(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085654
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】全固体電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240620BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240620BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/289 101
H01M50/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200293
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭司
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AY08
5H040AY09
5H040LL06
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】伸長時における耐振性が改善された全固体電池モジュールを提供すること。
【解決手段】全固体電池モジュール1は、電池部2と、第1及び第2エンドプレート(4、5)と、第1エンドプレート4を拘束する、弾性拘束機構7と、第1方向において第1エンドプレート4の変位を規制する、ガイド機構8とを有する。第1エンドプレート4は、第1方向における両端部に設けられ、拘束力が作用する、一対の拘束力作用部(11-1、11-2)と、ガイド機構8によりガイドされる、被ガイド部20とを有する。被ガイド部20に設けられた第1被ガイド面10は、一対の拘束力作用部よりも第1方向において内側に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電池セルを含む、電池部と、
前記電池部を積層方向において挟むように配置された、第1及び第2エンドプレートと、
前記積層方向に沿って前記電池部を圧縮するような拘束力が前記第1エンドプレートに加わるように、前記第1エンドプレートを弾性的に拘束する、弾性拘束機構と、
前記第1エンドプレートが前記積層方向に垂直な第1方向に変位することを規制するガイド機構であって、前記積層方向に沿って延びるガイド部材を有する、ガイド機構と、
を有し、
前記第1エンドプレートは、
前記第1方向における両端部に形成される領域であって、前記弾性拘束機構による拘束力が作用する、一対の拘束力作用部と、
前記積層方向及び前記第1方向に垂直な方向である第2方向における端部に設けられ、前記ガイド機構によりガイドされる、被ガイド部と、
を有し、
前記被ガイド部は、それぞれが前記第1方向に沿う方向を向き、前記ガイド部材に近接した状態で対向する、一対の第1被ガイド面を含み、
前記一対の第1被ガイド面は、前記積層方向に沿って見た場合に、中心線を挟むような位置に設けられており、ここで、前記中心線は、前記第1方向における前記第1エンドプレートの中央を通り、前記第2方向に沿って延びる直線であり、
前記一対の第1被ガイド面は、前記第1方向において、前記一対の拘束力作用部よりも内側に位置している、
全固体電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の全固体電池モジュールであって、
前記第1エンドプレートは、前記第2方向における側面から前記第2方向に沿って突出する、突出領域を有し、
前記被ガイド部は、前記突出領域に設けられており、
前記ガイド機構は、前記突出領域を前記第1方向において挟むように設けられた一対の前記ガイド部材を有している、
全固体電池モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の全固体電池モジュールであって、
前記第2方向における前記第1エンドプレートの側面には、更に、前記突出領域を前記第1方向において挟むような位置に、一対の第2被ガイド面が設けられており、
前記一対の第2被ガイド面の各々は、前記第2方向における前記第1エンドプレートの変位が規制されるように、前記一対のガイド部材の各々に対して前記第2方向において近接した状態で対向している、
全固体電池モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の全固体電池モジュールであって、
前記各第1被ガイド面は、曲面により形成されている、
全固体電池モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の全固体電池モジュールであって、
前記第2方向における前記第1エンドプレートの側面には、前記第2方向に沿って延びる凹部が設けられ、
前記被ガイド部は、前記凹部に設けられており、
前記ガイド部材は、前記凹部に嵌るように配置されている、
全固体電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の全固体電池モジュールであって、
前記一対の第1被ガイド面は、前記第2方向に沿って見た場合に、前記第2エンドプレート側ほど前記一対の第1被ガイド面の間の幅が広がるように、前記積層方向に対して傾斜している、
全固体電池モジュール。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の全固体電池モジュールであって、
前記凹部は、更に、前記第2方向に沿う方向を向く第2被ガイド面を有し、
前記第2被ガイド面は、前記第2方向における前記第1エンドプレートの変位が規制されるように、前記ガイド部材に対して前記第2方向において近接した状態で対向している、
全固体電池モジュール。
【請求項8】
少なくとも1つの電池セルを含む、電池部と、
前記電池部を積層方向において挟むように配置された、第1及び第2エンドプレートと、
前記積層方向に沿って前記電池部を圧縮するような拘束力が前記第1エンドプレートに加わるように、前記第1エンドプレートを弾性的に拘束する、弾性拘束機構と、
前記第1エンドプレートが前記積層方向に垂直な第1方向に変位することを規制するガイド機構であって、前記積層方向に沿って延びる一対のガイド部材を有する、ガイド機構と、
を有し、
前記第1エンドプレートは、
前記第1方向における両端部に形成される領域であって、前記弾性拘束機構による拘束力が作用する、一対の拘束力作用部と、
前記第1方向において前記一対のガイド部材により挟まれ、前記ガイド機構によりガイドされる、被ガイド部と、
を有し、
前記積層方向及び前記第1方向に垂直な方向が第2方向として定義され、
前記第1エンドプレートには、前記第2方向における前記一対の拘束力作用部と前記被ガイド部との間に、狭幅部が設けられており、
前記第1方向における前記狭幅部の幅は、前記一対の拘束力作用部間の幅よりも狭く、
前記狭幅部は、前記積層方向に沿って見た場合に、中心線に重なる位置に設けられており、
前記中心線は、前記第1方向における前記第1エンドプレートの中央を通り、前記第2方向に沿って延びる直線である、
全固体電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
全固体電池は、正極、負極、及び電解質がいずれも固体材料により構成された二次電池である。全固体電池は、電池部分が一対のエンドプレートにより挟まれた構成を有する全固体電池モジュールとして提供される場合がある。全固体電池において、所望する電池特性を得るためには、電池部分が圧縮されるように加圧されている必要がある。そのため、全固体電池モジュールとして、一対のエンドプレートが拘束部品により拘束され、これによって電池部分が圧縮されるように加圧されるものが知られている。
【0003】
上記に関連して、例えば、特許文献1(特開2019-114477号公報)には、「積層されている複数の電池と、前記複数の電池を拘束する拘束部品と、を有する電池モジュールであって、前記拘束部品は、前記複数の電池の積層方向の両端に配置される一対のエンドプレート、及び前記一対のエンドプレートを連結して、前記複数の電池を加圧状態で拘束するテンションバンドから構成されており、前記テンションバンドは、弾性変形可能な凹凸部を有する、電池モジュール」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、全固体電池モジュールは伸縮することがある。例えば、負極としてリチウム金属を用いた全固体電池モジュールは、充放電に伴い伸縮する。伸縮する可能性がある全固体電池モジュールにおいては、伸縮を許容するため、拘束部品として柔軟性を有する部品が使用されることがある。柔軟性を有する拘束部品を使用することにより、一対のエンドプレート間の距離が可変となり、積層方向(一対のエンドプレートと電池部とが積層した方向)における伸縮が許容される。
【0006】
しかしながら、拘束部品が柔軟性を有していると、意図しない方向(積層方向に対して垂直な方向)に対しても、エンドプレートが移動しやすくなる。その結果、十分な耐振性が確保できないことがある。
【0007】
本発明者らは、耐振性を確保するため、エンドプレートをガイドするガイド部材を設けることを検討している。具体的には、積層方向に沿って延びるガイド部材を配置することによって、エンドプレートが移動する方向を積層方向に限定することを検討している。
【0008】
エンドプレートを適切にガイドするためには、ガイド部材とエンドプレートとが適切な距離で近接している必要がある。しかしながら、拘束部品によってエンドプレートに加わる拘束力は、全固体電池モジュールの収縮時と伸長時とで変化する。伸長時には、エンドプレートに加わる拘束力が大きくなる。その結果、エンドプレートが撓みやすくなる。エンドプレートが撓むと、エンドプレートとガイド部材との間のクリアランスが大きくなる。その結果、エンドプレートが意図しない方向にも移動しやすくなり、耐振性が損なわれる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、伸長時における耐振性が改善された全固体電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の態様において、本発明に係る全固体電池モジュールは、少なくとも1つの電池セルを含む、電池部と、電池部を積層方向において挟むように配置された、第1及び第2エンドプレートと、積層方向に沿って電池部を圧縮するような拘束力が第1エンドプレートに加わるように、第1エンドプレートを弾性的に拘束する、弾性拘束機構と、第1エンドプレートが積層方向に垂直な第1方向に変位することを規制するガイド機構であって、積層方向に沿って延びるガイド部材を有する、ガイド機構とを有する。第1エンドプレートは、第1方向における両端部に形成される領域であって、弾性拘束機構による拘束力が作用する、一対の拘束力作用部と、積層方向及び第1方向に垂直な方向である第2方向における端部に設けられ、ガイド機構によりガイドされる、被ガイド部とを有する。被ガイド部は、それぞれが第1方向に沿う方向を向き、ガイド部材に近接した状態で対向する、一対の第1被ガイド面を含む。一対の第1被ガイド面は、積層方向に沿って見た場合に、中心線を挟むような位置に設けられる。ここで、中心線は、第1方向における第1エンドプレートの中央を通り、第2方向に沿って延びる直線である。一対の第1被ガイド面は、第1方向において、一対の拘束力作用部よりも内側に位置している。
【0011】
他の一態様において、本発明に係る全固体電池モジュールは、少なくとも1つの電池セルを含む、電池部と、電池部を積層方向において挟むように配置された、第1及び第2エンドプレートと、積層方向に沿って電池部を圧縮するような拘束力が第1エンドプレートに加わるように、第1エンドプレートを弾性的に拘束する、弾性拘束機構と、第1エンドプレートが積層方向に垂直な第1方向に変位することを規制するガイド機構であって、積層方向に沿って延びる一対のガイド部材を有する、ガイド機構とを有する。第1エンドプレートは、第1方向における両端部に形成される領域であって、弾性拘束機構による拘束力が作用する、一対の拘束力作用部と、第1方向において一対のガイド部材により挟まれ、ガイド機構によりガイドされる部分である、被ガイド部とを有する。被ガイド部は、それぞれが第1方向に沿う方向を向き、一対のガイド部材に近接した状態で対向する、一対の第1被ガイド面を含む。ここで、積層方向及び第1方向に垂直な方向が第2方向として定義される。第1エンドプレートには、第2方向における一対の拘束力作用部と被ガイド部との間に、狭幅部が設けられている。第1方向における狭幅部の幅は、一対の拘束力作用部間の幅よりも狭い。狭幅部は、積層方向に沿って見た場合に、中心線と重なる位置に設けられている。ここで、中心線は、第1方向における第1エンドプレートの中央を通り、第2方向に沿って延びる直線である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、伸長時における耐振性が改善された全固体電池モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る全固体電池モジュールを概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における第1エンドプレートを概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における第1エンドプレートを積層方向に沿って見た時の図である。
【
図4】
図4は、参考例に係る全固体電池モジュールの一部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、参考例に係る全固体電池モジュールの構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、変形例1-1における第1エンドプレートを示す図である。
【
図7】
図7は、変形例1-2における第1エンドプレートを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本変形例1-2の作用効果を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態における第1エンドプレートを概略的に示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態における第1エンドプレートを積層方向に沿って見た時の図である。
【
図11】
図11は、変形例2-1における第1エンドプレートを示す斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例2-1の作用効果を説明するための概略図である。
【
図13】
図13は、本変形例2-2における第1エンドプレートを積層方向に沿って見た時の図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係る全固体電池モジュールの第1エンドプレートを概略的に示す斜視図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る第1エンドプレートを積層方向に沿って見た時の図である。
【
図16】
図16は、変形例3-1における第1エンドプレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る全固体電池モジュール1を概略的に示す図である。
図1に示されるように、この全固体電池モジュール1は、電池部2、第1エンドプレート4、第2エンドプレート5、第3エンドプレート6、弾性拘束機構7、及びガイド機構8を有している。
【0016】
第1エンドプレート4及び第2エンドプレート5は、積層方向において電池部2を挟むように配置されている。積層方向に沿って見た場合に、第1エンドプレート4の外形は、電池部2の外形よりも大きい。すなわち、第1エンドプレート4の外周端は、電池部2の外周端よりも外側に位置している。
【0017】
電池部2は、少なくとも1つの電池セル3を有している。
図1に示される例では、複数の電池セル3が含まれている。ただし、電池部2に含まれる電池セル3は単一であってもよい。複数の電池セル3が含まれる場合、これらは、積層方向に沿って積層される。
【0018】
弾性拘束機構7は、積層方向に沿って電池部2を圧縮するような拘束力が第1エンドプレート4に加わるように、第1エンドプレート4を弾性的に拘束している。具体的には、弾性拘束機構7は、環状のゴムバンドを有している。ゴムバンドは、第1エンドプレート4、電池部2、及び第2エンドプレート5からなる積層体を巻くように配置されている。弾性拘束機構7は、柔軟性を有しているため、第1エンドプレート4と第2エンドプレート5との間の距離は、積層方向において可変となっている。
【0019】
ガイド機構8は、第1エンドプレート4の移動方向を限定するため、すなわちガイドするために設けられている。具体的には、ガイド機構8は、第1エンドプレート4が積層方向に沿って移動することを許容し、一方で、第1方向に変位することを規制するように構成されている。ここで、第1方向は、積層方向に垂直な方向である。
【0020】
詳細には、ガイド機構8は、それぞれが積層方向に沿って延びる、一対のガイド部材(8-1及び8-2)を有している。一対のガイド部材(8-1及び8-2)は、第1方向に沿って並んでいる。後述するが、第1エンドプレート4は、少なくとも一部分において、一対のガイド部材(8-1及び8-2)に挟まれている。これによって、第1エンドプレート4がガイド機構8によってガイドされる。
【0021】
第3エンドプレート6は、積層方向における第1エンドプレート4の外側に配置されている。第3エンドプレート6は、ガイド機構8を支持するために設けられている。すなわち、各ガイド部材(8-1、8-2)は、一端で第2エンドプレート5に連結され、他端で第3エンドプレート6に連結されている。
【0022】
なお、第3エンドプレート6は、ガイド機構8を介して、第2エンドプレート5に対して固定されている。一方、第1エンドプレート4は、既述のように、第2エンドプレート5に対する距離が可変である。従って、第2エンドプレート5及び第3エンドプレート6は固定エンドプレートであり、第1エンドプレート4は可動エンドプレートであるといえる。
【0023】
ここで、本実施形態においては、可動エンドプレートである第1エンドプレート4と、ガイド機構8との構成が工夫されている。以下にこの点について説明する。
【0024】
図2は、第1エンドプレート4を概略的に示す斜視図である。また、
図3は、第1エンドプレート4を積層方向に沿って見た時の図である。
【0025】
図2及び
図3に示されるように、第1エンドプレート4は、概ね矩形状である。
【0026】
第1エンドプレート4は、第1方向における両端部に、第1辺12-1及び第2辺12-2を有している。第1辺12-1及び第2辺12-2は、それぞれ、弾性拘束機構7が掛けられた辺である。すなわち、弾性拘束機構7は、第1辺12-1及び第2辺12-2を境に曲がっている。ここで、第1辺12-1及び第2辺12-2のうち、弾性拘束機構7が掛けられた部分には、弾性拘束機構7による拘束力が作用している。第1方向における第1エンドプレート4における両端部(すなわち、第1辺12-1及び第2辺12-2)において、拘束力が作用している部分が、以下、拘束力作用部11-1及び11-2と称される。なお、第1辺12-1及び第2辺12-2は、それぞれ、その下に電池部2が存在していない部分である。すなわち、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)は、第1エンドプレート4において電池部2に支持されていない部分に形成されている。
【0027】
第1エンドプレート4には、更に、被ガイド部20が設けられている。被ガイド部20は、ガイド機構8によってガイドされる部分である。被ガイド部20は、第2方向における第1エンドプレート4の両端部に設けられている。なお、第2方向は、積層方向及び第1方向の双方に対して垂直な方向である。
【0028】
本実施形態において、被ガイド部20は、突出領域9に設けられている。突出領域9は、第2方向における第1エンドプレート4の側面から、第2方向に沿って突出するように設けられた領域である。なお、本実施形態においては、第2方向における第1エンドプレート4の両側面にそれぞれ突出領域9が設けられている。すなわち、2つの突出領域9が設けられている。各突出領域9は、第1方向において一対のガイド部材(8-1及び8-2)によって挟まれている。その結果、各突出領域9には、それぞれがガイド部材(8-1、8-2)と対向する、一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)が形成されている。
【0029】
第1被ガイド面(10-1、10-2)は、第1方向に沿って、互いに反対側を向いている。各第1被ガイド面(10-1、10-2)は、各ガイド部材(8-1、8-2)に近接した状態で対向している。このような構成により、第1方向における第1エンドプレート4の変位が、一対のガイド部材(8-1及び8-2)によって規制される。すなわち、第1エンドプレート4は、積層方向に沿ってスライド可能である一方で、第1方向には移動しないようになっている。
【0030】
一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)は、積層方向に沿って見た場合に、中心線cを挟むような位置に設けられている。言い換えれば、被ガイド部20(突出領域9)は、中心線cに重なるような位置に設けられている。ここで、「中心線c」とは、第1方向における第1エンドプレート4の中央を通り、第2方向に沿って延びる直線である。
【0031】
一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)は、第1方向において、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)よりも内側に位置している。すなわち、一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)は、第1方向における第1エンドプレート4の最外部(本実施形態では第1辺12-1及び第2辺12-2)よりも内側に位置している。
【0032】
上述のような構成を有していることにより、伸長時における耐振性が改善される。以下に、その理由について、参考例を参照しつつ、説明する。
【0033】
図4は、参考例に係る全固体電池モジュールの一部を示す斜視図であり、第1エンドプレート4を示す概略図である。この参考例においては、第1方向において第1エンドプレート4を挟むように、一対のガイド部材(8-1及び8-2)が設けられている(
図4に示される例では、第2方向の両端に一対ずつガイド部材が設けられており、合計で二対のガイド部材が設けられている)。ただし、第1エンドプレート4に突出領域9は設けられていない。第1エンドプレート4は、第1辺12-1及び第2辺12-2の一部において、ガイド部材(8-1及び8-2)によりガイドされている。すなわち、各第1被ガイド面10(10-1、10-2)は、第1方向における第1エンドプレート4の最外部に存在している。
【0034】
図5は、参考例に係る全固体電池モジュールを示す概略図である。
図5(a)は電池部2が収縮した時の構成を示し、
図5(b)は電池部2の伸長時における構成を示している。なお、
図5(a)及び
図5(b)には、全体の構成に加えて、第1エンドプレート4とガイド機構8とが対向する部分の構成も拡大して示されている。
【0035】
図5(a)に示されるように、収縮時には、第1エンドプレート4に加わる拘束力は小さい。従って、第1エンドプレート4に生じる撓みが小さく、各第1被ガイド面10とガイド機構8(ガイド部材8-1及び8-2)との間のクリアランスは意図した大きさとなる。従って、第1方向における第1エンドプレート4の変位が意図通りにガイド機構8により規制され、高い耐振性が発揮される。一方、
図5(b)に示されるように、伸長時には、第1エンドプレート4に加わる拘束力が大きくなる。その結果、第1エンドプレート4が撓む。具体的には、電池部2によって支持されている中央部分に比べ、電池部2によって支持されておらず、拘束力作用部(11-1、11-2)が形成された両端部の方が、第2エンドプレート5側に近づく。この撓みにより、第1エンドプレート4とガイド部材(8-1、8-2)との間のクリアランスが広がり、耐振性が損なわれる。
【0036】
これに対して、本実施形態においては、
図2及び
図3等に示したように、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)が、それぞれ、第1方向において、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)よりも内側に位置している。また、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)は、中心線cを挟むような位置に設けられている。すなわち、各第1被ガイド面(10-1、10-2)は、中心線cに近い位置に存在している。中心線cに近い位置に存在しているから、第1被ガイド面(10-1、10-2)の位置は、撓みの影響を受けにくい。すなわち、伸長時と収縮時とで、各第1被ガイド面(10-1、10-2)と各ガイド部材(8-1及び8-2)との間のクリアランスに違いが生じにくい。これにより、伸長時においても耐振性が維持される。
【0037】
以上、第1の実施形態について説明した。
【0038】
なお、電池部2に含まれる電池セル3は、全固体電池の電池セルであればよく、特に限定されない。例えば、電池セル3として、負極がLi金属により形成されたものを用いることができる。このような電池セル3は、充放電に伴い、伸縮しやすい。従って、本実施形態に係る構成を採用することの効果が得られやすい。
【0039】
また、本実施形態においては、第1エンドプレート4が概ね矩形状であり、第1辺12-1及び第2辺12-2が設けられている場合について説明した。しかし、第1エンドプレート4の形状は、このような形状に限定されるものではない。例えば、第1エンドプレート4は、概ね円板状であってもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、弾性拘束機構7が環状のゴムバンドを有している場合について説明した。しかしながら、弾性拘束機構7は、第1方向における第1エンドプレート4の両端部に拘束力作用部11-1及び11-2が形成されるように構成されていればよく、必ずしも環状のゴムバンドを有している必要はない。例えば、弾性拘束機構7として、それぞれが独立して第1エンドプレート4と第2エンドプレート5とを連結する、複数の弾性部材を用いてもよい。例えば、1つの弾性部材が第1方向における第1エンドプレート4の一方の端部と第2エンドプレート5とを連結するように設けられ、別の線状の弾性部材が、第1方向における第1エンドプレート4の他方の端部と第2エンドプレート5とを連結するように設けられていてもよい。
【0041】
本実施形態に係る全固体電池モジュール1の用途は特に限定されない。例えば、全固体電池モジュール1は、車両用として用いることができる。車両に搭載される全固体電池モジュール1に対しては、移動時の衝撃が加わりやすいため、高い耐振性が要求される。本実施形態によれば、そのような要求を満たすことができるから、車両用として特に有用である。
【0042】
(変形例1-1)
続いて、第1の実施形態の変形例1-1について説明する。
図6は、本変形例における第1エンドプレート4を示す図であり、積層方向に沿って第1エンドプレート4を見た時の図である。本変形例では、第1エンドプレート4とガイド機構8との配置がさらに工夫されている。
【0043】
本変形例においては、各ガイド部材(8-1、8-2)が、第2方向においても、第1エンドプレート4の一部と近接した状態で対向している。
【0044】
詳細には、第2方向における第1エンドプレート4の各側面には、一対の第2被ガイド面(13-1、13-2)が設けられている。一対の第2被ガイド面(13-1、13-2)は、突出領域9を第1方向において挟むような位置に設けられている。なお、
図6に示した例では、2つの突出領域9が設けられているから、第2被ガイド面(13-1、13-2)は、合計で2対設けられている。
【0045】
各第2被ガイド面(13-1、13-2)は、第2方向における第1エンドプレート4の変位が規制されるように、各ガイド部材(8-1、8-2)に対して第2方向において近接した状態で対向している。
【0046】
本変形例によれば、第1方向だけでなく、第2方向においても、第1エンドプレート4の変位が規制される。また、第1エンドプレート4は、第2方向においては撓みにくい。従って、本変形例によれば、伸長時における耐振性をさらに改善することができる。
【0047】
(変形例1-2)
続いて、第1の実施形態の変形例1-2について説明する。
図7は、本変形例における第1エンドプレート4を示す斜視図である。本変形例では、第1エンドプレート4において、各第1被ガイド面10(10-1、10-2)の形状が工夫されている。具体的には、
図7に示されるように、第1被ガイド面10は、膨らむような曲面である。
【0048】
図8は、本変形例の作用効果を説明するための図である。
図8(a)は参考例の構成を示し、
図8(b)は本変形例の構成を示す。
図8(a)に示されるように、参考例においては、第1被ガイド面10が平面である。このような構成の場合、第1エンドプレート4の端部に角部が生じる。その結果、第1エンドプレート4の撓み量が増えた場合に、第1エンドプレート4がガイド機構8に引っ掛かりやすくなる。これに対して、
図8(b)に示されるように、本変形例によれば、第1被ガイド面10が曲面であるので、撓み量が増えた場合であっても、第1エンドプレート4とガイド機構8とが引っ掛かりにくくなる。これにより、電池部2の伸長時に、第1エンドプレート4を容易に積層方向に沿ってスライドさせやすくなる。
【0049】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、第1の実施形態に対して、第1エンドプレート4及びガイド機構8の構成が変更されている。その他の点については、第1の実施形態と同様の構成を採用できるので、詳細については省略する。
【0050】
図9は、本実施形態における第1エンドプレート4を概略的に示す斜視図である。
図10は、第1エンドプレート4を積層方向に沿って見た時の図である。
【0051】
図9及び
図10に示されるように、第1エンドプレート4には、第2方向における両側面に、第2方向に沿って延びる凹部14が設けられている。そして、ガイド機構8は、各凹部14に嵌るように配置されたガイド部材8-3を有している。これにより、第1エンドプレート4は、各凹部14においてガイドされるようになっている。
【0052】
すなわち、本実施形態においては、被ガイド部20が、各凹部14に設けられている。そして、各凹部14に、一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)が、第1方向に沿って互いに向き合うように設けられている。各第1被ガイド面(10-1及び10-2)は、ガイド部材8-3に近接した状態で対向している。
【0053】
また、第1の実施形態と同様に、一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)は、積層方向に沿って見た場合に、中心線cを挟むような位置に設けられている。言い換えれば、凹部14は、中心線cに重なるような位置に設けられている。
【0054】
更に、第1の実施形態と同様に、一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)は、第1方向において、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)よりも内側に位置している。
【0055】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、一対の第1被ガイド面(10-1及び10-2)が、中心線cに近い位置に存在している。従って、各第1被ガイド面(10-1及び10-2)とガイド部材8-3との間の距離が、撓みの影響を受けにくい。これにより、第1の実施形態と同様に、伸長時においても、第1エンドプレート4とガイド機構8との間のクリアランスが広がりにくく、耐振性を維持することができる。
【0056】
(変形例2-1)
続いて、第2の実施形態の変形例2-1について説明する。
図11は、本変形例における第1エンドプレート4を示す斜視図である。本実施形態においては、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)の構成が変更されている。具体的には、第2方向に沿って見た場合に、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)が、第2エンドプレート5側ほど一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)の間の幅が広がるように、積層方向に対して傾斜している。
【0057】
図12は、本変形例の作用効果を説明するための概略図であり、伸長時における第1エンドプレート4とガイド部材8-3との位置関係を示す図である。
図12(a)は参考例の構成を示し、
図12(b)は本変形例の構成を示す図である。
図12(a)に示される参考例においては、第2方向に沿って見た場合に、各第1被ガイド面(10-1、10-2)は、積層方向に平行に伸びている。この参考例においては、伸長時に第1エンドプレート4が撓むと、各第1被ガイド面(10-1、10-2)の下側(積層方向における第2エンドプレート5側)がガイド部材8-3に近づくこととなり、隙間が小さくなる。その結果、第1エンドプレート4がガイド機構8(ガイド部材8-3)に引っ掛かりやすくなる。これに対して、本変形例によれば、
図12(b)に示されるように、第1エンドプレート4が撓んだ場合であっても、第1エンドプレート4とガイド機構8との間の隙間が維持される。従って、ガイド機構8に引っ掛かることなく、第1エンドプレート4を積層方向に沿ってスライドさせることができる。
【0058】
(変形例2-2)
続いて、第2の実施形態における変形例2-2について説明する。
図13は、本変形例における第1エンドプレート4を積層方向に沿って見た時の図である。本変形例では、第2方向における変位も規制されるように、第1エンドプレート4とガイド部材8-3との配置が工夫されている。
【0059】
詳細には、各凹部14には、第2方向に沿う方向を向く第2被ガイド面13が設けられている。そして、各第2被ガイド面13は、第2方向における第1エンドプレート4の変位が規制されるように、ガイド部材8-3に対して第2方向において近接した状態で対向している。
【0060】
本変形例によれば、第1方向だけでなく、第2方向においても、第1エンドプレート4の変位も規制される。第2方向においては、第1エンドプレート4にたわみが生じにくい。従って、本変形例によれば、伸長時における耐振性をさらに改善することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。なお、既述の実施形態と同様の構成を採用することができる点については、詳細な説明を省略する。
【0062】
図14は、本実施形態に係る全固体電池モジュール1の第1エンドプレート4を概略的に示す斜視図である。また、
図15は、第1エンドプレート4を積層方向に沿って見た時の図である。
【0063】
本実施形態においても、既述の実施形態と同様に、第1エンドプレート4の第1辺12-1及び第2辺12-2に、弾性拘束機構7が掛けられている。これにより、第1方向における第1エンドプレート4の両端部に、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)が形成されている。
【0064】
一方、本実施形態においては、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)が、第1方向において、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)と同じ位置に設けられている。詳細には、第1エンドプレート4には、ガイド機構8によりガイドされる部分である被ガイド部20が設けられている。被ガイド部20は、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)を第2方向において挟むように、第2方向における第1エンドプレート4の両側に設けられている。被ガイド部20は、第1方向において一対のガイド部材(8-1、8-2)により挟まれた部分である。すなわち、第1方向における各被ガイド部20の両側面に、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)が形成されている。一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)は、第1方向に沿って、互いに反対側を向いている。第1方向における被ガイド部20の幅(一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)間の幅)は、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)間の幅と同じである。
【0065】
第1エンドプレート4には、更に、スリット15が設けられている。スリット15は、第2方向における一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)と各被ガイド部20との間に設けられている。スリット15が設けられている結果、第1エンドプレート4には、第2方向における一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)と被ガイド部20との間に、狭幅部16が形成されている。狭幅部16は、その第1方向における幅が、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)間の幅よりも狭い部分である。狭幅部16は、積層方向に沿って見た場合に、中心線cと重なる位置に設けられている。
【0066】
本実施形態によれば、上述のような構成を有していることにより、伸長時における耐振性が改善される。詳細には、伸長時に、第1エンドプレート4は、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)間において大きく撓む。しかしながら、狭幅部16が設けられているから、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)間に生じる撓みは、被ガイド部20にまで伝わりにくい。従って、伸長時においても、各第1被ガイド面10とガイド機構8との間のクリアランスが広がりにくく、耐振性が維持される。
【0067】
(変形例3-1)
続いて、第3の実施形態の変形例3-1について説明する。
図16は、本変形例における第1エンドプレート4を示す図であり、積層方向に沿って第1エンドプレート4を見た時の図である。
【0068】
第3の実施形態(
図15参照)においては、第2方向において、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)よりも外側に被ガイド部20が設けられている。これに対して、本変形例においては、第2方向において、被ガイド部20が内側に設けられ、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)が外側に設けられている。なお、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)は、第2方向における両側に設けられている。すなわち、第1エンドプレート4には、合計で2対の拘束力作用部(11-1及び11-2)が存在している。
【0069】
そして、第2方向における各対の拘束力作用部(11-1及び11-2)と被ガイド部20との間には、スリット15及び狭幅部16が設けられている。
【0070】
本変形例のような構成を採用しても、狭幅部16が設けられているため、一対の拘束力作用部(11-1及び11-2)間に生じる撓みが、被ガイド部20にまで伝わりにくい。従って、各第1被ガイド面(10-1、10-2)とガイド機構8との間のクリアランスが広がりにくく、耐振性が維持される。
【0071】
以上、本発明について、第1~第3の実施形態を用いて説明した。なお、上述の実施形態及び変形例は互いに独立するものではなく、矛盾の無い範囲内で組み合わせて使用することができる。
【0072】
以下に、本発明の実施形態における構成と作用効果との関係について、代表的なものを付記として要約する。
【0073】
(付記1)
全固体電池モジュール1は、少なくとも1つの電池セル3を含む、電池部2と、電池部2を積層方向において挟むように配置された、第1及び第2エンドプレート(4、5)と、積層方向に沿って電池部2を圧縮するような拘束力が第1エンドプレート4に加わるように、第1エンドプレート4を弾性的に拘束する、弾性拘束機構7と、第1エンドプレート4が積層方向に垂直な第1方向に変位することを規制するガイド機構8であって、積層方向に沿って延びるガイド部材を有する、ガイド機構8とを有する。第1エンドプレート4は、第1方向における両端部に形成される領域であって、弾性拘束機構7による拘束力が作用する、一対の拘束力作用部(11-1、11-2)と、積層方向及び第1方向に垂直な方向である第2方向における端部に設けられ、ガイド機構8によりガイドされる、被ガイド部20とを有している。被ガイド部20は、それぞれが第1方向に沿う方向を向き、ガイド部材に近接した状態で対向する、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)を含む。一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)は、積層方向に沿って見た場合に、中心線cを挟むような位置に設けられている。ここで、中心線cは、第1方向における第1エンドプレート4の中央を通り、第2方向に沿って延びる直線である。一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)は、第1方向において、一対の拘束力作用部(11-1、11-2)よりも内側に位置している。
【0074】
上述のような構成によれば、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)が、撓みによる影響を受け難い中心線cに近い位置に設定されているから、電池部2が伸長した際であっても、第1エンドプレート4とガイド機構8との間のクリアランスが広がりにくい。従って、伸長時における耐振性が改善される。
【0075】
(付記2)
付記1にかかる全固体電池モジュール1において、第1エンドプレート4は、第2方向における側面から第2方向に沿って突出する、突出領域9を有する。被ガイド部20は、突出領域9に設けられている。ガイド機構8は、突出領域9を第1方向において挟むように設けられた一対のガイド部材(8-1、8-2)を有している。このような構成によれば、突出領域9を挟むように一対のガイド部材(8-1、8-2)を配置することによって、第1エンドプレート4をガイドすることが可能となる。
【0076】
(付記3)
付記2に係る全固体電池モジュール1において、第2方向における第1エンドプレート4の側面には、更に、突出領域9を第1方向において挟むような位置に、一対の第2被ガイド面(13-1、13-2)が設けられている。一対の第2被ガイド面(13-1、13-2)の各々は、第2方向における第1エンドプレート4の変位が規制されるように、一対のガイド部材(8-1、8-2)の各々に対して第2方向において近接した状態で対向している。このような構成によれば、第1方向だけでなく、第2方向においても、第1エンドプレート4の変位を規制することができる。
【0077】
(付記4)
付記2又は3に係る全固体電池モジュール1において、各第1被ガイド面(10-1、10-2)は、曲面により形成されている。このような構成によれば、第1エンドプレート4がガイド機構8に引っ掛かりにくくなる。
【0078】
(付記5)
付記1に係る全固体電池モジュール1において、第2方向における第1エンドプレート4の側面には、第2方向に沿って延びる凹部14が設けられている。被ガイド部20は、凹部14に設けられている。ガイド部材8-3は、凹部14に嵌るように配置されている。このような構成によれば、凹部14において、第1エンドプレート4をガイドすることが可能となる。
【0079】
(付記6)
付記5に係る全固体電池モジュール1において、一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)は、第2方向に沿って見た場合に、第2エンドプレート5側ほど一対の第1被ガイド面(10-1、10-2)の間の幅が広がるように、積層方向に対して傾斜している。このような構成によれば、伸長時においても、第1エンドプレート4とガイド機構8との間のクリアランスが確保される。そのため、第1エンドプレート4がガイド機構8に引っ掛かることを防止できる。
【0080】
(付記7)
付記5又は6に記載の全固体電池モジュールにおいて、凹部14は、更に、第2方向に沿う方向を向く第2被ガイド面13を有している。第2被ガイド面13は、第2方向における第1エンドプレート4の変位が規制されるように、ガイド部材8-3に対して第2方向において近接した状態で対向している。このような構成によれば、第1方向だけでなく、第2方向においても第1エンドプレート4の変位を規制することができる。
【0081】
(付記8)
付記8に係る全固体電池モジュールは、少なくとも1つの電池セル3を含む、電池部2と、電池部2を積層方向において挟むように配置された、第1及び第2エンドプレート(4、5)と、積層方向に沿って電池部2を圧縮するような拘束力が第1エンドプレート4に加わるように、第1エンドプレート4を弾性的に拘束する、弾性拘束機構7と、第1エンドプレート4が積層方向に垂直な第1方向に変位することを規制するガイド機構8であって、積層方向に沿って延びる一対のガイド部材(8-1、8-2)を有する、ガイド機構8とを有する。第1エンドプレート4は、第1方向における両端部に形成される領域であって、弾性拘束機構7による拘束力が作用する、一対の拘束力作用部(11-1、11-2)と、第1方向において一対のガイド部材(8-1、8-2)により挟まれ、ガイド機構8によりガイドされる、被ガイド部20とを有する。積層方向及び第1方向に垂直な方向が第2方向として定義される。第1エンドプレート4には、第2方向における一対の拘束力作用部(11-1、11-2)と被ガイド部20との間に、狭幅部16が設けられている。第1方向における狭幅部16の幅は、一対の拘束力作用部(11-1、11-2)間の幅よりも狭い。狭幅部16は、積層方向に沿って見た場合に、中心線と重なる位置に設けられている。ここで、中心線は、第1方向における第1エンドプレート4の中央を通り、第2方向に沿って延びる直線である。
【0082】
上述の構成によれば、狭幅部16が設けられているから、一対の拘束力作用部(11-1、11-2)間に生じる撓みが、被ガイド部20にまで伝わりにくい。従って、伸長時においても第1エンドプレート4とガイド機構8との間のクリアランスが広がり難い。その結果、耐振性が維持される。
【符号の説明】
【0083】
1・・・全固体電池モジュール、2・・・電池部、3・・・電池セル、4・・・第1エンドプレート、5・・・第2エンドプレート、6・・・第3エンドプレート、7・・・弾性拘束機構、8・・・ガイド機構、8-1、8-2・・・ガイド部材、9・・・突出領域、10(10-1、10-2)・・・第1被ガイド面、11-1~11-2・・・拘束力作用部、12-1・・・第1辺、12-2・・・第2辺、13-1、13-2・・・第2被ガイド面、14・・・凹部、15・・・スリット、16・・・狭幅部、20・・・被ガイド部