーム26を仮置きテーブル30の支持レール41とサイドガイド部材42の間に位置させるとともに、ベース本体25の前壁部25aを仮置きテーブル30の一対の背もたれ部材43間に位置させるように制御する。これにより、カートン束3の表面の所定部位は支持レール41、サイドガイド部材42並びに背もたれ部材43に接触する(
図21(b)参照)。
【0055】
次いで、第1のハンド部23を背もたれ部材43の外側に向けて(
図24中右方向)移動し、仮置きテーブル30の外側に位置させる(
図21(c)参照)。これにより、カートン束3が、支持レール41、サイドガイド部材42並びに背もたれ部材43に支持され、第1のハンド部23で支持していた姿態のまま仮置きテーブル30の上に仮置きされる。
【0056】
次にロボットアーム21の動作に伴いハンドツール22を回り込ませて仮置きテーブル30の手前側(背もたれ部材43の配置側と反対側)に位置させ、仮置きテーブル30に対して第2のハンド部24を対向するように制御する(
図22(a)参照)。
【0057】
次いでハンドツール22を仮置きテーブル30に向けて前進移動させ、第2のハンド部24が仮置きテーブル30内に進入し、第4フレーム32を仮置きテーブル30の一対の支持レール41の間に位置させるとともに第3フレーム31がカートン束3の表面に近接・対向させるように制御する。また、この進入に先立つ適宜のタイミングで、シリンダ36が駆動し、3本の第3フレーム31が開いた姿勢にする。そして、第2のハンド部24が奥まで進み、第1爪部33、第2爪部38がカートン束3の背もたれ部材43に接触する表面よりも外に位置した適宜のタイミングでシリンダ36を駆動させて第3フレーム31を閉じる。これにより、カートン束3は、第3フレーム31並びに第4フレーム32にて挟み込まれて保持される(
図22(b)参照)。また、第3フレーム31を閉じるタイミングは、例えばベース本体25の後壁部25cがカートン束3に接する際に行うとよい。
【0058】
次いで、第2のハンド部24を仮置きテーブル30の手前側に向けて(
図24中左方向)移動し、仮置きテーブル30の外側に位置させる(
図22(c)参照)。これにより、カートン束3が、第2のハンド部24に保持されたまま一緒に移動し、仮置きテーブル30から取り出される。また、カートン束3を保持する第2のハンド部24は、第3フレーム31が閉じてカートン束3を所定の付勢力で把持するとともに、第1爪部33と第2爪部34により先端側からの離脱抑止するため、
図22(c)に示すように下方傾斜状の姿勢となっていてもカートン束3を保持した状態を維持する。
【0059】
以後、ハンドツール22は、ロボットアーム21の動作により、第2のハンド部24にてカートン束3を保持したまま下流側のカートナー14のホッパー15の手前側に至り、そこにおいて第2のハンド部24をホッパー15内に進入し、第3フレーム31を開いてカートン束3の保持を解除し、第3フレーム31を開いた姿勢のまま第2のハンド部24をホッパー15から離反させることでカートン束3をホッパー15に移し替え、供給する。
【0060】
図23、
図24は、本発明の別の実施形態の要部を示している。本実施形態は、段ボール箱1内で収納されている際のカートン束3の姿態、すなわち略直方体状と、ホッパーにセットする際のカートン束3の姿態が異なる資材供給システムに適用するものである。本実形態では、ホッパーは、カートン束3を構成する各カートン2を斜めに倒し、カートン束3が側面視で平行四辺形の姿態で貯留されるものに対応する。
【0061】
ハンドツール22のベース本体25の後壁部25c′を、前方傾斜状に配置し、第4フレーム32の長手方向と後壁部25c′のなす角が鋭角になるように構成する。なおその他の構成は、先に記載した実施形態と同様に構成するとよい。
【0062】
また、仮置きテーブル30は、
図24(b),(c)に示すように、背もたれ部材43が下端付近を中心に正逆回転可能に構成する。より具体的には、
図24(b)に示すように支持レール41と背もたれ部材43とのなす角が90度の基本姿勢と、
図24(b)に示すように背もたれ部材43が基本姿勢から所定角度回転して倒れた傾斜姿勢との間を往復移動する。傾斜姿勢のときの支持レール41とのなす角は、ホッパー15にカートン束3をセットする際の角度に応じて設定する。そして、傾斜姿勢の角度が、ハンドツール22における後壁部25c′と第4フレーム32とのなす角に対応する。
【0063】
そして本実施形態では、上述した実施形態と同様に第1のハンド部23に移し替えられて支持されたカートン束3を仮置きテーブル30に仮置きし(
図24(a)参照)、ハンドツール22を仮置きテーブル30から離反する(
図24(b)参照)。これにより、カートン束3は、支持レール41と背もたれ部材43に接触した状態で仮置きテーブル30上に支持され、段ボール箱1に収納されていた略直方体状の姿勢を維持する。
【0064】
この後、本実施形態では、基本姿勢の背もたれ部材43が傾斜姿勢に倒れる(
図24(c)参照)。これにともない、背もたれ部材43に支持されているカートン束3を構成する各カートン2は、背もたれ部材43の傾斜に沿って倒れ、カートン束3′は、図示するように側面視で平行四辺形状に変形する。この状態で、ハンドツール22の第2のハンド部24を仮置きテーブル30に向けて前進移動する。そして、第2のハンド部24にて仮置きテーブル30上の傾斜したカートン束3′で把持する。これにより、
図23の第2のハンド部24に示すように、カートン束3′を保持することができ、その状態のまま上述した実施形態と同様にハンドツール22をカートナー14のホッパー15に移動し、カートン束3′をホッパー15に供給する。
【0065】
なお、その他の構成並びに作用は、上述した実施形態と同様にすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0066】
また、各実施形態では、何れもハンドツール22に段ボール箱1の外フラップ4並びに内フラップ5を開く機能を備えたが、例えば、事前にフラップが開いた状態で起こしテーブル装置12に搬送されてきたり、そもそもフラップがなく開放していたりする場合、フラップを開くための構成、すなわち、第1フレーム26の溝部26bや第2フレーム27の凸部27bなどを設けなくてもよい。
【0067】
また、上述した各実施形態では、第1フレーム26に設けた溝部26bで外フラップ4を開き、第2フレーム27に設けた凸部27bで内フラップ5を開くようにしたが、起こしテーブル装置12に供給される段ボール箱1の向きによりその対応関係を変えたり、また、ハンドツール22の向きや姿勢を変えたりすることで一種類の構成で両方のフラップを開くようにするなど各種の組み合わせが可能となる。
【0068】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0069】
1 :段ボール箱
2 :カートン
3 :カートン束
4 :外フラップ
5 :内フラップ
10 :資材供給システム
11 :搬送コンベア
12 :起こしテーブル装置
14 :カートナー
15 :ホッパー
17 :箱保持部材
17e :吸盤
20 :資材供給ロボット
21 :ロボットアーム
22 :ハンドツール
23 :第1のハンド部
24 :第2のハンド部
26 :第1フレーム
26b :溝部
27 :第2フレーム
27b :凸部
30 :仮置きテーブル
31 :第3フレーム
32 :第4フレーム
33 :第1爪部
34 :第2爪部
38 :第2爪部
40 :取付台
41 :支持レール
42 :サイドガイド部材
43 :背もたれ部材