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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085686
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20240620BHJP
   H02G 15/18 20060101ALI20240620BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01R4/70 B
H02G15/18
H05K9/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200348
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】黒石 亮
【テーマコード(参考)】
5E321
5G375
【Fターム(参考)】
5E321AA21
5E321BB21
5E321BB25
5E321BB53
5E321CC16
5E321GG09
5E321GH07
5G375AA02
5G375CA02
5G375CA03
5G375CB08
5G375DB31
(57)【要約】
【課題】シールド電線に対して非シールド電線を接続した場合に、非シールド電線による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線の接続部分で止水性を付与できるようにすることを目的とする。
【解決手段】配線モジュール10は、芯線22と芯線被覆24とシールド26とシールド被覆28とを有するシールド電線20と、非シールド芯線32と非シールド芯線被覆34とを有し、芯線の端部に接続された非シールド電線30と、シールド芯線と芯線との接続部分を覆う絶縁部材40と、筒状シールドを含むと共に剛性を有し、シールドの端部が接続された状態で非シールド電線40を覆う筒状シールド部材50と、シールド被覆の端部及び筒状シールド部材の端部に止水状態で固定された状態で、シールドと筒状シールド部材との接続部分を覆う止水部材60と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と、前記芯線を覆う芯線被覆と、前記芯線被覆を覆うシールドと、前記シールドを覆うシールド被覆とを有するシールド電線と、
非シールド芯線と、前記非シールド芯線を覆う非シールド芯線被覆とを有し、前記非シールド芯線の端部が前記芯線の端部に接続された非シールド電線と、
前記非シールド芯線と前記芯線との接続部分を覆う絶縁部材と、
筒状シールドを含むと共に、前記非シールド電線の経路を保持可能な程度の剛性を有し、前記筒状シールドの端部に前記シールドの端部が接続された状態で前記非シールド電線を覆う筒状シールド部材と、
一端が前記シールド被覆の端部に止水状態で固定されると共に、他端が前記筒状シールド部材の端部に止水状態で固定された状態で、前記シールドと前記筒状シールド部材との接続部分を覆う止水部材と、
を備える配線モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の配線モジュールであって、
前記筒状シールド部材は、前記筒状シールドとして金属パイプを含む、配線モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の配線モジュールであって、
前記筒状シールド部材は、前記筒状シールドとしての筒状編組と、前記筒状編組を覆う樹脂パイプとを含む、配線モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記芯線が銅又は銅合金製であり、前記非シールド芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金製である、配線モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記非シールド芯線は、内部が埋まった充実導電体である、配線モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記シールドの端部が前記筒状シールドの端部の外周又は内周に重なった状態で、前記シールドの端部と前記筒状シールドの端部とを締付ける金属バンドをさらに備える、配線モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記筒状シールド部材は、延在方向中間部で曲がる曲げ部を有し、前記非シールド電線を曲がる経路に沿って保持する、配線モジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、
前記シールド電線と、前記絶縁部材と、前記止水部材とを2組備え、
前記2つのシールド電線が前記非シールド電線の両端に接続され、
前記2つの絶縁部材と、前記2つの止水部材とのそれぞれが、前記非シールド電線の両端側に設けられる、配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、単芯線電線と、第1撚り線電線と、第2撚り線電線と、パイプとを備える導電路を開示している。この導電路では、第1撚り線電線の一方の端部が単芯線の一方の端部に固着されており、第2撚り線電線の他方の端部が単芯線の他方の端部に固着されている。また、特許文献1には、パイプが、単芯線電線を包囲することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-63764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、シールド電線に対して非シールド電線を接続することが要請される場合がある。この場合に、非シールド電線による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線の接続部分で防水性を確保することが望まれる。
【0005】
そこで、シールド電線に対して非シールド電線を接続した場合に、非シールド電線による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線の接続部分で止水性を付与できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線モジュールは、芯線と、前記芯線を覆う芯線被覆と、前記芯線被覆を覆うシールドと、前記シールドを覆うシールド被覆とを有するシールド電線と、非シールド芯線と、前記非シールド芯線を覆う非シールド芯線被覆とを有し、前記非シールド芯線の端部が前記芯線の端部に接続された非シールド電線と、前記非シールド芯線と前記芯線との接続部分を覆う絶縁部材と、筒状シールドを含むと共に、前記非シールド電線の経路を保持可能な程度の剛性を有し、前記筒状シールドの端部に前記シールドの端部が接続された状態で前記非シールド電線を覆う筒状シールド部材と、一端が前記シールド被覆の端部に止水状態で固定されると共に、他端が前記筒状シールド部材の端部に止水状態で固定された状態で、前記シールドと前記筒状シールド部材との接続部分を覆う止水部材と、を備える配線モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シールド電線に対して非シールド電線を接続した場合に、非シールド電線による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線の接続部分で止水性を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1に係る配線モジュールを示す正面図である。
図2図2図1のII-II線断面図である。
図3図3は実施形態2に係る配線モジュールを示す断面図である。
図4図4は実施形態3に係る配線モジュールを示す断面図である。
図5図5は変形例に係る配線モジュールを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線モジュールは、次の通りである。
【0011】
(1)芯線と、前記芯線を覆う芯線被覆と、前記芯線被覆を覆うシールドと、前記シールドを覆うシールド被覆とを有するシールド電線と、非シールド芯線と、前記非シールド芯線を覆う非シールド芯線被覆とを有し、前記非シールド芯線の端部が前記芯線の端部に接続された非シールド電線と、前記非シールド芯線と前記芯線との接続部分を覆う絶縁部材と、筒状シールドを含むと共に、前記非シールド電線の経路を保持可能な程度の剛性を有し、前記筒状シールドの端部に前記シールドの端部が接続された状態で前記非シールド電線を覆う筒状シールド部材と、一端が前記シールド被覆の端部に止水状態で固定されると共に、他端が前記筒状シールド部材の端部に止水状態で固定された状態で、前記シールドと前記筒状シールド部材との接続部分を覆う止水部材と、を備える配線モジュールである。
【0012】
本配線モジュールによると、シールド電線に対して非シールド電線を接続した場合に、筒状シールド部材によって、非シールド電線による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与できる。また、止水部材の一端がシールド被覆の端部に止水状態で固定されると共に、止水部材の他端が筒状シールド部材の端部に止水状態で固定された状態で、止水部材がシールドと筒状シールド部材との接続部分を覆っているため、両電線の接続部分に止水性を付与できる。
【0013】
(2)(1)の配線モジュールであって、前記筒状シールド部材は、前記筒状シールドとして金属パイプを含んでもよい。
【0014】
このように、筒状シールド部材が金属パイプを含むと、単一部品によって、非シールド電線による導電経路に経路保持機能及びシールド性を付与し易い。
【0015】
(3)(1)の配線モジュールであって、前記筒状シールド部材は、前記筒状シールドとしての筒状編組と、前記筒状編組を覆う樹脂パイプとを含んでもよい。
【0016】
これにより、筒状編組によってシールド性を付与し、樹脂パイプによって経路保持機能を付与できる。
【0017】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載の配線モジュールであって、前記芯線が銅又は銅合金製であり、前記非シールド芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金製であってもよい。
【0018】
このように、配線経路のうち筒状シールド部材によって保護される部分を、アルミニウム又はアルミニウム合金製の非シールド芯線とすることで、低コスト化及び軽量化が可能となる。シールド電線については、銅又は銅合金製の芯線を用いることで、曲げ易くなり、配線作業性に優れる。
【0019】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの配線モジュールであって、前記非シールド芯線は、内部が埋まった充実導電体であってもよい。
【0020】
これにより、非シールド電線の細径化が可能となり、かつ、非シールド電線自体に経路保持機能を持たせ易い。
【0021】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線モジュールであって、前記シールドの端部が前記筒状シールドの端部の外周又は内周に重なった状態で、前記シールドの端部と前記筒状シールドの端部とを締付ける金属バンドをさらに備えてもよい。
【0022】
これにより、シールドと筒状シールドとを電気的接続状態でしっかり固定できる。
【0023】
(7)(1)から(5)のいずれか1つの配線モジュールであって、前記筒状シールド部材は、延在方向中間部で曲がる曲げ部を有し、前記非シールド電線を曲がる経路に沿って保持してもよい。
【0024】
これにより、筒状シールド部材によって非シールド電線を曲がる経路に沿って保持できる。
【0025】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの配線モジュールであって、前記シールド電線と、前記絶縁部材と、前記止水部材とを2組備え、前記2つのシールド電線が前記非シールド電線の両端に接続され、前記2つの絶縁部材と、前記2つの止水部材とのそれぞれが、前記非シールド電線の両端側に設けられてもよい。
【0026】
このように、2つのシールド電線の間の部分に非シールド電線で用いた場合においても、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線の接続部分で止水性を付与できる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る配線モジュールについて説明する。図1は配線モジュール10を示す正面図である。図2図1のII-II線断面図である。
【0029】
配線モジュール10は、シールド電線20と、非シールド電線30と、絶縁部材40と、筒状シールド部材50と、止水部材60とを備える。
【0030】
シールド電線20は、芯線22と、芯線被覆24と、シールド26と、シールド被覆28とを備える。
【0031】
芯線22は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成された金属製の線状部材である。芯線22は、単芯線であってもよいし、撚り合せ線であってもよい。本実施形態では、芯線22は、銅又は銅合金製であることが想定される。このため、芯線22は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成された芯線と比較して曲げ易い。また、芯線22は、撚り合せ線であることが想定される。このため、芯線22は、単芯線で形成された芯線と比較して曲げ易い。芯線22は、電力又は信号を伝送する伝送媒体として用いられ得る。
【0032】
芯線被覆24は、芯線22を覆う絶縁部材である。芯線被覆24は、例えば、溶融樹脂が芯線22の周りに押出被覆されることによって形成される。
【0033】
シールド26は、芯線被覆24を覆う部材であり、電磁シールド可能な材料により形成される。例えば、シールド26は、鉄、銅又はアルミニウム等により形成される。シールド26は、芯線被覆24の外周全体を覆うため筒状をなしている。例えば、シールド26は、金属線が筒状に編まれた編組である。シールド26は、アルミニウムテープ等の金属テープが芯線被覆24の周りに巻回されたものであってもよい。
【0034】
シールド被覆28は、シールド26を覆う絶縁部材である。シールド被覆28は、例えば、溶融樹脂が芯線22にシールド26の周りに押出被覆されることによって形成される。
【0035】
上記芯線被覆24、シールド26又はシールド被覆28は、単層であってもよいし、複数層構造を有していてもよい。シールド電線20は、シールド26の内側に、芯線と芯線被覆とを有する電線を、複数含んでいてもよい。
【0036】
非シールド電線30は、非シールド芯線32と、非シールド芯線被覆34とを有する。
【0037】
非シールド芯線32は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成された金属製の線状部材である。非シールド芯線32は、単芯線であってもよいし、撚り合せ線であってもよい。本実施形態では、非シールド芯線32は、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが想定される。このため、非シールド芯線32は、銅又は銅合金で形成された芯線と比較して曲げ難く、経路保持機能に優れる。また、非シールド芯線32は、単芯線であることが想定される。このため、非シールド芯線32は、撚り合せ線で形成された芯線と比較して曲げ難く、経路保持機能に優れる。非シールド芯線32は、電力又は信号を伝送する伝送媒体として用いられ得る。非シールド芯線32は、金属が帯状に加工されたバスバであってもよいし、金属が丸く押出成形された棒状部材であってもよい。
【0038】
非シールド芯線32が、単芯線、バスバ又は金属の押出成形品である棒状部材である場合、当該非シールド芯線32は、内部が埋まった充実(solid)導電体である。
【0039】
非シールド芯線被覆34は、非シールド芯線32を覆う絶縁部材である。非シールド芯線被覆34は、例えば、溶融樹脂が非シールド芯線32の周りに押出被覆されることによって形成される。非シールド芯線被覆34は、非シールド芯線32を覆うように熱収縮された熱収縮チューブ、非シールド芯線32をインサート物として金型成形された樹脂製の金型成形物又は樹脂パイプであってもよい。
【0040】
非シールド芯線被覆34の両端部で非シールド芯線32の両端部が露出している。非シールド芯線32の端部が芯線22の端部に接続されている。例えば、非シールド芯線32の端部が芯線22の端部に接合されている。接合は、例えば、超音波接合、抵抗溶接等の溶接、半田付等のろう接等によってなされる。
【0041】
絶縁部材40は、非シールド芯線32と芯線22との接続部分とを覆っている。絶縁部材40は、シールド26又は筒状シールドの内周側に位置しており、非シールド芯線32と芯線22との接続部分と、シールド26若しくは筒状シールドとの間を絶縁する役割を有している。絶縁部材40の一方の端部は芯線被覆24の端部に止水状態で固定されており、絶縁部材40の他方の端部は非シールド芯線被覆34の端部に止水状態で固定されていてもよい。これにより、非シールド芯線32と芯線22との接続部分をより確実に止水できる。
【0042】
本実施形態では、絶縁部材40は、例えば、非シールド芯線32と芯線22との接続部分とを覆った状態で熱収縮された熱収縮チューブである。熱収縮チューブの端部は、芯線22及び非シールド芯線32の露出部分を覆っており、当該芯線22及び非シールド芯線32とシールド26との間に介在する。熱収縮チューブの一方の端部は芯線被覆24の端部を締付けており、熱収縮チューブの他方の端部は非シールド芯線被覆34の端部を締付けている。熱収縮チューブの内部には、ホットメルト接着剤が設けられ、当該ホットメルト接着剤が熱収縮チューブと被覆24、34との間を封止しているとよい。
【0043】
絶縁部材40は、上記例に限られず、非シールド芯線32と芯線22との接続部分に巻回された粘着テープ又は樹脂シートであってもよいし、当該接続部分をインサート部分として金型成形された樹脂部分であってもよい。絶縁部材40は、ゴム等の弾性材によって形成された筒状部材であってもよい。
【0044】
筒状シールド部材50は、筒状シールドを含むと共に、非シールド電線30の経路を保持可能な程度の剛性を有している。
【0045】
本実施形態では、筒状シールド部材50は、金属パイプであり、筒状シールド部材50の全体が筒状シールドである。金属パイプは、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金、鉄、ステンレス製のパイプである。本実施形態では、金属パイプは、アルミニウム又はアルミニウム合金製のパイプであることが想定される。金属パイプの外周又は内周に絶縁層が設けられてもよい。
【0046】
筒状シールド部材50が金属パイプで形成されているため、非シールド電線30の経路を保持可能な程度の剛性を有している。非シールド電線30の経路を保持可能な程度の剛性とは、例えば、筒状シールド部材50の両端が一定位置に支持された状態で、筒状シールド部材50の剛性と非シールド電線30の剛性とが合さって、自重によって曲ることなる初期の経路を保持できる程度の剛性である。
【0047】
筒状シールドである筒状シールド部材50の端部に、シールド26の端部が接続された状態で、筒状シールド部材50が非シールド電線30を覆っている。
【0048】
筒状シールド部材50の端部とシールド26の端部との接続は、例えば、次のようにしてなされる。シールド26の端部がシールド被覆28の端部を越えて延び、筒状シールド部材50の端部の外周に重なるように被せられる。そして、筒状シールド部材50の端部とシールド26の端部との重なり箇所に、金属バンド58が締付けられる。金属バンド58は、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス、各種合金で形成されている。金属バンド58は、例えば、塑性変形可能な環状部材であり、シールド26を筒状シールド部材50の外周側に締付けるように、塑性変形された部材であってもよい。金属バンド58は、例えば、ネジの締付作用によって、シールド26を筒状シールド部材50の外周に押付ける部材であってもよい。筒状シールド部材50の端部とシールド26の端部との接続は、上記構成に限られず、溶接、テープ等によってなされてもよい。
【0049】
止水部材60は、一端がシールド被覆28の端部に止水状態で固定されると共に、他端が筒状シールド部材50の端部に止水状態で固定された状態で、シールド26と筒状シールド部材50との接続部分を覆う。止水部材60の他端は、金属バンド58よりも筒状シールド部材50の中央寄りに位置する。
【0050】
止水部材60は、例えば、ゴム等の弾性材によって形成された筒状カバーであってもよい。止水部材60は、例えば、弾性材の金型成形品であってもよい。
【0051】
止水部材60の両端部は、シールド被覆28の端部及び筒状シールド部材50の端部を締付可能な内径を有する筒形状に形成されていてもよい。これにより、止水部材60の両端部の内周面がシールド被覆28の端部の外周面及び筒状シールド部材50の端部の外周面に密着し、それらの間から水が浸入し難くなる。
【0052】
止水部材60の両端部が結束部材68によって締付けられていてもよい。結束部材68は、例えば、樹脂によって形成された結束バンド又は結束タイと呼ばれる部材である。結束部材68によって、止水部材60の両端部がシールド被覆28の端部及び筒状シールド部材50の端部により強い力で押付けられ、それらの間から水がより浸入し難くなる。結束部材68は、粘着テープ等であってもよいし、金属バンドであってもよい。
【0053】
止水部材60の延在方向中間部は、シールド電線20と非シールド電線30との接続部分の外径に応じた内径を有する形状であってもよい。例えば、シールド電線20と非シールド電線30との接続部分のうち絶縁部材40及び金属バンド58が設けられた部分は、他の部分よりも外径が大きい。このため、止水部材60の延在方向中間部の内径は、両端領域の内径よりも大きく、さらに金属バンド58を収容する部分の内径がその他の部分の内径よりも大きく形成されていてもよい。止水部材60は、熱収縮チューブ等であってもよい。
【0054】
また、本実施形態では、配線モジュール10は、2つのシールド電線20を備えており、2つのシールド電線20の間に非シールド電線30が配置される。シールド電線20の中間の一部が非シールド電線30に置換えられていると把握されてもよい。
【0055】
配線モジュール10は、非シールド電線30の両端のそれぞれにシールド電線20を接続するため、絶縁部材40と、止水部材60とを2組備える。
【0056】
非シールド電線30の両端のそれぞれにおいて、上記芯線22と非シールド芯線32との接続構造、シールド26と筒状シールド部材50との接続構造、絶縁部材40及び止水部材60を含む接続構造が適用されて、シールド電線20が接続されている。
【0057】
以上のように構成された配線モジュール10によると、シールド電線20に対して非シールド電線30を接続した場合に、筒状シールド部材50によって、非シールド電線30による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与できる。また、止水部材60の一端がシールド被覆28の端部に止水状態で固定されると共に、止水部材60の他端が筒状シールド部材50の端部に止水状態で固定された状態で、止水部材60がシールド26と筒状シールド部材50との接続部分を覆っているため、両電線20、30の接続部分に止水性を付与できる。よって、シールド電線20に対して非シールド電線30を接続した場合に、非シールド電線30による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線20、30の接続部分に止水性を付与できる。
【0058】
なお、シールド電線20に対して非シールド電線30を接続したいという要請は、例えば、次のような場合に生じ得る。すなわち、電力伝送用途でシールド電線20を用いるとする。電力用のシールド電線20として、例えば、芯線22として銅芯線を有するものが選定されるとする。しかしながら、電力伝送のための銅芯線は、太く、銅使用量が多いので、シールド電線20も高価になりがちである。そこで、シールド電線20の一部をより安価な非シールド電線30に置換えることが要請される。安価な非シールド電線30としては、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製の芯線を有するものが想定される。
【0059】
しかしながら、シールド電線20の一部を非シールド電線30に置換えるだけでは、シールド機能を欠いてしまうし、また、接続箇所に水が侵入する可能性がある。
【0060】
このような場合に、本実施形態によると、筒状シールド部材50によって、非シールド電線30による導電経路に対して、シールド性を付与しつつ、接続箇所において止水性を付与できる。
【0061】
また、一般的に、銅はアルミニウム又はアルミニウム合金よりも曲げ易い特徴を生かした場所に利用され得る。銅芯線を有するシールド電線20を、アルミニウム芯線又はアルミニウム合金芯線を有する非シールド電線30に置換する場所としては、配策時に曲げ作業を必要としない場所、つまり、経路が一定に保たれる場所が適している。筒状シールド部材50によって、経路保持機能を付与することによって、非シールド電線30による経路部分を一定経路に保持することができる。
【0062】
また、筒状シールド部材50として、金属バンド58を用いることで、単一部品によって、非シールド電線30による導電経路に経路保持機能とシールド性を付与できる。
【0063】
また、配線経路のうち筒状シールド部材50によって保護される部分を、アルミニウム又はアルミニウム合金製の非シールド芯線32とすることで、配線モジュール10として低コスト化及び軽量化が可能となる。シールド電線20については、銅又は銅合金製の芯線を用いることで、曲げ易くなり、配線作業性に優れる。
【0064】
また、非シールド芯線32が、内部が埋った充実導電体であれば、非シールド電線30の細径化が可能となり、かつ、非シールド電線30自体に経路保持機能を持たせ易い。
【0065】
また、シールド26の端部が筒状シールドとしての筒状シールド部材50の端部の外周に重なった状態で、シールド26の端部と筒状シールド部材50の端部とを金属バンド58によって締付ければ、シールド26と筒状シールド部材50とを電気的接続状態でしっかり固定できる。
【0066】
また、2つのシールド電線20が非シールド電線30の両端に接続され、2つの絶縁部材40と、2つの止水部材60とのそれぞれが、非シールド電線30の両端に設けられていれば、2つのシールド電線20の間の部分を非シールド電線30に置き換えた場合においても、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線20、30の接続部分で止水性を付与できる。
【0067】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線モジュールについて説明する。図3は実施形態2に係る配線モジュール110を示す断面図である。なお、本実施形態の説明において、実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、シールド26を筒状シールド部材50の端部に固定する部材として、金属バンド58に代えて、テープ158が用いられる。テープ158は、帯状基材の一方面に粘着層が形成されたものであってもよい。テープ158は、アルミニウムテープ等の金属テープであってもよいし、PVCテープ等の樹脂テープであってもよい。テープ158は、シールド26の端部から筒状シールド部材50の端部にかけて螺旋状に巻回される。テープ158がシールド26の端部を筒状シールド部材50に向けて締付けると共に、シールド26の端部外表面及び筒状シールド部材50の端部外表面に粘着することで、シールド26が筒状シールド部材50に電気的に接触した状態に保たれると共に、当該筒状シールド部材50に固定された状態に保たれる。
【0069】
また、本実施形態では、止水部材60に代えて、熱収縮チューブが熱収縮した止水部材160が用いられる。止水部材160の一方の端部は、シールド被覆28の端部を覆っており、止水部材160の他方の端部は筒状シールド部材50の端部の外周を覆っている。止水部材160の他方の端部は、テープ158よりも筒状シールド部材50の中央寄りに位置する。
【0070】
熱収縮された状態で、止水部材160一方の端部はシールド被覆28の端部を締付けており、止水部材160の他方の端部は筒状シールド部材50の端部を締付けている。止水部材160の内部には、ホットメルト接着剤が設けられ、当該ホットメルト接着剤が熱収縮チューブとシールド被覆28若しくは筒状シールド部材50との間を封止しているとよい。
【0071】
この配線モジュール110によっても、上記配線モジュール10と同様に、シールド電線20に対して非シールド電線30を接続した場合に、非シールド電線30による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線20、30の接続部分で止水性を付与できる。
【0072】
[実施形態3]
実施形態3に係る配線モジュール210について説明する。図4は配線モジュール210を示す断面図である。なお、本実施形態の説明において、実施形態1で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
本実施形態では、筒状シールド部材50に代えて、筒状シールド部材250が用いられる。筒状シールド部材250は、筒状シールドとしての筒状編組252と、筒状編組を覆う樹脂パイプ254とを含む。筒状編組252は、金属線が筒状に編まれた部材である。樹脂パイプ254は、押出成形等で形成された筒状の樹脂部品であってもよいし、金型成形された半筒状の部品が筒状をなすように組合わされた部品であってもよい。
【0074】
筒状編組252が非シールド電線30を覆っている。樹脂パイプ254が筒状編組252を覆っている。筒状編組252によってシールド性が得られる。樹脂パイプ254によって、経路保持機能が得られる。樹脂パイプ254は、筒状編組252に対する保護機能及び絶縁機能を持つ。
【0075】
筒状編組252が非シールド電線30の端部から延出して、シールド26の端部に被せられている。シールド26の端部が筒状シールドである筒状編組252の内周に重なった状態で、金属バンド258がシールド26の端部と筒状編組252の端部とを締付けている。金属バンド258としては、上記金属バンド58と同様の部材を用いることができる。
【0076】
この例によると、筒状編組252によって非シールド電線30にシールド性を付与し、樹脂パイプ254によって経路保持機能を付与できる。
【0077】
その他、この配線モジュール210によっても、上記配線モジュール10と同様に、シールド電線20に対して非シールド電線30を接続した場合に、非シールド電線30による導電経路に対して、シールド性及び経路保持機能を付与しつつ、電線20、30の接続部分で止水性を付与できる。
【0078】
[変形例]
上記配線モジュール10において、図5に示すように、筒状シールド部材50に対応する筒状シールド部材350が、延在方向中間部で曲がる曲げ部352を有していてもよい。図5では、筒状シールド部材350の中間部が互いに反対側に曲る2つの曲げ部352を有している。筒状シールド部材350の両端部は、同じ方向に沿って延び、筒状シールド部材350の中間部が両端に対して交差する方向に延びている。このため、筒状シールド部材350によって、非シールド電線30を曲る経路に沿って保持できる。実施形態3の筒状シールド部材250が曲げ部を有していてもよい。
【0079】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0080】
10、110、210 配線モジュール
20 シールド電線
22 芯線
24 芯線被覆
26 シールド
28 シールド被覆
30 非シールド電線
32 非シールド芯線
34 非シールド芯線被覆
40 絶縁部材
50、250、350 筒状シールド部材
58、258 金属バンド
60、160 止水部材
68 結束部材
158 テープ
252 筒状編組
254 樹脂パイプ
352 曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5