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特開2024-85665ロボットの自動教示方法及びロボット制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085665
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ロボットの自動教示方法及びロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200309
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】猪股 徹也
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS15
3C707CT04
3C707ES17
3C707HS27
3C707KV12
3C707LS06
3C707NS13
(57)【要約】
【課題】ステージ間でワークを搬送するロボットに対し、より正確にステージ中心を自動給餌できるようにする。
【解決手段】ステージ中心Cとの位置関係が既知である位置決定用治具61に接近する3N通りの方向(ただしN≧2)の方向を定め(ステップ101)、N番目ごとに方向を選択して3つの方向からなるグループを設定することを繰り返し、N個のグループを得る(ステップ102)。グループごとにそのグループの3つの方向を用いてハンド14を位置決定用治具61に接近させて位置決定用治具61の座標を求める(ステップ103)。グループごとに求めた座標の平均値を算出し(ステップ104)、その平均値を、自動教示に用いる位置決定用治具61の座標とする(ステップ107)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドを備えて作業領域の内部に配置されるロボットに対し、開口である接続部を介して前記作業領域に接続されたステージのステージ中心の位置を自動的に教示する自動教示方法であって、
前記作業領域の内部から前記接続部を介して前記ステージ中心に向かう方向をY方向とし前記Y方向に垂直な方向をX方向としてXY座標系を定め、前記XY座標系をロボット座標系とし、前記X方向と前記Y方向とによって張られる平面をXY平面とし、
前記ステージの内部において前記ステージ中心との相対的な位置関係が既知である位置に円柱状の位置決定用治具を配置する工程と、
Nが2以上の整数であるとして、前記ハンドを前記ステージの内部に進入させたときに、前記位置決定用治具に向かって前記XY平面において前記ハンドが取り得る角度範囲内で3N通りの方向を定める第1の設定工程と、
前記第1の工程で定めた前記3N通りの方向の中からN個の方向ごとに選んだ3個の方向によってグループが構成されるとして、前記角度範囲の一端側から起算点を変えつつ方向を選択して異なるN個のグループを設定する第2の設定工程と、
前記第2の設定工程で設定された前記グループごとに、当該グループに含まれる3つの方向から前記ハンドを前記位置決定用治具に接近させ、前記ハンドに設けられたセンサによって前記位置決定用治具を非接触で検出して前記ロボット座標系における前記位置決定用治具の座標を算出する位置算出工程と、
すべての前記グループについて得られた前記座標の平均値を求める平均算出工程と、
を有し、
前記平均値を前記ロボットの教示において用いられる前記位置決定用治具の座標とする、自動教示方法。
【請求項2】
前記位置算出工程で得られた前記座標の中から外れ値を探索し、前記外れ値が存在する場合には、前記平均算出工程において当該外れ値を除外して前記平均値を算出する、請求項1に記載の自動教示方法。
【請求項3】
前記平均算出工程において、すべての前記グループについて得られた前記座標の分散も算出し、前記分散に基づいて前記外れ値についての判定を行う、請求項2に記載の自動教示方法。
【請求項4】
前記第1の設定工程において、前記位置決定用治具から見て等角度間隔で前記3N通りの方向を定める、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動教示方法。
【請求項5】
前記ロボットは水平多関節ロボットであって、前記X方向と前記Y方向はいずれも水平面内での方向である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動教示方法。
【請求項6】
前記位置算出工程において、前記水平面内で前記ハンドを移動させる、請求項5に記載の自動教示方法。
【請求項7】
前記Y方向は、前記接続部の位置において前記作業領域の壁面に垂直な方向である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動教示方法。
【請求項8】
前記センサはスルービームセンサである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動教示方法。
【請求項9】
ハンドを備えて作業領域の内部に配置されるロボットを制御し、開口である接続部を介して前記作業領域に接続されたステージのステージ中心の位置を前記ロボットに対して自動的に教示するロボット制御装置であって、
前記作業領域の内部から前記接続部を介して前記ステージ中心に向かう方向をY方向とし前記Y方向に垂直な方向をX方向としてXY座標系が定められ、前記XY座標系がロボット座標系であり、前記X方向と前記Y方向とによって張られる平面がXY平面であり、前記ステージの内部において前記ステージ中心との相対的な位置関係が既知である位置に円柱状の位置決定用治具が配置されているときに、
Nが2以上の整数であるとして、前記ハンドを前記ステージの内部に進入させたときに前記位置決定用治具に向かって前記XY平面において前記ハンドが取り得る角度範囲内で3N通りの方向を定め、前記3N通りの方向の中からN個の方向ごとに選んだ3個の方向によってグループが構成されるとして、前記角度範囲の一端側から起算点を変えつつ方向を選択して異なるN個のグループを設定し、
設定された前記グループごとに、当該グループに含まれる3つの方向から前記ハンドを前記位置決定用治具に接近させ、前記ハンドに設けられたセンサによって前記位置決定用治具を非接触で検出して前記ロボット座標系における前記位置決定用治具の座標を算出し、
すべての前記グループについて得られた前記座標の平均値を求め、
前記平均値が前記ロボット座標系における前記位置決定用治具の座標であるとして前記ロボットの教示を行うロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの自動教示方法と、そのような自動教示方法を実行するロボット制御装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程においては、ワークである半導体ウエハをステージ間で搬送する搬送用のロボットが使用される。以下の説明において、ロボットによるワークの取り出し(すなわちロード)と荷降ろし(すなわちアンロード)の対象となるものをステージと総称する。半導体製造工程においてウエハの格納に用いられるカセットや、ウエハに対して何らかの処理を行うワーク処理装置は、それぞれステージである。ステージには、ロボットによって搬送されるときにワークが配置されるべき領域(ワーク配置領域と呼ぶ)が厳密に定められており、ワーク配置位置の中心をステージ中心と呼ぶ。ロボットを用いてステージ間でワークを搬送するためには、ステージごとにロボットの座標系におけるステージ中心の座標をロボットに教示(ティーチング)する必要がある。水平多関節ロボットにより半導体ウエハなどの板状のワークを搬送する場合であれば、ワークはその水平姿勢を保ったまま搬送され、ステージ内でワークのロードやアンロードのためにワークはわずかに垂直方向に動かされるので、水平面内におけるステージ中心を正確に教示すればよい。
【0003】
従来は、ロボットを制御するロボット制御装置にペンダントを接続し、ペンダントを介して手動でロボットを動作させることにより、ステージの正確な位置をロボットに教示していた。しかしながら手動による教示は、教示を行う作業員によるばらつきが生じたり、教示に長い時間を要するなどの課題を有する。ロボットとステージとの大まかな位置関係は、ロボットやステージの設計データや、ロボットやステージを現場に据え付けるときの据え付けデータなどから既知である。そこで特許文献1,2は、ステージ中心との位置関係が既知である円柱状の治具(ピンとも呼ばれる)をステージ内に配置し、ロボット先端のハンド(エンドエフェクタともいう)を異なる3つの方向で動かしながらハンドに取り付けられたセンサによってこの治具を非接触で検出することによって、ステージ中心を正確に求めることを開示している。この手法によれば、ロボットの座標系においてステージ中心の位置を正確に決定でき、ステージ中心の自動教示を行うことができる。センサとしては、発光部と受光部とを備え、治具によって光路が遮られたことを検出するスルービームセンサが使用される。特許文献3は、スルービームセンサを用いて治具を検出するときに、多数回の検出動作を行って回帰分析を行なったり、あるいは、最小二乗近似と数値探索とを実行したりして検出精度を向上させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-284728号公報
【特許文献2】特開2013-153187号公報
【特許文献3】特表2022-520052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハンドに設けられたスルービームセンサを用いて円柱状の治具を非接触に検出することによってステージ中心の座標値を求める場合において、繰り返し座標値を求めたときの再現性が悪くて位置の決定誤差が必ずしも小さくならないことがあり、それにより、十分な精度でロボットの自動教示を行うことができないことがある。
【0006】
本発明の目的は、ステージ中心をより正確に自動教示することができる自動教示方法と、そのような自動教示方法を実行するロボット制御装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の自動教示方法は、ハンドを備えて作業領域の内部に配置されるロボットに対し、開口である接続部を介して作業領域に接続されたステージのステージ中心の位置を自動的に教示する自動教示方法であって、作業領域の内部から接続部を介してステージ中心に向かう方向をY方向としY方向に垂直な方向をX方向としてXY座標系を定め、XY座標系をロボット座標系とし、X方向とY方向とによって張られる平面をXY平面とし、ステージの内部においてステージ中心との相対的な位置関係が既知である位置に円柱状の位置決定用治具を配置する工程と、Nが2以上の整数であるとして、ハンドをステージの内部に進入させたときに、位置決定用治具に向かってXY平面においてハンドが取り得る角度範囲内で3N通りの方向を定める第1の設定工程と、第1の工程で定めた3N通りの方向の中からN個の方向ごとに選んだ3個の方向によってグループが構成されるとして、角度範囲の一端側から起算点を変えつつ方向を選択して異なるN個のグループを設定する第2の設定工程と、第2の設定工程で設定されたグループごとに、そのグループに含まれる3つの方向からハンドを位置決定用治具に接近させ、ハンドに設けられたセンサによって位置決定用治具を非接触で検出してロボット座標系における位置決定用治具の座標を算出する位置算出工程と、すべてのグループについて得られた座標の平均値を求める平均算出工程と、を有し、平均値をロボットの教示において用いられる位置決定用治具の座標とする。
【0008】
一態様の自動教示方法によれば、全体としてできるだけ多くの方向からハンドを位置決定用治具に接近させるという条件と、相互にできるだけ離れた異なる3つの方向からハンドを位置決定用治具に接近させる条件とを両立させてロボット座標系での位置決定用治具の位置を決めることができるので、位置決定用治具の決定された座標におけるばらつきが小さくなって、自動教示精度が向上する。
【0009】
一態様の自動教示方法では、位置算出工程で得られた座標の中から外れ値を探索し、外れ値が存在する場合はその外れ値を除外して平均算出工程において平均値を算出することが好ましい。外れ値を除外することによって、位置決定用治具の位置についてのばらつきがさらに減少して自動教示精度をより高めることができる。この場合、平均算出工程において、すべてのグループについて得られた座標の分散σも算出し、分散σに基づいて外れ値についての判定を行うことができる。分散σを用いることにより、外れ値の判定が容易になる。
【0010】
一態様の自動教示方法では、第1の設定工程において、位置決定用治具から見て等角度間隔で3N通りの方向を定めることが好ましい。等間隔に方向を定めることによって種々の誤差要因が平均化され、位置決定用治具の位置についてのばらつきがさらに減少する。
【0011】
一態様の自動教示方法では、ロボットは水平多関節ロボットであって、X方向とY方向はいずれも水平面内での方向である。この場合、水平多関節ロボットがワークを搬送する搬送用ロボットであれば、ワークの取り置き失敗の頻度を低減させることができる。その場合、位置算出工程において水平面内でハンドを移動させることが好ましい。水平面内でハンドを移動させることによって、垂直方向にハンドを動かすことによるロボットの機械的な誤差の影響を排することができる。また一態様では、Y方向は、例えば、接続部の位置において作業領域の壁面に垂直な方向である。このように構成することにより、X方向に沿って作業領域の壁面にステージが並ぶときに、各ステージのステージ中心の自動教示を容易に行うことができるようになる。
【0012】
一態様の自動教示方法では、センサは、例えば、スルービームセンサである。ロボットが半導体ウエハの搬送用のものであるときは、ウエハの在荷状況の確認のためにこのようなスルービームセンサが設けられていることが多く、そのような場合には既存のスルービームセンサを用いて自動教示の精度を向上させることができる。
【0013】
一態様のロボット制御装置は、ハンドを備えて作業領域の内部に配置されるロボットを制御し、開口である接続部を介して作業領域に接続されたステージのステージ中心の位置をロボットに対して自動的に教示するロボット制御装置であって、作業領域の内部から接続部を介してステージ中心に向かう方向をY方向としY方向に垂直な方向をX方向としてXY座標系が定められ、XY座標系がロボット座標系であり、X方向とY方向とによって張られる平面がXY平面であり、ステージの内部においてステージ中心との相対的な位置関係が既知である位置に円柱状の位置決定用治具が配置されているときに、Nが2以上の整数であるとして、ハンドをステージの内部に進入させたときに位置決定用治具に向かってXY平面においてハンドが取り得る角度範囲内で3N通りの方向を定め、3N通りの方向の中からN個の方向ごとに選んだ3個の方向によってグループが構成されるとして、角度範囲の一端側から起算点を変えつつ方向を選択して異なるN個のグループを設定し、設定されたグループごとに、そのグループに含まれる3つの方向からハンドを位置決定用治具に接近させ、ハンドに設けられたセンサによって位置決定用治具を非接触で検出してロボット座標系における位置決定用治具の座標を算出し、すべてのグループについて得られた座標の平均値を求め、平均値がロボット座標系における位置決定用治具の座標であるとしてロボットの教示を行う。
【0014】
一態様のロボット制御装置によれば、全体としてできるだけ多くの方向からハンドを位置決定用治具に接近させるという条件と、相互にできるだけ離れた異なる3つの方向からハンドを位置決定用治具に接近させる条件とを両立させてロボット座標系での位置決定用治具の位置を決めることができるので、位置決定用治具の決定された座標におけるばらつきが小さくなって、自動教示精度が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロボットに対してステージ中心をより正確に自動教示することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)はロボットを示す平面図であり、(b)は図1(a)のB-B線に沿った概略断面図であり、(c)はハンドを示す拡大平面図である。
図2】(a)~(d)はステージ中心の自動教示を説明する図である。
図3】治具中心Oの座標の決定方法を説明する図である。
図4】自動教示方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の一形態の自動教示方法が適用されるロボットを示している。図示されるロボット1は、水平多関節ロボットであって、例えば長方形状の空間である作業領域5内に設置され、作業領域5を囲む壁面に設けられたステージ51の相互間で板状のワーク50を搬送するために用いられる。作業領域5は、ワーク50をステージ51間で搬送する際にロボット1が壁面などと干渉することなくそのアーム11~13やハンド14を動かすことができる空間である。また各ステージ51は、ロボット1によるワーク50のロード及びアンロードが行われる場所であり、その接続部52を介して作業領域5に対して接続している。接続部52は、ワーク50を搭載したロボット1のハンド14がステージ51の内部にアクセスできるように作業領域5の壁面に設けられた開口として構成されている。したがって、ロボット1によりステージ51に対してワーク50のロードやアンロードを行う場合、接続部52を通過するときのハンド14の移動方向は、一般に、作業領域5の壁面に垂直な方向である。また、ステージ51には、ロボット1によりワーク50のロードやアンロードを行うときに、そのステージ51においてワーク50が配置される位置であるワーク配置位置53が規定されている。ワーク配置位置53の中心をステージ中心Cとする。
【0018】
次に、ロボット1の詳細な構成について説明する。ロボット1は、作業領域5の床面上に配置されて固定される基台10と、基台10に対して直列に連結された3本のアームすなわち第1アーム11、第2アーム12及び第3アーム13と、第3アーム13に取り付けられたハンド14とを備えている。基台10は、昇降モータ(図示せず)によって駆動されて上下方向に昇降する昇降筒15を備えている。各アーム11~13及びハンド14はいずれも基端部と先端部とを有し、第1アーム11の基端部が昇降筒15に対して回転可能に連結することにより第1アーム11は基台10によって保持される。第1アーム11は、昇降筒15の昇降に伴って基台10に対して昇降可能である。昇降筒15の昇降によりアーム11~13及びハンド14が一体的に昇降するが、本実施形態は水平多関節ロボット1の水平面内での教示に関するものであり、昇降筒15による高さ方向の動きは水平面内でのアーム11~13やハンド14の動きに比べて小さいので、以下では、昇降筒15による高さ方向でのロボット1の移動についての詳細は説明しない。
【0019】
第1アーム11は、昇降筒15に内蔵されたモータ21によって駆動されて回転軸J0の周りで水平面内を回転する。第2アーム12の基端部が第1アーム11の先端部に回転可能に連結されており、第2アーム12は、第1アーム11によって保持されるとともに第1アーム11に内蔵されたモータ22によって駆動されて回転軸J1の周りで水平面内を回転する。同様に第3アーム13は、その基端部が第2アーム12の先端部に回転可能に保持されており、第2アーム12に内蔵されたモータ23によって駆動されて回転軸J2の周りで水平面内を回転する。ハンド14は、その基端部が第3アーム13の先端部に回転可能に保持されており、第3アーム13に内蔵されたモータ24によって駆動されて回転軸J3の周りで水平面内を回転する。
【0020】
図1(c)はハンド14の構成を示す拡大平面図である。ハンド14では、その先端部側がフォーク状に2つに分岐してフォーク部20を構成している。ワーク50は、搬送時にはハンド14においてフォーク部20の表面において水平に載置される。フォーク部20における一方の分岐の先端にはレーザー光を発する発光部26が設けられ、他方の分岐の先端には発光部26からのレーザー光が入射する受光部27が設けられており、発光部26と受光部27とによってスルービームセンサ25が構成されている。図において発光部26から受光部27に向かう矢印は、発光部26から受光部27に向かう光の光路28を示している。スルービームセンサ25によれば、受光部27において発光部26からの光を検出できたかどうかによって、発光部26と受光部27との間の光路28を遮る物体の有無を非接触で検知できる。このようなスルービームセンサ25は、ステージ51が半導体ウエハなどのワーク50をスロットごとに格納するカセットであるときに、そのカセットでのスロットごとの在荷状況を調べるマッピングを行うために、半導体ウエハの搬送に用いられるロボット1には一般的に設けられているものである。
【0021】
水平多関節ロボットであるロボット1の動作を説明するために、水平面内にXY座標を設定する。ここでは図示するように作業領域5が長方形の空間であってその長辺に沿って複数のステージ51が配置しているときに、長辺の延びる方向をX方向とし、X方向に垂直な方向をY方向とする。ロボット1がそのハンド14を用いてステージ51にアクセスするときは、ハンド14は、Y方向に移動して接続部52を通過し、ステージ51の内部に進入する。水平面内におけるロボット1の座標系(以下、ロボット座標系と呼ぶ)は、回転軸J0の位置を原点とする上述したようなXY座標系で表される。以下、このようにしてXY座標系が設定された水平面をXY平面と呼ぶ。また、ステージ51に対してワーク50をロードまたはアンロードするときには、ロボット座標系でのステージ中心Cの座標を用いてロボット1を動作させる必要があり、したがって、ロボット1の教示を行うときは、XY平面におけるステージ中心Cの正確な位置を教示する必要がある。なお、図1(b)に示すように、ロボット1にはロボット1の制御を行なうロボット制御装置30が接続しており、ロボット制御装置30は、外部から入力する指令に基づいて、モータ21~24及び昇降用モータ(不図示)を駆動し制御することができる。またロボット制御装置30は、ロボット1を制御して以下に説明する自動教示を実行することができる。
【0022】
次に、ロボット座標系におけるステージ中心Cの位置を正確に求める自動教示について説明する。自動教示では、水平面内でのロボット座標系でのステージ中心Cの座標、すなわち上述したXY平面でのステージ中心Cの座標を求める。そのために、ステージ51において、ステージ中心Cから離れておりかつステージ中心Cとの相対的な位置関係が既知である2か所に、それぞれ円柱形状の位置決定用治具61,62を配置する。図ではワーク配置位置53の外周に位置決定用治具61,62が配置されているように描かれているが、位置決定用治具61,62の配置される位置はこれに限定されるものではない。位置決定用治具61,62はXY平面すなわち水平面に対して直立するように設けられるので、位置決定用治具61,62の円柱としての軸は垂直方向に延びており、XY平面におけるこの軸の位置を治具中心Oとする。ロボット座標系における2つの位置決定用治具61,62の各々の治具中心Oの座標が分かれば、各治具中心Oとステージ中心Cとの位置関係も既知であることから、ロボット座標系でのステージ中心Cの位置、すなわちそのXY座標値が算出できることになる。
【0023】
図2は、自動教示を説明する図である。本実施形態では、位置決定用治具61,62の各々の治具中心Oのロボット座標系でのXY座標値をロボット1のハンドに設けられているスルービームセンサ25を用いて非接触で決定する。位置決定用治具61,62は円柱状であり、その水平面による断面形状は真円であり、その真円の中心は治具中心Oである。そこでロボット1を動作させて位置決定用治具61,62の各々ごとに作業領域5の側から異なる3つの方向でハンド14をその位置決定用治具61,62に向けて接近させる。この場合、接続部52の開口を介してハンド14をステージ51内に進入させるので、位置決定用治具61,62ごとにハンド14が取り得る角度範囲には接続部52の開口の大きさによって制約が生じる。作業領域5やステージ51の設計データ、作業領域5内のどこにロボット1を設置したかの設置データに基づいて、ロボット座標系で表したステージ中心Cや各位置決定用治具61,62の大まかな位置は分かっているので、作業領域5の壁面やステージ51の壁面にロボット1を衝突させることなく、各位置決定用治具61,62に向けてハンド14を接近させることができる。
【0024】
図2(a)は、一方の位置決定用治具61に対して異なる3つの方向からハンド14を接近させることを示している。ハンド14を位置決定用治具61に接近させると、スルービームセンサ25の光路28が位置決定用治具61によって遮られる。ハンド14の移動中に光路28が遮られる瞬間において、その光路28は、XY平面において位置決定用治具61の外周を表す円の接線と一致することになる。光路28が遮られた瞬間のロボット1の各軸の角度はモータ21~24に接続されたエンコーダの出力から知ることができ、また、ロボット1のアーム11~13やハンドの長さは既知であるから、位置決定用治具61によって光路28が遮られたことに基づいて、XY平面において位置決定用治具61が表す円の接線の方程式を得ることができる。異なる3つの方向からハンド14を位置決定用治具61に接近させると、図2(b)に示すように、XY平面における3本の接線L1~L3が得られ、これらの接線L1~L3のそれぞれの方程式を得ることができる。これらの接線間の2等分線の交点、例えば接線L1,L2の2等分線を直線M1とし、接線L2,L3の二等分線を直線M2とすれば、直線M1,M2の交点が治具中心Oとなる。したがって、接線L1~L3の方程式から位置決定用治具61の治具中心Oの正確なXY座標値を求めることができる。同様の手順をもう一方の位置決定用治具62にも適用することによって、位置決定用治具62の治具中心Oの正確なXY座標値も求めることができ、ロボット座標系における位置決定用治具61,62な正確な位置が求められたことになる。ステージ中心Cと位置決定用治具61,62との正確な相対的な位置関係は分かっているので、図2(c)に示すように、正確に決定された位置決定用治具61,62を使用して、ロボット座標系におけるステージ中心Cの正確な位置を決定することができる。すなわち、ステージ中心Cの位置を自動的に教示できたことになる。
【0025】
以上の説明は、2本の位置決定用治具61,62をステージ中心Cから離れて配置する場合のものであるが、図2(d)に示すようにステージ中心Cに位置決定用治具61を配置できるのであれば、上述と同様にロボット座標系における位置決定用治具61の座標を決定することにより、ステージ中心Cの座標を求めることができる。言い換えればこの場合にはステージ中心Cに配置した1本の位置決定用治具61のみを用いてステージ中心Cの自動教示を行うことができる。
【0026】
しかしながら、ロボット1における各種の機械的な誤差、スルービームセンサ25の光路28のビーム径が有限であること、環境光の影響などから、上記のようにしてロボット座標系における位置決定用治具61,62の位置すなわち治具中心Oの座標を求めた場合に再現性が低下し、得られる座標値にばらつきが生じることがある。このような再現性の低下は、治具中心Oの座標における大きな誤差を意味し、ステージ中心Cの教示における教示誤差をもたらす。治具中心Oの座標の決定における誤差を小さくするためには、異なる3つの方向からハンド14を接近させて治具中心Oの座標を求めることをハンド14の動く方向を変えながら複数回実行し、各回の位置決定で得られた座標値を平均することが考えられる。そこで本実施形態では、異なる3つの方向からハンド14を接近させて治具中心Oの座標を求めることを複数回行ってその平均から治具中心Oの座標を求めることとする。ここで座標の決定回数をN(ただしN≧2)とすれば、合計で3N回にわたってハンド14を位置決定用治具61に接近させるが、本実施形態では、治具中心Oの座標の決定誤差が小さくなるように、各回の位置決定でのハンド14の移動方向を選択する。図3は、本実施形態での治具中心Oの座標の決定方法を説明する模式平面図である。ここでは位置決定用治具61の治具中心Oの座標の決定方法を説明するが、位置決定用治具62の治具中心の座標も同様に決定することができる。
【0027】
上述したように位置決定用治具61に接近するときのハンド14が取り得る角度範囲には制約がある。この角度範囲は、治具中心Oを中心として作業領域5を向いた角度範囲であり、図3(a)ではθで表されている。角度範囲θの大きさは、どれだけ大きくても180度未満であり、通常は、数十度程度である。一方、異なる3つの方向から位置決定用治具61にハンド14を接近させて治具中心Oのロボット座標系での位置を決定する場合、ハンド14を接近させる3つの方向が相互にできるだけ離れている方が座標の決定精度は向上する。また、治具中心Oの座標を決定するときの誤差の要因にはロボット1における減速機の角度伝達誤差が含まれ、減速機の角度伝達誤差の影響を小さくするためには、角度範囲θ内で全体としてできるだけ多くの方向から位置決定用治具61に向けてハンド14を接近させて誤差の影響を相殺することが好ましい。治具中心Oの座標を決定するときの他の誤差の要因の影響を小さくするためにも全体としてできるだけ多くの方向から位置決定用治具61に向けてハンド14を接近させることが好ましい。
【0028】
位置の決定を行うごとにハンド14を相互にできるだけ離れた異なる3つの方向から位置決定用治具61に接近させる、という条件と、全体としてできるだけ多くの方向から位置決定用治具61に接近させる、という条件を考慮して、本実施形態では、上述した角度範囲θ内に3N通りの方向を設定する。各方向はいずれも1回の位置決定にしか使用されない。これらの方向は、治具中心Oから見て等角度間隔で並んでいることが好ましい。図3(a)では、設定された方向の各々が矢印で示されており、各小円は、その小円に対応する方向でハンド14を位置決定用治具61に接近させたときにハンド14のスルービームセンサ25の光路28が位置決定用治具61の外周と接することになるであろう位置を示している。図では、N=5の場合が示されており、15(=3×5)通りの方向からハンド14が位置決定用治具61に接近する。Nを5よりもさらに大きくし、ハンド14が接近する方向の相互間の角度をより小さくすることにより、治具中心Oの座標の決定精度をさらに高めることができる。
【0029】
図3(a)に示した例では、1回の位置決定に3つの方向を使用するから、15通りの方向を用いることにより5回の位置決定を行うことができる。各回の位置決定において用いる3つの方向はできるだけ離れていることが好ましいから、角度範囲θの一方の端部側から数えて、1番目、6番目及び11番目の方向を第1グループとし、2番目、7番目及び12番目の方向を第2グループとし、以下同様にして、5番目、10番目及び15番目の方向を第5グループとする。図3(b)は、図3(a)に示す15通りの方向をどのように組み合わせてグループとするかを小円内のハッチングで示している。そしてグループごとにそのグループに属する3つの方向を用いて治具中心Oの位置を座標として決定する。図3(c)は、グループごとに算出された治具中心Oの位置を示す図であり、グループごとに算出された位置は十字型のマークによって示されている。また、小円は、図3(b)に示すようにグループ分けがなされているとして、スルービームセンサ25の光路28によってどの位置で位置決定用治具61の外周を検出したかを示している。したがって、図3(c)に示す小円は、ロボット座標系のものではあるが、上述した各誤差を含んで決定された位置を示しており、太線で示す本来の位置決定用治具61の外周の位置からはずれている。各回の位置決定ではこのように誤差を含んだ位置から治具中心Oの位置を算出するので、算出された治具中心Oの位置もばらついている。
【0030】
本実施形態では、各回の位置決定によって求められた治具中心Oの座標の平均を求めることにより、治具中心Oの最終的な座標を決定し、それに基づいてステージ中心Cの座標を算出してステージ中心Cの自動教示を行う。そのとき、各回の位置測定による治具中心Oの座標に外れ値が存在するときは、そのような外れ値である座標を除外して治具中心Oの座標の平均値を求めることが好ましい。外れ値の検出方法としては公知のものを使用することができるが、例えば、各回の位置測定による治具中心Oの座標の平均値を求めるときに、座標についての分散σも求め、算出された平均値との距離が3σ以上となる座標データを外れ値とすることができる。図において破線の円は、3σの範囲を示しており、ここで示す例では、第1グループの3つの方向を用いてハンド14を位置決定用治具61に接近させて得た治具中心Oの位置が3σの範囲の外側にあり、外れ値として取り扱われる。このように外れ値を除外して治具中心Oの最終的な座標を決定することにより、誤差の大きなグループを除外して治具中心Oの座標を決定できるので、治具中心Oの座標の再現性が向上してステージ中心Cの位置の教示誤差も小さくすることができる。
【0031】
図4は、位置決定用治具61の治具中心Oのロボット座標系での座標値を求める上述した処理を示すフローチャートである。この処理は、ロボット制御装置30によって実行される。まず、ステップ101において、位置決定用治具61に対してハンド14を接近させるときにハンド14が取り得る角度範囲θの範囲内で、3N通りの方向を例えば等角度間隔で設定する(ただしN≧2)。次にステップ102において、3N通りの方向の中で、角度範囲θの一方の端部側から数えて1番目の方向とN+1番目の方向と2N+1番目の方向の組み合わせ、2番目とN+2番目と2N+2番目の組み合わせ、N番目と2N番目と3N番目の組み合わせというように、N番目ごとに方向を選択してそれぞれが3つの方向からなるグループを合計N個設定する。そしてステップ103において、グループごとに、そのグループの3つの方向を用いてハンド14を位置決定用治具61に接近させ、図2を用いて説明した手順にしたがってロボット座標系での治具中心Oの座標を算出する。N個のグループの全てについて治具中心Oの座標の算出が終わったら、次に、ステップ104において、ステップ103においてグループごとに求めた合計N個の治具中心Oの座標から、それらの平均値と分散σとを求める。その後、ステップ105において、分散σに基づいて外れ値があるかどうかを判定し、外れ値がある場合には、ステップ106において、その外れ値を除外して治具中心Oの座標の平均値を再計算し、ステップ107に進む。ステップ105において外れ値がないと判定したときもそのままステップ107に進む。ステップ107では、ステップ104で得られた平均値(外れ値がない場合)またはステップ106での再計算で得られた平均値(外れ値があった場合)を自動教示に用いる治具中心Oの座標とする。これにより、位置決定用治具61について、自動教示に用いる治具中心Oの座標が定まったことになる。もう1つの位置決定用治具62についても、同様の処理によって自動教示に用いる治具中心Oの座標が定めることができ、これらの座標を用いてステージ中心Cの自動教示を行うことができる。
【0032】
以上説明した本実施形態によれば、治具中心Oの座標を再現性よく求めることができて精度が向上し、それにより、ステージ中心Cについての教示誤差も小さくすることができる。自動教示の再現性と精度が向上することにより、搬送物であるワーク50の取り置き失敗や自動教示のやり直しの頻度を減少させることができ、ロボット1を含むシステム全体の生産性を向上させることができる。
【0033】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0034】
(1) ハンドを備えて作業領域の内部に配置されるロボットに対し、開口である接続部を介して前記作業領域に接続されたステージのステージ中心の位置を自動的に教示する自動教示方法であって、
前記作業領域の内部から前記接続部を介して前記ステージ中心に向かう方向をY方向とし前記Y方向に垂直な方向をX方向としてXY座標系を定め、前記XY座標系をロボット座標系とし、前記X方向と前記Y方向とによって張られる平面をXY平面とし、
前記ステージの内部において前記ステージ中心との相対的な位置関係が既知である位置に円柱状の位置決定用治具を配置する工程と、
Nが2以上の整数であるとして、前記ハンドを前記ステージの内部に進入させたときに、前記位置決定用治具に向かって前記XY平面において前記ハンドが取り得る角度範囲内で3N通りの方向を定める第1の設定工程と、
前記第1の工程で定めた前記3N通りの方向の中からN個の方向ごとに選んだ3個の方向によってグループが構成されるとして、前記角度範囲の一端側から起算点を変えつつ方向を選択して異なるN個のグループを設定する第2の設定工程と、
前記第2の設定工程で設定された前記グループごとに、当該グループに含まれる3つの方向から前記ハンドを前記位置決定用治具に接近させ、前記ハンドに設けられたセンサによって前記位置決定用治具を非接触で検出して前記ロボット座標系における前記位置決定用治具の座標を算出する位置算出工程と、
すべての前記グループについて得られた前記座標の平均値を求める平均算出工程と、
を有し、
前記平均値を前記ロボットの教示において用いられる前記位置決定用治具の座標とする、自動教示方法。
【0035】
(2) 前記位置算出工程で得られた前記座標の中から外れ値を探索し、前記外れ値が存在する場合には、前記平均算出工程において当該外れ値を除外して前記平均値を算出する、(1)に記載の自動教示方法。
【0036】
(3) 前記平均算出工程において、すべての前記グループについて得られた前記座標の分散も算出し、前記分散に基づいて前記外れ値についての判定を行う、(2)に記載の自動教示方法。
【0037】
(4) 前記第1の設定工程において、前記位置決定用治具から見て等角度間隔で前記3N通りの方向を定める、(1)乃至(3)のいずれかに記載の自動教示方法。
【0038】
(5) 前記ロボットは水平多関節ロボットであって、前記X方向と前記Y方向はいずれも水平面内での方向である、(1)乃至(4)のいずれかに記載の自動教示方法。
【0039】
(6) 前記位置算出工程において、前記水平面内で前記ハンドを移動させる、(5)に記載の自動教示方法。
【0040】
(7) 前記Y方向は、前記接続部の位置において前記作業領域の壁面に垂直な方向である、(1)乃至(6)のいずれかに記載の自動教示方法。
【0041】
(8) 前記センサはスルービームセンサである、(1)乃至(7)のいずれかに記載の自動教示方法。
【0042】
(9) ハンドを備えて作業領域の内部に配置されるロボットを制御し、開口である接続部を介して前記作業領域に接続されたステージのステージ中心の位置を前記ロボットに対して自動的に教示するロボット制御装置であって、
前記作業領域の内部から前記接続部を介して前記ステージ中心に向かう方向をY方向とし前記Y方向に垂直な方向をX方向としてXY座標系が定められ、前記XY座標系がロボット座標系であり、前記X方向と前記Y方向とによって張られる平面がXY平面であり、前記ステージの内部において前記ステージ中心との相対的な位置関係が既知である位置に円柱状の位置決定用治具が配置されているときに、
Nが2以上の整数であるとして、前記ハンドを前記ステージの内部に進入させたときに前記位置決定用治具に向かって前記XY平面において前記ハンドが取り得る角度範囲内で3N通りの方向を定め、前記3N通りの方向の中からN個の方向ごとに選んだ3個の方向によってグループが構成されるとして、前記角度範囲の一端側から起算点を変えつつ方向を選択して異なるN個のグループを設定し、
設定された前記グループごとに、当該グループに含まれる3つの方向から前記ハンドを前記位置決定用治具に接近させ、前記ハンドに設けられたセンサによって前記位置決定用治具を非接触で検出して前記ロボット座標系における前記位置決定用治具の座標を算出し、
すべての前記グループについて得られた前記座標の平均値を求め、
前記平均値が前記ロボット座標系における前記位置決定用治具の座標であるとして前記ロボットの教示を行うロボット制御装置。
【符号の説明】
【0043】
1…ロボット;5…作業領域;10…基台;11…第1アーム;12…第2アーム;13…第3アーム;14…ハンド;15…昇降筒;20…フォーク部;21~24…モータ;25…スルービームセンサ;26…発光部;27…受光部;28…光路;30…ロボット制御装置;50…ワーク;51…カセット;52…ステージ;53…ワーク配置位置;61,62…位置決定用治具;C…ステージ中心;O…治具中心。
図1
図2
図3
図4