(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085675
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】電磁波走査装置、及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3581 20140101AFI20240620BHJP
【FI】
G01N21/3581
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200332
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 景太朗
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059BB20
2G059EE01
2G059FF01
2G059FF04
2G059FF08
2G059HH05
2G059JJ14
2G059JJ15
2G059KK01
2G059LL03
2G059MM05
(57)【要約】
【課題】検査領域から電磁波が伝搬する距離を、実際の検査領域までの距離よりも長くする。
【解決手段】電磁波走査装置1は、電磁波を反射させる鏡11と、電磁波を反射させる反射面の角度を変化させる走査鏡12と、電磁波を集光する集光光学系13と、集光光学系13で集光された電磁波を受光する受光素子14と、を有する。鏡11は、検査領域Rから放射された電磁波を走査鏡12に向けて反射する。走査鏡12は、検査領域Rから放射され、鏡11で反射した電磁波を集光光学系13に向けて反射して、検査領域Rを走査する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を反射させる鏡と、
電磁波を反射させる反射面の角度を変化させる走査鏡と、
電磁波を集光する集光光学系と、
前記集光光学系で集光された電磁波を受光する受光素子と、
を有し、
前記鏡は、検査領域から放射された電磁波を前記走査鏡に向けて反射し、
前記走査鏡は、検査領域から放射され、前記鏡で反射した電磁波を前記集光光学系に向けて反射して、前記検査領域を走査する電磁波走査装置。
【請求項2】
前記検査領域を挟んで前記鏡と対向する位置に配置され、放射する電磁波の時間変化が所定の基準未満である基準物体を有する
請求項1に記載の電磁波走査装置。
【請求項3】
前記鏡を複数有し、
前記走査鏡は、複数の前記鏡のうち2以上の鏡による反射を経て入射した電磁波を前記集光光学系に向けて反射する
請求項2に記載の電磁波走査装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁波走査装置と、
前記受光素子での受光結果に基づき前記検査領域に存在する物体を検査する検査部と、
を有する検査装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電磁波走査装置と、
前記受光素子での受光結果に基づき前記検査領域に存在する物体を検査する検査部と、
前記検査領域から放射された電磁波の時間変化を検知する検知部と、
を有し、
前記検査部は、前記検知部が前記基準以上の時間変化を検知したときに検査を開始する
ことを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を走査する電磁波走査装置、及び電磁波走査装置を用いて人の所持物を検査する検査装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
所持物検査を行う方法として、電磁波を使用して衣服の下に隠匿された危険物の有無を検査する方法がある。例えば、特許文献1は、広角化しても、均一な電磁波検知を維持できる電磁波検知装置及びこれを用いたスキャナを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、空港における所持物検査は、比較的、処理速度が要求されないため、省スペースが要求されることも少ない。
【0005】
一方、イベント会場、公共交通機関、オフィスビル、ホテル等、一般の施設は、空港よりも高い処理速度を所持物検査に要求する。したがって、入場者の所持物を検査しながら、入場の速度(スループットともいう)を維持するには、例えば、上述した特許文献1に示す技術のように歩行者等の移動体を検査対象とすることが望ましい。また、これら一般の施設では、スループット向上のため、入場者の列を複数にしてそれら複数の列を並行して検査することが望ましく、一つの検査装置に許容される空間は空港等に比べて狭くなることが多い。
【0006】
電磁波を用いる検査装置は、省スペースが要求される場合、受光部から検査対象までの距離が十分にとれないため、回転走査機構を用いることが多い。さらに、走査の回転中心から検査対象までが近いと、検査装置は、走査の振れ角を広角化する必要がある。特許文献1に記載の技術は、広角化と検知の均一性維持との両立を目的としている。
【0007】
しかし、走査の振れ角を広角化すると、検査装置のスキャンレートは低下する。また、走査の振れ角が広がると、検査装置は、例えば隣の通路を通る人、天井、壁等の意図しない背景からの電磁波を受けることがある。意図しない背景からの電磁波を受けざるを得ない場合、検査装置は、受けたその電磁波が検査対象物から放射されたものであるか否かを区別しなければならない。
【0008】
本発明の目的の一つは、検査領域から電磁波が伝搬する距離を、実際の検査領域までの距離よりも長くした電磁波走査装置、及び検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電磁波を反射させる鏡と、電磁波を反射させる反射面の角度を変化させる走査鏡と、電磁波を集光する集光光学系と、前記集光光学系で集光された電磁波を受光する受光素子と、を有し、前記鏡は、検査領域から放射された電磁波を前記走査鏡に向けて反射し、前記走査鏡は、検査領域から放射され、前記鏡で反射した電磁波を前記集光光学系に向けて反射して、前記検査領域を走査する電磁波走査装置、を第1の態様として提供する。
【0010】
第1の態様の電磁波走査装置によれば、検査領域から電磁波が伝搬する距離を、実際の検査領域までの距離よりも長くすることができる。
【0011】
第1の態様の電磁波走査装置において、前記検査領域を挟んで前記鏡と対向する位置に配置され、放射する電磁波の時間変化が所定の基準未満である基準物体を有する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0012】
第2の態様の電磁波走査装置によれば、検査領域から放射される電磁波の時間変化に基づいて、検査対象が検査領域に存在しているか否かを判断することができる。
【0013】
第2の態様の電磁波走査装置において、前記鏡を複数有し、前記走査鏡は、複数の前記鏡のうち2以上の鏡による反射を経て入射した電磁波を前記集光光学系に向けて反射する、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0014】
第3の態様の電磁波走査装置によれば、1つの鏡のみを用いる場合に比べて、検査領域から電磁波が伝搬する距離を長くすることができる。
【0015】
本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の電磁波走査装置と、前記受光素子での受光結果に基づき前記検査領域に存在する物体を検査する検査部と、を有する検査装置、を第4の態様として提供する。
【0016】
第4の態様の検査装置によれば、検査領域から電磁波が伝搬する距離を、実際の検査領域までの距離よりも長くして、この検査領域に存在する物体を検査することができる。
【0017】
本発明は、請求項2に記載の電磁波走査装置と、前記受光素子での受光結果に基づき前記検査領域に存在する物体を検査する検査部と、前記検査領域から放射された電磁波の時間変化を検知する検知部と、を有し、前記検査部は、前記検知部が前記基準以上の時間変化を検知したときに検査を開始することを特徴とする検査装置、を第5の態様として提供する。
【0018】
第5の態様の検査装置によれば、検査領域から放射される電磁波の時間変化に基づいて、検査を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査装置9を上から見た例を示す平面図。
【
図2】電磁波走査装置1a、1bの構成の例を示す図。
【
図3】走査鏡12、集光光学系13、及び受光素子14を説明するための図。
【
図5】レドーム10、鏡11、基準物体18のZ軸方向の長さを示す図。
【
図6】鏡11aによる電磁波の反射を説明するための図。
【
図8】検査装置9による検査処理の動作の流れの例を示すフロー図。
【
図9】変形例における電磁波の伝搬路の例を示す図。
【
図11】変形例における走査鏡12の形状の例を示す図。
【
図12】変形例における電磁波走査装置1の例を上から見た図。
【
図13】変形例における電磁波走査装置1の例を右側面からみた図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
<検査装置の構成>
以下、図において、検査装置9の各構成が配置される空間をXYZ右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、円の中に点を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表し、円の中に交差する2本の線を描いた記号は、紙面手前側から奥側に向かう矢印を表す。空間においてX軸に沿う方向をX軸方向という。また、X軸方向のうち、X成分が増加する方向を+X方向といい、X成分が減少する方向を-X方向という。Y、Z成分についても、X成分と同様に定義される。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る検査装置9を上から見た例を示す平面図である。本発明の実施形態に係る検査装置9は、人Qの身体及びその所持物から放射される電磁波の放射量又は反射率の違いを用いて、隠し持った所持物を検出するウォークスルー検査装置である。
図1において、-Z方向は下向き、つまり、重力の方向であり、X軸方向は、進路Paの幅の方向であり、Y軸方向は、進路Paに沿った方向である。なお、人Qは、検査装置9による検査の対象となる者、つまり、検査対象者である。
【0022】
検査装置9は、4つの電磁波走査装置1a、1b、1c、1d(以下、これらを区別しない場合、単に「電磁波走査装置1」という)、及び情報処理装置2を有する。電磁波走査装置1と情報処理装置2は、有線又は無線で通信可能に接続されている。
【0023】
図1に示す4つの電磁波走査装置1は、いずれも進路Paに沿って+Y方向に歩行(移動)する人Q、及び人Qが所持している物(所持物という)からそれぞれ放射されるテラヘルツ波等の電磁波を受光(受波ともいう)し、その電磁波の強度の差から所持物を感知する機器である。これら4つの電磁波走査装置1は、いずれもZ軸方向に沿って伸びる柱状の筐体を有する。
【0024】
平面Fxは、X軸方向に平行な法線ベクトルを有し、進路Paの幅方向の中央に位置する仮想平面である。平面Fyは、Y軸方向に平行な法線ベクトルを有し、進路Paの進行方向の中央に位置する仮想平面である。検査装置9は、平面Fxと平面Fyとが交差する位置(以下、検査位置ともいう)を人Qが通過するときに、人Q及びその所持物を検査する。
【0025】
電磁波走査装置1aは、進路Paにおける検査位置の前方・左側に位置する。電磁波走査装置1bは、進路Paにおける検査位置の後方・左側に位置する。電磁波走査装置1bは、平面Fyについて電磁波走査装置1aの面対称となるように配置されている。つまり、電磁波走査装置1aと電磁波走査装置1bとは、平面Fyに関して鏡像の関係にある。
【0026】
また、電磁波走査装置1cは、進路Paにおける検査位置の前方・右側に位置する。電磁波走査装置1cは、平面Fxについて電磁波走査装置1aの面対称となるように配置されている。つまり、電磁波走査装置1aと電磁波走査装置1cとは、平面Fxに関して鏡像の関係にある。
【0027】
そして、電磁波走査装置1dは、進路Paにおける検査位置の後方・右側に位置する。電磁波走査装置1dは、平面Fxについて電磁波走査装置1bの面対称となるように配置されている。つまり、電磁波走査装置1bと電磁波走査装置1dとは、平面Fxに関して鏡像の関係にある。また、電磁波走査装置1dは、平面Fyについて電磁波走査装置1cの面対称となるように配置されている。つまり、電磁波走査装置1cと電磁波走査装置1dとは、平面Fyに関して鏡像の関係にある。
【0028】
進路Paにおける検査位置の周辺には、4つの検査領域Ra、Rb、Rc、Rd(以下、これらを区別しない場合、単に「検査領域R」という)がある。これら検査領域Rは、上述した4つの電磁波走査装置1のそれぞれによって検査される領域である。検査領域Raは、検査位置の前方・左側の領域である。検査領域Rbは、検査位置の後方・左側の領域である。検査領域Rcは、検査位置の前方・右側の領域である。検査領域Rdは、検査位置の後方・右側の領域である。
【0029】
検査領域Raと検査領域Rbとは、平面Fyに関して鏡像の関係にある。検査領域Raと検査領域Rcとは、平面Fxに関して鏡像の関係にある。検査領域Rbと検査領域Rdとは、平面Fxに関して鏡像の関係にある。これらの検査領域Rは、互いに鏡像関係にあるため、代表して検査領域Raに対する検査について説明する。
【0030】
検査位置を通過する人Q、及びその所持物のうち、検査領域Raから放射される電磁波は、その一部が伝搬路D1を通って電磁波走査装置1aに到達する。
【0031】
図2は、電磁波走査装置1a、1bの構成の例を示す図である。
図2の(a)に示す電磁波走査装置1aは、レドーム10a、鏡11a、走査鏡12a、集光光学系13a、受光素子14a、処理部15a、制御部16a、モータ17a、及び基準物体18aを有する。
【0032】
また、
図2の(b)に示す電磁波走査装置1bは、レドーム10b、鏡11b、走査鏡12b、集光光学系13b、受光素子14b、処理部15b、制御部16b、モータ17b、及び基準物体18bを有する。これらの構成は、上述した電磁波走査装置1aの、レドーム10a、鏡11a、走査鏡12a、集光光学系13a、受光素子14a、処理部15a、制御部16a、モータ17a、及び基準物体18aと共通のものである。電磁波走査装置1c、1dも、これらと共通する構成をそれぞれ有する。
【0033】
以下、これらの構成をそれぞれ区別しない場合、単に、レドーム10、鏡11、走査鏡12、集光光学系13、受光素子14、処理部15、制御部16、モータ17、及び基準物体18と記載する。
【0034】
レドーム10は、板状の部材であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン等の、電磁波を比較的透過させ易い樹脂材料により形成される。レドーム10は、電磁波走査装置1の筐体の外部から届く電磁波を内部へ透過させつつ、内部を埃等から保護する。
【0035】
鏡11は、例えば
図2の(a)に示すように電磁波走査装置1の筐体の表面のうち検査位置に向かう側に貼り付けられている。鏡11は、電磁波を反射させる鏡の例である。
【0036】
走査鏡12は、ポリゴンミラーとも呼ばれる。モータ17は、走査鏡12を回転させる原動機であり、例えば電動機である。モータ17は、制御部16によって制御される。
【0037】
図2の(a)に示す走査鏡12aは、モータ17aの駆動力を受けて軸Aaを中心に回転する。また、
図2の(b)に示す走査鏡12bは、モータ17bの駆動力を受けて軸Abを中心に回転する。以下、軸Aa、及び軸Abは、区別を要しない場合、単に軸Aと記載される。
【0038】
図3は、走査鏡12、集光光学系13、及び受光素子14を説明するための図である。走査鏡12の形状は、例えば、
図3に示すように四角錐である。走査鏡12は、回転することにより電磁波を反射させる反射面の角度を変化させ、検査領域Rを走査する。つまり、走査鏡12は、電磁波を反射させる反射面の角度を変化させる走査鏡の例である。
【0039】
集光光学系13は、走査鏡12で反射させられた電磁波を受光素子14に集光する鏡である。集光光学系13は、例えば放物面鏡である。つまり、この集光光学系13は、電磁波を集光する集光光学系の例である。
【0040】
受光素子14は、集光光学系13で集光されたテラヘルツ波等の電磁波を受光してその強度に応じた信号を生成する素子である。受光素子14は、例えば、フォトダイオード等である。つまり、この受光素子14は、集光光学系で集光された電磁波を受光する受光素子の例である。人Q等が放射するテラヘルツ波の周波数は、100GHz以上10THz未満の電磁波と言われている。この受光素子14は、例えば100GHz帯の電磁波を感知する。
【0041】
処理部15は、受光素子14が生成する信号を処理して、例えば、走査された検査領域Rから放射されている電磁波の強度を一列に並べたデータ(一次元走査データともいう)に変換する。処理部15は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)である。処理部15により変換されたこの一次元走査データは、制御部16に供給される。
【0042】
制御部16は、上述したモータ17を制御して、走査鏡12を回転させる。また、制御部16は、走査鏡12による1回の走査ごとに処理部15から上述した一次元走査データを受取る。そして、制御部16は、受取った一次元走査データの経時変化に基づいて、検査領域Rを通過する人Q、及びその所持物が放射する電磁波を示す画像データを生成する。
【0043】
例えば、走査鏡12の形状が上述した四角錐である場合、この走査鏡12は4回対称である。したがって、制御部16は、モータ17を介して走査鏡12を90度回転させるごとに、1回の走査が行われ、走査を1回行うごとに処理部15から上述した一次元走査データを受取る。制御部16は、受取った一次元走査データを順につなぎ合わせて画像データを生成し情報処理装置2へ供給する。
【0044】
基準物体18は、電磁波走査装置1の筐体のうち、進路Pa側に貼り付けられている。
図4は、基準物体18の例を示す図である。
図4に示す電磁波走査装置1dの筐体の表面のうち、進路Pa側である-X側には、基準物体18dが貼り付けられている。基準物体18dが配置されているこの位置は、
図1に示す通り、検査領域Raを挟んで電磁波走査装置1aに設けられた鏡11aと対向する位置である。
【0045】
この基準物体18dは、放射する電磁波の帯域が人Q、及びその所持物のいずれとも異なっている。また、この基準物体18dは、放射する電磁波の時間変化が予め決められた所定の基準よりも低い。つまり、この基準物体18は、検査領域を挟んで鏡と対向する位置に配置され、放射する電磁波の時間変化が所定の基準未満である基準物体の例である。
【0046】
人Qが検査領域Rを通過していないとき、走査鏡12は、検査領域Rを挟んで鏡11に対抗する位置に配置されたこの基準物体18から放射される電磁波を受光する。上述した通り、基準物体18と人Q、及びその所持物とでは、時間変化、又は帯域に関する電磁波の特性が異なるので、受光素子14により感知された電磁波の差異を用いることで、検査装置9は、人Qが検査領域Rを通過しているか否かを判断することができる。
【0047】
図1に示す通り、伝搬路D1を通って電磁波走査装置1aに到達した電磁波は、
図2の(a)に示す鏡11aにより正反射する。そして、正反射したこの電磁波は、伝搬路D2に沿って進み、
図1に示す通り電磁波走査装置1bに到達する。電磁波走査装置1bに到達したこの電磁波は、
図2の(b)に示すレドーム10bを通って走査鏡12bにより反射し、集光光学系13bによって集光され受光素子14bに到達する。
【0048】
図5は、レドーム10、鏡11、基準物体18のZ軸方向の長さを示す図である。
図5の(a)には電磁波走査装置1を上から、つまり、-Z方向に沿って見た平面図が示されている。
図5の(b)には電磁波走査装置1を、
図1に示す人Qの進行方向、つまり+Y方向に沿って見た正面図が示されている。
図5の(c)には電磁波走査装置1を、
図1に示す人Qの進行方向に対する右から左へ、つまり、-X方向に沿って見た右側面図が示されている。
【0049】
図5に示す通り、レドーム10のZ軸方向の長さ、つまり、高さはH10である。一方、鏡11の高さはH10よりも長いH11である。なお、基準物体18の高さは鏡の高さであるH11よりも長い。
【0050】
図6は、鏡11aによる電磁波の反射を説明するための図である。電磁波走査装置1bにおいて、走査鏡12bは軸Abを中心にして回転する。これにより、走査鏡12bの反射面は角度を変えるため、レドーム10bを通過して走査鏡12bが受光する範囲は、
図6に示す通り、軸Abを中心とする扇形になる。すなわち、走査鏡12bが軸Abを中心に回転することにより、電磁波走査装置1bは、Z軸方向のスキャンを行う。
【0051】
ここで、走査鏡12bが電磁波走査装置1aの鏡11aを経由することなく直接、人Qから電磁波を受光する場合、走査鏡12bから人QまでのY軸方向の距離はL0である。そのため、走査鏡12bは
図6に示す領域R0から届く電磁波しか受光することができない。この領域R0は、Z軸方向において人Qの胸から首まで程度である。一方、危険物等を秘匿して所持し得る位置は領域R0よりも大きい。仮に領域R0のみを検査するのであれば、検査装置9は、例えば、人Qが着ているジャケット、ズボン等のポケット内の危険物を検査することができない。
【0052】
本発明における電磁波走査装置1は、鏡11を利用するので、検査対象からの電磁波が伝搬する距離を、実際の検査対象までの距離よりも長くとることができる。
【0053】
例えば、電磁波走査装置1bの走査鏡12bは、電磁波走査装置1aに設けられた鏡11aの鏡面Faによって正反射された鏡像からの電磁波を受光する。つまり、走査鏡12bが受光するのは、実際の人Qから直接に放射された電磁波ではなく、鏡11aの鏡面Faにより正反射された人Qの鏡像体Qrから放射された電磁波である。したがって、走査鏡12bから検査対象である鏡像体Qrまでの見かけの距離はL0よりも長いL1となるので、走査鏡12bは
図6に示す領域R1から届く電磁波の全てを受光することができる。
【0054】
そして、この領域R1には、鏡像体Qrの膝から首までの範囲が全て含まれているので、上述した領域R0のみを検査する場合に比べて検査漏れが減少する。また、鏡11による鏡像からの電磁波を走査するので、電磁波走査装置1は、Z軸方向に複数の走査鏡12を設けなくても、人Qの所持物を検査することができる。
【0055】
さらに、走査鏡12は、実際の検査対象から直接に放射された電磁波を受光する場合に比べて、電磁波の伝搬距離を長くとれるので、走査の振れ角を比較的小さくすることができる。そのため、
図6に示した通り、電磁波走査装置1は、水平以下を視野とすることが可能となり、天井等、意図しない方向から届く電磁波を遮断することができる。また、1回あたりの振れ角が小さくても、十分な広さの検査領域Rを検査することができるため、1回あたりの走査にかかる時間が短くなり、鏡11を用いない場合に比べてスキャンレート(走査の速度、単位時間あたりの走査回数等)が向上する。
【0056】
電磁波走査装置1が有する鏡11は、検査領域から放射された電磁波を走査鏡に向けて反射する鏡の例である。また、電磁波走査装置1が有する走査鏡12は、検査領域から放射され、鏡で反射した電磁波を集光光学系に向けて反射して、検査領域を走査する走査鏡の例である。
【0057】
上述した通り、電磁波走査装置1は、走査鏡12によって検査領域RをZ軸方向に走査する。そして、進路Paを人Qが+Y方向に歩行(移動)することにより、人Q及びその所持物は、電磁波走査装置1の検査領域Rを通過する。これにより、電磁波走査装置1は、Y軸方向、及びZ軸方向に人Q及びその所持物をスキャンすることとなる。つまり、人Q及びその所持物は、放射する電磁波の強弱を示した平面画像として捉えられる。
【0058】
人Qの身体が100GHz帯のテラヘルツ波を発しているとき、この人Qが衣服の内側に金属等のテラヘルツ波を透過し難い所持物を隠していると、その所持物により人Qの身体が発するテラヘルツ波は遮蔽される。
【0059】
走査鏡12が鏡11を経由して検査領域Rにいる人Qを走査すると、走査鏡12が受光した電磁波は集光光学系13により受光素子14へ集光される。そして、受光素子14は、人Qと上述した所持物とのそれぞれから放射されるこれらの電磁波を感知する。処理部15は、受光素子14が生成した信号を処理して一次元走査データに変換する。制御部16は、処理部15から一次元走査データを取得し、これに基づいて、人Qと所持物とが平面画像として表された画像データを生成する。この画像データには、所持物の輪郭に沿って生じた電磁波の強度差が現れている。
【0060】
<情報処理装置の構成>
図7は、情報処理装置2の構成の例を示す図である。
図7に示す通り、情報処理装置2は、プロセッサ21、メモリ22、インタフェース23、操作部24、及び表示部25を有する。
【0061】
メモリ22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有し、オペレーティングシステム、各種のコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)、及びデータ等を記憶する。
【0062】
プロセッサ21は、メモリ22からオペレーティングシステム、及びプログラムを読出して実行することにより情報処理装置2の各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。また、プロセッサ21は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、FPGAを含んでもよい。また、このプロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は他のプログラマブル論理デバイスを有し、これらによって制御を行ってもよい。
【0063】
インタフェース23は、有線又は無線により情報処理装置2を他の装置に通信可能に接続する通信回路である。このインタフェース23は、例えば、
図1に示す4つの電磁波走査装置1とそれぞれ通信可能に接続されている。
【0064】
電磁波走査装置1は、検査領域Rに存在するときの人Qから放射される電磁波を受光素子14で受光し、その電磁波の方向ごとの強度に応じた平面画像を示す画像データを制御部16で生成して情報処理装置2に送る。つまり、この画像データは、受光素子14における受光結果に基づくものである。
【0065】
情報処理装置2のインタフェース23は、この画像データを取得してプロセッサ21に引き渡す。プロセッサ21は、この画像データを解析して人Qの所持物の形状を特定する。このようにして検査装置9は、人Qが衣服の内側に隠した金属、爆発物、セラミック、可燃性液体等の物体を検査する。なお、この検査装置9において、情報処理装置2は、受光素子での受光結果に基づき検査領域に存在する物体を検査する検査部の例である。
【0066】
操作部24は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ21に送る。この操作は、例えば、キーボードに対する押下、非接触タッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0067】
表示部25は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ21の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部24の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。表示部25は、進路Paの入口側等に設けられた表示画面を含んでもよい。例えば、入口側等に設けられた表示部25の表示画面は、進路Paの所定領域に入場しようとする検査対象者に向けてメッセージ等を表示してもよい。
【0068】
なお、情報処理装置2は、操作部24及び表示部25を有しなくてもよい。情報処理装置2は、インタフェース23を介して外部の装置から操作され、又は外部の装置に情報を提示してもよい。
【0069】
<検査装置の動作>
図8は、検査装置9による検査処理の動作の流れの例を示すフロー図である。電磁波走査装置1の制御部16は、受光素子14により生成される信号の時間変化に基づいて、検査領域Rに人Q等が到達しているか否かを判断する。受光素子14が生成する信号に閾値を超えた時間変化が生じた場合、走査鏡12が受光している電磁波は、基準物体18から放射されたものではなく、基準物体18と鏡11とに挟まれた検査領域Rを通過中の人Q、及びその所持物から放射されたものに変化しているからである。
【0070】
そして、制御部16は、人Q等の検査対象が検査領域Rに到達していると判断すると、情報処理装置2にその旨を通知する。なお、この制御部16は、電磁波走査装置1の受光素子14における受光結果により、検査領域Rから放射された電磁波の時間変化を検知している。つまり、この制御部16は、検査領域から放射された電磁波の時間変化を検知する検知部の例である。
【0071】
情報処理装置2のプロセッサ21は、4つの電磁波走査装置1のいずれかから通知を受けて、検査対象が検査領域Rに到達したか否かを判断する(ステップS101)。検査対象が検査領域Rに到達していない、と判定する間(ステップS101;NO)、プロセッサ21は、この判定を続ける。
【0072】
一方、検査対象が検査領域Rに到達した、と判定すると(ステップS101;YES)、プロセッサ21は、検査対象の検査を開始する。すなわち、プロセッサ21は、電磁波走査装置1のそれぞれに、進路Paに沿って歩行する人Qの走査を行わせ、人Qが危険物を所持しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0073】
情報処理装置2は、電磁波走査装置1の制御部16が検査領域Rから放射された電磁波の、基準以上の時間変化を検知したときに、検査対象の検査を開始する。したがって、この情報処理装置2は、検知部が基準以上の時間変化を検知したときに検査を開始する検査部の例である。
【0074】
人Qが危険物を所持していない、と判定する場合(ステップS102;NO)、プロセッサ21は、処理をステップS101に戻す。一方、人Qが危険物を所持している、と判定すると(ステップS102;YES)、プロセッサ21は、例えば、表示部25の表示画面等により、その旨を通知し(ステップS103)、処理を終了する。
【0075】
以上、説明した動作を行うことにより、検査装置9は、電磁波が検査領域Rから走査鏡12まで伝搬する距離を、実際の検査領域Rから走査鏡12までの距離よりも長くする。その結果、検査装置9は、Z軸方向に複数の走査鏡12を並べて配置しなくても限られたスペースで人Q及びその所持物を検査することができる。
【0076】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0077】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0078】
<1>
上述した実施形態において、検査装置9は、電磁波走査装置1に基準物体18を設けることによって、人Q等の検査対象が検査領域Rを通過しているときと、それ以外のときとを区別していた。しかし、検査装置9は、
図1に示す入退場検知器4を有してもよく、この入退場検知器4を用いて、検査対象が検査領域Rを通過しようとしているタイミングを検知してもよい。
【0079】
入退場検知器4は、進路Paの所定範囲における入口、出口等の所定位置に配置される。入退場検知器4は、人Qが所定範囲に入場し、又はその所定範囲から退場したことを検知する構成である。
図1に示す通り、例えば、入退場検知器4は、赤外線等の光を照射する素子とこの光を検知する素子との組を左右に配置し、人Qがその光を遮ったことを検知して、人Qによる入場及び退場を検知する。
【0080】
この場合、入退場検知器4は、情報処理装置2と有線又は無線で通信可能に接続されていればよい。この変形例において、入退場検知器4は、人Qの所定範囲への入場、又は所定範囲からの退場を検知すると、インタフェース23は、その情報を取得してプロセッサ21に伝える。情報処理装置2は、入退場検知器4から人Qの入場又は退場の通知を受取って、検査の開始、終了を判断すればよい。
【0081】
なお、入退場検知器4は、赤外線等を用いたものに限らず、例えば、可視光、音波等を用いたものであってもよい。また、入退場検知器4は、例えば、進路Paの下部に配置されたロードセルであってもよい。この場合、入退場検知器4は、進路Paの所定範囲に入場した人Qの重量を計測することにより、人Qの入場及び退場を検知する。
【0082】
<2>
上述した実施形態において、電磁波走査装置1は、それぞれ1つずつ鏡11を有していたが、2つ以上の鏡を有してもよい。また、電磁波走査装置1の走査鏡12は、2以上の鏡で反射した電磁波を受光して集光光学系13に向けて反射してもよい。
【0083】
図9は、変形例における電磁波の伝搬路の例を示す図である。
図9に示す通り、検査領域Raから放射される電磁波は、伝搬路D1、D2を経て、さらに伝搬路D3に沿って進むことで電磁波走査装置1aに到達する。
【0084】
図10は、変形例における2以上の鏡の例を示す図である。
図10には、電磁波走査装置1aの構成の詳細が示されている。変形例において、電磁波走査装置1aが有する鏡11aは、2つの鏡111a、鏡112aで構成される鏡111aは、電磁波走査装置1aの筐体に貼り付けられている。一方、鏡112aは、電磁波走査装置1aの筐体から離れた位置に配置されている。
【0085】
検査領域Raから伝搬路D1に沿って電磁波走査装置1aに到達した電磁波は、鏡111aにより正反射して、伝搬路D2に沿って進む。伝搬路D2の先には鏡112aが配置されている。そのため、伝搬路D2に沿って進む電磁波は、鏡112aにより正反射して、伝搬路D3に沿って進む。この伝搬路D3の先にはレドーム10aがある。その結果、伝搬路D3に沿って進む電磁波は、レドーム10aを通過して走査鏡12aに受光され、集光光学系13aに向けて反射される。そして、この電磁波は、この集光光学系13によって集光され受光素子14aに感知される。
【0086】
このように電磁波走査装置1は、検査対象から放射される電磁波を2以上の鏡11を使って2回以上、反射させて走査鏡12に受光させてもよい。この変形例における電磁波走査装置1は、鏡を複数有し、走査鏡が、複数の鏡のうち2以上の鏡による反射を経て入射した電磁波を集光光学系に向けて反射する電磁波走査装置の例である。この構成によれば、検査装置9は、鏡を用いない場合又は1つの鏡のみを用いる場合に比べて、同じ空間を使って電磁波を伝搬させる距離を長くすることができる。
【0087】
<3>
上述した実施形態において、走査鏡12の形状は四角錐であったが、反射面の角度を変化させることができればどのような形状であってもよい。
図11は、変形例における走査鏡12の形状の例を示す図である。
図11に示す通り、走査鏡12の形状は、八角錐であってもよい。走査鏡12の形状が八角錐である場合、この走査鏡12は8回対称である。したがって、制御部16は、モータ17を介して走査鏡12を45度回転させるごとに、走査鏡12に1回の走査を行わせることができる。つまり、走査鏡12の形状を八角錐にすることで、これを四角錐にしている場合に比べて、電磁波走査装置1は、スキャンレートを上げることができる。
【0088】
<4>
上述した実施形態において、4つの電磁波走査装置1は、いずれもZ軸方向に沿って伸びる柱状の筐体を有していたが、これらの数及び形状はこれに限らない。例えば、検査装置9は、それぞれが横に伸びる2つの電磁波走査装置1を、天井に配置していてもよい。
【0089】
図12は、変形例における電磁波走査装置1の例を上から見た図である。また、
図13は、変形例における電磁波走査装置1の例を右側面からみた図である。この変形例において、電磁波走査装置1aは、進路Paにおける検査位置の前方・上方に位置する。また、この変形例において、電磁波走査装置1bは、進路Paにおける検査位置の後方・上方に位置する。これら2つの電磁波走査装置1は、進路Paの上方の天井において横向きに伸びる箱状の筐体を有しており、それぞれ2つの鏡11と2つのレドーム10を有する。また、これら2つの電磁波走査装置1は、いずれも走査鏡12、集光光学系13、受光素子14、処理部15、制御部16、モータ17に相当する構成を2つずつ有している。
【0090】
図12に示す検査領域Raに存在している人Q、及びその所持物は、テラヘルツ波等の電磁波を放射している。これら電磁波のうち、一部は、
図12に示す伝搬路D1に沿って電磁波走査装置1aに到達する。そして、電磁波走査装置1aに到達したこの電磁波は、
図13に示す鏡11aにより反射して、電磁波走査装置1bのレドーム10bに到達する。その結果、この電磁波は、電磁波走査装置1bの走査鏡12bにより受光され、感知される。
【0091】
なお、この変形例において走査鏡12bは、Z軸に近い傾きを有する軸を中心に回転しているため、人Q等の検査対象のZ軸方向に沿った十分な範囲を見ることが困難な場合がある。そのため、鏡11aは、例えば、X軸に並行な軸を中心に揺動してもよい。これにより、電磁波走査装置1は、Z軸方向に検査領域Raを拡張することができる。
【0092】
<5>
上述した実施形態において、基準物体18は、電磁波走査装置1の筐体の表面に設けられていたが、筐体から離れた位置に設けられていてもよい。また、基準物体18は、検査領域Rを挟んで鏡11と対向する位置であれば、例えば、床に設けられていてもよい。
【0093】
<6>
上述した実施形態において、集光光学系13は、放物面鏡であったが、電磁波を受光素子に向けて集光することができれば他の構成であってもよい。例えば、集光光学系13は、凸レンズでもよい。
【0094】
<7>
上述した実施形態において、走査鏡12は、検査領域RをZ軸方向にのみ走査していたが、二次元走査をしてもよい。この場合、走査鏡12は、例えば、検査位置において静止している人Q及びその所持物に対して、ラスターパターン、又はリサージュパターンを用いて二次元走査を行う。ラスターパターンは、矩形の一辺に平行な主走査方向を進み、末端に到達すると画素に相当する距離だけ副走査方向に進むとともに主走査方向を先端に戻すパターンである。また、リサージュパターンは、いわゆるリサージュ図形に沿って二次元平面を走査するパターンであり、矩形平面で表される二次元を縦軸、横軸のいずれにも平行でない斜めの方向に走査することがあるパターンである。なお、二次元走査を行う場合、走査鏡12は2つの軸によって、それぞれ回転、又は揺動されればよい。
【0095】
<8>
上述した実施形態において、検査装置9は、人Q及びその所持物が自ら放射する電磁波を感知する、いわゆるパッシブ型の検査を行っていたが、アクティブ型の検査を行ってもよい。この場合、検査装置9は、検査対象に向けて電磁波を照射する照射装置を有してもよい。アクティブ型の検査を行う場合、検査装置9は、照射装置が検査対象に向けて照射し、その検査対象により反射された電磁波を電磁波走査装置1によって感知すればよい。
【符号の説明】
【0096】
1、1a、1b、1c、1d…電磁波走査装置、10、10a、10b…レドーム、11、11a、11b…鏡、111a、112a…鏡、12、12a、12b…走査鏡、13、13a、13b…集光光学系、14、14a、14b…受光素子、15、15a、15b…処理部、16、16a、16b…制御部、17、17a、17b…モータ、18、18a、18b、18d…基準物体、2…情報処理装置、21…プロセッサ、22…メモリ、23…インタフェース、24…操作部、25…表示部、4…入退場検知器、9…検査装置、D1…伝搬路、D2…伝搬路、D3…伝搬路、R、Ra、Rb、Rc、Rd…検査領域、R0…領域、R1…領域。